第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは創業来「プロジェクト型社会の創出」をミッションに掲げております。「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおり、工業資本主義から情報資本主義に世界が転換しつつある中、我が国の主要産業においては、右肩上がりの経済や第2次産業を中心とした産業構造を前提とした、言われたことを速く・正確にこなす“タスク型”の働き方からの脱却が進まなかったことが、日本社会を停滞させる大きな問題であると捉えています。この認識に基づき、当社グループは、「タスク型」の社会を「プロジェクト型」に変革し、プロジェクトのミッションに基づいてプロフェッショナルが集まり、ミッションを実現していく社会像の実現を目指しています。

 

(2) 基本戦略

このミッションの実現に向けては、「次世代で活躍するプロフェッショナル人材の輩出」という人材育成の観点と、「日本企業を変革できる多様なソリューションの提供」という事業開発の両面でアプローチする戦略としています。

 


 

1点目の人材育成の観点では、下図に示す人材定義及びこれに紐づく行動指針“PHD Professional Ism”や評価体系を策定し、“Potential人材”の“PHD Professional人材”への育成を加速すべく、人事制度を抜本的に改革したほか、DXコンサルティング領域における人材育成に実績のある人材を招聘しエグゼクティブ・フェローとして登用するなどの取組を進めております。

 


 

2点目の事業開発の観点では、DXコンサルティングを通じて発掘した企業共通的な課題・ニーズに対して新規事業やM&Aなどにより積極的に事業化を検討していく方針です。一例として、デジタルマーケティング領域における戦略策定を中心とする事業を株式会社DCXforceの新設により、またシステム開発・テストフェーズにおけるエンジニア人材の派遣事業を株式会社プロジェクトテクノロジーズ、株式会社アルトワイズのM&Aにより、それぞれ事業化しております。


(3) 経営環境

当社グループは、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載したデジタルトランスフォーメーション(DX)市場において事業を営んでおります。本市場では、これまで戦略検討が多くの企業で進んできたものと認識していますが、足元で実行フェーズへの移行が本格化しており、多くの企業が具体的な取組を行っている一方、成果が出ている企業は少数に留まっている状況と捉えています。

そのような状況下、当社グループは上流の戦略検討から伴走するコンサルティング要素に、顧客企業の部門横断的に事業グロースを支援する事業開発の要素を掛け合わせた「コンサル×事業開発」人材を競争力の源泉とし、顧客企業の事業の現場に入り込んで事業グロースを支援するスタイルでサービスを提供しており、引き続き需要は活発であるものと考えております。


(4) 目標とする経営指標

当社グループは、収益の7割超を中核子会社である株式会社プロジェクトカンパニー及び株式会社DCXforceが手掛けるデジタルトランスフォーメーション事業を通じて得ております。当該事業は、コンサルタントの稼働を人月単位で提供するモデルを主とするため、従事する従業員数を経営上の主要な指標としております。当該事業においては、「第2 事業の状況 1 経営環境及び対処すべき課題等 (2) 基本戦略」に記載のとおり“Potential人材”を採用し、“PHD Professional人材”へ育成することで従業員数を拡大することを基本方針とするため、「新卒・中途社員の採用(入社)数」及び「育成を担うマネージャー人材数」を確保しつつ、離職率を抑制していくことが重要であると考えております。

 

(5) 会社の対処すべき課題

ここまでに記載した内容を踏まえ、当社の現状に照らして対処すべき主な課題は以下のとおりです。

 

① ポテンシャル人材の立ち上げとマネージャー人材の育成

当連結会計年度には、主力のデジタルトランスフォーメーション事業において、新卒社員を中心とする「ポテンシャル人材」の立ち上げと、プロジェクトのマネジメントや顧客折衝を担える「マネージャー人材」の育成が課題として顕在化しました。これを受け、人事評価制度を刷新したほか、育成をミッションとする組織を新たに組成し、効率的な人材育成の実現を図っております。

 

② 従業員の離職抑制

組織規模が拡大する中、育成を中心とする負担が一部の従業員に集中したことを主因に、当連結会計年度の中頃より離職率が漸増しておりました。さらに2023年9月に当社前代表取締役副社長が辞任しており、不祥事による代表取締役の辞任を招いた組織への不信感が完全には払拭しきれていないこと、同事象を主な理由とする離職がマネージャー人材を含め約15名発生したことにより、離職率が高止まりしている状況です。待遇改善を含め給与テーブルや社内制度を全面的に改定したほか、事業会社での人事マネージャー経験者を新たに採用し人事企画部門長に登用するなど、HR機能の強化により離職の抑制を進めてまいります。

 

③ 中期経営計画の推進

当社は2022年2月に中期業績目標"TARGET100"を公表しました。2023年12月期の業績及び足下の状況を踏まえ、"TARGET100"の達成ハードルが極めて高い状況となったため、これまでの業績目標を見直し、2024年2月に2024年度~2026年度の新たな中期経営計画を策定しております。今後、新たな中期経営計画における業績見通しの実現に向けて、人材育成や新たな事業の開発などの成長戦略を推進してまいります。

 

