第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

 ① 経営理念

当社グループは、「人によし、社会によし、未来によし。」の経営理念のもと、油脂の力を活かした“ものづくり”を通して、すべての人から信頼される企業であり続けることを目指しております。

 

 ② 目標とする経営指標

当社グループは、株主資本の効率的運用による投資効率の高い経営を図るため、自己資本利益率(ROE)5.0%以上を目標経営指標としております。

 

(2)経営環境

     ・企業構造

当社事業の中核をなすのは、「油脂」の力を活かしたものづくりです。当社では、食品事業と油化事業の二本柱で強固な経営基盤の構築に努めており、環境に左右されない「持続的成長基盤」の確立を目指しております。

     ・主要製品と競争優位性

当社グループの強みは、私たちが普段食べているもの、使っているものに当社製品が幅広く使われていることです。食品事業においては、マーガリン、ショートニング、粉末油脂、ホイップクリーム等を主要製品として、製パン、製菓、即席麺メーカー等に対して、生産力、技術力、提案力を活かして「おいしさ」で暮らしへ貢献する製品を安定的に供給しております。油化事業においては、脂肪酸、グリセリン、香粧品原料、重金属処理剤、その他各種界面活性剤を主要製品とし、「油脂製品」「化成品」「環境産業製品」の3つの分野においてさまざまな産業分野に向けて、人と暮らしに「やさしい」製品の提供に努めております。

 

(3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

当社グループを取り巻く事業環境は、ロシア・ウクライナ情勢の長期化等の影響による原材料価格の高騰、中国経済の停滞や中東情勢の動向、円安の進行に伴う諸物価上昇等により、依然として先行き不透明な状況が続くものと思われます。

このような事業環境において当社グループは、「人によし、社会によし、未来によし」という経営理念のもと、食品と油化の両事業を柱に、環境変化に左右されない“持続的成長基盤”を確立させ、その持続的成長基盤を“土台”とした両事業の継続的な成長と発展によって持続可能な社会の実現に貢献すべく2030年に向けて掲げた経営構想に基づいた運営を行っております。

「中期経営計画(2022~2024年)」の最終年度として、食品事業においては、「これからの時代の『おいしさ』『健康』『食生活の変化』でウェルビーイングな社会を実現する」を、油化事業においては、「使う快適と捨てる安心を基軸とした技術と製品で、ウェルビーイングな生活を創造する」をミッションとし、次の時代に求められる新製品開発や市場開拓を、両事業をあげて積極的に行ってまいります。

販売面では、新たな市場の顧客獲得に向けて、「ミヨシ未来プラットフォーム」等によるデジタル施策を取り入れたマーケティングを強化するとともに、高付加価値製品の提案力を強化し、より消費者視点に立った販売活動を積極的に展開してまいります。生産面においては、安心・安全なものづくりへの取り組みの継続はもとより、工場再構築や環境負荷の少ない設備への更新、マレーシアにおける新工場建設等により、持続可能な社会を実現するための積極的な設備投資を続けてまいります。

また人材育成の面では、社員の成長機会と場の提供や人事制度改革、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進を通して人的資本の強化につなげてまいります。さらにガバナンス面においては、コンプライアンスと内部統制機能を充実させ、コーポレート・ガバナンス体制の一層の強化を図る一方で、サステナビリティ推進委員会を軸にSDGsの取り組みについても推進し、企業価値の向上に努めてまいります。

これらの取組みを足掛かりに、長期ビジョンの達成に向けて、戦略的な成長投資と事業領域の拡大に努めてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

また、連結グループにおける記載が困難であるため、連結グループにおいて主要な事業を営む提出会社単体の記載としております。

 

(1)ガバナンス

当社は、SDGsやESGに関わる世の中の情勢を踏まえて、サステナビリティの視点を取り入れた経営を促進するため、2020年に「サステナビリティ推進委員会」を設置いたしました。

委員長は代表取締役社長兼CEO兼CBOの三木逸郎が務め、委員会ではサステナビリティに関する全社方針や目標の策定、各本部のモニタリングなどの審議および決議を行っております。

