第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の方針

当社グループは、経営理念の実現に向け、常にお客様の立場で発想し、お客様と共感する商品・サービスを提供し続けるために、社員の成長を通して企業価値の向上に努め、法令遵守のもと企業の存在意義を高めていきます。

(経営理念)

 ・私達は、常にお客様に満足していただける独創的な商品を豊かに追求し提供します。

 ・私達は、社会の一員として役立つために企業活動を通じて人間性の向上に努めます。

 ・私達は、人間の持つ無限の可能性を信じ企業の永続・発展に努め、より大きな幸せの創造に貢献

します。

 

(2)経営計画

当社グループは主に二輪車を趣味とするユーザーに向けてバイクライフをより快適にする様々な商品を提供しており、社会環境や意識の変化に合わせて順調に成長を続けております。2007年以降ワークライフバランスが提唱され、長時間労働の抑制を始めとする法令整備もあり余暇時間の増加や充実した人生を送るための趣味の充実など意識の変化も見られます。

また2020年には新型コロナウイルス感染症が発生し、密を避けるアウトドア志向が高まった結果、新規免許取得者や車両販売が大きく増加したことに伴い当社グループ商品の需要が一層加速しました。

その後約3年間続いた新型コロナウイルスへの対応は、行動制限の解除とともに正常な社会活動に向けて大きく変わりはじめ、強い追い風は落ち着き始めておりますが、ワークライフバランスを基軸とした環境変化の流れと拡大した二輪車市場は当社グループにとってプラス要因であると考えております。

このような環境の中、当社グループでは年度ごとの環境変化や中期経営計画の進捗状況を分析した上で、毎年調整を行うローリング方式で3ヵ年の中期経営計画を策定し事業活動を推進しております。

2023年度〜2025年度の中期経営計画は、コロナ特需の風が止み安定的な需要期に入った市場環境にあっても100年企業を目指し、新しい成長へのチャレンジを続けてまいりましたが、円安による材料価格の高騰も相俟って、2023年12月期は計画を下回る結果になりました。

2024年〜2026年の中期経営計画については、市場環境の変化と当社グループの経営戦略を織り込み策定いたしました。その概要を当社ホームページ「第52期2023年12月期決算補足説明資料」に公表いたしておりますのでご参照ください。

 

(3)目標とする経営指標

当社グループは、趣味性の高い市場を事業領域としており、お客様のニーズに対応する多くの商品を提供しています。お客様の志向は多種多様であり、このニーズに的確に対応するためには多くの新商品の投入が必要です。当社は、多様なニーズの収集や多品種の開発を適時に行うため少人数で構成する開発グループ制を採用し、また多品種小ロットの商品提供を実現するため、自社では生産設備を持たず、それぞれ商品の特性に合わせた最適なベンダーに生産を委託しています。

これにより、多くの新商品投入を実現し既存商品の販売低下率をカバーしております。したがって毎年投入する新商品による売上高構成比を重要な指標の一つとしています。

また、経営理念に掲げる独創的な商品の提供を目指し、お客様から高い支持を得られる、他社と差別化された付加価値の高い商品により利益を確保し、次の商品開発への再投資やM&Aなどの事業投資による成長を推進するため、経常利益率14%を目標としています。さらにM&Aなどの大きな投資による借入金の増加などに備え、自己資本比率をしっかりと確保しながら効率的に資本を活用するため自己資本利益率も重要な経営指標と捉えこの向上に努めます。

中長期的には、バイク文化の創造企業として、世界のライダーに支持されるブランドを持つグループ会社を目指すとともに、これまで培った「発想」「評価」「改善」能力を活用し、環境変化に対応した商品・サービスで社会貢献を目指します。

 

(4)会社の対応すべき課題

新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)に伴う行動制限下、密を回避できる移動手段として、趣味の乗り物を楽しむ新規ユーザーの増加や車両本体の需要が増大し、当社グループは、この市場拡大の流れを受けて大きく成長してまいりました。

しかし、新型コロナに対する行動制限の緩和により、経済活動や消費活動が正常化してきたことに伴い、密回避の活動は減少し、さらに世界情勢不安や円安等によるエネルギー価格、原材料価格の高騰や事業活動のコスト上昇など、当社グループを取り巻く経営環境は、今後も厳しい状況で推移するものと予想されます。

