文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 会社の経営の方針
当社グループは、「良い商品」「良いサービス」をお客様に提供することを通じて、社会に貢献することを基本理念としております。
また、株主・顧客・取引先の皆様及び従業員など、すべての関係者と共存共栄を図り、企業価値を高めることを行動の指針としております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標
当社グループは、2019年度より始まり2021年度を最終年度とする中期経営計画に基づき、通信販売事業を中心に事業構造改革を進めております。本計画の最終期である2021年12月期の目標とする経営指標は次のとおりです。
・連結売上高 920億円以上、 連結営業利益 40億円以上
通信販売事業における在庫縮減及び人件費適正化等の主要なコスト関連施策はすでに完了しており、2019年度にはその効果が発現する見込みとなっております。また、粗利率の改善を目的としたオペレーション改革も引き続き進めることにより収益基盤の強化を図ります。さらに、これらの事業構造改革に加え、再成長に向けた施策として、新たなマーケティング戦略による販売力強化を進めてまいります。これらの取組みを着実に実行することにより、強固な収益基盤の構築と再成長を実現し、目標営業利益の達成及び企業価値の向上を図ってまいります。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループを取り巻く環境は、国内経済では成長が見込まれるものの、個人消費においては依然として節約志向が続き、消費者の商品やサービスに対する目は厳しく、消費志向も多様化しており、業態を超えた競争激化の厳しい状況にあると認識しております。
このような状況のもと、当社グループは企業価値の向上を実現するため、2019年度より始まり2021年度を最終年度とする中期経営計画に基づき経営課題の解決に取り組んでおります。各事業の対処すべき課題は以下の通りです。
① 通信販売事業
テクノロジーの進化に伴う消費行動の多様化・個別化、プラットフォーム・ビジネスとの競争激化、物流コストの上昇等により、通信販売事業を取り巻く環境は引き続き厳しい状況となっております。このような厳しい経営環境に加え、当社自身が売上規模を重視したことによる利益率低下、オペレーションコストの増加等の影響により、近年、通信販売事業の業績は大幅に悪化しております。
このため、通信販売事業の収益悪化に歯止めをかけることを目的として、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容⑥事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策」に記載の抜本的施策を実行しております。
在庫縮減及び人件費適正化等、一部の施策についてはすでに完了しており、2019年度にその効果の発現が見込まれております。しかしながら、2019年12月期も引き続き事業構造改革の過程にあり、オペレーション改革等、一部の施策は効果の発現に時間を要するため、引き続き抜本的施策を実行してまいります。
また、上記の収益基盤の強化策と並行して、新たなマーケティング戦略に基づく販売力強化策を実行することにより、事業の再成長を目指してまいります。マーケティング戦略の概要は以下のとおりです。
a.お客様に価値提供できる/すべき事業領域の再設定
当社のお客様は「子育て」をきっかけとして会員になっていただくケースが多くなっておりますが、当社は近年お客様のライフステージやイベントではなく、商材を軸とした事業運営を行ってまいりました。この結果、お客様のライフステージに応じたアプローチが不足するとともに、ライフステージの変化にも十分対応できておりませんでした。
今後は、「子育て」というお客様との最初の接点をスタートに、対象となるお客様をより深く理解し、ライフステージが変化していく女性のそれぞれの場面に笑顔を届ける商品・サービスを提供し続けることにより、お客様の生涯を通じた当社の価値を最大化し、長きにわたって女性のパートナーとして寄り添う存在としての地位確立を目指します。具体的には、以下の2つのライフステージに注力することとし、「子育て」領域の再強化を行うとともに、子育て後期・子育て卒業期のお客様の変化に寄り添う価値提供を行い、継続利用促進・離脱防止を図る方針です。
・近年多数派となり、特に生活上の「不便」「不安」などの“不”の多い「働きママ」ステージ
・育児の手が少しずつ離れ、新たなライフスタイル・自分らしさを模索する「自分磨き」ステージ
b.ブランドメッセージの統一
商材別の事業運営を進めた結果、「ベルメゾン」に対して商材のイメージを強く持たれるお客様が増えており、「ベルメゾン」ブランドの総合イメージが希薄化しつつあると認識しております。「ベルメゾン」ブランドの提供価値である「実用性」や「シンプルで人とかぶらないデザイン」等を踏まえ、ベルメゾン全体の統一ブランドコードを再設定し、今後は当該コードを踏まえた商品開発・選定、価格設定及び販促活動等を行ってまいります。
