第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針及び経営戦略等

 当社は「困っている人に「あんしん」を届けることで社会に貢献する!~ Quality of Life ~」を経営理念として掲げ、「ありがとう」と言っていただける、安心・快適なサービスを提供することで社会に貢献する企業を目指します。

■目標とする経営指標

 当社は、事業の継続的な拡大を通じて企業価値の向上を目指すため、「営業利益」と「売上高」を特に重要視する経営指標としています。

 また、事業拡大を計るKPIとして「有効会員数」を目標値として設定しております。「有効会員数」は、過去に当社サービスに登録された全会員から、保証期間が終了した会員を差し引いた、当社サービスの会員として有効な登録数であります。有効会員に係る業務受託料が当社サービスにおいて按分計上される売上となることから、有効会員数をKPIに設定しています。会員は1会員=1保証登録であり、同一ユーザーで複数登録の場合もあります。2023年9月30日現在において有効会員数は約160万件であり、2024年9月期までに190万件を目指しております。

 なお、本KPIの目標数値につきましては、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の過程に基づいており、当社が独自に判断したものであります。

 有効会員数は以下のとおり推移しています。

 

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■中長期的な経営戦略

 当社は住宅設備機器の延長保証事業を展開しております。従いまして住宅設備機器の流通数が当社サービスにおける対象母数となります。営業戦略としては、住宅設備メーカーや住宅設備機器を扱う商社といった商流の川上に位置する事業者のほか、大手ハウスメーカーやマンションデベロッパーといった新築住宅事業者や、家電量販店、全国規模で展開する住宅仲介事業者、リフォーム事業者等の流通量の多い事業者への営業展開に注力しております。

 

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 また、それらの事業者に対する当社サービスの付加価値を高め、更なるシェアの獲得のために以下に注力した新商品の開発も行って参ります。

① ドメインの拡大

 当社サービスは事業者によって一般の消費者に案内・販売されるものが多いため、事業者の業績及び評判がよくなる新規商品を開発して参ります。現在は住宅設備機器の延長保証がメインですが、領域を「住まい」に拡大し、家全般、生活全般の課題解決となるサービスを開発して参ります。

 

② コールセンターを中心とした新サービス

 当社サービスは住宅設備機器に関する不具合の受付、住宅設備メーカーへの修理依頼、住宅設備メーカーからの完了報告といった住宅設備機器の不具合に関する一連の情報が当社コールセンターに集約されます。これらの情報は事業者では入手が難しいものも含まれます。今後はこのような、ハブ機能となる当社だからこそ入手可能な情報を独自に分析し、会員、事業者に有益なサービスを開発して参ります。

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(2)経営環境

 当社は住宅設備機器の保証を主サービスとしているため、住宅業界・不動産業界の市況に影響を受けると認識しております。新築住宅着工戸数は、2022年度は約86万戸となっておりますが、今後人口減少や住宅産業全体においてフローからストックへの転換がはかられる中、新築住宅着工戸数の減少が予想されております(※1)。2030年には新築着工戸数は74万戸程度になる見通しもありますが、一定数の需要は保たれる見込みです。中古住宅市場は、2018年の既存住宅流通戸数は約16万戸であり、ここ20年は概ね±10%の中で横ばい状態となっております(※2)。リフォーム市場は、2022年は約7.3兆円となっており、こちらもここ20年は概ね±10%の中で横ばい状態となっております(※3)。中古住宅及びリフォーム市場においては、2021年3月19日に国土交通省が発表した「住生活基本計画(全国計画)」において既存住宅流通及びリフォームの市場規模を2018年時点の12兆円から2030年までに14兆円市場に、長期的目標としては20兆円市場にすることを国家戦略として掲げており、今後の成長産業として期待されます。以上のことから、新築住宅、中古住宅、リフォームともに需要は安定的に推移するものと見通しております。

 

※1 出典:株式会社矢野経済研究所「2030年の住宅市場の展望」

※2 出典:総務省「住宅・土地統計調査」2018年流通戸数は1月~9月の合計値に12/9を乗じて算出

※3 出典:株式会社矢野経済研究所「2023年版 住宅リフォーム市場の展望と戦略 」

 

