第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の方針

当社グループは、「良い商品」「良いサービス」をお客様に提供することを通じて、社会に貢献することを基本理念としております。

また、株主・顧客・取引先の皆様及び従業員など、すべての関係者と共存共栄を図り、企業価値を高めることを行動の指針としております。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは2021年7月に中期経営計画(2021年~2025年)を発表いたしました。通信販売事業を中核とした独自の共創モデルを構築することで、2025年度に連結売上高 900億円、連結営業利益40億円、ROE8%以上を目指してまいります。

 

・中期経営計画の3つの目標

①様々な価値観と暮らしの両面を見つめ、お客様のライフスタイルを理解し、

暮らしにとけこむユニークな商品とサービスをお届けします

②お客様に寄り添い、環境にやさしい商品、安心して使える商品、愛着のわく商品を増やし、

商品使用後のリサイクル、リユースの拡大に取り組むこと(使用価値※の最大化)で、

物を大切にするサステナブルな社会を目指します

③多様なライフスタイルごとに、同じ価値観に共感する人・企業同士がつながる、

ぬくもりのある共創社会を目指します

※使用価値とは、モノ・サービスそのものとしての価値(安心品質・納得価格、かゆいところに手が届く、

気の利いたデザイン、愛着を持って長く使える素材・アイデア等)に、使用中・使用後のサービスも

組み合わせた価値であります。

 

(3) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新型コロナウイルス感染症の影響が弱まり行動制限は緩和され、経済活動の正常化が進んでおります。しかしながら、ウクライナ情勢等の地政学リスクの長期化、エネルギー価格や原材料費高騰に伴う物価の上昇、世界的な金融の引き締めが重なり、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

このような状況のもと、当社グループはさらなる企業価値の向上を実現するため、中期経営計画に基づき環境変化に対応しながら、中長期的な視点で経営課題の解決に取り組んでまいります。各事業の対処すべき課題は以下のとおりであります。

 

① 通信販売事業

2023年度は中期経営計画(2021~2025年)の3年目となり、引き続き、通信販売事業のビジネスモデル再構築を目指し変革を進めてまいります。中期経営計画の目標である愛着のある商品づくりと使用価値最大化に向けて、パートナー企業との共創による商品力の強化と新サービスの展開を計画しております。また、顧客基盤を強化するためにデジタルコミュニケーション施策やモバイルを中心としたEC販促施策を積極的に実施し、新規会員の獲得と既存会員の継続利用を促進いたします。また、ベルメゾンネットを活用した新たな広告メニューの展開を拡大してまいります。全面的にリプレイスを実行し柔軟性が高まった新たな基幹システムをベースとした業務改革及びDXの実現に取り組んでまいります。

 

② 法人事業

顧客ニーズの複雑化・多様化や他社との競争激化により、事業環境は年々厳しくなっておりますが、通信販売に関連した業務支援等のニーズは高まっております。これまで以上に顧客接点を増やし、当社の通信販売事業で培ったノウハウを活かした提案型営業を強化いたします。また、2020年9月に資本業務提携いたしました東日本旅客鉄道株式会社や事業パートナーとの共創により新規顧客の開拓も強化してまいります。

 

③ 保険事業

新型コロナウイルスの感染に関連した行動制限が緩和される中で、マネーセミナー等の活動を拡大してまいります。ベルメゾン会員のライフステージの変化に合わせ、女性が毎日を安心して過ごせるように顧客ニーズに寄り添った商品提案を強化することで、収益性の向上を目指してまいります。

 

④ その他

保育事業では、子育てに関わるすべての人の気持ちに寄り添い、笑顔がつながり今日、明日が未来につながる「生きる力」を育めるように事業を展開しサービスを提供しております。引き続き各ご家庭と一緒に新型コロナウイルスの感染予防に努めながら、安心・安全な保育施設、学童施設の運営を進めてまいります。また、子育てに関連した付加価値の高い周辺事業の展開も拡大してまいります。

 