c.マーケティング方針の見直し
これまでの商材軸によるマーケティングでは、一人のお客様に横断的・多面的にアプローチすることが十分にできておりませんでした。今後は、マーケティング施策を検討・実行する単位を「商材軸」から「顧客軸」にシフトし、対象とするお客様のニーズやイベントを深く理解した上で、それらに応じた提供価値とその実現に向けた商品ラインナップ、価格設定及び伝え方を整理し、お客様の行動様式に沿ったアプローチを実施する等、あらゆる面でお客様起点を徹底いたします。
商品ポートフォリオについても、競争力のある領域への開発リソースの集中、優位性のないPB商品(自主企画商品)のNB商品(製造メーカーブランド商品)へのシフト、収益性の低いNB商品の廃止等、選択と集中を進めることにより、メリハリの効いたポートフォリオの実現を目指します。
また、当社の強みであるカタログについては、発行回数、部数、頁数を投資効率の観点から見直すとともに、配布先選定の高度化を進め、再強化してまいります。Webマーケティングについても、ROI(投資収益率)の可視化及びSEO対策(検索エンジン最適化)の高度化等により改善を進めるとともに、カタログとWeb間のコンテンツ連動についても強化してまいります。
d.組織・ビジネスプロセスの再構築
組織面においては、商材軸での事業運営による顧客ニーズの理解不足、利益及び在庫責任の曖昧さ、全体を俯瞰し事業部門間の連携を担保する機能の不在等の課題を抱えておりました。このため、「専門店」を顧客軸の「BU」(ビジネスユニット)に再編成し、各BUに全体のマーケティング戦略と整合する形で異なる役割・ミッションを課すとともに、利益及び在庫に係る責任を持たせ、権限と責任の明確化を図ります。また、全体の戦略策定及びBU間の連携促進を担う横軸部門を設置することにより、各BUの部分最適の回避及び全体最適の実現を担保いたします。
ビジネスプロセスにつきましては、希望退職による人員数の減少を踏まえ、当社としての非注力領域からの撤退を進めるとともに、付加価値の低い業務の部門間共通化や削減を進めることにより、業務の付加価値及び効率性の向上を目指します。
② ブライダル事業
少子高齢化等の影響により婚姻組数は継続的に減少しており、今後も市場の大きな成長は見込み難い状況にあります。
このような厳しい事業環境の中ではありますが、女性の一生の中での「結婚」というライフイベントにより良い価値を提供するため、営業力の強化と周辺事業展開を行うとともに、既存施設のリニューアル等により収益基盤の強化を図り、事業の持続的な成長に向けて、新規出店、周辺事業の強化及び人材育成に注力してまいります。また、当社グループの通信販売事業や資本業務提携先であるワタベウェディング株式会社とのシナジー創出についても、引き続き推進してまいります。
③ 法人事業
業績は安定的に推移しておりますが、顧客ニーズの複雑化・多様化や他社との競争激化により、事業環境は年々厳しくなっており、事業の成長をより重視した運営が必要な状況にあります。このような状況に対応するため、既存顧客の維持に加えて、顧客接点の増加を目的としたセミナーの開催や事業パートナーとの連携強化により、新規顧客の開拓も強化してまいります。
④ その他
2014年度から立ち上げた子育て支援事業に注力しております。保育園の定員は増加傾向にあるものの、共働き世帯の増加や女性の就業率の上昇等により待機児童の解消は進んでおらず、短期的には保育ニーズは非常に高い水準にあります。しかしながら、少子化のトレンドが今後も継続することにより、中長期的には保育に係る需給ギャップは解消の方向に向かうと予想されます。これを受けて、子育て支援事業においても量から質へのシフトが起こるものと考えられます。
当社グループの子育て支援事業においては、当面は、事業の拡大(保育園の新規開園)を図りながら保育の質の向上を目指してまいります。また、女性が「育児期」を笑顔で過ごせることを目指し、保育園に限定することなく、付加価値を追求した学童保育等の周辺事業の新規展開も進めてまいります。
また、当社グループは、企業活動において株主、顧客、従業員、取引先、地域社会といった様々な利害関係者との調和による企業価値の向上を図るためにコーポレート・ガバナンス(企業統治)への取組みを必要不可欠なものと認識し、内部統制システムの整備を行うとともに、透明性の高い経営システムの構築を図り、有効に機能させることが重要であると考えております。
そのため、取締役の監督責任の明確化、コンプライアンス体制の強化、迅速かつ正確な情報開示に努める一方で、内部統制システムの改善と充実を図りながら、コーポレート・ガバナンスを強化してまいります。
今後とも、当社グループ一丸となり、更なる企業価値の向上に全力を尽くす所存でございます。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 生産国の政治情勢及び経済状況等の変化に関するリスク
当社グループが販売する商品の大半は中国などアジア各国からの輸入によるものであります。このため中国などアジア各国の政治情勢、経済環境、自然災害等により当社グループの業績及び財務状況に影響を受ける可能性があります。
(2) 為替変動に関するリスク