④ 内部管理体制の強化

当社グループは創業以来、継続的かつ急速な成長を遂げてまいりました。当連結会計年度には、新たに2社がM&Aでグループに参画したことなどにより連結子会社が増加、2024年1月には純粋持株会社体制に移行しております。今後も当社グループが継続的に成長し続けるためには、グループ全体の内部管理体制の強化、内部統制やコンプライアンスの徹底が不可欠な課題であると認識しており、持株会社である当社が中心となって体制構築に努めます。

 

⑤ ハラスメント対策及びコーポレート・ガバナンスの強化

2023年9月に、当社前代表取締役副社長が、役職員へのハラスメント行為及び暴力行為を起因として辞任しております。このような事態を受けて、ハラスメント行為の再発防止策の徹底及びガバナンス改善による経営陣への監督機能の強化が急務であると認識しております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。

 

(1) ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティに関する重要な事項についてそのリスクや機会をグループ経営会議にて討議し、リスクの低減及び機会の獲得に向けた方針や戦略を策定、推進しております。取締役会では、これらサステナビリティに関する取組について監督する責任と権限を有しております。現在、持続可能な社会の実現及び当社グループの中長期的な企業価値向上のため、重要課題(マテリアリティ)の特定等を検討しております。 

なお、当社グループのコーポレート・ガバナンス体制は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。サステナビリティへの取組についても、この体制の下で運営しております。

 

(2) 戦略

当社グループにおける、サステナビリティ及び人的資本に関する取組は以下のとおりです。

 

① 環境に関する方針

当社グループは気候変動による自社への直接的な影響は軽微であると考えております。しかしながら、気候変動によるステークホルダーを始めとした社会への影響は大きく、持続可能な社会を実現する上で、気候変動への対応は重要な課題であると認識しております。現在、当社グループが提供するコンサルティングサービスの中で一部、グリーントランスフォーメーション(GX)に関連するDX化を通じて、環境負荷低減への貢献を行っております。

当社グループでは、コア事業であるデジタルトランスフォーメーションを通じた顧客への支援により、環境負荷低減への貢献を図っております。今後、気候変動が当社グループの事業活動に与える影響について引き続き分析し、TCFDフレームワークに則った開示を検討してまいります。また、気候変動へのより直接的な取組として、グリーントランスフォーメーション(GX)を進めてまいります。

 

② 人的資本に関する方針

第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題」に記載のとおり、当社グループは「プロジェクト型社会の創出」をミッションとし、プロフェッショナル人材の輩出を通じた当該ミッションの実現を目指しております。そのような中、多様で優秀な人材を確保し、その人材が最大限の能力を発揮できる環境を整備したうえで、個々人が持つビジョンや目標に沿いつつ当社グループの競争力の源泉である「コンサル×事業開発」人材へ育成することは経営戦略の根幹であり、その認識のもと人的資本の拡充に向けた取組を重点的に進めております。

 

人材確保に関する方針

企業理念に共感し、プロジェクトを自ら推進していく意欲を持った人材を積極的に採用しております。様々なイノベーションを引き起こし新たな事業を立ち上げていくためにも、多様なバックグラウンドを持つ人材を採用することが重要であると考え、特定の属性を理由に優遇・排斥を行うことのない公正な採用基準・方針を設定しております。

 

 

社内環境整備に関する方針
(評価報酬制度)

企業理念(Mission・Vision・Values)及びこれに準じた行動規範“PHD Professional Ism”を言語化・体系化しており、その体現の観点(コンピテンシー)と、会社・事業の成長への貢献観点(MBO)の2観点から、年4回の評価・フィードバックを制度化しています。これにより、評価の不透明性を低減するとともに、昇給・賞与や表彰、新たなキャリアへのチャレンジ権といった報酬に対するモチベーションに沿って能力成長を実現できるような仕組みとしております。

 

(プロフェッショナルが働きやすい環境の構築)

“PHD Professional Ism”を体現するプロフェッショナルが働きやすい環境として、一例として以下の取組を行っております。

・勤務体系:

フレックスタイム制及び連続休暇制度の導入によるプロジェクト状況に応じた柔軟な稼働の実現

・オフィス:

グループ各社の従業員を1フロアに集約し、カフェスペースなどの共用部を新設することを通じ、社内コミュニケーションを活性化

・キャリア選択:

社内公募制度の導入や人事企画部門の新設による“Up or Move”の実現

・経営への意見反映:

従業員サーベイ・社長座談会などによる経営への意見反映機会の提供

 

 

人材育成に関する方針
(組織としての育成ケイパビリティ向上)

これまで主としてきたOJT (On the Job Training)による能力開発を継続しつつ、模擬プロジェクトによる入社時研修の導入や育成実績の豊富な人材のエグゼクティブ・フェローへの登用などにより、組織として人材育成の仕組み化を企図した取組を進めております。

 

(キャリア構築の支援)

人事企画部門を新設し、その長として大手事業会社における人事マネージャー経験者を登用することで、社員の成長・キャリア構築を支援する実効的な体制を整備しています。

 

③ ガバナンス強化に関する方針

当社グループでは、継続的に企業価値を向上させ、株主、取引先及び従業員等のステークホルダーに対して社会的な責任を遂行するためには、経営の健全性、効率性及び透明性が不可欠であると認識しており、内部統制の整備、運用及び継続的な見直しを通して、当社グループ役員及び従業員が全ての企業活動において社会倫理に適した行動をとることができるよう、コーポレート・ガバナンスのより一層の強化に向け努めてまいります。