当社グループは、株主、顧客、従業員、取引先、地域社会といった様々な利害関係者との共創による企業価値の向上を目指しております。そのためにコーポレート・ガバナンス(企業統治)が必要不可欠なものと認識し、内部統制システムの整備を行うとともに、透明性の高い経営システムの構築を図り、有効に機能させることが重要であると考えております。

併せて、取締役の監督責任の明確化、コンプライアンス体制の強化、迅速かつ正確な情報開示にも努めることで、内部統制システムの改善と充実を図りながら、コーポレート・ガバナンスを強化してまいります。

今後とも、当社グループ一丸となり、企業価値の更なる向上に全力を尽くす所存でございます。

2【事業等のリスク】

[方針]

当社グループは、経営の健全性の維持・確保及び当社グループの信用の維持を図るため、リスク管理体制の強化は経営の最重要課題の一つであると位置付け、全役員及び全従業員に対して、リスク管理重視に取り組む姿勢の周知徹底を図るとともに、あらゆるリスクに対応できる体制作りを目指しております。

リスクを総合的、全社的に管理する機関として、リスク管理統括委員会(以下、「統括委員会」という)を設置し、統括委員会の委員長は社長、委員は経営会議の構成メンバーとし、統括委員会の事務局には、リスクマネジメント部を設置しております。

統括委員会の下部専門組織及び各リスクを管理する所管部署は、リスクの発生やそのおそれがあると判断するとき、及びリスクに関する重要な情報を得たときは、速やかにかつ適切に報告を行うとともに統括委員会事務局に対し、毎月、リスク管理の状況について定例報告を行います。(リスク管理体制(リスク管理規程の別表)参照。)

統括委員会事務局は、リスク管理の状況について経営会議及び取締役会において定例報告を行います。報告周期は、経営会議においては毎月、取締役会においては毎四半期としております。(全社リスク管理(月次)と評価(四半期)のプロセス参照。)

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[個別のリスク]

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 生産国の政治情勢及び経済状況等の変化に関するリスク

当社グループが販売する商品の大半は中国などアジア各国からの輸入によるものであります。このため中国などアジア各国の政治情勢、経済環境、自然災害等により当社グループの業績及び財務状況に影響を受ける可能性があります。

 

(2) 為替変動に関するリスク

当社グループの主たる事業である通信販売事業において、取扱商品の一部は海外から外貨建で輸入しております。そのため、大幅な為替相場の変動があった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 個人情報漏洩に関するリスク

当社及び一部の子会社は個人情報保護法に規定する個人情報取扱事業者に該当しております。当社グループでは、法律を遵守すると共に、情報漏洩防止のため顧客情報管理担当を置き、内部管理体制を強化しております。なお、当社はプライバシーマークの認証を取得しております。

しかしながら、当社グループが扱う個人情報が漏洩した場合については、当社グループの信頼の失墜につながり、企業イメージの悪化が業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 自然災害等に関するリスク

当社グループの主たる事業である通信販売事業において、受注処理及び商品出荷業務などは、万一自然災害等が発生した場合多大な影響があります。その影響を最小限にするためシステムの二重化や耐震対策を行っております。また、災害対策委員会を設置し災害発生時の対応ルールなどを策定しております。

しかしながら、大規模災害の発生により当社の設備等に被害が生じた場合については、受注処理及び商品出荷業務に影響を与え、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症に関しましては、全国的に減少傾向が継続しているものの、季節性インフルエンザとの同時流行に注意が必要との見方がされており、依然として先行きは不透明な状況であります。

当社グループは同感染症拡大を防止するため、引き続き衛生管理の徹底や時差出勤・在宅勤務等を実施しつつ、事業活動を継続しておりますが、今後感染が再拡大した場合、従業員の感染による業務遅延やサプライチェーンの停滞等により、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) システムに関するリスク

当社グループが保有するコンピュータシステムにおいて地震、台風のほか洪水、ハードウェア及びソフトウェアの障害、テロリズム、サイバーテロ等、様々な要因がシステムに影響を及ぼす可能性があります。業務はほとんどすべてにおいてコンピュータ処理を行っているため、コンピュータトラブルが発生し復旧等に時間を要した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 法的規制等に関するリスク

