文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は1950年の創立以来、金属加工技術を軸に市場が求める製品を創出し、新市場を切り拓く金属製品加工メーカーとして事業展開しており、その基本方針は会社の経営理念である「限りない未来の創造」に掲げております。
・お客様のニーズにかなう高品質な、信頼性のある製品を創造しつづけること
・技術が企業活動の源泉であること
・社会のニーズの変化への適応力が不可欠であること
・時代が要求する製品を開発し社会に提供することが企業発展の基本であること
としており、成長を重ねる事業の継続が最も重要であり、それが当社を巡る株主様をはじめとするステーク ホルダーの満足に応えることを可能とする源と考えております。
また、当社グループはゴルフクラブヘッド、医療機器、航空機部品、メタルスリーブ製品及び自動車等鍛造部品の製造を主体にその基盤の拡充を図り、収益力を強化していくことを目指しております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、ゴルフクラブヘッド、医療機器、航空機部品、メタルスリーブ製品及び自動車等鍛造部品の製造を拡充して経営基盤の強化を図り、安定的な収益の確保と効率化を目指した経営を行うことで、企業価値の向上に努めてまいります。
経営上の目標の達成状況を判断する経営指標としましては、中長期的な経営戦略を総合的に勘案し、経営に最も適した指標の設定を考えておりますが、自己資本利益率(ROE)5.0%以上の継続的な実現を目指します。
(3)経営戦略等
当社グループを「鍛造技術と塑性加工技術を中核とした金属製品加工業」と位置付け、ゴルフクラブ(クラブヘッド)、医療機器、航空機部品、メタルスリーブ製品(OA機器部品)、自動車等鍛造部品を中心とし、技術開発成果を事業に活かすとともに、新たな分野についても研究を進め、そのための設備投資を行っていく方針であります。
具体的に中長期的な経営戦略としては、全事業部門を通して次の3つテーマを設定し、目標管理を徹底することによって売上の確保と利益の拡大に努めてまいります。
『事業ポートフォリオの再構築』
・事業や市場の特性等を踏まえたポートフォリオの再構築
・新技術導入、M&A、アライアンス活用による新たな価値の創造
・生産コスト最適化と品質の安定化による市場拡大
『経営基盤の強化』
・遠藤製作所が目指す姿を実現するための人材戦略の実行
・基幹システムの刷新/統一によるデータドリブン経営の基礎づくり
・グローバルレベルでのシームレスな組織運営の基盤構築
『資本効率の向上』
・利益成長と安定した配当を実現するためのROEの目標設定
・成長投資と株主還元の推進
・新たな成長機会の獲得に向けた積極投資
(4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上並びに財務上の課題
今後のわが国経済の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、経済活動の正常化の動きが明確となり、個人消費やインバウンド需要の回復等により景気は緩やかに回復していくと予想しております。しかしながら、地政学的リスク等の影響が長期化しており、世界的な原油価格や原材料の高騰は継続し、合わせて円安水準も継続する様相であり、予断を許さない極めて厳しい状況が続くものと思われます。
当社グループの経営環境につきましては、ゴルフ市場では過熱感が一服したもののゴルフへの関心は世界的に高いまま継続すると予想しております。医療機器につきましては、新型コロナウイルス感染症禍での医療優先順位が相対的に低下していた人工関節市場は回復するとともに、世界的な高齢化による需要増加を予想しております。航空機分野につきましても、新型コロナウイルス感染症禍での移動制限が解除されつつある状況であり、航空機部品の需要は増加すると予想しております。メタルスリーブ事業では、世界的に事務の効率化や在宅勤務の普及もあり複合機部品の需要は縮小していくと予想しております。鍛造事業につきましては、電気自動車が大幅に生産・販売台数を伸ばしてきているものの、ガソリン及びハイブリッド車の生産・販売台数は堅調に推移していくものと予想しております。
このような状況の中、当社は、引き続き安定供給が可能となるよう仕入、物流等のサプライチェーンへの諸情勢による影響を最低限に止め、製造体制の強化を実施し、主要な取引先に対し受注獲得の取り組みを強化するとともに、開発力の向上と高付加価値製品の供給に努め、全社で生産効率の向上、製造原価の低減、一層のコスト削減に取り組んでまいります。
上記の当社グループの経営戦略を確実なものとするため、ゴルフ事業、メタルスリーブ事業及び鍛造事業において、次のような取り組みを行っていく所存であります。
① ゴルフ事業について
・グローバルなゴルフクラブ市場(サプライチェーン)の中で、一層の製造技術、製品品質の向上を図り、ニーズに対応した競争力のある付加価値製品の供給に努めてまいります。
・当社がコア技術とする鍛造製法の特性を更に明確にすべく、製法を更に進化させ、新しい市場ニーズに適応した商品を供給することを目指して、企画開発部門の拡充・強化を図ります。
・当社のコア技術により獲得した、医療機器分野及び航空機分野での受注及び製品供給を拡大することに努めてまいります。
・生産拠点のタイ工場(ENDO THAI CO.,LTD.)につきましては、生産体制の最適化、効率生産に取り組み、製造コストの低減を更に推し進めます。
・急激な為替変動による製造原価上昇に対して、為替予約等のリスク回避に努めると同時に生産性の向上によるコスト削減を徹底し、収益の確保に努めてまいります。