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は住宅設備機器の延長保証事業を展開しております。市場全体として同事業の認知は拡大しており、住宅設備機器供給業界でのシェア確保や競合他社に対する優位性の継続的な確保が必要と考えております。

 また、同事業はストック型ビジネスであり安定的な収益を上げることが可能ですが、当社の一層の成長のためには、同事業の拡大のみでなく、当社が培ったサービスのノウハウを活かしたフロー型ビジネスへの本格参入も必要と考えております。

 なお、ストック型ビジネスとは一括にて収受した保証料を保証期間に応じ按分し収益を認識するビジネス、フロー型ビジネスとはサービス提供と同時に収益を認識するビジネスと当社は定義しております。

 こうした方針のもと、当社の対処すべき課題は①新たな集客戦略・販路拡大、②新規事業の開発、③ITシステムの向上及び業務効率化、④優秀な人材の確保及び育成、⑤激甚災害等への対策と考えております。

① 新たな集客戦略・販路拡大

a 新築住宅市場における販売促進

 当社は大手ハウスメーカーを中心とした新築住宅請負、分譲住宅供給会社、マンションデベロッパー等、戸建て・マンションにおける新築住宅事業者に対して、親和性の高い駆けつけサービス、申込方法簡略化、コールセンターの一括代理等を付帯することで差別化を図っております。

 新築住宅市場においては、今後少子高齢化・人口減少に伴い着工戸数の減少が見込まれるため、当社サービスに新築住宅事業者とエンドユーザーのニーズをマッチさせる付加価値を付けることで、マーケットシェア拡大に取り組んで参ります。

b リフォーム市場における販売促進

 住まいの選択肢の多様化に伴うリノベーションやサスティナブルな社会への関心の高まりを背景に、リフォーム需要が高まっています。リフォーム市場においても新築住宅市場と同様、カギ・水まわり・ガラスの緊急駆けつけサービスといった親和性の高い付加価値を付けたサービス等によりリフォーム専門事業者並びに新築住宅事業者のリフォーム部門への販路拡大、マーケットシェア拡大に取り組んで参ります。

c 中古住宅市場・既存住宅市場における販売促進

 政府においても2021年3月に閣議決定された新たな「住生活基本計画(全国計画)」に示されているとおり、中古住宅の資産価値を高める取組みや既存住宅流通市場の環境整備が進められており、中古住宅市場の拡大が見込まれます。当社としても、新築及びリフォーム施工時に附帯する住宅設備保証に加え、中古住宅の売買契約時を保証始期とする保証サービスの導入を進めております。また、こちらのサービスは賃貸住宅オーナー等、多数の設備機器を所有するユーザーの設備機器修理代を平準化させるものとしても販売促進を行って参ります。

 

② 新規事業の開発

 新築住宅の設備保証のみでは競合他社に明確な差別化戦略を取ることに限りがあるため、当社は今後、設備保証のみならず、設備保証運営において培ったノウハウを基に住宅、暮らしの全体をマーケットとしたサービス展開を推進して参ります。

 直近においては、鍵・水回り・ガラスの緊急駆けつけサービスを付帯した保証や、中古住宅設備機器に対する保証サービスを展開しております。

 

③ ITシステムの向上及び業務効率化

 当社は今後の会員数増加や事業拡大、事業環境の変化等に対応するためにITシステムに対する投資を行っております。また同時に保証登録から請求、エンドユーザーからの修理受付、メーカーへの修理依頼といった延長保証に関する一連の多様化した業務を見直し、システム化を進めることで業務効率化・迅速化を推進し、質・スピードの向上が実現できる環境整備を進めて参ります。

 

④ 優秀な人材の確保及び育成

 当社は今後の事業拡大や継続した発展のために優秀な人材の確保及び育成が不可欠であると認識しております。そのため、当社の求める専門性や資質を兼ね備えた人材の登用を進めるとともに、各種社内研修の実施等による継続的な成長促進、働きやすい職場環境の整備に取り組むことで、優秀な人材の確保及び育成を進めて参ります。

 

 

⑤ 激甚災害等への対策

 当社は、自然災害や事故に備え、コールセンター機能を業務委託先の提携会社に委託することでリスクを回避しております。またコールセンター以外の役割に関しても決議事項のデジタル化、テレワーク体制の整備等、様々なリスクに対応できる体制の整備を進めておりますが、今後も対応力を増強すべく、対策を進めて参ります。

