文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「働く世代に豊かさを」というミッションを掲げ、働く世代の豊かな老後のために、「長期・積立・分散」の資産運用を全自動化したサービス、ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」をオンラインですべての人に提供しております。従来お客様が自分自身で行っていた資産運用のプロセスである、目標設定からポートフォリオの構築、発注・積立・再投資、リバランス及び税金最適化まで、すべてのプロセスを自動化しており、高度な知識や手間なしに国際分散投資を行うことができます。加えて、当社は資産運用からサービス領域を拡大してお客様をサポートできるよう、個人向け金融プラットフォームを目指した取り組みを継続しております。
日本では、「働く世代の資産形成」ニーズの拡大に加え、NISA制度の大幅拡充・恒久化など制度面での後押しもあり、「貯蓄から投資へ」の流れの加速が期待されます。一方、お客様のニーズを捉えたサービス提供を含め、金融機関間の競争が激化しており、今後もお客様から選ばれる金融機関であり続けるためには、中長期的にお客様に寄り添ってお金に関する幅広い課題の解決を支援していく必要があると考えております。
そのようななか、当社は、2024年2月14日に三菱UFJ銀行と本資本業務提携を締結いたしました。本提携の下、MUFGグループの顧客基盤及び商品ラインナップと、当社のスピーディーな商品企画及び開発力とを掛け合わせることで、ロボアドバイザーサービスや「おまかせNISA」の普及を加速させ、生涯にわたりお客様のお金の課題を解決する総合アドバイザリー・プラットフォーム(MAP:Money Advisory Platform)の開発・提供を進め、個人の健全な資産形成の発展に貢献してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社の営業収益の中心である受入手数料は、お客様から頂く手数料であり、預かり資産に連動しております。そのため、預かり資産、Net AuM retention(注)、解約率等を注視し運営をしております。預かり資産においては、営業収益に直結する時価ベースの預かり資産のほか、市場変動の影響を受けず、お客様の入出金動向が直接的に反映される簿価ベースの預かり資産も注視しています。また、多くの働く世代の方々にサービスをご利用頂きたいと考えており、また、単一サービスの提供から複数サービスの提供を目指すなか、運用者数も重要な経営指標であると考えております。
(注)新規運用者の預かり資産が、年何%のペースで増加したかを表す指標(簿価基準で、時価の変動分は除く)。計算式:(当初の預かり資産額+1年間の積立額+1年間の積立以外の追加入金額-1年間の出金額)÷ 当初の預かり資産額。
(3) 当社が考える強み
① 新しいNISA制度にも全面対応した高品質なロボアドバイザーサービスを提供
「長期・積立・分散」の資産運用を全自動化したサービス、ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」をオンラインですべての人に提供しております。
お客様がサービスの利用を開始する際には、スマートフォンやパソコン等を通じて、5つの質問に回答するだけで、お客様のリスク許容度に応じた運用プランが提案され、また手軽に申し込むことができます。入金後は、その運用プランに従って、ポートフォリオの構築、発注・積立・再投資、リバランス及び税金最適化まで、すべて自動で行われます。投資対象は、厳選した銘柄のETF(上場投資信託)で、それらのETFを通じて世界約50カ国、1万2,000銘柄以上に分散投資(注1)することになります。また、「AIによる資産運用アドバイス機能」や「ライフプラン機能」など多彩な機能で、お客様の「長期・積立・分散」の資産運用をサポートしております。
また、2021年2月にはNISA口座で自動でおまかせの資産運用を行う「おまかせNISA」の提供を開始し、2024年1月から始まった新しいNISA制度にも全面的に対応済みです。入金するだけで、非課税枠(つみたて投資枠/成長投資枠)を活用して自動で資産を購入、NISAの非課税メリットを活用しながら、「長期・積立・分散」の資産運用をすべておまかせできます。また、NISA口座と通常の口座それぞれの部分最適を図るのではなく、お客様からお預かりする資産全体を最適化します。
以上のように、投資の知識が足りなくても、投資の検討に十分な時間がとれなくても、世界の富裕層や機関投資家が実践している「長期・積立・分散」の運用が可能となります。
② お客様のニーズに応えるスピーディーな商品企画・開発力
当社は、2016年7月にロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」を正式リリースしております。また、2017年5月におつり資産運用アプリ「マメタス」をリリースし、少額から「WealthNavi(ウェルスナビ)」の資産運用が行えるようにしております。その他にも商品開発力を活かし、自動税金最適化(DeTAX)機能、リバランス機能付き自動積立、ミリトレ(少額ETF取引機能)、AIによる資産運用アドバイス機能、ライフプラン機能など、新機能をリリースし続けており、お客様よりアプリに対する高い評価を得ております。さらに、2021年2月にはダイレクト事業において、おまかせNISA機能の提供を開始しており、順次アライアンス事業にも提供を拡大しております。また、新機能を開発・提供するだけではなく、コラム、ビデオメッセージ及びセミナー等を通じても、お客様が「長期・積立・分散」の資産運用を続けられるようサポートしております。
その結果、当社は、国内ロボアドバイザー市場において、預かり資産、運用者数ともに国内第1位(注2)を継続的に確保しております。また、2022年9月から2023年9月の1年間で、国内ロボアドバイザー市場全体の預かり資産は3,866億円増加しましたが、当社の増加分が2,347億円と全体の61%を占める(注3)など、高い成長シェアを保持しております。
③ 積み上げ型ビジネスとしての安定性と、コスト構造
