第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営理念等

 当社グループでは、経営理念を示す「理念」・「使命」を以下のように定めております。

 

理念:   「進化を感動に」

使命:   「知恵と技術をエンジニアリングし、価値創造を革新する」

      「『本質的に美しいものづくり』を実現する

 

(2) 経営方針等

 当社グループは、設立から30年以上が経過し、社会・産業・技術等の大きな変化への対応として、経営方針として「システムとしての企業体」、「アントレプレナーシップ」を掲げるとともに、全社での変革(Corporate Transformation)を推進しております。またこれらの活動を支える全社スローガンとして「人間の創造性はこれからだ。」を設定しております。

 

 経営方針

 ・システムとしての企業体は、社内外でのつながり、掛け合わせを通じ付加価値の向上やケイパビリティ獲得の早期化を目指すものです。

 ・「アントレプレナーシップ」は企業体としての継続的な成長に向け、新しく事業を創造する強い情熱を持った新たな事業リーダーを多く生み出すという想いが込められています。

 

 全社変革(Corporate Transformation、以下、「CX」という):長期的な計画を策定し、次の2段階で実行中となります。

 ・CX第1フェーズ:

     目的:企業体としての組織・プロセス・戦略等を再構築することで、次の成長に向けた基盤構築

     期間:2020年~2024年

 ・CX第2フェーズ:

     目的:当社グループ使命を実現する企業体への変容

     期間:2025年~2033年

 

 全社スローガン「人間の創造性はこれからだ。」は、地球資源を際限なく消費するだけでなく、余剰や無駄がなく資源が循環するものづくりのあり方、人とモノと自然環境が調和する世界の実現等の社会の進化に向け、開かれた人の知恵による人間の創造性の駆動を目指すものです。

 

(3) 経営戦略等

 当社グループは、3D技術等のデジタルテクノロジーを活用しデジタルものづくりを革新する、グローバルな製品開発のエンジニアリングパートナー企業であります。創業以来、製造業の顧客を中心に各種サービスによる価値を提供して参りました。グローバルでより大きな価値を顧客へ提供すべく、海外現地法人の設立、海外でのサービス提供等の海外展開も進めております。

 当社グループでは、長期的な全社変革とそれを実行するためのより迅速な経営判断及び効率的な運営体制構築を目的として、2021年1月1日付で当社を吸収合併存続会社、完全子会社であったSOLIZE Engineering株式会社及びSOLIZE Products株式会社を吸収合併消滅会社とする吸収合併を行いました。本合併に伴い、国内における事業部門を再編し各法人間で分かれていた事業・技術・サービスを掛け合わせ、社員の融合及び文化醸成等を行うことで、サービスの提供価値の向上や新規の事業・技術の開発が進んでおります。また国内管理部門も統合し、管理業務・管理プロセスの統合・標準化、社内業務システムの刷新、人事制度の統合等が完了しております。今後もさらなる事業・技術・サービスの掛け合わせと管理業務の効率化等を含めた全社変革を継続して実施し相乗効果の発揮に努めて参ります。

 2023年6月に策定した『中期経営戦略2023-2025』に基づき、中長期の企業価値の向上に主眼を置き、新たな取組にチャレンジし、競争力のさらなる強化と成長に向け新たな技術獲得や事業開発への取り組みを加速させて参ります。

 中期経営戦略2023-2025の主要テーマは以下の通りです。これらは経営方針および長期的な全社変革の計画からブレイクダウンされたものとなります。

 ・デジタルものづくりを革新し続ける企業となる

 ・真のDX先進経営を実践する

 ・信頼性の高い企業となる

 

これらのテーマによる活動を通じ、顧客にとっての開発パートナーおよび変革パートナーになるべく具体的に以下を推進中です。

・顧客への貢献価値の向上

 個別のサービス提供に留まらず、エンジニアリングサービス及びマニュファクチュアリングサービスの実践力による総合的なサービス提供を行うことで顧客の開発パートナーとなること、また、顧客の将来への競争力を強化するために変革力の提供を行うことで変革パートナーにもなることにより貢献価値を向上します。

 開発パートナーとは、顧客の製品や開発プロセス、設計標準等への深い理解と当社がもつ高い設計力やプロジェクトマネジメント力により、顧客オンサイトでの支援に加え当社拠点による開発受託を行うことで顧客の開発力を増大することや、性能の向上などを目的に設計上流から3Dプリンターの活用を前提とした開発支援を行うことです。

 また、実践力と変革力とを融合させることで、開発及び変革パートナーとしてより高い価値を提供することが可能となります。例えば、新たなデジタル技術を導入する顧客に対し、エンジニアが導入に対する技術支援をすると同時にコンサルタントが新技術導入後の最適なプロセスへの変革を提供することや、エンジニアが技術導入後の開発実業務をオンサイトで支援しながらコンサルタントが新プロセスにおけるノウハウ構築やさらなる効率化を実行することなどです。また従来顧客内で実施してきた業務を外部委託が可能な状態にするため、コンサルタントがプロセス・ノウハウ・要求項目等の整備を行い、その上で当社が委託先となることで顧客の開発力の向上に寄与することが可能です。

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・デジタルものづくりのケイパビリティの向上

 当社が保有するケイパビリティの融合によるサービス提供領域の拡張と新しいケイパビリティの獲得に伴う領域の拡張を継続します。またその実現のために、研究開発部門の設置、事業開発の専門部門の設置を行い、従来事業から得た収益を次の成長に向けた事業・技術開発のための投資に割り当てます。拡張の具体例は以下の図の通りです。

 

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(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社グループは、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として以下の項目を定めております。なお、国内エンジニア数 (含 コンサルタント)については、国内のエンジニア数及びコンサルタント数の合計であり、当社グループの売上高及び営業利益の大半を占めるデザイン事業の業績に大きく影響するため、重視しております。

 a. 売上高対前年増加率

 b. 営業利益

 c. 国内エンジニア数 (含 コンサルタント)

 

(5) 経営環境

 当社グループは、グローバルに製品開発サポートを行うグローバルエンジニアリング企業であり、当社グループの主要顧客は自動車業界を中心とした製造業となります。

 自動車業界においては、CASE(Connected、Autonomous/Automated、Shared、Electric)と呼ばれる新しい領域での技術革新や、地球環境問題への対応としてカーボンニュートラルへの取り組みが急速に進んでおります。そのような状況の中、コネクテッドカー、自動運転などの技術の実運用を目指し、自動車メーカー各社の開発需要の増加が期待されております。電気自動車(EV)、自動運転技術の開発などから、自動車開発における電子制御の複雑化とともにサイバー攻撃への対応の重要性が増しており、MBD、ソフトウエア、デジタルリスク領域の需要が高まっております。同時に自動車完成車メーカーにおいては、上述の先端領域へのリソースシフトが進んでおり、それ以外の領域において外部委託化が増加しております。これらの状況から、当社グループとしても、自動車メーカー及び自動車部品メーカー等による開発投資の拡大継続を見込み、先端領域への支援と外部委託化が進む内外装領域の一括受託設計支援など両面において当社グループの幅広いエンジニアリング技術を融合し、顧客の製品開発をサポートすることでエンジニアリングサービスの収益拡大を図って参ります。

 自動車完成車メーカーの研究開発費は以下のように安定的に推移しております。

 

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 また3Dプリンターを活用したAdditive Manufacturingのものづくりへの適用が拡張しており、従来の試作用途だけでなく、少量量産の最終部品としての用途が本格化しつつあります。本領域における長期にわたる経験を活かし、3Dプリンターの活用のための上流工程からのエンジニアリング支援及び最終部品としての品質を確保した製造の請負が拡大すると見込んでおります。当社はこれまでも3Dプリンター活用を推進し国内における3Dプリンター市場の拡大に貢献して参りましたが、今後もそれを継続しマニュファクチュアリングサービスの収益拡大を図って参ります。

 

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 これらのエンジニアリングサービス、マニュファクチュアリングサービスの需要の増加に加え、将来の競争力確保に向け部門横断での開発プロセス変革やDX活動が増加しており当社グループのコンサルティングサービスの需要も高まっております。変革活動実施のための顧客内でのリソースを確保するために、当社グループのエンジニアリングサービスを先行的に活用し開発キャパシティを保ち、かつ、エンジニアリングサービスを通じて獲得した顧客の製品・開発プロセス・技術等の知識を踏まえたコンサルティングサービスを提供することで収益拡大を図って参ります。

