「(*)」を付している用語については、「第一部 企業情報 第1 企業の概況」の末尾に用語解説を設け、説明しております。
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回次 |
第12期 |
第13期 |
第14期 |
第15期 |
第16期 |
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決算年月 |
2019年12月 |
2020年12月 |
2021年12月 |
2022年12月 |
2023年12月 |
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事業収益 |
(千円) |
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経常利益又は経常損失(△) |
(千円) |
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△ |
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△ |
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親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△) |
(千円) |
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△ |
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△ |
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包括利益 |
(千円) |
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△ |
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△ |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
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△ |
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△ |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
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△ |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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△ |
△ |
△ |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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△ |
△ |
△ |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
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従業員数 |
(人) |
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
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(注)1.第13期及び第16期は、潜在株式調整後1株当たり当期純利益について、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。
2.第13期及び第16期は、自己資本利益率及び株価収益率について、親会社株主に帰属する当期純損失であるため、記載しておりません。
3.従業員数欄の( )外数は、臨時従業員(有期契約社員及び人材派遣会社からの派遣社員)の年間平均雇用人員であります。
4.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第15期の期首から適用しており、第15期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
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回次 |
第12期 |
第13期 |
第14期 |
第15期 |
第16期 |
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決算年月 |
2019年12月 |
2020年12月 |
2021年12月 |
2022年12月 |
2023年12月 |
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事業収益 |
(千円) |
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経常利益又は経常損失(△) |
(千円) |
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△ |
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△ |