このような状況下において、当社グループは従来より課題と認識している新商品・新サービスの市場投入の強化、安全・安心なモノづくり、サステナビリティの強化、海外市場への積極的な展開、新規チャネル・新規顧客の開拓、さらには新ビジネスモデルへの取り組みを継続し、二輪事業における勝ち残りを進めながら、永続発展のため新規事業の多角的展開を継続し更なる成長を目指します。

 

① 国内市場における商品力、ブランド力の強化

当社グループの主体である国内二輪車用品市場においては、ユーザー支持率No.1ブランドの確立が最も重要な施策です。人口減少とともに市場規模の逓減傾向が予想される中で、当社が永続発展するためには一層のシェア拡大が必須であり、№1ブランドとして定着することが不可欠であります。新商品開発や既存品改良に対してこれまで以上に経営資源を投下し、より魅力ある商品を市場へ投入してまいります。

また、営業活動においてはオンラインの活用、ユーザーに向けては動画による商品訴求の充実など、効果的なコミュニケーションを推進してまいります。

② 商品価値の見直しと商品管理の最適化

原油・原材料価格の高騰や円安等により仕入れコストが上昇しております。商品が提供する価値と価格のバランスを見直し、適切な価格設定にすることで新商品開発や新規事業への積極投資等に必要な利益を確保してまいります。

また、これまで需要増や原材料不足による納期遅延に対処するため、積極的な仕入れを進めた結果、在庫増や管理費用上昇を招いております。前期より物流改善の専任者を設け、倉庫業務の効率化や仕入先との情報連携スキームを構築いたしました。今後も更なる改善に向けて取り組んでまいります。

③ 新規事業投資と事業化の推進

国内の人口減少に伴う二輪車関連需要の縮小に備え、既存事業に次ぐ収益の柱となる事業を確立するため、2022年7月に新規事業部を設置しました。中期では売上構成比の12%程度、将来的には当社の売上構成比の25%程度を二輪車アフターパーツ以外で構成できるよう投資をしてまいります。

特機事業、リユース事業等の新規事業強化に加え、M&Aによる新たな事業への参入も積極的に推進してまいります。

④ 海外市場の展開

国内事業が主体の当社において、海外販路の展開は重要な成長課題です。

2007年4月に設立したインドネシア子会社では販路開拓及び新商品の投入を進めた結果、大きく業績が向上しました。一方で、物量増大による倉庫スペースの不足や業務処理の能力不足に課題が生じております。この課題に対処するための設備投資も実施してまいります。

また、当社は海外戦略の第二弾として、フィリピンの現地法人を2024年2月8日に設立いたしました。

フィリピン市場には、インドネシアの子会社経営で培ったノウハウやビジネスモデルをそのまま活用できることから、スキーム構築は比較的短期間で実施できることを想定しておりますが、当社グループの永続発展における重要な海外拠点に成長させるべく慎重かつスピード感をもって進めてまいります。

⑤ 持続可能な社会の実現に向けた取組

近年、ESG・サステナビリティといった社会課題に対する注目が高まっており、中長期的な企業価値向上のためには業績の拡大のみならず、これらの社会課題への取り組みが一層重要になると考えております。将来にわたり二輪車を楽しめる豊かな自然環境や社会の実現は当社の永続発展にも資する重要な取り組みです。

2023年度は前年に引き続き、当社グループ企業の使用電力は、再生可能エネルギー100%を実現しました。

今後もコーポレートガバナンス・コードやSDGsを指針に社会貢献に取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

  当社グループは、サステナビリティ全般に関する課題を重要なテーマと捉え、中長期的な企業価値向上のためには業績拡大のみならず、これらの社会問題への取り組みが一層重要になると考えております。