当社の営業収益の中心である受入手数料は、お客様から頂く手数料であり、預かり資産に連動しております。預かり資産を伸ばすうえで、お客様に利用し続けて頂くことが重要ですが、当社では、機能改善や新機能追加に継続的に取り組んでおり、結果として月次平均で1%以下と低い解約率(注4)を実現しております。加えて、既存のお客様からの積立を含む追加入金が順調に進展しており、Net AuM retentionは120%超(注5)を実現しております。結果として、預かり資産は2016年7月の正式リリース以降、順調に成長しております。
また、預かり資産の順調な成長とともに営業収益が伸びる一方で、各種費用の営業収益に占める割合は着実に低減しております。
(注) 1.2023年12月31日時点。
2.一般社団法人日本投資顧問業協会「契約資産状況(最新版)(2023年9月末現在)」より当社作成。
3.一般社団法人日本投資顧問業協会「契約資産状況」より当社作成。
4.預かり有価証券の残高がなくなった口座数の割合。月間で、2016年7月(「WealthNavi(ウェルスナビ)」正式リリース)から2023年12月の全月平均。
5.新規運用者の預かり資産が、年何%のペースで増加したかを表す指標(簿価基準で、時価の変動分は除く。2016年7月(「WealthNavi(ウェルスナビ)」正式リリース)から2023年12月の全平均)。計算式:(当初の預かり資産額+1年間の積立額+1年間の積立以外の追加入金額-1年間の出金額)÷ 当初の預かり資産額。
6.提携パートナー(第1 企業の概況 3 事業の内容 (2) ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」の概要)へのレベニューシェア。
7.入金・積立・出金手数料等の支払手数料(レベニューシェア以外)、勘定系システム利用料、口座開設関連費。
8.不動産関係費、サーバー費等(レベニューシェア、取引連動費、人件費、広告宣伝費以外)。
(4) 経営環境
日本では、「働く世代の資産形成」というニーズが拡大しつつあります。かつては、退職金や年金で老後の生活が賄えたため、働く世代の資産運用のニーズは限定的でしたが、終身雇用、退職金制度及び年金制度等への不安から、昨今の日本の働く世代にとって、働きながらの資産運用が大切になってきております。一方で、資産運用に必要な知識、考える時間が足りない状況に置かれており、その解決策の一つである、資産運用のすべてのプロセスを自動化し「長期・積立・分散」投資ができるロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」へのニーズが日々強くなっていると考えております。
また欧米の先進国と異なり、個人の投資経験が浅く、金融リテラシーが低い状態に留まっていると考えております。当社が実施したアンケート調査(注1)においても、「資産運用の方法がわからず、相談相手もいない」ことから、資産運用のニーズはあっても実行できない人が多いという結果が出ております。そのような背景もあり、日本の個人金融資産2,000兆円の54.4%が預貯金(注2)に集中しております。
ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」のお客様の中心は20~50代の働く世代であり、その比率は約83%(注3)となっております。日本の個人金融資産2,000兆円のうち、当社のターゲットとするお客様層である20代~50代の働く世代が保有する金融資産が約770兆円(注4)あり、銀行や証券による対面チャネルのターゲットとするお客様層とも異なるため、成長余地は大きいと考えております。
日本政府も「貯蓄から投資へ」のスローガンのもと、関連する施策を次々と実行に移しているほか、金融庁も2016年9月の「平成27事務年度金融レポート」で「リターンの安定した投資を行うには、投資対象のグローバルな分散、投資時期の分散、長期的な保有の3つを組み合わせて活用することが有効である」と言及しており、政府方針も当社の中長期的な成長の後押しとなると考えております。
特に、2024年1月からは、非課税の投資枠を拡大し期間を恒久化した新しいNISA制度が始まり、「貯蓄から投資へ」の流れの更なる加速が期待され、当社においてもこれを重要な事業機会と捉えております。
(注) 1.サービス提供開始前である2015年8月に実施したアンケート結果より。元本割れリスクを許容できる30-50代の準富裕層(金融資産1,000-3,000万円)が対象。
2.日本銀行「資金循環統計(速報)(2023年第3四半期)」(2023年12月)、OECD"Household financial assets"の2021年末のデータより当社作成。
3.当社口座開設者の年代別割合。2023年12月31日時点。
4.日本銀行「資金循環統計(速報)(2023年第3四半期)」(2023年12月)、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(2023年1月)、総務省「2019年全国家計構造調査」(2021年10月)、OECD"Household financial assets"の各国の2022年末のデータより当社作成。
(5) 中長期的な会社の経営戦略
① お客様への提供価値の最大化
日本では、「働く世代の資産形成」ニーズの拡大に加え、NISA制度の大幅拡充・恒久化など制度面での後押しもあり、「貯蓄から投資へ」の流れの加速が期待されます。一方、お客様のニーズを捉えたサービス提供を含め、金融機関間の競争が激化しており、今後もお客様から選ばれる金融機関であり続けるためには、中長期的にお客様に寄り添ってお金に関する幅広い課題の解決を支援していく必要があると考えております。
その実現に向け、まずはロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」がお客様から支持され、選ばれ続ける必要があると考えております。現在の機能をより使いやすく継続的に改善することや、お客様のニーズに合致した新機能を追加し続けることが、お客様への提供価値を最大化するうえで、重要だと考えております。
加えて、三菱UFJ銀行との資本業務提携に基づき、生涯にわたりお客様のお金の課題を解決する総合アドバイザリー・プラットフォーム(MAP:Money Advisory Platform)の開発・提供を進め、お客様への提供価値の最大化を目指してまいります。
② お客様基盤の更なる拡大