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当期純利益又は当期純損失(△) |
(千円) |
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△ |
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△ |
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
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1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
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△ |
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△ |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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従業員数 |
(人) |
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
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株主総利回り |
(%) |
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(比較指標:配当込みTOPIX) |
(%) |
( |
( |
( |
( |
( |
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最高株価 |
(円) |
2,210 |
1,375 |
1,468 |
1,421 |
1,239 |
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最低株価 |
(円) |
970 |
712 |
864 |
643 |
614 |
(注)1.第13期及び第16期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。
2.第13期及び第16期の自己資本利益率及び株価収益率については、当期純損失であるため、記載しておりません。
3.従業員数欄の( )外数は、臨時従業員(有期契約社員及び人材派遣会社からの派遣社員)の年間平均雇用人員であります。
4.最高株価及び最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所(グロース市場)におけるものであり、それ以前は東京証券取引所JASDAQ(グロース)におけるものであります。
5.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第15期の期首から適用しており、第15期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
2008年2月 医薬品の研究開発を目的として、愛知県知多郡武豊町にラクオリア創薬株式会社(資本金1百万円)を設立
2008年7月 ファイザー株式会社中央研究所(愛知県知多郡武豊町)の閉鎖に伴い、従業員の一部が移籍するとともに、研究機器等の設備を有償にて譲り受け、事業を開始
2010年9月 CJ CheilJedang Corporation(韓国、現HK inno.N Corporation(韓国))とカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(RQ-00000004およびRQ-00000774)の韓国、中国(香港を含む)、台湾地域における商用化に関する導出契約を締結
2010年12月 Aratana Therapeutics, Inc.(米国、現Elanco Animal Health, Inc.(米国))とEP4拮抗薬(RQ-00000007)及びグレリン受容体作動薬(RQ-00000005)の動物用医薬品としての全世界における商用化に関する導出契約を締結
2011年7月 大阪証券取引所JASDAQ(グロース、現東京証券取引所グロース)に株式を上場
2014年2月 国立大学法人名古屋大学(現国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学)と産学協同研究部門設置に関する契約を締結
2014年6月 本社機能を愛知県知多郡武豊町より名古屋市中村区に移転
2014年9月 創薬研究部門生物研究部を愛知県知多郡武豊町より名古屋市千種区(国立大学法人名古屋大学内)に移転
2014年11月 CJ HealthCare Corporation(韓国、現HK inno.N Corporation(韓国))とカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(RQ-00000004及びRQ-00000774)の東南アジア地域における商用化に関する導出契約を締結
2015年8月 創薬研究部門化学研究部を愛知県知多郡武豊町より名古屋市千種区(国立大学法人名古屋大学内)に移転
2017年1月 Aratana Therapeutics, Inc.(米国、現Elanco Animal Health, Inc.(米国))がEP4拮抗薬(GALLIPRANT®、RQ-00000007、AT-001、grapiprant、動物薬)を米国にて販売開始
2017年2月 テムリック株式会社を簡易株式交換により完全子会社化(現、連結子会社)