 

(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(当社グループ全体の事業上の課題)

①製品開発をリードするプロフェッショナル集団を支える人材の採用と育成システムの維持・強化

 当社グループが事業を拡大し、継続的に成長していくためには、顧客企業と共に製品開発における高い価値を生み出すことのできる優秀な人材の採用が必要であり、さらに、事業拡大に伴い人員が増加する場合でも業務品質を落とすことなく、常に先端の技術を持つエンジニアを育成しなければなりません。

 国内における採用については、国内学生の新卒採用に加え、アジア圏を中心に海外大学の理工系の学生についても対象にして実施しております。また2022年度からは、経験者採用体制を強化し採用数を増加させております。なお、一定の退職者も生じますが、退職者数より入社者数のほうが多いため社員数としては増加しております。2023年12月期の退職率は7.9%でした。

 

国内採用者数(人)

 

2018年

12月期

(※1)

2019年

12月期

(※1)

2020年

12月期

(※1)

2021年

12月期

2022年

12月期

2023年

12月期

国内新卒

70

90

95

98

86

84

海外新卒(※2)

36

37

12

25

11

3

経験者

58

42

64

51

110

149

合計

164

169

171

174

207

236

※1:2018年度~2020年度は、当社及び旧SOLIZE Engineering株式会社、旧SOLIZE Products株式会社における採用者の合算値であります

※2:海外新卒の採用活動については新型コロナウィルスの感染拡大により2020年以降、活動を縮小しております

 

 また当社グループは、「お客様の高い期待に応える、プロフェッショナル集団」として在り続けるために、製品開発をリードし続ける人材の創造、新しい手法・道具の創造、進化を続ける企業文化の創造を目指し、業務課題に着目し改善提案の経験を積むことによる提案型エンジニアの育成や、定期的なトレーニング・スキルテスト実施等による継続的な能力向上など、エンジニアの成長を促すための人材育成システムを既に備えており、今後においてもこれを維持・強化して参ります。

 一定程度の経験年数を積み重ねたシニアのエンジニア人材については、より高単価な受託開発のプロジェクトリーダー、コンサルティングサービスを提供するコンサルタントといった分野に能力をコンバージョンすることで、1人当たりの売上高を増やし、事業を拡大して参ります。そのために、当社グループ内の人材ローテーション等により変革コンサルティングサービスの経験を積んだ人材の育成及び、エンジニアリングサービスもしくはマニュファクチュアリングサービスと変革コンサルティングを組み合わせた提案により、顧客へより高い価値を提供することを追求して参ります。

 人材の育成に併せて、新卒者・経験者の採用をさらに強化し、必要な人材確保を進めること、並びに人事制度の充実や面談などの各種施策を通じて定着率の向上を図って参ります。

 なお、国内の派遣契約におけるエンジニアの平均時間単価、稼働率は以下のとおり推移しております。

 

国内における派遣契約の平均時間単価(円)

 

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

2023年12月期

平均時間単価(※3)

4,326

4,339

4,385

4,556

※3:経験者・新卒含む全派遣契約の平均時間単価(残業代は除く)の平均値であります

 

国内における派遣ビジネスの稼働率(%)

 

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

2023年12月期

稼働率(※4)

85.8

87.5

94.4

94.9

※4:派遣技術者数(研修中の従業員を含む)に対する稼働人数の割合を期中平均にて算出しております

 

②グローバルサポート体制の強化

 当社グループは、サービスの海外展開、海外事業の開発に取り組んでおり、海外企業へのサービス提供や、日本企業の海外展開支援を既に行っておりますが、当社グループとして海外市場におけるビジネスチャンスを十分に取り込めているとは言えず、グローバルサポート体制の強化が課題であると認識しております。こうした課題に対して、グループ全体の製品開発における強みを活用した海外事業戦略の実行や、海外市場におけるブランド構築を促進して参ります。

 

③投資について

 当社グループでは、主として事業の成長と人材および経営基盤の強化を目的に、先端技術の獲得やサービス開発のための研究開発投資、人材の成長・強化や事業開発および事業開発人材の獲得などの投資、事業用設備や経営基盤強化・サイバー攻撃対策等のための設備投資、事業シナジーによる戦略的リターンを重視したコーポレートベンチャーキャピタル(以下、CVC)投資を行っております。こうした投資は、事業環境の予期せぬ変化により計画した成果が得られない場合、または資産が陳腐化した場合や、CVC投資はシードからアーリーステージのベンチャー企業を主な対象としているため、計画通りに投資先企業の事業の進捗が進まない場合など、当社グループの事業及び経営成績等に影響が生じる可能性があります。

 このため、当社グループでは、投資案件の内容・規模により、取締役会、執行役員会、戦略投資会議等において、事業計画に基づく十分な検討を行ったうえで投資に対する意思決定をしており、また、投資実行後も定めたプロセスに則り進捗確認を実施しております。

 

(デザイン事業の課題)

④総合的なデジタルエンジニアリング体制の確立

 当社グループは、製品開発のデジタルフェーズにおいて様々なデジタル技術を駆使し、エンジニアリング力を培って参りました。CASE等において製品開発のあり方が大きく変わる中で、これまでの領域ごとに蓄積してきたデジタルエンジニアリング力をより融合した総合的なサービス提供と個別領域でのサービス強化を行って参ります。

 従来からの設計、解析、MBDの領域に加え、ソフトウエア、XRおよびサイバーセキュリティ領域のサービス提供を開始しておりさらなる拡大を行って参ります。
 総合的なサービス提供という観点では、マニュファクチュアリング事業とも連携し、製品開発における3DプリンターによるAdditive Manufacturingの利点を最大化するための設計及び解析等のエンジニアリングを融合したサービス提供を行って参ります。

 

⑤変革コンサルティングサービスの拡大

 当社グループは、エンジニアリングサービスを通じて獲得した各種デジタル技術や開発プロセスや現場への精通に加え、人の判断を可視化する技術を組み合わせてコンサルティングサービスを提供しております。顧客企業においても様々な変革活動が実施されているとともに、経営課題は年々複雑になっております。また、当社グループのエンジニアリングサービスの領域も拡張されているため、顧客からのコンサルティングサービス提供領域を拡大する要求が高まると想定しております。そのための人材の採用及び育成を含めた体制及びサービス範囲の拡大を行って参ります。

 

(マニュファクチュアリング事業の課題)

⑥金属造形技術の確立と顧客への訴求

 3Dプリンターによる短期間での造形は、これまで主に樹脂材料による樹脂パーツの製作が行われておりましたが、金属粉末を材料とした金属造形は、複雑な形状の金属パーツも短期間で製作することができ、製品開発における更なる期間短縮やコスト削減、性能向上等のニーズに応える技術です。たとえば、従来は複数部品にて製作していたものを、金属造形では一体的に製作することにより、大幅な製作期間の短縮やコストの削減などの効果が見込まれると考えております。この金属造形においては、当社グループが保有するエンジニアリング力と日本最大級の金属3Dプリンター工場を積極的に活用することが重要な課題であると認識しております。

 そのために、これまでの樹脂造形で培ったノウハウも活かして金属造形技術を高め、高品質な製品を製作するための運用ノウハウを持った人材の維持・強化と共に、顧客に対して金属造形技術の特徴を訴求し、今後一層の規模と価値の拡大を追求して参ります。

 

⑦少量量産領域への事業拡大

 3Dプリンター技術の特徴により、金型を使用した成形や切削加工などのこれまでの工法では実現不可能であった形状も作成可能となることから、これまでの概念を覆す魅力や性能をもった製品を生み出す可能性を秘めていること、また、長期にわたる補給部品の金型管理等、メンテナンスコストが大きく低減できることなどにより、3Dプリンターによる最終製品の製作ニーズが高まっております。

 当社グループは、3Dプリンターによって最終製品の部品(補給部品を含む)を製造し顧客へ納品する事業を開始しておりますが、最終製品を製作するための技術とノウハウを高め、顧客へ少量量産の価値を訴求し、今後一層の規模と価値の拡大を追求して参ります。

 

(財務上の課題)