当社グループの主たる事業である通信販売事業において、取扱商品の一部は海外から外貨建で輸入しております。そのため、大幅な為替相場の変動があった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 個人情報漏洩に関するリスク
当社及び一部の子会社は個人情報保護法に規定する個人情報取扱事業者に該当しております。当社グループでは、法律を遵守すると共に、情報漏洩防止のため顧客情報管理担当を置き、内部管理体制を強化しております。なお、当社はプライバシーマークの認証を取得しております。
しかしながら、当社グループが扱う個人情報が漏洩した場合については、当社グループの信頼の失墜につながり、企業イメージの悪化が業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 自然災害等に関するリスク
当社グループの主たる事業である通信販売事業において、受注処理及び商品出荷業務などは、万一自然災害等が発生した場合多大な影響があります。その影響を最小限にするためシステムの二重化や耐震対策、物流センターの分散化を行っております。また、危機管理委員会を設置し災害発生時の対応ルールなどを策定しております。
しかしながら、大規模災害の発生により当社の設備等に被害が生じた場合については、受注処理及び商品出荷業務に影響を与え、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5) システムに関するリスク
当社グループが保有するコンピュータシステムにおいて地震、台風のほか洪水、ハードウェア及びソフトウェアの障害、テロリズム、サイバーテロ等、様々な要因がシステムに影響を及ぼす可能性があります。業務はほとんどすべてにおいてコンピュータ処理を行っているため、コンピュータトラブルが発生し復旧等に時間を要した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 法的規制等に関するリスク
当社グループの主たる事業である通信販売事業においては、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」、「特定商取引に関する法律」、「薬事法」、「製造物責任法」等による法的規制を受けております。そのため、社員教育の徹底、コンプライアンス体制の整備など管理体制の構築等により法令順守の体制を整備しております。
しかしながら、これらに関連する法令の規制の改正や新たな法的規制が設けられる場合、あるいはこれらの規制を順守できなかった場合、当社グループの企業イメージの悪化など、当社グループの事業、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 天候不順に関するリスク
当社グループの主たる事業である通信販売事業において、冷夏や暖冬、長雨といった天候不順や異常気象により売上が変動するため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 企業買収、戦略的提携に関するリスク
当社グループは、既存の事業基盤を拡大するため、あるいは新たな事業への進出のため、今後も事業戦略の一環として企業買収や資本提携を含む戦略的提携を行なう可能性があります。企業買収や戦略的提携にあたっては、十分な調査・分析検討を行ないますが、買収・提携後に偶発債務の発生や未認識債務が判明する場合などが考えられます。また、買収・提携後の事業計画が当初計画どおりに進捗しない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 在庫に関するリスク
当社グループでは、仕入・販売・在庫計画の精緻化や在庫コントロールの強化など、在庫の抑制、商品回転率の向上に努めておりますが、販売の予期せぬ変動により在庫が過剰となった場合、その削減が進まなければ廃棄処分や評価損によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 商品の安全性に関するリスク
当社グループの提供する商品については、関連法規の遵守はもちろんのこと、法規制以上の自社基準・自社規制を設け、全グループを挙げてその品質向上に取り組んでおります。しかし、将来にわたり、販売した商品及びその広告表現等において、安全上の問題や表示上の問題が発生する可能性があります。このような問題が発生した場合、多額のコストの発生や当社グループのイメージ低下による売上の減少等が想定され、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11) インターネット等による風評被害に関するリスク
当社グループは、プレスリリース及び適時情報開示等により信頼の維持・向上を図り、リスク顕在化の未然防止に努めております。しかしながらインターネット上の掲示板への書き込みや、それらを要因とするマスコミ報道等による風評・風説の流布が発生・拡散した場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 通信販売市場におけるリスク
