文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、グループの使命・存在意義である経営理念として、下記のとおり掲げております。
①我々は、エプコグループで働く情熱ある社員とその家族の幸福を追求します。
②エプコグループの存在目的は、社会問題を解決し、国民生活に貢献することです。
③エプコグループは、世界の人々の住まい、暮らしを支えるインフラ企業を目指します。
[行動規範]お客様からパートナーと認められる思考と行動をする。
[提供価値]社会問題を解決するサービス・技術を提供する。
[企業像] 人々の暮らしを支える強固な社会インフラ企業を目指す。
[経営目標]エプコのサービスを世界の人々の住まいや暮らしにインサイドさせる。
当社グループは、2025年に向けた新たな中期経営計画(2021年~2025年度)を2021年2月12日に発表しました。当該計画における基本方針及びセグメント別の事業方針は下記のとおりです。
<中期経営計画(2021年~2025年度)の基本方針>
デジタル技術を活用して設計から工事、アフターメンテナンスまでの情報をクラウドで一元管理できるプラットフォームを提供することで、住宅ライフサイクル全体の最適化とSDGsへの取組みを実現する。
[SDGsへの取組み]
当社が取組む3つの事業(設計サービス/メンテナンスサービス/再エネサービス)を通じてSDGsを実現
①プレファブ化による産業廃棄物の削減
②メンテナンスによる持続可能な住まいづくり
③電化住宅による脱炭素社会づくり
<セグメント別の事業方針>
中期経営計画(2021年~2025年度)における定量目標は下記のとおりです。
建築DXで既存モデルを高付加価値化し、高成長・高収益化を目指す。
<セグメント別売上高目標>
<セグメント別営業利益率・持分法投資損益目標>
(4) 会社の経営環境及び対処すべき課題
1.当社グループを取り巻く外部環境
2023年は、新型コロナウイルス感染症の「5類」への移行に伴い、国内における行動制限や海外からの入国制限の緩和により、景気の緩やかな回復が期待されたものの、世界的な金融引き締めの影響や、中東情勢の不安定化、長期化するロシア・ウクライナ情勢等により、原材料・エネルギー価格の高騰による物価の上昇や円安の進行などが進み、経済の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループの主力市場である日本の新築住宅市場においては、少子高齢化による人口減少や建築資材の高騰等により住宅の販売価格が上昇傾向にあることを受けて、2023年における持家の新設住宅着工戸数は25カ月連続して前年同月比マイナスで推移するなど、予断を許さない状況であると認識しております。
また、地球温暖化による自然災害が多発しており、地球温暖化防止に貢献する脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速させることが求められております。
日本政府は、脱炭素社会の実現に向けた中長期的な政策方針を打ち出しております。太陽光発電システムに関しては「2030年度に新築戸建住宅の6割において太陽光発電設備を導入」する方針であり、蓄電池に関しては「2030年までの累積導入量約24GWh(2019年までの累積導入量の約10倍)」を目指す方針です。これを受けて、地方自治体は再エネ設備(太陽光発電システム・蓄電池・オール電化設備等)の設置に対する様々な補助金制度を打ち出しており、再エネ設備の普及が加速しています。また、電気自動車(以下、EV)の普及に向けては、昨年10月に経済産業省は「EV充電器を2030年までに30万口設置」する方針を発表するとともに、EV充電インフラ補助金枠を増額したことで、EV充電器の市場も今後更なる拡大が見込まれています。
一方、中国においては、不動産不況が長期化し、内需の不振に伴うデフレ化が懸念される中、高度経済成長とともに業績拡大を続けてきた中国企業は新しい経済環境に適応したビジネスモデルに転換する必要が生じております。ここにデフレ環境をすでに経験している当社をはじめとする日本企業のノウハウを最大限発揮できる千載一遇の好機が到来していると捉えております。
また、中国政府は2060年のカーボンニュートラル実現にむけた再生可能エネルギーの普及拡大の方針を打ち出しており、「第14次5か年再生可能エネルギー発展計画」においては、2021年から2025年の5か年において太陽光と風力による発電量を倍増させる目標が明記され、中国国内における再生可能エネルギー関連事業は今後も成長が加速していくことが予想されます。
これまでエプコは、ベース事業(設計及びメンテナンスサービス)にて、大手住宅会社向けに新築時の設備設計及び引き渡し後のメンテナンスサービスを提供することで、安定的な成長を果たしてまいりましたが、現在は事業ポートフォリオの見直しを行っており、ベース事業で培った様々なノウハウを活かして、成長事業である再エネサービスに対して経営資源を優先的に投入してまいります。
2.再エネサービスの業況と対策
再エネサービスでは、再生可能エネルギーの普及を促進するために、太陽光発電システムや蓄電池、EV充電器等の設備について設置工事を中心とする様々なサービスを提供しております。
(日本市場における取り組み)
日本市場においては、東京電力エナジーパートナー株式会社と当社との合弁で設立したTEPCOホームテック株式会社(以下、TEPCOホームテック)、そして当社100%子会社である株式会社ENE's(以下、ENE’s)が事業の中心となります。
脱炭素社会の実現に向けた取り組みは我が国のみならず世界的な潮流となっており、TEPCOホームテックが手掛ける再エネサービスに対する社会的な関心は高まっております。なかでも、住宅設備の定額利用サービスである「エネカリ」は、大手不動産・分譲住宅会社からの受託が急拡大しております。再エネ設備の設置に関する補助金制度の充実や太陽光発電設備の設置義務化に関する条例の制定など自治体の制度による後押しもあり、TEPCOホームテックは足元の業績が急拡大しており、今後も更なる成長が見込まれています。当社としましても、TEPCOホームテックの事業推進を積極的に支援していく所存です。