 当社グループは、グローバルに存在する顧客のあらゆるニーズに応えることを目的として、新規事業や新規技術の開発とそれに必要となる優秀なエンジニアの確保、増強のために採用活動の強化及び入社後の教育・トレーニング等を行っています。一時的な景況の悪化により当社グループの提供するサービスや製品への需要が減少する時期においても、当社グループの成長の源泉である人材を維持するための支出が発生し、財務上の安全性が低下する可能性があります。このような状況に備え、当社グループでは一定程度の資金を確保し安定的な経営に努めて参ります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 サステナビリティに関するガバナンスはコーポレート・ガバナンスの一部として、主に取締役会、SOLIZE執行役員会及びリスク管理委員会等により決定しております。原則として、取締役会は毎月1回開催、SOLIZE執行役員会は毎週1回、リスク管理員会は隔月に1回開催しております。リスク管理委員会において、当社グループの事業活動に影響を与える重大リスクについて検討し共有することで、サステナビリティを含めたリスクの低減に努めております。リスク管理委員会の活動や検討・協議された方針・課題は必要に応じてSOLIZE執行役員会及び取締役会に付議または報告されております。取締役会はこれらのプロセスを定期的に監督し、必要に応じて対応の指示を行っております。

 詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。

(2)戦略

 当社グループは、デジタルものづくりの総合ビューローとして、高度なエンジニアリング技術と3Dプリンティング技術を掛け合わせた多様なものづくりの現場で培ってきたデジタルエンジニアリング・デジタルマニュファクチュアリングの実践力と、サービスと独自の方法論に基づく変革力とを融合させることで、各ステークホルダーに貢献すること、また、2030年に向けて企業としての公益性を高めていくことを目指しております。新しい社会や経済のシステム、ものづくりの在り方に変化をもたらすべく、私たちは革新し続けます。多様なステークホルダーとエコシステムとしての企業体を形成し、自然環境と人々の生活の豊かさが調和していき、本質的に美しいものづくりの実現を目指します。

 

① 脱炭素社会への取り組み

 当社グループは、地球環境と人類社会の共生、循環型社会の実現に向けて、2021年に新たな使命として「『本質的に美しいものづくり』を実現する」を追加しました。これは、開発から製造、消費、廃棄や再利用の過程で、ものづくりが人間社会と地球環境の中で調和することを目指しています。その一環として、自社の事業活動におけるCO2排出量削減に取り組みます。
 また、カーボンニュートラルの達成および資源循環社会の実現に向けて、製品設計の手法自体にも変化が必要となります。CO2排出量に関する規制や国境炭素調整などのカーボンプライシングの導入が進むと、環境配慮の優先度は、機能・性能・コストと同等レベルになることが予想されます。環境配慮設計の在り方を進化させることを目指し、エンジニアに必要なスキル獲得を積極的に推進し、LCE(※1)や DfE(※2) の教育を実施しております。上流の設計から環境を配慮することで、カーボンニュートラルの世界を目指すという難題に対して、パートナー企業と連携しながら取り組みを進めています。

 

 具体的な取り組み内容としては以下のとおりです。

 ・社用車にZEV(電気自動車や燃料電池車などのゼロエミッション車)を導入

   2023年については2台(EV1台、FCEV1台)を置き換えました。

 ・事業所の電力を再生可能エネルギーや実質再エネに転換

   2023年については当社グループのオフィスで最大の電力を使用しているGlobal Engineering Center -
   Yamatoにおいて電力プランを東京電力のグリーンベーシックプラン(実質再エネプラン)に切り替えを行い
   ました。

 ・エネルギー利用効率化の取り組みを推進

   当社グループにおける電気使用量および社用車のガソリン使用量について継続的に計測を行なっており、
   エネルギー利用の効率化に向けた全社横断的な活動につなげます。

 ・当社グループエンジニアの環境配慮設計スキル習得
   以下の人的資本・多様性の取り組みの中で詳細を記載します。

 

※1 LCE:Life Cycle Engineering、環境的、社会的、経済的に持続可能な製品等のライフサイクルシステムのデザインとマネジメントのための技術体系

※2 DfE:Design for Environment、製品の製造やサービスの提供に際してその設計、企画段階において環境負荷を可能な限り低減させることを目指すこと、環境適合設計または環境配慮設計などとも表現される

 

② 人的資本・多様性への取り組み

 当社グループは、中長期的かつ持続的な企業価値の向上を図るうえで、人財の多様性が重要であると認識しております。また、今後の社会のあり方が大きく変化することも踏まえ、多様な人財の確保や育成を重要な経営アクションの一つとして、以下の理念・方針等に則り取り組みを行っております。

 

<人事理念>

・新しい事業と技術を創造する情熱(アントレプレナーシップ)をもった人財を積極的に輩出する組織であり続ける

・“SOLIZEならより高いレベルに成長できる、面白いことができる”と感じられる企業風土・組織であり続ける

・いかなる時でも誠実さを最優先に考える組織であり続ける

 

<人事方針>

経営理念である「進化を感動に」と使命の実現に向けて、人事理念を踏まえて「人事方針」を定める

(1)人を大切にし最大の財産(人財)と捉え、いかなる時でも誠実さを最優先に考え、公正、公平、透明性を旨とする

(2)会社と社員は互いに理解・協力し合い、より良い制度の構築や運用に向けて取り組む

(3)この人事方針の適用対象はグループ全社で雇用する社員とする

 

ア.雇用・採用

(a)公正な雇用慣行の元に社員との雇用契約を結び、企業としての責任を果たすよう最大の努力を払う

(b)事業の成長および生産性の革新・向上に向けて、事業競争力・事業性等を考慮の上で適時適切に人財を確保する

(c)人財の性別、国籍等を問わず、経営理念と使命に共感する多様な人財をその能力に基づき採用する(1)公正な雇用慣行の元に社員との雇用契約を結び、企業としての責任を果たすよう最大の努力を払う

 

イ.処遇・評価

(a)経営理念の実現に向けて、行動規範・行動指針を実践し、チャレンジする社員を評価、処遇する

(b)事業競争力・事業特性を踏まえた処遇水準を目指し、職責に応じた成果・能力を適正に評価する制度を設ける

(c)社員の育成・能力開発において評価制度が重要な手段であることを認識し、透明性・公正性・公平性・納得性を追求して運営する

 

ウ.配置・異動

(a)情熱と能力のある人財を見出し、社員一人ひとりに自己実現と成長する機会を公正・公平に提供する

(b)事業成長と新事業創出の実現のために、計画的・全社的な配置・異動を行う

 

エ.能力開発・組織開発

(a)社員が能力を最大限に発揮できる環境づくりと生産性の向上のために、能力開発・組織開発を進める

(b)多様な価値観・発想・成長意欲のある人財を尊重・支援し、新しい事業と技術を創造する情熱(アントレプレナーシップ)をもった人財を輩出する

(c)創造性・専門性・個性を発揮・追求できると感じられる企業風土の醸成を積極的に行う

 

<行動規範>

・誠実に向き合い期待を超えろ

 お客さま、そして仲間に対して、偽らずに真心を持って向き合うこと。

 相手の期待をしっかりと感じ取り、その期待を超えることを常に目指せ。

 どんな些細な期待であってもいい。

 その期待を超えること、超え続けることが信頼に繋がる。

・覚悟を持って自らを革新せよ

 一人ひとりが、会社のミッションとともに個人のミッションを持ち、それを成し遂げんとする覚悟を持て。

 腹をくくり、自分の軸を持て。

 そして、より高いレベルを目指し、勇気を持って自らの思考、行動を変えよう。

 それこそが全ての革新への源になる。

・考え続けろ、行動を起こせ

 考える事に妥協しない。

 深く考えても行動を起こさなければ何も起こらない。

 すばやく行動を起こし、行動しながらも考え続けよ。

 行き詰った時、周囲に相談することも行動のひとつ。

 最高の結果を最速で追い求めろ。

・摩擦を恐れず真剣に話せ

 互いに信頼し、互いの成長を望め。

 自分がどう思われるか、相手がどう思うかを不安に思わず、意見の衝突やすれ違いを覚悟し、

 自分の思いを真剣に伝えろ。

 一体となって困難を乗り越えるチームはこうして生まれる。

・自分初、世界初を創り続けろ

 既存の価値や概念にとらわれず、感動や驚きを伴う新しい価値を創造せよ。

 世界を変える方法はどこか余所にではなく、一人ひとりの手元にある。

 個々人の「自分初」の積み重ねが、組織の「世界初」を創り出す。

・未来を描き、チャレンジを楽しもう

 未来は与えられるものではなく、自ら描き、創るものだ。

 在りたい未来から、今何をすべきかを考えよう。

 未来を実現する高い目標にチャレンジし、困難でもその過程を楽しもう。

 そして、つかめ、その手に、「輝かしい未来」を。

 