昨今の日本の働く世代は、終身雇用、退職金制度及び年金制度等に不安を抱える一方、資産運用に必要な知識、考える時間が足りない状況に置かれており、その解決策の一つである、資産運用のすべてのプロセスを自動化し「長期・積立・分散」投資ができるロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」へのニーズが顕在化し、日々強くなっていると考えております。また、日本政府も「貯蓄から投資へ」のスローガンのもと、関連する施策を次々と実行に移しているほか、金融庁も2016年9月の「平成27事務年度金融レポート」で「リターンの安定した投資を行うには、投資対象のグローバルな分散、投資時期の分散、長期的な保有の3つを組み合わせて活用することが有効である」と言及しており、政府方針も当社の中長期的な成長の後押しとなると考えております。さらには、日本の個人金融資産2,000兆円の54.4%が預貯金(注1)と、欧米各国との比較(注2)においても個人の金融資産が預貯金に集中しており、良質な資産運用サービスに対する需要は拡大するものと認識しております。
そのようななか、お客様基盤の更なる拡大を目指し、ダイレクト事業については、テレビコマーシャルやデジタル広告を含む広告宣伝活動のほか、コラム、ビデオメッセージ及びセミナー等の定期的な開催を通じた情報発信等、費用対効果を考慮しながら積極的に実施してまいります。提携パートナー事業については、既存の提携パートナーが持つ潜在的なお客様にご利用頂けるよう積極的に訴求してまいります。加えて、三菱UFJ銀行との資本業務提携に基づき、1.三菱UFJ銀行の顧客基盤を活かし「お任せ」運用ニーズのある個人のお客様の「WealthNavi for 三菱UFJ銀行」への連携強化、2.インターネットバンキング「三菱UFJダイレクト(アプリ、Web)」から「WealthNavi for 三菱UFJ銀行」への導線強化や、MUFGグループの取引特典プログラムへの「WealthNavi for 三菱UFJ銀行」の組み込みなど、当社のロボアドバイザー事業のお客様獲得に向けた取り組み、及び3.MUFGグループ(三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社、auカブコム証券株式会社を含む。)と当社との事業提携の検討を進めてまいります。
③ 新規事業の展開
当社は、本書提出日時点において「ロボアドバイザー事業」の単一事業です。但し、今後は「ロボアドバイザー事業」の成長に向けた機能改善や新機能追加に留まらず、サービス領域を拡大してお客さまをサポートできるよう、個人向け金融プラットフォームを目指した取り組みを継続しております。今後、三菱UFJ銀行との資本業務提携の下、生涯にわたりお客様のお金の課題を解決する総合アドバイザリー・プラットフォーム(MAP:Money Advisory Platform)の開発・提供を進めてまいります。MAPは、年齢、家族構成、PFM(Personal Financial Management、個人資産管理)データなどの顧客データを収集し、アルゴリズムを介して最適な商品をアドバイスし、最適な顧客体験を提供することを目指します。具体的には、2024年中にMAPの開発に着手、2025年にはMAPをリリースし、その後は段階的なサービス内容の拡充を目指しております。
(注) 1.日本銀行「資金循環統計(速報)(2023年第3四半期)」(2023年12月)、OECD"Household financial assets"の2022年末のデータより当社作成。
2.OECD「Household financial assets」の各国の2022年末のデータにおいて、個人の金融資産に占める預貯金の割合は、日本54.7%に対して、米国13.4%、イギリス30.8%、フランス31.3%、ドイツ42.8%。
(6) 対処すべき課題
当社の対処すべき主な課題は以下の通りであります。
① 人材確保と組織体制の整備
ロボアドバイザー事業の継続的な成長や、生涯にわたりお客さまのお金の課題を解決する総合アドバイザリー・プラットフォーム(MAP:Money Advisory Platform)の開発・提供の実現に向けて、金融業界やテクノロジー業界をはじめとする多様なバックグラウンドをもった優秀な人材を採用し、強い組織体制を整備することが重要だと認識しております。積極的な採用活動を推進していく一方で、従業員が中長期にわたって活躍しやすい環境の整備、企業カルチャーの醸成及び人事制度の構築等を進め、組織力の強化に取り組んでまいります。
② 情報管理体制の継続的な強化
提供するサービスであるロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」に関連してお客様の個人情報を扱っており、金融商品取引業者として重大な社会的責任を有することを認識したうえで、情報管理体制を継続的に強化していくことが重要だと考えております。現在も個人情報保護に係る施策には万全の注意を払っておりますが、今後も社内体制や管理方法の強化・整備を行ってまいります。
③ 利益及びキャッシュ・フローの定常的な創出
当社の営業収益の中心である受入手数料は、お客様から頂く手数料であり、預かり資産に連動しております。また預かり資産を伸ばすうえでは、お客様に利用し続けて頂くことが重要ですが、月次平均で1%以下と低い解約率(注)を実現しており、積み上げ型の収益モデルになります。一方で、開発のための人件費、広告宣伝費が先行して計上される特徴があり、過去は赤字が先行する状況にありました。
そのようななか、預かり資産が順調に増加し、それに伴い収益も順調に積み上がっており、各種費用の営業収益に占める割合は着実に低減していることから、第8期において創業以来、初めて営業利益を計上し、第9期も2期連続の増益を達成いたしました。今後も事業拡大を目指して既存事業及び新規事業の開発投資や広告宣伝活動等への先行投資を進めつつ、中長期的な利益及びキャッシュ・フローの最大化を目指してまいります。
(注)預かり有価証券の残高がなくなった口座数の割合。月間で、2016年7月(「WealthNavi(ウェルスナビ)」正式リリース)から2023年12月の全月平均。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