当社とTEPCOホームテックの戦略的施工会社であるENE'sにおきましても、TEPCOホームテックの事業拡大に伴い受注量が増加しているとともに、EV充電器の普及加速によってEV充電器設置工事の実績が増加しております。これらの再エネ設備工事の更なる受注拡大に向けて、拠点や人員の拡充、施工効率の向上、M&Aを含めた他社との業務・資本提携を進めてまいります。
(中国市場における取り組み)
中国市場においては、香港市場に上場している中国最大の住設管材メーカーであるCHINA LESSO GROUP(以下、LESSO)との間で太陽光発電事業を推進するための合弁会社(班皓艾博科新能源設計(深圳)有限公司)を立ち上げ、中国市場にて再エネサービスを展開しております。
当社グループは、2011年以来、LESSOとの間で給排水設備分野において緊密な協業関係を構築しておりましたが、太陽光発電システムの設置容量が世界最大である中国国内においてLESSOが太陽光発電事業を強力に推進していることを受け、2023年より新たに合弁会社を通じて太陽光発電システムに関する設計及びメンテナンスサービスを提供しております。
中国経済は不動産不況が長期化しデフレ化が懸念される中、日本のデフレ化において当社が培ってきた標準化・効率化によるローコストオペレーションモデルをLESSO GROUPと共有することで、両社の強みの相乗効果による新たな付加価値を創造してまいります。
3.メンテナンスサービスの業況と対策
メンテナンスサービスは、住宅のアフターメンテナンス全般に関わるハウスマネジメントサービスであり、既存住宅を対象としている積み上げ式のストック型ビジネスであることから、業績は安定して推移しております。また、今後の受託拡大を見据えて、事業継続体制を強化する観点から、2022年より石川県金沢市にメンテナンスサービス拠点を設立し、複数拠点にて安定的にサービス提供できる体制整備を進めております。
新築住宅着工戸数の減少が続く中、当社グループの主要顧客である大手住宅会社も既存顧客との関係性を活かしたリフォーム需要の創出に活路を見出そうとしております。そのためには居住者の修理データを「家歴」としてクラウド上で管理し、アプリを通じて居住者と住宅会社がコミュニケーションを図ることで、メンテナンスからリフォームへの好循環を図るサービスを提供してまいります。
また、メンテナンスサービスでは、住宅会社向け業務だけでなく、TEPCOホームテックをはじめとするエネルギー企業からの様々な業務委託が増加しております。当該分野は、今後も再エネサービスの拡大と連動してさらなる受託拡大が見込めることから、今後、エネルギー分野のメンテナンスサービスに一層注力する方針です。
4.設計サービスの業況と対策
新築住宅の設備設計サービスが主体である設計サービスを取り巻く経営環境としては、住宅産業が抱える構造的課題である少子高齢化等の影響により、中長期的には新設住宅着工戸数の下降トレンドは不可避であることが予想されます。
このような厳しい事業環境の変化に対応するため、当社グループでは主力設計拠点である中国・吉林CADセンターにおけるDX推進により設計業務の効率化を進めるとともに、日本及び中国スタッフの人材交流を活発に行い業務連携の深化、重複作業の見直し等により設計業務の生産性向上を図ってまいります。
また、大手住宅会社においてCADの3次元化やBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の普及の兆しが見えつつあり、当社グループとしてもこれらの取組みを更に進め、住宅設備設計の業務フローの変革を主導することで、住宅産業の抜本的な事業構造の変革や、業務効率化、経営合理化に貢献してまいります。そのほか、EV充電器の申請図面作成など、エネルギー分野の設計業務にも取り組んでおり、今後エネルギー企業向けの設計業務の受託増加にも注力してまいります。
当社グループは、デジタル技術を活用した「脱炭素×建築DX」によって住宅産業に関わるサプライチェーン全体の効率化及び脱炭素化を推進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。なお、特に記載のない限り、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社グループは、設立より30年以上にわたって住宅のライフサイクル全般に関わる領域で事業成長を果たしてまいりました。当社が2002年に上場して以来、増収増配を継続し成長を続けておりますが、当社グループの持続的成長を支えているのは、ESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)を根幹に位置付け、サステナビリティを重視した事業運営であります。
地球温暖化による影響は年々深刻化しており、それに伴う自然災害が国内外で増加している中、持続可能な社会の実現に向けた事業活動を行うことの重要性が一層高まっております。
そうした中、当社グループは、持続可能な社会の実現を果たすために、パーパス(存在意義)として「HCDs(Housing Carbon Neutrality Digital Solutions)」を新たに掲げて、当社グループの事業活動を通して「住まい・暮らし・地球環境をデジタル技術で支える」ことを目指しております。
パーパス:住まい・暮らし・地球環境をデジタル技術で支える

(2)ガバナンス及びリスク管理
①ガバナンス
当社グループは、サステナビリティ経営をグループ全社で横断的に推進するため、「サステナビリティ委員会」を設置しています。「サステナビリティ委員会」は、サステナビリティに関するグループ方針や目標の策定、各事業会社・事業部の取り組み状況の進捗モニタリングを行い、取締役会ではその内容について、論議・監督を行っています。
<サステナビリティ推進体制図>

②リスク管理
当社グループは、リスクを「環境変化の中で、組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と定義しています。
リスクには、プラス面(機会)、マイナス面(脅威)の両面があり、企業が適切に対応することより、持続的な成長につながると考えています。
また、当社グループは、リスクを戦略の起点と位置づけ、全社的に管理する体制を構築することが重要であると考えています。「総合リスク対策委員会」では、外部環境分析をもとにリスクを識別・評価し、優先的に対応すべきリスクの絞り込みを行い、当社グループの戦略に反映して対応しています。
