近年、市場のグローバル化と消費者ニーズの多様化が益々進展し、企業は部材調達・製造・販売・物流等、事業活動のあらゆる面において、グローバルベースで、経営資源の最適な配置・活用を図ることが重要な経営課題になっております。当社グループは、このような企業の新たな課題に対して解決策を提供することを事業目的とし、永年にわたり手がけてきたエレクトロニクス関連分野を中心に、「世界に点在する様々なニーズを自在にコーディネートし、顧客に具体的なビジネスメリットを提供する『グローバル・ビジネス・オーガナイザー』として活動すること」を事業の基本方針としております。こうした企業活動を通して「世界のリソースの有効活用を追求し、社会システムの活性化と人類の進歩に貢献すること」を当社グループの企業理念としております。
当社グループは、SIIX VISION 2026「清く、正しく、正確に」を掲げ、2026年を最終年度とする3か年の中期経営計画を策定いたしました。この計画のもと、「①新規ビジネスへの挑戦、最高品質の提供」、「②脱炭素社会への貢献」、「③経営管理、財務」、「④人的資本経営」に取り組み、2026年度業績目標として、連結売上高3,700億円、連結営業利益155億円を目指して参ります。なお、為替レートは、足許の為替動向を考慮し、米ドルについては132円を前提としております。
既存事業であるエレクトロニクス分野において、車載関連ビジネスの深耕に加え、高品質のモノ造りの確立および製造DXを推進し、最高品質の提供と顧客満足度の向上を目指して参ります。
また、新市場の開拓、プリンテッドエレクトロニクス、ロボティクス、人材紹介ビジネスといった新規ビジネスにも注力し、収益率の向上を目指して参ります。
当社事業における温室効果ガス排出量の削減活動に加え、サプライチェーン全体での削減活動を推進し、脱炭素社会への貢献に取り組んで参ります。
収益性、成長性にもとづいたビジネスへの投資や、効率化・自動化のための設備投資を推進いたします。また、在庫削減や支払サイトの見直しなど、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮を意識した経営管理を進めて参ります。
グローバル人材の教育、エンゲージメント調査など、グローバル企業としてふさわしい人材の育成を推進し、持続的な成長を目指して参ります。
電子化、モジュール化、水平分業化がグローバルベースであらゆる産業に広がる中、当社は豊富な海外でのビジネスキャリアを背景に世界のリソースの有効活用とともにテクノロジーパートナーとの連携を強化することで、幅広い顧客のニーズに対応して参ります。今後も「信頼」をキーワードに「グローバル・ビジネス・オーガナイザー」として顧客満足の向上、環境負荷の低減や進出国の経済発展に貢献して参ります。また、クラウドサーバやウェブミーティング等を積極的に活用し、製造情報や営業情報の共有化をより一層推進することにより、感染症のまん延や自然災害など、従業員の出勤が困難となる事象が発生した場合を想定し万全なBCP体制を整えて参ります。
また、当社グループでは、サステナビリティに関する取締役会への包括的な助言機関としてサステナビリティ委員会を設置しております。前述の災害等への対応のみならず、様々な社会課題の解決のため、持続可能な社会の実現に向けて、サステナビリティに関する取り組みを一層強化して参ります。
各国の自国中心主義の政策への対応や環境への意識の高まりなどにより、柔軟な対応が求められております。当社は様々な顧客企業のニーズに確実に応えるため、以下のような課題に取り組んでおります。
① 電子部品のグローバル調達力の強化および物流サービスの高度化
② 経済の「ブロック化」に対応する地域戦略の実践
③ 顧客動向に対応した拠点ネットワークの整備拡充
④ 拠点間での情報共有化とシナジー効果の追求
⑤ 製造技術力および生産効率の向上と製造系マネジメント人材の確保
⑥ 環境・省エネ、インフラ、医療関連等、新たなエレクトロニクス分野での新規事業の開拓
⑦ 資産効率の継続的改善
⑧ 気候変動等、サステナビリティへの取り組みの促進
当社のサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
事業活動を通じた社会課題への貢献と企業の持続的成長を実現するため、サステナビリティ経営をより推進すべく、サステナビリティ委員会を設置しております。当委員会は代表取締役社長を委員長とし、取締役および執行役員全員を委員として構成されています。グループにおけるサステナビリティ方針の策定や重要課題に関する内容を検討し、目標とすべき指標等の設定や活動のモニタリングを行います。討議内容につきましては、年に2回以上取締役会に報告および提言を行っております。

リスクの詳細は「