・変化の激しい市場動向の中で取引先に対する対応をきめ細かく行なうために、企画・製造のリードタイムの短縮を図ります。
② メタルスリーブ事業について
・定着スリーブの強度化と更に熱特性に優れた新素材の開発で、付加価値のある製品のバリエーションを広げます。
・幅広い分野への製品提案によって、国内外企業での既存取引先との取り組み拡大と新規取引先の開拓を進めることで受注の拡大を図ります。
・極薄加工技術を含む金属塑性加工技術を更に発展・応用した次世代製品の研究開発に取り組みます。
③ 鍛造事業について
・当社グループの最大の強みとする自動車部品のエアーハンマーによる鍛造製法部門を増床・拡大し、この分野での圧倒的優位性を実現します。
・鍛造部品の強みを活かし、農耕機及び二輪車等自動車以外の領域への取り組みも強化することで受注の獲得を図ります。
・製造原価低減による競争力強化の実現と、品質、納期の安定供給を行い受注拡大につなげます。
④ サステナビリティについて
・持続的に発展する社会を目指し「環境課題の解決に向けた取り組み推進」「より豊かな地域社会の実現に向けた取組」「グローバルガバナンスの更なる高度化」に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティの実現に向けた基盤づくりとして、サステナビリティ推進体制の構築へ向けた協議を進めております。準備段階として、現在サステナビリティに関する課題の認識・整理を行っております。
(2)戦略
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、次のとおりであります。
当社グループは、中期経営計画の中で、経営基盤の強化の一つとして人的資本基盤を構築することを掲げており、次の方針を実施することで常に新たな分野の開拓を推し進めてまいります。
「経営戦略実行のための人材育成と流動性」
強固な基盤づくりに向けて人材の育成と、主体性を発揮できる魅力的なミッションの付与と共創のための仕組みづくりを講じてまいります。
「戦略的健康経営の実施」
業務パフォーマンスの維持・向上はもとより、将来にわたって、一人ひとりが自律的に心身の健康づくりを行い、生き生きと過ごせるよう全役職員のヘルスリテラシー向上を推進してまいります。
「魅力的な働く環境づくり」
社内外の優秀な人材の確保を実現するために、一人ひとりが当社で働くことに向き合い、働き方の選択肢を増やし、働く上での負担を減らす体制を構築していきます。
「ダイバーシティの推進」
多様な社員が強みを発揮し、共創する集団となるため、人事データのDX化を図り、グループ全体のダイバーシティ&インクルージョンを推進してまいります。
今後は、これらの方針に基づき、具体的な施策に取り組んでまいります。
(3)リスク管理
当社グループにおいて、全社的なリスク管理は、常勤取締役、常勤監査役、および全管理職を含む幹部からなるコンプライアンス・リスク管理委員会において行っております。今後、サステナビリティに関するリスクの識別、優先的に対応すべきリスクの絞り込みを行う体制を整えて参ります。また、リスクのなかでも優先的に対応すべき事項については、当社グループに与える財務的影響や環境・社会に与える影響を踏まえ審議してまいります。審議された事項は、取締役会に報告されます。
(4)指標及び目標
現在、サステナビリティに関する課題の認識・整理、および体制構築へ向けた対応を進めております。
今後、当社を取り巻く環境を踏まえ、マテリアリティの特定を含め、指標及び目標を策定する予定であります。
人的資本に関する具体的な取り組みについては、現在、検討段階であることから、指標及び目標は今後策定する予定であります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)OEM企業としてのリスク
当社グループの事業は相手先メーカーのブランドで製造し販売するOEM生産の形態をとっているため、当社グループの業績は相手先メーカーの営業施策や外注施策による影響を受け、当社グループの業績が著しく変化する可能性があります。
また、特定取引先への販売依存度が高くなると、その取引先の販売政策の影響を強く受ける可能性があります。一方で取引先数の拡大を図れば主要取引先との関係の希薄化の懸念もあり、取引先拡大と関係強化の面で慎重な対応が必要であります。
(2)為替変動におけるリスク
当社グループは、タイ国において3法人の子会社を有しており、連結財務諸表作成時における売上、費用、資産及び負債を含む現地通貨建て項目は、円換算されており円換算後の価値が為替変動の影響を受ける可能性があります。
また、取引においては、当社及び子会社間でのタイバーツや米ドルで為替の影響を受けます。これに対して、製造原価を低減するためにタイ国生産工場の合理化を進めるとともに、為替予約取引等により為替レートの変動による悪影響を最小限にとどめる努力を行っているものの、大幅な為替レートの変動が当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)海外廉価製品との価格競争についてのリスク
ゴルフクラブ市場において、価格及び品質競争が激化を続けている中で、市場での中国製製品の拡大が進んできております。当社グループは技術力と品質面で高い評価を受けておりますが、今後一層のコスト低減策を進めて行く必要があり、この取り組みが不十分な場合、市場シェアの低下をまねき、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)原材料の高騰についてのリスク
当社グループが製造に使用しているチタン材をはじめ原材料及び資材等の価格が予想を超えて高騰し、その状況が長期化した場合は、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)製品開発力についてのリスク
