文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営方針
当社は次の「経営理念」を掲げています。
経営理念
1990年代のインターネットの勃興により、インターネットが社会をつなぎ、膨大な情報にローコストでアクセスできるようになり、私たちの社会は大きく変化しましたが、昨今ではAIによる知能の外部提供によって、さらに大きな変化点を迎えつつあります。
テクノロジーの進化による利便性向上の反面で生じる、情報格差、AI格差をどう克服していくか、今まさに必要とされているのはヒトのチカラと考えています。
テクノロジーによる効率化を図りながら、ヒトのチカラを最大限パフォーマンスさせることで、より豊かな社会の実現に貢献したいと考えています。
私たちは変わらないヒトのチカラを信じ、変わらないコミュニケーションの価値を信じ、決してなくなることのないコミュニケーション、“ヒトとヒトの直接対話”を通じて、営業・マーケティングにおけるプロフェッショナル集団として、顧客企業が提供する財・サービスの社会的効用の極大化を図り、顧客企業の「営業改革」にコミットしたいとの思いから、当社では以下の「Vision」を掲げ、提供すべき企業価値を示しています。
Vision
社会
私たちのセカイに
変えてはならないものがあるから
声
私たちのチカラで
変えなければならないものがある。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、売上高及びEBITDAを重要な経営指標としています。
(3)経営戦略
現在の日本経済を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は落ち着きを見せました。一方で、為替市場の急激な変動や国際情勢の緊迫化等による不透明な状況が続いています。また、少子高齢化を背景に労働力需給が一段と逼迫する中、長時間労働の是正や同一労働、同一賃金を目指す働き方改革が政労使一体で進められており、働き方改革と人材不足への対応の両立が大きな課題となっています。中でも特に営業部門は担い手が少なく、教育に時間がかかり、離職率も高いことから、営業人材が逼迫しています。お客様の要望や都合優先になりがちな営業職が、従業員満足向上を目指す働き方改革の障壁になっているケースも見受けられます。しかしコスト競争が激化する中、際限なき人員増もできません。それでも営業・マーケティング活動は企業収益の源泉であり、企業成長において「営業改革」は不可避な状況となっています。他方でICT(Information and Communication Technology)の発展によりエンドユーザーは膨大な情報の中から情報の収集、取捨選択、意思決定を迫られ、エンドユーザーに対する商品やサービスの価値訴求、あるいはエンドユーザー自身による商品やサービスを選択する際の意思決定はいずれも必ずしも容易ではありません。
このような状況において、当社グループはコアバリューとして“「ヒトとヒトとの直接対話」により、エンドユーザーの「生の声」を捉え、「契約」に繋げる”を掲げ、自動化の難しい営業・マーケティングにおけるプロフェッショナル集団として、顧客企業の「営業改革」にコミットします。顧客企業のエンドユーザー獲得プロセスにおいて集客から成約、その後のアフターサービスまで、ダイレクトマーケティングによるワンストップサービスを提供し、顧客企業の収益最大化を実現してまいります。
当社グループでは、7.3兆円といわれる企業の広告市場(特にその一領域であり、1.7兆円の市場規模と言われるプロモーションメディア広告市場)や12兆円を超える営業員人件費市場など潜在的な開拓余地のある市場をターゲティングし、市場深耕を図るとともに、ひとつのサービス、ひとつのスキームにとらわれず、商品やサービスを売るという企業活動の普遍的な目的に対して、ソリューションを提供していきます。足元では新規顧客企業の獲得により当社グループの顧客基盤を増強し、収益源を積上げると同時に、エンドユーザーのデータベースとその運用の精度を高めることによって、営業・マーケティングサービスの高付加価値化を進め、既存顧客企業における業務範囲の拡張、他部署展開等を進め取引の大口化を進めていきます。
また顧客企業の中には、アウトソーシングの活用ではなく、自社内でしっかりノウハウを蓄積したい、自社のコールセンター設備を生かしたいという企業があります。当社グループでは、マネジメント人材の派遣によるコンサルティング業務やプロのコミュニケーターの派遣を中心としたオンサイト事業の展開加速で、こうした企業ニーズに引き続き応えていきます。
ビジネス・プロセス・アウトソーシング業務についてはインバウンドや調査業務、データ分析作業はテクノロジーを活用することで、ワントゥワンの対応が必要な攻めの経営に人材資源を集中させ、顧客企業の価値向上に取り組んでいます。加えて、外国語サポートセンターの運用やAIコールの活用など多様化する顧客ニーズへの対応強化も行っていきます。