 

⑥ 財務上の課題

 当社は、契約時に業務受託料を一括にて受領しております。受領した業務受託料は前受収益及び長期前受収益として計上しており、当該受託料をもとに事業を展開しております。この事業モデルにおいて財務上のリスクは軽微と判断しております。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 社会環境の変化に伴い当社を取り巻く環境も変化しており、持続的な成長を実現する上で必要となる課題も変化しております。サステナビリティに関連した議題については取締役会の中で適宜、その内容及び当該課題について所管の取締役が報告し、重要な課題については対応策の検討を行っております。

 詳細は、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。

 

(2)戦略

 当社は「困っている人に「あんしん」を届けることで社会に貢献する!~ Quality of Life ~」を経営理念として掲げ、「ありがとう」と言っていただける、安心・快適なサービスを提供することで社会に貢献する企業を目指しております。

 事業活動を通して、延長保証サービスの促進により、住宅設備をはじめとする各種製品を長くご利用いただけるようになることによる、新たに製品を作る・運搬する・設置するなどの活動で発生するCO2の削減に取り組んでおります。また、紙の会員証を廃止しデジタル会員証へ移行することで、紙資源使用量の削減による森林保全にも取り組んでおります。

 人材の育成及び社内環境整備に関する方針につきましては、働きやすい環境づくりに関する意識が従来にも増して重要であることを認識しております。そのため、コロナワクチン休暇、インフルエンザ予防接種の費用負担など、従業員とその家族が安心して働ける環境の整備を進めており、健康優良企業「銀の認定」を取得いたしましたが、今後もさらに整備を進めていき、すべての社員が最大限の能力を発揮できる環境を整備して参ります。

 

(3)リスク管理

 当社は、不測の事態又は危機の発生に備え、「リスク管理規定」を定め、もってリスクの顕在化の防止及び損失の最小化を図ることができるよう管理しております。今後の状況に応じて、サステナビリティに関連するリスク管理の強化を検討して参ります。

 

(4)指標及び目標

 サステナビリティ関連のリスク及び機会に関して、当社の実績を長期的に評価し管理・監視するために用いられる情報のうち重要なものについて、該当事項はありません。

 また、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関しましては、健康経営への投資を行い、従業員が働きやすい環境整備を行っておりますが、現段階では今後の目標を定めておりません。必要かつ有用な指標につきましては、当社を取り巻く環境を踏まえ今後も様々な会議体を通じて検討していく予定です。

 

 

3【事業等のリスク】

 当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。

 当社は各リスクについて発生可能性、影響度の観点から評価した結果を一元管理するために、同一のリスクマップに掲載しております。

 リスクの認識、及びその管理についてはリスク管理委員会を中心に行っており、当該体制・枠組みについては「第一部 企業情報 第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 イ.企業統治体制の概要」に記載しております。

 また、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項につきましても、投資者の投資判断の上で重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。当社はこれらのリスクの発生可能性を十分に認識した上で、発生の回避、及び発生した場合の適切な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があります。

 なお、本項記載の将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。

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(1)事業環境に関するリスク

① 外部経営環境による影響について

 当社が運営している延長保証事業は住宅・不動産・リフォーム市況に影響を受けます。そのため新築着工棟数やリフォーム市場の縮小、住宅流通件数の低迷等、事業環境が悪化した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合他社・新規参入について

 当社が運営している延長保証事業は、大小様々な競合企業が存在します。当社では事業者並びにエンドユーザーのニーズをマッチさせる各種付加価値を付け加えたサービス展開により事業基盤の拡充を図っております。しかしながら、今後更なる競争の激化により各サービスの収益性が低下する場合や競合他社による類似のサービス展開により当社の柔軟性やスピード、また現在までの保証事業運営で培ったノウハウといった独自性が失われた場合には、当社の業務遂行及び経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③修理費用が業績に与える影響について