2017年10月 Aratana Therapeutics, Inc.(米国、現Elanco Animal Health, Inc.(米国))がグレリン受容体作動薬(ENTYCE®、 RQ-00000005、AT-002、capromorelin、動物薬)を米国にて販売開始
2017年12月 マルホ株式会社と選択的ナトリウムチャネル遮断薬に関する導出契約を締結
2018年3月 旭化成ファーマ株式会社と神経障害性疼痛治療薬P2X7受容体拮抗薬に関する導出契約を締結
2018年4月 国立大学法人名古屋大学(現国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学)にラクオリア創薬産学協同研究センターを設置
2019年3月 CJ HealthCare Corporation(韓国、現HK inno.N Corporation(韓国))がカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(RQ-00000004、tegoprazan、「K-CAB®」)を韓国にて販売開始
2021年3月 Elanco Animal Health, Inc.(米国)がグレリン受容体作動薬(ELURA®、RQ-00000005、AT-002、capromorelin、動物薬)を米国にて販売開始
2021年4月 岐阜薬科大学と共同研究講座設置に関する契約を締結
2021年9月 Xgene Pharmaceutical Co. Ltd.(香港)とTRPM8遮断薬に関する導出契約を締結
2021年12月 久光製薬株式会社とナトリウムチャネル遮断薬に関する導出契約を締結
2022年4月 東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所グロース市場に移行
2023年1月 湘南ヘルスイノベーションパーク(神奈川県藤沢市)に新たな研究拠点を設置
2023年4月 Vetbiolix SAS(フランス)と5-HT4作動薬に関するオプション及びライセンス契約を締結
当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
(1)事業の概要
当社グループは、当社(ラクオリア創薬株式会社)及び連結子会社1社(テムリック株式会社)により構成されております。
当社グループは、先端科学技術を活用し、医療分野においてニーズの高い疾患領域に対する新たな医薬品を生み出すことを目指す研究開発型の創薬ベンチャー企業であり、独自に創出した開発化合物(*)の知的財産権を製薬企業各社等に対して導出(使用許諾契約によりライセンスアウト)することにより収益を獲得することを事業展開の基本としております。
なお、当社は、2024年2月14日開催の取締役会において、ファイメクス株式会社の全株式を取得することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。2024年3月26日付で全株式を取得し、子会社化しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 (1)連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
① 当社グループの事業の背景
世界的な規模で進行する人口の高齢化や新興国の発展により世界の医薬品市場は拡大しています。遺伝子治療、細胞医薬、デジタルヘルスケア等、新たな技術が医薬品の開発や治療法に革新をもたらし、これらの技術がさらなる成長をもたらす可能性があります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により製薬業界も大きな変化を経験しましたが、mRNAワクチンの開発・製造・販売等、業界の成長に寄与する変化も生まれました。一方、日本国内では、常態化した毎年の薬価改定による薬剤費の削減や医療保険の適用基準の厳格化等の影響により、医薬品販売高の成長率は鈍化しております。また、近年、新薬開発の成功確率の低下と必要なコストの増加により、製薬企業各社の研究開発費は増加の一途をたどっています。
このような状況の中、製薬企業各社は、医薬品として成功する可能性の高い高品質な開発化合物(*)を外部からも積極的に導入し、パイプラインを充実させております。海外では新薬の約6割の起源がバイオベンチャー由来とされており、医療ニーズに応える新薬候補の供給源としてのバイオベンチャーに対する期待はますます高まっております。当社グループは研究開発型の創薬ベンチャー企業として、このような製薬企業各社の期待に応えるべく、自社の研究開発に留まらず、アカデミアやスタートアップ、ベンチャー企業等との協力関係を深め、次世代型創薬バリューチェーンの構築を通じて、医薬品の研究開発事業を展開しております。
② 医薬品研究開発の一般的進行(*)及び当社グループの事業領域
一般的に新薬の開発は、探索研究、前臨床試験、臨床試験、厚生労働省(あるいは米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)等の各国の医薬品許認可審査機関)への製造販売承認申請、医薬品としての承認取得、薬価基準収載(*)を経て行われます。その後、初めて新薬として販売が開始され、病院・医師・患者へ提供することが可能となります。
(注)医薬品の研究開発における標準的な各段階の所要年数は、あくまでも標準的な想定期間を表示したものであり、各プロジェクトがこの想定期間どおりに進捗するとは限りません。各プロジェクトが経過した、あるいは現在進行中の各段階の幅についても、実際の所要期間あるいは想定所要期間を示すものではありません。