 

(3) リスク管理

当社グループでは、人的資本・サステナビリティを始めとした事業展開上のリスクについて、グループ経営会議やリスク管理委員会にてモニタリングを行い、リスク低減に向けた対策方針を議論しております。特に重要な事項については適宜取締役会への報告・提言を行います。

 

 

(4) 指標及び目標

当社グループは、上述した人的資本の拡充について、人材確保・社内環境整備・人材育成の観点から以下の指標を用いております。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

期末従業員数
(デジタルトランスフォーメーション事業)

2026年12月期 223名 

103名 (注)1

新卒・中途採用数
(デジタルトランスフォーメーション事業)

2025年12月期  80名

2026年12月期  90名

74名

従業員離職率 (注)2
(デジタルトランスフォーメーション事業)

2026年12月期  15%

41%

期末マネージャー数 (注)3
(デジタルトランスフォーメーション事業)

2026年12月期  43名

19名

 

(注)1.当連結会計年度のデジタルトランスフォーメーション事業に従事する期末従業員数の値は、2023年12月末時点の従業員数118名から、同日付で退職した15名を除いた値を記載しております。

2.離職率は、各期末日までの1年間における退職者数を同期間の平均従業員数で除して算出しております。

3.マネージャー数とは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題」に記載した人材定義“PHD Professional Ism”における「Level 2」以上の人材数として集計しております。

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループは事業展開上のリスクになる可能性があると考えられる主な要因として、以下の記載事項を認識しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避と予防に取り組んでおります。

なお、文中に記載している将来に関する事項は、本報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき当社が判断したものであり、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1) 事業環境に関するリスク

・他社との競合、法的規制

当社グループが従事するDXについては歴史が浅く、参入企業が増加の途上にあると当社グループは認識しております。今後、当社サービスが十分な差別化を行えなかった場合や、更なる新規参入により競争が激化する場合には、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、現時点で当社グループの事業に重要な影響を与える法的規制はありませんが、目まぐるしく進展するデジタルトランスフォーメーション市場において、新たな法令等が制定される、あるいは既存法令が改正されるなどの場合には当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。当社グループとしては、サービス多角化によるポートフォリオの構築、成長分野への人員配置転換、顧問弁護士と連携した法令改正動向のモニタリング、及び必要に応じてサービス内容を再検討するなどの対応策を準備することにより、リスクの軽減を図っております。

 

・技術革新、仕様変更

デジタルトランスフォーメーション市場においては、急速な技術変化に伴い、顧客のニーズも日々変化をしています。当社グループでは絶え間ない技術革新に対応するため従業員による新技術・情報へのキャッチアップを行っていますが、新技術への対応が遅れた場合には当社グループの競争力が低下し、当社グループ業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。当社グループとしては、必要に応じて新たなテクノロジーを企業に導入する支援体制を構築するなどの対応策を準備することにより、リスクの軽減を図っております。

 

・季節変動

当社グループが支援をしている顧客は、予算消化が各顧客の主な決算期末に集中する傾向があります。このことから当社グループの業績は、各顧客の決算期末における予算消化の状況に影響を受けやすい傾向にあり、特に顧客の年度決算期末が集中する3月は影響が大きく、顧客の予算状況に応じて、業績変動が生じる可能性があります。対応策として、顧客予算の消化状況のヒアリング、過去受注実績からの予測などによって、可能な限り季節変動を織り込んだ受注計画を策定しております。

これまでのところ、顧客の年度末の予算状況に応じた追加受注で業績が上振れる傾向にあることから、業績悪化のリスクがすぐに顕在化する可能性は低いと認識しております。

 

(2) 事業内容に関するリスク

・品質悪化による善管注意義務違反の責任

当社グループでは各マネージャーにおいて各プロジェクトの品質管理を行っております。しかしながら当該品質管理が十分に機能しなかった場合には顧客から求められる水準に達せず、結果として善管注意義務違反の責任を追及される可能性があります。この場合には顧客との関係悪化、損害賠償請求等により当社グループの社会的信用及び業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、事業運営に際してパートナーや協力会社への業務委託が発生する場合がありますが、万が一委託先等に問題が生じた場合、同様に当社グループの社会的信用及び業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。

 

(3) 事業運営に関するリスク

・人材の確保、育成

当社グループが継続的に顧客に対して付加価値を提供し続けるためには、高い専門性や幅広い業界に精通した優秀な人材を確保し、適切に育成していくこと、さらには会社に定着させていくことが重要であります。今後の人材採用競争激化等により当社グループの採用基準を満たす人材を十分に確保できなかった場合、あるいは離職率が高止まりして更なる人材流出が生じてしまう場合には、デジタルトランスフォーメーション事業における従業員数やマネージャー数といった重要KPIが未達となること等により、当社グループの業績・財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、このようなリスクは顕在化する可能性があると認識しており、採用・育成・キャリア支援等を担うHR部門の機能強化、積極的な採用活動の推進、及び賃金上昇を含む給与テーブル・人事評価制度の改定等の施策を推進することで、リスクの軽減を図っております。