サステナビリティ責任者として取締役CFOを任命し、サステナビリティ推進チームを発足しました。社会情勢や自社の事業展開に加え、ステークホルダーとの対話を踏まえて、マテリアリティの見直しを年1回行う予定です。
当社における、人材の育成に関する方針及び社内の環境整備に関する方針は、以下のとおりです。
①人材の育成方針
当社は、ダイバーシティ&オープンネスを推進しております。開かれた企業風土のもとで多様な才能が協働することにより、新しいアイデアが生まれ、革新的なサービスを創り出すことができると考えております。
私たちは、多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材が融合するチームを目指しております。従業員の約半数をエンジニアやデザイナーなどのクリエーターが占めており、ITと金融の専門家が協力してサービスを開発・提供しておりますが、両者の間には大きな文化の違いがあります。そのギャップを埋めるため、私たちは部門横断のコミュニケーションを重視し、互いに尊重し合い、コラボレーションが生まれやすい企業文化を醸成し、多様な知識や経験を最大限に活かせるように努めております。
優秀な人材の採用だけではなく、人材開発にも力を入れております。そして、女性活躍推進にも真剣に取り組んでおります。また、様々なライフスタイルを持つ優秀な人材を惹きつけ、支援するため、多様な働き方の実現を目指しております。
ダイバーシティ&オープンネスは、私たちの持続的成長と中長期的な企業価値向上に繋がると信じております。
②社内の環境整備方針
a.多様なバックグラウンドを持つ人材の採用、融合
当社では、性別・年齢等を問わず、多様なバックグラウンドを持つ人材を採用しております。入社後も、バリューの一つである「助け合おう、向き合おう」を徹底し、従業員一人ひとりが自立し、お互いを尊重し、足りないところを助け合いながら、チームで力をあわせて目標に向かって着実に前進することに努めております。
また、従業員と会社の関係をより強固なものとすることで、お互いに継続的に成長することができ、さらにはお客様へのサービス向上にもつながると考えております。そのため、次のような制度を整備し、積極的に取り組んでおります。
イ. 人事評価制度
年2回の人事評価を実施しております。従業員の成長を促すための機会として、「月次の1on1面談」「中間レビュー面談」を設定し、適時・適切なフィードバックに取り組んでおります。また、公正・公平な評価のために複数の管理職が評価する仕組みを構築しております。
ロ. 株式報酬制度・従業員持株会
会社の成長に対する貢献意欲や士気を高めるため、従業員向けの株式報酬制度を導入しております。また、従業員の資産形成を助成するため、従業員持株会を設立しております。
ハ. バリューチャンピオン制度
価値基準である「バリュー」を最も体現した従業員及びプロジェクトを表彰する制度として、半期毎に「バリューチャンピオン」を推薦方式で選定し、表彰しております。体現すべきバリューや目指すべき行動規範を意識的に社内で共有することで、働きがいと成長の両立を目指していく文化を築いております。
ニ. ハッピーアワー制度
「ハッピーアワー」と称する懇親会を毎週開催し、新入社員の歓迎、誕生日を迎えた従業員の紹介、従業員の表彰、季節イベントなどを行っております。従業員がお互いの「人となり」を知ることで、心地よく働ける環境づくりを行っております。
b.人材育成の強化
当社では、従業員一人ひとりが持つ可能性を引き出し、自身の専門領域での知識と経験を蓄積していくことに加えて、他領域の知見も吸収していくことを積極的に支援しております。そのため、次のような研修制度・支援制度を整備しております。
イ. 研修制度
・業務に関する各種研修
・マネジメント研修
・資産運用に関する社内勉強会
・新卒内定者インターン
ロ. 支援制度
・証券外務員、内部管理責任者資格の取得支援
・ファイナンシャルプランナー資格の取得支援
・スキルアップ支援(外部研修補助)
・書籍購入補助
c. 女性活躍推進
女性従業員の活躍が、イノベーションを促進し、企業の持続的な成長にもつながると考えております。そのため、経営戦略に多様な価値観を反映させる観点から、女性管理職の登用を推進しております。国内において「金融×テクノロジー」の領域で活躍する女性管理職は少ないため、「女性活躍推進プロジェクト」を立ち上げ、外部ゲストによるセッション等を通じ、女性管理職の今後のキャリア形成をサポートしております。
また、女性従業員の活躍を実現するためには、多様な働き方や家庭と仕事を両立するための支援が不可欠であると考え、ワークライフバランスを実現するための職場環境の整備を進めております。
d. 多様な働き方の推進
当社は、従業員一人ひとりがライフステージに応じた多様な働き方を選択しながら、安心して働ける環境の実現を目指して、各種制度・施策の拡充に努めております。
イ. ワークライフバランス向上のための取り組み
勤務時間や場所を柔軟に選び、ワークライフバランスの向上を図るため、以下の制度を整備しております。
・フレックスタイム制度
・リモートワーク制度
ロ. 健全な就業時間を維持するための取り組み
労働法令を遵守した労務管理を行うため、勤務時間のモニタリングや従業員へのヒアリング等を実施し、時間外労働の削減に努めるとともに、適正な業務配分や健康管理に取り組んでおります。また、従業員の健康維持や心身のリフレッシュを目的として、年次有給休暇の取得を推奨しております。
ハ. 仕事と育児・介護の両立を支援するための取り組み
仕事と育児・介護を安心して両立できる環境を整備するため、フレックスタイム制度やリモートワーク制度のほか、以下の制度を整備しております。
・育児休業制度
・育児短時間勤務制度
・子の看護休暇制度
・介護休業制度
・介護短時間勤務制度
・介護休暇制度
さらに、当社は、労働安全衛生関連法令や社内の労働安全に関する規定などを遵守し、職場環境を整え、健康で安全に働ける適切な環境づくりに取り組んでおります。
ニ. 健康管理への取り組み
健康診断やストレスチェック等の結果を産業医と連携し、従業員の健康管理を推進しております。また、労働安全衛生に関する相談窓口を設け、従業員が困ったときには随時、相談・対応できるようにしております。
ホ. 衛生推進体制の整備への取り組み
