第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「先生と患者さんに喜ばれたい」を経営理念としております。

 この経営理念に基づき、お客様視点に立った商品開発と誠実なビジネスを行うこと、並びに、歯科の重要性を広くアピールすることによってマーケットの拡大を目指し、仕入先様、お客様、その先にいる患者さんに喜ばれる存在になることを経営の基本方針としております。

 

(2)経営環境

 当連結会計年度における世界経済は、政府が新型コロナウイルス感染症の感染症上の位置づけを2類相当から5類感染症へ変更したことで、経済活動は感染症拡大前とほぼ同水準に戻り正常化へ向かっておりますが、エネルギー価格や原材料価格の高止まりの影響により、依然として不安定な状況が続いております。

 歯科関連業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大前までは歯科医療費は増加傾向にあるなど、国内歯科関連業界全体の事業環境は緩やかな回復が見られておりましたが、上記の影響により先行きが不透明な状況が続いております。こうした中でも、歯科治療領域でのデンタルソリューション関連装置等がマーケットを牽引することにより、歯科機器・用品マーケットの増加傾向は続く見通しです。

 

(3)経営戦略及び優先的に対処すべき課題

 当社グループは、歯科医院や歯科技工所を中心に、各種医療機関等への通信販売等を主たる業務としております。「先生と患者さんに喜ばれたい」という経営理念のもと、デンタルケア製品の企画・販売を中心にさまざまな事業を展開しております。徹底した「お客様視点」を重視し、当社が商品開発及び企画し商品化された商品の仕入れ、販売まで一貫して手掛ける体制を特徴としており、コールセンター、カスタマーサポート、ロジスティクスセンター等の内製化の強化を行い、低価格・高品質である「欲しかった商品」の開発に努め、より安価な販売価格の実現にグループ各社で努力し続けております。特に2015年5月より、医科分野へ参入し、病院・一般診療所向け通販カタログ『メディカルカタログ』を創刊し、販売取引拡大を目指しております。

 また、当社グループにおきましては通信販売には不向きとされた大型医療機器(デジタルレントゲン医療機器等)販売を2017年にスタートさせ、当連結会計年度まで続伸で推移している等、通信販売になかった製品やサービスの提供により新たな市場の開拓へ取り組んでおります。

 大型医療機器(デジタルレントゲン医療機器等)販売、ホームページ等のデジタルサービス及びソリューションの提供体制を強化するため、引き続き国内主要都市での営業拠点の整備拡充、営業人員の増員ならびにメンテナンス等のアフターサービス体制の強化に取り組んでまいります。

 また2023年10月に竣工した新本社ロジスティクスセンターにより、商品の保管能力及び出荷能力が約3倍に増強する計画であることから、当社グループの主力事業である通信販売事業を中心に、新商品の販売及び個人医院・総合病院等の医科業界への拡大を更に深め、動物病院、介護業界、理美容業界、幼稚園・保育園業界などへの拡大も更に進め、保管能力並びに出荷能力が大幅に増強されることにより、商品購買や管理、受注などを請け負う「3PL事業(物流受託事業)」の拡大が可能となることから、今後の本格稼働に向けて新たな顧客(提携)企業の募集を開始し、前述の出荷体制の安定化及び迅速化と併せて、物流の2024年問題の解消に向けて貢献してまいります。

 

 係る状況のもと、当社グループが優先的に対処すべき課題としては、下記があげられます。

① 経営管理体制の強化

 当社グループは、企業規模拡大の基礎となる経営管理体制、コーポレート・ガバナンスをより強化し、事業運営上の問題点の把握、コンプライアンスの徹底、適切なディスクロージャーやIR活動に取り組むことが企業価値の向上に繋がるものと認識しております。

 

② 人材の育成及び確保

 経営資源の重要要素である人材については、社員教育や研修制度の充実、コミュニケーションの活性化、適材適所での潜在能力の発揮等を推進し、一人当たりの生産性向上を図ります。