当社グループは、「総合リスク対策委員会」で特定したリスクのうち、サステナビリティに係るリスクについて、「サステナビリティ委員会」の中でより詳細に検討を行い、各事業会社・事業部と共有化を図っています。
各事業会社・事業部ではサステナビリティの取組みを実行計画に落とし込み、「サステナビリティ委員会」で各実行計画の進捗確認を行っています。
その内容について、「総合リスク対策委員会」及び「サステナビリティ委員会」において、進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っています。
<リスク管理プロセス>

<リスク管理体制>
(3)気候変動への対応
当社グループは、気候変動に関するリスク及び機会を重要な経営課題のーつと認識しており、2022年3月「TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言への賛同を表明いたしました。TCFD提言への賛同を機に、気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について、分析と対応を一層強化し、関連情報の開示を推進していくとともに、2050年の脱炭素社会実現に貢献する取組みを進めてまいります。
①戦略
異なるシナリオ(平均気温上昇1.5℃、4℃)における財務影響及び事業インパクトを評価するとともに、気候関連リスク・機会に対する当社戦略のレジリエンスを評価することを目的として、シナリオ分析を実施しております。
事業/財務影響評価
大:事業戦略への影響または財務的影響が大きいことが想定される
中:事業戦略への影響または財務的影響が中程度と想定される
小:事業戦略への影響または財務的影響が小さいことが想定される
気候変動に関するリスクは、当社グループ経営に少なからずマイナスの影響を与えうると想定されるものの、当社グループの事業は情報システムを活用したソフトサービスが中心で、温室効果ガスの排出量が少ない事業であること、また、多様な事業からなる事業ポートフォリオによりリスク対応が可能であることから、グループ全体に与える財務的なネガティブリスクは限定的と分析しております。
むしろ、多様な技術・事業によって、気候変動に関する新たな事業機会を獲得できるポテンシャルがあると認識しており、財務的な影響としてはネガティブリスクよりも事業機会の獲得に伴うポジティブな影響の方が大きいと捉えております。
当社グループにおける気候変動に関するリスクと機会の一覧については、下記のとおりです。
■リスク
表1 気候変動リスクに関する財務的な影響及び当社グループの対応方針
■機会
表2 気候変動機会に関する財務的な影響及び当社グループの対応方針
※ なお、当社グループにおける気候変動リスク及び機会に重要な影響を与える項目のひとつとして、我が国における長期的な電源構成に関する政策方針が挙げられます。この度の開示においては、2021年10月に公表された第6次エネルギー基本計画における電源構成を前提に検討しておりますが、今後、再生可能エネルギーや原子力発電の活用について様々な議論がなされることが予想されるため、今後ともエネルギー政策動向について注視してまいります。
②指標と目標
当社グループにおけるScope1・2の温室効果ガス(以下、GHG)排出量実績は、下表のとおりです。
(※)上記排出量は、マーケット基準(Scope2を算定する際に、電力会社やメニューごとのGHG排出係数を用いる方法)にて算出しております。GHG排出原単位は、連結売上高1億円当たりのGHG排出量(Scope1・2の合計)です。
<過去3年間のGHG排出量実績推移>

<GHG排出量に関する当社グループの分析>
1.2023年度の排出量(Scope2)が前期比で減少しているのは、2023年1月11日に、当社連結子会社であった艾博科建築設備設計(深圳)有限公司(以下「エプコ深圳」という)の持分の一部をChina Lesso Group傘下の聯塑班皓光伏新能源発展有限公司に譲渡することで、エプコ深圳を当社グループとLESSOの新合弁会社「班皓艾博科新能源設計(深圳)有限公司」とし、連結子会社から持分法適用会社となったためGHG排出量の集計対象外としたことが主たる要因です。
2.この結果、2023年度における連結売上高当たりのGHG排出量は前期比で減少しております。
<GHG排出量に関する当社グループの目標>
前述した実績の推移を踏まえて、当社グループは今後の取組みとして下記の事項を進めてまいります。
1.Scope1・2におけるGHG排出量については、デジタル化による業務効率向上を推進することで、GHG排出量の削減に努めてまいります。また、GHG排出量の削減を行う上では、連結売上高当たりの排出量(GHG排出量原単位)をKPIとして設定し、定量的な管理を実施する方針です。
2.当社グループにおけるGHG排出量を削減するにあたり、再生可能エネルギーの調達やJクレジットの導入についても併せて検討いたします。
3.当社グループにおけるGHG排出量の削減に努めるとともに、脱炭素社会に貢献するサービスを提供することで取引先企業におけるGHG排出量を削減することについても注力してまいります。
(4)人的資本に対する取組み
①経営戦略と連動した人材戦略
エプコグループは、パーパスとして「住まい・暮らし・地球環境をデジタル技術で支える」を掲げて、住宅のライフサイクル全般に関わる3つのサービス(設計、メンテナンス及び再エネサービス)を提供しております。
当該サービスはいずれもソフトサービスが中心であり、資本集約型産業ではなく知識・労働集約型産業であることから、当社グループにおけるもっとも重要な価値創造の源泉は人的資本であります。
当社グループの主たる事業領域である住宅・建設業界は、日本をはじめとする先進国で少子高齢化が進む中、デジタル技術を活用したイノベーションによる生産性向上及び世界的な課題である脱炭素社会の実現を目指すことが求められております。当社グループが持続的に企業価値を向上させるためには、社会的なニーズに応える経営戦略と表裏一体で、その実現を支える人材戦略を策定し、実行することが不可欠と捉えております。
<人的資本に関する取り組みの全体像>

②人材登用方針
a.エプコグループが求める人材像