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が2017年6月に報告した最終報告書「気候変動関連財務情報開示タスクフォースによる提言」に対して、当社は2022年7月に賛同を表明しました。TCFDの提言を踏まえ、気候変動が当社事業に与えるリスク・機会の適切な情報開示を行って参ります。
シークスでは、企業理念、CSR方針ならびにシークス行動規範にもとづき、環境に関する法令・国際協定等を遵守し、資源保護や地球環境の維持・保全に努めております。当社グループは世界15ヶ国に約50の拠点を展開しており、事業活動を行っております。事業活動により間接的に排出されるCO₂排出量についてまずは削減を進めております。
サステナビリティ委員会において、当社グループにおける気候変動問題を含めたサステナビリティに関する戦略の策定や課題解決を実施しております。本委員会は年に2回以上開催し、気候変動に関する方針にもとづいた環境管理委員会の活動状況のモニタリングを行い、課題の見直しと取り組みの方向性を決定しております。うち、経営に関する重要なテーマについては取締役会にて審議を経たうえで決定されております。2023年度の取り組みとして、2030年度に向けた温室効果ガス削減目標達成のため、環境管理委員会が実行する活動計画に対する進捗確認と今後のカーボンニュートラルの早期実現に向けた推進体制の構築および戦略、財務、ハザード、オペレーションに関するリスクについて議論いたしました。
当社グループでは、1.5℃シナリオと4℃シナリオを参照し、将来的に発生しうる気候変動関連リスクと機会の分析を実施しました。その結果、脱炭素社会への移行(政策・法規制/市場/評判)により、今後想定される事象による影響および気候変動による物理的(急性/慢性)影響が顕在化すると評価しました。
これらのリスクと機会を特定、評価する上で以下のシナリオを設定しました。
* IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change(気候変動に関する政府間パネル)
IEA : International Energy Agency(国際エネルギー機関)
低炭素・脱炭素社会への移行による当社への影響:脱炭素社会に移行するシナリオ(1.5℃シナリオ)
事象:平均気温上昇による環境変化
・平均気温上昇により、自然災害が頻発化、激甚化
・温室効果ガス排出の少ない新技術の開発、導入の進展
・温室効果ガス排出に関する規制強化により、化石燃料を大量に消費する企業などが座礁資産化
平均気温上昇による物理的な当社への影響:脱炭素社会に移行しきれず、気温上昇を招いた社会(4℃シナリオ)
事象:平均気温上昇による環境変化
・平均気温上昇により、自然災害がさらに頻発化・激甚化(1.5℃上昇より大きい影響)
・海水面上昇にともない、沿岸地域への浸水被害等の頻発化
・降雨パターン、台風の進路変更にともなう河川の氾濫等の被害の頻発化・激甚化、被害地域の変化
・自然災害の頻発化・激甚化により企業の保有資産が毀損し、企業価値が低下
気候変動関連のリスクと機会については、「サステナビリティ委員会」が主管となり、気候変動にともなう外部および内部環境の変化をモニタリングし、事業に影響を与える気候変動リスク・機会を洗い出しております。洗い出されたリスクと機会については、当社への影響度などをもとに評価・分析し、影響度の高いリスクと機会を特定しており、その後、取締役会(または経営委員会)にて審議した上で、当社事業へのリスクと機会として組み込んでおります。
当社グループでは、2022年5月に2030年度に向けた温室効果ガス削減目標を設定しました。自社の事業活動による温室効果ガスの排出量(燃料の燃焼等にともなう温室効果ガスの直接排出「SCOPE1」、購入した電力等の使用にともなう温室効果ガスの間接排出「SCOPE2」)に加えてバリューチェーン全体で排出される温室効果ガス(「SCOPE3」)の測定を行い、SBT(Science-based Target)の考え方にもとづいた削減目標を設定いたしました。温室効果ガス削減目標を達成するため、継続的に各種取り組みを推進するとともに、達成状況の評価を行って参ります。地球温暖化への対応を成長の制約やコストと捉えるのではなく、成長の機会と考え、取り組みを加速して参ります。
※CO₂排出量の2023年度実績については、2024年8月に発行する統合報告書で開示予定です。
当社グループでは、中長期的な企業価値の向上にむけて、『多様な人材の活躍推進』『人材育成』『働き方改革』を重点方針に、従業員のエンゲージメント向上を通じた「人的資本経営」の実現を目指しております。
当社グループは世界15か国で事業活動を行っており、グローバルで持続的に成長を続けていくために、多様な背景を持つ人材が、それぞれの能力に応じ力を発揮できる組織・環境づくりを進めております。各拠点においてマネジメントに携わるローカルスタッフを多く育成し、幹部一人ひとりの会社へのロイヤリティ向上を図ることで、各海外拠点の業績向上、企業価値向上へと繋げて参ります。