 また、事業の拡大に伴い、新規の採用活動についても積極的に取り組んでまいります。

 

③ 歯科医院以外の分野

 当社グループのサービスは、全国約7万軒の歯科医院のうち6万軒にご利用をいただいております。

 このため、歯科医院以外への新たな分野の開拓が課題となっております。今後は歯科医院以外の医科や介護・福祉施設、動物病院、理美容業界、幼稚園・保育園業界など顧客拡大を目指してまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益であります。

 当社グループの2023年12月期の経営指標として、同期初時点での計画値は450億30百万円、営業利益は40億30百万円、経常利益は40億16百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は25億46百万円としておりましたが、同期実績は売上高は456億28百万円、営業利益29億89百万円、経常利益は32億95百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は20億82百万円となりました。その主な要因は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載の通りです。

 当社グループでは、主力の歯科医院や歯科技工所向け通販を中心に、新商品の販売及び個人医院・総合病院等の医科業界への拡大を深め、動物病院、介護業界、理美容業界、幼稚園・保育園業界など参入を進めております。また、大型医療機器(デジタルレントゲン医療機器等)、ホームページ等のデジタルサービス及びソリューションの提供体制を強化するため、引き続き国内主要都市での営業拠点の整備拡充、営業人員の増員ならびにメンテナンス等のアフターサービス体制の強化に取り組んでおります。

 上記施策により、当社グループは2024年12月期の連結経営指標として、売上高500億00百万円(前期比9.6%増)、営業利益35億28百万円(同18.0%増)、経常利益36億20百万円(同9.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益24億47百万円(同17.5%増)の達成を目指してまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社は、「先生と患者さんに喜ばれたい。」という経営理念に基づき、お客様視点に立った、商品開発と誠実なビジネスを行い、さらに、歯科の重要性を広くアピールして、マーケットの拡大を目指し、仕入先、お客様、その先にいる患者さんに喜ばれる存在になれるよう努めております。当社は、霊峰白山を望む大自然に囲まれた環境の中で地域の方々と共に歩んで参りました。私たちは一企業市民として、お取引頂いている企業の方、医院様、そして患者様と同じく、地域においても、喜んで頂ける存在であるよう努めその社会的責任を果たしていかなければならないと考えています。

 

上記方針に基づき、事業活動における社会課題への影響を改めて分析・整理するとともに、特に重要と考える項目を重要課題(マテリアリティ)として特定し、それぞれの項目について達成に向けて継続的に取り組むことにより、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

マテリアリティ

内容

多様な人材の確保と育成

中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、多様性の確保に併せて社内教育や外部機関による人材教育を進めて、多様性の確保、定着に努めています。

一企業市民としての

社会的貢献

お取引頂いている企業の方、医院様、そして患者様と同じく、地域においても、喜んで頂ける存在であるよう社会的な責任を果たしてまいります。

環境保全に対する

継続的な取組み

CO2排出量の削減、資源循環の実現等、環境保全へ取り組みを継続してまいります。

 

(1)ガバナンス及びリスク管理

当社では、CSR及びサステナビリティに関する経営上の重要な課題等について取締役会に付議・報告しております。また、取締役会ではCSR及びサステナビリティを含む当社グループ全体のリスク及び機会について審議・監督を行っております。また、当社は緊急事態及び平常時の活動におけるリスクマネジメント対応のプロセスについて、リスクマネジメント規程に方針及び対応を定めております。

今後はCSR及びサステナビリティに関する専門チームの立ち上げ並びに継続的にモニタリングを実施し、経営陣に適時報告する体制の構築について検討してまいります。

 

(2)戦略

①サステナビリティに関する戦略

イノベーションによる持続可能な社会への貢献と持続可能なものづくり体制の構築に向け、当社グループの事業における気候変動関連のリスクと機会を抽出し、それらの性質を分析しました。