当社グループは、医薬品の研究開発段階のうち、探索研究段階、前臨床試験段階及び初期臨床試験段階を主たる事業分野としております。第Ⅲ相臨床試験などの後期臨床試験段階においては多額の研究開発費が必要となるため、当社グループにおける研究開発に係る費用及びリスク負担を低減する目的から、有効性及び安全性が概ね評価可能となる段階(前期第Ⅱ相臨床試験)までを当社グループにて行い、その後製薬企業各社等へ開発化合物(*)を導出することを基本としております。
③ 低分子化合物から新規モダリティ(*)への展開を目指す研究開発活動
当社グループは、従来、低分子化合物に係る研究開発を行ってまいりました。近年、医薬品業界においては、抗体医薬やワクチン等のいわゆるバイオ医薬の研究開発が盛んに行われておりますが、低分子化合物は依然として医薬品開発の大きな柱であります。当社グループにおきましては、これまで蓄積してきた低分子化合物に係る高い技術力を軸に据えつつ、業界の動向や当社グループが保有する技術との親和性等を総合的に考慮して低分子化合物以外の新たなモダリティ(*)への展開にも取り組んでおります。
④ 研究開発活動
(A)研究開発の概要
当社グループの研究開発部門が行っている研究開発の概要とその流れは、以下のとおりであります。当社グループでは、創薬標的分子(*)の探索から初期臨床試験(主として第Ⅰ相臨床試験、必要に応じて前期第Ⅱ相臨床試験)まで、博士・修士号を有した研究者を中心にこの業務を推進しております。
(B)当社グループの研究開発体制
当社グループは、豊富な知識と経験を有する研究員を有し、国内バイオベンチャートップクラスのインフラを最大限に活かした創薬研究開発体制を構築しております。
a)プロジェクトを中心とした研究開発体制
当社グループの研究開発体制は、組織横断的なプロジェクトを単位として運営されており、迅速な意思決定及び業務の遂行を可能にしております。実際の業務は、プロジェクト単位で協議し決定され、特に重要な方針に関わる場合は、プロジェクトから経営戦略委員会へ提案が行われ、その決定は速やかにプロジェクト活動に反映されます。
b)研究・開発・事業開発活動の一体化
当社グループにおいては、探索研究から開発そして導出に至るまで、プロジェクトチームが一貫して主体性を持ち、組織横断的に業務を実施しております。これにより、一貫した研究・開発、導出計画の下、必要な情報を随時共有し、適切な情報をタイムリーに導出先企業に提供することを可能としております。
(C)研究開発ポートフォリオ(*)による展開
当社グループの研究開発は、創薬の初期段階を担うものであり、少数の限られたプロジェクトを選択して経営資源を集中することにより、研究開発ポートフォリオ(*)を拡充し、製薬企業各社等へ開発化合物(*)を導出していくことに重点を置いたものであります。
医薬品開発は、研究開発のいずれの段階においても、安全性、有効性及び薬物動態(*)並びにその他の開発上の問題から中止される可能性があります。当社グループにおいては、探索段階から海外市場において上市済みのものまで、各段階のプロジェクトを保有しており、さらに、自社の探索研究から新たな開発化合物(*)を継続して創出する能力を備えていることから、複数のプロジェクトからなる研究開発ポートフォリオ(*)を拡充するとともに、開発リスクを低減し、より安定した事業の遂行を図りたいと考えております。
⑤ 導出活動
当社グループの導出活動は、内外の各製薬企業各社における医薬品として成功する可能性の高い高品質な化合物に対するニーズに対応するため、初期探索段階から臨床開発段階までの各段階において保有する研究開発ポートフォリオ(*)のすべてを導出対象とし、機動的かつ柔軟な営業活動を進めております。
また、研究開発ポートフォリオ(*)は、各プロジェクトの特性と導出先である製薬企業各社等のニーズに応じて、日本・東アジア・米国・欧州等の地域ごとの導出、あるいは剤形(経口剤、注射剤、局所用剤)ごとの導出、さらには動物用医薬品用途での導出等、様々な形態で導出を図っております。
⑥ 当社グループの収益
当社グループの収益は、探索研究、前臨床試験及び初期臨床試験の成果として創出した開発化合物(*)を製薬企業各社等に導出することにより獲得するものであり、その概要は以下のとおりであります。
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収 益 |
内 容 |
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契約一時金収入 |
導出または共同研究に係る契約締結時に、当社グループが提供するそれまでの研究開発成果の対価等として受け取る収入 |
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マイルストン収入 |
契約相手先の研究開発の進捗(契約書に規定された研究開発段階の達成)または売上の進捗(契約書に規定された売上高の達成)に応じて受け取る収入 |
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ロイヤルティ収入 |
医薬品の上市後に販売額の一定割合(契約書に規定された料率に基づく)を受け取る収入 |
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研究協力金収入 |
共同研究の期間中に提供する役務等の対価等として受け取る収入 |
⑦ 事業系統図
当社グループの事業の系統図は、以下のとおりであります。
(2)当社グループの研究開発対象領域及び研究開発ポートフォリオ(*)
① 当社グループの研究開発対象領域