 


 

(2)戦略

 ① サステナビリティ

当社は、「人によし、社会によし、未来によし。」という経営理念のもと、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3要素、いわゆる「ESG」を重視した経営を推進し、国連の持続的な開発目標「SDGs」に事業活動を関連づけ、環境問題、社会問題、人権問題などの解決に努めております。SDGsに向けた取り組みを中期経営計画の中に取り入れ、新たな製品やサービスを生みだすことによって、自社にイノベーションをもたらします。SDGsのゴールである2030年に向けて全社を挙げて取り組んでおります。

 

 

取り組み目標

2023年度進捗状況

 


2030年までに製品中のトランス脂肪酸含有率を1%未満にします。

健康への影響が指摘される「部分硬化油」を使わない製品を提供することで、あらゆる年齢の人々の健康的な生活の確保に貢献していきます。

2023年当社取り扱い製品中のトランス脂肪酸含有率は平均約1.3%となりました。

 


2030年までに管理職の女性社員比率を10%以上にします。

社員活躍推進委員会「きらり!」の活動を推進し、女性管理職比率を向上させることで、性別に関わらず平等に機会を与えられる職場を実現していきます。

2023年管理職の女性社員比率は10.3%となりました。

 


2030年までに約1千万t/年の排水処理に貢献します。

排水処理に貢献できる製品提供を全世界に拡大し、世界中の安全な水利用に貢献していきます。

2023年度は、エポフロック(重金属捕集剤)の提供により、503.5万tの排水処理に貢献しました。

 

 

 


2030年までに製品1トンあたりのCO2排出量を2006年比50%以上削減します。

高効率エネルギー設備への投資と継続的改善活動(アドバンス活動)、バイオガス発電設備の導入により低炭素社会実現へ貢献していきます。

2023年CO2排出量は2006年比28%(前年対比2.1ポイント減)削減となりました。

 


2030年までに非分解性プラスチック削減によりCO2を約100t/年削減します。

生分解性素材を拡販することで、都市で生成される廃棄物による環境負荷を低減し持続可能なまちづくりに貢献します。

2023年度は、約21tのCO2削減に貢献しました。

 


2030年までに製造に係わる全ての冷媒を順次自然冷媒に切替しフロンR22を全廃します。

温室効果ガスやCO2排出の抑制・削減への取り組みを進めることで、気候変動対策に貢献していきます。

2021年自然冷媒冷凍機稼動開始、2022年は冷凍機3台を導入し、2023年はさらに冷凍機1台の導入準備を進め、2024年導入予定となりました。

 


2030年までにパーム油をRSPO認証品へ積極的に切替します。

「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」へ参加することで、持続可能な原料調達を推進し、環境保全や動物保護の取り組みに貢献していきます。

2023年購入量はパーム油の約20%となりました。

 

 

 ② 人的資本について、人材育成方針や社内環境整備方針

イ 人的資本の考え方

当社にとって人材は価値創造の中核であり最も重要な資本であると考えております。社員の多様性を最大限に尊重し、創造性が発揮できる企業風土を目指しております。

ロ 人材育成

社員がキャリア形成に主体的に取り組めるよう支援し、一人ひとりの強みを活かした育成を行っております。階層別研修、目的別研修、社内講師による動画学習コンテンツ(ミヨシビジネスアカデミー)の配信など、さまざまな学びの機会をつくり、社員の成長に力をいれております。

また、ウェルビーイング経営を推進しCWO(Chief Wellbeing Officer)による個別面談や、上司による部下の成長支援などを目的とした1on1面談を全社で実施しております。

 

(3)リスク管理

サステナビリティの視点を踏まえた経営および事業体制の構築を推進するため、コンプライアンス・リスク管理委員会にて提起されたサステナビリティに関する重要事項を、サステナビリティ推進委員会にて審議しております。

 

(4)指標及び目標

 ① サステナビリティ関連

各工場の生産設備更新においては省エネ設備を導入するとともに効率のよい生産体制を構築することでエネルギー使用に関する原単位が年平均1%以上改善できるように努めております。また、営業車については電気自動車の導入の他、カーシェアを推進し保有台数を削減しております。その他事業所内のLED照明への切り換え等も含め、全社でエネルギー削減に取り組んでおります。