 

・特定の人物への依存

当社グループ創業者である土井悠之介は、代表取締役 社長執行役員CEOとして、経営戦略、事業戦略の決定において重要な役割を果たしております。当社グループでは組織体制の整備を進め、経営リスクを最小限に抑えていますが、依然として同氏の経営判断、営業力等に一定程度依存している傾向にあるため、このようなリスクが顕在化する可能性は低いものの、同氏が当社業務を継続することが困難となった場合には、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

・内部管理体制について

当社グループは創業来、事業運営・企業成長に必要な内部管理体制の整備を進めてまいりましたが、今後更なる拡大に対し継続的かつ十分な対応ができなかった場合には、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。

 

(4) コンプライアンスに関するリスク

・訴訟

当社グループは各種契約や法令、労働問題、知的財産権に関する問題等に関して、取引先・従業員等により提起される訴訟その他の法的手続の当事者となる可能性があります。当社グループが訴訟その他の法的手続の当事者となり、当社グループに対する敗訴判決が言い渡されるあるいは当社グループにとって不利な内容の和解がなされる場合には、当社グループの社会的信用及び業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。当社グループでは顧問弁護士と連携し法令改正動向をモニタリングする、あるいはリスク管理委員会にて事業運営上のリスクを洗い出すなど社内管理体制を構築しております。

 

・役員及び従業員の行動

当社グループにおいては当社グループ役員及び従業員に対して行動規範を定めるなど、コンプライアンスに対する意識醸成の徹底を図っておりますが、当社グループの役員及び従業員が万が一コンプライアンスに違反する行為を行った場合には、当社グループの社会的信用及び業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。

 

・情報漏洩

当社グループは「UIscopeサービス」におけるテストモニターの個人情報や、顧客の新サービスなどに関する機密情報等を保有しております。これらに対する外部からの不正アクセスや、社内管理における事務処理ミス、あるいは従業員による故意等による情報漏洩が発生した場合には、ブランドイメージ低下、損害賠償請求への対応等により、当社グループの社会的信用及び業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。個人情報の適正な管理を行うため、当社グループでは個人情報保護規程を定め、全社員への教育研修等を通して、個人情報の漏洩防止に努めております。また、プライバシーマークの取得を行い、個人情報保護についての管理水準の維持・向上を図っております。

当社グループとしては、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。

 

・システム停止、障害

当社グループはサービス提供の過程で、情報収集、分析、加工等のために情報システムやインターネット等を利用しております。自然災害、火災や停電、ハード故障、ウイルス感染やサイバー攻撃等によりシステム障害が発生した場合には、当社グループの業務が停止するとともに、重要データ逸失、ブランドイメージ低下等が発生し、当社グループの社会的信用及び業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、地震や台風等の自然災害自体についても当社グループの事業継続上のリスクとして認識し、災害復旧策を規定するなどの対応を行っております。

当社グループとしては、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。

 

(5) 財務状況に関するリスク

・投資有価証券の減損リスク

当社グループは純投資として非上場株式に投資をしております。非上場株式を取得する際は投資委員会において審議の上で投資金額に応じて代表取締役の決裁又は取締役会の決議に基づき投資をしておりますが、投資金額の算定にあたって超過収益力を見込んでいる場合があるため、投資決定後に投資先の事業計画に変更が生じる場合、投資した資金の回収の見通しが立たず、減損損失が生じる場合がございます。

このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。当社グループでは半期ごとの投資委員会での協議結果などを加味し、四半期ごとに非上場株式の帳簿価額の妥当性を評価しております。

 

・信用リスク

景気の悪化等により当社グループ顧客における貸倒が発生する可能性があります。創業来、当社グループは徹底した債権管理を行っておりますが、債権の貸倒が発生した場合には当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。

 

(6) M&Aにおけるのれん等の減損リスク

当社グループは、事業規模の拡大を目的として、M&Aを事業展開の選択肢の一つとしております。

M&Aによる事業展開においては、当社グループが当初想定したシナジーや事業拡大等の効果が得られない可能性があります。これらに加えて、子会社化後の業績悪化やのれんの償却又は減損等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、M&Aを行う際には、対象企業の財務内容や契約関係等について外部専門家の助言を含めたデューデリジェンスを実施すること等により、各種リスクの低減に努めております。また、M&A実施後には、グループ会社の業績等について常時管理する体制を構築しており、定期的に取締役会に報告しております。

 

(7) その他のリスク

・新株予約権の行使による株式価値希薄化

当社においては株主価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、従業員の業績向上に対する意欲・士気をより一層高めることを目的として、従業員に対して新株予約権を付与しております。2024年2月末時点における新株予約権による潜在株式数は94,250株であり、発行済み株式総数5,872,450株の1.6%に相当いたします。

これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。

 

・配当政策について

当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、財務体質の強化と事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながると考え、創業来配当は実施しておりません。

今後の配当政策の基本方針につきましては、企業価値の最大化のため、当面の間は収益力の強化や事業基盤の整備と同時に内部留保の充実を図る方針であります。将来的には、各会計年度の経営成績を勘案しながら株主に対する利益還元を検討していく方針ですが、現時点においては、配当実施の可能性、その実施時期等については未定であります。