 当社が運営する住宅設備保証サービスは、10年間の保証が中心であり、同サービスに関する売上高は保証期間にわたり計上しております。一方で、保証期間内に対象製品の故障等で修理が必要となる場合、会員の修理依頼に応じて、当社が修理の手配を行い、修理費用を支払っていることから、修理費用は、修理発生時に一括で売上原価として計上しております。当社は、修理費用の支出に備え、案件の一部に保険を付すことにより保証期間におけるコスト負担の平準化を図っておりますが、付保の効果と保険料負担のバランスを考慮し、対象案件全件に対しては付保を行っていないため、付保対象外の案件に対し修理が集中した場合に、費用が大きくなる可能性があります。

 

④ 損害保険会社との契約について

 当社が運営している住宅設備保証サービスは、保証加入時に受領する保証料によって最長10年間の保証サービスを行っております。サービス提供期間が10年と長期間にわたるため、その間の社会情勢、環境の変化等による修理費用の負担に対するリスクヘッジとして、当社として取扱い実績のない製品に対する保証サービス、中古製品に対する保証サービス及び特定の業務委託元から受注した保証サービスに関して、保証期間と同一の保険期間の保険契約を損害保険会社と締結しております。

 当社は、安定した付保率を保つことを前提としていますが、今後、付保率が大幅に上昇した場合には単年度の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、保険契約締結時の想定を超える修理件数の増加、修理単価の上昇等が発生した場合、将来の支払保険料増加に繋がる恐れがあり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 特定の取引先への依存について

 当社は延長保証事業において業務委託契約時に業務受託料を全額受領した上で、保証期間に応じて売上を按分計上しております。株式会社ヤマダデンキに対する販売実績の総販売実績に対する割合は、2022年9月期25.3%、2023年9月期26.2%と高い水準にあります。特定の取引先に依存しないように、他の大手企業への営業展開を進めておりますが、将来的に同社からの会員登録が減少・消滅した際は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 風評等について

 当社の属する延長保証業界に否定的な風評が広まった場合、又は競合他社の経営破綻、不祥事等によって業界の評判が悪化した場合には、当社の業務遂行及び経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)組織体制に関するリスク

① 個人情報の取扱いについて

 当社は会員及び従業員の個人情報を取り扱っております。当社は個人情報保護法等の法令及び当社が定める個人情報保護方針に則った情報セキュリティ体制を構築しております。また、プライバシーマークに基づく正社員、パートタイマーその他従業員の教育を徹底し、各所管部署内の自主点検、内部監査の実施等、コンプライアンス面における情報管理体制の充実に注力しております。しかしながら、万一、外部からの不正アクセスや社内管理体制の瑕疵等による情報の外部流出が発生した場合、当社に対する損害賠償請求や社会的信用の失墜により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社のみならず関係会社、受託企業等における類似の事態が発生した場合も、当社に対する信用失墜に繋がり、当社の業務遂行及び経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② システム障害について

 当社は顧客との会員管理を中心に自社システムでのサービス運用を行っております。システム障害に対する防御やセキュリティ強化を行っておりますが、万一、自然災害、事故、外部からの不正アクセス等によりシステム障害が発生した場合は、当社の業務遂行及び経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 組織体制について

 当社は本書提出日現在、取締役6名、監査役3名、従業員33名と小規模な組織体制であります。今後は事業拡大に伴い新たな人員確保及びITシステムへの投資等による業務効率化を推進して参りますが、優秀な人材の確保及び育成が適切に行えず、また十分な人的・組織的対応が行えない場合、当社の業務遂行及び経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

④ 特定の人物への依存について

 当社の代表取締役社長庄司武史及び取締役小田則彦は当社の創設メンバーであり、延長保証に関しての詳細なノウハウ及び顧客とのリレーションといった重要な役割を担っております。当社は人材確保・育成、ITシステムへの投資等組織による業務遂行を進めておりますが、提出日現在において両名が何らかの理由により業務の遂行ができない場合、当社の業務遂行及び経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 特定の商品への依存について

 当社の売上の9割以上は延長保証事業となります。現在延長保証以外のサービス展開を進めておりますが、今後市場環境の変化等で保証事業に対するニーズが減少・消滅した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ コンプライアンスについて