 

 ② 人材育成方針や社内環境整備方針

イ DEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進

(イ)方針

社員一人ひとりが自分らしさを大切にしながら、安心して働き続けられる企業を目指して、人権や多様な価値観を尊重し、誰もがいきいきと活躍できるよう、DEIを推進しております。

 

 

(ロ)取り組みについて

 

・女性活躍推進

当社は、女性社員がより責任のある立場で活躍することが組織の活性化に繋がると考え、女性活躍推進に取り組んでおります。2024年末までに、管理職に占める女性社員比率を9.0%以上にするという目標を掲げており、キャリアを積み重ね、組織の中核を担う女性社員が着実に増えております。また、今まで女性社員が少なかった製造部門の職場環境を整備し、職域拡大に努めております。

(2023年12月時点での当社の女性管理職比率:10.3%)

 

・仕事と育児の両立支援

仕事と育児を両立したいという社員の希望を実現するとともに、女性に偏りがちな育児や家事を夫婦で分かち合うことが女性の能力発揮につながると考え、男性社員の育児休業取得を推進しております。育児休業の取得を検討している社員に対して、育児休業や復職後に活用できる制度の説明を個別に行い、不安の解消に努めております。

(2023年度の男性育児休業取得率:92.9%・平均取得日数:28日、過去5年間における女性社員の育児休業からの復帰率:100%)

 

・障がい者雇用

個人の特性に合わせたコミュニケーションをとることで、一人ひとりが能力を発揮し、安心して働くことができる職場づくりに取り組んでおります。

(2023年12月時点での当社の障がい者雇用率:2.99%(法定雇用率:2.3%))

 

・LGBTQ理解促進

定期的なセミナーの実施や、LGBTQに関する外部相談窓口を設置しております。また、2023年10月にパートナーシップ制度を新設いたしました。

 

ロ 健康経営

全社員の健康保持・増進に注力した活動を積極的に行い、社員一人ひとりが心身ともに健康で幸せであり続けるための支援を目的として、健康経営を推進しております。高精度健診(婦人健診・人間ドック等)受診率の向上や、喫煙率の低減などに取り組んでおります。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクについては以下のようなものがあります。これらは、社内のモニタリングを通じて網羅的に把握した上で、特に重要なリスクはコンプライアンス・リスク管理委員会で協議し決定しております。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年3月27日)現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

(1) 原材料相場および為替レートの変動による仕入価格変動

当社グループは、海外からパーム油等の油脂原料を仕入れているため、原材料用油脂の市況および為替相場が、当社グループの原材料の仕入価格に影響を与えます。原材料の仕入価格に著しい変動があった場合、納入先ユーザーとの価格改定交渉に時間が必要となり、原材料の仕入価格の上昇を販売価格に転嫁するのに時間差が生じた場合、また、原材料の高騰が継続し、原料価格の上昇の全部または一部を製品価格に転嫁できない状況が継続した場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(リスク対応策)

原材料のサプライヤーを複数確保し、サプライヤーからの密な情報収集により仕入価格の変動を把握し、販売価格の是正が必要な場合は速やかに納入先ユーザーに対して価格改定を申入れます。また、仕入および販売の精緻な数値管理を行い、収益管理を徹底することで、原材料の仕入価格変動による業績への影響の抑制に努めております。

 

(2) 食品の安全性

社会全般にわたる食品の安全性問題が発生した場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(リスク対応策)

当社グループでは、食品安全システムに関する国際認証規格「FSSC22000」、HACCPおよびAIB国際検査統合基準の認証を取得し、国際標準規格にしたがって各種製品を製造しております。また、トレーサビリティーシステムの構築および定期的な品質管理システムの監査等を通じて、食品の安全性に関するリスクの発生を防止するよう努めております。

 