当社グループの主たる事業である通信販売事業においては、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」、「特定商取引に関する法律」、「薬機法」、「製造物責任法」等による法的規制を受けております。そのため、社員教育の徹底、コンプライアンス体制の整備など管理体制の構築等により法令遵守の体制を整備しております。

しかしながら、これらに関連する法令の規制の改正や新たな法的規制が設けられる場合、あるいはこれらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの企業イメージの悪化など、当社グループの事業、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 天候不順に関するリスク

当社グループの主たる事業である通信販売事業において、冷夏や暖冬、長雨といった天候不順や異常気象により売上が変動するため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 企業買収、戦略的提携に関するリスク

当社グループは、既存の事業基盤を拡大するため、あるいは新たな事業への進出のため、今後も事業戦略の一環として企業買収や資本提携を含む戦略的提携を行なう可能性があります。企業買収や戦略的提携にあたっては、十分な調査・分析検討を行ないますが、買収・提携後に偶発債務の発生や未認識債務が判明する場合などが考えられます。また、買収・提携後の事業計画が当初計画どおりに進捗しない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 在庫に関するリスク

当社グループでは、季節性の強い商品が一定比率を占めることや、商品企画から販売までに一定期間を要することから、販売時の気候や流行に左右され、商品企画時の計画と販売実績が乖離し、商品の収益性が低下する可能性があります。仕入・販売・在庫計画の精緻化や在庫コントロールの強化など、在庫の抑制、商品回転率の向上に努めておりますが、販売量の予期せぬ変動により在庫が過剰となり収益性の低下が見られた場合、評価損によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 商品の安全性に関するリスク

当社グループの提供する商品については、関連法規の遵守はもちろんのこと、法規制以上の自社基準・自社規制を設け、全グループを挙げてその品質向上に取り組んでおります。しかし、将来にわたり、販売した商品及びその広告表現等において、安全上の問題や表示上の問題が発生する可能性があります。このような問題が発生した場合、多額のコストの発生や当社グループのイメージ低下による売上の減少等が想定され、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) インターネット等による風評被害に関するリスク

当社グループは、プレスリリース及び適時情報開示等により信頼の維持・向上を図り、リスク顕在化の未然防止に努めております。しかしながらインターネット上の掲示板への書き込みや、それらを要因とするマスコミ報道等による風評・風説の流布が発生・拡散した場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 通信販売市場におけるリスク

当社グループが主たる事業とする通信販売市場において、近年インターネットやスマートフォン等、情報通信インフラの充実や携帯端末の普及により、通信販売市場自体は今後も拡大が見込まれます。当社グループはこうした購買環境の変化に対応し、カタログを中心とした従来型スタイルからECへと軸足をシフトし、EC販売の強化を図っています。しかし、通信販売市場の拡大に伴うさらなる競争激化が予想され、既存事業者との競合、新規参入事業者による新たな高付加価値サービスの提供等が行われた場合、当社グループにおける競争力が低下した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 固定資産の減損に関するリスク

当社グループでは、事業の用に供する様々な有形固定資産や無形固定資産を有しておりますが、事業収益の急激な悪化や買収事業の推移が当初計画を下回ることなどにより、保有資産から得られる将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用による減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(14) 事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策

当社グループといたしましては、システムの安定稼働とお客様の信頼回復に努めると共に、引き続き改善施策の実行に注力し、早期に黒字転換を実現するため、中期経営計画で掲げている「通信販売事業のデジタルシフト」、「収益構造の変革」及び「パートナー企業との共創」等の施策を集中的に実施し、ビジネスモデルの転換を進めております。

 

各施策の進捗状況

①「通信販売事業のデジタルシフト」

現在、カタログ中心のプロモーションを見直し、SNS等によるデジタル・プロモーションへの経営資源のシフトを進めており、その一環として注力商品の商品詳細情報の充実等に取り組んでおります。また、2022年11月にはTVCMとSNSとの連動による大規模なクロスメディア販促を実施しました。今回の結果を踏まえ、施策のブラッシュアップを図った上で、継続的に実施してまいります。