 

 

区分

詳細区分

時間軸

リスクおよび

機会の内容

 

当社の対応方針

 

移行

リスク

 

エネルギーコストの

上昇

短期

エネルギーコストの上昇に伴う費用増大

消費エネルギー量削減の強化、自社太陽光発電設備による売電事業

 

物理的

リスク

 

風水害や山火事等の災害激甚化に関連するリスク

中期

事業拠点並びに

周辺地域の被災

BCPの検討を強化、新本社ロジスティクスセンター(石川県能美市)の周辺地域の災害対応拠点としての役割を担う

 

機会

 

当社の主力事業である

通信販売事業及びその他の事業における市場の環境変化による新たなビジネスチャンス

長期

資源循環及び環境保全意識の高まりを受けた商品・サービスの拡充

サステナビリティ貢献商品・サービス提供の強化

 

現在の当社グループの取り組みとしましては、以下の通りであります。

 

・2009年より始めた、石川県内保健施設及び小・中学校へのマスク配布、並びに地域公共施設へのAED提供は、このような思いから毎年実施しており、従業員一人一人が地域の皆様の健康を守りより安心して暮らしていける環境づくりに繋げてまいります。

 

・2023年10月2日に竣工しました新本社ロジスティクスセンター(石川県能美市)におきまして、保管能力並びに出荷能力が大幅に増強されることにより、出荷体制の安定化及び迅速化と併せて、物流の2024年問題の解消に向けて貢献してまいります。また、同センターには災害時用のヘリポートを設置しており、地元の能美市とは2023年10月2日付で災害時における避難所としての施設利用に関する協定書並びに物資供給に関する協定書を締結しております。災害時等には周辺地域の災害対応拠点としての役割を担うことと併せ、周辺地域への生活必要物資の供給拠点としての役割も担ってまいります。

 

・当社の主たるお取引先様である医療系施設に対して、太陽光や風力などの再生可能エネルギー100%で発電したCO2排出量がゼロの電気の提供プラン「Ciグリーン電気」や太陽光発電PPAサービスの提供等をおこなっており、環境保全への取り組みについても継続してまいります。

 

今後は、抽出したリスク及び機会に対する当社グループの活動について分析と管理を続けて、一企業市民としての社会的貢献並びに環境保全に対する取組みを継続してまいります。

 

②人的資本に関する戦略

当社は女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等で特に制限は設けておらず、中核人材の登用等における多様性の確保については現在も中途入社を積極的に採用しており、幅広い知識や経験を拡大させることにより、企業成長を促進しています。女性社員の採用も積極的に進めており、女性社員比率は53.6%、女性管理職比率は31.4%となっております。また、当社は輸入等の海外との取引も増加しており外国人等のグローバル人材の採用も積極的に行っております。今後も中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、多様性の確保に併せて社内教育や外部機関による人材教育を進めて、多様性の確保、定着に努めています。

 

(3)指標及び目標

また、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、サステナビリティに関する戦略及び人的資本に関する戦略において、社内環境整備に関する方針について次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次の通りであります。

 

①サステナビリティに関する戦略

サステナビリティに関する戦略の具体的な指標及び目標については、現在検討中であります。今後の当社の重要な課題として継続的に検討を進めてまいります。

 

②人的資本に関する戦略

指標

目標

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2026年12月までに40%

31.4%

労働者の男女の賃金の差異

2026年12月までに65%

57.9%

有給休暇取得率

2026年12月までに90%

84.1%

 

 

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要リスクには、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)販売業等の許可等に関するリスク