このように、人的資本経営の実現に向けた施策の一環として、グローバルベースでの研修体系の抜本的な見直しを行い、「シークス・アカデミー」を設立しました。「シークス社員として活躍するために必要な知識・スキルを総合的にかつ体系的に学ぶことができる場」として位置付けております。SIIX Principles(SIIXの経営理念)の浸透、社員教育の強化、ローカル幹部の底上げ、組織の若返り等を実現させて参ります。
また、女性管理職比率の向上にも取り組んでおり、中長期の目線で、女性が活躍する環境づくりを進めております。社員の自律的な成長をサポートしつつ、経験の蓄積やキャリア意識の醸成などに持続的に取り組むことで、中核人材に占める女性比率を着実に増やして参ります。
当社グループの従業員として相応しい人格と知識を持ち、グローバルに活躍できる人材の育成を目指しております。キャリア・パスとして、新卒社員については業務に必要な基礎知識・スキル習得のための座学研修を行った後、製造工場や物流倉庫における現場実習など実践研修を行うことで学びの定着を図っております。また、主に営業部においては入社から3年の経過を目途に海外赴任を経験させることを計画しております。若手の頃より言語や文化、価値観の異なる環境の中で様々な体験をすることで、ビジネスパーソンとしての大きな成長を期待しております。また、次世代幹部候補者向けの選抜教育をはじめ、管理職向け研修、役員研修、そしてローカル幹部を対象としたグローバル研修も行っております。これらの研修では、エンゲージメントスキルやリーダーシップ、業務の効率化、理念の浸透など、それぞれの立場で必要とされるテーマを設定し取り組んでおります。
当社では、リモートワークや時差出勤など、コロナ渦以降も新しい働き方を継続し、社員のワークスタイルに合わせた働き方が選択できる仕組みづくりによって、働きやすさや生産性向上を促進しております。
ワークライフバランスの向上を目指して、業務改善プロジェクトやワンジャパン活動(営業部門において部署間の垣根を取り払う協働活動)に取り組みました。これらの活動は2024年以降も継続し、成果をモニタリングして参ります。また、経営トップからの有給取得率100%の指示のもと、有給取得率も向上しております。
当社グループは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標および実績は下表のとおりであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関連する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として以下のようなものがあります。当社グループの事業等はこれら以外にも様々なリスクをともなっており、ここに記載されたものがリスクのすべてではありません。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループのコア事業であるEMS(電子機器受託製造サービス)は、多様なエレクトロニクス製品分野を対象とした事業を展開しております。特に、今後CASE(※1)およびMaaS(※2)といった大きな可能性を有する車載関連機器分野およびIoT等のメカからエレキへと変革が進む産業機器分野を注力領域と位置づけており、これらの分野は連結売上高の約8割を占めるに至っております。このような状況から、これらの事業分野に属する顧客の事業動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、エレクトロニクス業界は、技術革新や新製品の開発によって大きな市場の成長を見込める反面、メーカー間の競争激化、商品の早期陳腐化等により予想外の価格低下、需給バランスの変化等が起こる可能性があります。例えばデジタル家電市場等においては上記のような傾向が比較的強く、予期せぬ需給ギャップが発生することによって、生産調整、受注取消、設備過剰、在庫増加・陳腐化、利益率低下等、業績に影響を及ぼす可能性があります。
※1 CASEとは、Connectivity(接続性)、Autonomous(自動運転)、Shared(共有)およびElectric(電動化)を総称する造語であり、現在の自動車業界において追求されている次世代の技術およびサービスの総称をいいます。
※2 MaaSとは、Mobility as a Serviceの略称であり、ICTを活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体に係らず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を1つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念をいいます。