労働安全衛生法に基づき、議長、衛生管理者、産業医、衛生に関して経験を有する一般従業員で構成される「衛生委員会」を毎月一回開催しております。衛生委員会では、職場環境の改善や健康に関する様々な施策やテーマについて議論し、すべての従業員が心身ともに健康に働けるよう、労働安全施策へ反映しております。
持続的な成長実現のためには、業績拡大や収益性向上の追求だけでなく、適切なリスク管理とリスク対応が求められます。当社では包括的なリスクマネジメントを積極的に進めております。
リスク管理体制のもと、事業や組織が抱えるリスクを把握し、発生可能性と影響度を考慮した上で優先順位付けを行い、対応しております。そして、順次リスク管理の範囲を広げ、全社的リスクマネジメント(ERM)の確立を目指しております。
当社は、適切なリスクマネジメントを通じてリスクとリターンのバランスを取り、企業価値の持続的な向上を図ってまいります。
上記の取組に関する指標をウェブサイト上で公開しております。各指標に対する目標は定めておりませんが、今後も各取組の継続や見直しを通じて、持続可能な社会の発展への貢献と、企業価値の向上を目指してまいります。
日本語:https://corp.wealthnavi.com/sustainability/data
英語:https://corp.wealthnavi.com/en/sustainability/data
以下において、当社の事業展開その他に関連するリスク要因となる可能性があると考えられる主な項目を記載しております。また、必ずしも事業上のリスク要因とは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。
当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対処に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1) 事業に関するリスク
① ロボアドバイザー市場に関するリスクについて
当社は、本書提出日現在、ロボアドバイザー事業の単一セグメントです。当社では、ロボアドバイザー市場が今後も拡大していくことを前提に、提供サービスの充実化、お客様基盤の拡大に向けた広告宣伝活動、提携パートナーの拡充等を進め、預かり資産を継続的に伸ばし、収益拡大を図る方針です。
しかしながら、新たな法的規制の導入や改正、その他予期せぬ要因により、当社の想定通りにロボアドバイザー市場が成長せず、広告宣伝費に見合うお客様基盤の拡大が困難になることや、提携パートナーやその候補先の事業方針が変更となる場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 商品特性に関するリスクについて
当社は、お客様が「長期・積立・分散」の資産運用を続けられるようサポートをしております。当社サービスである「WealthNavi(ウェルスナビ)」の機能を拡充させ、また、コラム、ビデオメッセージ及びセミナー等で日々情報発信をしております。さらに、お客様の継続期間と運用金額に応じて手数料率が低減する仕組みである「長期割」など、長期投資を奨励する施策も導入しております。
しかしながら、世界的に金融マーケットが大きく変動するなどで、お客様が長期投資に挫折してしまう場合には、解約の増加等の可能性は排除できず、預かり資産残高の減少を招き、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 金融市場に関するリスクについて
当社の営業収益の中心である受入手数料は、お客様から頂く手数料であり、預かり資産に連動しております。預かり資産残高は、投資対象資産の時価が変動することによっても増減するため、世界経済や世界的な金融マーケットの変動により資産価格が下落した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社サービスである「WealthNavi(ウェルスナビ)」では、長期の国際分散投資において、基軸通貨である米ドル建てで資産を効率的に増やすことが重要であるとの考え方に基づき、お客様の資産配分の最適化を米ドル建てで実施しております。一方で、営業収益は円建てで算定されることから、米ドル・円の為替レートの変動は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 他社との競合に関するリスクについて
当社は、国内ロボアドバイザー市場において、預かり資産、運用者数ともに国内第1位(注)を継続的に確保しております。しかしながら、今後国内外の大手金融機関などがロボアドバイザー事業に積極的に経営資源を投入した場合や、業界内における統廃合等で競合他社の規模が拡大した場合は、その地位が変化する可能性があります。当該競争環境の変化が起こり、当社がその変化に柔軟に対応できなかった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当該競争環境の変化が、運用手数料の過当引下競争をもたらしたり、新規参入者又は既存の競合他社による従業員の引き抜き競争をもたらしたりする可能性があります。そのような事態が発生した場合には、預かり資産残高の減少などの悪影響を及ぼす可能性があり、その結果として当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、2024年1月からは、非課税の投資枠を拡大し期間を恒久化した新しいNISA制度が始まり、「貯蓄から投資へ」の流れの更なる加速が期待され、当社サービスである「WealthNavi(ウェルスナビ)」の運用者数や一人当たり預かり資産の増加を期待しています。一方で、新NISA制度に対応したサービスを提供する金融機関間での競争が激化する可能性があり、当社がお客様のニーズに合致したサービスが提供できないなどの場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(注) 一般社団法人日本投資顧問業協会「契約資産状況(最新版)(2023年9月末現在)」より当社作成。
⑤ システムに関するリスクについて
当社では、「情報セキュリティ管理規程」を定め、情報セキュリティの管理体制、管理方針、リスクの統制に係る方針を定め、重要な情報資産をさまざまな脅威から保護し、各種リスクをコントロールしております。