 当社は、自らが事業を展開する国又は地域の法令等を遵守する必要があります。その対応策として、当社は、様々な利害関係者及び社会に対して健全な業務遂行を行うことを目的として、コンプライアンス規程を制定し全従業員が各種法令、倫理、社会通念、社内規程等に準拠した業務遂行を行うよう定期的な研修教育及び日常的な確認を行っております。これまで法的規制について問題は発生していませんが、万一現在の法的規制に違反した場合、又は今後何らかの法的規制が加えられた場合には、当社の業務遂行及び経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)その他のリスク

① 親会社グループとの関係について

(ⅰ)親会社グループ内の当社の位置づけ

 当社はJBRの子会社であります。JBRグループは、「困っている人を助ける」という経営理念のもと、日常生活に関わる、あらゆるトラブル解決を可能にする総合サービスを展開しており、本書提出日の前月末現在で各社の事業及びサービスは以下のとおりであります。

a ジャパンベストレスキューシステム株式会社

鍵・水回り・ガラスの緊急駆けつけサービス、生活トラブル相談

b ジャパンワランティサポート株式会社

住宅設備機器の長期保証サービス

c レスキュー損害保険株式会社

損害保険(法人向け約定履行費用保険)

d ジャパン少額短期保険株式会社

少額短期保険(家財保険、通勤通学保険等)

(ⅱ)親会社グループ内の他社との競合

 当社はJBRグループにおいて、住宅設備機器のメーカー保証終了後の延長保証事業の運営を行っております。JBRグループの中で住宅設備機器の延長保証事業を取り扱っているのは当社のみであることから、JBRグループにおいて競合となるサービスはありません。

(ⅲ)取引関係

 当社と当社の親会社であるJBRとの間には当社からの外注取引として、当社サービス「あんしん住宅サポート24h」での緊急駆け付け、生活相談の業務をJBRへ委託があります。当該取引の取引条件については、独立第三者間取引と同様の一般的な取引条件を参考に、交渉の上決定しております。なお当該取引は当社の主要商品であるあんしん修理サポートの追加プランであり、取引額としても僅少であることから、当該サービスに相互依存している状況ではありません。

(ⅳ)人的関係

 本書提出日現在、当社の役員9名(取締役6名、監査役3名)のうち、JBRの役員を兼務するものは1名であり、その者の氏名、当社及びJBRにおける役職は以下のとおりであります。なお、当該兼務は、JBRが親会社としての子会社管理の一環として親会社から取締役を派遣しているものであり、取締役会の意思決定に特別な影響力を持たせている等の状況はなく、当社の自由な事業活動が阻害される状況にはありません。

氏名

当社における役職

JBRにおける役職

若月 光博

取締役

取締役執行役員

 

 

(ⅴ)資本関係

 当社は、JBRグループにおいて独立した事業経営を行っておりますが、当社の親会社であるJBRは本書提出日現在においてJBRは当社株式の総議決権数の63.3%を保有しており、同社は当社の株主総会における取締役の任免等の議決権行使を通じて当社の経営判断に影響を及ぼし得る立場にあることから、議決権の行使に当たり、同社の利益が当社の将来の他の株主の利益と一致しない可能性があります。

 またJBRグループ内において、財務内容、信用力、業績等に関するマイナスイメージが生じた場合には、当社も同様であるとの風評が生じ、当社の業績に悪影響が生じる可能性があります。

(ⅵ)親会社からの独立性の確保について

 当社は、JBRの承認を必要とする取引や業務は存在せず、事業における制約もなく、独立した意思決定による独自の経営を行っております。また、当社の役員には、上場取引所の定めに基づく独立役員として指定する独立社外取締役1名及び独立社外監査役2名が就任しており、取締役会における審議に当たっては、より多様な意見が反映され得る状況にあり、事業運営の独立が確保されていると認識しております。

 

② 激甚災害等について

 当社は、自然災害や事故に備え、コールセンター機能の一部を業務委託先の提携会社に委託することでリスクを回避しております。またコールセンター以外の役割に関しても決議事項のデジタル化、テレワーク体制の整備等、様々なリスクに対応できる体制の整備を進めております。しかしながら、地震やパンデミック等の大規模災害の発生等により想定を超える事象が発生した場合は、当社事業の継続に支障をきたし、当社の業務遂行及び経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 新型コロナウイルス感染症拡大について