当社グループは「住まい・暮らし・地球環境をデジタル技術で支える」という当社グループのパーパスおよび中期経営ビジョンの実現に向け、建築・ITに関する豊かな知見を有し、業界構造の変革と社会貢献を志す人材を求めております。
(エプコグループが求める人材像)
1.当社グループ中期経営ビジョンの実現に向けて管理職として組織を運営する人材
2.建築及びIT等に関する専門性を活かして専門職として活躍する人材
3.社内外の関係者と協業して円滑なオペレーションを実現する人材
b.ダイバーシティの推進
当社グループは、前述した人材に幅広くご参加頂くために、国籍・人種・性別・価値観・働き方にとらわれず、多様な人材を登用し活躍する体制を整備しております。
(グローバルな人材活用)
当社グループは、2000年代初頭より中国での事業展開を開始し、現在では設計サービスにおける生産設計拠点である東北部の吉林省吉林市及びアジアのシリコンバレーである広東省深圳市を中心にグループ全体で178名の社員が海外で勤務しており、外国籍従業員比率は27.0%であります。
また、当社は今後、日本で培った住宅領域での事業モデルを海外パートナーと連携して中国・東南アジア圏等に事業展開する方針であり、今後もグローバルに活躍する人材を積極的に登用する方針です。
なお、当該方針に基づき、当社の執行役員は4名のうち2名が外国籍(韓国及び中国)の人材を登用しており、従業員だけでなく経営管理職においても国籍・人種を問わず優秀な人材を登用してまいります。
(従業員(男性・女性)の雇用状況)
当社グループでは、女性が仕事と家庭を両立しつつ、その個性と能力が十分に発揮できる職場環境をつくることは企業に求められる基本的役割の一つであると考えています。
また、当社グループは当社業務の特性上、男性・女性を問わず活躍できる環境であることから、従業員における男性・女性比率は概ね同数の人員構成であります。
(人数)男性343名、女性332名(男性50.8%、女性49.2%)※派遣社員を除く
③人材育成方針
当社グループの中期経営ビジョン実現推進にあたり、当社グループの求める人材像に基づき、1.次世代幹部育成、2.住宅・建築の専門人材育成、3.オペレーション人材育成、を軸に下記のような教育・研修を実施しております。
<当社グループの人材育成 全体像>

(次世代幹部として組織を運営する人材に対する育成項目)
下記3点に関する能力を身に付け、当社グループを牽引する人材を育成するために、チームリーダー研修および次期上級管理職育成プログラムを実施しております。
ⅰ)組織をリードする職位に求められる業務執行能力
ⅱ)住宅・建築・デジタル技術に関わる能力
ⅲ)社内外関係者に対する調整折衝・発信力
特に、チームリーダーは当社グループにおいて次世代上級管理職を輩出する重要セグメントと捉え、オリジナルに作成したeラーニングコンテンツを提供することで、管理職として欠かせない知識および考え方の浸透を図っております。
(建築及びIT等に関する専門人材に対する育成項目)
中期経営ビジョンに掲げる住宅ライフサイクル全体の最適化とSDGsへの取組みを実現するために、それぞれの分野に精通した専門人材を当社グループの総力を挙げて育成する必要があると考え、BIM(Building Information Modeling)を学ぶ外部研修、施工現場研修、IT/DX勉強会等を実施しております。
(円滑なオペレーションを実現する人材に対する育成項目)
当社グループにおけるサービスは、住宅会社・エネルギー会社から設計・施工・メンテナンス関連業務を受託することが主たる内容であり、オペレーション能力が競争優位の源泉であることから、円滑なオペレーションを安定的に行なうために、CAD設計やコールセンター業務に関するオペレーター向け研修を実施しております。
(全ての従業員に対する共通基盤としての育成項目)
当社グループにて採用・育成した人材が持てる能力を最大限に発揮するためには、信頼関係に基づき、より良い職場環境づくりに継続して取り組む組織風土が重要であると考えております。
当社グループでは、「エプコグループ行動規範」において不正や法令違反等の行為を許さない経営メッセージを伝えるとともに、全ての役職員を対象としてコンプライアンス研修を定期的に実施することで、健全な組織風土の理解浸透に取り組んでおります。
今後も、従業員個々人の能力・スキル・キャリアビジョンに応じた柔軟な学びを提供することで、従業員がより一層、個々人が持つ能力を最大限に発揮できる体制を整備してまいります。
④社内環境整備方針
当社グループは、社員一人ひとりの活躍を企業の持続的な成長の原動力ととらえ、個々人が能力を最大限に発揮できるよう、業務内容やライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を可能にする取り組みを推進してまいります。
(エンゲージメントサーベイの実施)
当社グループは、当社グループで働く情熱ある社員とその家族の幸福を追求することを経営理念として掲げており、社員の能力を最大限発揮できる環境を整備することを重視しております。そこで、従業員からの声を幅広く聞くための仕組みとして、エンゲージメントサーベイを年に2回実施しております。
当該サーベイの結果は、人事制度の改定や職場の環境改善、従業員の異動等に活かしております。このほか、サーベイ結果に基づき、業務を円滑に遂行するためには社員同士の相互理解や交流機会を促すことも有益であるとの考えから、公認部活動制度の新設や地域のイベントへの参加など社内コミュニケーション活性化に向けた取組みも実施しております。
(柔軟な働き方を可能にする人事制度)
当社グループは育児・介護と仕事を両立したい方、傷病や遠隔地に居住等の事情のある方にも、できる限り多様な働き方を提供したいと考えており、テレワーク、時短勤務といった働き方を選択可能にしています。
上記のような事情がない従業員に対しても、「テレワーク50」という制度を実験的に設けており、年間50日までテレワークを行うことができます。
また、当社グループでは産休・育休制度を整備し、復職支援も積極的に実施しており、実績として過去10年間(2014~2023年)における産休・育休取得者は延べ67名(復職率は92.5%)となります。
さらに、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が出来るよう、時間単位での年次有給取得も可能としております。
