第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、社会の課題と向き合い持続可能な賃貸経営を追求することを“住む論理”と定義し、「住む論理の追求」をパーパスとして掲げ、主要な事業である賃貸経営代行事業を行っております。今後も「オーナーの資産価値の最大化」を実現すべく、新たなサービス、商品、事業を開発し、事業規模の拡大、さらには、企業価値の向上を目指してまいります。

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(2) 中長期的な経営戦略

 当社グループは、創業以来「オーナー資産の最大化」を経営におけるミッションとして位置づけ、その実現へ向け一括借上事業を中心に、事業活動に取り組んでまいりました。その結果、オーナーから運用を委託されている運用戸数は当連結会計年度末時点において110,206戸と、賃貸住宅業界において一定のポジションを確立できたものと考えています。

 そして、今後の持続的な企業価値向上に向けて、2030年末までに25万戸超を運用し賃貸住宅マーケットの一角に加わることをビジョンとし、その実現並びに2030年以降の更なる成長を<短期~中期><長期><2030年以降>の3つのフェーズに分けて考えています。

 

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<短期~中期 (2021年~2025年)>

 新型コロナウイルス感染拡大の影響は、ワクチン接種の普及やウイルス変異による重症化リスクの減少等により、社会経済活動の更なる正常化が見込まれるものの、建材・資材価格高騰などの影響を受け、景気の先行きに関しては予断を許さぬ状況となっています。

 当社グループが安定的に運用戸数を増やし、持続的な成長を実現するために、リフォーム事業や法人需要の取込など賃貸経営に関するサービスを拡充することで、管理業務委託先であるパートナーや金融機関との連携強化に取り組んでまいります。また、販管費率を下げ、オーナーへ良い条件でのサブリースを提案できることは競争力強化に繋がることから、既存データベースをはじめとした基幹システムの全面刷新へ大きく舵を切りました。

 

 短期~中期は2021年~2025年を想定しており、この期間の取組みや数値目標に関しては中期経営計画「JPMC2025」において公表しております。数値目標に関しては「(3)目標とする経営指標」に記載のとおりです。

 

<長期 (2026年~2030年)>

 長期:収益構造の多様化に注力 2030年までに運用戸数25万戸

 

 運用戸数の拡大により16万戸超の巨大な経済圏の確立による収益構造の多様化を目指してまいります。具体的には下記のような取組みを目指していきたいと考えています。

 

・入居者向けサービスをサブスクリプション型のビジネスモデルにより提供

 16万戸超の巨大な家賃収納プラットフォームを活かし付帯商品をワンビリングで提供可能となる強みを活かし、様々な付帯サービスをサブスクリプションで提供することを考えております。付帯サービスとは入居者に対して快適な住生活サービスの提供、例えばコンシェルジュサービスを入口とし、家事代行サービス、配送サービスといったサービス提供が考えられます。

 

・賃貸住宅オーナーや業界へワンストップサービスを展開

 賃貸住宅オーナー、入居者、業界など巨大な経済圏を形成しており、さまざまなサービスの展開が考えられます。賃貸住宅オーナーに対しては賃貸住宅経営からのより一層の手離れを実現するサービス、例えば税務相談や法律相談、会計アウトソーシングといったサービスなどが考えられます。また、業界に対しては労働力不足の解消やその補完サービス、例えば契約書自動出力やコールセンターサービスなどの展開が考えられます。

 

 また、2030年までに運用戸数25万戸を実現し、賃貸住宅業界の主要プレイヤーの一角に加わることを当社のビジョンとしております。

 

<2030年以降>

 次なる成長時期と位置づけ、25万戸超の巨大な家賃収納プラットフォームやPropTech(※)によるビッグデータを活用した新たな事業領域への展開を目指していきたいと考えています。

 

※PropTech:Property Management Technologyの略。当社グループではAIとICTの融合により賃貸住宅業界の課題を解決する技術と定義しています。

 

(3) 目標とする経営指標

 当社グループでは運用戸数の増加による事業基盤の拡大、資本効率を重視しています。そのため「運用戸数」「新規申込戸数」「売上高」「ROE」「配当性向」の5つの指標を重要な経営指標としています。

「運用戸数」  :事業規模を示す指標。2025年までに16万戸、2030年までに25万戸を目標としています。

「新規申込戸数」:新たに運用を受託した戸数。運用戸数拡大へ向けての成長見通しを示す指標。

運用戸数の目標の達成に向け、2025年までの5カ年累計110,000戸、2030年までの5カ年累計154,000戸を目標としています。

「売上高」   :運用戸数拡大による安定収入の拡大を目指しております。2025年に770億円、2030年に1,110億円を目標としています。

「ROE」   :20%以上を目標水準としています。持続的に資本コストを上回ることが重要であると考えています。

「配当性向」  :40%以上を目標水準としています。

 