しかしながら、当社のサービスは、当社コンピューターシステム、また当社サービスは外部クラウドサーバー(Amazon Web Services。Amazon.comが提供するクラウドコンピューティングサービス)などのITシステムに依拠する割合が高いことから、それらに重大な障害が生じた場合等には、受入手数料の計上に係る財務報告を含む当社の業務に影響を及ぼす可能性があります。事故・災害等の自然災害や外部からのサイバー攻撃、外部からの不正アクセスにより想定以上のシステム障害や顧客資産の流出等が発生した場合には、当社が第三者に生じた損害を賠償する責任を負うだけでなく、監督当局から行政処分を受け、お客様やマーケットの信頼を失うこと等により預かり資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 技術革新に関するリスクについて
当社サービスである「WealthNavi(ウェルスナビ)」は、インターネットを通じてスマートフォンやパソコン等より、口座開設からその後の運用まですべての取引が完結する設計となっていることが大きな特徴となります。また、「ものづくりする金融機関」として、既存技術の活用と合わせて新技術を積極的に採用し、分かりやすい、使いやすいサービスとなるよう、継続的に改善に取り組んでいることが、お客様に選ばれている背景の1つと考えております。
しかしながら、インターネット及びスマートフォン等の高機能端末を取り巻く環境は、急速な技術革新が進んでおり、将来的に技術革新等への対応の遅れにより市場環境の変化に適切に対応できない場合や、多額の開発費用が生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 法的規制に関するリスクについて
当社は、第一種金融商品取引業、投資運用業、投資助言・代理業及び資金移動業の登録を以下のとおり行っており、「金融商品取引法」、「資金決済に関する法律(資金決済法)」を中心として、当社事業に関連する各種法令に基づく規制を受けております。
当社は、これらの法令や諸規制を遵守するための対策を講じており、主要な事業活動の前提となる事項について、その継続に支障を来す要因は発生しておりません。しかしながら、仮にこれらの法令や諸規制への抵触を完全に防ぐことができず、法令違反等が発生した場合には、罰金、一部の業務の停止、社内管理態勢の改善等に関する命令、又は営業登録の取消しなどの処分を受ける可能性があります。また、これらの法令や諸規則の改正又はその解釈や運用の変更が行われる場合において、通常業務への制限、コストの増加等の悪影響が考えられ、その結果として当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、法解釈等の違いにより、監督当局からの行政指導・処分を受けるなどした場合には、運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。さらには、売買益に関する税率が変更される等の税制の変更や、解釈の変更による影響が生じた場合には、お客様の投資意欲への影響が生じ、解約又は新規流入の減少による運用資産残高の減少を招き、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 組織体制に関するリスク
① 人材の確保に関するリスクについて
ロボアドバイザー事業の継続的な成長や、生涯にわたりお客さまのお金の課題を解決する総合アドバイザリー・プラットフォーム(MAP:Money Advisory Platform)の開発・提供の実現に向けて、金融業界やテクノロジー業界をはじめとする多様なバックグラウンドをもった優秀な人材を採用し、強い組織体制を整備することが重要だと認識しております。そのため、従業員が中長期にわたって活躍しやすい環境の整備、企業カルチャーの醸成及び人事制度の構築等を進め、組織力の強化に取り組む方針であります。しかしながら、人材採用・育成が計画どおりに実現できなかった場合や、優秀な人材が社外に流出した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 内部管理体制の整備状況に関するリスクについて
当社では、企業価値を継続的かつ安定的に高めていくためには、コーポレート・ガバナンス及びコンプライアンス体制が有効に機能するとともに、適切な内部管理体制の整備が必要不可欠と認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性確保のための内部統制システムの適切な整備・運用、また法令・社内規程等の遵守を徹底しております。また、重要な社内規程については、役員及び全従業員を対象として社内研修を実施し、周知徹底を図っております。
しかしながら、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の整備が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難になり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 個人情報管理に関するリスクについて
当社では、事業活動を通じて取得した個人情報及び当社の役職員に関する個人情報を保有しております。個人情報の取扱いについては「個人情報等取扱規程」、「特定個人情報等取扱規程」を策定の上、その遵守を徹底しております。
しかしながら、万一、当社の保有する個人情報が外部に漏洩した場合又は不正使用された場合には、当社が第三者に生じた損害を賠償する責任を負うだけでなく、監督当局から行政処分を受け、お客様やマーケットの信頼を失うこと等により運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 特定人物への依存に関するリスクについて
当社の代表取締役CEOである柴山和久は、設立以来当社の事業に深く関与し、ロボアドバイザー事業に関する豊富な知識と経験を有しており、経営戦略の立案やその実行に際して重要な役割を担っております。当社は、特定の人物に依存しない体制を構築すべく権限委譲、組織体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社の経営執行を継続することが困難になった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他のリスク