 当社グループのサステナビリティの基本方針は、以下のとおりです。

 ①地球環境

   太陽光発電・リユース・リサイクル等の実施により脱炭素化を進め、環境負荷の最小化に努めます。

 ②従業員

  働く者一人ひとりの健康と安全が成長の源であり、人権を尊重し多様性を認めて、公正な立場での活躍の機会と成長のチャンスを提供します。

 ③お客様

   経営理念に則り、期待に応える独創的かつ高品質な製品とサービスを開発・提供します。

 ④取引先

   共存共栄の実現を目指して、関連する諸法令を遵守のうえ自由かつ公正な取引を行います。

 ⑤株主(含投資家)

   正確かつ公正な情報開示を行い、長期的かつ安定的な成長を通じて企業価値の向上を目指します。

 ⑥地域社会

   地域社会の一員として地域の活性化と調和に努めます。

  当社グループは、事業活動を通じて社会の持続可能な発展に貢献することが、当社グループに期待されているサステナビリティ(持続可能性への取組み)と考えています。

詳細は以下当社HPに掲載しております。

https://corporate.daytona.co.jp/ja/company/sdgs.html

 

ガバナンス

当社グループにおけるサステナビリティ推進体制は、さまざまな社会課題解決に対する企業への期待・要請に  適宜・適切に対応するべく、実効性のある推進体制を構築しています。

また、サステナビリティ関連も含めた当社のリスク管理は、当社のリスクマネジメント規程の下、適宜・適切に管理・対応しております。

 

戦略

 人的投資につきまして、企業事業の継続および持続的な成長を実現するため、新規事業領域における人材確保を積極的に行うとともに、次世代幹部育成のための中堅若手社員への教育等において、外部専門家の活用を行っております。

リスク管理

当社では、社長を委員長とする「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」を設置し、事業リスクの低減と倫理・遵法、環境、人命・地域の安全確保、品質問題など社会的に大きな影響を与えるリスクの根絶を目指し、リスクの早期発見とその対策に取り組んでいます。

気候変動に関連する重要なリスクなどについては、全社リスクマネジメント管理のプロセスと同様に、リスクマネジメント委員会がサステナビリティ委員会と経営会議による分析を経て、その影響度や管理状況について適宜取締役会への報告を行っています。

 

指標及び目標

当社グループは、SDGs(持続可能な開発目標)につきまして、具体的には「自社太陽光発電設備から環境への取り組み」「脱炭素エネルギー・化石燃料の代替燃料として水素生成装置開発の取り組み」「地域貢献:設楽町観光協会との観光パートナー協定による取り組み」等について取り組んでおります。

また、当社グループは、「再エネ100宣言RE Action(アールイー・アクション)」を実現すべく、2021年11月に気候変動テックで脱炭素社会に貢献する非化石証書仲介業者と連携いたしました。現在もデイトナ太陽光発電所の発電電力をトラッキングされたFIT非化石証書をe-dash社より購入し、当社グループで使用される電力の脱炭素化を実現しております。

2023年度は前年に引き続き、当社グループ企業の使用電力は、再生可能エネルギー100%を実現しました。今後もコーポレート・ガバナンスコードやSDGsを指針に社会貢献に取り組んでまいります。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標

当社は従業員に対して、男性・女性関係なく社会の中で生き生きと活躍できるように様々な取り組みを行っています。

「社会の一員、そして仕事のプロフェッショナルとして真の人材となる教育、訓練の実施」を教育方針に掲げ、①次世代育成研修、②リーダー研修、③プレゼンテーション研修、④インナーブランディング研修を実施しております。

また、雇用制度においては、すべての従業員に対し、公正な立場での活躍の機会と成長のチャンスを提供しており、子育て女性・男性への育休制度、育休後のグループ内サポート、時短勤務制度、時差出勤制度、リモート勤務制度、デイトナ人事制度、FA制度、ブーメラン制度、セカンドキャリア制度、イノベーション研修(新規事業創出)、ならびに早朝英会話教室等を実施しております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、ここで記載する内容は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1) 天候による影響 

当社グループ商品は、バイクライダーが早春から初冬のシーズン中にレジャー・ツーリング等で利用されるものが多く、シーズン最盛期の降雨等の天候不順や異常気象等により売上高が減少し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)為替の変動による影響

国内卸売事業およびアジア拠点卸売事業における外貨建て取引は外国為替相場の変動リスクがあります。主要な取引は必要に応じて為替予約などのリスクヘッジをいたしますが、完全に回避することができず、急激な為替変動により業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(3)減損会計を適用した場合のリスクについて