 

②「収益構造の変革」

従来のカタログに最適化した事業運営から脱却し、デジタルとの親和性が高く、かつオープンの場でも競争優位性が高い商品(オリジナル商品)を中心に展開してまいります。併せてこれまで以上にお客様の価値観やライフスタイルを理解することで、お客様に愛着を持って長く使っていただける商品開発を強化してまいります。カタログをご利用になられないお客様へのカタログ配布を抑制し、より有効的なデジタル・プロモーションにシフトしていくことで、販売促進費の効率化を進めております。今後、潜在顧客層へのアプローチだけではなく、既存会員様の継続率、購入頻度増に重点投資することで、投資対効果の最大化を図ってまいります。カタログについては、カタログをご支持いただけるお客様への重要なプロモーション、コミュニケーションのツールとして、今後もさらに提案品質・クリエイティブに磨きをかけ、活用してまいります。通信販売事業のデジタルシフト化と合わせて、広告ソリューション事業の拡大に取り組んでおり、女性会員数が国内有数規模のECサイト「ベルメゾンネット」を活用した新たな広告メニューを展開してまいります。

 

③「パートナー企業との共創」

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)との協業の深化・拡大を進めており、JRE MALL活性化のためのJRE POINT会員様へのアプローチを前提としたデータマーケティング支援、JR東日本グループからの受託業務の拡大等、通信販売事業、リアル店舗事業以外の領域での取り組みも具体化してきております。今後も両社のアセットを活用した取り組みを共創・推進してまいります。情報流通支援サービスの株式会社オークネットとの共創による商品買取サービス「kimawari」を始めとする商品の使用中・使用後に係るサービスや、お客様の暮らしに寄り添った便利なサービスを拡充することで、ベルメゾンのブランド価値を高め、会員基盤の強化を目指しております。商品買取サービス「kimawari」については、サービスをご利用いただいたお客様の継続率が飛躍的に改善するトライアル結果が出ており、2022年11月からのグランドオープンでもご好評をいただいております。今後のベルメゾンの重点施策の一つとして、買取対象商品の拡大など、取り組みを加速させてまいります。

 

(15) 継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、2022年1月に実行した基幹システムのリプレイスに関連するトラブルの影響により、当連結会計年度において営業損失8,139百万円、経常損失7,889百万円、親会社株主に帰属する当期純損失10,976百万円と多額の損失を計上したことで、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。しかしながら、「2 事業等リスク(14) 事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策」、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に記載のとおり、当該重要事象を解消するための対応策を実施しております。

また、当連結会計年度末において現金及び預金9,287百万円を保有しており、当面の運転資金が十分に確保できている状況であることから、重要な資金繰りの懸念はありません。

 

財務面については、当連結会計年度末において、当社グループの自己資本比率は56.5%であり、良好な財政状態を維持しております。また、資金面については、当連結会計年度末において、現金及び預金9,287百万円を保有していること、既存の2,500百万円の当座貸越契約枠に加え、2023年1月27日に新たに3,000百万円の枠を追加設定した結果、合計5,500百万円の当座貸越契約枠の設定があることから、資金繰りの懸念はございません。既存の当座貸越契約枠のうち500百万円については、2023年5月31日が契約期日ですが、特段の意思表示がない場合は期限が自動的に1年間延長されます。

なお、取引金融機関と総額10,000百万円のコミットメントライン契約を締結しており、当連結会計年度末において当該財務制限条項の一つである純資産の維持に係る条項に抵触いたしましたが、2023年1月27日付で当該条項の内容の見直し等について取引金融機関と合意し、当該状況は解消しております。本契約の期間満了日は2023年6月30日で、実行日から最長6ヶ月の借入が可能です。当連結会計年度末における当該契約の借入実行残高はございません。今後も継続的な支援が得られるよう対応してまいります。