① 株式価値の希薄化について
当社は、中長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして、当社の役員、従業員に対して新株予約権及び譲渡制限付株式の付与を行っております。また、今後においても新株予約権又は譲渡制限付株式等を利用したインセンティブプランを活用する可能性があります。これらの新株予約権の権利行使や譲渡制限付株式の発行に伴い、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、当事業年度末時点の新株予約権による潜在株式数は1,741,683株であり、発行済株式総数49,490,339株の3.52%(小数点以下第3位を四捨五入)に相当しております。
② 配当政策について
当社は、現在成長段階にあると認識しており、事業拡大や組織体制整備への投資のため、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以来配当を実施しておらず、今後の配当実施の可能性及び時期については未定であります。しかしながら、株主還元を適切に行っていくことが経営上重要であると認識しており、事業基盤の整備状況や投資計画、業績や財政状態等を総合的に勘案しながら、将来的には、安定的な配当を行うことを検討していく方針であります。
③ 税務上の繰越欠損金について
2023年12月期末時点において、当社は税務上の繰越欠損金を有しております。当社の業績が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消された場合には、所定の税率に基づく納税負担が発生するため、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
④ 訴訟等について
当社の事業に重大な影響を及ぼす訴訟等は現在存在せず、重大な影響を及ぼすような訴訟に発展する可能性のある紛争も現在ありません。しかしながら、関連法規や各種契約などに違反し、お客様に損失が発生した場合等には訴訟を提起される可能性があります。このような訴訟が提訴された場合には、訴訟の内容及び結果によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当社は、「働く世代に豊かさを」というミッションを掲げ、全自動で国際分散投資ができるロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」を通じて、誰もが安心して利用できる金融インフラとなり、働く世代のより豊かな人生をサポートできるよう事業活動を展開しております。
当事業年度における世界経済は、世界的な高インフレや各国の金融引き締め政策の長期化に伴う景気減速懸念が継続しておりましたが、大幅な景気後退が見られない中で、グローバルの利上げ局面はピークアウトを迎えつつあります。国内経済においては、原材料価格の上昇に伴う物価上昇等の影響はあるものの、実質賃金の上昇やインバウンド需要の増加等により、緩やかな回復基調にあります。
そのような環境下、当社では継続的な事業成長の実現に向けて、ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」の機能追加、提携パートナーとの取り組み強化、テレビコマーシャルなどの広告宣伝活動、事業基盤強化のための人材採用、セキュリティ強化対応等に積極的に取り組みました。
ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」の機能追加については、1月に成年年齢の引き下げに伴い、満18歳以上20歳未満のお客様に向けた「おまかせNISA」のサービス提供を開始いたしました。また、2024年1月より新しいNISA制度が開始されることをふまえ、2月には当社に直接お申し込みされたお客様を対象に、最低投資額をこれまでの10万円から1万円に引き下げました。4月には積立から運用を開始できるよう機能改善を行い、同時に一部の提携サービスにおいて、最低投資額を1万円へ引き下げました。また、4月に株式会社大光銀行との提携サービス「たいこうNavi」において、「おまかせNISA」の提供を開始し、6月には株式会社イオン銀行との提携サービス「WealthNavi for イオン銀行」で、クレジットカード「イオンカード」決済による積立機能の提供を開始いたしました。加えて、2024年1月から始まる新しいNISA制度に対応した「おまかせNISA」の開発を進め、年明けからサービス提供が開始できるよう機能検証やメンテナンスを実施いたしました。
提携パートナーの拡充も推進しており、2月にオリックス銀行株式会社との業務提携により「WealthNavi for オリックス銀行」、4月に株式会社東邦銀行との業務提携により「WealthNavi for 東邦銀行」の提供をそれぞれ開始いたしました。また、9月には楽天証券株式会社及び楽天投信投資顧問株式会社と業務提携に関する基本合意書を締結いたしました。業務提携により3社がそれぞれの強みを活かして協力し、当社が提供している世界水準の資産運用や顧客サポートを投資信託商品でも実現することを目指します。
広告宣伝活動については、6月から俳優の藤間爽子さんが出演する新テレビCMの放映を開始いたしました。デジタル広告と併せて、資産運用を検討されている潜在的なお客様へのアプローチ、認知度向上を目指して継続して取り組んでおります。また、定期的なオンラインセミナーの開催に加えて、対面で開催するセミナーを実施し多くの方にご来場いただきました。10月には当社では初となるファン交流イベントを開催し、お客様からの数多くのご質問にお答えすることができました。
この結果、当事業年度末時点での運用者数は38.7万人(前事業年度実績35.6万人)、預かり資産額は9,833億円(前事業年度実績7,197億円)となりました。
なお、当事業年度において、臨時に発生したトレーディング損失により特別損失として95百万円を計上しております。これは、米国日付2023年7月3日に米国の証券取引所が半休場日であったことでお客様の資産運用に係る未執行となった買付注文と、同数量の買付注文が独立記念日明けの5日に重複して執行され、その重複分が自己勘定残高となったことによるものです。当該自己勘定残高の解消時(受渡日:米国日付7月10日・日本日付7月11日)、株式相場及び為替相場が当社にとって不利に変動したことにより損失が発生いたしました。