近年の消費動向の変化や、DXの急速な進展は、当社グループにとって新たな成長機会となっています。主力の通信インフラセクターにとどまらず、金融、Web/IT、公共、医療といった幅広い事業領域への展開を進めるとともに、これまで培ってきた営業・マーケティングの強みを活かし、インバウンド型のコールセンターや事務作業の受託といったビジネス・プロセス・アウトソーシング分野に業務の幅を広げることで、より強固な収益基盤の構築を目指します。
そして、これらの成長施策実現に向けて、新たな都市型コンタクトセンターの新設や、既存顧客企業との継続的な取引関係を強化していく中で、サポート体制の強化やコンプライアンスを始めとする従業員教育の徹底を行っていきます。
(注)1.営業員人件費市場は、国内の営業職従事者に対する人件費の総額を指します。
2.企業の広告市場、プロモーションメディア市場の市場規模については株式会社電通「2023年 日本の広告費」より。営業員人件費市場の市場規模については総務省「労働力調査」より、週35時間以上労働を行う営業職従事者数272万人(2023年)に、国税庁「民間給与実態統計調査」より、平均給与所得458万円(2023年)を乗じて算出。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、中長期的な会社の経営戦略の実現を果たすため、以下を対処すべき主要課題と捉えています。
① ガバナンス体制の強化
当社グループでは、社会から信頼され続ける企業となるため、充実したガバナンス体制を礎に、コンプライアンス体制の強化、充実に努めています。また、当社グループの特徴である、顧客価値を高め、成果を出すことにこだわった経営を実現するため、経営の強い意識と企業文化創りに注力すると同時に、企業グループとして社会規範からの乖離を防止するため、内部統制基本方針に則った経営管理体制の強化を着実に図っています。
しかしながら、当社グループにおいては、2023年7月18日に公表いたしました「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」のとおり、当社連結子会社である株式会社マケレボにおいて、一部の顧客企業に対する過大請求が発覚いたしました。当社は、この事態に対し、外部の専門家(弁護士及び公認会計士)及び当社の社外取締役(弁護士及び公認会計士)から構成される特別調査委員会を設置し、2023年10月13日に公表した「特別調査委員会からの調査報告書の受領及び第7期(2023年12月期)第2四半期報告書の提出完了のお知らせ」及び「内部統制報告書の訂正報告書の提出に関するお知らせ」のとおり、特別調査委員会から、再発防止策の提言を含めた調査報告書を受領し、過年度の内部統制報告書の訂正報告書の提出を行っております。
当社は、今回の事態を厳粛に受け止め、特別調査委員会からの4つの提言(①契約遵守を含めたコンプライアンス意識の向上のための措置、②適切な業務実施のための措置、③人事評価制度の見直し、④内部統制上の見直し)に則って再発防止策に順次取り組んでおり、一層のガバナンス体制の強化に努めて参ります。
② 持続的成長基盤の確立
当社グループのターゲット市場はテレマーケティング市場にとどまらず、7.3兆円といわれる企業の広告市場(特にその一領域であり、1.7兆円の市場規模と言われるプロモーションメディア広告市場)や12兆円を超える営業員人件費市場においてもダイレクトマーケティングのニーズは存在しており、当該市場を含め開拓可能領域が存在する市場であると認識しています。
当社グループは上記の市場からシェアを獲得すべく当社グループが提供する営業ソリューションサービスのパフォーマンスを梃子に、新規顧客による小口の試験的な取引から本契約へと移行することにより新規顧客を獲得し続けています。また、既存顧客では、顧客企業の営業・マーケティング機能全体の代替、提供する業務範囲の拡張(複数のダイレクトマーケティングチャネルの提供)、取引部署の横展開により取引を拡大し、高い顧客継続率を実現することにより持続的な成長基盤の確立に努めています。
③ 優秀な人材の確保・育成について
当社グループは、多種多彩な人材の採用やフレキシブルな勤務体系、成果に報いる報酬体系など、独自の採用方針、育成方法により、幅広い人材を確保しつつ、早期に戦力化し、営業・マーケティングのプロフェッショナルスキルを持つ人材プールを構築しています。今後も新規市場を開拓し、持続的に成長し続けるために、優秀な人材を数多く確保・育成することは当社グループの事業展開を図る上で重要であると認識しています。この課題に対処するため、引き続き独自の採用方針、育成方法により、幅広く採用した人材を早期に戦力化し人材を確保することで稼ぐ人材プールの更なる強化を目指していきます。
④ 積極的なICTの利活用
AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などICTを積極的に利活用することで、顧客企業にとって付加価値、利便性の高い営業・マーケティングサービスを提供します。AIやRPAの利活用により、エンドユーザーへの提案精度を高め、エンドユーザーとの“直接の対話”に人材資源を集中し、営業成果を向上させることで顧客企業の価値向上に貢献します。現状では、コミュニケーターの会話のモニタリング、会話スクリプト分析などにおいて、AIやRPAの利活用を進めています。
当社グループはアウトバウンド中心のコンタクトセンター業務からスタートし、現在では顧客企業の大切な個人データをお預かりし、お客様との関係づくりと営業活動のお手伝いをするCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)のパートナーとなるまで信頼を積み重ねてきました。営業・マーケティングのP(Plan=営業計画)D(Do=コール)C(Check=データ分析)A(Action=フィールド営業・改善)の各フェーズに対して、一貫したサービス体系で貢献できることが当社の強みです。
当社グループが提供する営業ソリューションサービスを通じて得られた情報は、貴重な個人データの宝庫です。アウトバウンド、インバウンドコールにおけるエンドユーザーの要望やクレーム及び成約・非成約理由をホットボイス(エンドユーザーの本音・生の声)として履歴を残し、ロボットで分析した有益なデータを顧客企業にフィードバックしていきます。分析データは顧客企業が商品の改善やマーケティング手法の構築に活用されるだけでなく、当社グループがその情報に基づいたフィールド営業を行うなど、顧客企業のビジネスを支援します。
⑤ 情報管理体制のさらなる強化
当社グループの取り扱う情報は、重要な情報資産であり、その情報管理を継続的に強化していくことが重要であるとの認識から、各子会社において情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際標準規格「ISO27001」の認証及び個人情報の保護体制に対する第三者認証制度であるプライバシーマークを取得しています。
現在、個人情報保護方針及び社内規程に基づき管理を徹底していますが、今後も社内教育・研修の実施やシステムの整備などを継続して行っていきます。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティ全般
① ガバナンス
当社グループでは持続的な社会の発展と自社の企業価値向上を両輪で目指すサステナビリティの取組みを重要な経営課題と考え、サステナビリティ経営を推進するため、2021年11月からサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティは全社的な活動であり、委員長は代表執行役社長CEO小林祐樹が務めています。
サステナビリティ委員会では、人権・人材をはじめとした社会に関する課題、気候変動を含む環境に関する課題、コンプライアンスを含むコーポレート・ガバナンスに関する課題などの全てのサステナビリティ課題を認識し、戦略や行動計画を議論するとともに、当社グループ全体への浸透を図ります。また、リスク・コンプライアンス委員会と連携してリスクの管理・低減を推進します。
サステナビリティ委員会で検討・協議された事項は、取締役会へ報告され、取締役会はこのプロセスを定期的に監督し、必要に応じて対応の指示を行います。
② 戦略
当社グループは、すべてのステークホルダーから信頼される企業であり続けると同時に、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献できるよう、サステナビリティ経営を推進します。推進にあたり、9つのマテリアリティ(重要課題)を定めています。
(a) マテリアリティの特定プロセス
当社グループは、次のプロセスでサステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)を特定しました。
1.マテリアリティ候補の抽出
当社グループの事業活動における重要度及び、サステナビリティ分野における国際的な枠組みであるGRIスタンダードや各ESG評価機関の要請項目を参考に、マテリアリティ候補となる17項目の重要課題を抽出
2.マテリアリティの特定
マテリアリティ候補の17項目について、執行役が各々「ステークホルダーへの影響(縦軸)」と「ビジネスへの影響(横軸)」の双方から評価を行い、マトリックス図にプロット。それを元にサステナビリティ委員会で協議を重ね、最終的に当社グループにとって特に重要度の高い9項目をマテリアリティとして選定。中でも「当社グループの中核となるマテリアリティ」を特定し、さらにコアを支えるマテリアリティとして、「攻め」と言える「今後、当社グループの事業を加速させるマテリアリティ」と「守り」と言える「基盤となるマテリアリティ」及び「事業活動を行う前提となるマテリアリティ」に分類
3.妥当性の確認