(健康経営)
当社グループは従業員一人一人が心身ともに健康な状態(ストレスに適切に対処でき、生産的かつ有益な仕事ができかつ、組織貢献が出来る状態)を維持するために社員の健康管理や健康増進の取り組みを積極的に推進し、2021年度に健康保険組合東京連合会より健康優良企業認定「銀の認定証」を取得しております。
(快適な職場づくりへの取り組み)
当社グループのオフィスは従業員同士のコミュニケーションを促進し、快適かつ効率的に就業できる環境を重視しております。拠点ごとに開放的なオープンスペースを用意し、休憩室としての用途に加え、社内イベントにも活用しております。

⑤指標と目標
人的資本経営推進においては、テーマごとに2024年3月末時点における状態目標を定義しております。
(人材登用に関する指標と目標)
人材登用のテーマにおいては、女性管理職登用率25%を目標としてまいります。
当社グループの男女比率はほぼ同数であるにもかかわらず、管理職に占める女性割合は22.2%に留まっており、優秀な女性従業員の管理職登用割合を高めることは、当社グループの生産性向上に貢献すると考えております。
当該目標の達成に向けては、働き続けたい女性が家庭と仕事を両立し、意欲的にキャリア形成が出来る仕組みを整えることが重要であると捉えております。そこで、2023年度より女性社員が集い、意見発信を行う場として女性活躍推進活動「ルミライズ」を立ち上げ、1か月に1回、定期的な活動を行っております。
(人材育成に関する指標と目標)
人材育成のテーマにおいては、リーダー研修受講率100%を目標としてまいります。
当社グループでは再エネサービスに経営資源を集中させる中で、グループ会社の業務領域が拡大しており、これらを担う管理職人材の育成が急務となっております。そのため、チームリーダーをはじめとした管理職候補者を対象にしたリーダー研修を確実に行い、今後は次世代幹部育成にむけた上級管理職育成プログラムを充実させ、実施してまいります。
(社内環境整備に関する指標と目標)
社内環境整備のテーマにおいては、健康診断有所見50%以下を目標としてまいります。
当社従業員の平均年齢が41.4歳に達する中で、従業員と組織の活性化により業績向上を図るためには、従業員の健康維持は重要な経営テーマであると認識しております。健康経営の推進に向けて、定期的な健康セミナーやウォーキングイベントへの参加等を実施してまいります。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、潜在的リスクや不確定要因はこれらに限られるものではありませんのでご留意下さい。
(1)住宅市場の動向に関するリスク
当社グループの事業は主たる得意先が住宅会社であることから、住宅市場の動向が当社グループの受託状況に影響を及ぼします。住宅市場は、景気、金利、地価等の動向、雇用環境、税制及び補助金等、様々な変動による影響を受けます。特に、大幅な金利上昇、雇用環境の変化等により、施主様の住宅購買意欲が減退し、当社の得意先である住宅会社の受注が大幅に減少した場合、当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。
(2)法的規制に関するリスク
当社グループの得意先・取引先は、主に住宅・建設業界の事業者が中心であり、建築基準法、建築士法、電気事業法、特定商取引法など関連する各種法令により規制を受けております。これらの法規制は当社の業務を直接的に規制するものではありませんが、当社が取引を行うに当たり当該法規制を把握することが必要であります。
そのため、将来においてこれらの法的規制の強化や新たな規制の制定が行われた場合には、当社グループの事業活動が制限される可能性や、これらの規制を遵守するための費用増加につながる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3)知的財産権に関するリスク
当社グループは、現時点において、当社グループの事業活動に影響を及ぼすような特許権、商標権その他知的財産権が第三者によって取得されているという事実は確認しておりません。しかしながら、将来の当社の事業活動に関連して、第三者が知的財産権の侵害を主張し、当社の事業が差し止められたり、損害賠償など金銭的な負担を余儀なくされた場合、または第三者の知的財産権につき実施許諾が必要となりロイヤリティの支払いが発生したり、あるいは実施許諾が得られない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(4)海外における事業リスク
当社グループにおける中国の子会社である艾博科建築設備設計 (吉林)有限公司は、日本の得意先向けに設計図面を作図する生産拠点(CADセンター)として重要な位置を占めております。また、中国及びその他海外市場での事業拡大を図るべく、様々な取組みを進める方針です。
海外事業の展開にあたっては、①当社グループにとって悪影響を及ぼす法律の改正、規制の強化、②テロ・戦争の勃発、伝染病の流行等による社会的・経済的混乱、③物価水準の上昇による現地人件費等の増加、等のリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)外国為替相場の変動に関するリスク
当社グループにおいては、外貨建(人民元及び香港ドル)取引による収入及び支出が発生しており、またそれに伴う外貨建て資産及び負債を有しております。外国為替相場の変動による影響を極力低減するため、必要な範囲で為替予約取引を利用したリスクヘッジを実施しておりますが、外国為替相場が急激に変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)人材の確保に関するリスク