当社グループは、当社の前身であるファイザー社中央研究所から引き続き消化器疾患領域及び疼痛疾患領域を中心に研究開発活動を行ってまいりましたが、2014年より国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学(以下「名古屋大学」)に研究拠点を移した後は、産学医連携を軸として幅広い疾患領域における魅力ある創薬テーマの研究開発に取り組んでいる他、がん領域に特化したテムリック株式会社も含め、医療ニーズの高い疾患に対する創薬研究開発を進めております。
② 当社グループのポートフォリオ(*)及び研究開発の状況
一般的に医薬品の研究開発は長期に渡って多額の資金を必要とされております。当社グループは、当社グループ保有の開発化合物(*)の研究開発投資において、パートナーシップに基づくオープンイノベーション型の研究開発を積極的に展開するとともに適切な選択と集中を行うことで、資源の有効活用を図っております。
具体的には、当社グループが強みを持つ探索段階から第Ⅰ相臨床試験を中心に自社単独で開発化合物(*)の研究開発に注力して導出に向けて推進するプログラムを「導出準備プログラム」、当社グループからの導出後に導出先が中心となって開発を進めるプログラムを「導出済みプログラム」と定義しております。また、探索研究段階においては、基本に当社グループと提携先企業の双方が強みを持ち寄りイノベーティブな開発化合物(*)の創出を目指す共同研究プログラムを「共同研究プログラム」と定義しております。
当連結会計年度末現在の主な「導出準備プログラム」及び「導出済みプログラム」、「共同研究プログラム」の状況は、以下のとおりであります。
(A)導出準備プログラム
当連結会計年度末現在の「導出準備プログラム」は、以下のとおりであります。当社グループは、これらのプロジェクトに関して一部導出済みの契約を除き、全世界を対象とする開発、販売及び製造に関する権利を有しております。
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プログラム |
化合物コード (注)1 |
導出対象 地域 |
主な想定適応症 |
研究開発段階 |
|
カリウムイオン競合型アシッドブロッカー (P-CAB) |
RQ-00000004 (tegoprazan) |
日本 |
胃食道逆流症(*) |
第Ⅰ相臨床試験終了(日本) |
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5-HT4作動薬 |
RQ-00000010 |
全世界 |
胃不全麻痺 機能性胃腸症(*) 慢性便秘 |
第Ⅰ相臨床試験終了(英国) |
|
5-HT2B拮抗薬 |
RQ-00310941 |
全世界 |
下痢型過敏性腸症候群(*) |
第Ⅰ相臨床試験終了(英国) |
|
モチリン受容体作動薬 |
RQ-00201894 |
全世界 |
胃不全麻痺 機能性胃腸症(*) 術後イレウス |
前臨床試験終了 |
|
グレリン受容体作動薬 |
RQ-00433412 |
全世界 |
脊椎損傷に伴う便秘 がんに伴う食欲不振 悪液質症候群 |
前臨床試験実施中 |
|
TRPM8遮断薬 |
RQ-00434739 |
日本 |
疼痛 |
(注)2 |
(注)1.化合物コードは、RQ-で始まるコードで表記されており、当社グループで研究・開発・評価に使用するすべての化合物に対して付与しております。
2.日本以外の権利を導出しているXgene Pharmaceutical Co. Ltd.(香港)により、前臨床試験が行われ、当連結会計年度末時点で豪州における第Ⅰ相臨床試験の準備中です。
(B)導出済みプログラム
当連結会計年度末現在、当社グループの導出済みのプログラムの状況は、以下のとおりであります。なお、契約内容の詳細については、後述の「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」をご参照ください。
[ヒト用医薬品領域]
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プロジェクト |
化合物コード (注)1 |
主な想定適応症 |
研究開発段階 |
権利地域 |
導出先 |
|
カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB) |
RQ-00000004 (tegoprazan) |
胃食道逆流症(*) |
販売中(韓国、中国、フィリピン、モンゴル、メキシコ、インドネシア、シンガポール、ペルー) 審査中・承認申請準備中(タイ、ベトナム、マレーシア他) 第Ⅲ相臨床試験実施中(米国) |
韓国他 (注)2 |
HK inno.N Corporation (韓国) |
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EP4拮抗薬 |
RQ-00000007 (grapiprant) |
疼痛 |
第Ⅰ相臨床試験終了(中国)(注)3 |
全世界 |
株式会社AskAt |
|
がん |
第Ⅰ相臨床試験終了(米国) (注)4 第Ⅰ相臨床試験実施中(中国) |
||||
|
RQ-00000008 |
変形性関節症、自己免疫疾患他 |
前臨床試験終了 |
|||
|
5-HT4部分作動薬 |
RQ-00000009 |
アルツハイマー病 |
第Ⅰ相臨床試験終了 (注)4 |
全世界 |
|
|
シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬 |
RQ-00317076 |
疼痛 |
第Ⅰ相臨床試験実施中(中国) (注)3 |
全世界 |
|
|
CB2作動薬 |
RQ-00202730 |
鎮痛等 |
第Ⅰ相臨床試験実施中(英国) |
全世界 |
|
|
選択的ナトリウムチャネル遮断薬 |
- |
鎮痛・鎮痒 |
非開示 |
全世界 |