 

・販売先に関するリスク

当連結会計年度の当社グループの売上高のうち、デジタルトランスフォーメーション事業の主要顧客である株式会社NTTデータグループ(株式会社NTTデータ、株式会社クニエ等)、SBIグループ(株式会社SBI証券、SBIリクイディティ・マーケット株式会社等)に対する売上高の占める割合は、それぞれ19.3%、13.0%となっております。各社の方針変更等により主要顧客に対する売上が大幅に減少した場合、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、大口顧客向け売上高の剥落リスクの顕在化が業績に与えるネガティブな影響を軽減するため、各社/各企業集団向けの売上額が全社売上高の一定割合を超えないように取引することを目安とし、新規顧客の開拓にも積極的に取り組むことで、特定顧客に依存しない売上構成となるよう留意しております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日時点において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は3,596,496千円となり、前連結会計年度末に比べ688,140千円増加となりました。これは主に、現金及び預金が552,018千円、受取手形及び売掛金が104,431千円増加したことによるものであります。固定資産は2,038,983千円となり、前連結会計年度末に比べ668,735千円増加となりました。これは主にのれんが476,769千円、敷金が164,618千円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は5,638,206千円となり、前連結会計年度末に比べ1,352,354千円増加となりました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は1,205,021千円となり、前連結会計年度末に比べ237,063千円増加となりました。これは主に、1年内に返済予定の長期借入金が323,681千円増加したことによるものであります。固定負債は1,780,652千円となり、前連結会計年度末に比べ1,268,561千円増加となりました。これは主に、長期借入金が1,289,778千円増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は2,985,673千円となり、前連結会計年度末に比べ1,505,625千円増加となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は2,652,532千円となり、前連結会計年度末に比べ153,270千円減少となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を587,853千円計上した一方、自己株式の取得等により756,970千円減少したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は46.9%(前連結会計年度末は65.1%)となりました。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度(2023年1月1日2023年12月31日)における我が国の経済情勢は、ウクライナ及びロシア情勢や原材料価格の上昇、円安の進行等により企業を取り巻く環境の先行きは不透明な状況が続いておりますが、各種政策の効果や個人消費の回復などにより緩やかに持ち直していくことが期待されております。このような状況下、日本企業は更なる付加価値の向上やビジネス機会の創出、生産性の向上、それらを実現するテクノロジーの活用などに積極的に取り組んでおり、デジタルを活用した事業戦略の策定や実行、改善といった「デジタルトランスフォーメーション(DX)」のニーズは今後さらに高まっていくものと推察されます。

そうした中、当社グループは様々な業界の主要企業に対し、新規事業の開発や既存業務の変革からデジタルマーケティング、UI/UXの改善まで一連のDX支援サービスを提供できる強みを持って、ソリューション横断での案件を多数受注し、コンサルタントによる顧客企業の事業推進を手掛けてまいりました。また、2022年4月より新たに「DX×HR事業」、2022年10月からは「DX×テクノロジー事業」を展開し、それぞれ人材採用・組織構築及びシステム開発の領域に支援サービス拡充しております。当連結会計年度には、産業医のマッチングサービスを主軸に企業の人事労務部門に豊富な顧客・案件ネットワークを保有する株式会社Dr.健康経営と、エンジニア派遣事業を営む株式会社アルトワイズがМ&Aにより当社グループに加わり、DX×HR事業・DX×テクノロジー事業の更なる強化を図ってまいりました。

 

なお、適時開示にて公表しております2023年9月8日付「代表取締役の異動(辞任)に関するお知らせ」及び同年9月13日付「代表取締役および取締役の異動(辞任)に関する経過報告」のとおり、当連結会計年度において当社共同創業者であり前代表取締役副社長グループCOOの伊藤翔太氏が辞任しており、既に前代表取締役副社長との業務上の関係は絶っております。前代表取締役副社長は主に投資・М&Aの領域を担当しておりましたため、今回の辞任による既存事業の顧客への大きな影響はありませんが、不祥事による代表者の辞任を招いた組織への不信感を主因とする従業員の離職が一定数発生したことが、短期的には業績の押し下げ要因として影響するものと考えております。

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は6,283,785千円(前年同期比44.4%増)、営業利益は857,537千円(前年同期比10.5%減)、経常利益は836,879千円(前年同期比11.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は587,853千円(前年同期比13.1%減)となりました。

各セグメントの経営成績は、以下のとおりです。

 

(デジタルトランスフォーメーション事業)

「デジタルトランスフォーメーション事業」においては、事業会社における新規事業開発や既存業務の変革などを支援する「コンサルティングサービス」、広告代理店と事業会社の間に立ち、デジタルマーケティングの全体戦略の策定や実行推進を支援する「マーケティングサービス」、自社モニターを活用したユーザーテストソリューション「UIscope」によるスマートフォンアプリやWebページのUI/UX評価を行う「UIscopeサービス」を提供しております。