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(4) 経営環境

 賃貸住宅業界においては、新設住宅着工戸数(貸家)が3年ぶりに減少となりました(※)。賃貸マンションの供給過多に起因する空室率の高さが社会問題化する中で、これまでマーケットの成長を牽引してきた賃貸住宅メーカーによる建築に依拠したビジネスモデルの成長ポテンシャルは限定的であり、今後は既存の物件の収益性をいかに高めていくかという点が社会的なテーマになると考えております。

 また、労働人口の減少という社会問題が顕在化する中、新型コロナウイルス感染症拡大が収束した後には外国人労働者の受入れが加速していくことが予想されます。今後増加する外国人労働者へ住まいを提供することは、当社グループの収益性を高めるだけでなく、社会問題の解決へも寄与するものと考えており、当社グループはこのような社会情勢の変化を的確に捉え、新たな社会的価値を創出することで持続的な成長を実現していきたいと考えております。

 

※国土交通省が発表した建築着工統計調査報告によると、2023年の新設住宅着工戸数(貸家)は343,894戸と3年ぶりの減少となっている。

 

(5) 優先的に対応すべき事業上及び財務上の課題

 中期経営計画「JPMC2025」の4年目となる2024年12月期は、不安定な国際情勢を背景とした資源価格や原材料価格の高騰、円安基調の継続、物価上昇による個人消費の停滞など、景気の先行きについては依然として予断を許さない状況となっております。

 このような事業環境下において、当社グループは以下の事項を重要課題として捉え、その対応に引き続き取り組んでまいります。

 

①持続的な成長のための事業基盤の強化

 持続的な成長を継続していくためには、運用物件数の増加と幅広い借上ニーズへの対応により、ストックビジネスを極めていくことが最優先課題であります。これに対応するため、当社は2024年1月1日付で全社的な組織改編を行い、営業・マーケティング機能と、プロパティマネジメント機能にそれぞれ特化した社内カンパニー制を構築いたしました。これにより、従来分散していた戦力やノウハウを集中化し、シナジーを創出することにより、より機動的な営業スタイルに変革するとともに、きめの細かいプロパティマネジメントを展開することにより、物件オーナー様はもとより、入居者様そしてパートナー企業様の満足度を高め、各ステークホルダーに対してより多くの利益をもたらすことができるよう努めてまいります。

 

②効率性の追求

 当社は、業界の中でも一定の収益性の高さを実現できていると考えておりますが、さらに持続的な成長を遂げていくためには、効率性をさらに追求し、利益体質を強化していく必要があります。

 その実現のために準備しております基幹システムの一新については、本年度は本格的な開発フェーズを迎え、全社的な業務改革・効率化を目指して、2025年度からの稼働に向けて鋭意取り組んでまいります。また、本年度の組織改編によるグループ会社を含めたカンパニー制の導入により、主力事業である賃貸経営代行事業と、リフォーム、滞納保証、保険事業などの関連事業とのシナジーを最大化し、要員の効率化も図りながら、競争力のさらなる向上を目指してまいります。

 

③ESG経営の推進

 当社は、ESGのマテリアリティを特定し、それぞれを実現することで達成させるSDGsや気候変動への対応目標を設定し、その達成に向けて取り組みを進めております。その結果、2024年2月に国際的なNGO団体であるCDPによって公表された「気候変動レポート2023」において、平均を大きく上回る「B」評価を獲得することができました。今後も、既存物件をリフォーム・リニューアル・リノベーションした上で当社が借上げを行う「スーパーリユース」や「ふるさぽルネサンス」の各事業などについて積極的に事業展開を行ってまいります。

 また、過半数の社外取締役で構成される取締役会や、任意に設置している指名・報酬委員会の実効性をさらに高めるなど、コーポレートガバナンスの強化を実現するとともに、女性や外国人のマネージャ―職への積極的登用など、ダイバーシティ経営を推進し、企業価値向上に繋がるよう取り組みを進めてまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 以下の文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ経営について

 当社グループのパーパスである「住む論理の追求」とは、社会課題と向き合い、持続可能な賃貸経営を追求することを意味しております。スクラップ&ビルドを繰り返すのではなく、オーナーの所有する既存の物件をリユースすることがサステナビリティの実現に寄与するものと考えております。また、その前提として気候変動が引き起こす自然災害を最小限の被害にとどまらせることもサステナビリティの実現に向けて重要となってきます。

 当社グループは、2020年12月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の最終報告書(TCFD提言)に賛同しました。また、2022年10月、代表取締役社長執行役員を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、優先して取り組む重要課題(以下「マテリアリティ」という。)を特定しております。

 