マルホ株式会社 |
|
P2X7受容体拮抗薬 |
RQ-00466479 |
慢性疼痛 |
第Ⅱ相臨床試験実施中(米国) (注)5 |
全世界 |
旭化成ファーマ 株式会社 |
|
TRPM8遮断薬 |
RQ-00434739 |
慢性疼痛 |
第Ⅰ相臨床試験準備中(豪州) (注)6 |
日本を除く全世界 |
Xgene Pharmaceutical Co. Ltd.(香港) |
|
ナトリウムチャネル遮断薬 |
RQ-00350215 |
慢性疼痛 |
前臨床試験実施中 |
全世界 |
久光製薬株式会社 |
(注)1.化合物コードは、RQ-で始まるコードで表記されており、当社グループで研究・開発・評価に使用するすべての化合物に対して付与しております。
2.韓国、中国(香港を含む)及び台湾、米国及び欧州、東南アジア、中南米、中東及びロシアを含む東欧圏諸国等
3.Pfizer Inc.(米国)において、前期第Ⅱ相臨床試験を実施済みです。
4.Pfizer Inc.(米国)において、第Ⅰ相臨床試験を実施済みです。
5.2021年1月にEli Lilly and Company(米国)にサブライセンスされ、2022年11月より第Ⅱ相臨床試験が開始されました。
6.2023年12月に、Xgene Pharmaceutical Co. Ltd.(香港)が臨床試験開始に向けた取り組み状況を発表しました。
[動物用医薬品領域]
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プロジェクト |
化合物コード (注)7 |
主適応症 |
研究開発段階 |
権利地域 |
導出先 |
|
グレリン受容体作動薬 |
RQ-00000005 (capromorelin、ENTYCE®、ELURA®) |
食欲不振(犬) |
販売中(米国) |
全世界 |
Elanco Animal Health Inc. |
|
慢性腎疾患の体重減少管理(猫) |
販売中(米国) 販売準備中(欧州) |
全世界 |
|||
|
EP4拮抗薬 |
RQ-00000007 (grapiprant、GALLIPRANT®) |
変形性関節症(犬) |
販売中 (米国、欧州、 |
全世界 |
|
|
シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬 |
RQ-00317076 |
疼痛 |
探索終了 (注)8 |
全世界 |
株式会社AskAt |
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5-HT4作動薬 |
RQ-00000010 |
腸管運動障害(犬・猫) |
POC試験実施中 |
全世界 |
Vetbiolix SAS |
(注)7.化合物コードは、RQ-で始まるコードで表記されており、当社グループで研究・開発・評価に使用するすべての化合物に対して付与しております。
8.2022年7月にVelo-1, Inc.(米国)にサブライセンスされました。
(C)共同研究プログラム
当連結会計年度末現在、製薬企業各社等との共同研究プログラムは、以下のとおりであります。なお、研究内容の詳細については、後述の「第2 事業の状況 6 研究開発活動」をご参照ください。
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プロジェクト |
化合物 |
共同研究先 |
研究開発段階 |
|
当社化合物の難病・希少疾患への適応可能性の探索に関する共同研究 |
― |
ソシウム株式会社 |
探索研究段階 |
|
難病・希少疾患治療薬の創製を目指した細胞内抗体技術(STAND技術)の創薬応用の可能性検証 |
― |
STAND Therapeutics株式会社 |
探索研究段階 |
|
眼疾患治療薬創製に向けた共同研究 |
― |
株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 |
探索研究段階 |
|
メッセンジャーRNA(mRNA)を標的とした低分子医薬品の創出に向けた共同研究 |
― |
株式会社Veritas In Silico |
探索研究段階 |
|
膜タンパク質の3次元立体構造解析 |
― |
leadXpro AG |
探索研究段階 |
|
名称 |
住所 |
資本金 (千円) |
主要な事業の内容 |
議決権の所有割合又は被所有割合 (%) |
関係内容 |
|
(連結子会社) |
|
|
|
|
|
|
テムリック株式会社 |
東京都新宿区 |
10,000 |
がん領域に特化した創薬事業 |
100 |
役員の兼任等 |
(注)当社は、2024年2月14日開催の取締役会において、ファイメクス株式会社の全株式を取得することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。2024年3月26日付で全株式を取得し、子会社化しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 (1)連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
(1)連結会社の状況
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2023年12月31日現在 |
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従業員数(人) |
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( |