 当社グループの販売する歯科材料や歯科用機械器具類、薬用歯みがき類及び体外診断用医薬品は、人の口腔内疾患の診断、治療若しくは予防等に使用されるため、開発・製造段階から流通(販売後)に至るまで、細部にわたって医薬品医療機器等法の規制を受けており、法によって医薬品や医薬部外品、医療機器等に分類されます。これら商品を市販するには、販売業許可を都道府県知事から受ける必要があります。この許可要件としては、申請者に欠格要件が無いことや資格を有する管理者を相当数確保配置すること、また、医薬品や医薬部外品、医療機器等を医療機関に販売するためには、販売業許可も必要になります。当社グループではこれらの許可等の継続は事業にとって最重要課題のひとつとして認識をし、対応しておりますが、何らかの理由によりこれらの許可等を取り消される事態に至った場合、当社グループの事業の継続にとって悪影響を及ぼす可能性があります。上記許可等の有効期間は、販売業許可が6年、製造業許可が5年であり、法令で定める許可要件を満たさなくなった場合には、許可の取消がなされる可能性がありますが、本書提出日現在において、その継続に支障を来す要因は発生しておりません。なお、主な許認可は以下のとおりであります。

許認可等の名称

会社名

所管

官庁等

許認可等の内容

(有効期限)

法令違反の要件及び主な許認可取消事由

医薬品販売業許可

株式会社歯愛メディカル

石川県

許可番号卸第2C0040号

(2023年9月1日から

2029年8月31日まで)

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、「医薬品医療機器等法」という)その他薬事に関する法令若しくはこれに基づく処分に違反する行為があったとき、又は役員等が欠格条項に該当したとき(法第75条)

高度管理医療機器等販売業・貸与業許可

株式会社歯愛メディカル

石川県

許可番号第2H0197号

(2023年9月1日から

2029年8月31日まで)

動物用医薬品店舗販売業許可

株式会社歯愛メディカル

石川県

石川県指令南畜第459号

(2023年9月1日から

2029年8月31日まで)

動物用高度管理医療機器等販売・貸与業許可

株式会社歯愛メディカル

石川県

石川県指令南畜第461号

(2023年9月1日から

2029年8月31日まで)

第二種医療機器製造販売業許可

株式会社歯愛メディカル

石川県

許可番号第17B2X10001号

(2023年3月5日から

2028年3月4日まで)

医療機器製造業登録

株式会社歯愛メディカル

石川県

登録番号第17BZ200048号

(2023年9月18日から
2028年9月17日まで)

医薬品販売業許可

株式会社デミライン

石川県

許可番号卸第2C0042号

(2023年12月1日から

2029年11月30日まで)

高度管理医療機器等販売業・貸与業許可

株式会社デミライン

石川県

許可番号第2H0202号

(2023年12月1日から

2029年11月30日まで)

高度管理医療機器等販売・貸与業許可

株式会社デンタルフィット

石川県

許可番号第3H0148号

(2020年10月10日から

2026年10月9日まで)

第一種医療機器製造販売業許可

株式会社RayVision

埼玉県

許可番号11B1X10032

(2023年2月27日から

2028年2月26日まで)

 

 

(2)品質及び安全性に関するリスク

 当社グループは「医薬品医療機器等法」やその他規制要求事項を遵守し、適切に品質管理を行っておりますが、当社グループが販売する医薬品や医薬部外品、医療機器等の使用によって、保健衛生上の危害が発生し、又は拡大するおそれがある場合には、これを防止するために、商品の自主回収、廃棄、販売の停止、情報の提供等必要な安全確保措置を講じなければなりません。その結果によっては当社グループが販売する商品の品質及び安全性に対する信用を損ない経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)法規制又は訴訟に関するリスク

 当社グループの事業は、「医薬品医療機器等法」、「特定商取引に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、その他にも環境規制等の様々な法規制に関連しております。当社グループでは法令遵守をはじめコンプライアンスを常に考慮した経営に努めておりますが、意図せざる理由により法令違反又は訴訟提起等が生じた場合、その結果によっては当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)知的財産に関するリスク