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大については、感染症法上の位置づけが5類感染症となり、日常生活の行動制限が撤廃されるなど一定の収束はみられたものの、新たな感染症等の拡大が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 新株予約権行使による株式価値の希薄化について

 当社は当社役員、従業員等に対し、当社の業績向上への意欲や士気を高めることを目的として、新株予約権付与によるストック・オプション制度を採用しております。本書提出日の前月末現在における新株予約権にかかる潜在株式数は351,400株であり、発行済株式総数の15.3%に相当しております。なお、今後につきましても、当社役員及び当社従業員の士気向上と優秀な人材確保を目的としてストック・オプションによる新株予約権の発行を検討しております。

 これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 配当方針に係るリスクについて

 当社の利益配分につきましては、今後の長期的・安定的な事業展開に備え、企業体質の強化のために内部留保を高めつつ、株主各位に対して、安定的かつ継続的な配当と利益還元を行うことを基本方針としております。しかしながら、外部環境等様々な要因により、想定どおりの収益を確保することができない場合、配当方針に影響を及ぼす可能性があります。

 配当政策については、「第一部 企業情報 第4 提出会社の状況 3配当政策」に記載しております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績、及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

イ.財政状態

(資産)

当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べて87,538千円減少し、7,791,491千円となりました。主な減少要因は、投資有価証券及び投資不動産の購入により現金及び預金193,612千円が減少したことによるものです。

固定資産は、前事業年度末に比べ1,235,978千円増加し、3,214,213千円となりました。主な増加要因は、新規契約増加により付保も増加したことで長期前払費用が252,055千円、社債の購入により投資有価証券が224,029千円、また投資不動産の購入により投資不動産(純額)が761,893千円増加したことによるものです。この結果、当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて1,148,439千円増加し、11,005,705千円となりました。

 

(負債)

当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べて25,598千円増加し、1,765,212千円となりました。主な増加要因は、新規契約増加に伴い前受収益が145,542千円、信託型ストックオプションに係る預り金が32,041千円増加する一方、減少要因として消費税等の中間納付額の影響により未払消費税等が175,642千円減少したことによるものです。

固定負債は、前事業年度末に比べて568,476千円増加し、7,111,332千円となりました。これは主に、新規契約増加に伴い長期前受収益が566,594千円増加したことによるものです。

この結果、当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べて594,074千円増加し、8,876,544千円となりました。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて554,364千円増加し、2,129,160千円となりました。主な増加要因は、新株予約権の行使による新株の発行に伴い資本金及び資本剰余金がそれぞれ81,255千円、また当期純利益により利益剰余金が419,807千円増加する一方、減少要因として投資有価証券の時価下落に伴いその他有価証券評価差額金が42,064千円減少したことによるものです。

 

ロ.経営成績

 当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行したことを背景に、人流の拡大やインバウンド需要の増加等により、緩やかに回復しています。また、消費者物価は上昇基調にあるものの、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により、景気回復の継続が期待されています。しかしながら、ロシア・ウクライナ情勢を巡る地政学的リスクの長期化、外国為替市場における円安基調の強まりの影響等で資源価格・原材料価格の高騰が続き、依然として先行きは不透明な状況となっております。

 この間、新設住宅着工戸数は、人口・世帯数の減少や住宅余りの状況等を理由に、漸減傾向で推移しています。その一方、既築住宅数の増加に加え、経年劣化に伴う修繕需要や住生活空間の充実を図るようなリフォーム需要が長期的にも底堅く推移することが見込まれ、新設住宅市場を事業の中心としてきた参入事業者は、これまで以上に新築市場から既築市場に移行すると考えられます。

 このような事業環境の中、当社は主力商品である、新品住宅設備の延長保証サービス「あんしん修理サポート」の他、カギ・水回り・ガラスの緊急駆けつけサービス「あんしん住宅サポート24h」、中古住宅設備の保証サービス「リユース修理サポート」、住まいの長期保証バックアップサービス「スマイノミライ」、住宅の点検やリペアなど、住宅に関するアフターフォローをワンストップで対応する事業環境を整えました。また、太陽光発電や蓄電池、V2Hなどの再生可能エネルギー関連設備の延長保証の展開強化を進めております。その他、BPO事業の営業拡大、本格稼働を進め、更なる事業展開を行っております。