(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数(有期契約社員及び人材派遣会社からの派遣社員)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2.当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(2)提出会社の状況
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2023年12月31日現在 |
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従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
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( |
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(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数(有期契約社員及び人材派遣会社からの派遣社員)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2.平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。
3.当社は、単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(3)労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係については良好であります。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金差異
① 提出会社
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管理職に占める 女性労働者の割合(%) (注)1 |
男性労働者の 育児休業取得率(%) (注)2、3 |
労働者の男女の 賃金の差異(%)(注)1 |
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全労働者 |
正規雇用 労働者 |
パート・ 有期労働者 (注)4 |
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16.7 |
- |
71.5 |
74.4 |
54.9 |
(注)1. 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.「男性労働者の育児休業取得率」の「-」は、育児休業取得の対象となる男性労働者がいないことを示しております。
4.パート・有期労働者につきましては、60歳以上の嘱託社員、契約社員の2種類があります。このうち契約社員は、短時間勤務の女性割合が高いことが、男女賃金差異の主たる要因となっております。
② 連結子会社
当社の連結子会社であるテムリック株式会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異の記載を省略しております。
<用語解説>(アルファベット、50音順)
*GLP、GCP、GMP
医薬品の製造・輸入承認申請のための安全性試験、臨床試験、あるいは発売後の医薬品等の品質確保のために省令で定められている基準であります。
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GLP (Good Laboratory Practice) |
非臨床試験の実施基準 |
医薬品の製造・輸入承認申請等のために行われる安全性試験データの信頼性を確保するための基準。 |
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GCP (Good Clinical Practice) |
臨床試験の実施基準 |
医薬品の製造・輸入承認申請等のために行われるヒトを対象とした臨床試験が、倫理的及び科学的に適正に実施されることを目的として定められた基準。 |
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GMP (Good Manufacturing Practice) |
製造管理/品質管理の基準 |
品質の高い医療品を製造するため、製造所の構造設備や製造管理及び品質管理の全般に亘り、製造者が守るべき要件を定めた基準。 |
(注)GLP、GCP、GMPは、日本(厚生労働省)では、それぞれ医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令(GLP省令)、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP省令)、医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(GMP省令)と呼びます。
*イオンチャネル
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イオンチャネルとは、細胞の内外へイオンを透過させる膜タンパク質の総称です。知覚神経や運動神経における情報の伝達や、様々な組織での神経伝達物質の放出を調節する重要な役割を担っています。 |
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*胃食道逆流症(GERD)