当社グループが主たる事業とする通信販売市場において、近年インターネットやスマートフォン等、情報通信インフラの充実や携帯端末の普及により、通信販売市場自体は今後も拡大が見込まれます。当社グループはこうした購買環境の変化に対応し、カタログを中心とした従来型スタイルからECへと軸足をシフトし、EC販売の強化を図っています。しかし、通信販売市場の拡大に伴うさらなる競争激化が予想され、既存事業者との競合、新規参入事業者による新たな高付加価値サービスの提供等が行われた場合、当社グループにおける競争力が低下する可能性があります。この場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 固定資産の減損に関するリスク
当社グループでは、事業の用に供する様々な有形固定資産や企業買収に伴うのれん等の無形固定資産を有しておりますが、事業収益の急激な悪化や買収事業の推移が当初計画を下回ることなどにより、保有資産から得られる将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用による減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、前連結会計年度において、営業損失42億87百万円、親会社株主に帰属する当期純損失110億90百万円を計上し、当連結会計年度においても、営業損失40億63百万円、親会社株主に帰属する当期純損失60億27百万円を計上したことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しておりますが「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ⑥事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策」に記載のとおり、当該重要事象を解消するための対応策を実施しております。
また、当連結会計年度末において現金及び預金171億50百万円を保有しております。さらに、取引金融機関との総額100億円のコミットメントライン契約を締結しており、十分な運転資金が確保できている状況であることから、資金繰りの懸念はありません。
以上により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が継続する中、緩やかな景気回復基調で推移いたしました。一方、海外経済においては、米中間の通商問題を始め、新興国の政治・経済に関する不確実性など、先行きは依然として不透明な状況で推移しました。小売業界におきましては、賃金上昇ペースの鈍化や生活物価の上昇等の要因から、実質所得の伸びは力強さを欠いており、依然、消費者の生活防衛意識は高く、消費者の節約志向と価値観の多様化への対応、配送業界からの運賃値上げへの対応、さらには業態を超えた企業間競争激化など、当社グループを取り巻く経営環境は引き続き厳しいものと認識しております。
当連結会計年度の売上高は、通信販売事業において販売チャネル戦略・販促施策の見直し及びMD(マーチャンダイジング)改革等を進めてまいりましたが、複雑化した事業構造が足枷となり進捗に遅れが生じ、1,133億44百万円(前期比10.0%減)となりました。
利益面に関しましては、通信販売事業における在庫水準適正化を目的とした廃棄損計上、処分予定在庫の評価損計上及びバーゲン販売等により、売上総利益率は大幅に悪化し、営業損失は40億63百万円(前期は42億87百万円の営業損失)となりました。経常損失は42億77百万円(前期は42億6百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は、希望退職の実施に伴う特別退職金の計上等により60億27百万円(前期は110億90百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
〔通信販売事業〕
カタログ及びインターネットを中心とする通信販売事業の当連結会計年度の売上高は864億52百万円(前期比14.6%減)となりました。営業損失は56億33百万円(前期は57億7百万円の営業損失)となりました。
〔ブライダル事業〕
ハウスウエディングを中心とするブライダル事業の当連結会計年度の売上高は193億86百万円(前期比6.9%増)となりました。営業利益は10億4百万円(前期比4.3%増)となりました。
〔法人事業〕
法人向けの商品・サービスを提供する法人事業の当連結会計年度の売上高は51億61百万円(前期比6.8%増)となりました。営業利益は3億39百万円(前期比9.5%減)となりました。
〔その他〕