過去の支援実績、業務品質を評価いただけている既存クライアントからの追加発注と同時に、新規クライアントの獲得にも成功している状況です。また、クライアントがDXの特定領域にのみ課題を抱えることは少ないと当社グループは認識しており、例えば入り口はUI/UXについてのご相談であっても、結果的に領域をまたがるDXの課題解決のためのより本質的な提案を行う余地があるケースも多いことから、新規クライアントについても領域横断での提案を行うことによって、顧客単価向上により一層の売上高を拡大させる余地があると判断しております。当社グループの提供サービスの性質上、一度受注すれば中長期的に継続支援させていただくことが多く、当連結会計年度の売上に占めるストック売上(6か月以上の連続受注を獲得したクライアントからの売上のうち、スポットの性質が強い広告出稿やユーザーテスト等を除いたもの)の比率は93.1%となりました。

他方、中長期的な事業成長にはコンサルタント数の拡大が主要なドライバーとなる認識を踏まえ、当連結会計年度には新卒社員を約40名採用(前年度は6名)し、その育成・立ち上げに取り組んでまいりました。第2四半期連結会計期間の時点では立ち上げ進捗が想定を下回ったことを主因に業績予想を下方修正いたしましたが、その後育成への注力施策が奏功し当連結会計年度末においては概ね想定どおりの育成状況となっております。

これらの結果、当連結会計年度の「デジタルトランスフォーメーション事業」におけるサービスごとの売上高は、コンサルティングサービスが3,944,385千円(前年同期比25.4%増)、マーケティングサービスが590,956千円(前年同期比20.2%減)、UIscopeサービスが87,941千円(前年同期比33.4%減)の計4,623,283千円(前年同期比15.0%増)となり、セグメント利益は1,601,979千円(前年同期比23.6%増)となりました。

 

(DX×テクノロジー事業)

「DX×テクノロジー事業」においては、IT企業などに対し、プログラミングスキルを有するエンジニア人材が顧客企業に常駐し、システム開発業務やソフトウエアテスト業務を提供する「テクノロジーサービス」を提供しております。顧客企業のエンジニア人材に対するニーズは引き続き強いと認識しておりますが、一部短期案件の終了やМ&A後のPMIの過程における離職の発生等を要因として当事業の売上高は減少傾向にて推移しました。一方、デジタルトランスフォーメーション事業と連携した商流の上位化などによる高収益案件が増加しており、利益率は向上しております。

この結果、当連結会計年度の「DX×テクノロジー事業」における売上高は、1,204,012千円(前年同期比472.0%増)となり、セグメント利益は42,999千円(前年同期比620.9%増)となりました。なお、当連結会計年度に株式会社アルトワイズを株式取得により連結子会社化したため、第2四半期連結会計期間より連結の範囲に含めております。

 

 

(DX×HR事業)

「DX×HR事業」においては、テクノロジー領域を中心として、クライアントのニーズに応じた採用代行や人事評価制度コンサルティングなどの「HRソリューションサービス」及び、産業医のマッチングサービスを主軸に企業の健康経営を支援する「ヘルスケアサービス」を提供しております。テクノロジー領域の企業の人材採用等の動きは引き続き活発であること、ストレスチェック制度の義務化や働き方改革関連法の施行といった法整備などを受け、当社グループの提供するHRソリューションサービス及びヘルスケアサービスに対するニーズは強く、当事業の売上高は成長を維持している状況です。

この結果、当連結会計年度の「DX×HR事業」におけるサービスごとの売上高は、HRソリューションサービスが366,672千円(前年同期比199.0%増)、ヘルスケアサービスが89,816千円(前年同期は連結開始前)の計456,489千円(前年同期比272.2%増)となり、セグメント利益は103,995千円(前年同期比181.8%増)となりました。なお、当連結会計年度に株式会社Dr.健康経営を株式取得により連結子会社化したため、第2四半期連結会計期間より連結の範囲に含めております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ552,018千円増加し、2,772,342千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は452,530千円(前期は782,657千円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上による835,411千円の増加要因と法人税等の支払額514,356千円の減少要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は706,682千円(前期は1,218,189千円の減少)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出506,510千円、敷金の差入による支出229,530千円等の減少要因によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の増加は730,526千円(前期は407,808千円の増加)となりました。これは主に、長期借入れによる収入1,740,000千円の増加要因と自己株式の取得による支出833,950千円の減少要因によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績及び受注実績

当社グループの主たる事業においては、DXの推進支援を行っており、受注生産体制をとっていないため、生産実績及び受注実績の記載を省略しております。

 

 

ロ.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

デジタルトランスフォーメーション事業

4,623,283

15.0

DX×テクノロジー事業

1,204,012

472.0

DX×HR事業

456,489

272.2

合計

6,283,785

44.4

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額

(千円)

割合

(%)

金額

(千円)

割合

(%)

株式会社NTTデータ グループ

802,390

18.4

1,258,590

19.3

SBIホールディングス株式会社

グループ

500,536

11.5

851,305

13.0

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の報告額並びに開示に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。経営者は、これらの見積り及び過程について過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

当連結会計年度において、売上高は6,283,785千円となり、前連結会計年度に比べ1,931,366千円増加(前年同期比44.4%増)となりました。顧客のDXを幅広く一気通貫で支援することのできる強みをもとに、ソリューション横断でのDX案件の受注が寄与し、安定的な売上拡大を実現しております。

