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回次 |
第22期 |
第23期 |
第24期 |
第25期 |
第26期 |
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決算年月 |
2019年12月 |
2020年12月 |
2021年12月 |
2022年12月 |
2023年12月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益又は経常損失(△) |
(千円) |
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△ |
△ |
△ |
△ |
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親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△) |
(千円) |
|
△ |
△ |
△ |
△ |
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包括利益 |
(千円) |
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△ |
△ |
△ |
△ |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
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△ |
△ |
△ |
△ |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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営業活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
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△ |
△ |
△ |
△ |
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投資活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
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財務活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
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△ |
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現金及び現金同等物 の期末残高 |
(千円) |
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従業員数 |
(名) |
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〔外、平均臨時雇用者数〕 |
〔 |
〔 |
〔 |
〔 |
〔 |
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(注)1 第23期から第26期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。第22期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 第23期から第26期の自己資本利益率については、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載しておりません。
3 第23期から第26期の株価収益率については、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載しておりません。
4 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第25期の期首から適用しており、第25期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
|
回次 |
第22期 |
第23期 |
第24期 |
第25期 |
第26期 |
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決算年月 |
2019年12月 |
2020年12月 |
2021年12月 |
2022年12月 |
2023年12月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益又は経常損失(△) |
(千円) |
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△ |
△ |
△ |
△ |
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当期純利益又は当期純損失(△) |
(千円) |
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△ |
△ |
△ |
△ |
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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(内、1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
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1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
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△ |
△ |
△ |
△ |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
|
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|
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自己資本比率 |
(%) |
|
|
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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従業員数 |
(名) |
|
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|
|
|
〔外、平均臨時雇用者数〕 |
〔 |
〔 |
〔 |
〔 |
〔 |
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株主総利回り |
(%) |
|
|
|
|
|
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(比較指標:配当込みTOPIX) |
(%) |
( |
( |
( |
( |
( |
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最高株価 |
(円) |
725 |
642 |
350 |
357 |
305 |
|
最低株価 |
(円) |
311 |
268 |
200 |
183 |
133 |
(注)1 第23期から第26期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。第22期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 第23期から第26期の自己資本利益率については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。
3 第23期から第26期の株価収益率については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。
4 最高株価及び最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所グロース市場におけるものであり、それ以前は東京証券取引所JASDAQグロースにおけるものであります。
5 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第25期の期首から適用しており、第25期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
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年月 |
概要 |
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1999年2月 |
医薬品研究開発を目的とした、有限会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所を愛知県名古屋市に設立(資本金5,000千円) |
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2002年9月 |
興和株式会社とK-134(閉塞性動脈硬化症)の開発及び実施契約、K-115(緑内障・高眼圧症)の開発及び実施契約を締結 |
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2004年11月 |
有限会社より株式会社へ組織変更(資本金10,000千円) |
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2006年12月 |
国立大学法人三重大学と産学官連携講座共同研究契約を締結し、同大学内に「臨床創薬研究学講座」を開設 |
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2009年10月 |
ジャスダック証券取引所NEO(現 東京証券取引所 グロース市場)に株式上場 |
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2013年3月 |
わかもと製薬株式会社と日本におけるH-1129(緑内障・高眼圧症)の独占的実施権を許諾するライセンス契約を締結 |
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2013年10月 |
K-115(緑内障・高眼圧症)の国内製造販売承認申請 |
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2014年12月 |
グラナテック®点眼液0.4%(開発コード:K-115、一般名:リパスジル塩酸塩水和物)(緑内障・高眼圧症)の国内上市 |
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2015年6月 |
眼科用治療剤の日本における独占的実施権を取得する導入契約を締結(開発コード:DW-1001) |
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2015年11月 |
日本革新創薬株式会社を連結子会社化 |
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2017年4月 |