(3) 事故および自然災害

当社グループの生産拠点において、地震や火災等の大規模災害が発生した場合には、生産設備の損壊、生産活動の停止等により、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(リスク対応策)

当社グループは、工場火災等の事故を防止するため、設備点検を定期的に実施するとともに、各工場で安全衛生防火委員会を開催し、リスク発生の未然防止に努めております。また、地震等の自然災害への対応については、「災害対策マニュアル」を策定し、初動の対応を行うとともに、早期に事業を復旧させるために「事業継続計画(BCP)」を策定し、委託生産先の確保や複数の拠点での在庫管理に努める等、万全の災害対策を講じることにより、事故および自然災害の業績への影響の抑制に努めております。

 

(4) 退職給付債務

当社グループの退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なった場合、将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼします。年金資産の運用利回りの悪化や割引率の低下等は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(リスク対応策)

企業年金の積立金の運用が、従業員の安定的な資産形成に加えて自らの財政状態にも大きな影響を与えることの重要性を認識し、経理財務部および人事部の担当取締役が、定期的に運用状況のモニタリングを行い、運用方針を決定しております。なお、退職給付信託に組み入れる給付原資の分散化を図るとともに運用利回りの安定化を図ることにより業績への影響の抑制に努めております。

 

(5) 重要な訴訟等

事業活動のなかで重要な訴訟等が提起され当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(リスク対応策)

当社グループは、法令等の遵守、違反行為、不正行為の未然防止を徹底するため、企業倫理行動を定めた「ミヨシ油脂行動規範」を当社グループに周知徹底しております。また、コンプライアンス委員会を法令遵守の主管部門と位置づけ「コンプライアンス規程」及び「コンプライアンスプログラム」に則り、コンプライアンス経営に努めることで訴訟リスクの発生を防止するよう努めております。

 

(6) 新型コロナウイルス感染拡大によるリスク

新型コロナウイルス感染者の増加等で事業を運営する人材が不足し、生産または販売体制に支障が生じた場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(リスク対応策)

当社グループは、日々の検温および消毒ならびに食堂の時差利用、リモート勤務の導入等の新型コロナウイルスの感染防止対策に努めており、従業員等が新型コロナウイルスに罹患した場合でも、日々の感染状況の報告を義務付け、適切な感染拡大防止対応を行うことにより、業務が停止するリスクを防止するよう努めております。

 

(7) 法令等の規制強化

化学物質管理に関する法令改正等で規制が強化された場合は、設備投資やシステムの構築等が必要となり、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(リスク対応策)

当社グループは、食品事業、油化事業の両事業において法令を遵守し、製品の製造ならびに販売を行っておりますので、法規対照表のアップデートを随時行い、法改正の事前調査および事後観察を行うことで法令等の規制強化に伴う業績への影響の抑制に努めております。

 

(8) 情報セキュリティ

重大なシステム障害や未知のコンピューターウイルスが社内ネットワークに侵入し、コンピューターシステムが長期間使用できなくなった場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(リスク対応策)

当社グループは、重要セクションには電子錠等を設置し入館管理を行うなど物理的な情報管理対応を行っております。また、重要情報は関係者のみアクセスできるファイルサーバに保管するとともに、不正アクセスに対する電磁的情報の漏洩対策を施す防御システムの導入、さらに情報管理関連規程類の整備を行い情報セキュリティ対応に努めております。

 

(9)基幹システム更改

基幹システム更新においてプロジェクトが遅延または中断した場合には、プロジェクト費用の増加、既存システムの継続使用によるコスト増の発生等により、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。基幹システムの障害、不測の事態によるインシデントや、外部からのウイルスの侵入等が発生した場合、情報システムの停止が引き起こされ、当社の事業運営に支障が発生する可能性があります。

(リスク対応策)

当社グループは、基幹システム関連業務の進捗管理を定期的に実施するとともに、システム会社と連携し情報共有に努め、業務要件を網羅したシステム構築を実施期限までに行うこととしております。また、事業所間の連絡を含めた情報インフラの冗長化により、平常時から不測の事態に備えた運用を行うことに努めております。

 

 