以上により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

今後も経営環境の変化に柔軟に対応し、必要な施策を適時に実行することにより、来期の黒字化を実現し、中長期的には、お客様から長く愛され、ステークホルダーの皆様の期待に応えられる企業となれるよう努めてまいります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、前連結会計年度と比較しての増減額及び前期比(%)を記載せずに説明しております。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、年度の後半にかけ新型コロナウイルス感染症による影響が弱まり、経済活動の正常化が進みました。しかしながら、ウクライナ情勢等の地政学リスクの長期化、エネルギー価格や原材料費高騰に伴う物価の上昇、世界的な金融の引き締めが重なり、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

このような経営環境のもと、当社グループは、2022年1月に実行した基幹システムのリプレイスに関連するトラブルにより、通常の営業活動に支障をきたす状態となりました。システムが平常どおりに稼働したのち、販売促進策を再開し営業活動を拡大いたしましたが、当社グループの中核事業である通信販売事業のベルメゾンの売上高が前期を大きく下回って推移いたしました。また、前第1四半期連結累計期間までは連結の範囲から除外したブライダル事業の売上高が含まれておりました。これらを主要因とし、当連結会計年度の当社グループの売上高は589億15百万円(前期は731億49百万円)、営業損失は81億39百万円(前期は3億49百万円の営業利益)、経常損失は78億89百万円(前期は5億20百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は109億76百万円(前期は3億8百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

なお、当社グループの基幹システムは、通信販売事業の成長に合わせて巨大化・複雑化し、様々な変化への対応が困難な状況となっていた一方、当社の通信販売事業はビジネスモデルの転換期にあり、今後、事業の変革を進める上でシステムの柔軟性は不可欠な要素となっておりました。このため、基幹システムをベーシックかつシンプルなものに刷新することとし、並行して業務プロセスも改革することを念頭に準備を進め、当初の予定どおり2022年1月に基幹システムのリプレイスを実行いたしました。現在、システムは安定稼働しており、柔軟性のある新たなシステムを起点にBPRを実行し、お客様の信頼回復に努めるとともに黒字転換を目指しております。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

なお、2021年3月31日付で当社の連結子会社であった株式会社ディアーズ・ブレイン(以下「DB社」といいます。)及び株式会社プラネットワーク(以下DB社と総称して「当該会社ら」といいます。)の全株式を譲渡したことに伴い、当該会社ら及びDB社の100%子会社(当社の孫会社)である株式会社ワンダーステージを連結の範囲から除外し、当社グループとしてのブライダル事業の運営を取りやめました。そのため、当連結会計年度からブライダル事業の概況は記載しておりません。

 

〔通信販売事業〕

カタログ及びインターネットを中心とする通信販売事業の当連結会計年度の売上高は526億33百万円(前期は643億25百万円)、営業損失は84億5百万円(前期は8億94百万円の営業利益)となりました。2022年1月に全面的にリプレイスを実行した基幹システムに関連するトラブルが発生し、顧客対応を優先するために販売促進策の実施を見合わせ通常の営業活動を縮小しておりました。システムが平常どおりに稼働したのち、業績回復に向け販売促進策を再開し営業活動を拡大するとともに、新たなリカバリー施策を実施いたしました。しかし、前期水準までの会員規模の回復には至らず、さらに物価上昇による節約志向の高まりや残暑が長引いたことによる季節商材の需要減少が重なり、当社グループの中核事業である通信販売事業のベルメゾンの売上高が前期を大きく下回り減収減益となりました。

 

〔法人事業〕

法人向けの商品・サービスを提供する法人事業の当連結会計年度の売上高は42億92百万円(前期は47億32百万円)、営業利益は48百万円(前期は3億2百万円の営業利益)となりました。企業の株主優待等に関連したノベルティの利用は好調に推移したものの、物流やコールセンター業務の代行サービスの利用が想定より伸びず減収減益となりました。

 

〔保険事業〕

ベルメゾン会員を中心に最適な保険選びのサポートを行う保険事業の当連結会計年度の売上高は5億12百万円(前期は4億20百万円)、営業利益は2億81百万円(前期は1億89百万円の営業利益)となりました。

 