BBG250を含有する眼科手術補助剤にかかる事業の譲受(開発コード:DW-1002) |
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2018年3月 |
H-1337(緑内障・高眼圧症)の米国第Ⅰ相/前期第Ⅱ相臨床試験開始 |
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2019年8月 |
リパスジル塩酸塩水和物(フックス角膜内皮変性症)の米国第Ⅱ相臨床試験のIND申請(治験許可申請)(開発コード:K-321) |
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2019年9月 |
H-1129(緑内障・高眼圧症)の開発中止 |
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2019年12月 |
ロート製薬株式会社とDW-1001の日本における独占的実施権を許諾するライセンス契約を締結 |
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2020年2月 |
緑内障治療剤の配合剤(リパスジル塩酸塩水和物とブリモニジン酒石酸塩)の国内第Ⅲ相臨床試験開始(開発コード:K-232) |
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2020年4月 |
DW-1002(製品名:TissueBlue™)(内境界膜染色)の米国上市 |
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株式会社メドレックスと神経疼痛治療薬 DW-5LBT の共同開発契約締結 |
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2020年8月 |
DW-5LBT(帯状疱疹後の神経疼痛)の米国承認申請 |
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2021年11月 |
K-232(緑内障・高眼圧症)の国内製造販売承認申請 |
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2022年3月 |
DW-1001の国内第Ⅰ相臨床試験開始 |
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2022年4月 |
東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所JASDAQ(グロース)からグロース市場に移行 |
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2022年6月 |
アクチュアライズ株式会社と再生医療用細胞製品DWR-2206(水疱性角膜症)の共同開発契約締結 |
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2022年8月 |
K-321(フックス角膜内皮変性症)の米国第Ⅲ相臨床試験開始 |
|
2022年12月
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グラアルファ®配合点眼液(開発コード:K-232)(緑内障・高眼圧症)の国内上市 H-1337(緑内障・高眼圧症)の米国後期第Ⅱ相臨床試験開始 |
|
2023年3月 |
K-321(フックス角膜内皮変性症)のグローバル第Ⅲ相臨床試験開始 |
当社グループは、当社及び連結子会社日本革新創薬株式会社(以下、「JIT」)の2社で構成されており、プロテインキナーゼ(*)阻害剤(*)を中心とした医薬品の研究開発を行い、開発品を製薬会社等にライセンスアウトすることによって収益を獲得する創薬事業を展開しております。
当社グループ事業の系統図は以下のとおりです。
(1)創薬事業について
① 新薬開発の流れ
一般的に新薬の開発に際しては、基礎研究、非臨床試験、臨床試験、厚生労働省(あるいはアメリカ食品医薬品局(FDA)等の各国の医薬品許認可審査機関)への製造(輸入)承認申請、医薬品としての承認取得、薬価申請・収載を経て販売が開始され、患者様へ提供することが可能となります。このうち基礎研究活動は、新薬候補化合物の合成、スクリーニング(*)、スクリーニング毒性(*)の手続により実施されます。前述の基礎研究活動が終了した後、人に対する臨床試験の前に医薬品として満たすべき条件を、実験動物を用いて副作用及び安全性、安定性の検証を行う非臨床試験によって検証します。その後の臨床試験は、第Ⅰ相臨床試験、第Ⅱ相臨床試験、第Ⅲ相臨床試験の段階をもって実施されます。(下図参照)
② 創薬事業の概要
通常、新薬の研究開発過程において、非臨床試験から臨床試験へと開発が進捗するにしたがって、開発コストは大幅に増加し、また一定規模以上の自社臨床開発体制が必要となります。
当社グループは、研究開発活動の結果として、比較的早期の開発段階において開発品を製薬会社等へライセンスアウトしておりますが、これにより、臨床開発の推進に強みを持つ製薬会社等が開発を行うこととなり、自社での開発を継続する場合に比べて、低コストでの開発体制を維持できます。
このように、当社グループの創薬事業の特徴は、一般的な医薬候補品を開発するベンチャー企業に比べ、比較的早期の研究開発段階においてライセンスアウトが達成される点にありますが、これは、当社グループが基礎研究推進における独自の技術力を有していることと、その技術を基礎研究段階において十分に活用することにより効率的な研究開発が行われていることが要因と考えております。
当社グループの売上高は、主にライセンスアウト時に受領するフロントマネー収入、臨床開発進行に伴いその節目毎に受領するマイルストーン収入、製品上市(*)後販売額の一定比率を受領するロイヤリティ収入等によるものです。既に「リパスジル塩酸塩水和物(グラナテックⓇ点眼液0.4%(以下、「グラナテック」)、グラアルファⓇ配合点眼液(以下、「グラアルファ」)及び「K-321」)」、「DW-1002」及び「DW-1001」はいずれも製薬会社にライセンスアウト済みであり、「グラナテック」、「グラアルファ」及び「DW-1002(欧州・米国等)」については、上市されロイヤリティ収入を得ております。これらのフロントマネー収入、マイルストーン収入、ロイヤリティ収入等を新規開発プロジェクトに投入することによって、次なる新規開発品の開発を進めております。
当社グループの主な売上高は、以下のもので構成されております。
|
売上高 |
内容 |
|
フロントマネー収入 |
ライセンスアウト時に受領する収入。契約締結時に発生するため、契約一時金とも言う。 |
|
マイルストーン収入 |
臨床開発進行に伴いその節目毎に受領する収入。 |
|
ロイヤリティ収入 |
製品上市後販売額の一定比率を受領する収入。特許を実施する際に得られる収入のため実施料、ライセンス料とも言う。 |
③ 開発パイプラインについて
現在、当社グループが保有する開発パイプラインは以下のとおりです。
(イ)上市品
|
製品名等 |
対象疾患 |
地域 |
ライセンスアウト先 |
||
|
リパスジル塩酸塩水和物 |
グラナテックⓇ点眼液0.4% |
緑内障・高眼圧症(*) |
日本、アジア(注) |
興和 |
|
|
リパスジル塩酸塩水和物/ブリモニジン酒石酸塩 |
グラアルファⓇ配合点眼液 |
緑内障・高眼圧症 |
日本 |
||
|
DW-1002 |
ブリリアントブルーG |
ILM-BlueⓇ、TissueBlue™ |
内境界膜染色 |
欧州・米国等 |
DORC |
|
ブリリアントブルーG/トリパンブルー |
MembraneBlue-DualⓇ |
内境界膜、網膜上膜及び増殖硝子体網膜症における増殖膜染色 |
欧州等 |
||
(注)アジア一部地域において上市されております。
(ロ)開発パイプライン
|
開発コード等 |
対象疾患 |
開発段階 |
地域 |
ライセンスアウト先 |
|
|
K-321 |
リパスジル塩酸塩水和物 |
フックス角膜内皮変性症(*) |
第Ⅲ相臨床試験 |
米国、欧州等 |
興和 |
|
DW-1002 |
ブリリアントブルーG |
内境界膜染色 |
申請 |
中国 |
DORC |
|
第Ⅲ相臨床試験 |
日本 |
わかもと製薬 |
|||
|
水晶体前嚢染色 |
第Ⅲ相臨床試験 |
日本 |
|||
|
ブリリアントブルーG/トリパンブルー |
内境界膜及び網膜上膜染色 |
申請準備中 |
米国 |
DORC |
|
|
DW-1001 |
眼科用治療剤(非開示) |
第Ⅰ相臨床試験 |
日本 |
ロート製薬 |
|
|
H-1337 |
緑内障・高眼圧症 |
後期第Ⅱ相臨床試験 |
米国 |
自社開発 |
|
|
DW-5LBT |
帯状疱疹後の神経疼痛 |
申請 |
米国 |
メドレックスと共同開発 |
|
|
DWR-2206 |
水疱性角膜症(*) |
非臨床試験 |
日本 |
アクチュアライズと共同開発 |
|
各開発パイプラインの詳細は以下のとおりです。
(イ)リパスジル塩酸塩水和物
(a)グラナテックⓇ点眼液0.4%(対象疾患:緑内障・高眼圧症)
本開発品は、プロテインキナーゼ(*)の一種であるRhoキナーゼ(*)を選択的に阻害するイソキノリンスルホンアミド化合物(*)であり、眼圧下降作用により緑内障・高眼圧症を治療する点眼剤です。緑内障治療剤における世界初の作用機序(*)を有しており、Rhoキナーゼを阻害することにより、線維柱帯-シュレム管を介する主流出路からの房水流出を促進することで眼圧を下降させます。
当社は、2002年に本開発品の全世界の権利を興和株式会社(以下、「興和」)にライセンスアウトいたしました。その後は興和により臨床試験が進められ、2014年に緑内障・高眼圧症を適応症として国内上市されました。さらに、海外展開も進められ、アジア一部地域において承認取得、販売開始されております。
(b)K-321(対象疾患:フックス角膜内皮変性症)
Rhoキナーゼ阻害剤(*)であるグラナテックは、眼内にあるキナーゼに作用する可能性があることが示唆されており、他眼科疾患への適応可能性が検討されておりました。適応拡大に向けた取り組みとして、2019年に米国第Ⅱ相臨床試験のIND申請(治験許可申請)がなされ、興和にてフックス角膜内皮変性症を適応症とした試験が行われました。その後、2022年に米国第Ⅲ相臨床試験が開始され、2023年3月に米国を含めたグローバル第Ⅲ相臨床試験が開始されました。フックス角膜内皮変性症は病態の進行にともない角膜内皮障害に至ります。重度の視覚障害を有する角膜内皮疾患のこれまでの治療法は角膜移植であり、有効な治療薬の開発が望まれています。
(c)グラアルファⓇ配合点眼液(対象疾患:緑内障・高眼圧症)
本開発品は、リパスジル塩酸塩水和物とブリモニジン酒石酸塩を含有する世界で初めての組み合わせの配合点眼剤です。2020年より、興和にて緑内障・高眼圧症を適応症として国内第Ⅲ相臨床試験が行われ、2022年に国内上市されました。緑内障の治療は、多剤併用が標準的な治療法となりつつあります。本開発品により、アドヒアランスの向上が期待され、緑内障患者様の治療に貢献できるものと考えております。
(ロ)DW-1002(単剤の対象疾患:内境界膜染色、水晶体前嚢染色、配合剤の対象疾患:内境界膜、網膜上膜及び増殖硝子体網膜症における増殖膜染色)
本開発品は、国立大学法人九州大学の研究グループが発見したBBG250(Brilliant Blue G-250)という染色性の高い色素を主成分とした眼科手術補助剤について、独占的ライセンスに基づき開発している開発品で、眼内にある内境界膜又は水晶体を保護するカプセルを一時的に安全に染色し、硝子体・白内障(*)の手術を行いやすくするものです。当社は、2017年に本事業を譲受いたしました。