以上の結果、当事業年度の業績は、営業収益が81億67百万円(前期比24.3%増)、営業収益より金融費用46百万円を控除した純営業収益は81億21百万円(前期比24.4%増)となりました。また、販売費・一般管理費は75億97百万円(前期比20.2%増)となり、その結果、広告宣伝費除く営業利益は33億44百万円(前期比42.2%増)、営業利益は5億23百万円(前期比149.6%増)、経常利益は5億19百万円(前期比142.5%増)、当期純利益は3億75百万円(前期比29.5%増)となりました。
なお、当社はロボアドバイザー事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。
(資産)
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末と比較して62億73百万円増加し、322億37百万円となりました。これは主に、お客様からの入金の増加や新株予約権の行使に伴う収入等による現金・預金の増加40億4百万円、顧客分別金信託の増加23億円によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比較して50億95百万円増加し、200億79百万円となりました。これは主に、お客様からの預り金の増加等による預り金の増加48億33百万円によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末と比較して11億77百万円増加し、121億58百万円となりました。これは、新株予約権の行使や譲渡制限付株式報酬としての新株式発行による資本金の増加4億1百万円及び資本準備金の増加4億1百万円、当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加3億75百万円によるものであります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、181億44百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、30億23百万円(前事業年度に使用した資金は31億17百万円)となりました。これは主に、預り金の増加48億33百万円、税引前当期純利益4億24百万円、顧客分別金信託の増加23億円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、4億88百万円(前事業年度に使用した資金は2億7百万円)となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出3億11百万円、無形固定資産の取得による支出1億26百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は、7億3百万円(前事業年度に得られた資金は6億16百万円)となりました。これは、新株予約権の行使に伴う新株式発行による収入7億3百万円によるものであります。
a. 生産実績
当社が営む事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b. 受注実績
当社が営む事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c. 販売実績
当社が営む事業は、提供するサービスの性格上、販売実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。
当社の財務諸表作成にあたり採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
また、財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績の分析
(営業収益)
当事業年度における営業収益は、81億67百万円(前事業年度比15億94百万円の増加)となりました。これは主に、預かり資産の増加に伴う受入手数料の増加15億91百万円によるものであります。当事業年度末時点での預かり資産額(時価)は、9,833億円(前事業年度比2,636億円の増加)となっております。
(金融費用)
金融費用は、支払利息46百万円(前事業年度比2百万円の増加)となりました。この結果、純営業収益は81億21百万円(前事業年度比15億92百万円の増加)となりました。
(販売費・一般管理費)
販売費・一般管理費は75億97百万円(前事業年度比12億78百万円の増加)となりました。これは主に、広告宣伝費等の取引関係費の増加5億41百万円、従業員給料等の人件費の増加4億37百万円によるものであります。この結果、営業利益は5億23百万円(前事業年度比3億13百万円の増加)となりました。
(営業外損益)
営業外収益は4百万円(前事業年度比4百万円の減少)となりました。また、営業外費用は8百万円(前事業年度比4百万円の増加)となりました。これは主に、譲渡制限付株式報酬償却損の増加4百万円によるものであります。この結果、経常利益は5億19百万円(前事業年度比3億5百万円の増加)となりました。
(特別損益及び法人税等)
当事業年度において、臨時に発生したトレーディング損失により特別損失として95百万円を計上しております。また、法人税等は49百万円(前事業年度実績 法人税等△75百万円)となりました。この結果、当期純利益は3億75百万円(前事業年度比85百万円の増加)となりました。
当事業年度の財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
当事業年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社における主な資金需要は、業容拡大に伴う人件費や、認知度向上のための広告宣伝費です。これらの資金需要に対しては、自己資金を基本とし、必要に応じて社債の発行や長期借入金の銀行借入を行うことでまかなっております。また、短期的な運転資金は銀行借入により調達しております。
当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。