当社グループの設計サービス及びメンテナンスサービスは日本(東京・沖縄・石川)及び中国(吉林)にて多数のオペレーターを抱える労働集約的な事業であることから、人材の確保・育成が重要な課題であると認識しております。そのため、当社グループでは、新卒・中途採用共に多様な採用活動を実施し、人材の確保に努めると共に、入社後は各階層及び各職種に応じた教育研修の整備に努めておりますが、必要な人材を確保・育成できない場合には、当社グループの業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、日本(東京・沖縄・石川)及び中国(吉林)において人件費が上昇した場合、当社グループの業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは業務の生産性向上を目的として業務プロセスの見直し及び作業の自動化や効率化を実現する情報システムの開発を継続的に実施しております。しかしながら、当社グループの対応よりも急激に人件費が上昇した場合、当社の業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)新規事業への参入に関するリスク
当社グループは、今後も持続的な成長と収益源の多様化を進めるために、日本国内及び海外において新規事業の創出と育成を積極的に推進する方針です。しかしながら、新規事業を開始した際には、その事業固有のリスク要因が加わると共に、新規事業を遂行していく過程では、急激な事業環境の変化をはじめとして様々な予測困難なリスクが発生する可能性があります。その結果、当初の事業計画を達成できない場合は、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
(8)持分法投資損益による業績変動に関するリスク
当社グループでは、戦略的業務提携の一環として大手企業との間で合弁事業を行っており、現在の持分法適用会社としては、TEPCOホームテック株式会社、班皓艾博科新能源設計(深圳)有限公司、広東聯塑艾博科住宅設備設計服務有限公司、深圳艾科築業工程技術有限公司、MEDX株式会社の5社があります。各社は各々の事業に関する方針のもとで経営を行っており、これらの持分法適用会社の業績・財政状態の悪化により、当社グループの業績・財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(9)情報システムに関するリスク
当社グループのサービスは、インターネット接続環境及び社内外のコンピューターネットワーク等のインフラが良好に稼動することに依存しております。事業の安定的な運用のために、システムの重要度に応じて、コンピュータ機器・通信回線の二重化やバックアップ取得等の安全対策を実施し、またネットワーク機器の導入やウィルス対応などの各種セキュリティ対策を行っております。また、当社の情報資産を安全に管理するため、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を整備しており、国際規格であるISO/IEC 27001:2013 (JIS Q 27001:2014)の認証を取得しております。
しかしながら、機器やソフトウエアの不具合、人為的ミス、回線障害、コンピュータウィルス、クラッカー等による悪意の妨害行為、あるいは、停電、自然災害によるシステム障害など、その障害等の程度によっては当社の対策が有効に機能しない可能性があり、その場合には、当社グループの業務運営、財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)個人情報管理に関するリスク
当社グループでは、事業の性質上、得意先から多数の施主様の個人情報をお預かりし、その情報を得意先と共有し、有効活用することで事業運営を行っております。個人情報の漏洩や不正使用を防止するため、安全対策に関するルールを定め、適正な情報管理を行うための体制を整え、全社員を対象とした教育・研修を継続的に実施することにより、厳格な情報管理を徹底しております。
その結果、当社の個人情報マネジメントシステムはプライバシーマーク(JIS Q 15001)の認証を取得しており、個人情報の取扱いには留意しておりますが、万が一これらの情報の漏洩や不正使用などの事態が生じた場合、損害賠償請求や社会的信用失墜等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(11)自然災害等に関するリスク
地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、インフルエンザ等の感染症、大規模事故、テロ・暴動、その他予期せぬ事態が発生した場合、当社グループの社員・事業所・設備やシステムなどに対する被害が発生し、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。
そのため、当社では、災害対策マニュアルの策定、基幹業務に対する事業継続計画の策定、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む)、防災訓練、必要物資の備蓄、国内外の拠点や関係会社との連携・情報共有などの対策を講じて、各種災害に備えています。ただし、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、このような事象の発生時には当社の業務運営、財政状況及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)将来的な気候変動に関するリスク
気候変動が世界的に深刻化し、異常気象による災害リスクの増加、カーボンプライシングによるコスト増加等のリスクがあります。
当社グループの気候変動への対応の詳細につきましては、2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)気候変動への対応をご参照ください。
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2023年1月1日から2023年12月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動規制の緩和により景気回復が期待されましたが、円安傾向の進行やロシアウクライナ情勢の長期化に起因するエネルギー価格及び原材料価格の高止まりにより景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
また、当社グループが主に関連する住宅産業におきましては、当社事業が主に関連する新設住宅着工戸数(持家)においては、2021年12月から2023年12月にかけて25カ月連続(前年同月比)で減少が継続しており、予断を許さない状況であると認識しております。