〔その他〕

子育て支援事業、化粧品製造販売事業等を行うその他の事業の当連結会計年度の売上高は14億77百万円(前期は19億38百万円)、営業損失は64百万円(前期は7百万円の営業利益)となりました。なお、2022年4月1日付で当社の連結子会社であった株式会社ユイット・ラボラトリーズの全株式を譲渡したことに伴い、化粧品製造販売事業を連結の範囲から除外しております。詳細につきましては、2022年3月4日公表の「連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ」をご参照ください。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は92億87百万円となり、前連結会計年度末と比較して63億77百万円の減少となりました。

「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、58億69百万円の支出(前期は3億17百万円の支出)となりました。主なプラス要因は、減損損失30億54百万円、棚卸資産の減少額21億5百万円、減価償却費12億93百万円であり、主なマイナス要因は、税金等調整前当期純損失108億50百万円であります。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、7億6百万円の支出(前期は6億3百万円の支出)となりました。主なプラス要因は、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入6億26百万円であり、主なマイナス要因は、無形固定資産の取得による支出11億92百万円、有形固定資産の取得による支出5億72百万円であります。

「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、1億48百万円の収入(前期は30億66百万円の支出)となりました。主なプラス要因は、長期借入れによる収入10億円であり、主なマイナス要因は、長期借入金の返済による支出6億50百万円であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループの生産実績は、金額的重要性が乏しいため記載を省略しております。

 

b.仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

通信販売事業

25,767

法人事業

661

保険事業

 報告セグメント計

26,429

その他

73

合計

26,503

(注)1.金額は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、収益認識に関する会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、当連結会計年度期首から新たな会計方針を適用しております。これにより、当連結会計年度と比較対象となる前連結会計年度の収益認識基準が異なるため、仕入実績の増減率の記載は省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

通信販売事業

52,633

法人事業

4,292

保険事業

512

 報告セグメント計

57,437

その他

1,477

合計

58,915

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.数量については、品目が多岐にわたるため、表示を省略しております。

3.当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、収益認識に関する会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、当連結会計年度期首から新たな会計方針を適用しております。これにより、当連結会計年度と比較対象となる前連結会計年度の収益認識基準が異なるため、販売実績の増減率の記載は省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、前連結会計年度と比較しての増減額及び前期比(%)を記載せずに説明しております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績の分析

a.売上高

売上高につきましては、589億15百万円(前期は731億49百万円)となりました。売上高をセグメントごとに分析すると、通信販売事業は526億33百万円(前期は643億25百万円)、法人事業は42億92百万円(前期は47億32百万円)、保険事業は5億12百万円(前期は4億20百万円)、その他の事業は14億77百万円(前期は19億38百万円)となりました。

 

b.売上原価

売上原価は308億64百万円となり、前連結会計年度と比較して55億92百万円減少となりました。これは基幹システムのリプレイスに関するトラブルによる受注減少によるものであります。

 

c.販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は361億90百万円となり、前連結会計年度と比較して1億52百万円減少となりました。これは通信販売事業において在庫削減に向けたバーゲン販売の増加やシステムトラブル対応費用の増加があった一方で、売上高の減少に伴い変動費が減少したことによるものであります。

 

d.営業損失

以上により、営業損失は81億39百万円(前期は3億49百万円の営業利益)となりました。

 

e.営業外損益及び経常損失

営業外収益は、債務勘定整理益1億69百万円(前期は1億15百万円)、雑収入1億29百万円(前期は3億22百万円)、貸倒引当金戻入額80百万円(前期は1百万円)、不動産賃貸料77百万円(前期は58百万円)、受取利息及び配当金39百万円(前期は41百万円)等を計上したことにより、5億12百万円(前期は6億17百万円)となりました。

営業外費用は、支払手数料1億13百万円(前期は2億48百万円)、不動産賃貸費用66百万円(前期は50百万円)、支払利息46百万円(前期は77百万円)等を計上したことにより、2億62百万円(前期は4億46百万円)となりました。