(10) 物流機能の移管

本社が所在するメイン区画の土地売却に伴う物流機能の阿見倉庫(茨城県稲敷郡阿見町)への移管に際し、基幹システムとの連携や新倉庫システムのオペレーション等が円滑に実施できなければ、製品の入出庫業務等に支障が発生する可能性があります。

(リスク対応策)

阿見倉庫への物流機能の移管は、土地取得の検討段階から物流専門コンサルティング指導の下でプロジェクト管理を行い、万全の態勢で移管できるように努めております。

 

(11) 人材確保

少子化等により企業間での採用競争が激しくなり必要とする人材を確保できなかった場合、また、従業員の退職等によって必要な人材が確保できなくなった場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(リスク対応策)

当社グループは、優秀な人材を採用し、製造部門、技術部門、販売部門、管理部門等の幅広い部門において、人材を育成することで、事業運営と競争力の向上に努めております。また、テレワーク等を積極的に推進し、従業員の働きやすさの向上を目指すなど、従業員のエンゲージメントの向上に向けた施策を通じて人材の流出の抑制に努めております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、景気は緩やかな回復基調のもとで推移いたしましたが、ロシア・ウクライナ情勢を契機とした世界的な資源・エネルギー価格の高止まりをはじめ、円安の進行や諸物価上昇等から、依然として先行き不透明な状況が続きました。

当油脂加工業界におきましては、各種原材料価格には安定化が見られた一方、物流費等の様々なコスト上昇の影響を受けましたが、新型コロナウイルス感染症等による停滞からの正常化が進み、消費者マインドの改善も見られました。

このような状況のなか、当社グループは、前連結会計年度実施いたしました油脂原料価格の高騰に伴う価格改定に加え、包材・副原料、ユーティリティ、その他各種コストの上昇に対応した販売価格の改定を推し進めました。一方で、設備更新を含めた各拠点での省エネ活動の継続や経費管理体制を強化するなど、各種施策に全社で取り組み収益力の改善に努めました。

また、「中期経営計画(2022~2024年)」の2年目として、市場ニーズに即した製品開発や既存製品の機能性向上に注力するとともに、当社の技術・製品情報を発信するWEBサイト「ミヨシ未来プラットフォーム」を通じたデジタルマーケティング活動を積極的に展開し、顧客ニーズを捉えた製品開発力や提案力の強化に努めました。

この結果、売上高は56,236百万円(前連結会計年度比6.6%増)、営業利益は2,372百万円(前連結会計年度は営業損失1,604百万円)、経常利益は2,594百万円(前連結会計年度は経常損失1,333百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,077百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失268百万円)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。
 

≪食品事業≫

食品事業につきましては、コロナ禍からの行動制限の緩和を受けて需要は回復基調となり、当社の主要販売先である製パン業界をはじめ、即席めん、カレー、製粉、外食関連市場の需要は堅調に推移いたしました。

このような状況のなか、当社グループは、前連結会計年度実施いたしました油脂原料価格の高騰による製品価格の是正に加えて、包材・副原料、ユーティリティ等、各種コストの上昇に対応するため、主力のマーガリン、ショートニングはもとより全ての製品において、販売価格の改定を行うとともに、展示会への出展やWEBを活用したデジタルマーケティング手法も取り入れ、総合的な採算向上に資する販売活動を展開しました。

また、国際認証規格「FSSC22000」や「AIB国際検査統合基準」に基づく監査システムを活用して、食の安全や安心への取り組みを強化する一方、市場ニーズに応じた製品開発として、ラード不足に対応した代替製品やフードロス削減に繋がる製品の拡販、さらに、プラントベース食品市場に向けた製品「botanova」シリーズの拡充や一般消費者向け製品「すぐに使えるかける本バター」を発売するなど、新たな市場に向けた製品開発にも注力いたしました。

この結果、売上高は38,217百万円(前連結会計年度比7.0%増)、営業利益は1,233百万円(前連結会計年度は営業損失1,675百万円)となりました。

 