当社グループは固定資産を保有しておりますが、この中で地価の下落やこれらの資産を利用した事業の収益性に低下があった場合、減損会計に基づき損失として計上することが必要となり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 (4)個人情報について

当社グループは、二輪車部品・用品のインターネット販売を行っており、多くの個人情報を保有しております。当社は、「個人情報の保護に関する法律」を遵守し、厳格な個人情報の管理の徹底を図っております。しかしながら、これら個人情報が漏洩した場合、社会的信用の失墜、事故対応による多額の経費発生等により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

(5)感染症について

  現在、新型コロナウイルス感染症は、2023年5月より「5類感染症」に分類され、行動制限が解除されました。当社グループにおきましても、行動制限時には衛生管理の徹底や感染者数の多い地域への出張者に対しては在宅勤務の期間を設けてから出社するよう感染防止対策を実施しておりましたが、現在は当該規制も解除しております。

 今後も新型コロナに関わらず、各種感染症等により出荷・荷受関係者に感染が広がった場合には、商品出荷業務の遅延による販売機会損失が発生し、売上高の減少が一定期間続く可能性があります。

 また、海外での感染症の流行により、海外商品において調達先国の工場稼働の停止や原材料の供給不足による製造遅延、船便のコンテナ不足による配送遅延やそれに伴う輸送コストの上昇懸念等で当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。

(6)棚卸資産の評価について

棚卸資産は、一定期間の販売状況、在庫回転期間などに基づき、四半期ごとに適切な評価を行っておりますが、急激な市場の変化により商品需要が経営者のコントロール不能な要因によって大きく変動した場合、保有している商品に滞留が生じます。その結果、過剰在庫の評価方針が実態と乖離した場合、棚卸資産の評価が下がり商品評価損の増大で利益が減少するリスクがあります。

 (7)のれんの減損

 当社では2017年10月に取得した関係会社株式について、のれん6億50百万円を10年間で償却を進めております。現在、6年経過しのれんの残高は2億60百万円となっております。今後の子会社の業績の動向により、取得時に策定した事業計画を下回った場合にはのれんの残高が減損処理となるリスクがあります。

 (8)自然災害に関するリスク

当社グループの国内拠点卸売事業の事務所兼倉庫等の物流拠点は、静岡県と愛知県にあります。地震や風水害等の自然災害により当社グループの事業継続計画(BCP)の想定を超える被害が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を受ける恐れがあります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1)業績の概要

 ① 経営成績等の概要

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」という)による行動制限が解除されたことにより、経済活動や個人消費は緩やかな回復基調をもって推移いたしました。しかし、不安定な世界情勢や円安の進行などによる原材料価格やエネルギー価格の上昇等に伴い、物価の高騰が続いており、景気の先行きは不透明な状況が続いております。

二輪車業界においては、密を回避する移動手段としてブームとなっていた市場全体が、行動制限の解除とともに落ち着きをみせ、業界新聞の推定では2023年の国内新車販売台数は、前年と同水準の40万8千台程度と見られております。

また、国内の保有台数のうち趣味の利用が多い原付二種以上のクラスでは、過去15年以上安定的に増加し、2023年は前年比3.3%増加の599万台となりました。

二輪車用品市場においては、新型コロナ禍での追い風が沈静化したことに加え、今夏の記録的な猛暑の影響により、二輪車用品店の来店客数が減少し、流通各社の仕入れ抑制が顕著となりました。なお、この流れは年度後半頃より徐々に回復してまいりました。

このような状況のもと、当社グループは市場の動向を注視しつつ、引き続き新商品やリニューアル商品の市場投入を積極的に進めるとともに海外市場への拡販活動に注力してまいりました。

この結果、当連結会計年度の連結売上高は139億61百万円(前期比4.3%減)、営業利益は16億98百万円(前期比17.4%減)、経常利益は17億49百万円(前期比17.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は11億81百万円(前期比17.6%減)となりました。また、連結における自己資本比率は73.2%、自己資本当期純利益率については16.6%となりました。

 

    [国内拠点卸売事業]