以上により、経常損失は78億89百万円(前期は5億20百万円の経常利益)となりました。

 

f.特別損益、税金等調整前当期純損失及び親会社株主に帰属する当期純損失

特別利益は、補助金収入1億88百万円(前期は1億62百万円)、関係会社株式売却益1億34百万円(前期は-百万円)等を計上したことにより、3億41百万円(前期は1億63百万円)となりました。

特別損失は、減損損失30億54百万円(前期-百万円)、固定資産圧縮損1億73百万円(前期は1億51百万円)等を計上したことにより、33億2百万円(前期は2億84百万円)となりました。

以上により、税金等調整前当期純損失は108億50百万円(前期は税金等調整前当期純利益3億99百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は109億76百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益3億8百万円)となりました。

 

② 当連結会計年度末の財政状態の分析

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ135億53百万円減少し、389億23百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ98億75百万円減少し、245億87百万円となりました。これは、現金及び預金が63億77百万円、商品及び製品が22億52百万円それぞれ減少したことが主な要因であります。また固定資産は、減損損失の計上等により無形固定資産が27億38百万円、有形固定資産が6億49百万円、投資その他の資産が2億90百万円それぞれ減少したことにより前連結会計年度末に比べ36億78百万円減少し、143億35百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末に比べ28億65百万円減少し、131億1百万円となりました。これは、電子記録債務が17億40百万円、未払金が7億74百万円それぞれ減少したことが主な要因であります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ4億94百万円増加し、38億2百万円となりました。これは、長期借入金が2億80百万円、その他が1億27百万円それぞれ増加したことが主な要因であります。

純資産は、前連結会計年度末に比べ111億82百万円減少し、220億19百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純損失109億76百万円を計上したことが主な要因であります。この結果、自己資本比率は56.5%となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入原価や運賃・販売促進費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は39億59百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は92億87百万円となっております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しており、経営成績又は財政状態に重要な影響を及ぼす見積り・判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる要因を考慮して行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在することから、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。

なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

(コミットメントライン契約の変更)

当社は2017年12月28日付で締結した取引金融機関との総額100億円のコミットメントライン契約(2018年10月31日付の変更契約、2020年8月11日付の第二変更契約及び2021年6月25日付の第三変更契約を含む)について、2022年6月27日付で契約内容の一部を変更しております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結貸借対照表関係)」をご参照ください。

 

(コミットメントライン契約における財務制限条項の変更)

当連結会計年度末において、コミットメントライン契約にかかる財務制限条項のうち、純資産に関する条項に抵触しております。しかしながら、2023年1月27日付で財務制限条項の内容の見直し等について取引金融機関と合意し、当該状況はすべて解消しております。変更後の契約においては、下記の財務制限条項に抵触した場合、本契約上の全ての債務について期限の利益を喪失する可能性があります。

 

変更後の財務制限条項

(1)2023年12月期末日及びそれ以降の各連結会計年度末日における連結損益計算書に記載される営業損益及び経常損益を損失としないこと。

(2)2023年12月期末日及びそれ以降の各連結会計年度末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額を、2022年12月期末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額、又は直近の連結会計年度末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額のうち、いずれか高いほうの金額以上に維持すること。

 

(当座借越契約の締結)

当社は、2022年12月16日開催の取締役会決議に基づき、物価の上昇や消費行動の変化、地政学リスクなどの先行き不透明な状況下での資金需要等に備えるため、取引金融機関と2023年1月27日に以下のとおり特殊当座借越契約を新たに締結しております。

借   入   先:株式会社三井住友銀行

借 入 金 額:3,000百万円

借 入 利 率:基準金利+スプレッド(1.00%)

契 約 締 結 日:2023年1月27日

契 約 期 限:2024年1月26日

返 済 方 法:期日一括返済

 

なお、当該特殊当座借越契約の締結に伴い、以下の資産を担保(第三順位)に供しております。

(単位:百万円)

 

当連結会計年度

(2022年12月31日)

建物及び構築物

3,415

土地

5,233

合計

8,648

 

5【研究開発活動】

 当連結会計年度の研究開発活動は、主として通信販売事業のオリジナル商品の開発に係るものであります。当連結会計年度の研究開発費の総額は48百万円であります。