子育て支援事業と保険・クレジットなどを主とするサービス事業等を行うその他の事業は、2017年7月に化粧品の製造販売事業を行う株式会社ユイット・ラボラトリーズを子会社化したこともあり、当連結会計年度の売上高は23億43百万円(前期比33.7%増)となりました。営業利益は2億25百万円(前期比178.3%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は171億47百万円となり、前連結会計年度末と比較して1億76百万円の減少となりました。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、19億50百万円の支出(前期は19億52百万円の収入)となりました。主なプラス要因は、たな卸資産の減少額67億78百万円、減価償却費18億7百万円であり、主なマイナス要因は、税金等調整前当期純損失60億16百万円、仕入債務の減少額35億88百万円、事業構造改革費用の支払額19億60百万円であります。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、31億96百万円の収入(前期は3億97百万円の支出)となりました。主なプラス要因は、有形固定資産の売却による収入25億27百万円、定期預金の払戻による収入22億26百万円であり、主なマイナス要因は、有形固定資産の取得による支出19億97百万円であります。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、14億14百万円の支出(前期は11億48百万円の支出)となりました。主なプラス要因は、株式の発行による収入69億75百万円であり、主なマイナス要因は、自己株式の取得による支出67億85百万円、長期借入金の返済による支出13億71百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの生産実績は、金額的重要性が乏しいため記載を省略しております。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
通信販売事業 |
46,090 |
△18.8 |
|
ブライダル事業 |
1,389 |
△10.6 |
|
法人事業 |
229 |
1.9 |
|
報告セグメント計 |
47,710 |
△18.5 |
|
その他 |
48 |
19.0 |
|
合計 |
47,758 |
△18.5 |
(注)1.金額は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
通信販売事業 |
86,452 |
△14.6 |
|
ブライダル事業 |
19,386 |
6.9 |
|
法人事業 |
5,161 |
6.8 |
|
報告セグメント計 |
111,001 |
△10.7 |
|
その他 |
2,343 |
33.7 |
|
合計 |
113,344 |
△10.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.数量については、品目が多岐にわたるため、表示を省略しております。
3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しており、経営成績又は財政状態に重要な影響を及ぼす見積り・判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる要因を考慮して行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在することから、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績の分析
a.売上高
売上高につきましては、1,133億44百万円(前期比10.0%減)となりました。売上高をセグメントごとに分析すると、通信販売事業は864億52百万円(前期比14.6%減)、ブライダル事業は193億86百万円(前期比6.9%増)、法人事業は51億61百万円(前期比6.8%増)、その他の事業は23億43百万円(前期比33.7%増)となりました。
b.売上原価
売上原価は650億19百万円となり、総額では前連結会計年度と比較して64億17百万円減少(前期比9.0%減)しましたが、在庫水準の適正化を目的とした廃棄損計上、バーゲン販売及び処分販売等の増加により売上原価率は前連結会計年度の56.7%から57.4%へ悪化いたしました。
c.販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は523億88百万円となり、前連結会計年度と比較して64億60百万円減少(前期比11.0%減)となりました。
これは、カタログ頁数削減による制作費・印刷費の削減や、全般的なコスト見直しによる各費用の削減によるものであります。
d.営業損失
以上により、営業損失は40億63百万円(前期は42億87百万円の営業損失)となりました。
e.営業外損益及び経常損失
営業外収益は、債務勘定整理益2億71百万円(前期比41.6%増)、受取配当金60百万円(前期比30.9%減)及び受取利息29百万円(前期比10.0%増)等を計上したことにより、5億82百万円(前期比19.1%減)となりました。
営業外費用は、支払手数料5億18百万円(前期比63.9%増)及び支払利息1億45百万円(前期比6.5%減)等を計上したことにより、7億96百万円(前期比24.7%増)となりました。
以上により、経常損失は42億77百万円(前期は42億6百万円の経常損失)となりました。
f.特別損益、税金等調整前当期純損失及び親会社株主に帰属する当期純損失