当社グループは、様々な通貨・条件で海外との取引を行っているため、為替リスクの回避に注意を払っております。基本的に、(a)同一通貨による仕入と販売、(b)為替予約、(c)顧客との為替リスク負担に関する取決め等により、為替リスクをヘッジしておりますが、急激な為替変動が、売上高および利益に影響を与えることがあります。
当社グループは、グローバルネットワークを活用した国内外での取引に強みを発揮しており、現在、国内子会社として1社、在外子会社として23社および持分法適用関連会社3社等をあわせて、グローバルに活動しております。そのため、所在国・地域の政治経済情勢の悪化、法律・規制・税制の変更、通貨政策の変更、社会的混乱等のカントリーリスク、自然災害の発生によるハザードリスクや感染症の蔓延等が、直接または間接的に当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、金融機関からの借入等により必要な事業資金を調達しております。実行に際しては金利動向に応じ、適宜、変動ないし固定金利調達としているほか、デリバティブ取引(金利スワップ契約等)を活用することで金利変動リスクを軽減しておりますが、予期せぬ市場金利の変動が当社グループの損益に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは国内外を問わず生産するすべての商品について、万全の品質管理に努めております。連結ベースで、シークスグループの品質問題への対応を組織的に行っており、品質最高責任者は代表取締役社長と定めております。シークスグループ品質方針は、次のとおりであります。
『当社グループは、エレクトロニクス関連分野を中心に、商社機能とメーカー機能を併せ持ち、「世界に点在する様々なニーズを自在にコーディネートし、顧客に具体的なビジネスメリット(顧客価値)QCDSを提供する『グローバル・ビジネス・オーガナイザー』たること」を基本方針とし、「世界のリソースの有効活用を追求し、社会システムの活性化と人類の進歩に貢献する」ことを目指して継続的な改善、改革を含めた企業活動を推進する。』
このような方針のもと、活動は進めているものの予期せぬ重大なクレームが発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
各国政府・自治体から発出される入国規制や行動制限などの感染症拡大防止政策等が、感染拡大やその収束時期によっては、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、当該状況が長期化する場合には、当社グループが注力する分野であるエレクトロニクス製品の需要動向等に対しても影響が生じる可能性も考えられます。
このような可能性を踏まえ、当社グループは、従業員の安全確保、顧客企業の動向、各国の政策、部材および完成品の出入荷に関する物流の状況等を管理することを目的として、定期的に世界各地の情報を把握しております。今後も、当社グループは、事業活動への影響低減を目的とした対応を推進していく方針であります。
しかしながら、今後における上記事項の動向により、当社グループの業績、財政状態およびキャッシュ・フローに影響を及ぼし、減損等が生じる可能性があります。
当社グループでは、事業活動を行うにあたり、取引先情報、営業秘密情報、個人情報等の機密情報を保有しております。サイバー攻撃による不正アクセスや社内の人為的過失等により発生する情報の漏洩、改ざん、紛失等を防止するため、セキュリティ管理体制の強化、定期的な従業員教育、セキュリティ対策製品の導入などに取り組んでおります。しかしながら、予想を超えるサイバー攻撃や予期できない不正行為等により、情報の漏洩や事業活動の停止等の事態が発生する可能性があります。その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 気候変動
当社グループにおける気候変動に関するリスクの詳細につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
① 経営成績の状況
当連結会計年度の経済環境を顧みますと、米国では、個人消費や非製造業は底堅く推移しているものの、生産調整局面の長期化等から製造業は減速傾向にあります。欧州では、ウクライナ情勢を受けた資源価格の高騰や物価上昇等の継続、および高金利の影響等により、個人消費・企業の経済活動へ下押しの圧力が強まっており、景気は低迷しております。アジアにおいて、中国では、個人消費の減少傾向の持続や、不動産不況および輸出不振の継続が景気を下押ししております。その他のアジア各国では、活動制限が解除されたことにより内需の景気回復が持続している国もありますが、インフレの長期化・輸出不振等の影響が大きい国もあり、先行き不透明な状況となっております。日本では、新型コロナの感染症法上の位置づけが5類へ引き下げられたことから、個人消費の拡大やインバウンド需要の回復が景気を後押ししております。当社グループが関連するエレクトロニクス市場は、長期化していた半導体不足に需給の改善がみられたものの、中国経済の鈍化や設備投資需要の減速などによりやや弱含みで推移しております。しかし、中長期的にはCASEやIoTといった技術革新の進行とともに、気候変動対策および脱炭素対策としての自動車や産業機器の電動化ニーズがさらに拡大していく市場であると認識しております。こうした状況下、当社グループでは、日系・非日系を問わず大手グローバル企業との取引拡大を目指しております。