日本以外の全世界向けの独占的なサブライセンスをDutch Ophthalmic Research Center International B.V.(以下、「DORC」)に付与しており、DORCは2010年から欧州等において、硝子体手術時の内境界膜染色を対象とした単剤(ブリリアントブルーG)並びに硝子体手術時の内境界膜、網膜上膜及び増殖硝子体網膜症における増殖膜染色を対象とした配合剤(ブリリアントブルーG/トリパンブルー)を製造・販売しております。2020年には米国においても単剤の販売を開始し、現在は、欧州・米国を含む世界76の国と地域で販売されております。また、単剤は2023年5月に中国へ承認申請し、さらに、配合剤は7月に米国でオーファンドラッグ指定を受けました。
国内については、わかもと製薬株式会社(以下、「わかもと製薬」)に独占的サブライセンスを付与しており、わかもと製薬は硝子体手術時の内境界膜染色、白内障手術時の水晶体前嚢染色を対象として、製造販売承認取得に向けて開発を進めております。
(ハ)DW-1001(対象疾患:非開示)
本開発品は、2015年に英国企業から導入した眼科用治療剤です。
他の疾患を適応症として既に市販されている化合物を眼科適応への適応拡大を目指す、いわゆるリポジショニングの手法での開発を目指しており、開発のコスト並びにリスクは相対的に低くなることが期待されます。
2019年に日本における独占的実施権をロート製薬株式会社(以下、「ロート製薬」)にライセンスアウトいたしました。ロート製薬では、非臨床試験を進め、2022年に国内第Ⅰ相臨床試験が良好な結果で終了いたしました。現在、国内第Ⅱ相臨床試験の準備が進められております。
(ニ)H-1337(対象疾患:緑内障・高眼圧症)
本開発品は、プロテインキナーゼ阻害剤を中心とする当社化合物ライブラリー(*)のシード化合物を基にして最適化された、緑内障・高眼圧症を対象疾患とする開発品です。当社初となる自社臨床開発を行っており、2018年に米国第Ⅰ相/前期第Ⅱ相臨床試験を終了いたしました。試験結果は良好で、有効性の主要評価項目で本開発品の有効性が確認され、安全性に関して重篤な有害事象は認められませんでした。2023年8月に米国後期第Ⅱ相臨床試験の投与を開始しております。
また、適応拡大の研究を進めており、滲出型加齢黄斑変性に対する治療効果、並びに肺高血圧に対する治療効果も動物試験において確認されております。
(ホ)DW-5LBT(対象疾患:帯状疱疹後の神経疼痛)
本開発品は、イオン液体を利用した株式会社メドレックス(以下、「メドレックス」)の独自技術ILTS(Ionic Liquid Transdermal System)を用いた新規のリドカイン(*)テープ剤であり、リドカインパップ剤Lidodermの市場をターゲットとして開発が進められております。メドレックスが帯状疱疹後の神経疼痛治療薬として開発を進めており、当社は2020年に共同開発を開始いたしました。2020年に米国FDA(米国食品医薬品局)に承認申請いたしましたが、2021年に審査完了報告通知を受領いたしました。承認取得のために必要であると指摘を受けた追加試験は良好な結果で終了しており、2023年3月に再申請を行いましたが、9月に審査完了報告通知を受領したため、FDA指摘事項に対応し、2024年1月に再度申請を行いました。
(ヘ)DWR-2206(対象疾患:水疱性角膜症)
本開発品は、水疱性角膜症を適応症とした再生医療用細胞製品で、培養ヒト角膜内皮細胞とROCK阻害剤を含有した懸濁液を前房内に注入し、角膜内皮の再生の治療に用いられます。アクチュアライズ株式会社が開発を進めており、当社は2022年に共同開発を開始いたしました。当社初となる再生医療品であり、現在、国内臨床試験に向けた準備を進めております。
④ 研究プロジェクトについて
当社グループは、プロテインキナーゼ阻害剤を中心とした新薬候補化合物の創出を行っております。プロテインキナーゼを対象とする疾患は様々ですが、特に眼科関連疾患に注力した研究を推進しております。また、自社の創薬基盤技術を活かし、他社との提携を積極的に推進しております。
主なプロジェクトとしては、眼科関連疾患や神経系、呼吸器系疾患等を対象としたシグナル伝達阻害剤開発プロジェクトを当社開発研究所(国立大学法人三重大学の研究施設)において行っております。また、共同研究として、ユビエンス株式会社との標的タンパク質(*)分解誘導薬プロジェクト、ラクオリア創薬株式会社との眼疾患治療薬創製プロジェクト等、複数のプロジェクトを進めております。
⑤ 創薬事業における当社グループ技術と研究開発の特徴について
創薬事業における当社グループ技術と研究開発の特徴は以下のとおりです。
(イ)プロテインキナーゼ阻害剤を中心とした新薬候補化合物の創製
当社グループは主にプロテインキナーゼ阻害剤を中心とした研究開発を進めております。
プロテインキナーゼは、細胞の分化、増殖等の細胞内情報伝達(*)機能を担っている重要な酵素であるとされており、そのプロテインキナーゼに対し、有望な新薬候補品である阻害剤を投与することによって治療効果を高めるのが当社グループの開発の特徴であります。
当社は、有望な新薬候補品を創製するために、独自に開発した化合物ライブラリーを保有しており、これらの開発過程で蓄積したデータやノウハウを活用して、新薬候補化合物を合成しておりますが、これらの技術力が高いことから有効な新薬候補化合物が見つかる可能性が高いと考えております。
(ロ)当社独自の標的タンパク質の同定(*)方法であるドラッグ・ウエスタン法(*)の活用
当社は、ドラッグ・ウエスタン法という独自に開発した方法を使って、新薬候補化合物の標的タンパク質を同定しております。生物学の分野では、標的タンパク質を同定するために様々な方法が利用されてきましたが、当社は、それらを踏まえて医薬品開発への応用を図り、ドラッグ・ウエスタン法を完成させました。
この方法の活用により、他の手法を活用した際に困難である新薬候補化合物の標的タンパク質の特定が容易になるほか、1回のスクリーニングで多数の標的タンパク質を同定することが可能です。既存の方法に対して、生物材料や化合物の消費量が少ないこと、スクリーニングの操作が単純であり短時間で完了すること等の長所を持ちます。
ドラッグ・ウエスタン法を活用した際の効果は、以下のとおりと考えられます。
a. 有効性:高い有効性を持つ新薬候補化合物の開発の可能性が高まります。新薬候補化合物の標的タンパク質を早期に同定することによって、その新薬候補化合物の作用機序が明らかになり、その結果から、有効な新薬候補化合物の開発へとつなげていくことが可能になると考えております。
b. 安全性:副作用や他の医薬品との相互作用の予測により、高い安全性を持つ新薬候補化合物の開発の可能性が高まります。早期に標的タンパク質を同定することによって、副作用が起こるメカニズムの推測もしやすくなり、それにより、安全性の高い新薬候補化合物の開発が可能となります。また、作用メカニズムが明らかになることにより、他の薬剤との併用の可能性の分析がしやすくなり、薬としての利用機会の拡大とリスクの低減につながりやすいと考えます。
(ハ)細胞内情報伝達研究に由来する分子薬理学(*)に関する経験及びノウハウの活用
当社グループの創業者は、長年にわたって細胞内情報伝達の研究活動及び創薬活動に従事してきており、その研究・創薬活動の中で、これまでに製薬会社と共同で2つの上市薬の誕生に貢献しております。当社グループは、こうした活動において獲得した経験とノウハウを基盤に、研究開発活動を行い、2014年には当社設立以来初の上市薬が誕生いたしました。
当社グループの新薬の開発は、この分子薬理学に関する経験及びノウハウを駆使し、新薬候補化合物を設計し、合成することによって開始されております。ここで合成された新薬候補化合物の薬理学的傾向は、過去の分子薬理学に関する経験及びノウハウからある程度予測することが可能であるため、その予測を基に効率的な研究開発が可能になると考えております。
(ニ)提携関係を活用した研究開発体制
当社グループは、国立大学法人三重大学との産学官連携講座(後述「第一部 企業情報 第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」参照)による共同研究等の提携関係を構築し、技術の取り込みを図り研究活動を進めております。また、研究開発の推進に向けては、業務受託企業等外部の企業を積極的に活用しております。こうした企業外部との提携関係を活用することによって、効率的な研究開発体制を構築することが可能となっております。
当社グループと外部機関との関係図(研究開発体制)
<用語解説>(アルファベット、あいうえお順)
* Rhoキナーゼ
タンパク質リン酸化(*)酵素(プロテインキナーゼ)の一つであり、Rho-ROCK経路を介する多彩な細胞応答の制御機構に関与する酵素です。
* イソキノリンスルホンアミド化合物
当社が開発している化合物の有する骨格(形)の名称です。
* 化合物ライブラリー
当社が長年にわたり蓄積してきた新薬候補化合物のタネとなる化合物群です。これらの化合物の一つ一つが特徴的な性質を有しており、基礎研究や新薬候補化合物発見に利用されます。
* 細胞内情報伝達
神経刺激やホルモン等の細胞外からのシグナル(信号)を細胞内の必要な箇所へ伝えるシステムのことを言います。細胞内シグナル伝達とも言います。
* 作用機序
薬物が作用する仕組みのことを言います。近年では薬物作用の明確化の重要性が高まっており、この作用機序の解明が新薬開発において注目されております。
* 上市(じょうし)
新薬が承認され、実際に市場に出る(市販される)ことを言います。
* 水疱性角膜症
角膜内皮細胞が障害を受け、角膜浮腫が起こり、角膜が白く濁って視力が著しく低下する病気。フックス角膜内皮ジストロフィ、白内障や緑内障等の眼科手術により角膜内皮細胞が減少することが原因にあげられます。治療法は角膜移植手術になります。
* スクリーニング
新薬を開発するには、多数の候補化合物の中から、効果があり安全性が高いものを選び出すことが必要となります。このような多数の化合物から新薬の候補を探す一連の流れをスクリーニングと言います。
* スクリーニング毒性
細菌を用いる復帰突然変異試験(化学物質による、発癌性を含めた遺伝子に与える変化である変異原性を、細菌を用いてテストする試験)、ほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験(明確な染色体構造を持たない細菌においては、染色体異常を検出できないため、人為的に生体外で培養したほ乳動物の細胞を用いて、染色体に対する遺伝毒性がないかをテストする試験)及びほ乳類を用いる28日間の反復毒性試験(ラット等の動物に一定期間毎日反復投与したときに現れる生体機能及び形態の変化を観察する試験)によって検出される毒性を指します。
* 阻害剤
生体内の様々な酵素分子に結合して、その酵素の活性を低下もしくは消失させる物質を指します。化学物質が特定の酵素の活性を低下もしくは消失させることにより、病気の治療薬として利用されることがあります。
* タンパク質リン酸化
タンパク質にリン酸基を移転する化学反応であり、タンパク質の働きを調節すると考えられております。
* 同定
単離した化学物質等の標的が何であるかを決定することを指します。
* ドラッグ・ウエスタン法
薬物の標的タンパク質の同定に用いられる手法で、当社がバイオテクノロジーを応用して発明し、特許を有しておりました。煩雑なタンパク質精製プロセスを介さずに、薬物が結合する少量のタンパク質を検出し、その遺伝子を特定することにより標的タンパク質を同定することができる方法です。
* 白内障
水晶体が白く濁り、視力障害を引き起こす病気です。主な原因は加齢によるもので、症状が進行している場合には、濁った水晶体を取り除き、眼内レンズを挿入する手術が行われます。日本では年間およそ120万件の手術が行われています。
* 標的タンパク質