当社グループのマテリアリティ

マテリアリティ

概要

主要な取り組み

関連するSDGs

リユースエコノミーの推進

持続可能な賃貸経営を実現することでリユースエコノミーを推進する

既存物件の借上げにより、不要な新築抑制。それによって、サステナビリティ実現、CO2排出の抑制に貢献

リニューアル、リフォーム、リノベーションにより入居者ニーズに合った住居を提供

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人口動態

中高年齢層の人口・世帯増による、賃貸住宅におけるニーズの変化に合わせた住居の提供を行う

高齢者向け住宅のサブリースの事業を強化し、高齢化社会へ対応

ミドルエイジの単身世帯向けニーズに適した住環境の提供

外国人労働者への住まい提供、家具家電のレンタルサービスなど

AIを活用した借上賃料の査定などにより、人口動態や地価を適時に把握し反映させる体制を整備し対応

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気候変動

リユースエコノミーの推進により脱炭素社会を目指すことに寄与する

既存物件の再生や、その後の持続可能な運用を行う「スーパーリユース」の促進

TCFDに対応した情報開示

保険事業では再保険を活用したリスクの分散や異常危険準備金の積み立てなど大規模損害に対し保険金の支払に備えた運用

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地方創生

地方における課題を住環境の整備により解決を目指す

適正賃料でありながら、クリーンかつ快適な住居を提供することでテナントリテンションを高める

社会課題である労働人口の減少に対して、外国人就労者へ快適な住環境を提供

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多様な人材の活躍

労働人口の減少によって引き起こされる社会課題を多様な個性をもった人財がその能力を発揮できる環境を提供し続けることで持続的な成長を目指す

女性人材が活躍できる体制の整備

人事制度の充実

各種資格取得支援、資格手当

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安心・安全・快適な住宅の提供

既存の躯体を活かしながら、安心・安全・快適な住宅を提供する

借上げ時及び、定期的な建物診断を無償で実施

欠陥が見つかった場合は、オーナーに共有した上で必要に合わせた修復工事(防水工事、外壁工事、雨漏り工事等)を行う

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ガバナンス

取締役会の実効性の向上や、株主や機関投資家や株主との積極的な対話の頻度を上げ、企業価値の向上を図ることで、すべてのステークホルダーの利益を循環的に拡大する

ガバナンス体制の強化

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① ガバナンス

 当社グループではサステナビリティ経営を推進するにあたり、グループCEOである代表取締役社長執行役員が委員長として中心となり「サステナビリティ委員会」において環境課題について協議し対応方針を明確にしたうえで全社グループへ共有を図っております。協議された内容等については適宜取締役会にて報告を行っております。

 

② 戦略

 当社グループでは気候変動に伴う様々なリスクと機会について、その重要性に応じて短期・中期・長期に分類して特定しております。(表A)リスクと機会の特定においてはIPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)などが発表している2100年までの世界平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えるための温室効果ガス排出量の削減目標とするシナリオと、現状の石油・石炭(資源)に依存した経済活動を継続し、気候変動に対して必要な施策や追加の対策が何も講じられない場合の4℃以上気温が上昇するシナリオをもとに、2050年度にネットゼロを目標としてScope1・2について温室効果ガス排出量ゼロを目指します。

 

 気候変動リスク・機会の特定と発現時期

気候関連

リスク・機会の種類

リスクの

発現時期

JPMCグループの

気候関連リスク・ 機会の概要

評価

リスク・機会への対応策

4℃

シナリオ

1.5℃(2度未満)

シナリオ

リスク

行リスク

政策規制

中・長期

気候変動規制への対応による事業コストの増加

カーボンプライシング、炭素税等の導入によるコストの増加

事業所や、当社関連物件における再生可能エネルギーの導入や創エネルギー設備の設置

技術・

市場

短~長期

再生可能エネルギーや脱炭素エネルギー等への対応による機器・設備の導入コストの増加

再生可能エネルギー(自然由来、バイオマス等)や省エネルギー、脱炭素エネルギー(水素等)の活用によるコストの増加

燃料代の高騰による営業活動に係る費用高騰

自社関連物件への設備の投資等、創エネルギーシステムの導入による再生可能エネルギーの自家消費 ・送電元の電力会社と、プランの見直し

情勢に合わせたハイブリッド車両から電気自動車への切り替え

評判

短・中期

環境課題に対する対応の遅れによるレピュテーションの低下

投資家からの環境情報開示要求への対応不備によるレピュテーションの低下

ステークホルダーからのレピュテーション低下による新規獲得件数の低下や、新規採用および従業員エンゲージメントへの悪影響

積極的な気候変動対策に対する進捗や目標の開示

物理リスク

急性

短・中期

気候変動に起因する自然災害による収益の減少

自然災害による被害に対する支払保険料の増加

当社所有物件への保険加入

慢性

中・長期

平均気温上昇に起因する熱中症等による死亡リスクの増加

高齢者向け住宅におけるZEH推進

断熱効果の高い断熱材や窓ガラスの採用

創エネルギーシステム・設備の導入

 

気候関連

リスク・機会の種類

リスクの

発現時期

JPMCグループの

気候関連リスク・ 機会の概要

評価

リスク・機会への対応策

4℃

シナリオ

1.5℃(2度未満)