このような状況下、当社の当連結会計年度の業績は、売上高は3,097億6千8百万円と前連結会計年度に比べて327億3千6百万円の増加(11.8%増)となりました。利益面では、営業利益は122億5千4百万円と前連結会計年度に比べて33億2千5百万円の増加(37.2%増)となり、経常利益は118億4千9百万円と前連結会計年度に比べて35億1千1百万円の増加(42.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は81億8千5百万円となり、前連結会計年度に比べて34億5千1百万円の増加(72.9%増)となりました。
なお、当連結会計年度における当社の主要通貨の平均為替レートは、米ドルが140.40円(前連結会計年度比7.0%円安)、ユーロが151.78円(前連結会計年度比9.9%円安)、中国元が19.80円(前連結会計年度比1.6%円安)、タイバーツが4.03円(前連結会計年度比7.8%円安)であります。
また、当連結会計年度における業績の分析等については、セグメント別の業績および要因に記載しております。
セグメント別の業績および要因は次のとおりであります。本文中の「セグメント利益」および「セグメント損失」は、連結損益計算書の営業利益を基礎としております。
(日本)
産業機器用部材および車載関連機器用部材の出荷が増加したことにより、当セグメントの売上高は1,133億2千万円と前連結会計年度に比べて140億2千1百万円の増加(14.1%増)となりました。利益面では、売上高が増加したこと等により、セグメント利益は18億6千5百万円と前連結会計年度に比べて7億2百万円の増加(60.5%増)となりました。
(中華圏)
中国国内経済の低迷を受け家電機器用部材および産業機器用部材の出荷が減少したことにより、当セグメントの売上高は930億7千7百万円と前連結会計年度に比べて36億1千6百万円の減少(3.7%減)となりました。
利益面では、売上高が減少したこと等により、セグメント利益は9億6千5百万円と前連結会計年度に比べて5億6千7百万円の減少(37.0%減)となりました。
(東南アジア)
車載関連機器用部材および産業機器用部材の出荷が増加したことに加えて、主に米国ドルに対する円安の影響もあり、当セグメントの売上高は1,222億2千8百万円と前連結会計年度に比べて132億3千3百万円の増加(12.1%増)となりました。利益面では、売上高が増加したこと等により、セグメント利益は57億5百万円と前連結会計年度に比べて8億4千8百万円の増加(17.5%増)となりました。
(欧州)
車載関連機器用部材および産業機器用部材の出荷が増加したこと等により、当セグメントの売上高は235億7千5百万円と前連結会計年度に比べて62億4千2百万円の増加(36.0%増)となりました。利益面では、半導体や電子部品のサプライチェーンの混乱による生産効率の低下やウクライナ侵攻による資源価格等の高騰もあり、6億7千8百万円のセグメント損失(前連結会計年度は6億3千2百万円のセグメント損失)となりました。
(米州)
車載関連機器用部材および産業機器用部材の出荷が増加したことに加えて、主に米国ドルに対する円安の影響もあり、売上高は731億4千5百万円と前連結会計年度に比べて102億7千8百万円の増加(16.3%増)となりました。
利益面では、売上高が増加したこと等により、セグメント利益は36億6千6百万円と前連結会計年度に比べて13億8千9百万円の増加(61.1%増)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
総資産は、前連結会計年度末に比べて116億6千7百万円増加(5.7%増)し、2,168億3千8百万円となりました。
流動資産は、主要通貨の円安影響もあり、現金及び預金44億4千8百万円の増加(32.2%増)および受取手形、売掛金及び契約資産53億4千1百万円の増加(9.7%増)等により、前連結会計年度末に比べて73億4千6百万円増加(4.9%増)し、1,576億2千1百万円となりました。