当社グループは、このような外部環境の変化を新たな成長市場の創出機会と捉えて、住宅ライフサイクル全体の業務効率化に貢献することを通じて、世界的な課題である脱炭素社会の実現を目指すために、各事業においてデジタル技術を活用した新しいサービスの立ち上げ準備を行いつつ、既存事業の構造改革を進めております。住宅業界を取り巻く外部経営環境は厳しい状況であるものの、時代の潮流に合致した再生可能エネルギーに関する各種サービスが拡大することで、事業ポートフォリオの見直し効果が業績に反映されつつあります。
この結果、当連結会計年度の売上高は5,059百万円(前期比5.0%増)、営業利益は161百万円(前期比146.0%増)となりました。また、持分法適用会社であるTEPCOホームテック株式会社の業績が好調に推移したことを受けて持分法による投資利益257百万円が発生したことで、経常利益は425百万円(前期比96.3%増)となりました。また、政策保有株式の一部売却に伴う投資有価証券売却益280百万円の発生により、親会社株主に帰属する当期純利益626百万円(前期比74.4%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
当連結会計年度より、報告セグメントを次のとおり変更しております。
当社グループでは、金額的重要性が高まっている「持分法による投資損益」の影響をセグメント別業績評価に反映させるため、当連結会計年度より、セグメント利益の表示について従来の営業損益に基づく算定から経常損益に基づく算定に変更しております。
また、報告セグメントの事業内容をより適切に表示するため、「省エネサービス」から「再エネサービス」に名称を変更しております。当該変更は名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。
当社グループの合弁事業は全て「再エネサービス」に関連するものであるため、当該合弁事業に伴って生じる「持分法による投資損益」は全て「再エネサービス」の経常利益に含めて表示しており、結果的に、「設計サービス」及び「メンテナンスサービス」における経常利益の金額は、営業利益の金額と同額となります。
なお、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
当連結会計年度は、株式会社ENE’sにおいて太陽光発電、蓄電池及び電気自動車向け充電器関連の設置工事請負が増加したことにより、売上高は1,117百万円(前期比17.2%増)となりました。
また、持分法による投資損益においては、日本市場の住宅向け太陽光発電及び蓄電池関連の工事請負が増加したことにより、TEPCOホームテック株式会社に関する損益が大幅に増加(222百万円、前期比137.2%増)し、また、中国市場における太陽光発電事業の立上げ準備を進め、CHINA LESSO GROUPとの合弁会社に関する損益が増加(69百万円、前期比155.5%増)した結果、経常利益は315百万円(前期比132.0%増)となりました。
当連結会計年度は、エネルギー関連の受託案件が増加した結果、売上高は1,941百万円(前期比10.4%増)となりました。一方で、今後の受託増加を見据えて人員を先行増員したことによる人件費の増加、及び業務拠点の分散化をはじめとする事業継続対策費用の増加が生じたものの、前述した増収効果によって、経常利益は250百万円(前期比2.3%増)となりました。
当連結会計年度は、持家分野における新設住宅着工戸数の減少(前期比11.4%減)が継続した影響により、当社の設計住宅戸数が減少し、売上高は2,000百万円(前期比5.0%減)となりました。一方、持分の一部売却により中国(深圳)の子会社を持分法適用関連会社としたこと等の影響により、中国における営業費用が減少したことで、経常利益は275百万円(前期比59.9%増)となりました。
② 資産、負債及び純資産の状況
流動資産は前連結会計年度末に比べて4.2%増加し、2,509百万円となりました。これは主として、現金及び預金が95百万円増加したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて15.9%増加し、3,093百万円となりました。これは主として、長期貸付金が376百万円、関係会社出資金が200百万円、関係会社株式が188百万円それぞれ増加した一方で、所有株式の一部売却及び評価替えにより投資有価証券が178百万円減少したことによるものです。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて58.3%増加し、670百万円となりました。これは主として未払法人税等が114百万円増加したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて3.2%減少し、254百万円となりました。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて6.5%増加し、4,677百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益626百万円を計上し、為替換算調整勘定が51百万円増加した一方で、所有株式の一部売却及び評価替えによりその他有価証券評価差額金が114百万円減少し、配当金による取崩し285百万円を計上したこと等によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ477百万円増加し、当連結会計年度末残高は1,502百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は465百万円(前連結会計年度は167百万円の支出)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益776百万円、減価償却費142百万円及び法人税等の還付額118百万円を計上した一方で、持分法による投資利益257百万円を計上し、投資有価証券売却益の計上に伴う投資活動によるキャッシュ・フローへの振替280百万円が発生したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は303百万円(前連結会計年度は330百万円の支出)となりました。これは主として、定期預金の払戻による収入404百万円、投資有価証券の売却による収入284百万円及び貸付金の回収による収入180百万円を計上した一方で、貸付けによる支出557百万円が発生したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は325百万円(前連結会計年度は298百万円の支出)となりました。これは主として、配当金の支払による支出285百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