シナリオ

機会

資源効率

短~長期

既存物件の借上げ促進による無駄な新築賃貸物件の建築抑制

間接的な温室効果ガス排出抑制

エネルギー源

短~長期

再生可能エネルギーの供給増によるコスト低下

創エネルギー機器の供給増によるコストの低下によるコスト低下

省エネ・熱効率の高いシステムの供給増

自社関連物件(特に高齢者向け住宅)において創エネルギーシステム・設備を用いることで、不慮の停電等に対応

熱効率の高い換気システムの導入

製品および

サービス、市場

中・長期

不要な新築を建てないことで既存物件のリユースを促進し、促進することで温室効果ガスの排出抑制に寄与

既存物件の再生需要の高まりによる、当社スーパーリユースのニーズの増加(※スーパーリユースとは、リニューアル・リフォーム・リノベーションにより既存物件の躯体を活かして再生し、快適な住居をリユースすること)

新築に拘らない世代の増加

高い空室率

リユース事業の需要が増加

リニューアル・リフォーム・リノベーション物件の入居率が上がる

 

③ リスク管理

 当社グループではリスクを全社的に管理することの重要性を認識しており、経営戦略と連動した、重大なリスクへ対応するための必要な措置を講じております。戦略的なリスクマネジメントを推進することで、結果としてリスク管理の強化につながり、グループの価値を高めることに寄与しているものと考えております。

 サステナビリティ委員会は、グループ全体のリスクとして認識されたマテリアリティについて、グループ全体の対応策を策定するとともに、リスクへの対応状況を適宜モニタリングしております。

 当社グループの気候関連のリスクと機会は、シナリオ分析により評価しています。気候変動に関するリスクは重大なリスクの一つと位置付けており、物理的リスク、法規制・市場等の移行リスクについて、公表されている報告書等をもとに影響度の評価を行っております。サステナビリティ委員会の検討・対応内容は、年に1回以上取締役会に報告しております。

 

④ 指標及び目標

2022年度を基準年としグループ全体で2030年度に50%削減、2050年度にカーボンゼロを目指します。

 

2022年度実績(基準年)

2023年度実績

2030年度目標

2050年度目標

排出量(tCO2)

排出量(tCO2)

2022年度比

Scope1

116.13

128.21

△50%(※)

ゼロ

Scope2

335.59

197.99

Scope3

4,826.35

6,503.34

 ※Scope1・2合わせた排出量の削減

 

 

(2) 人的資本に対する取り組み

① ガバナンス

 大きな有形の資産・設備を保有しない業態である当社にとって、最も重要な経営資源である人的資本を有効に活用し、かつ人材が長く安心して活躍できるようにすることは、経営にとって非常に重要な課題となります。当社は業務執行の審議・決定機関である執行役員会と、CxOをコアメンバーとして定期的に開催するプレジデント会議において、この課題を共有するとともに、施策の検討と決定を行っております。

 

② 戦略

 当社は「持続可能な賃貸経営を。」をスローガンとして、企業のパーパス(目的)である「住む論理の追求」、ミッションである「オーナー資産の最大化」を実現するべく経営努力を続けておりますが、その原動力は人材であることはいうまでもありません。人的資源が最大限のパフォーマンスを発揮していくためには、女性活用、外国人採用、キャリア採用といった狭義のダイバーシティに留まらず、多様な発想、能力をもった人材が集い、自社とステークホルダーの共生にむけて、活発な議論を交わす企業風土が必要不可欠となります。また、お互いを尊重し助け合うことで、活き活きと働ける組織を育むことが重要です。

 こうした考えをもとに、人材の育成及び社内環境整備に関する方針として、当社ではダイバーシティの推進、健康経営の推進、エンゲージメントの向上、マインドとスキルの向上をキーワードとして掲げ、人事戦略を遂行しています。

 ダイバーシティについては、労働人口の減少が続くと見込まれるなか、女性の活躍は企業の存続にとって不可欠であるという認識のもと、採用場面においても女性の採用を積極的に進めており、現在の当社の女性比率は47.4%となっております。施策としては、育児休業を挟んだ子育て世代の女性社員も多く活躍して頂けるよう、フレックスタイムやテレワークの活用、残業減少を狙いとしたIT環境の整備に取り組んでおります。加えて2024年度からは、女性社員が多く働く営業事務の職場においては、総合職への転換によるスーパーバイザーを任命していくことにより、女性管理職候補の育成を開始することも進めており、その延長線として女性管理職、女性役員の比率の向上に繋げていきたいと考えております。また、障害者雇用率は法定を上回る2.4%を達成しているほか、国内市場のみの事業展開でありながら、外国籍の社員も在籍しており、多様性に富んだ人材ポートフォリオを実現しています。

 健康経営に関しては、一定年齢以上の従業員に対しては、法の要請を超えた検診項目を提供する人間ドックの受診を可能にしているほか、カウンセラーの定期的な訪問によるカウンセリング機会の提供を行っており、心身の健康の維持・向上に向けた体制を整えております。加えて、広域営業体制をとっている当社にとって不可欠な自動車の運転については、安全性を確保するため、新入社員教育の中に運転講習を組み込むなどして、労働災害の防止にも配慮しております。こうした取り組みを通じて、2023年度においては、経済産業省による健康経営優良法人認定制度にて、「健康経営優良法人2023」に認定されております。