 

(営業利益)

当連結会計年度において、販売費及び一般管理費は1,556,642千円となり、前連結会計年度に比べ672,888千円増加(前年同期比76.1%増)となりました。組織拡大を意図しての人員拡大・体制構築に関する費用及びオフィス移転に伴う地代家賃が増加しております。

この結果、営業利益は857,537千円となり、前連結会計年度に比べ100,695千円減少(前年同期比10.5%減)となりました。

 

 

(経常利益)

当連結会計年度において、営業外収益が4,396千円、営業外費用を25,055千円計上いたしました。

この結果、経常利益は836,879千円となり、前連結会計年度に比べ111,848千円減少(前年同期比11.8%減)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度において、特別利益が2,935千円、特別損失が4,403千円、法人税等合計を247,557千円計上いたしました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は587,853千円となり、前連結会計年度に比べ88,956千円減少(前年同期比13.1%減)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの分析

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループは、持続的な成長のために従業員等の採用に係る費用、人件費等の販売費及び一般管理費等の営業費用への資金需要があります。

当社グループの運転資金及び設備資金等の財源については、自己資金及び金融機関からの借入れによって賄っております。当連結会計年度末における現金及び預金は2,772,342千円であり、十分な流動性を確保しております。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

客観的な経営指標として、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 目標とする経営指標」に記載のとおり、中核事業であるデジタルトランスフォーメーション事業に従事する従業員数、及びその先行指標として「新卒・中途社員の採用(入社)数」及び「育成を担うマネージャー人材数」、及び「離職率」を重視しております。

 

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑦ 経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(取得による企業結合)

(1) 株式会社Dr.健康経営

当社は、2023年2月14日開催の取締役会において、株式会社Dr.健康経営の株式を取得し、子会社化することについて決議いたしました。当該決議に基づき、2023年2月14日付で株式譲渡契約を締結し、2023年4月3日付で当該株式を取得いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

(2) 株式会社アルトワイズ

当社は、2023年3月28日開催の取締役会において、株式会社アルトワイズの株式を取得し、子会社化することについて決議いたしました。当該決議に基づき、2023年3月28日付で株式譲渡契約を締結し、2023年4月3日付で当該株式を取得いたしました。 

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

(多額な資金の借入れ)

(1) 当社は、2023年3月20日開催の取締役会にて、株式会社Dr.健康経営の株式取得資金として以下のとおり資金の借入れを決議いたしました。当該決議に基づき、2023年4月3日付で資金の借入れを実行いたしました。

借入先

株式会社みずほ銀行

借入金額

500,000千円

借入実行日

2023年4月3日

借入期間

7年(元金均等返済)

利率

変動金利

担保の有無

 

 

(2) 当社は、2023年4月24日開催の取締役会にて、株式会社アルトワイズの株式取得資金として以下のとおり資金の借入れを決議いたしました。当該決議に基づき、2023年4月28日付で資金の借入れを実行いたしました。

借入先

株式会社三井住友銀行

借入金額

220,000千円

借入実行日

2023年4月28日

借入期間

7年(元金均等返済)

利率

変動金利

担保の有無

 

 

(3) 当社は、2023年11月14日開催の取締役会にて、自己株式の取得のため以下のとおり資金の借入れを決議いたしました。当該決議に基づき、2023年11月15日付で資金の借入れを実行いたしました。

借入先

株式会社SBI新生銀行

借入金額

800,000千円

借入実行日

2023年11月15日

借入期間

3年(元金均等返済)

利率

変動金利

担保の有無

当社株式

 

 

(連結子会社の吸収合併)

当社は、2023年5月15日開催の取締役会において、以下のとおり、当社の完全子会社である株式会社プロジェクトパートナーズを吸収合併することについて決議いたしました。当該決議に基づき、2023年7月1日付で当該会社を吸収合併いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

(持株会社体制への移行に伴う会社分割)

当社は、2023年8月14日開催の取締役会において、会社分割の方式により持株会社体制へ移行するため、2024年1月1日を効力発生日として、当社の100%子会社である株式会社プロジェクトカンパニー準備会社との吸収分割契約を締結することを決議いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

(資本業務提携に向けた検討の開始及び主要株主の異動)

当社は、SBIホールディングス株式会社(東京都港区、資本金139,272百万円、代表取締役会長兼社長 北尾 吉孝、以下「SBIホールディングス」)との間で、資本業務提携に向けた検討を開始することを決定し、2023年9月21日付で基本合意書を締結いたしました。また、基本合意書の締結を踏まえSBIグループが当社株式を追加取得したことにより、2023年9月21日付で当社の主要株主に異動がありました。 

 

(1) 資本業務提携の経緯と目的

SBIホールディングスとは、これまでも株式会社SBIネオモバイル証券のサービス立ち上げや大阪デジタルエクスチェンジ株式会社における株式PTS市場の立ち上げなどのプロジェクトにおいて、ビジネスならびにシステムの検討・推進などの業務支援を通じ協業してまいりました。また2022年11月18日には、Web3領域における事業開発支援を目的に、合弁でSBIデジタルハブ株式会社も設立しております。今後、株式会社SBI証券が2023年9月30日から開始する国内株式の売買手数料無料化や2024年1月からの新NISAの開始などを背景に、さらに拡大する顧客基盤に対応した各種サービスの強化やより良い顧客サービスの提供を図るなど、SBIホールディングスとの業務連携をより密にすることを目的として、資本業務提携に向けた検討を開始することとなりました。