 国内拠点卸売事業では、ツーリング用品やライディングウェアならびに新型車や人気車のカスタマイズ商品が好調に推移し前年を上回る販売結果となりました。一方で第1四半期後半から流通各社の在庫調整による販売減少や高額商品の一部に販売減少が見られるなど、年度後半は回復基調になったものの、全体では前連結会計年度を下回る販売となりました。

 この結果、国内拠点卸売事業の売上高は103億62百万円(前期比7.7%減)、セグメント利益は12億61百万円(前期比26.4%減)となりました。

 

    [アジア拠点卸売事業]

アジア拠点卸売事業では、インドネシアにおける販売網の整備による商品供給の増大とともに、ブランド認知が進み現地の二輪車スクータータイプの二輪車部品・用品の販売が好調に推移し、売上高、利益ともに順調に推移いたしました。 

この結果、売上高は10億14百万円(前期比83.5%増)、セグメント利益は2億51百万円(前期比169.4%増)となりました。

 

    [小売事業]

小売事業では行動制限解除以降の二輪車ユーザーの消費活動の多様化や今夏における記録的な猛暑の影響により来店客数が減少し、さらに価格高騰に伴う個人消費マインドの低下により高額品の販売が大幅に減少いたしました。 

この結果、売上高は23億6百万円(前期比13.1%減)、セグメント利益は1億4百万円(前期比50.7%減)となりました。

 

 [その他]

その他事業の太陽光発電事業では、安定した日照時間を確保し、売電収入は前年をやや上回り、利益面でも前年を上回りました。
  また、リユースWEB事業では、売上高は前連結会計年度を上回りましたが、人材補強等で販管費が増加し利益面では前連結会計年度を下回りました。 

この結果、その他事業における売上高は3億89百万円(前期比11.7%増)、セグメント利益は33百万円(前期比3.1%減)となりました。

 

② 財政状態の分析

(流動資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べ10.8%増加し、78億26百万円となりました。これは、現金及び預金が5億97百万円、棚卸資産が1億6百万円増加したことなどによります。

 

  (固定資産)

固定資産は、前連結会計年度末に比べ3.0%減少し、25億5百万円となりました。これは、有形固定資産が53百万円、投資その他の資産が14百万円減少したことなどによります。この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ6億89百万円増加し、103億31百万円となりました。

 

  (流動負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べ3.5%減少し、22億91百万円となりました。これは、未払法人税等が99百万円減少したことなどによります。

 

  (固定負債)

固定負債は、前連結会計年度末に比べ27.7%減少し、3億83百万円となりました。これは、長期借入金が1億41百万円減少したことなどによります。この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ2億29百万円減少し、26億74百万円となりました。

 

  (純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ13.6%増加し、76億56百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ5億79百万円増加15億11百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュフロー)

売上債権の増加による支出が1億59百万円、法人税等の支払額による支出が6億40百万円となりましたが、税金等調整前当期純利益が17億36百万円、減価償却費の計上が1億60百万円となったことにより、当連結会計年度における営業活動により得られた資金は12億24百万円(前連結会計年度に使用された資金は4百万円)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュフロー)

有形固定資産の取得による支出が1億1百万円、無形固定資産の取得による支出が53百万円となったことにより当連結会計年度における投資活動により使用された資金は1億64百万円(前連結会計年度に使用された資金は2億78百万円)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュフロー)

 長期借入れによる収入が1億円となりましたが、長期借入金の返済による支出が2億48百万円、配当金の支払額が2億90百万円となったことにより、当連結会計年度における財務活動により使用された資金は4億86百万円(前連結会計年度に得られた資金は39百万円)となりました。

 

(仕入及び販売の状況)

(1)仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高(千円)

前連結会計年度増減率
(%)

国内拠点卸売事業

6,965,143

△14.8

アジア拠点卸売事業

675,001

54.7

小売事業

1,092,133

△30.5

合計

8,732,278

△14.3

 

 (注) セグメント間取引については、相殺消去しておりません。

 

(2) 販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前連結会計年度増減率
(%)

国内拠点卸売事業

10,251,271

△7.1

アジア拠点卸売事業

1,014,220

83.5

小売事業

2,305,759

△13.1

その他

389,796

11.7

合計

13,961,048

△4.3

 