 エンゲージメント向上の面については、2023年度より、全社員に対して半年ごとにモチベーションサーベイを実施し、経営・事業・職場・上司という多角的な側面から現状のエンゲージメントスコアの把握を行うとともに、各側面に対する従業員の期待度と満足度のギャップ分析を綿密に行い、離職率減少に向けた経営課題の抽出と、対策案の検討を継続的に行っております。加えて、当社では「全社員の経営参加」を経営の三大基本方針のひとつとして掲げ、全員を対象として年俸の一部を株式報酬として支給することや、従業員持株会参加者に対しては、世間水準を大きく上回る50%の奨励金の拠出を行っており、自社の業績の向上に対する貢献と、従業員自身の資産価値との連動性を強調し、経営への参加意識の向上と、やり甲斐・働き甲斐の向上に繋げています。また、2024年度からは、間接部門の社員に対する目標管理制度の再構築により、評価の納得性の向上を図るとともに、目標へのチャレンジによる能力開発・人材育成や職場貢献意識を高める機会作りとしております。さらに、新入社員のエンゲージメント維持に向けてのメンター制度を導入することや、キャリア採用入社者のフォローの強化を図る取り組みを強化しております。このような多角的な取り組みを通じて、エンゲージメントスコアの向上に繋げていく所存です。

 マインドとスキルの向上に関しては、すでに制定されている「JPMCクレド」のさらなる定着に向けて、毎朝Web経由でクレドの一節を配信する「Todays クレド」の取り組みを行うなど、継続した浸透策の展開を行っております。教育面については、新入社員研修、入社2年目研修、年4回の中途採用者研修を、人事部門とアカデミー事業室とでカリキュラムを分担し、さらに外部研修機関も活用するなどして、推進しております。Web会議を活用して全国の従業員の参加によるセミナーや説明会、社内Web掲示板を活用した情報発信により、世間トップクラスの賃貸経営ソリューション企業の従業員に相応しい専門知識やスキルの浸透を図る取り組みも行っています。加えて、当社として必要な資格の取得プロセスを通じて専門知識を知得してもらうことを狙いとして、各種の資格取得の補助や、祝い金、資格手当の充実にも努めております。その結果、当社グループにおける主な資格の保有者は、宅地建物取引士95名、賃貸不動産経営管理士資格101名となっております。

 

 

③ リスク管理

 職場の安全衛生及び従業員の健康に関しては、人事部門による状況把握と個別対応、安全衛生委員会における課題の共有化に加え、定例の執行役員会において、私傷病による休職者、長時間労働者等のデータを月例で報告しており、過重労働の防止や健康維持施策が有効に機能しているかについて経営として把握を行っております。

 

④ 指標及び目標

 当社グループは、人的資本経営の強化に向けて、以下の目標を掲げ取り組んでまいります。

 

指 標

実 績(2023年度)

目 標

女性役員比率(執行役員含む)

15.4%

2030年度   30%

ストレスチェック受診率

90.0%

2024年度   100%

労働災害件数

 0 件

2024年度   0 件維持

エンゲージメントスコア

50.2

2025年度   60 以上

宅地建物取引士有資格者

 95名

2025年度  110名 以上

賃貸不動産経営管理士有資格者

101名

2025年度  130名 以上

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) マテリアリティ

マテリアリティ項目

①関連する機会とリスク

(〇機会 ●リスク)