薬物が作用する対象となるタンパク質を標的タンパク質と呼びます。生体においては多くのタンパク質が相互に作用することによって様々な機能を果たしており、多くの病気が特定のタンパク質の異常な働きによって引き起こされております。これらの病気には、これらのタンパク質を標的タンパク質として、その異常な動きを抑制する薬剤が有効となりうると考えられております。
* フックス角膜内皮変性症
角膜内皮細胞に障害がおき、角膜浮腫・混濁が生じ、視力が低下していく疾患です。欧米で多くみられ、日本では患者数が少ないとされています。現在の治療法は角膜移植しか存在せず、有効な治療薬の開発が望まれています。
* プロテインキナーゼ
ATP(アデノシン三リン酸と言われ、体内で作られる高エネルギー化合物)等、生体においてエネルギーの元となる低分子物質等のリン酸基を、タンパク質分子に転移する(リン酸化)酵素です。一般にリン酸化を触媒する酵素をキナーゼと呼び、特にタンパク質をリン酸化するキナーゼをプロテインキナーゼと言います。
* 分子薬理学
薬理学とは、薬物が生体に対してどのような作用により、影響・効果を発揮しているかを調べたり、薬物を用いて生体の機能を明らかにしたりする学問のことです。分子薬理学とは、その薬理学の調査の対象を生物の化学的性質を失わない最小の構成単位、つまり遺伝子のレベルで調べる学問です。
* リドカイン
神経末端において痛みの信号を遮断することにより痛みを軽減させる、局所麻酔薬の一種です。
* 緑内障・高眼圧症
緑内障とは、視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患です。適切に治療されずに放置すると視野狭窄から失明に至る疾患であり、日本の中途失明原因の第一位(2005年)となっております。また、高眼圧症とは、視野狭窄が無いものの、眼圧が正常値を超えている病態です。
現在、緑内障のエビデンスに基づいた唯一確実な治療法は、「眼圧を下降すること」とされており、原発開放隅角緑内障(広義)に対する治療では、薬物治療が第1選択とされております。
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名称 |
住所 |
資本金 (千円) |
主要な事業の 内容 |
議決権の所有割合又は被所有割合(%) |
関係内容 |
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(連結子会社) |
名古屋市中区 |
100,000 |
創薬事業 |
77.9 |
業務委受託 資金の貸付 役員の兼任あり |
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日本革新創薬株式会社 (注)1、2 |
(注)1 「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。
2 特定子会社に該当しております。
(1)連結会社の状況
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2023年12月31日現在 |
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従業員数(名) |
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(注)1 従業員数は就業人員であります。
2 当社グループの事業は創薬事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(2)提出会社の状況
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2023年12月31日現在 |
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従業員数(名) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
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(注)1 従業員数は就業人員であります。
2 平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。
3 当社の事業は創薬事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(3)労働組合の状況
当社グループには労働組合は組成されておりませんが、労使関係は良好であります。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
提出会社及び連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
「日本発の画期的な新薬を世界へ」という理念のもとに設立された当社グループは、設立以降プロテインキナーゼ阻害剤研究の知見から得た独自の科学技術を基に医薬品の研究開発を行っております。また、近年は他社からの開発パイプラインの導入を行い、従来に比してより有用な医薬品を早期に患者の皆様に提供することを目的に事業を推進しております。
当社グループは、新薬開発の上流である基礎研究から臨床開発までに経営資源を集中させ、創薬バイオベンチャーの先導企業を目指します。
(2)経営戦略
一般的に新薬が開発されて最終的に患者の皆様に届くまでには、10年以上の期間と多額の開発費用を要し、成功する確率も高くはありません。
このような中、当社グループは、自社技術を基とした研究型の事業を行うとともに、これらの研究の成果の価値を高めるため、研究のみではなく開発も行う研究・開発型へとシフトしております。また、自社新薬の継続的な研究開発以外にも他社からのインライセンスを積極的に進めることによる開発パイプラインの拡充にも取り組むことにより、ライセンスアウトによる収入(すなわち、フロントマネー収入、マイルストーン収入、ロイヤリティ収入)の最大化を目指してまいります。
(3)経営環境
近年の新薬開発は、従来の低分子医薬品だけではなく、抗体医薬品や核酸医薬品、再生医療等を用いた新しいアプローチ方法によるバイオ医薬品の研究開発などが行われており、技術革新が進んでいます。その結果、各社は新しい技術の特徴(治療の効果、副作用、費用対効果等)を把握し、最適な医薬品の開発を行うため、パイプライン拡充や他社との協業等、競争力強化に取り組んでおります。
このような状況の下、当社グループは新薬の継続的な創出と開発パイプラインの拡充を目指し、研究開発活動を推進しております。
(4)目標とする経営指標
当社グループの事業である医薬品の開発は、基礎研究から上市に至るまでの期間が長期間にわたり、また、先行投資型のビジネスモデルであるため、財務諸表などの一般的な経営指標の設定は適さないと考えております。
そのため、当社グループでは、開発パイプラインの本数とその進捗状況を経営指標として設定しております。収益力の高い新薬候補化合物の創製やインライセンス、臨床開発の推進に取り組むことで、今後もこれら開発パイプラインの拡充を目指し、研究開発活動に経営資源を投下する方針です。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題と施策は以下のように考えております。
① 開発パイプラインの拡充
新薬開発の成功確率は年々低下しており、保有する開発パイプラインが様々な理由で開発の遅延や中断、中止等になるリスクがあります。そのリスクに対応するためには、開発パイプラインを拡充することが必要であると考えております。基礎研究による新薬候補化合物の発見を一層推進するとともに、様々な開発ステージで構成された複数の開発パイプラインを保有するため、大学や企業等からのインライセンス活動を積極的に進めてまいります。
② 事業領域の拡大
当社グループは、自社の財務状況を踏まえて、比較的早期のライセンスアウトを目指しておりますが、ライセンスアウト時の収益性の向上が重要であると考え、非臨床試験以降の自社開発の取り組みを進めております。今後も、この事業領域の拡大に取り組み、企業価値の向上に努めてまいります。
③ 既にライセンスアウトが完了している開発パイプラインの開発支援
安定的な経営基盤の構築のため、既に製薬会社にライセンスアウトされている開発パイプラインに対し、製薬会社との協力体制の下、順調な臨床試験の推進を支援し、当該開発パイプラインの早期上市を図ってまいります。
また、現在、当社グループが保有する開発パイプラインの多くはパートナーが決まっておりますが、開発パイプラインの拡充をしていく過程で、製薬会社等との新たな協業を戦略的に進めてまいります。
④ 基盤技術の応用
当社グループは、新薬候補品を創製できることが大きな強みであるバイオベンチャーです。自社の強みを最大限に発揮するために、独自の基盤技術であるプロテインキナーゼ阻害剤の創製に注力するとともに、その技術を活かしつつ、他社との提携を積極的に進めております。また、新薬候補品のポテンシャルを最大限活かすためにプロテインキナーゼ阻害剤が応用される領域での適応拡大の検討を進めてまいります。
⑤ 財務基盤の充実
当社グループは、今後も付加価値の高い収益構造を生み出すことを目指し、保有する開発パイプラインのステージアップや開発パイプラインの拡充を図る予定であります。そのために必要に応じて、金融・資本市場からの資金調達を実施することにより、当社グループの財務基盤の充実を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは企業理念である「日本発の画期的な新薬を世界へ」の実現に向けて事業活動を行っており、サステナビリティをめぐる課題への対応は重要な経営課題であると認識しております。
当社グループにおけるサステナビリティ関連のリスク及び機会の監視及び管理は、その他の経営上のリスク及び機会と一体的に行っており、その基盤となるコーポレート・ガバナンス体制については、継続的な強化に努める方針であります。
詳細は、「
(2)戦略
当社グループは、企業理念に基づいた事業推進により、新薬を開発・提供することが人々の健康な未来の実現と社会のサステナビリティの向上に貢献することそのものであると考えています。
そのため、世界中の患者の皆様に届く新薬開発に取り組むことで、持続可能な社会の実現に貢献すると共に、中長期的・持続的な企業価値の向上を目指しております。
(3)リスク管理
当社グループにおけるサステナビリティ関連のリスク及び機会の監視及び管理は、その他の経営上のリスク及び機会と一体的に行っております。
また、その基盤となるコーポレート・ガバナンス体制が重要であるとの認識のもと、外部の弁護士が参加するコンプライアンス委員会を設置して、重要事項の検討、諮問を行っており、必要に応じて取締役会に報告しております。
詳細は、「
(4)指標及び目標
当社グループは、年齢や性別・属性等に関わらず、ポジションに最適な人材を配置することを基本として人材の多様性の確保に取り組んでおります。
また、多様な人材が最大限に能力を発揮し組織に定着をさせるには、健全かつ安全な職場環境・企業風土の醸成が重要と考えているため、有休消化率80%を目標としております(当連結会計年度の実績:56.5%)。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。
なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項及び本項記載以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。対応策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」も併せてご参照ください。
また、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業の内容について
① 当社グループの医薬品の研究開発に関する事項