ゴルフクラブ市場においては、製品サイクルの短命化及び多品種小ロットになってきております。当社グループは開発力と生産技術力の強化により対処すべく取り組んでおりますが、市場環境の変化や取引先の販売施策によっては、取り組みが功を奏さないことも考えられ、その場合当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)製品の品質についてのリスク
鍛造事業において製造しております自動車等鍛造部品については、安全性の配慮から特に品質について万全の体制で行なっておりますが、万が一、重大なリコールや賠償責任につながる製品の欠陥が発生した場合には、信用が失墜し、かつ、多額の費用を要することとなり、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7)災害等による影響についてのリスク
当社グループの生産拠点はタイ国に、また開発等の中枢機能と一部の生産は新潟県燕市にありますが、それらの地域に地震・洪水等その他の災害が発生した場合、生産活動に支障が生じ当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)海外での事業展開についてのリスク
当社グループは、タイ国に生産の拠点があり、その重要性は高くなってきております。当地域において政情不安、鳥及び新型インフルエンザ、その他の要因による社会的・経済的混乱の長期化や予期せぬ事象の発生及び規制等により、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、経済活動の正常化の動きが明確となり、個人消費やインバウンド需要の回復等により景気は緩やかに回復してまいりました。しかしながら、地政学的リスク等の影響が長期化しており、世界的に原油価格や原材料の高騰が引き続きみられ、合わせて急激な円安の進行もあり先行きに対する不透明感が続いております。
このような状況のもと、当社グループは、生産体制の最適化・効率化を進めるとともに、成長分野への研究開発及び投資を実施してまいりました。また、全社で受注獲得の取組強化及び製造コストの一層の低減に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度における財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなりました。
イ.財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、240億18百万円となり、前連結会計年度に比べ21億50百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における負債合計は、40億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億52百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における純資産合計は、199億70百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億97百万円増加いたしました。
ロ.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は157億9百万円(前期比7.7%増)と堅調に推移いたしましたが、利益面につきましては、急激な円安や原油価格、原材料の高騰等の影響があり、営業利益11億76百万円(同36.4%減)、経常利益11億49百万円(同37.2%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は7億62百万円(同4.3%減)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(ゴルフ事業)
ゴルフ分野につきましては、市場の過熱感は一服したもののゴルフへの関心は高いまま継続しました。また、2014年に立ち上げた医療・航空機分野につきましては、生産体制が整い、市場の回復もあり本格的な受注及び生産を開始することができました。その結果、売上高76億87百万円(前期比8.0%増)となりました。利益面では、生産体制の効率化の取組を実施したものの急激な円安や原油価格、原材料の高騰等の影響が見られ、営業利益13億46百万円(同23.0%減)と増収減益となりました。
(メタルスリーブ事業)
メタルスリーブ事業につきましては、半導体不足による生産調整及びテレワークやDX等の進展による複写機の需要は減少の傾向が引き続きみられ、原油価格及び原材料の高騰等の影響もあり売上高7億31百万円(同30.0%減)、営業損失10百万円(前期は74百万円の営業利益)と減収減益となりました。
(鍛造事業)