 当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないように、また当社グループの知的財産権が第三者に侵害されないように、知的財産保護のための体制を整備しております。しかし、第三者から知的財産権の侵害を理由とする訴訟が提起されたり、また第三者から知的財産権の侵害を受ける可能性を排除することは不可能であるため、このような事態が生じた場合、その結果によっては当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)医療保険制度の動向に関するリスク

 当社グループの取扱製品・商品は、歯科医療に直接・間接に使用されますが、国内における歯科医療はその大半が健康保険による診療となるため、医療保険制度の動向が歯科材料の需要にも影響を与える可能性もあり、制度の変更があった場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6)市場のグローバル化及び他業種の市場参入に関するリスク

 日本の歯科市場はアメリカ、欧州に並ぶ大市場であり、中国を中心とするアジア市場の成長性を考えた場合、欧米の材料・機器メーカーにとって、日本を含むアジア市場は、世界で最も有望な市場としてとらえることができます。世界的には、すでに欧米企業主導の市場再編の動きが活発化してきており、これらは欧米メーカーの世界戦略、とりわけ対日本・対アジア戦略の一環として認識する必要があります。これまで日本市場は、世界的に見ても特殊な健康保険制度や複雑な流通機構の影響もあり、外資の影響は比較的少なかったといえますが、市場のグローバル化に伴い、国際的な競争にさらされることになります。また、他業種からの参入についても販売競争の激化を引き起こし、これらの要因が当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)外国為替変動に関するリスク

 当社グループが販売する商品の一部は、海外から輸入されており、当社グループが為替リスクを負っている外貨建取引における影響のほか、邦貨建取引においても価格引き下げ要求等、間接的な影響を受ける可能性があります。その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)倉庫の閉鎖又は操業停止に関するリスク

 火災、地震又はその他の人災若しくは自然災害により当社グループの倉庫、設備等が閉鎖又は操業停止を余儀なくされた場合、当社グループの経営成績に対して深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)コンピュータ情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、ISO27001/ISMSの認証を取得するなど、情報セキュリティ委員会の設置・運営により情報管理の徹底を図っておりますが、コンピュータウイルス等の侵入やハッカー等による妨害の可能性が全く排除されている訳ではありません。もしこれらの被害にあった場合は、当社グループの経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

(10)個人情報の保護に関するリスク

 当社グループは、個人向け販売サイトである「デンタルフィット」の会員情報や「Ciモール」に会員として登録される医院(歯科医院・その他)、歯科技工所、動物病院、介護施設等に関する個人情報を保有しております。これらの情報管理については、ISO27001/ISMSの認証を受けるとともに、「個人情報の保護に関する法律」に基づき社内規程の整備、管理体制の構築、外部からの侵入防止対策の実施等を講じるとともに、従業員等に対し個人情報保護に係る啓発活動を実施し、その漏洩や不正使用の未然防止に努めております。しかしながら、人為的なミスや何らかの不正な方法等により当社グループが保有する個人情報が漏洩した場合には、当社グループの信用力の低下や損害賠償の請求等によって当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)特定人物への依存について

 当社の代表取締役社長である清水清人は、当社グループの創業者であり、当社グループの経営方針や経営戦略の立案及び決定をはじめ、営業戦略や業務遂行等の経営全般において重要な役割を果たしております。当社は、ノウハウの共有、人材の獲得及び育成等により組織体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めてまいります。しかしながら、不測の事態により同氏の当社における職務執行が困難となった場合は、当社グループの今後の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)自然災害について

 当社グループが行う通信販売事業は、火災・地震・台風等大規模な自然災害の影響を受ける可能性があります。災害の状況によっては、在庫商品が被害に遭うことにより価値が減少する可能性や、商品の確保が困難になる可能性があります。このため万一に備えて各種保険への加入や倉庫等の設備の充実に努めておりますが、予測を超えた事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)棚卸資産について

 当社グループは、通信販売事業を行っており、棚卸資産として商品及び製品を計上しておりますが2023年12月末現在における残高は、商品及び製品85億63百万円となっております。