≪油化事業≫

工業用油脂製品につきましては、脂肪酸は、中国経済の停滞による輸出不振により、主要需要先であるタイヤ、塗料等の業界の需要減少の影響を受けましたが、原材料価格に対応した適正価格での販売により収益確保に努めました。一方、グリセリンについては、化粧品や食品用の高品質グレードの拡販に注力したことにより好調に推移しました。

界面活性剤製品につきましては、コロナ禍からの日常生活の正常化に伴って、紙・パルプ分野の家庭紙用薬剤の需要が回復するとともに、香粧品分野の高付加価値シャンプー向け原料基剤「アンホレックス」やクレンジング製品向け原料基剤「Mファインオイル」が好調に推移しました。また、環境関連分野の飛灰用重金属処理剤につきましては、主要原料の需給ひっ迫による影響が緩和したことなどから堅調に推移しました。

この結果、売上高は17,366百万円(前連結会計年度比4.8%増)、営業利益は1,085百万円(前連結会計年度は営業損失11百万円)となりました。

 

また、当連結会計年度における財政状態の状況は次のとおりであります。

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べ505百万円増の32,684百万円となりました。固定資産は、前連結会計年度末に比べ3,268百万円増の29,758百万円となりました。

この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ3,774百万円増の62,443百万円となりました。

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,596百万円増の26,167百万円となりました。固定負債は、前連結会計年度末に比べ1,515百万円減の8,020百万円となりました。

この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ81百万円増の34,187百万円となりました。

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べ3,693百万円増の28,255百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,152百万円増加し、6,107百万円となりました。

当連結会計年度における活動ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果、3,716百万円の資金の増加(前連結会計年度は3,560百万円の資金の減少)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益2,983百万円、減価償却費1,709百万円、未払消費税等の増加646百万円、棚卸資産の減少437百万円、未収消費税等の減少356百万円等による資金の増加があった一方、仕入債務の減少1,927百万円、投資有価証券売却益614百万円等による資金の減少があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果、1,492百万円の資金の減少(前連結会計年度は176百万円の資金の増加)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出1,313百万円、子会社株式の取得による支出540百万円、無形固定資産の取得による支出467百万円等による資金の減少があった一方、投資有価証券の売却による収入887百万円等による資金の増加があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果、1,072百万円の資金の減少(前連結会計年度は2,806百万円の資金の増加)となりました。これは、主に長期借入金の返済による支出720百万円、配当金の支払309百万円等による資金の減少があったことによるものです。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 1) 生産実績

(イ)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

食品事業

29,417

△3.6

油化事業

11,470

△7.2

合計

40,888

△4.6

 

(注) 1 金額は、製造原価によっております。

2 上記金額には、中間製造工程の自家消費分は含まれておりません。

 

(ロ)仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

食品事業

5,974

+9.7

油化事業

4,890

△22.9

合計

10,865

△7.9

 

(注) 金額は、仕入価格によっております。

 

 2) 受注状況

当社グループは、原則として受注生産を行っておりません。

 

 3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

食品事業

38,217

+7.0

油化事業

17,366

+4.8

その他

651

+48.4

合計

56,236

+6.6

 

(注) 1 その他は、不動産賃貸、原料油脂等であります。

2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

ニッシントーア・岩尾㈱

5,441

10.3

6,074

10.8

 

 

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,774百万円増の62,443百万円となりました。主な増加は投資有価証券2,288百万円、現金及び預金1,152百万円、退職給付に係る資産779百万円、建設仮勘定654百万円であり、主な減少は商品及び製品578百万円、機械装置及び運搬具(純額)521百万円であります。

(負債)

負債は、前連結会計年度末に比べ81百万円増の34,187百万円となりました。主な増加は流動負債のその他933百万円、繰延税金負債932百万円、未払法人税等812百万円であり、主な減少は支払手形及び買掛金1,948百万円、借入金720百万円であります。

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べ3,693百万円増の28,255百万円となりました。主な増加は利益剰余金1,768百万円、その他有価証券評価差額金1,480百万円、退職給付に係る調整累計額414百万円であります。
  当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の41.8%から45.2%に増加しました。また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の2,402円79銭から2,759円45銭に増加しました。