(イ)研究開発の不確実性に関する事項
当社グループは医薬品開発を主業務としております。一般的に、医薬品の研究開発期間は、基礎研究段階から承認取得に至るまで長期間を要し、相当規模の研究開発投資が必要と考えられております。さらに、その成功の可能性は、他産業に比して極めて低いものとされております。従って、当社グループのライセンスアウト済パイプライン及び新規開発品にも、かかるリスクは付随しており、医薬品としての安全性・有効性が確認され上市に至るかどうかは不確定であり、新規開発品についても想定通りに開発が進められるとは限りません。これらのライセンスアウト済パイプライン及び新規開発品の不確実性は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(ロ)医薬品業界の競合関係に関する事項
当社グループが参画する医薬品業界は、国際的な巨大企業を含む国内外の数多くの企業や研究機関等による競争が激しい状態にあります。また、その技術革新は急速に進んでいる状態にあります。従って、これら競合相手との、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動における競争の結果により、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(ハ)副作用に関する事項
医薬品は、臨床試験段階から上市後に至るまで、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。これら予期せぬ副作用が発現した場合、信用力の失墜、訴訟の提起等により、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(ニ)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、「薬機法」)その他の規制に関する事項
当社グループが参画する医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬機法及び薬事行政指導、その他関係法令等により、様々な規制を受けております。
医薬品は基礎研究から製造販売承認等を取得するに至るまでには、多大な開発コストと長い年月を必要としますが、品質、有効性及び安全性に関する十分なデータが得られず、医薬品としての有用性を示すことができない場合には、承認が計画通り取得できず、上市が困難になる可能性があります。これは新規開発品を他社にライセンスアウトする場合も同様であり、薬機法その他の規制により、当初計画した条件でのライセンスアウトもしくはライセンスアウトそのものが困難になる可能性があります。
このような事象が生じた場合、また、将来各国の薬機法等の諸規制に大きな変化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(ホ)製造物責任に関する事項
医薬品事業においては、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において製造物責任を負う可能性があり、製造物責任にかかる多額の負担金の支払い等により、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
② 当社グループの事業活動に関する事項
(イ)提携関係に関する事項
当社グループは研究開発の各段階において広範な提携関係を構築し、それによって固定費の増加を回避しつつ専門性の高い技術の取込みを図っております。当社グループは自社の研究開発人員とこれらの提携関係により、戦略的かつ柔軟な研究開発体制を構築しており、さらにその他の事業活動においても様々な提携関係等を構築しております。これらの提携関係に変化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、今後も事業基盤の強化、効率的な新薬開発の実現に向けて、広範な提携関係の構築を検討してまいります。しかしながら、期待通りに提携関係が構築できない可能性があります。
(ロ)大学との共同研究実施に関する事項
当社グループは、国立大学法人三重大学(以下、「三重大学」)との間で産学官連携講座共同研究契約に基づく共同研究を実施しております。
当該共同研究にかかる当社グループの費用負担については、三重大学との協議により、当社グループが共同研究に派遣する民間等共同研究員の人数に応じた研究料及び当該共同研究において必要と見込まれる直接経費について、共同研究費として三重大学に支払っております。当該費用については、契約期間内に支払うことになっており、契約期間に対応して費用計上しております。なお、共同研究における活動状況に応じて生じる追加費用等については、相互協議による契約変更の手続きにより追加支払いを行う場合もあります。
当社グループは、今後においても当社グループの事業基盤である共同研究を継続していく方針であり、相応の共同研究費を負担することになりますが、医薬品の研究開発活動は既述の通り不確実性が高い性質を有しており、現時点では収益基盤も不安定であるため、当該研究費を吸収するだけの収益が継続的に発生しなかった場合、もしくは予期せぬ研究開発活動中の事故、外的要因や自然災害による事故が発生し、当該共同研究実施が困難になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(ハ)ライセンスアウトに関する事項
当社グループは、中期事業計画に基づき、開発品のライセンスアウトに伴うフロントマネー収入及びライセンスアウトした薬剤の開発工程で計上するマイルストーン収入、製品上市後販売額の一定比率を受領するロイヤリティ収入を収益基盤としております。
(a)ライセンスアウトに伴う収益計上時期にかかわるリスク
ライセンスアウト後に当該開発品の開発スケジュールが変更となる等により、ライセンスアウトによる収入を受領する事業年度が当社グループ予想と異なる場合、又は、ライセンスアウトを予定している開発品に関して、ライセンスアウトを達成する時期が変更となったり、ライセンスアウトそのものが困難になった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(b)開発品の開発中断及び中止にかかわるリスク
ライセンスアウト後に当該開発品の開発が中断及び中止等になり、それ以降のライセンスアウトによる収入が得られなくなる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(c)開発品の販売開始後の売上変動リスク
製造販売承認後の販売計画はライセンスアウト先に依存しており、ライセンスアウト先において、販売計画の変更や経営環境の悪化等により販売計画を達成できない等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(ニ)特定の契約先からの収入への依存に関する事項
当社グループのライセンス契約に基づく収入は、ライセンスアウト先への依存度が高いビジネスモデルとなっております。
ライセンスアウト先との契約は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載した契約期間において有効であります。しかしながら、今後、当社グループがライセンスアウトした開発品をライセンスアウト先が当初計画通りに開発推進する保証はありません。従いまして、当社グループがライセンスアウトした開発品について、ライセンスアウト先の研究開発活動に計画変更や停止が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(ホ)契約に基づく支払義務の負担に関する事項
当社グループは開発パイプラインに関する提携企業等との契約において、販売に至る前の開発段階及び販売開始後に提携先等に対する支払義務を負っている場合があります。これらの対価の支払形態は、創薬バイオベンチャー企業の事業の性質上当然のものと認識しておりますが、この結果として、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(ヘ)子会社に関する事項
当社は、2015年より子会社を有しておりますが、子会社における事業活動が計画通りに進展しない場合、また事業展開に伴う開発費用の増加等が発生する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
また、子会社に関して提携企業等と共同出資等の資本関係を有していることがありますが、提携企業等との関係に変化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(ト)小規模組織であることについての事項
当社グループは、当連結会計年度末において、従業員21名の小規模な組織であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっております。今後においては、組織規模に応じた適切な水準を維持、強化するとともに、内部管理体制の一層の充実を図る方針であります。
(チ)人材の確保及び育成に関する事項
当社グループの事業活動は、経営陣、事業を推進する各部門の責任者や構成員等に強く依存しております。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めておりますが、このような人材確保又は育成が順調に進展しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(リ)資金調達に関する事項
当社グループは、医薬品開発のための継続した研究開発活動の実施に伴い、増資を中心とした資金調達を機動的に実施していく方針であります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、資金調達の機動的な実施が困難な場合、当社グループの資金繰りや事業活動等に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(ヌ)配当政策に関する事項
当社は創業以来配当を実施しておらず、また、当事業年度末においては、会社法の規定上、配当可能な財政状態にはありません。当面は内部留保に努め、研究開発活動の継続的実施に備えることを優先していく方針ですが、株主への利益還元を重要な経営課題として、その時点における経営成績及び財政状態を勘案しつつ利益配当を検討する所存であります。しかしながら、今後も利益を安定的に計上できない場合には、配当による株主還元が困難となる可能性があります。
(ル)為替変動リスクに関する事項
当社グループは、事業活動をグローバルに展開しており、海外での研究開発活動や海外企業とのライセンス等において外貨建取引が存在しますが、特段の為替リスクヘッジは行っておりません。そのため、大幅な為替変動が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(ヲ)医療費抑制について
日本では医療費抑制策として、医療用医薬品の薬価引き下げや、ジェネリック医薬品の使用促進等の施策が行われております。海外においても、先進国を中心として薬剤費の引き下げの圧力が高まっています。今後の医療費政策の動向が当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(ワ)重要な契約に関する事項
「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載しております契約のうち、特に当社グループの研究開発体制の維持のためには三重大学との契約が重要であり、現パイプラインについては各ライセンスアウト先との契約が重要でありますが、三重大学及び各ライセンスアウト先とは契約の継続性に支障がない関係にあるものの、将来、契約内容の変更、期間満了、解除その他何らかの理由により契約の終了が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(カ)知的財産権に関する事項