 当社グループでは、見込んでいた価格での販売が困難な場合には、在庫リスクを軽減するため、販売価格の値引きにより販売を促進させる施策をとることがあります。その際、値引きによる利益の減少や棚卸資産の評価損が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(14)製造物責任法(PL法)について

 当社グループが販売する商品の一部は、当社グループで企画し海外の協力工場で委託生産した製造物を輸入し販売していることから、当社グループは製造業者としてPL法の適用を受けます。当社グループは、製造物の欠陥が発生しないよう細心の注意を払っており、万が一の場合に備え、製造物責任賠償についてはPL保険に加入しておりますが、製造物の欠陥により顧客の身体、財産等を毀損した場合、損害賠償義務の負担等が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)エア・ウォーター株式会社との関係について

 当社は、同社との資本業務提携を通じ、医療関連事業において高いシナジーの実現により、今後当社グループの業績拡大と発展に大きく繋がるものと考え、2016年10月18日開催の取締役会において、同社との間で資本業務提携を決議し、同日付けで本提携を締結いたしました。本提携により、同社の当社総株主議決権の保有割合は38.98%であり、当社の主要株主及びその他の関係会社となっております。

 本提携は、同社グループ内には当社グループと競合するような通販機能を保有していないこと、同社グループとの取引につきましては独立した第三者間取引と同様の一般的な取引条件で行っていることなどにより、当社グループの経営の独立性を損なうものではございません。

 上記方針について、本書提出日現在では変更の予定はありませんが、将来変更された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)物流業者の値上げについて

 当社グループは、商品配送のほとんどを大手物流業者に委託しております。当社グループとしては、リスク分散の観点からも各社との良好な取引関係の維持に努めるとともに、その他の配送業者との関係構築も常に模索しておりますが、今後、既存物流業者各社からの大幅な送料の値上げ要請があった場合、当社グループ事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)新型コロナウイルス感染症について

 現時点では当社グループへの影響は限定的ですが、今後、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い当社グループ従業員や取引業者への感染拡大による事業の中断及び遅延等により、当社グループ業績に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、政府が新型コロナウイルス感染症の感染症上の位置づけを2類相当から5類感染症へ変更したことで、経済活動は感染症拡大前とほぼ同水準に戻り正常化へ向かっておりますが、エネルギー価格や原材料価格の高止まりの影響により、依然として不安定な状況が続いております。

 歯科関連業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大前までは歯科医療費は増加傾向にあるなど、国内歯科関連業界全体の事業環境は緩やかな回復が見られておりましたが、上記の影響により先行きが不透明な状況が続いております。こうした中でも、歯科治療領域でのデンタルソリューション関連装置等がマーケットを牽引することにより、歯科機器・用品マーケットの増加傾向は続く見通しです。

 

 当社グループにつきましては主力の歯科医院向け通信販売事業を中心に新商品の販売及び個人医院・総合病院等の医科業界及び動物病院業界への参入拡大を引き続き進めるとともに、歯科医院及び動物病院等へ大型医療機器(デジタルレントゲン医療機器等)を販売しており、当社主催のデンタルショーや新機種投入等の効果もあり、確実に実績を積み重ねております。後述するその他事業のCAD/CAM歯科技工関連機器・システム販売と併せまして、これら大型医療機器等の当連結会計年度の売上高は39億43百万円にまで拡大しております。その一方で利益面では、円安基調や原材料価格の高騰の影響による商品調達価格上昇の影響が続いておりますが、2023年5月と11月に歯科通販総合カタログを発刊し、価格改定により収益改善を図っております。また、歯科以外の通販事業におきましても、順次価格改定を実施しております。

 