<行動指針>

・社会の公器たる企業としての義務と責任を自覚して、公正、公平、透明で健全な事業活動を行います。

・法令、契約や社内規程などの遵守はもちろんのこと、高い倫理観と道徳観に基づいた誠実で真摯な行動を実践します。

・お客さまや取引先、株主、社員、地域社会などステークホルダーの皆さまの信頼を得て企業価値の向上に努めます。

・グローバル企業として文化や慣習を尊重し、公正な雇用慣行と多様性のある人財の活力で社会の健全な発展に貢献します。

・知恵の創造に関わる企業として、よりよい環境と魅力ある経験の場を提供して、社員一人ひとりの成長と幸福を推進します。

 

<実践状況>

ア.人財育成

 当社グループの人財育成の枠組み

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(a)キャリアコース

 「スペシャリストコース」「マネジメントコース」の2つのキャリアの方向性があります。

・スペシャリストコース:高度な専門性を持ち活躍、貢献する

・マネジメントコース:組織運営、プロジェクト推進で活躍、貢献する

※管理職になるタイミングで上述の2コースに分かれます。管理職の前の段階(新卒~中堅社員)では、「プロフェッショナルコース」にてエンジニアリング業務/コンサルティング業務/スタッフ業務を推進し活躍いただきます。

 

(b)成長・活躍のステージ

 キャリアコースに基づき、期待役割に適応する活躍ステージを設定し、エンジニア/コンサルタント/ビジネスリーダーとしての成長を促進しています。

 

(c)評価とフィードバック

 年度初めに上司と本人が話し合いを通じて成長課題を明確にし、到達目標を設定します。また、上司は本人に評価とその理由をフィードバックし、今後の期待を伝え成長を促進しています。各役割に求められるパフォーマンス(業績貢献)とアビリティ(行動・能力)発揮の評価結果が給与と賞与に反映されます。

 

(d)研修/実践の場

・基礎力

 新卒社員全員を対象に、入社時に当社グループの人財として必須となる理念・使命・行動規範などのマインド、およびビジネススキル・知識を習得するための研修を実施します。併せて、各職種、技術領域に特化した研修プログラムを提供しています。

・専門スキル

 組織における役割や、活躍ステージの変化、職種に対応したエンジニアとして必要とされる各専門スキル研修を用意しています。

・マネジメント力

 チームや組織運営に求められるマネジメントスキルの習得機会を提供しています。

・新しい価値創造の実践

 技術開発、顧客開発、サービス開発など、高い専門性を発揮することによる新たな価値創造の実践の場を提供しています。

・コンプライアンス・情報セキュリティ

 法令順守、リスク軽減、インシデント対応能力強化を目的とした研修を実施しています。

・2023年度トピックス

 当社の使命の一つである、本質的に美しいものづくりの実現に向けて、資源循環や環境配慮設計を学ぶ機会を提供しています。全社リテラシー向上を狙いLCE研修を実施しました。エンジニアへの環境配慮設計スキル習得のためLCEワークショップ受講150名、環境配慮設計講義受講65名。エキスパートによるLCAに基づく活動企画を目的にLCAF検定初級合格7名、LCAF検定中級合格2名、SuMPO認定LCAエキスパート2名の実績があります。

 

(e)自律支援

 上司との定期的なキャリア開発に関する面談を通じて、自己実現に向けた支援が受けられます。また、担当領域での研鑽を補完するスキルアップ支援や資格取得支援に取り組んでいます。

 

(f)当社グループ独自の高付加価値・価値創造推進人財育成

 

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 当社グループはサービスを提供するにあたり、「顧客業務に精通したエンジニア」と「請負が可能な高付加価値エンジニア」を育成します。変革コンサルティングにおいては「暗黙知をお客さまの競争力に転換する変革プロフェッショナル」を育成します。計画的なジョブローテーション、シナジー効果を発揮するジョイントプロジェクト等を通じ、エンジニアリング力とコンサルティング力を併せ持つ、「自ら変革を描き、自ら変革を実行するプロジェクトリーダー、ビジネスリーダー」の育成を推進しています。

 

イ.ダイバーシティ&インクルージョン

・育児・介護支援制度

 当社は、社員が出産、育児、介護等により就業を断念することなく、仕事、育児、介護を両立できるよう、各種人事制度を整備しています。

育児休業

性別問わず、1歳に満たない子を養育し、希望する社員は、最長で子が満2歳に達する日まで育児休業を取得することができる。

育児短時間勤務

性別問わず、希望する社員は、最長で子が小学校6年生の年度末に達する日まで育児短時間勤務制度を利用することができる。

介護休業

要介護状態にある家族を介護する社員は、対象家族1人につき、延べ93日間までの範囲内で、かつ分割して介護休業を取得することができる。

介護短時間勤務

要介護状態にある家族を介護する社員は、介護短時間勤務制度を利用することができる。

出産祝い金

社員またはその配偶者が出産した場合、特別休暇および出産祝金の制度を利用することができる。

 

・子育て支援

 当社は2019年に、くるみん認定を取得しています。

※「くるみん」とは、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた企業の証です。

次世代育成支援対策推進法に基づき策定した一般事業主行動計画の目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって厚生労働大臣の認定(「くるみん」認定)を受けることができます。

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・障がい者雇用

 当社は、さまざまな障がいを持つ方々を事務職やエンジニア職として雇用し、共に事業に取り組んでいます。文書管理、物品管理等の一般事務処理業務や、データベースの運用管理、3Dプリンター関連業務、各種研修サポートなど、障がいの特性に応じて担当業務を検討し、能力の発揮と職業的成長に取り組んでいます。

 また、2020年から新たな障がい者雇用として、当社事業所のGlobal Engineering Center-Yamato(神奈川県大和市)における清掃業務を開始しています。現在は清掃業務にとどまらず、消耗品の在庫チェック等へと業務領域を広げています。

 

・高齢者雇用

 当社は多様な人財の活躍を推進するため、シニア世代の豊富な経験やスキルを引き続き事業発展の推進力とし、定年後も活き活きと活躍する場を提供すべく、定年退職を迎え希望する社員に対して、再雇用制度による雇用延長を実施しています。本人の希望に応じて、最長65歳まで雇用機会を確保します。

 

・外国籍社員の採用

 当社は、多様な国籍・文化的背景を持つ人財を積極的に採用しています。その割合は年々増加し、2018年以降、世界14ヶ国・延べ130名の社員を迎えました。現在も、さまざまなバックグラウンドを持つ社員が活躍しています。

 

ウ.人権の尊重

 当社が人権を尊重する企業であるために、私たちは共に働く人びとの人権を尊重します。国際的な人権基準を支持・尊重し、人権侵害に一切加担しません。個人の尊厳を傷つける言動・行動はしません。労働に対する同意の欠如や処罰の脅威による強制労働の撤廃を支持し、加担しません。児童労働の実効的な廃止を支持し、加担しません。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、組織の収益や損失等に影響を及ぼすリスクを適切にマネジメントするために、グループリスク管理規程を定めるとともに、全社的な管理体制を整えております。リスク分類毎に主管する部門もしくは会議体と関連する部門が、グループ内に生ずるリスク管理(リスクの抽出・評価、リスク発生の回避・低減・移転・受容)におけるグループポリシーの企画・作成、対処方針の立案と実行を行い、必要に応じSOLIZE執行役員会、取締役会への報告を行うこととしています。事業計画からの進捗の乖離等の業績関連リスクについては、月次事業報告等を通じて執行役員会が主管会議体となります。また人事資本関連のリスクについては人事部が主管部門、その他リスク全般についてはリスク管理委員会が主管会議体となります。

 詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載の通りであります。

 

(4)指標及び目標

脱炭素社会への取り組み

・自社起因の温室効果ガス排出量(Scope1およびScope2)について、2030年までにカーボンニュートラル化を実現

 

人材育成方針や社内環境整備方針に関する指標の内容、当該指標による目標・実績

施策と目標

実績

2023年度

フルタイム労働者等の法定時間外・法定休日労働時間の1人当たり月間平均: 目標 45時間未満

12.0時間

月間平均の法定時間外労働60時間以上の労働者数:目標 0人

0人

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると当社グループが考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。
 当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

 当社グループはリスクを適切にマネジメントするために、グループ横断でのリスク管理委員会を設置しております。本委員会の説明、コーポレート・ガバナンスの体制図等については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。
 本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