 この結果、当事業年度の経営成績は、売上高1,664,148千円(前年同期比15.1%増)、営業利益618,592千円(同11.3%増)、経常利益668,063千円(同21.3%増)、当期純利益454,153千円(同26.7%増)となりました。

 なお、当社は住宅設備機器の延長保証事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて193,612千円減少し、6,729,907千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は、771,571千円(前事業年度は1,109,518千円の獲得)となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益668,063千円、前受収益の増加額145,542千円及び長期前受収益の増加額566,594千円によるものです。また、主な減少要因は、前払費用の増加額49,629千円、長期前払費用の増加額255,118千円、未払消費税等の減少額175,642千円及び法人税等の支払額204,515千円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、1,034,613千円(前事業年度は26,760千円の使用)となりました。主な減少要因は、投資有価証券の取得による支出301,132千円、投資不動産の取得による支出767,844千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により獲得した資金は、129,429千円(前事業年度は133,353千円の獲得)となりました。主な増加要因は、新株予約権の行使による株式の発行による収入161,504千円によるものです。また、主な減少要因は、配当金の支払額34,342千円によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社の提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社の提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

住宅設備機器の延長保証事業(千円)

1,664,148

115.1

(注)1.当社は、住宅設備機器の延長保証事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

当事業年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社ヤマダデンキ

365,595

25.3

436,110

26.2

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。当社の財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

 財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

 当社は住宅設備機器の延長保証事業の単一セグメントであるため、売上高1,664,148千円(前年同期比15.1%増)はすべて同事業より獲得し、売上高の増加要因は新規契約の増加によるものであります。

 また、当社は業務委託契約時に業務委託料を全額受領し、保証期間に応じて売上を按分計上しているため、安定的な売上の確保が可能ですが、事業の安定的な成長のため、新規の業務委託契約を継続的に獲得しております。

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度において売上原価は564,151千円(前年同期比22.0%増)となりました。修理件数の増加に伴う外注費が増加し、また売上高増加に伴い支払保険料も増加したため、売上原価率は33.9%と前事業年度に比べ1.9ポイント悪化しました。その結果、売上総利益は1,099,996千円(前年同期比11.8%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費は481,403千円(前年同期比12.5%増)となりました。主要な費目は役員報酬79,730千円、給料及び手当116,147千円、支払手数料41,162千円、支払報酬20,789千円であり、人員増加に係る人件費の増加が主な増加要因となっております。その結果、営業利益は618,592千円(前年同期比11.3%増)となりました。

(営業外損益、経常利益)

 営業外収益は62,824千円(前年同期比555.4%増)となりました。主要な収益としては投資有価証券売却益37,326千円、投資不動産賃貸料12,928千円であります。営業外費用は13,353千円(前年同期比11.1%減)となりました。主要な費目は投資不動産賃貸費用11,595千円であります。その結果、経常利益は668,063千円(前年同期比21.3%増)となりました。

(税引前当期純利益、当期純利益)

 税引前当期純利益は668,063千円(前年同期比21.4%増)となりました。法人税、住民税及び事業税に税効果会計適用に伴う法人税等調整額を合わせた税金費用は213,909千円となり、当期純利益は454,153千円(前年同期比26.7%増)となりました。

 

c.キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

d.資本の財源及び資金の流動性

 当社の運転資金需要のうち主なものは、長期保証における修理費用等の売上原価及び人件費等の営業費用であります。

 当社は、運転資金につきましては内部資金により充当しております。今後、資金需要の必要性に応じて、外部も含めた資金調達等柔軟に対応する方針としております。

 

e.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営目標の達成状況を判断するための客観的な指標は有効会員数であり、その進捗については下表のとおりであり、当事業年度において有効会員数約160万件を達成しております。今後も有効会員数を増加させることにより、売上高と営業利益の最大化を図って参ります。

(単位:万件)

決算年月

2019年9月

2020年9月

2021年9月

2022年9月

2023年9月

有効会員数

約76

約93

約113

約135

約160

(注)有効会員数については、普賢監査法人の監査を受けておりません。

 

f.経営成績に重要な影響を与える要因

 「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。