当社グループは研究開発活動等において様々な知的財産権を使用しており、これらは当社グループ所有の権利であるか、あるいは適法に使用許諾を受けた権利であるものと認識しております。
なお、当連結会計年度末において当社グループが保有している特許権及び特許出願は全部で10種類あります。
しかしながら、当社グループが保有している出願中の特許が全て成立する保証はありません。また、特許が成立した場合でも、当社グループの研究開発を超える優れた研究開発により、当社グループの特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常に存在しております。当社グループの特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が開発された場合には、当社グループ事業の継続、財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
また、当連結会計年度末において、当社グループの開発に関する特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生した事実はありません。当社グループは、他者の特許権の侵害を未然に防止するため特許調査を実施しておりますが、当社グループのような研究開発型企業にとって知的財産権の問題を完全に回避するのは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、当社グループ事業の継続、財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(ヨ)訴訟等に関する事項
当社グループは当連結会計年度末において訴訟は提起されておりませんが、将来何らかの事由の発生により、訴訟等による請求を受ける可能性を完全に回避することは困難であり、この結果、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(タ)情報管理に関する事項
当社グループは、事業の過程において技術、営業に関しての機密情報を保持し、また一定の個人情報を有しています。これらの情報の流出リスクを低減するために、当社グループは、役職員、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結する等、厳重な情報管理に努めております。しかしながら、万一これらの情報が外部に漏えいした場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(レ)災害・感染症等に関する事項
当社グループの各事業所又は当社グループの取引先、関係する医療機関並びにその地域等について、地震や台風等の自然災害や火災等の事故の発生、感染症の蔓延等により、事業活動の停止・制約等が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2)業績等に関する事項
① 経営成績について
当社グループの売上高は、ライセンスアウト時に受領するフロントマネー収入、ライセンスアウトされた開発品の一定の進捗により受領するマイルストーン収入、上市によってもたらされるロイヤリティ収入等により得られます。当社グループは複数の上市品を保有しているため、毎期継続的な収入が計上されると見込んでおりますが、ロイヤリティ収入はライセンスアウト先の売上高に依存するため、将来に期待していた収入が見込めない可能性があります。また、フロントマネー収入、マイルストーン収入は、ライセンスアウト及び開発品の一定の進捗の有無により、毎期経常的に計上されているものではなく、不安定に推移しております。従いまして、過年度の経営指標及び今後開示される業績は、期間業績比較を行うための材料として、さらに今後の当社グループ業績を予測する材料としては不十分な面があります。
当社グループは、医薬品の研究開発とライセンスアウトを推進することによって、将来の継続的な黒字化を目指しておりますが、保有する開発パイプラインの価値を向上させるため積極的な先行投資を実施することにより、業績は赤字の傾向があります。従いまして、2019年12月期を除き、親会社株主に帰属する当期純利益、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスであり、将来において親会社株主に帰属する当期純利益、営業活動によるキャッシュ・フローがプラスにならない可能性もあります。
② マイナスの利益剰余金が計上されていることについて
当社グループは創薬バイオベンチャー企業であり、ライセンスアウト済パイプラインが上市し、ロイヤリティ収入等の安定的な収入を確保し、その収入が研究開発費等の費用の合計を上回るまでは、連続して親会社株主に帰属する当期純損失を計上することになります。
当社グループは開発パイプラインの拡充、ライセンスアウトの実施、ライセンスアウトが完了した開発品の上市に向けた臨床開発支援活動を行うことにより、早期の利益確保を目指しておりますが、将来において計画通りに親会社株主に帰属する当期純利益を計上できない可能性もあります。また、当社グループの事業が計画通りに進展せず、親会社株主に帰属する当期純利益を獲得できない場合には、マイナスの利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。
③ 業績予想に関する事項
当社グループは、連結会計年度毎に業績予想を公表しています。しかし、事業や経済環境の変化及び不確実性等の予測不可能な要因により、これら業績予想や目標を期限内に達成することや、目標を維持することが困難になる可能性があります。
④ 資金繰りについて
当社グループの事業計画が計画通りに進展しない等の理由から、想定したタイミングで資金を確保できなかった場合には資金不足となり、当社グループの資金繰りの状況によっては、事業存続に影響が及ぶ可能性があります。
⑤ 税務上の繰越欠損金について
当連結会計年度末において、当社グループは税務上の繰越欠損金を有しております。そのため、当社グループの業績が順調に推移する等、繰越欠損金による課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることになり、親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失及びキャッシュ・フローに影響が及ぶ可能性があります。
(3)その他
① 調達資金の使途に関する事項
増資を中心とした調達資金の使途については、開発パイプラインの拡充をしていくための研究開発資金及び事業運転資金に充当する予定です。
但し、新薬開発に関わる研究開発活動の成果が当社グループの収益に結び付くには長期間を要する一方で、研究開発にかかる成果が得られない場合もあるため、調達した資金が投資家の期待している収益に結び付かない可能性があります。
② 新株予約権に関する事項
当社は2022年7月19日付で、ウィズ AIoT エボリューション ファンド投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第11回新株予約権の発行を行いました。これらの新株予約権の目的となる株式数は当連結会計年度末において新株予約権付社債3,276,352株、新株予約権1,399,000株の合計4,675,352株となり、発行済株式総数の14.6%に相当します。当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
また、新株予約権の行使は、原則として新株予約権者の判断によるため、市場における当社株価の動向によりましては、当該新株予約権の全部又は一部が行使されない可能性があります。そのため、予定された資金が調達されるまでに一定の時間を要する可能性や、予定された資金が調達できない可能性があります。さらに、新株予約権付社債は、株式への転換が進まなかった場合には、償還期日(2027年12月27日)において残存する新株予約権付社債につき額面での一括償還が必要となります。当該新株予約権の行使が進まず、当該新株予約権による資金調達が困難になった場合は、事業計画の見直しを行うとともに、別途資金調達方法の検討を進める可能性があります。
③ 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、創薬研究及び臨床開発費用が収益に先行して発生する等の事業特性上の理由から継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローが発生しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
このような状況の解消を図るべく、当社グループは保有する開発パイプラインの順調な開発進捗による早期上市、開発パイプラインの拡充による更なる収益機会の獲得を進め、さらに、現在実施している資金調達を進めることにより研究開発に必要な資金を確保するとともに、必要に応じて新たな資金調達等を実施することも検討してまいります。
資金面においては、継続的なロイヤリティ収入及び開発費用のコントロール並びに主力金融機関及び投資会社との良好な関係のもと適時に実施している資金調達により、当連結会計年度末において1,867百万円の現金及び預金残高を有し、翌連結会計年度の事業活動を展開するための資金は確保できております。
以上のことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと認識しております。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度において、当社グループは新薬の継続的な創出と開発パイプラインの拡充を目指し、研究開発活動を推進いたしました。
上市品(緑内障治療剤「グラナテックⓇ点眼液0.4%」、緑内障治療剤「グラアルファⓇ配合点眼液」、眼科手術補助剤「DW-1002」(単剤及び配合剤))については、ライセンスアウト先において順調に販売されております。特に、「DW-1002」は販売数量の増加並びに円安の影響を受け、前期比増収で推移いたしました。
開発パイプラインについては、ライセンスアウト済み開発品であるフックス角膜内皮変性症治療剤「K-321」が3月にグローバル第Ⅲ相臨床試験を開始いたしました。また、眼科手術補助剤「DW-1002」の単剤は5月に中国へ承認申請し、さらに、配合剤は7月に米国でオーファンドラッグ指定を受けました。共同開発品である神経疼痛治療薬「DW-5LBT」は3月に再申請を行いましたが、9月に審査完了報告通知を受領したため、FDA指摘事項に対応し、2024年1月に再申請を行いました。また、再生医療用細胞製品「DWR-2206」は7月に開発計画を決定し、臨床試験に向けて準備を進めております。自社開発品である緑内障治療剤「H-1337」は8月に米国後期第Ⅱ相臨床試験の投与を開始いたしました。
研究プロジェクトについては、眼科関連疾患を中心に新薬候補化合物の探索のための研究開発活動及び他社との共同研究を推進いたしました。
以上の結果、売上高については、各上市品のロイヤリティ収入等により、合計428百万円(前期比4.4%減)を計上し、売上原価に36百万円(前期比33.0%増)を計上いたしました。
販売費及び一般管理費については、1,190百万円(前期比63.8%増)となりました。その内訳は、研究開発費が「H-1337」及び「DWR-2206」の開発費用の増加等により930百万円(前期比98.2%増)、その他販売費及び一般管理費が259百万円(前期比1.1%増)となりました。
これらにより、営業損失は798百万円(前期営業損失305百万円)、経常損失は796百万円(前期経常損失295百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は特別損失30百万円を計上したことにより、812百万円(前期親会社株主に帰属する当期純損失429百万円)となりました。