固定資産は、主要通貨の円安影響および各海外生産拠点での設備投資にともなう機械装置の増加もあり、有形固定資産36億6千8百万円の増加(8.1%増)等により、前連結会計年度末に比べて43億2千1百万円増加(7.9%増)し、592億1千6百万円となりました。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末に比べて4億8千8百万円減少(0.4%減)し、1,272億9千2百万円となりました。
流動負債は、短期借入金80億3千3百万円の減少(22.2%減)等により、前連結会計年度末に比べて79億4千4百万円減少(8.2%減)し、886億5千3百万円となりました。
固定負債は、長期借入金70億1千4百万円の増加(46.4%増)等により、前連結会計年度末に比べて74億5千6百万円増加(23.9%増)し、386億3千8百万円となりました。
(純資産)
純資産は、為替レートの変動にともなう為替換算調整勘定58億5千2百万円の増加(41.0%増)および利益剰余金68億8千3百万円の増加(11.4%増)等により、前連結会計年度末に比べて121億5千6百万円増加(15.7%増)し、895億4千5百万円となりました。
この結果、自己資本比率は37.5%から41.1%に増加いたしました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度において、現金及び現金同等物 (以下「資金」という。) は、前連結会計年度末に比べて44億6百万円増加(32.3%増)し、当連結会計年度末における資金は180億5千9百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況および要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、197億9千6百万円(前連結会計年度は55億6千7百万円の増加)となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の増加額27億4千1百万円の資金減少要因に対し、税金等調整前当期純利益118億5千2百万円、減価償却費89億2千8百万円および棚卸資産の減少額61億7千5百万円の資金増加要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、103億9千2百万円(前連結会計年度は88億9千2百万円の減少)となりました。これは主に、各海外生産拠点において行われた設備投資にともなう有形固定資産の取得による支出99億9千7百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、59億8千9百万円(前連結会計年度は66億7千6百万円の増加)となりました。これは主に、長期借入れによる収入140億6千1百万円に対し、短期借入金の純減少額による支出96億8千1百万円および長期借入金の返済による支出78億3千万円によるものであります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)各指標の算出方法
・ 自己資本比率 : 自己資本÷総資産
・ 時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額÷総資産
・ キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債((期首+期末)÷2)÷営業キャッシュ・フロー
・ インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー÷利払い
1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
4 利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
5 2021年12月期は営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。
① 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注) 1 金額については、仕入価格により表示しております。
2 金額については、セグメント間の内部仕入高または振替高を含んでおります。
② 受注実績
該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注) 金額については、セグメント間の内部売上高または振替高を含んでおります。
(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。
① 経営成績等の分析
当社事業の中心であるエレクトロニクス分野におきましては、CASE、IoT、DXなど大きな技術革新が起こっております。また技術革新のみならず、脱炭素社会に向けた需要も高まっており、このような市場環境の変化に柔軟に対応していくため、当社はグローバルベースで顧客の様々なニーズに対応することを主眼に電子部品の調達、基板実装、成形事業などワンストップソリューションの提供を進めております。