②主要な取り組み

人口動態

〇●人口の減少や少子高齢化の進行などの人口動態の変化による空室リスク

〇労働人口の減少

●都市人口流入・地方過疎化

・高齢者向け住宅のサブリースの事業を強化し、高齢化社会へ対応

・ミドルエイジのニーズに適した住環境の提供

・家具家電のレンタルサービスなど外国人労働者への住まい提供

・AIを活用した借上賃料の査定などにより、人口動態や地価を適時に把握し反映させる体制を整備し対応

競合

●異業種などからの新規参入

・競合他社との差別化、サービスの向上

経済状況

〇●金融機関の融資姿勢の変化

●金利変動等による収益性見通し悪化に伴うオーナーの投資意欲の低下

・金融機関との提携強化

・オーナーの保有物件における利回りの向上、それを実現するためのリーシング力の強化

気候変動

〇既存物件の再生需要の高まりによる、当社スーパーリユースのニーズの増加

●気候変動規制への対応による事業コストの増加

●環境課題に対する対応の遅れによるレピュテーションの低下

●気候変動に起因する自然災害による収益の減少

・既存物件の再生からその後の持続可能な運用を行うスーパーリユースの促進

・TCFDに対応した情報開示

・保険事業では再保険を活用したリスクの分散や異常危険準備金の積み立てなど大規模損害に対し保険金の支払に備えた運用

税制改正

〇●不動産に関連する税制改正によるオーナーの投資意欲の変化

・税制改正に関する情報を適時に把握

・税制改正に対応した商品開発が可能な体制整備

パンデミック

●本部機能や営業活動の停止

〇●人の移動の制限に起因する空室リスク

・BCPの整備・訓練・運用

・物件ごとに人の移動の制限などの特殊な環境変化を勘案し、借上賃料の査定に反映

多様な人材の活躍

〇従業員の採用・育成による会社の成長

●人材確保競争の激化によるコスト増加

・女性人材が活躍できる体制の整備

・人事制度の充実

・各種資格取得支援、資格手当

運用物件の受託営業手法の多様化

〇●パートナーの営業方針の変更などによる一括借上への取組姿勢の変化

●パートナー企業の営業力及び競争力の低下

・パートナー企業に対するサポート並びに研修

・金融機関との連携強化により金融機関からの紹介による営業チャネルを強化

・WEBマーケティングを基盤とする新たな営業手法の開拓

適切な賃料査定

〇オーナーの満足度向上

●想定どおり入居が進まないことによる収益性悪化

・競合物件に勝る募集条件の設定

・運用開始後の定期的なモニタリング及び施策立案実行

システムトラブル

●災害や事故などによる通信ネットワークの遮断など

・BCPの整備・訓練・運用

・データをクラウド上に保存

品質管理

●建築基準法に適合しない物件の運用

・賃料査定時に建築基準法に適合している物件であることを確認の上、不適合であると判断した場合、運用を行わない

 

 

マテリアリティ項目

③対応するSDGsのゴール

④中計で掲げる戦略への影響

⑤影響の

大きさ

⑥発現の蓋然性、時期

⑦評価

⑧前年比較

人口動態

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地方過疎化が進むことによる地方都市の物件の収益化へのスピードの鈍化

極めて重要

競合

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競合の台頭による受託(新規申込)ペースの鈍化

重要

経済状況

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オーナーの投資意欲の減退による受託(新規申込)ペースの鈍化

注視

気候変動

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気候変動に起因する自然災害による収益の減少

注視

税制改正

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オーナーの投資意欲の減退による受託(新規申込)ペースの鈍化

注視

パンデミック

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営業活動の停止による受託(新規申込)ペースの鈍化

人の移動の制限に起因した入居スピード低下による収益化スピードの鈍化並びにROEの低下

注視

多様な人材の活躍

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人材が活躍できないことによる計画実行力の低下

極めて重要

運用物件の受託営業手法の多様化

 0102010_043.png

営業力の低下に伴う受託(新規申込)ペースの鈍化

重要

適切な賃料査定

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想定どおりの入居が進まないことによる収益性の低下によりROEが低下

極めて重要

システムトラブル

事業活動の停滞による計画実行力の低下

注視

品質管理

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問題が顕在化することによるブランドイメージの毀損。それに伴う営業力の低下による受託(新規申込)ペースの鈍化

注視

 

 

(2) 財務リスク

財務リスク

①関連する機会とリスク

(〇機会 ●リスク)

②主要な取り組み

減損

●保有不動産の時価の低下

・取締役会で取得価額の適切性を十分に審議

・取得後の事業状況やマクロ経済環境の定期的なモニタリング

資金調達

●金融機関の融資姿勢の変化等による借入の難化

●金利の上昇

・健全な収益及び財務状況の維持

・資金調達コストや手法の最適化の検討及び実施

・適時かつ適切な情報提供等による取引銀行との協力関係の維持

リース会計

●会計方針の変更により従来オペレーティングリースとして処理していた対象資産をオンバランスすることによる自己資本比率低下、リース資産減損など

・会計方針の適時の把握

信用リスク

●入居者の滞納増加

●パートナー企業の資金繰り悪化や倒産

・情報収集、与信、債権保全

・滞納保証事業においては二次保証の活用によりリスクを低減

 

財務リスク

③対応するSDGsのゴール

④中計で掲げる戦略への影響

⑤影響の

大きさ

⑥発現の蓋然性、時期

⑦評価

⑧前年比較

減損

ROE目標の未達

重要

資金調達

重要

リース会計

注視

信用リスク

注視

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、社会活動の正常化が進んだものの、不安定な国際情勢を背景とした資源価格や原材料価格の高騰、大幅な円安の進行、物価上昇による個人消費の停滞など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 このような状況のもと当社グループは、2021年からの5ヵ年を対象とする中期経営計画として策定した「JPMC2025」のもと、「コロナ禍における運用戸数の拡大」と「Back to normal における収益性改善」を基本戦略として事業を推進してまいりました。

 当社グループのコア事業であるプロパティマネジメント事業の収益向上に向けては、運用戸数の増加が不可欠となりますが、滞納保証事業や保険事業、リフォーム事業等を併せ持つ当社グループの強みが、1戸当たりの収益性をさらに高め、付加価値向上と成長の加速を実現させていくための原動力となります。