② 財政状態の状況
総資産は、前連結会計年度末から583百万円減少し、2,373百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末から521百万円減少し、2,137百万円となりました。固定資産は、前連結会計年度末から61百万円減少し、235百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末から10百万円増加し、1,093百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末から17百万円減少し、194百万円となりました。固定負債は、前連結会計年度末から27百万円増加し、899百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末から593百万円減少し、1,279百万円となりました。この結果、自己資本比率は53.9%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、前連結会計年度末に比べ467百万円減少し、1,867百万円となりました。
なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は586百万円(前期は354百万円の支出)となりました。これは主に未払金の増加額95百万円及び売上債権の減少額53百万円等があった一方で、税金等調整前当期純損失826百万円があったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は15百万円(前期は139百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出12百万円があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は134百万円(前期は867百万円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出120百万円があった一方で、長期借入れによる収入166百万円及び新株予約権の行使による株式の発行による収入88百万円があったこと等によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
該当事項はありません。
(ロ)受注実績
該当事項はありません。
(ハ)販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
|
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
創薬事業 |
428,364 |
95.6 |
|
合計 |
428,364 |
95.6 |
(注)1 当連結会計年度の主な販売実績は、ロイヤリティ収入です。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
||
|
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
|
Dutch Ophthalmic Research Center International B.V. |
220,662 |
49.2 |
277,698 |
64.8 |
|
興和株式会社 |
170,924 |
38.1 |
140,336 |
32.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は下記のとおりであります。なお、当社グループは、創薬事業の単一事業であるため、セグメント別の業績に関する記載を省略しております。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態の分析
(イ)資産
総資産は、前連結会計年度末から583百万円減少し、2,373百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末から521百万円減少し、2,137百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が467百万円、売掛金が53百万円減少したこと等によるものです。固定資産は、前連結会計年度末から61百万円減少し、235百万円となりました。主な要因は、契約関連無形資産が41百万円、投資有価証券が12百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における現金及び預金は1,867百万円であり、今後の現金及び預金の残高推移については十分に注視しつつ、研究開発活動を推進してまいります。
(ロ)負債
負債は、前連結会計年度末から10百万円増加し、1,093百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末から17百万円減少し、194百万円となりました。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が110百万円減少した一方で、未払金が97百万円増加したこと等によるものです。固定負債は、前連結会計年度末から27百万円増加し、899百万円となりました。要因は、転換社債型新株予約権付社債が128百万円減少した一方で、長期借入金が156百万円増加したことによるものです。
当連結会計年度末における借入金の残高は279百万円であり、引き続き効率的な研究開発活動を推進してまいります。
(ハ)純資産
純資産は、前連結会計年度末から593百万円減少し、1,279百万円となりました。主な要因は、転換社債型新株予約権付社債の転換及び新株予約権の行使等により資本金が117百万円、資本剰余金が117百万円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が812百万円減少したこと等によるものです。
この結果、自己資本比率は53.9%となりました。
② 経営成績の分析
(イ)売上高、売上原価
売上高は、「グラナテック」、「グラアルファ」、「DW-1002(欧州・米国等)」のロイヤリティ収入等により、合計428百万円(前期比4.4%減)を計上し、売上原価に36百万円(前期比33.0%増)を計上いたしました。当連結会計年度は契約一時金及びマイルストーン収入がなかったため、売上高は前期比減少しておりますが、ロイヤリティ収入は増加しております。特に「DW-1002」は、販売数量の増加並びに円安の影響を受け、前期比増収で推移いたしました。
(ロ)販売費及び一般管理費、営業利益
(a)研究開発費
当社グループの研究開発費は、自社創製品を発明している基礎研究と保有する全ての開発品の開発を進める臨床開発で使われているものに大別されますが、臨床開発をどのステージまで行うか、どの程度の規模で行うかによって費用が大きく増減します。当連結会計年度における研究開発費は、「H-1337」の米国後期第Ⅱ相臨床試験の費用、「DWR-2206」の開発費用、自社創製品の発明のための基礎研究並びに他社との共同研究を推進したこと等により、930百万円(前期比98.2%増)となりました。
なお、当社グループのライセンスアウト済みパイプラインの研究開発費は、「DW-1002(日本)」の一部を除いてライセンスアウト先の資金により賄われており、当社グループにおいて研究開発費負担は発生しておりません。
(b)その他販売費及び一般管理費
その他販売費及び一般管理費は、主に研究開発費以外の本社費用等となります。当連結会計年度においては、259百万円(前期比1.1%増)となりました。
これらにより、営業損失は798百万円(前期営業損失305百万円)となりました。
(ハ)経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益
経常損失は796百万円(前期経常損失295百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は特別損失30百万円を計上したことにより、812百万円(前期親会社株主に帰属する当期純損失429百万円)となりました。
③ キャッシュ・フローの分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。当社グループは、事業活動の結果得られた資金(ライセンス契約に基づくフロントマネー収入、マイルストーン収入及びロイヤリティ収入等)、並びに金融機関からの借入、金融・資本市場からの資金調達により得た資金を主な財源とし、医薬品の研究開発を進めております。新薬開発に関わる研究開発活動は長期間を要するため、資金需要の発生時に機動的に対応できるよう資金の流動性を確保しております。当社グループの現在の財政状態及びキャッシュ・フローの展望を勘案し、自社研究施設は引き続き所有しない方針を継続します。
なお、当連結会計年度末における借入金の残高は279百万円であります。また、当連結会計年度においては転換社債型新株予約権付社債の発行及び新株予約権の行使による株式の発行による資金調達を行っており、現金及び現金同等物の残高は1,867百万円となっております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績やその時点での入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と相違する場合があります。なお、連結財務諸表の作成にあたって採用している会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に、以下の重要な会計方針が連結財務諸表の作成において使用される見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産について、当該資産から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(投資有価証券及び関係会社株式の評価)
当社では、投資有価証券及び関係会社株式の実質価額の下落の有無を確認し、帳簿価額に対して著しく下落している場合は、回復の可能性が合理的に認められる場合を除いて評価損を計上することとしております。回復の可能性は事業計画や市場環境等を踏まえて判断しておりますが、実質価額の下落が明らかになった場合、減損処理が必要となる可能性があります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、保有する開発パイプラインの変動であると考えております。この変動とは、保有する開発パイプラインの新規のライセンスアウト、新規開発パイプラインの導入、開発パイプラインの臨床開発の中止・失敗・期間延長及びライセンス契約の解約等が想定されます。これらの状況により当社グループの経営成績は大きく変動いたします。
なお、事業展開上のリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
現在、当社は複数の上市品を有しており、保有する開発パイプラインの開発も順調に進んでおります。近年は、海外での事業展開にも力を入れており、「DW-1002」の中国への承認申請、米国における配合剤の開発決定、「K-321」のグローバル第Ⅲ相臨床試験の開始、「H-1337」の米国後期第Ⅱ相臨床試験の開始を行いました。開発が順調であることは、当社の企業価値に影響するだけでなく、当社の保有する基盤技術の証明になるものと考えております。
このような中、経営者の問題認識としては、今後当業界において有益な開発パイプラインの創製もしくは保有することがより一層重要になると考えております。このため、当社グループは「開発パイプラインの拡充」と「事業領域の拡大」をテーマとして、魅力ある開発パイプラインの創製、他社からの開発パイプラインの導入と自社による臨床開発を進めております。