1. 事業環境に由来する事項について

(1) 景気動向、自動車関連市場等による影響
    [発生可能性:高、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループは、主要取引先が自動車関連メーカーであるため特に国内の自動車関連業界の開発動向に影響を受けやすい状況です。国内自動車関連業界は景気、金利、為替及び消費動向等の経済状況に影響を受ける傾向があり、それらの状況によっては、当社グループの取引先企業の業績が左右され、結果として当社グループの受注状況が影響を受けることにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループとしましては、自動車業界以外の顧客に対する事業拡大、M&Aを含めた海外への進出等により、特定の業界や地域等の影響を受けにくい体質を構築する方針ですが、国内自動車業界の状況が想定以上に悪化した場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 これに加えて、世界の自動車関連業界においては、CASEに代表される変革を背景に次世代技術の研究開発が活発化しております。これに伴い、当社グループを取り巻く事業環境も大きく変化するものと予想されます。例えば、自動車の多機能化や自動車部品の電動化等に伴い、自動車関連業界ではまったく新たな分野での研究開発も必要になり、製品開発におけるニーズは多様化してきていると認識しております。

 当社グループでは、このような多様化する顧客ニーズに適応するために、ものづくりのデジタル技術の領域を拡大しながら製品開発を支援して参りました。具体的には、従来の3D技術による設計・解析領域に加えて、MBD・ソフトウエア・XR・デジタルリスク等の技術を活用した事業領域の拡大に取り組んでおります。このほかにも、顧客層の拡大や多様な人材の確保を通じて収益機会の拡大だけでなくノウハウの蓄積も目指して参ります。一方で、これらの施策をもってしても顧客ニーズに適応しきれない場合は、想定どおりの売上高が得られない等の理由により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、短期的には、世界の政治経済の動きに端を発する外国為替相場の急激な変動があります。これは当社グループの主要顧客が海外市場の動向の影響を受けやすい自動車産業に属し、これら為替相場の変動など急激な経済環境の変化が主要顧客の開発や設計に関わる計画に変更を及ぼすことがあるためであります。他方で、中長期的には自動車の開発や設計に関わる技術やツールの変化、自動車そのものの構造に関わる変化が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

 

(2) 競争環境による影響

    [発生可能性:中、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループの事業はいずれも類似事業を営む企業による事業推進の強化や新規参入等による競合が発生し得る分野であり、競争の激化による受注の減少や受注単価の低下が発生する可能性があります。当社グループとしては、幅広い業務領域への対応能力により顧客ニーズへ素早く対応できる体制や、当社自身が設計から製造まで幅広く実践している中で蓄積してきた独自の技術による付加価値の提供等により、他社の動向に左右されにくい体制の整備を進めておりますが、競合が急速に進行した場合や競合の影響が甚大な場合は当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 技術革新

    [発生可能性:中、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループが事業展開する分野は、グローバル規模で絶えず技術革新が進められており、当社グループに要求される技術水準や生産能力も年々高まっている状況です。当社グループとしても、社員教育を通じた技術水準の向上や生産設備の新設及び更新を通じた生産能力の向上により、技術革新に対応した事業展開ができるよう努めているところです。
 しかしながら、技術革新の水準が想定以上に進んだ場合又は当社グループの対応が技術革新のスピードより遅れた場合、当社グループの役務提供又は製品供給が顧客の要求水準どおりに実施できず、市場における競争力の低下が発生する可能性があり、その場合は想定どおりの売上高が得られない等の理由により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 原材料の調達

    [発生可能性:低、影響度:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループで使用している一部の原材料については、その特性から調達先を特定の仕入先に依存せざるを得ないものがあります。当社グループでは、当該原材料について一定量を保有し、調達の多様化を進めることで、主要な仕入先への依存のリスクを低減しておりますが、主要な仕入先の業績の悪化又は政策の変更等によりこれらの調達が困難になる可能性も考えられ、その場合は当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 為替相場の変動による影響

    [発生可能性:高、影響度:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループは、北米、欧州、インド、中国等の企業と取引を行っており、米ドルやユーロ等の外貨建てで取引されているサービスの価格は為替相場の影響を受けるため、為替相場の変動状況によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、海外関係会社の現地通貨建ての財務諸表は、連結財務諸表作成の際に円換算されるため、円換算する際の為替レートによっては、為替換算調整勘定を通じて連結財務諸表の純資産の部が変動する可能性があります。

 

(6) 海外情勢の変化による影響

    [発生可能性:中、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループは海外に子会社を有しており、販売先や仕入先等の取引先も海外に幅広く存在しております。また、今後についても海外での事業展開を積極的に図っていく方針です。このような状況下において、進出国における法令、政治、経済及び文化等の様々なカントリーリスクを有しております。
 当社グループは現地の動向を随時把握し、適時適切に対応していく方針でありますが、不測の事態が発生し事業の推進に障害が発生する場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 減損損失
    [発生可能性:大、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループは、有形固定資産やのれん等の固定資産を保有しております。これらの資産については減損に係わる会計基準に従い、定期的に固定資産の減損の兆候を判定し、兆候がある場合は保有資産の将来キャッシュ・フロー等を算定し、減損損失の認識・測定を行っており、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っております。しかし、将来の環境変化により将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合には、追加の減損処理により、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 投資有価証券評価損

    [発生可能性:大、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループは、事業シナジーによる戦略的リターンを重視したコーポレートベンチャーキャピタル(以下、CVC)投資を行っております。CVC投資はシードからアーリーステージのベンチャー企業も対象としているため、計画通りに投資先企業の事業の進捗が進まない場合など、投資有価証券評価損により、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

2. 事業内容に由来する事項について

(1) 事業運営における重要な契約について

① 3Dプリンターに関する代理店契約

   [発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 マニュファクチュアリング事業は、米国3D Systems社及び株式会社スリーディー・システムズ・ジャパン社と3D Systems社製3Dプリンターの日本国内における装置販売及び保守に関する代理店契約を締結、また株式会社日本HPとHP社製3Dプリンターの日本国内における装置販売に関する代理店契約を締結しております。これらの契約は、当社又は相手先から契約解除の申し出がない限り自動的に契約更新がなされることとなっており、今後につきましても現状の良好な取引関係を継続していく方針です。しかしながら、契約の内容の変更又は解消等が発生した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 重要な事業拠点の賃借契約
   [発生可能性:小、影響度:大、発生する可能性のある時期:2026年]

 当社グループでは、重要な事業拠点として以下の賃借契約を締結しております。

事業所名

セグメント名称

所在地

契約開始時期

契約終了時期

Global Engineering Center-Yamato

(大和工場)

デザイン事業

マニュファクチュアリング事業

全社(共通)

神奈川県

大和市

2021年8月

2026年7月

 現時点においては、賃貸人と当社グループとの関係は良好であり、賃貸人から契約期間中の解約の申し出がなされる可能性は低いものと考えておりますが、賃貸人側の事情等により予期せぬ解約の申し出がなされる可能性があります。その場合、代替となる事業拠点が適時適切に確保できず操業が停止したり事業拠点の移転に伴う費用が発生したりすることにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) エンジニアの確保及び育成

    [発生可能性:大、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループは、デジタル技術を核とする製品開発ノウハウに基づき、グローバルに製品開発サポートを行う企業集団でありますが、エンジニアは重要な経営資源であり、かつ今後の事業拡大の重要な要素であると捉えているため、当社グループの事業の継続及び拡大にあたっては顧客企業の要求水準に応える優秀な人材を確保し、さらには常に最先端の技術に対応できるエンジニアの育成が不可欠であると考えております。

 エンジニアの確保については、国内・海外で積極的に実施しており、国内においては、全国の理工系大学の訪問やホームページ及び求人サイト等のインターネット媒体の活用等だけでなく、国内拠点の近隣に限らず全国主要都市での会社説明会の開催等、新たな採用戦略を進めております。海外においては、グループの海外拠点を活用した採用活動に加えて、優秀なエンジニアを多く輩出している東南アジア諸国からの採用等を展開しております。