 そのための基盤作りとして、物件により得られるストック収益を拡大すべく、運用戸数の増加に重点をおいて事業を推進するとともに、オーナーへのサービスラインナップの拡充を目的として、2020年8月に設立した株式会社JPMCワークス&サプライによるリフォーム・リニューアル・リノベーション事業を強化しました。賃貸マンション・アパートの経営代行とリフォームを組み合わせた「スーパーリユース」は、既存物件の躯体を活かし物件を再生することで、オーナーの経済的な負担を少なく、かつ、スクラップ&ビルドに比べCO2排出を削減できるという持続可能な賃貸経営の提供を企図したサステナブルなビジネスモデルであり、ストック&フローの事業として今後も成長を見込んでおります。また、経営基盤強化のため、採用の強化など、人的資本への投資を引き続き行いました。運用戸数増加へ向けた体制を整備することは、当社の経営課題である持続的な成長のための事業基盤の強化の実現に寄与するものと考えております。

 物件運用により得られるストック収益を拡大し、持続的かつ安定した成長を実現させるため、当社グループのパーパスである「住む論理の追求」のもとに全社一丸となって事業を推進しました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ176百万円増加し18,152百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ863百万円減少し9,508百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,040百万円増加し8,643百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高57,353百万円(前期比2.0%増)、営業利益2,576百万円(同7.9%増)、経常利益2,583百万円(同7.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,817百万円(同14.3%増)となりました。

 

 売上区分別の経営成績は、次のとおりであります。

 

(プロパティマネジメント収入)

 プロパティマネジメント収入につきましては、新型コロナウイルス感染症からの社会経済活動の正常化が進みつつある中で、受注・受託の獲得に注力いたしました。また、プロパティマネジメント事業の収益性の改善に取り組んでまいりました。

 この結果、当連結会計年度におきまして、運用戸数は110,206戸(前期末比3,502戸増)となり、プロパティマネジメント収入は53,031百万円(前期比1.1%増)となりました。

 

(PM付帯事業収入)

 PM付帯事業収入につきましては、当社の運用物件への新規入居者に対する滞納保証及び保険商品の付帯が進んだことから、滞納保証事業及び保険事業が順調に推移しました。

 この結果、PM付帯事業収入は2,541百万円(前期比4.7%増)となりました。

 

 

(その他の収入)

 その他の収入につきましては、株式会社JPMCワークス&サプライによるリフォーム事業が順調に推移しました。既存物件の躯体を活かしたリフォームと賃貸マンション・アパートの経営代行を組み合わせた「スーパーリユース」は当社が目指す持続可能な賃貸経営の提供を企図するサステナブルなビジネスモデルであります。

 この結果、その他の収入は1,780百万円(前期比30.8%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ524百万円減少し、当連結会計年度末には6,849百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、2,004百万円の収入(前連結会計年度は2,365百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が2,579百万円、営業貸付金の減少額が182百万円、減価償却費が134百万円、法人税等の支払額が985百万円あったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、932百万円の支出(前連結会計年度は467百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が857百万円、無形固定資産の取得による支出が66百万円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、1,596百万円の支出(前連結会計年度は1,752百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額が878百万円、長期借入金の返済による支出が670百万円あったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループの事業は、プロパティマネジメント事業及びその付随業務の単一セグメントであるため、売上区分別に記載しております。

 

a.生産実績

 該当事項はありません。

 

b.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績を売上原価区分別に示すと、次のとおりであります。

売上原価区分

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

仕入高(百万円)

前期比(%)

プロパティマネジメント収入原価

47,634

0.7

PM付帯事業収入原価

1,627

4.9

その他の原価

1,025

24.2

合計

50,287

1.2

 

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績を売上区分別に示すと、次のとおりであります。

売上区分

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

販売高(百万円)

前期比(%)

プロパティマネジメント収入

53,031

1.1

PM付帯事業収入

2,541

4.7

その他の収入

1,780

30.8

合計

57,353

2.0

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態及び経営成績の分析

 当連結会計年度における財政状態及び経営成績の分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 (1) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は、下記のとおりであります。

 

2019年

12月期

2020年

12月期

2021年

12月期

2022年

12月期

2023年

12月期

自己資本比率(%)

50.3

47.8

38.8

42.3

47.6

時価ベースの自己資本比率(%)

190.6

155.7

101.2

98.0

109.3

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.9

0.7

1.6

1.3

1.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

467.8

662.7

290.2

263.0

289.7

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※ 株式時価総額は期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※ キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。

※ 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

 (2) 資金の需要

 さらなる企業価値の向上を図るための事業投資、運転資金及び債務の返済、並びに株主還元策の実施の資金需要に備え、資金調達及び流動性の確保に努めています。

 

 (3) 資金の財源及び資金の流動性

 運転資金及び債務の返済、株主還元策の実施に関しては基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当することにより対応する方針であります。