特別利益は、投資有価証券売却益5億17百万円(前期は7億15百万円)及び補助金収入46百万円(前期は2億10百万円)等を計上したことにより、5億90百万円(前期比36.9%減)となりました。
特別損失は、減損損失4億89百万円(前期は54億73百万円)及び事業構造改革費用14億59百万円(前期は19億2百万円)等を計上したことにより、23億29百万円(前期比69.5%減)となりました。
以上により、税金等調整前当期純損失は60億16百万円(前期は税金等調整前当期純損失108億99百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は60億27百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失110億90百万円)となりました。
③ 当連結会計年度末の財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて144億91百万円減少し、759億49百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ84億47百万円減少し、404億6百万円となりました。これは、商品及び製品が68億28百万円、未収入金が11億6百万円それぞれ減少したことが主な要因であります。また固定資産は、有形固定資産が19億53百万円、無形固定資産が2億42百万円、投資その他の資産が38億48百万円それぞれ減少したことにより前連結会計年度末に比べ60億44百万円減少し、355億42百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ12億96百万円減少し、287億70百万円となりました。これは、1年内償還予定の新株予約権付社債が43億40百万円増加した一方で、電子記録債務が27億74百万円、買掛金が12億86百万円、その他が3億70百万円それぞれ減少したことが主な要因であります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ65億円減少し、123億26百万円となりました。これは、新株予約権付社債が50億円、長期借入金が8億13百万円それぞれ減少したことが主な要因であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ66億95百万円減少し、348億53百万円となりました。これは、利益剰余金が13億33百万円増加した一方で、自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による取得の結果、自己株式が67億84百万円増加したことが主な要因であります。なお、2018年3月に実施したREVICパートナーズ株式会社が無限責任組合員として運営管理する地域中核企業活性化投資事業有限責任組合に対する第三者割当による優先株式の発行により、資本金及び資本準備金がそれぞれ35億円増加いたしましたが、2018年4月に会社法第447条第1項及び第448条第1項の規定に基づき資本金及び資本準備金の額をそれぞれ35億円減少し、その他資本剰余金に振り替えております。また、会社法第452条の規定に基づき実施いたしました欠損填補により、資本剰余金は70億71百万円減少し利益剰余金が同額増加しております。この結果、自己資本比率は45.8%となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性の分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入原価や運賃・販売促進費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は16,639百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は17,147百万円となっております。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、通信販売事業における早期の業績回復及び安定化を実現するためには更なる抜本的な事業構造改革が必要と判断し、2018年12月期から2020年12月期までの3期を計画期間とする中期経営計画を見直し、2019年12月期から2021年12月期までの3期に変更いたしました。同計画において連結売上高920億円以上、連結営業利益40億円以上を最終期である2021年12月期に達成すべき数値目標として定めております。
通信販売事業における在庫縮減及び人件費適正化等の主要なコスト関連施策はすでに完了しており、2019年度にはその効果が発現する見込みとなっております。また、粗利率の改善を目的としたオペレーション改革も引き続き進めることにより収益基盤の強化を図ります。さらに、これらの事業構造改革に加え、再成長に向けた施策として、新たなマーケティング戦略による販売力強化を進めてまいります。これらの取組みを着実に実行することにより、強固な収益基盤の構築と再成長を実現し、目標営業利益の達成及び企業価値の向上を図ってまいります。