 その他の事業については、CAD/CAM歯科技工関連機器・システム販売事業及びCAD/CAM歯科技工物製作事業において2022年4月のCAD/CAMインレーの保険適用の拡大および前連結会計年度に子会社化した歯科技工所3社のM&A効果により、経営成績は堅調に推移いたしました。その一方で、歯科医院等の医療機関取引先向け電力小売取次事業「Ci電たる」では、電力市場価格高騰の影響を当社で負担していることの影響を受けており第1四半期では赤字となっておりましたが、お取引条件の見直し及び事業経費削減等の施策により、第2四半期より黒字に転じており、収益は回復基調となっております。

 

 また、2023年10月2日に竣工した新本社ロジスティクスセンターにおいて9月よりテスト入出荷を開始したことから第3四半期より同センターに係る減価償却が開始するとともに、備品・消耗品費が増加したこと、同センターが完全稼働するまでの間は、移行期間として旧センターと並行稼働となりコスト増となること、またロジスティクスセンター及び事業企画部門等での人員強化に伴う人件費増加等により、販売費及び一般管理費が増加しております。

 

 なお、第4四半期にインナーウェアのEコマース(インターネット販売)事業を展開しております株式会社白鳩株式の議決権所有割合33.21%を取得して持分法適用関連会社としましたが、みなし取得日は2023年11月末となり、当連結会計年度末(2023年12月末)から持分法を適用したため、当連結会計年度におきましては負ののれん発生益相当額のみを持分法投資利益として計上しております。

 

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は456億28百万円(前期比6.4%増)、営業利益は29億89百万円(同25.1%減)、経常利益は32億95百万円(同15.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は20億82百万円(同17.4%減)となりました。

 

 事業内容別の経営成績は次のとおりであります。

(通信販売事業)

 通信販売事業につきましては、主力の歯科医院向け通信販売事業が堅調に推移し、個人医院・総合病院等の医科業界向け、福祉介護施設向け、並びに動物病院向けセールス企画を引き続き実施したことも業績に寄与し、歯科医院並びに動物病院等への大型医療機器(デジタルレントゲン医療機器等)の販売が好調な一方、通信販売事業全体において円安や原材料価格の高騰による商品調達価格上昇の影響を受けております。売上高は423億10百万円(前期比4.6%増)、売上総利益は106億14百万円(同0.4%増)となりました。

 

(その他の事業)

 その他の事業につきましては、CAD/CAM歯科技関連機器・システム販売及びCAD/CAM歯科技工物製作事業の業績が順調に拡大し、前連結会計年度に子会社化した歯科技工所3社のM&A効果につきましても業績に寄与しました。その一方で、歯科医院等の医療機関取引先向け電力小売取次事業「Ci電たる」では、電力市場価格高騰の影響を当社で負担していることの影響を受けておりますが、お取引条件の見直し及び事業経費削減等の施策により、収益は回復基調となっております。その他事業の売上高は33億17百万円(前期比36.2%増)、売上総利益は13億79百万円(同25.8%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて32百万円減少し、16億98百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、使用した資金は1億56百万円(前期は14億9百万円の獲得)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益31億84百万円、減価償却費9億49百万円等により資金が増加した一方で、法人税等の支払額13億70百万円、棚卸資産の増加13億55百万円等により資金が減少したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は97億95百万円(前期比2.5%減)となりました。これは主として、有形及び無形固定資産の取得による支出89億30百万円、関係会社株式の取得による支出8億14百万円等により資金が減少したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、獲得した資金は98億25百万円(同46.4%増)となりました。これは主として、配当金の支払い2億52百万円があった一方で、短期借入金の純増額101億円等により資金が増加したことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当社及び連結子会社では製造を行っていないため、該当事項はありません。

 

(2)仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績を事業内容別に示すと、次のとおりであります。

事業内容の名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

仕入高(百万円)

前期比(%)

通信販売事業

33,069

106.6

その他の事業

1,887

141.0

合計

34,957

108.1

 

(3)受注実績

 該当事項はありません。

 