Gastroesophageal Reflux Diseaseの略称であり、胃内容物、特に胃酸が食道内に逆流することによって胸焼け等の特徴的な症状をもたらす疾患です。下部食道粘膜に粘膜傷害が認められる逆流性食道炎(EE:Erosive Esophagitis;びらん性胃食道逆流症ともいいます。)と内視鏡的に粘膜傷害を認めない内視鏡陰性GERD(NERD:Non-erosive Reflux Disease;非びらん性胃食道逆流症ともいいます)に分類されます。
*医薬品研究開発の一般的進行
(A)探索研究
新薬のもととなる開発候補化合物(*)を探し出す研究を探索研究と言います。疾患の原因となる標的分子(*)の探索、疾患と標的分子(*)の関係を反映する評価系の構築、ハイスループット・スクリーニング(HTS)(*)等を用いたリード化合物(*)の探索、有効性・安全性等の様々な観点によるリード化合物(*)の最適化が実施されます。幾度にも亘り、検討、合成、評価の作業を繰り返すことで、より医薬品としての可能性が高い化合物を作り上げます。
(B)前臨床試験
開発化合物(*)を特定した後、ヒトにおける試験を行うために十分な安全性と有効性があることを確認することを目的として、主に動物を用いて行われる毒性試験(*)、薬効薬理試験、薬物動態(*)試験等の試験を前臨床試験といいます。また、種々の試験と並行し、開発化合物(*)の製造法の開発やヒトへどのような形で投与するか(錠剤、カプセル剤、注射剤等)についても検討を行います。
(C)臨床試験
前臨床試験の結果、開発化合物(*)が有効性及び安全性の観点から有用な医薬品になり得る可能性が認められた場合、ヒトにおける臨床試験が実施されます。
臨床試験においては、以下の3段階の試験によって、用法、用量、有効性及び安全性を評価します。
a)第Ⅰ相臨床試験
少人数の健康成人を対象に、開発候補化合物(*)の投与量を低用量から徐々に上げていき、ヒトにおける忍容性・安全性及び体内での動き(吸収、排泄等)の検討を行います。
b)第Ⅱ相臨床試験
比較的少人数の患者を対象に、目標適応症における効果及び安全性を検討し、最適な投与量や投与方法等を設定します。
c)第Ⅲ相臨床試験
臨床試験の最終段階として、患者を対象とした大規模な臨床試験を実施します。様々な背景を持つ多数の患者に投与することで、有効性及び安全性をより実際の治療に近い形で検証します。
(D)申請・承認
臨床試験により有効性と安全性が確認された新薬について、規制当局(日本の場合は厚生労働省、米国の場合は米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)等)へ製造販売承認の申請を行います。規制当局は提出された膨大なデータを検討し、医薬品としての販売の認可・不認可を判断します。
*開発候補化合物
探索研究が終了し、前臨床開発段階に進める新薬候補物質として選定された化合物を開発候補化合物と言います。
*開発化合物
開発プロジェクトとして前臨床開発をスタートした時点以降、その化合物を開発化合物と言います。
*化合物ライブラリー
ある目的のために集められた化合物の集合体そのもの、あるいは保管庫や検索システムのように必要に応じて利用するための仕組みを指します。
*過敏性腸症候群(IBS)
Irritable Bowel Syndromeの略称であり、主として大腸の運動及び分泌機能の異常で起こる病気の総称であります。主な症状は慢性的な腹痛や腹部不快感と便通異常であり、腸の器質的変化を伴わないことが特徴とされております。病型として便秘型(IBS-C)、下痢型(IBS-D)、混合型(IBS-M)、分類不能型があります。
*機能性胃腸症(FD)
Functional Dyspepsiaの略称であり、上腹部の不快症状がありながら、内視鏡検査等で潰瘍等明らかな器質的病変が認められない疾患であります。日本では長い間、胃炎という病名で呼ばれてきたものであり、機能性ディスペプシアとも呼ばれております。
*毒性試験
ヒトに投与する量に関する情報、安全な投与期間に関する情報、薬物の生理学的並びに毒性的作用の特徴に関する情報を得るために行われる動物を用いた試験のことを言います。
*ハイスループット・スクリーニング(HTS)
ロボット等の自動化された装置を用いて、薬としての効果や毒性についての評価試験を高速かつ大量に実施する方法のことであります。1日に何万個もの化合物を評価することによって、膨大な数の化合物ライブラリー(*)の中から、短期間で効率よくリード化合物(*)を見つけ出すことができます。
*標的分子
病気に関わっている酵素等のタンパク質で、薬が働きかける相手(標的)となるものであります。
*ポートフォリオ
当社グループが保有しているプロジェクト、すなわち研究から開発、導出までの異なった段階における複数のプロジェクトの総称であります。
*薬物動態
医薬品がヒトや動物に投与された後、どのように吸収され、組織に分布し、小腸や肝臓中の酵素により代謝され、排泄されるかを、薬物の濃度、その時間に対する変化等から解析することを言います。
また、開発化合物(*)について、このような性質を検討するために行われる動物を用いた試験のことを薬物動態試験と言います。
*薬価基準収載
医療用医薬品として製造・輸入承認を受けた新薬が医療保険の適用を受けるためには、薬価基準へ採用されること(収載)が必要になります。製薬会社が新薬の保険適用を厚生労働省へ申請した後、保険適用が認められた場合は、中央社会保険医療協議会で薬価が決まり、薬価基準に収載されます。
*リード化合物
創薬標的分子(*)に作用し、疾患モデルの動物を用いた試験でも効果を示すことが確認された新薬のタネとなる化合物のことであります。この先、さらに効果や安全性が改善されて開発候補化合物(*)となります。
*モダリティ
治療手段とその内容を指すもので、低分子化合物、ペプチド、抗体医薬を含むタンパク質、核酸、細胞、再生医療といったものが含まれます。