このような状況下、当社の当連結会計年度の業績は、売上高は3,097億6千8百万円と前連結会計年度に比べて327億3千6百万円の増加(11.8%増)となりました。営業利益は122億5千4百万円と前連結会計年度に比べて33億2千5百万円の増加(37.2%増)となりました。
当連結会計年度の業績と当初予想との差異要因につきましては、ウクライナ侵攻に端を発した欧州経済の低迷、資源価格の高騰、また中国経済の鈍化や設備投資需要の減速等により、主に欧州セグメントに属するハンガリー工場および中華圏セグメントに属する中国・湖北工場において収益が押し下げられました。一方、米州セグメントにおいては車載関連機器の出荷が好調であったこと、また東南アジアセグメントにおいても車載関連機器および産業機器の出荷が好調であったことなどが収益の増加に貢献いたしました。
今後につきましては、当社事業の主力である車載関連機器の市場は世界の自動車需要の回復を背景に堅調に推移すると見込まれるものの、各国経済の動向や一部の顧客における在庫消化の動き等、需要面の不透明感を一定程度見込んでおります。一方で、中華圏セグメント、欧州セグメントにおいては新規顧客向けの量産を本格化し、それぞれのエリアにおける収益性の改善を図って参ります。その他の地域においても、中長期的には世界各地でCASEやIoT、DXの広がりを背景に大手グローバル企業との取引を拡大させて参ります。
各経営指標は、以下のとおりであります。
② 資本の財源および資金の流動性
当社グループの主な資金需要としては、短期的なものとして商品等の仕入、製造費用および販管費等の運転資金、長期的なものとして、生産能力増強および合理化等のための設備投資資金があります。これらの事業運営上必要な資金については、資金の流動性および源泉を安定的に確保することを基本とし、運転資金については、自己資金および金融機関からの短期借入、設備投資資金については、金融機関からの長期借入等の要否を検討し、資金調達を行っております。
なお、当連結会計年度の資金調達について、特記すべき事項はありません。
また、当連結会計年度における設備投資等の概要ならびに重要な設備投資計画の予定金額とその資金調達方法については、「第3 設備の状況」をご参照ください。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって用いた重要な会計上の見積りおよび当該見積りの仮定は、以下のとおりであります。
なお、これらの見積りは過去の実績や連結財務諸表作成時点で入手可能な外部情報等にもとづき合理的に行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、回収可能価額を事業計画にもとづく将来キャッシュ・フローや割引率、固定資産の時価等により見積り、その額が帳簿価額を下回る場合は帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として認識します。
減損の兆候の認識および減損損失の測定にあたっては、慎重に検討を行っておりますが、事業計画や経済環境等、見積りの前提条件に変更があった場合においては、認識される減損損失の金額に影響を及ぼす可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(棚卸資産の評価)
当社グループは、棚卸資産について、需要動向および市況の変化にもとづく過剰または長期滞留や陳腐化を考慮した上で、適正な価値で評価いたします。取得日から一定期間を経過している棚卸資産については、収益性の低下にともなう正味売却価額を見積り、帳簿価額との差額を評価損失として認識します。
メーカー間の競争激化等にともなう市況変動や製品ライフサイクルの変化等により収益性が変動し、棚卸資産の評価額に影響を及ぼす可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループでは、事業計画にもとづいて将来の課税所得の見込みを算定し、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を認識します。
なお、当該回収可能性は将来の課税所得の見積りにもとづいて判断するため、見積りの前提とした事業計画とのかい離や想定外の経済環境の悪化等により課税所得が減少した場合、繰延税金資産の減額にともなう税金費用を計上する可能性があります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営業績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
該当事項はありません。
該当事項はありません。