鍛造事業につきましては、タイの自動車関連市場は堅調に推移いたしました。その結果、売上高は72億89百万円(同13.6%増)となりました。利益面につきましては、原油価格や原材料の高騰に対応するべく一層の製造コストの低減に努めましたが、営業利益4億41百万円(同31.3%減)と増収減益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、23億96百万円の収入となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益11億23百万円及び減価償却費10億34百万円等によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、6億6百万円の支出となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出7億74百万円及び投資有価証券の取得1億19百万円等によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、2億98百万円の支出となりました。この主な要因は、配当金の支払額1億58百万円及び長期借入れの返済による支出1億円等によるものであります。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は90億3百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億41百万円増加いたしました。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
ゴルフ事業(千円) |
7,946,080 |
105.5% |
|
メタルスリーブ事業(千円) |
674,586 |
58.3% |
|
鍛造事業(千円) |
7,315,603 |
113.1% |
|
合計(千円) |
15,936,270 |
105.2% |
(注)金額は販売価格によっております。
ロ.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
|||
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
ゴルフ事業 |
7,253,775 |
99.5 |
1,260,859 |
74.4 |
|
メタルスリーブ事業 |
791,806 |
73.8 |
170,371 |
154.1 |
|
鍛造事業 |
7,342,970 |
112.6 |
593,220 |
109.9 |
|
合計 |
15,388,553 |
103.4 |
2,024,451 |
86.3 |
(注)金額は販売価格によっております。
ハ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
ゴルフ事業(千円) |
7,687,749 |
108.0 |
|
メタルスリーブ事業(千円) |
731,974 |
70.0 |
|
鍛造事業(千円) |
7,289,431 |
113.6 |
|
合計(千円) |
15,709,155 |
107.7 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
住友ゴム工業㈱ |
2,565,732 |
17.6 |
1,630,889 |
10.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態
イ.資産の部
流動資産は154億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億75百万円増加いたしました。この主な要因は、現金及び預金、原材料及び貯蔵品、仕掛品が増加したこと等によるものであります。
固定資産は85億91百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億74百万円増加いたしました。この主な要因は、建設仮勘定、土地、工具、器具及び備品が増加したこと等によるものであります。
ロ.負債の部
当連結会計年度末における負債合計は、40億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億52百万円増加いたしました。
流動負債は29億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億95百万円増加いたしました。この主な要因は、支払手形及び買掛金が増加したこと等によるものであります。
固定負債は10億95百万円となり、前連結会計年度に比べ3億42百万円減少いたしました。この主な要因は、繰延税金負債及び長期借入金が減少したこと等によるものであります。
ハ.純資産の部
純資産合計は199億70百万円となり、前連結会計年度に比べ15億97百万円増加いたしました。この主な要因は、為替換算調整勘定及び利益剰余金が増加したこと等によるものであります。
2)経営成績
当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、経済活動の正常化の動きが明確となり、個人消費やインバウンド需要の回復等により景気は緩やかに回復してまいりました。しかしながら、地政学的リスク等の影響が長期化しており、世界的な原油価格や原材料の高騰が引き続きみられ、合わせて急激な円安が進行する中、当社グループは、生産体制の最適化・効率化を進めるとともに、成長分野への研究開発及び投資を実施してまいりました。また、全社で受注獲得の取組強化及び製造コストの一層の低減に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は157億9百万円(前期比7.7%増)と堅調に推移いたしましたが、利益面につきましては、急激な円安や原油価格、原材料の高騰等の影響があり、営業利益11億76百万円(同36.5%減)、経常利益11億49百万円(同37.2%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は7億62百万円(同4.3%減)となりました。
イ.売上高
ゴルフ事業のゴルフ分野につきましては、市場の過熱感は一服したもののゴルフへの関心は高いまま継続しました。また、2014年に立ち上げた医療・航空機分野につきましては、生産体制が整い、市場の回復もあり本格的な受注及び生産を開始することができました。その結果、売上高76億87百万円(前期比8.0%増)となりました。