 育成についても、継続的に成長を促すための人材育成システム及びスキルアップ支援体制等の施策により、人的資本経営に取り組んでおります。

 しかしながら、当社グループの求める人材の確保が計画どおりに進まない場合や現在在職している人材の予想を上回る流出が発生した場合、売上高の減少や売上原価率の上昇につながる恐れがあり、結果として当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) M&Aについて
    [発生可能性:中、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループは、デジタル技術を駆使するグローバルエンジニアリング企業として顧客並びに技術獲得の早期化と事業成長のために、M&Aをその有効な手段の1つとして位置付けており、必要に応じてM&Aを実施する可能性があります。
 M&Aに際しては、対象企業のビジネス、財務内容及び法務等について詳細なデューデリジェンスを行い、各種リスクの低減を図る方針でありますが、これらの調査の段階で確認又は想定されなかった事象がM&Aの実行後に発生又は判明した場合や、M&A実施後の事業展開が計画どおりに進まない可能性があり、その場合は当社グループが当初期待した業績への寄与の効果が得られない可能性があることに加えて、対象企業の投資価値の減損処理が必要になることも考えられ、当社グループの財政状態及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 特定取引先への依存

    [発生可能性:小、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループの有力販売先の1つに本田技研工業株式会社があります。2023年12月期において、同社に対する売上高は、当社グループの売上高の25.5%を占めており、販売先の中でも比率が高い状況にあります。
 当社グループは、同社に限らず各取引先との良好な取引関係を維持していくよう努めていくと同時に、新規事業の伸長や海外を含めた新規取引先の開拓により、特定の取引先の動向に左右されにくい環境を構築していく方針です。しかしながら、上記環境の構築が進まなかった場合、同社の方針の変更やその他の何らかの事情により、当社グループとの取引の減少や取引条件の変更等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 経営成績の季節等による変動

    [発生可能性:大、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループは、顧客企業に対し製品開発ノウハウやデジタル技術等を顧客企業オンサイトでのサービス提供も実施しております。オンサイトでのサービス提供の場合、主な契約形態として請負契約・準委任契約・派遣契約があり、特に準委任契約・派遣契約の場合、売上高がエンジニアの稼働時間に応じて変動するため、各月の稼働日や時間外業務時間数の多寡が売上高及び利益に影響を及ぼすこととなります。特に、夏季休暇や年末年始等の顧客企業の大型連休の時期はエンジニアの稼働日数が減少することが多いため、これらの時期の売上高及び利益の水準は、他の時期と比較して落ち込む傾向にあります。また、当社グループの新入社員は、研修期間を経て一般的に毎年7月以降にエンジニアリング等の業務に就きます。よって新入社員の稼働に伴い7月以降の売上高及び利益の水準を6月以前と比較して押し上げる要因となりますが、新入社員の稼働が計画どおりに進まなかった場合に、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 3Dプリンター装置の販売について

    [発生可能性:大、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループは、3Dプリンター装置の販売を行っております。3Dプリンター装置の販売については検収基準で売上高が認識されますが、特に受注の時期は顧客企業の都合により左右されることがあるため、当社グループが予定した時期に売上高を認識できないことがあります。当社グループとしては、顧客企業に対し3Dプリンターの特長等を訴求することにより、円滑な受注及び検収が実現するよう努めておりますが、売上高の認識の時期が当初の予定と相違した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 新規事業の展開によるリスク

    [発生可能性:中、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループは、事業規模の拡大と高収益化を目的として、既存事業に留まらず、新規事業の開発に積極的に取り組んでいく方針であります。既存事業よりリスクが高いことを認識しておりますが、企業価値のさらなる拡大を目指すには、市場成長性の高い分野への進出や新規市場の創造が不可欠であると考えております。

 新規事業への取り組みは、綿密な市場調査・分析や、入念な事業計画を策定するなどを行っておりますが、予測と異なる状況が発生し計画通りに進まない場合には、当社グループの事業及び経営計画に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 法的規制

    [発生可能性:小、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

① デザイン事業に関する法的規制

 当社グループは、デザイン事業の実施にあたり、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下、「労働者派遣法」という。)」に基づく労働者派遣事業の許可を受けております。当社グループでは、規程の整備及び役職員への教育等を通じて関係諸法令を遵守するよう努めており、本書提出日現在において、当社グループが労働者派遣事業の許可取消し等の事由に該当する事実はないと認識しておりますが、仮に労働者派遣法に定める派遣元事業主としての取消し等の事由等に該当した場合には事業の継続に支障を来す恐れがあり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、労働者派遣法を始めとする関係諸法令は、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」など社会情勢及び経済環境の変化等に伴い改正されることがあります。今後改正が行われる場合に、改正内容が当社グループの事業にとって不利なものである場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(許可の状況について)

会社名

許可の名称

(許可番号)

監督官庁

有効期限

SOLIZE株式会社

労働者派遣事業

(派13-315070)

厚生労働省

2028年10月31日

 

(許可の取り消し等の事由)

 労働者派遣法において、労働者派遣事業を行おうとする者(法人である場合には、その役員を含む)が、法令違反等の許可の欠格事由(第6条)又は許可の取消事由(第14条)に該当した場合には、事業の全部又は一部の停止を命じることや許可の取消し等ができる旨が規定されております。

 このほか、当社グループが実施している請負についても、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)に準拠する必要があります。これについても労働者派遣法と同様の方法でその遵守に努めており、本書提出日現在において、当該基準に抵触する事実はないと認識しておりますが、仮に当社グループが請負で受託した取引が実質的に労働者派遣とみなされ労働者派遣法に違反するような場合は、業務停止等の行政処分により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② その他の法的規制

 その他にも、当社グループがマニュファクチュアリング事業で使用している各工場において消防法及び関連法令の適用を受けている他、日本国内のみならず、事業活動を行う世界各国において様々な法的規制を受ける場合があります。当社グループでは、「グループコンプライアンス規程」を制定しグループ内へ周知徹底するとともに、グループ内での定期的なコンプライアンス研修の実施、法務担当部門における法的規制の改正の確認及び顧問弁護士との連携等の各種施策を講じることにより、法的規制に抵触するリスクを低減するよう努めております。しかしながら、当社グループが何らかの理由で法的規制を遵守できなかった場合や法的規制に重要な変更が発生した場合等には、当社グループの事業の推進に障害が発生したり、対応のためのコストが発生したりすることが考えられ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 個人情報等の管理

    [発生可能性:小、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループは、「個人情報の保護に関する法律」で規定する個人情報取扱事業者として同法の適用を受けており、事業を通じて顧客及び従業員等の個人情報を保有しております。当社グループでは個人情報の管理について、「個人情報保護規程」等による厳格なルールを設けて対応しておりますが、万一個人情報の漏洩等が発生した場合にはその対応のための費用が発生し、さらには当社グループの信用にも影響が出ることが想定されるため、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 情報セキュリティ

    [発生可能性:中、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループでは、顧客企業の機密情報を大量に取り扱っております。そのため、機密情報の取り扱い等の情報セキュリティに関する規程を整備・運用し、毎年役職員への情報セキュリティの研修も実施しております。さらに、ネットワークセキュリティ等のハード面でのセキュリティ強化や、事務所や施設へのアクセス制限等の管理も行っており、機密情報の漏えいに対する対策を講じております。
 このような対策にも関わらず、機密情報の外部への漏えい等が起こった場合には、顧客企業から当社グループへの損害賠償請求等が発生することが想定され、その場合は当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

3. その他について

(1) 過去の民事再生手続について

    [過去の発生事実のため、発生可能性・影響度・発生する可能性のある時期については省略]

 当社は過去に民事再生法の適用を受けております。その経緯は以下のとおりです。

 

① 民事再生手続開始申立から民事再生手続終結までの経過

 当社における民事再生手続開始の申立てから民事再生手続終結に至るまでの経緯は以下のとおりです。

2009年2月25日

東京地方裁判所へ民事再生法に基づく民事再生手続開始の申立て

2009年3月4日

東京地方裁判所の再生手続開始決定

2009年10月2日

東京地方裁判所へ再生計画案を提出

2009年11月10日

東京地方裁判所の再生計画認可決定確定

2012年11月12日

東京地方裁判所の民事再生手続終結決定を受領

 