 また、企業価値の向上を図るための事業投資につきましては自己資金や借入金だけでなく、多額の資金が必要となる場合には、財務健全性に配慮しつつ、長期的に安定した資金を得るため証券市場から資金調達を行うことも選択肢としております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は2,324百万円となっており、また、現金及び現金同等物の残高は6,849百万円となっております。

 

③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは2021年12月期から5年間を対象とする中期経営計画「JPMC2025」を策定し、「コロナ禍における運用戸数の拡大」と「Back to normal における収益性改善」を基本戦略として事業を推進してまいりました。

 中期経営計画「JPMC2025」では、最終年度である2025年12月期において、KPIとして「運用戸数16万戸」「新規申込戸数5ヵ年累計110,000戸」「売上高770億円」「ROE(自己資本利益率)目標水準20%以上維持」「配当性向目標水準40%維持」を目標としております。

 当連結会計年度におきましては、運用戸数110,206戸、新規申込戸数8,744戸、売上高573億円、ROE(自己資本利益率)22.4%、配当性向49.7%となりました。

 

 ◇経営指標

 

2023年12月期

2024年12月期

予想

2025年12月期

目標

2030年12月期

目標(参考)

運用戸数

110,206戸

114,000戸

160,000戸

250,000戸

新規申込戸数

8,744戸

10,500戸

5ヵ年累計

110,000戸

5ヵ年累計

154,000戸

売上高

573億円

604億円

770億円

1,110億円

ROE(自己資本利益率)

22.4%

20%以上

20%以上

20%以上

配当性向

49.7%

40%以上

40%以上

40%以上

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、収益分配型一括借上システム「スーパーサブリース」の利用を希望する賃貸管理会社、建築会社及びリフォーム会社に対して、パートナー加入契約を締結することで、当システムの利用を許諾しております。なお、契約の要旨は次のとおりであります。

 

① J'sパートナー加入契約

契約対象先

賃貸管理会社

契約期間

5年(それ以後は5年毎の自動更新)

加入会社の権利

「スーパーサブリース」名称使用並びに契約テリトリー内の「スーパーサブリース」契約物件の管理受託の権利

契約期間内解約

契約残存期間(契約更新期間を含む。)の月会費を期間内解約違約金として支払うことにより解約できるものとしております。

(注) 当該契約に基づく加入会社の権利の対価として、加入金及び月会費を受領しております。

 

② JPMCコンストラクションパートナー加入契約

契約対象先

建築会社

契約期間

5年(それ以後は5年毎の自動更新)

加入会社の権利

「スーパーサブリース」名称使用並びに「スーパーサブリース」契約物件の建築・リフォーム受注の権利

契約期間内解約

契約残存期間(契約更新期間を含む。)の月会費を期間内解約違約金として支払うことにより解約できるものとしております。

(注) 当該契約に基づく加入会社の権利の対価として、加入金及び月会費を受領しております。

 

③ JPMCリフォームパートナー加入契約

契約対象先

リフォーム会社

契約期間

5年(それ以後は5年毎の自動更新)

加入会社の権利

「スーパーサブリース」名称使用並びに「スーパーサブリース」契約物件の賃貸住宅リフォーム受注の権利

契約期間内解約

契約残存期間(契約更新期間を含む。)の月会費を期間内解約違約金として支払うことにより解約できるものとしております。

(注) 当該契約に基づく加入会社の権利の対価として、加入金及び月会費を受領しております。

 

④ JPMCシルバーパートナー加入契約

契約対象先

建築会社

契約期間

5年(それ以後は5年毎の自動更新)

加入会社の権利

「ふるさぽ」名称使用並びに「ふるさぽシステム」による契約物件の建築受注の権利

契約期間内解約

契約残存期間(契約更新期間を含む。)の月会費を期間内解約違約金として支払うことにより解約できるものとしております。

(注) 当該契約に基づく加入会社の権利の対価として、加入金及び月会費を受領しております。

 

⑤ ふるさぽパートナー加入契約

契約対象先

介護会社

契約期間

5年(それ以後は5年毎の自動更新)

加入会社の権利

高齢者住宅を運営するにあたり「高齢者専用賃貸住宅一括借上システム」を利用する権利

契約期間内解約

ふるさぽシリーズの賃貸借契約期間中は、解約できないものとしております。

(注) 当該契約に基づく加入会社の権利の対価として、加入金及び月会費を受領しております。

⑥ JPMCイーベストパートナー加入契約

契約対象先

不動産売買仲介会社

契約期間

5年(それ以後は5年毎の自動更新)

加入会社の権利

「イーベスト」名称使用並びに「イーベスト」契約物件の売買仲介受注の権利

契約期間内解約

契約残存期間(契約更新期間を含む。)の月会費を期間内解約違約金として支払うことにより解約できるものとしております。

(注) 当該契約に基づく加入会社の権利の対価として、加入金及び月会費を受領しております。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。