(参考)2018年12月期実績
・連結売上高 113,344百万円、連結営業損失 4,063百万円
⑥ 事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策
当社グループは「2 事業等のリスク(14)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載の継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に対処すべく、以下の対応策を実施しております。
早期の業績回復を実現するため、2019年度より始まり2021年度を最終年度とする中期経営計画に基づき、通信販売事業を中心に事業構造改革を進めております。
この改善施策は、
a.事業規模の適正化(商品型数の削減、在庫の縮減等)、
b.オペレーション改革(生産リードタイムの短縮、正価販売割合の向上、余剰在庫の抑制、仕入先との協業強化等)、
c.カタログ起点での集客モデル再構築(アナログ・デジタル連携型集客モデルの構築、媒体計画・配布方法の見直し、デジタルマーケ・Web接客の進化による接客品質の向上等)、
d.組織・人員体制の見直し(組織の統廃合、希望退職の実施等)、
e.コスト削減・資産処分(部門機能集約及び大阪本社の売却等)、
f.グループ会社の再編(機能系子会社の集約等)
を含む抜本的なものであり、通信販売事業における在庫縮減及び人件費適正化等の一部の施策についてはすでに完了しており、2019年度にはその効果が発現する見込みとなっております。さらに、再成長に向けた施策として、新たなマーケティング戦略による販売力強化を進めてまいります。これらを確実に実行することにより、強固な収益基盤の構築と再成長を実現し、業績回復及び安定化に努めてまいります。
(投資契約)
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相手先 |
契約内容 |
契約締結日 |
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地域中核企業活性化投資事業有限責任組合 |
2018年3月、当社が第三者割当の方法により発行する総額25億円のA種優先株式と総額45億円のB種優先株式を、地域中核企業活性化投資事業有限責任組合が引受けする投資契約 (注)1 |
2018年2月26日 |
(注)1.本投資契約による有償第三者割当増資については、2018年3月30日に払込みが完了しております。
詳細は「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (1)株式の総数等 ②発行済株式」をご参照ください。
2.上記はすべて当社との契約であります。
(資本業務提携契約の解消)
当社は、2018年4月27日開催の取締役会において、J.フロント リテイリング株式会社(以下「JFR」といいます。)との資本業務提携を解消することについて決議し、同日付で解消にかかる合意書を締結いたしました。
JFRは、当社の普通株式11,815,000株(議決権所有割合22.65%)を保有しておりましたが、当社が実施した自己株式立会外取引(ToSTNeT-3)に保有する全株式を応募いたしました。
なお、当社とJFRは、資本業務提携の解消後も、これまで両社で築きあげてきた良好な関係を維持し、業務提携の個々の取組みの継続も含め検討していく所存です。
(借入条件の変更)
当社は、2018年10月26日開催の取締役会決議に基づき、取引金融機関との総額100億円のコミットメントライン契約について、財務制限条項と担保状況を変更しております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」をご参照ください。
(連結範囲の変更を伴う子会社株式の一部譲渡及び子会社による第三者割当増資)
当社は、2018年10月12日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社ベルネージュダイレクト(以下BNDという)の株式について、当社が保有する株式の一部を雪印メグミルク株式会社(以下雪印メグミルクという)へ譲渡すること及びBNDが雪印メグミルクを引受先とする第三者割当による新株式発行を行うことに関し、雪印メグミルク及びBNDとの間で基本合意書を締結することを決議いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
(連結子会社の吸収合併及び連結子会社間の合併)
当社は、2018年10月26日開催の取締役会において、当社の連結子会社である千趣会ゼネラルサービス株式会社及び株式会社千趣ビジネスサービスの2社の吸収合併、連結子会社である千趣会コールセンター株式会社と千趣会サービス・販売株式会社の合併について決議いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
当連結会計年度の研究開発活動は、主として通信販売事業のオリジナル商品の開発に係るものであります。当連結会計年度の研究開発費の総額は82百万円であります。