メタルスリーブ事業につきましては、半導体不足による生産調整及びテレワークやDX等の進展による複写機の需要は減少の傾向が引き続き見られ、売上高7億31百万円(同30.0%減)となりました。
鍛造事業につきましては、タイの自動車関連市場は堅調に推移しました。また、材料価格の調整等の影響もあり、売上高72億89百万円(同13.6%増)となりました。
ロ.営業利益
ゴルフ事業につきましては、生産体制の効率化の取組を実施したものの急激な円安や原油価格、原材料の高騰等の影響が見られ、営業利益13億46百万円(同23.0%減)の減益となりました。
メタルスリーブ事業につきましては、半導体不足による生産調整及びテレワークやDX等の進展による複写機の需要は減少の傾向が引き続きみられ受注数が減少したほか、原油価格及び原材料の高騰等の影響もあり営業損失10百万円(前期は74百万円の営業利益)となりました。
鍛造事業につきましては、原油価格や原材料の高騰等に対応するべく一層の製造コストの低減に努めました。また、材料価格の調整等があったものの営業利益4億41百万円(同31.3%減)と減益となりました。
ハ.営業外損益、経常利益
営業外損益、経常利益につきましては、営業利益が上記のとおり推移したこと等により、経常利益は11億49百万円(同37.2%減)となりました。
ニ.親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、上記の通り売上高が増加したものの、原油価格や原材料の高騰及び円安の進行による仕入れ価格の上昇等もあり営業利益、経常利益が減益となり、決算による繰延税金資産の再計算により法人税等調整額を△3億48百万円計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純利益7億62百万円(同4.3%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
イ.資金需要
当社グループの資金需要は、主に生産活動のための原材料費、労務費、販売費及び一般管理費に係る運転資金、事業拡大及び生産性の向上のための設備投資資金等であります。
ロ.財務政策
当社グループの事業活動拡大のため、安定的な資金調達手段の確保及び運転資金の効率的な調達を行うことを目的として、単独の金融機関との間で15億円のコミットメントラインを更新しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告数値、当連結会計年度の収入・費用等の報告数値に影響を与える見積り等は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。しかしながら、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
また、連結財務諸表で採用する重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
(3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営基盤の強化を図り、安定的な収益の確保と効率化を目指した経営を行うことで、企業価値の向上に努めてまいります。
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、連結営業利益率10%以上の継続的な実現を目指しており、当連結会計年度における連結営業利益率は7.5%(前期比5.2ポイント低下)であります。
翌連結会計年度以降につきましては、中期経営計画を策定し、資本コスト等を意識した経営を実施していくにあたり、経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、自己資本利益率(ROE)5.0%を目標とするものであります。
なお、当連結会計年度における自己資本利益率(ROE)につきましては、4.0%であり、自己資本利益率(ROE)の向上に取り組んでまいります。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
経営上の重要な契約を締結しております。
製品の製造委託及び受託に関する契約の概要は、次のとおりであります。
|
契約先 |
契約年月日 |
契約内容 |
契約期間 |
|
ブリヂストンスポーツ㈱ |
1983年5月1日 |
「取引基本契約書」 製品の製造委託に関する契約 |
1年間 (自動更新) |
|
住友ゴム工業㈱ |
2004年4月15日 |
「取引契約書」 ゴルフクラブヘッドの製造、加工委託に関する契約 |
1年間 (自動更新) |
当社グループの研究開発は、金属塑性加工製造業での「Only One企業」を目指し、コア技術である鍛造及び塑性加工技術を更に追求・発展させつつ、各事業戦略の中で、顧客のニーズに対応した研究開発活動を行なっております。研究開発組織は、当社及び一部連結子会社の研究開発部門であります。
なお、当連結会計年度の当社グループ全体の研究開発費は、
また、セグメント別の研究の目的、研究開発費は以下のとおりであります。
(1)ゴルフ事業
ゴルフ事業では、ゴルフクラブの性能、品質の向上を追求するとともに、生産のリードタイム短縮とコスト低減の開発を実施しております。また、提案型開発を強化し、製品の差別化に努めております。
ゴルフ事業に係る研究開発費は、
(2)メタルスリーブ事業
メタルスリーブ事業では、生産効率の向上・製造原価の低減及びステンレス製極薄管の用途変更の研究・開発を実施してまいりました。また、新機能素材の開発を進め、製品化を図っております。
メタルスリーブ事業に係る研究開発費は、