今後の方針としては、これまでの取り組みを継続して、当社グループの開発パイプラインの充実を図っていくと共に、保有する開発パイプラインが上市され、患者の皆様への満足度の高い治療の提供と当社収益額の向上を図ってまいります。
なお、経営環境及び対処すべき課題等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(1) ライセンス契約及び共同開発契約
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開発コード |
契約先 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
|
リパスジル塩酸塩水和物(グラナテック、K-321、 グラアルファ) |
興和株式会社 |
2002年9月11日 |
契約締結日から実施料の支払が満了する日まで |
① 全世界における開発、製造、使用及び販売の再実施許諾権付き独占的実施権を許諾する。 ② 実施権の対価として、フロントマネー、マイルストーン及びロイヤリティを受領する。 |
|
DW-1001 |
英国企業 |
2015年6月2日 |
契約締結日から製品販売後10年、もしくは全ての特許満了のいずれか遅い時点まで |
① 日本における眼科領域の開発、製造、使用及び販売の再実施許諾権付き独占的実施権を取得する。 ② 実施権の対価として、フロントマネー、マイルストーン及びロイヤリティ等を支払う。 |
|
ロート製薬株式会社 |
2019年12月12日 |
契約締結日から製品販売後10年、もしくは全ての特許満了のいずれか遅い時点まで |
① 日本における眼科領域の開発、製造、使用及び販売の再実施許諾権付き独占的実施権を許諾する。 ② 実施権の対価として、フロントマネー、マイルストーン及びロイヤリティを受領する。 |
|
|
DW-1002 |
株式会社ヘリオス |
2017年1月31日 |
契約の期間の定めなし |
① 当社は、株式会社ヘリオスよりBBG250を含有する眼科手術補助剤にかかる事業を譲り受ける。 ② 本事業譲受の対価として、一時金のほか、開発や導出の進展等に伴い、マイルストーンの支払いが発生する可能性がある。 |
|
国立大学法人九州大学、株式会社ヘリオス |
2017年4月28日 |
2017年4月30日から特許権の存続期間の満了日まで |
① 国立大学法人九州大学と株式会社ヘリオス間で締結していた包括実施許諾契約書における株式会社ヘリオスの地位を当社が承継し、国立大学法人九州大学からBBG250に関する特許権の再実施許諾権付独占的通常実施権を当社が許諾を受ける。 ② 許諾の対価として、当社は、国立大学法人九州大学に対して一定の実施料を支払う。 |
|
|
わかもと製薬株式会社 |
2014年12月3日 |
契約締結日から特許権の存続期間の満了日まで、以降一方当事者による終了の通知がなければ2年間毎の自動継続 |
① 日本における内境界膜染色及び水晶体前嚢染色についてのBBG250を含有する医薬品の開発、使用、販売に関する独占的通常実施権を許諾する。 ② 許諾の対価として、一時金のほか、一定の実施料の支払いを受ける。 |
|
|
Dutch Ophthalmic Research Center International B.V. |
2009年9月9日 |
2009年9月4日から2025年12月6日まで |
① 日本以外の全世界におけるBBG250を含有する医薬品の開発、製造、製造委託、輸入、使用、市場取引、販売、流通に関する独占的実施権を許諾する。 ② 許諾の対価として、一定の実施料の支払いを受ける。 |
|
開発コード |
契約先 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
|
DW-5LBT |
株式会社メドレックス |
2020年4月16日 |
契約締結日から成果分配金の支払が満了する日まで |
① 株式会社メドレックスと「DW-5LBT」の米国における開発を共同で行う。 ② 当社は、本契約締結後の事業化の進捗状況に応じて、マイルストーンを支払う。 ③ 製品の上市後、株式会社メドレックスは、当社に対し一定の成果分配金を支払う。 |
|
DWR-2206 |
アクチュアライズ株式会社 |
2022年6月30日 |
契約締結日から全ての収益の分配が完了する日まで |
① アクチュアライズ株式会社と「DWR-2206」の日本における開発を共同で行う。 ② 当社は、日本における開発費用を負担する。 ③ 全世界における本製品に関連して得られる収益は、一定の割合で分配される。 |
(2) 共同研究
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契約先 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
|
国立大学法人三重大学 |
2009年12月25日 |
2010年1月1日から2026年12月31日 |
教育研究活動の活性化、当社の研究開発業務の支援を目的として、産学官連携講座を設置する。当該講座における共同研究により得られる知的財産権の帰属は、本契約に従い、当社、国立大学法人三重大学の各研究者が単独で発明したものはそれぞれの単独所有となり、両者共同で発明したものは協議の上貢献度を踏まえて両者間の共有となる。 |
(3) その他の契約
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契約書名 |
契約先 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
|
株主間契約書 |
ロート製薬株式会社 |
2015年11月13日 |
2015年11月13日から契約当事者いずれか一方が日本革新創薬株式会社の株式を保有しなくなるか契約当事者同士が契約書の終了を合意するまで |
① 当社とロート製薬株式会社は、日本革新創薬株式会社に共同で出資し、新たに発行する株式の60%を当社、40%をロート製薬株式会社が引き受けする。 ② ロート製薬株式会社は、一定の条件のもと保有する株式について当社に買取りを請求することができる。 |
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限度貸付契約書 |
株式会社みずほ銀行 |
2020年4月16日 |
返済期日: 2029年9月30日 |
① コミットメント期間付タームローン ② 借入限度額200百万円 ③ 無担保・無保証 ④ 本借入においては、遵守事項や期限の利益の喪失事項が定められております。 |
|
限度貸付契約書 |
株式会社みずほ銀行 |
2022年6月30日 |
返済期日: 2030年6月30日 |
① コミットメント期間付タームローン ② 借入限度額440百万円 ③ 無担保・無保証 ④ 本借入においては、遵守事項や期限の利益の喪失事項が定められております。 |
当社グループの研究開発活動はプロテインキナーゼ阻害剤を中心とした新薬候補化合物の研究開発を行っております。基礎研究から臨床開発までに経営資源を集中させるほか、それを支える研究開発体制の整備に努めております。
当連結会計年度における研究開発費は
(1)研究開発の特徴について
① プロテインキナーゼ阻害剤を中心とした新薬候補化合物の創製
当社グループは主にプロテインキナーゼを中心とした阻害剤の研究開発を進めております。
プロテインキナーゼは、細胞の分化、増殖等の細胞内情報伝達機能を担っている重要な酵素であるとされており、そのプロテインキナーゼに対し、有望な新薬候補品である阻害剤を投与することによって治療効果を高めるのが当社グループの開発の特徴であります。
当社は、有望な新薬候補品を創製するために、独自に開発した化合物ライブラリーを保有しており、これらの開発過程で蓄積したデータやノウハウを活用して、新薬候補化合物を合成しておりますが、これらの技術力が高いことから有効な新薬候補化合物が見つかる可能性が高いと考えております。
② 当社独自の標的タンパク質同定方法であるドラッグ・ウエスタン法の活用
当社は、ドラッグ・ウエスタン法という独自に開発した方法を使って、新薬候補化合物の標的タンパク質を同定しております。生物学の分野では、標的タンパク質を同定するために様々な方法が利用されてきましたが、当社は、それらを踏まえて医薬品開発への応用を図り、ドラッグ・ウエスタン法を完成させました。
この方法の活用により、他の手法を活用した際に困難である新薬候補化合物の標的タンパク質の特定が容易になるほか、1回のスクリーニングで多数の標的タンパク質を同定することが可能です。既存の方法に対して、生物材料や化合物の消費量が少ないこと、スクリーニングの操作が単純であり短時間で完了すること等の長所を持ちます。
③ 細胞内情報伝達研究に由来する分子薬理学に関する経験及びノウハウの活用
当社創業者は、長年にわたって細胞内情報伝達の研究活動及び創薬活動に従事してきており、その研究・創薬活動の中で、これまでに製薬会社と共同で2つの上市薬の誕生に貢献しております。当社グループは、こうした活動において獲得した経験とノウハウを基盤に、研究開発活動を行い、2014年には当社設立以来初の上市薬が誕生いたしました。
当社グループの新薬の開発は、この分子薬理学に関する経験及びノウハウを駆使し、新薬候補化合物を設計し、合成することによって開始されております。ここで合成された新薬候補化合物の薬理学的傾向は、過去の分子薬理学に関する経験及びノウハウからある程度予測することが可能であるため、その予測を基に効率的な研究開発が可能になると考えております。
(2)当社グループ研究開発体制について
当社グループは、効率的な研究開発を可能とするための当社グループ体制と社外提携関係による研究開発協力体制を構築しております。
① 当社グループ研究開発体制
当社グループの研究開発体制は、研究本部(生物科学、合成化学及び開発企画管理の各グループによって構成)において新薬候補化合物探索活動等を行うほか、開発本部が子会社JITと協力して製薬会社等との情報交換及びライセンスアウトに関する業務、事業開発及び臨床開発に関する業務を行っております。
② 社外提携関係
当社グループは、国立大学法人三重大学との産学官連携講座による共同研究等の提携関係を構築し、それによって固定費の増加を回避しつつ、技術の取り込みを図っております。また、基礎研究における原薬の製造や毒性試験等の実施だけでなく、自社開発の推進においても、業務受託企業を積極的に活用しております。
(3)研究開発活動について
自社開発品につきましては、8月に「H-1337」の米国後期第Ⅱ相臨床試験の投与を開始いたしました。共同開発品である「DW-5LBT」は、3月に再申請を行いましたが、9月に審査完了報告通知を受領したため、FDA指摘事項に対応し、2024年1月に再申請を行いました。また、「DWR-2206」は7月に開発計画を決定し、臨床試験に向けて準備を進めております。
創薬研究においては、新薬候補化合物の創製に向けて、シグナル伝達阻害剤開発プロジェクトを進め、眼科関連疾患を中心に研究活動を行いました。また、他社との共同研究も積極的に推進しております。
ライセンスアウト済パイプラインにつきましては、各ライセンスアウト先において開発が進められました。「K-321」は、3月にグローバル第Ⅲ相臨床試験を開始いたしました。また、「DW-1002」の単剤は5月に中国へ承認申請し、さらに、配合剤は7月に米国でオーファンドラッグ指定を受けました。
当社グループは、既にライセンスアウトされている開発品に対し、ライセンスアウト先の製薬会社との協力体制の下、順調な臨床試験の推進を支援し、当該開発品の早期上市を図るべく取り組んでおりますが、研究開発費(「DW-1002(日本)」の一部を除く)はライセンスアウト先の資金により賄われており、当社において研究開発費負担は発生しておりません。
各開発パイプラインに関する詳細は、「第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照ください。