(4)販売実績

 当連結会計年度の販売実績を事業内容別に示すと、次のとおりであります。

事業内容の名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

売上高(百万円)

前期比(%)

通信販売事業

42,310

104.6

その他の事業

3,317

136.2

合計

45,628

106.4

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.財政状態の分析

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ37億74百万円増加(前期比26.8%増)し178億48百万円となりました。これは主として、商品及び製品が13億53百万円、受取手形及び売掛金が2億34百万円、前渡金が1億57百万円、未収還付消費税が19億63百万円増加したことによるものであります。

 

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ75億45百万円増加(同46.8%増)し236億57百万円となりました。これは主として、建物および構築物(純額)が78億55百万円、機械装置及び運搬具(純額)が100億95百万円、ソフトウエアが6億44百万円、投資有価証券が8億49百万円増加したものの、建設仮勘定が116億12百万円減少したこと等によるものであります。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ94億52百万円増加(同82.8%増)し208億69百万円となりました。これは主として、短期借入金が100億99百万円増加したものの、未払法人税等が2億82百万円減少したことによるものであります。

 

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ8百万円増加(同1.7%増)し4億98百万円となりました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ18億58百万円増加(同10.2%増)し、201億39百万円となりました。これは主として剰余金の配当により2億52百万円減少したものの親会社株主に帰属する当期純利益20億82百万円を計上したことによるものであります。

 

ロ.経営成績の分析

(売上高、売上原価、売上総利益の分析)

 当連結会計年度の売上高は456億28百万円(同6.4%増)、売上原価は336億33百万円(同7.7%増)となり、その結果、売上総利益は119億94百万円(同2.8%増)となりました。

 また、売上総利益率につきましては、26.3%(同0.9%ポイント減)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益の分析)

 販売費及び一般管理費につきましては、90億4百万円(同17.2%増)を計上いたしました。その結果、営業利益につきましては、29億89百万円(同25.1%減)となりました。

 また、営業利益率につきましては、6.6%(同2.8%ポイント減)となりました。

 

(営業外損益、経常利益の分析)

 営業外収益につきましては、デリバティブ評価益1億64百万円、持分法による投資利益51百万円、受取利息及び配当金37百万円等により3億43百万円を計上いたしました。また、営業外費用につきましては、支払利息17百万円、為替差損13百万円等により37百万円を計上いたしました。

 この結果、経常利益につきましては、32億95百万円(同15.3%減)となりました。

 また、経常利益率につきましては、7.2%(同1.8%ポイント減)となりました。

 

(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益の分析)

 特別利益につきましては、固定資産売却益0百万円を計上いたしました。

 特別損失につきましては、投資有価証券償還損60百万円等により1億11百万円を計上いたしました。

 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、20億82百万円(同17.4%減)となりました。

 また、親会社株主に帰属する当期純利益率につきましては、4.6%(同1.3%ポイント減)となりました。

 

ハ.経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「事業等のリスク」に記載しているとおりですが、市場環境の変動等、さまざまなリスク要因が当社の成長や経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は、常に最新の市場動向に留意しつつ、お客様ニーズに合致した商品・サービスを提供していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因の低減を図ってまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては「(1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

イ.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の購入費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備の購入等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金、長期運転資金および設備投資は自己資金および金融機関からの借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は171億94百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は16億98百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを行っております。経営者による会計上の見積りは、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、会計上の見積りには不確実性があるため、実際の結果と見積りとは異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 歯科医師である当社代表取締役社長と歯科衛生士が主体となり、商品企画課(商品開発担当)等と「知恵を絞り、イノベーションを起こす」その実現のため、定期的にミーティングを開催し、販売先のニーズを踏まえた新しい商品等の調査、研究、企画等を行っており、専門のメーカー等へ試作品作製の委託等を行っております。当連結会計年度において研究開発に使用した総額は27百万円であり、全て通信販売事業で発生したものであります。