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な販売先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

アマゾンジャパン合同会社

1,730,691

11.9

2,342,486

16.8

株式会社山城

2,182,614

15.0

2,035,717

14.6

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討の内容

当社グループでは、毎年3カ年の中期経営計画を策定し、ローリング方式で毎年市場環境の変化等を取り込み調整しながら推進しております。新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」という)の発生以降、密を避ける趣味として強い追い風を受ける二輪市場を背景に2023年度は、2025年度に向けた中期経営計画を策定し推進してまいりました。しかしながら、新型コロナによる行動制限の解除にともない、旅行や飲食などに人流が戻る中、二輪車業界の強い追い風は落ち着きを見せるようになりました。

連結経営成績につきましては、このような市場環境の大きな変化を受け、2023年8月9日には業績予想を修正いたしました。修正後はほぼ予想通りの進捗となり、2023年度末においては連結売上高139億円となりました。

利益面においては、引き続き円安や物価上昇が続き厳しい状況となり、販売も当初計画を下回ったため、2023年2月14日に公表した当初業績予想の経常利益率13.8%の達成には至りませんでしたが、2023年8月9日の修正予想に対しては、ほぼ予想どおりの12.5%となりました。

自己資本利益率は16.6%となり前期の23.9%からは減少となりましたが、資本効率面では良い水準を維持しているものと考えております。

連結財政状態では、事業投資やM&Aに備えて重視している自己資本比率は73.2%となり、前期の69.0%から4.2ポイント上昇いたしました。1株当たり純資産は、3,193円10銭となり、前期末の2,814円56銭から向上しておりますが、純資産が順調に増加したことに加え、株価が2022年期末の3,515円から2023年期末は3,000円となったことで、株価純資産倍率は0.94倍となりました。この点に関して分析した結果、中長期での期待成長率が低く株価収益率が6.0倍程度の水準であることが大きな要因の一つであることから、当社の理解を深めるためIR活動に力を入れることとし、自社ホームページのコーポレートサイトのリニューアル、決算発表後の補足資料の提供、個人投資家向け説明会の開催など、これまで以上に理解を深める活動で対策を取ることといたしました。

その他、当社単体において重視している新商品投入について、2023年度は代替品を除く新商品759点を投入し当社売上高全体に占める構成比は5.8%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(a) キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)業績の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(b) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金需要の主なものは、商品および資材のほか販売費及び一般管理費などの運転資金、有形・無形固定資産などの購入による設備投資資金であります。

当社グループは、運転資金につきましては自己資金および金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資につきましては自己資金および金融機関からの長期借入金を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金を含む有利子負債の残高は13億26百万円であります。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は15億11百万円となっております。

 

項   目

2019年

2020年

2021年

2022年

2023年

 自己資本比率

50.3%

57.0%

65.7%

69.0%

73.2%

 時価ベースの自己資本比率

51.1%

66.2%

89.9%

85.9%

68.8%

 キャッシュ・フロー対有利子負債

4.8年

1.1年

1.7年

―年

1.0年

 インタレスト・カバレッジ・レシオ

33.0倍

108.8倍

70.6倍

―倍

130.7倍

 

(注) 1. いずれも連結ベースの財政数値により計算しております。

 2. キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを利用しております。
3. 有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としてお

      ります。

 4. 2022年度12月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオについては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会社上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループにおける研究開発活動は、国内拠点卸売事業及びアジア拠点卸売事業において行われており、主に顧客ニーズの変化に対応し、快適さや便利さなど、品質・機能・価格のバランスに優れた新商品開発と既存商品の改良をするための研究開発活動を行っております。

当連結会計年度における研究開発費の総額は52百万円であり内39百万円は国内拠点卸売事業、12百万円はアジア拠点卸売事業であります。

セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。

〔国内拠点卸売事業〕

フェンダーレスキット、ドライブレコーダーの開発、バイクガレージのオプション品の充実、ライディングジャケット、ツーリンググッズ等の既存商品のリニューアル等を行っております。

 

〔アジア拠点卸売事業〕

消耗部品、電装部品、マフラー等の開発を行っております。