当社グループは、受注生産形態をとらないものが多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引はありません。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。セグメント間の取引はありません。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表作成に当たりまして、当社グループの経営陣は連結決算日における資産・負債の数値及び偶発債務の開示並びに連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。また、経営陣は過去の実績や状況に応じ、合理的妥当性を有する要因に基づき見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数値についての判断の基礎としております。見積りには特有の不確実性が存在するため、実際の結果とは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
当連結会計年度の売上高は5,059百万円(前期比5.0%増)となりました。
再エネサービスの売上高は、株式会社ENE’sにおいて太陽光発電、蓄電池及び電気自動車向け充電器関連の設置工事請負が増加したことにより、売上高は1,117百万円(前期比17.2%増)となりました。
メンテナンスサービスの売上高は、エネルギー関連の受託案件が増加した結果、売上高は1,941百万円(前期比10.4%増)となりました。
設計サービスの売上高は、持家分野における新設住宅着工戸数の減少(前期比11.4%減)が継続した影響により、当社の設計住宅戸数が減少し、売上高は2,000百万円(前期比5.0%減)となりました。
当連結会計年度の営業費用は4,897百万円(前期比3.1%増)となりました。
再エネサービスの営業費用は1,059百万円(前期比15.8%増)となりました。太陽光発電、蓄電池及び電気自動車向け充電器関連の設置工事請負の増加に伴い、営業費用が増加しております。
メンテナンスサービスの営業費用は1,690百万円(前期比11.7%増)となりました。今後の受託増加を見据えて人員を先行増員したことによる人件費の増加、及び業務拠点の分散化をはじめとする事業継続対策費用の増加が生じた結果、営業費用が増加しております。
設計サービスの営業費用は1,725百万円(前期比10.8%減)となりました。持分の一部売却により中国(深圳)の子会社を持分法適用関連会社としたこと等の影響により、中国における営業費用が減少した結果、営業費用が減少しております。
各報告セグメントに配分していない全社費用は422百万円となりました。
当連結会計年度の営業利益は161百万円(前期比146.0%増)となりました。
当連結会計年度の営業外収益は278百万円となりました。持分法による投資利益257百万円等を計上しております。
当連結会計年度の営業外費用は14百万円となりました。為替差損12百万円等を計上しております。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は425百万円(前期比96.3%増)となりました。
再エネサービスの経常利益は315百万円(前期比132.0%増)となりました。
メンテナンスサービスの経常利益は250百万円(前期比2.3%増)となりました。
設計サービスの経常利益は経常利益は275百万円(前期比59.9%増)となりました。
当連結会計年度の特別利益は351百万円となりました。投資有価証券売却益280百万円等を計上しております。
当連結会計年度の特別損失は0百万円となりました。固定資産除却損0百万円を計上しております。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は776百万円(前期比64.6%増)となりました。
(法人税等)
当連結会計年度の法人税等は150百万円となり、法人税等の負担率は19.3%となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益626百万円(前期比74.4%増)となりました。
当連結会計年度における財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 ②資産、負債及び純資産の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループは、事業活動のための適切な流動性の確保と健全な財政状態の維持のため、営業キャッシュ・フローの創出に努めております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。これらの資金需要につきましては、基本的に営業キャッシュ・フロー及び自己資本を主な源泉と考えております。ただし、当社グループの成長のための資金需要が生じた場合に備え、金融機関との間で当座借越契約を締結しております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
当社グループは、目標とする経営指標としてROE(自己資本当期純利益率)を掲げております。今後、人々の住まいと暮らしを支える住宅・エネルギー分野のインフラ事業を目指すことで持続的な利益成長を実現しつつ、株主資本を有効活用(配当及び自社株買いによる株主還元を含む)することにより、ROEの向上に努めてまいります。
当連結会計年度のROEは13.8%となりました。ROE関連指標は以下のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。