 

2)経営成績の分析

(売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)

売上高は、前連結会計年度比6.6%増の56,236百万円となりました。

食品事業の売上高は、前連結会計年度比7.0%増の38,217百万円となりました。

食品事業においては、主要販売先である製パン業界をはじめ、即席めん、カレー、製粉、外食関連市場の需要が堅調に推移するなか、主力のマーガリン、ショートニングはもとより全ての製品において、販売価格の改定を実施し、利益改善を推し進めました。

油化事業の売上高は、前連結会計年度比4.8%増の17,366百万円となりました。

工業用油脂製品においては、主要需要先であるタイヤ、塗料等の業界の需要減少の影響を受けましたが、原材料価格に対応した適正価格での販売により収益確保に努めました。

界面活性剤製品においては、紙・パルプ分野の家庭紙用薬剤の需要が回復するとともに、香粧品分野の高付加価値シャンプー向け原料基剤やクレンジング製品向け原料基剤が好調に推移し、また環境関連分野の飛灰用重金属処理剤は、主要原料の需給ひっ迫による影響が緩和し、堅調に推移しました。

売上原価は、前連結会計年度に比べ1,046百万円減少し、46,609百万円となり、原価率は、前連結会計年度比7.5ポイント減少し、82.9%となりました。これは主に油脂原料価格の下落によるものです。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比8.4%増の7,255百万円となりました。売上原価、販売費及び一般管理費に含まれている研究開発費は、前連結会計年度比3.5%増の1,287百万円となりました。

この結果、営業利益は、2,372百万円(前連結会計年度は営業損失1,604百万円)となりました。

なお、研究開発活動の詳細については、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に記載しております。

 

(営業外損益、経常利益)

営業外損益は、前連結会計年度の270百万円の収益(純額)から、221百万円の収益(純額)になりました。

この結果、経常利益は、2,594百万円(前連結会計年度は経常損失1,333百万円)となりました。

(特別損益、税金等調整前当期純利益)

特別損益は、前連結会計年度の941百万円の利益(純額)から、389百万円の利益(純額)になりました。これは、前連結会計年度の投資有価証券売却益1,010百万円、有形固定資産除却損43百万円、投資有価証券評価損25百万円計上、当連結会計年度の有形固定資産売却益16百万円、投資有価証券売却益614百万円、有形固定資産除却損99百万円、投資有価証券評価損141百万円計上によるものです。

この結果、税金等調整前当期純利益は、2,983百万円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失392百万円)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、2,077百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失268百万円)となりました。1株当たり当期純利益は、203円29銭(前連結会計年度は1株当たり当期純損失26円29銭)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、油脂原料等の原材料購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、生産設備の更新を中心とした設備投資等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は11,682百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は6,107百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産および負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

④ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、株主資本の効率的運用による投資効率の高い経営を図るため、自己資本利益率(ROE)5.0%以上を目標経営指標としております。

当連結会計年度におけるROEは、前連結会計年度に比べ9.0ポイント増加し、7.9%となりました。

これは、前連結会計年度に実施した油脂原料価格の高騰に伴う価格改定に加え、包材・副原料、ユーティリティ、その他各種コストの上昇に対応した販売価格の改定を推し進める一方で、設備更新を含めた各拠点での省エネ活動の継続や経費管理体制を強化するなど、各種施策に全社で取り組み収益力の改善に努めたことによるものです。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、食品から地球環境関連製品に至るまで、多方面にわたる産業のニーズに応えるため、新素材開発の基礎研究と商品化に向けた応用研究を積極的に展開しております。研究開発体制は、食品事業では、中長期的な新技術と新製品の開発に取り組む部門と、市場のニーズに即応したマーガリン、粉末油脂、ホイップクリーム等の製品開発、提案活動を行う部門で構成されております。また、油化事業では、界面活性剤、環境産業、新規開発関連用途別の技術部から構成されております。さらに、両事業の垣根を越えたリサーチや研究開発、実用化に向けた技術開発に取り組む戦略技術開発室により構成されております。