② 民事再生手続に至った経過と原因

 当社は1990年の設立以来、3D CADを基軸とした金型の設計・試作・製造や製造工程の効率化を実現するコンサルティングサービスを事業として運営しておりました。しかし、2008年に発生した世界金融危機を契機に、当社の主要顧客が属する自動車業界の景況も悪化したため、2008年12月期の当社の売上高は大幅に落ち込むこととなり、この状況は2009年に入っても改善傾向が見られませんでした。これに加え、将来的な事業規模の拡大を企図して建設した工場にかかる有利子負債の元利金負担及び本社ビルの賃借料負担が大きく、資金繰りが逼迫する事態となりました。当該状況を改善すべく、営業戦略の見直し及び経費削減に着手しようとしましたが、資金繰りが立ち行かなくなったため、やむを得ず2009年2月25日に東京地方裁判所へ民事再生手続開始の申立てを行うに至りました。
 再生手続にあたっては、本社ビルの移転、工場の売却、人件費の削減及びその他の経費の削減を実施したほか、経営責任を問う趣旨で民事再生手続開始申立て前に在籍していた取締役がすべて退任し、株主責任を明確化する趣旨で100%減資も実施しております。

 

(2) 一般財団法人SOLIZE財団との関係

    [発生可能性:小、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 一般財団法人SOLIZE財団(以下、「同財団」という。)は、人の知恵と技術を活かして社会課題を解決することを目的に、社会課題の解決を志向する個人又は団体への活動資金の助成、学術的研究に対する助成等を行う財団として2022年4月に設立され、本書提出日現在、当社株式16,600株を保有しております。今後、同財団は当社株式から得られる配当金、当社からの寄付金及び一般からの寄付金を主な原資として運営する予定となっています。同財団が保有する当社株式数については、助成金の対象範囲を拡大するための原資の確保の趣旨から将来的に増加する可能性がありますが、本書提出日現在において具体的に決定している事項はありません。

同財団の理事は5名選任されていますが、そのうち3名は当社の役職員が兼職により同財団の理事として就任しております。当社としましては、同財団の議決権行使に係る独立性の確保のため、当社株式の議決権行使に係る理事会決議に当社役職員を兼職する理事は参加しない方針としております。また、同財団は公益財団法人への移行も視野に入れており、その移行のための認定の基準を充足する観点から、当社の役職員又はその関係者ではない者を同財団の理事に追加で招聘する可能性があります。

このほか、本書提出日時点で同財団は当社の関連当事者に該当しております。当社は、関連当事者との取引については、取引の必要性を含め一般株主の利益保護の観点から極めて慎重に判断する方針です。この点、同財団の事務局を当社の職員1名が兼職することにより対応しておりますが、これは「知恵と技術をエンジニアリングし、価値創造を革新する」、「『本質的に美しいものづくり』を実現する」という使命を掲げる当社が同財団の活動方針に賛同し、CSR活動の一環として行っているものであり、当面の間継続して実施する方針です。これ以外に、当社と同財団との間で特別な利害関係はありません。

 

(3) 訴訟

    [発生可能性:小、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 本書提出日現在、当社グループの業績に重要な影響を及ぼすような訴訟を提起されている事実はありません。一方で、事業を推進するうえでは訴訟が発生する可能性が日常的に存在します。さらに、当社グループの場合は海外でも事業を展開しているため、海外においても予期しない訴訟が発生する可能性もあります。
 当社グループでは、「グループコンプライアンス規程」及び「グループリスク管理規程」の制定、コンプライアンス委員会及びリスク管理委員会の設置並びに社内教育による法令遵守の周知徹底等、多様な手段を講じ可能な限り訴訟を受ける可能性を排除するための内部管理体制を整備しております。しかしながら、何らかの訴訟を受けた場合、その内容及び結果によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 災害等が発生した場合の影響
    [発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループは、国内外で事業を展開しており、大地震、台風等の自然災害や事故、火災等により、生産の停止、設備の損壊や電力供給不足等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの事業活動に支障が発生する可能性があります。また、当社グループの責に帰すべき事故等が発生した場合には、損害賠償請求等を受ける可能性があります。このような場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 社会保険料率の上昇

    [発生可能性:中、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社グループのデザイン事業においては、エンジニアが経営資源の中心となるため、売上原価の大半が労務費で構成されております。このため、社会保険料の料率が上昇した場合は売上原価率の増加につながる恐れがあります。
 当社グループとしては、稼働率の適時な見直し、業務の効率化及び単価の改定等により影響を最小限に抑制する方針ではあるものの、料率変更が想定以上に大きくなった場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 大株主について

    [発生可能性:低、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社の株主である古河未由紀氏、古河摩耶氏、古河慶純氏、古河陽純氏及び古河真季氏は、当社の元取締役である古河建規氏の親族であり、古河建規氏の逝去に伴いその所有していた当社株式を相続により取得しており、本書提出日現在の議決権比率は合計で30.1%となっております。これらの株主と当社との間には特記すべき利害関係がない状況ですが、これらの株主が所有する当社株式について、少なくとも当社が知り得る限りにおいて短期的にはその数が増減するような事象は識別されておらず、またその議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求する方針であると聞き及んでおります。しかしながら、将来的に何らかの事情によりこれらの株主の所有株式数が増減した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響が及ぶ可能性があります。

 

(7) 資本政策について

    [発生可能性:低、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、本書提出日現在、自己株式を805,600株(発行済株式総数に対して13.4%)保有しております。自己株式については、主に現在発行済みの新株予約権(目的となる株式の数は合計555,600株であり、本書提出日現在の発行済株式総数の9.3%に相当)の行使がなされた場合に、新株の発行に代えて交付することを予定しております。ただし、今後何らかの事情により資本政策を変更する可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べて623百万円減少し、13,045百万円となりました。自己株式の取得等により現金及び預金が1,078百万円減少、減価償却により無形固定資産が70百万円減少した一方、取引高の拡大により売掛金が564百万円増加したこと等が主な要因となっております。

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末に比べて31百万円増加し、3,376百万円となりました。賞与引当金が116百万円増加、取引量の増加により買掛金が56百万円増加、未払費用が48百万円増加した一方、未払法人税等が187百万円減少したこと等が主な要因となっております。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は前連結会計年度末に比べて654百万円減少し、9,669百万円となりました。自己株式が1,122百万円増加した一方、利益剰余金が410百万円増加、円安の進行により為替換算調整勘定が57百万円増加したことが主な要因となっております。

 

②経営成績の状況

 当社グループを取巻く経済環境は、中国経済の動向に対する警戒感から景況感がやや悪化する局面もありましたが、当社グループの主要顧客の属する自動車産業においては、円安の進行や半導体不足等の供給制約の緩和等の影響により、総じて景況感が改善することとなりました。このような状況の中、当社グループはエンジニアやコンサルタントを増員した他、最新型の光造形機を導入する等の設備増強を行い、デザイン事業、及び、マニュファクチュアリング事業の両セグメントにおいて収益を拡大した一方、管理体制強化に係るリソースも増強させて参りました。これらの結果、当社グループの売上高は前連結会計年度より12.6%増加し20,081百万円、営業利益は30.3%増加し885百万円、経常利益は23.3%増加し876百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は2.4%増加し580百万円となりました。

(デザイン事業)

 デザイン事業の市場は、自動車産業の顧客を中心に前連結会計年度に引き続き需要環境が改善して参りました。このような環境の中、自動車を中心とした輸送用機器の設計開発部門に対するエンジニア派遣、及び、自動車設計に関する業務の受託、自動車OEMや車載機器開発企業等に対するサイバーセキュリティサービスの提供等を拡大して参りました。また、変革コンサルティングの分野においては、AIサービスの製品開発を促進し、自動車産業に加えて建設業、プラント、物流業の分野等においても受注を拡大して参りました。

 これらの結果、デザイン事業の売上高は前連結会計年度より12.4%増加し16,154百万円、セグメント利益は27.8%増加し998百万円となりました。

(マニュファクチュアリング事業)

 マニュファクチュアリング事業の市場における需要環境は、前連結会計年度から概ね横ばいの環境となりました。このような環境の中、当社グループは、機械メーカー等に対して3Dプリンター装置の販売を促進、また、機械メーカーや自動車関連企業を中心とした当社グループの既存顧客基盤に対する3Dプリンターを利用した試作サービスを提供して参りました。装置販売を中心に収益を拡大させることができましたが、一方で体制強化に係る管理費用の負担を増加させて参りました。

 これらの結果、マニュファクチュアリング事業の売上高は前連結会計年度より13.7%増加し3,927百万円、セグメント損失は112百万円となりました。前連結会計年度のセグメント損失は101百万円でありました。

(グループ全体)