 

(2) 資本業務提携先の会社概要

名称

SBIホールディングス株式会社

所在地

東京都港区六本木1丁目6番1号

代表者の役職・氏名

代表取締役会長兼社長 北尾 吉孝

事業内容

株式等の保有を通じた企業グループの統括・運営等

資本金

139,272百万円(2023年3月31日時点)

決算期

3月

 

 

(3) 主要株主の異動について

当社は2023年9月21日、SBIホールディングスより、同社の保有する当社株式が当社発行済株式の10%を超えた旨の連絡を受けたことにより、主要株主の異動を確認いたしました。SBIホールディングスは2023年8月21日に、当社株式の345,300株を上限とする取得を発表しておりましたが、上記のとおり資本業務提携に向けた検討の開始に関する基本合意書を締結することとしたことを踏まえ、追加で300,000株を上限とする取得枠を設定し、2023年9月21日より取得を開始したことに伴うものと認識しております。なお、SBIホールディングスが発表している取得枠の上限まで当社株式を取得した結果、同社の議決権保有比率は15.14%(注)となりました。

 

 

① 異動した株主の概要

名称

SBIホールディングス株式会社

所在地

東京都港区六本木1丁目6番1号

代表者の役職・氏名

代表取締役会長兼社長 北尾 吉孝

事業内容

株式等の保有を通じた企業グループの統括・運営等

資本金

139,272百万円(2023年3月31日時点)

決算期

3月

 

 

② 異動前後における当該株主の所有する議決権の数(所有株式数)及び総株主の議決権の数に対する割合)

 

議決権の数
(所有株式数)

総株主の議決権の数に対する割合

大株主

異動前
(2023年9月11日時点)

4,749個
(474,900個)

8.17%

第3位

異動後
(2023年10月2日時点)

8,803個
(880,300株)

15.14%

第3位

 

(注) 総株主の議決権の数に対する割合は、2023年10月10日にSBIホールディングスより公表された変更報告書に記載の数値であり、実際の数値とは異なる場合がございます。

 

(4) 今後の見通し

主要株主の異動による当社の経営体制に変更はなく、また当社の今期業績に与える影響は軽微と考えますが、今後公表すべき事項が生じた場合には速やかにお知らせいたします。

 

(資本業務提携契約の締結及びその他の関係会社の異動) 

当社は、SBIホールディングス及び株式会社Macbee Planet(東京都渋谷区、資本金2,340百万円、代表取締役社長 千葉 知裕、以下「Macbee社」)との間でそれぞれ資本業務提携契約(以下「本資本業務提携契約」)を締結しました。

また、本資本業務提携契約の締結にあたり、2023年11月15日にSBIホールディングスが当社前代表取締役副社長グループCOOである伊藤翔太氏から当社株式を取得することにより、2023年11月17日付で、以下のとおり、SBIホールディングスが当社の「その他の関係会社」となりました。

 

(1) 資本業務提携の経緯と目的

SBIホールディングスとは、これまでも株式会社SBIネオモバイル証券のサービス立ち上げや大阪デジタルエクスチェンジ株式会社における株式PTS市場の立ち上げなどのプロジェクトにおいて、ビジネスならびにシステムの検討・推進などの業務支援を通じ協業してまいりました。2022年11月18日には、Web3領域における事業開発支援を目的に、合弁でSBIデジタルハブ株式会社も設立しております。

また、Macbee社とは先述した株式会社SBIネオモバイル証券のプロモーション施策において協業するなど、双方のノウハウ・リソースを活用してマーケティング領域で事業を営んでまいりました。

 

(2) 資本業務提携の内容

SBIホールディングス及びMacbee社は、当社前代表取締役副社長グループCOOである伊藤翔太氏との間で、2023年11月15日付で株式譲渡契約を締結し、同契約に基づき同日付で、それぞれ当社株式600,000株(2023年9月30日時点の発行済株式数 5,829,395株に対する割合10.29%)、150,000株(同2.57%)を取得する予定です。

 

 

(3) 資本業務提携先の会社概要

① SBIホールディングス株式会社

名称

SBIホールディングス株式会社

所在地

東京都港区六本木1丁目6番1号

代表者の役職・氏名

代表取締役会長兼社長 北尾 吉孝

事業内容

株式等の保有を通じた企業グループの統括・運営等

資本金

139,272百万円(2023年3月31日時点)

決算期

3月

 

 

② 株式会社Macbee Planet

名称

株式会社Macbee Planet

所在地

東京都渋谷区渋谷三丁目11番11号

代表者の役職・氏名

代表取締役社長 千葉 知裕

事業内容

LTVマーケティング

資本金

2,631百万円(2023年7月31日時点)

決算期

4月

 

 

(4)今後の見通し

本資本業務提携契約の締結が当社の今期業績に与える影響は軽微と考えますが、今後公表すべき事項が生じた場合には速やかにお知らせいたします。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。