戦略技術開発室では、2022年の新設以来、当社の経営理念 “人によし、社会によし、未来によし”をもとに、既存の食品、油化事業の領域にとらわれず、持続可能な社会、ウェルビーイングな社会の実現、貢献を目的としたテーマの創出に取り組み、当社グループが持つ様々な強みを活かした産学連携による低環境負荷なものづくり、機能性材料の開発テーマを立ち上げ、本格的な検討に着手しております。

なお、当連結会計年度に研究開発に要した費用総額は、1,287百万円であります。

セグメントの研究開発活動は、次のとおりであります。

 

食品事業では、「美味しさ・健康・安全・安心・環境・機能・簡便」をキーワードとして、マーガリン、ショートニング、ホイップクリーム、粉末油脂などの食用加工油脂を主体としてお客様に役立つ製品開発、新製品の投入、用途開発、プレゼンテーション、展示会、講習会などの技術活動の推進をしております。さらに油脂製品開発における基盤技術の構築と新技術の研究から学会発表や論文投稿、特許出願等を積極的に進めております。

当連結会計年度におきましては、これからの時代のおいしさ、健康、食生活の変化に貢献する製品の開発と提案に引き続き注力しました。

おいしく食べられる期間を延長することで食品ロスを削減できる各種油脂加工製品を製パン、製菓メーカーに積極的に提案するとともに、動物脂の流通量減少や鶏卵の供給不足などの原料不足にも対応すべく、「味わいラード」や「プロファット10」など、風味や機能を代替できる製品の提案にも注力しました。

プラントベース食品の市場拡大に応える新たなブランドである「botanova」の製品群では、新たな風味として「鶏油風味」を投入しました。プラントベース食品に乳や動物脂のコクとうまみを付与する機能で市場での認知度が上昇するとともに、プラントベースにこだわらず様々な食品に美味しさを付与する呈味素材としての評価もいただいており、この用途における提案活動も積極的に行いました。

粉末油脂では、新たな機能開発と応用展開に向けて、粉末油脂に機能性の素材を組み合わせた製品の開発と提案に注力しました。アレルゲンを含まない「マジックファット215」をベースとして、麺やデンプン製品の品質向上に効果のある素材を組み合わせた「エレメント215」を新たに開発し市場投入しました。その他にも、既存製品を飲料市場に投入するなど、粉末油脂製品の新たな価値提案にも注力しました。

当セグメントに係る研究開発費は786百万円であります。

 

 

油化事業では、紙パルプ用薬剤、香・化粧品基剤などの各種界面活性剤、工業用エステル基剤のほか、重金属処理剤や生分解性樹脂分散体などの環境関連製品など、ニーズに沿った開発を進めるとともに、オリジナリティーの高い技術を基盤とした新規事業創出に向けた研究開発を推進しております。

界面活性剤関連では、香粧品基剤の主力製品である「Mファインオイル」の環境対策、「アンホレックス」のユーティリティ削減による収益確保、拡販対応について営業と一体となり対応し、顧客からの評価、信頼維持に努めました。紙パルプ分野では大手製紙メーカー向け柔軟剤のリニューアル対応を推進し、顧客からの信頼を獲得しました。同薬剤は、中国・北米などの海外への展開を強化すべく準備を開始しております。環境改善薬剤関連では、廃水処理剤「エポフロック」は、これまでと異なるアプローチとしてWebサイトを通じたインサイトセールスにより新たなニーズの掘り起こしを行い、生分解性樹脂水分散体については、土木分野へ応用展開を実施し、法面緑化・飛砂防止に対する効果が確認され、実地試験においても良好な成果を挙げております。

また、新規事業の創出に向けた取り組みとして、レンズ、ディスプレイ分野に展開している高機能紫外線吸収剤「MYUA」は、細やかな顧客対応、改良検討を行い、確実に売上を伸長させました。一方、イオン液体「MYIL」は化粧品分野における新たな機能開発、潤滑剤等の新たな分野への用途開拓、サンプルワークに注力し、評価が進められています。

当セグメントに係る研究開発費は501百万円であります。