 補助金収入の減少等により営業外収益は36百万円減少し20百万円となりました。また、上場関連費用、及び、投資事業組合運用損の増加等により営業外費用は4百万円増加し30百万円となりました。当社グループのコーポレートベンチャーキャピタル投資先の有価証券に係る投資有価証券評価損を計上したことにより、特別損失は54百万円増加し74百万円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は6,179百万円となり、前連結会計年度末と比較し1,101百万円の減少となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と増減の要因は次のとおりであります。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、488百万円の収入となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益802百万円、減価償却費193百万円等、主な減少要因は、売上債権及び契約資産の増加額474百万円、法人税等の支払額361百万円等となっております。前連結会計年度との比較では、営業活動によるキャッシュ・フローは378百万円減少しました。法人税等の支払額の増加により428百万円減少、賞与引当金の増加額が370百万円減少した一方、税金等調整前当期純利益が101百万円増加したこと等が主な要因となっております。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、275百万円の支出となりました。主な支出の内訳は、コーポレートベンチャーキャピタル等への出資による投資有価証券の取得による支出137百万円、3Dプリンター等有形固定資産の取得による支出107百万円等となっております。前連結会計年度との比較では、投資活動によるキャッシュ・フローは132百万円の支出減少となりました。投資有価証券の取得による支出が62百万円減少、有形固定資産の取得による支出が49百万円減少したこと等が主な要因となっております。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、1,339百万円の支出となりました。主な支出の内訳は、自己株式の取得による支出が1,122百万円、配当金の支払額が170百万円等となっております。前連結会計年度との比較では、上記の項目の増加により、財務活動によるキャッシュ・フローは1,209百万円の支出増加となりました。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

マニュファクチュアリング事業

2,217

105.5

 (注)1.金額は製造原価によっております。

2.セグメント間取引については、相殺消去しております。

3.デザイン事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

デザイン事業

16,218

111.0

780

111.2

マニュファクチュアリング事業

3,956

113.2

97

142.2

合計

20,174

111.4

878

114.0

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

デザイン事業

16,154

112.4

マニュファクチュアリング事業

3,927

113.7

合計

20,081

112.6

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

本田技研工業株式会社

4,169

23.4

5,117

25.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態)

 当連結会計年度末の流動比率は345.6%となり引続き高い流動性を維持し、固定比率は21.9%となり安全性を維持しております。短期及び長期の借入債務はありません。

 

(経営成績)

 当社グループの主要顧客の属する自動車産業は、引き続き自動運転や新規技術による自動車の設計開発に関する技術について激しい競争環境におかれ、各社先行的に研究開発や新規技術の開発を促進している状況にあります。当連結会計年度の事業環境は、中国経済の動向に対する警戒感から景況感がやや悪化する局面もありましたが、当社グループの主要顧客の属する自動車産業においては、円安の進行や半導体不足等の供給制約の緩和等の影響により、総じて景況感が改善することとなりました。このような環境において、当社グループはエンジニア、及び、コンサルタントの増員、3Dプリンターに関連する設備の増強を行い、国内のデザイン事業において収益を拡大させた他、3Dプリンターの販売拡大等によりマニュファクチュアリング事業の収益も拡大させて参りました。これらの結果、グループ全体として前連結会計年度に比べて増収、営業増益の結果となり、積極的な採用によりエンジニア数も順調に増加しております。

 また、当社グループは工業製品の設計開発の分野において、常に顧客よりも技術及び関連する知見について先行し、顧客サービスの品質向上とより広い顧客ニーズに応えるためのサービス分野の拡大を重要な戦略の一つとしております。そのため、このような技術及び知見の発展と蓄積、及び、実際にこれらを推進することのできるエンジニアやコンサルタントの人財開発を重点的に行い、将来のリターン獲得を目的として研究開発費以外に投資的費用497百万円を費用計上しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは、自動車産業を中心とする製造事業者に対して、当社グループエンジニアによる製品開発・設計の請負サービス、及びエンジニア派遣サービスを提供、また3Dプリンター等の造形設備を利用した試作モデル製造販売及び少量多品種製品の製造販売を行っております。そのため当社グループには、エンジニアやコンサルタント等人材への投資、製品の設計開発を行う専用ソフト等のツールへの投資、3D造形設備への投資、及びその原材料費の支払や人件費等運転資金に対して資金の需要があります。当連結会計年度においては外部からの借入等による資金調達の必要は無く、これらの資金需要に対して自己資本で賄っております。流動性について、当連結会計年度末において6,179百万円の現金及び現金同等物を保有し、当社グループの事業運営上十分な流動性を確保していると考えております。当連結会計年度末における自己資本比率は74.12%となっており今後も安全性の高い資本構成を継続する考えであります。2016年に実施したCSM Software Private Limited(現SOLIZE India Technologies Private Limited)及びCSM Software USA,LLC(現SOLIZE USA Corporation)の買収時のように、一時的にまとまった資金需要が発生し、資金の流動性が低下するリスクがあるため、借入等機動的な資金調達ができる体制の構築を進めて参ります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表[注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下の

とおりであります。

 

(固定資産の減損)

 当社グループは、継続的に収支の把握を行っている管理会計上の事業区分に基づき資産のグルーピングをし、減損の兆候の有無を判定しております。減損の兆候があった場合、将来キャッシュ・フローを見積り、減損の要否を判定しております。判定の結果、減損が必要と判断された資産については、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

 当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、繰延税金資産の回収可能性の判断をしております。将来の

課税所得に関する予測は、中期経営計画等をもとに行っているため、経営環境等の変化により、課税所得の見積りの変更が必要となった場合には、繰延税金資産の計上額が変動し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するため、当社グループでは売上高対前年増加率及び営業利益額を重視するとともに、売上高の大部分を占める構成要素である国内エンジニア数(含 コンサルタント)を客観的な指標としております。顧客ニーズに応えるため、提供するサービスのラインナップを拡充、グローバルにもサービス提供ができるキャパシティを確保することを目指し、売上高の成長率を重要な目標と考えております。また、当社グループサービスの本業による付加価値の拡大を目指し、営業利益の成長を重要な目標と考えております。
 当連結会計年度においては、売上高対前年増加率12.6%、営業利益は885百万円となりました。また、国内エンジニア数(含 コンサルタント)は1,283名(対前年比78名増加)となりました。推移は以下の通りです。

 

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

2023年12月期

国内エンジニア数(人)

1,060

1,101

1,205

1,283

 

 

5【経営上の重要な契約等】

代理店契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約名称

契約期間

主な契約内容

SOLIZE株式会社

(当社)

3D Systems Corporation

米国

代理店

契約

2016年1月1日

から自動更新(注)

米国3D Systems社製3Dプリンターの日本国内における装置販売及び保守に関する代理店契約

株式会社スリーディー・システムズ・ジャパン

日本

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約名称

契約期間

主な契約内容

SOLIZE株式会社

(当社)

株式会社日本HP

日本

代理店

契約

2019年4月1日から自動更新(注)

HP社製3Dプリンターの日本国内における装置販売に関する代理店契約

 (注) 当社又は相手先から契約解除の申し出がない限り、自動的に契約更新がされるものであります。

 

6【研究開発活動】

 自動車産業の技術環境が大きく変化する中、当社グループを持続的な成長へと導くことのできる人材の育成と技術の開発に早急に取り組むことを目的として、2018年4月にSOLIZEテクノロジーラボを設立しました。当連結会計年度においてSOLIZEテクノロジーラボでは本質的に美しいものづくりの実現に向けて、「ライフサイクルエンジニアリング」、「地域循環ものづくり」、「GHG排出量削減」に係る研究開発活動を促進して参りました。特に「地域循環ものづくり」の分野については、当連結会計年度より国立研究開発法人科学技術振興機構の地域共創分野において、当社グループの参画するプロジェクトが正式に採択され、リサイクル材を活用した製品の設計・評価手法の開発や工業用3Dプリンターの活用に取り組み等の促進を行って参りました。これらの結果、SOLIZEテクノロジーラボにおける当連結会計年度の研究開発費は65百万円となりました。

 デザイン事業においては、COS排出削減を目指す顧客向けにライフサイクルアセスメントを行うためのツール開発を進めて参りました。この結果、当連結会計年度のデザイン事業の研究開発費は9百万円となりました。

 マニュファクチュアリング事業においては、3Dプリンターによる製品製造について、その材料や形状、加工技術、及び、製造プロセス等に関する研究を継続して参りました。マニュファクチュアリング事業における当連結会計年度の研究開発費は138百万円となりました。

 以上の結果、当社グループ全体の研究開発費の金額は213百万円となりました。