外部ステークホルダー(有識者)との意見交換を踏まえ、サステナビリティ委員会で再協議。当社グループの事業戦略とも整合性がとれており妥当と判断
4.承認
取締役会の決議を経て、DmMiXグループのマテリアリティ(重要課題)を特定・公表
(b) マテリアリティに対する認識
前述のプロセスを経て特定した9つのマテリアリティは以下のとおりです。
特定したマテリアリティについては、課題解決に向けKPIを設定し、取組みを推進しています。また、事業や社会の変化を鑑み、毎年マテリアリティ及びそのKPIの見直しを行っています。
(ⅰ) 当社グループの中核となるマテリアリティ(コア)
●顧客満足(機会)
当社グループにとって顧客とは、取引先であるクライアント企業と、その先にいるエンドユーザーの双方であり、両社の満足を獲得することが企業活動の根幹です。
●雇用創出&人材開発(機会)
地域社会で雇用を生み出し、優秀な人材へと育成していくことは、人を資本としたビジネスを展開する当社グループにとって大きな提供価値です。
(ⅱ) コアを支える7つのマテリアリティ
基盤となるマテリアリティ
●働きがい(機会)
コンタクトセンター等におけるダイレクトマーケティングを主力事業とする当社グループにおいて、人材は最も重要な資本です。幅広い人材に選ばれる会社を目指すべく、働きがいの最大化に努めています。
◇情報セキュリティ[リスク]
クライアント企業のデータを分析・蓄積し、それを活用して営業・マーケティングを行う当社グループにおいて、情報セキュリティは重要なリスクです。
◇倫理&コンプライアンス[リスク]
様々な法規制のもとで事業を展開する当社グループにとって、倫理&コンプライアンスは顧客満足と事業継続の両面において不可欠な要素です。
今後、当社グループの事業を加速させるマテリアリティ
●DX推進(機会)
電話・メール・Web等、多様なチャネルを繋いでエンドユーザーにリーチする当社グループは、クライアント企業ひいては社会全体のDX推進において必要不可欠な役割を担っていると認識しています。
●ダイバーシティ&インクルージョン(機会)
多様性を認め、違いを活かし合うマネジメントは既に当社グループの特色の一つですが、今後さらに多様な商材・業界へ事業を展開する上で、ますます重要になります。
事業活動を行う前提となるマテリアリティ
◇コーポレート・ガバナンス[リスク]
当社グループは、社会から信頼され続ける企業であるためには、コーポレート・ガバナンスが適切に機能することが必要不可欠であると認識しています。
◇気候変動&自然災害[リスク]
気候変動&自然災害は全世界共通の課題です。当社グループにおいても事業の継続に関わるリスクであると認識しており、再生可能エネルギーの積極的な活用等によりCO2排出量削減と気候変動への適応に貢献します。
③ リスク管理
リスクマネジメント体制
当社グループでは、コンプライアンス推進に関わる課題や対応策を審議・承認するとともに、必要な情報の共有化を目的としてリスク・コンプライアンス委員会を設置しています。リスク・コンプライアンス委員会は、代表執行役社長CEOを委員長とし、原則として毎月開催するほか、必要に応じて臨時開催しています。委員会では社内研修やコンプライアンスに関わる取組みの推進、コンプライアンス違反事項の定期報告等を行っています。
当社グループでは、戦略リスク、財務リスク、コンプライアンスリスク、オペレーションリスク、ハザードリスク、情報セキュリティリスク、サービス提供リスクを重点リスク分野と特定しています。これらのリスクはリスク・コンプライアンス委員会で検討し、さらに経営に最も影響を及ぼす戦略リスク、財務リスクにおいてはグループ経営会議にて管理しています。各リスクにおいてさらに詳細なリスクを定め、そのすべてについて発生頻度(可能性)及び影響度(想定被害額)を特定し、責任部署を定めた上で緩和措置を取っています。
④ 指標及び目標
当社グループの9つのマテリアリティ(重要課題)に対する目標項目、目標時期と数値は次のとおりです。
|
No |
マテリアリティ |
目標項目 |
目標時期と数値 |
2023年12月末進捗 |
|
1 |
●顧客満足(コア) |
NPS®(ネットプロモータースコア)の実施 |
2019年以降毎年NPSを実施し、責任者の報酬約1~5%に結果が反映されている |
達成 |
|
2 |
●雇用創出&人材開発(コア) |
① 自社人材向けのキャリア形成プログラムの継続と見直し ② 年間研修時間 |
① 毎年1セットのキャリア形成プログラム実施 ② 実績値を公表 |
① 達成 ② 達成 |
|
3 |
●働きがい |
従業員エンゲージメント調査の肯定的回答率 |
2025年12月までに2023年度比5%向上 |
取組中 |
|
4 |
◇情報セキュリティ |
① 重大な個人データ流出 ② 情報セキュリティ教育実施率 |
① 0件/年 ② 100% |
① 達成 ② 達成 |
|
5 |
◇倫理&コンプライアンス |
① 重大な法令違反 ② コンプライアンス研修実施率 |
① 0件/年 ② 100% |
① 達成 ② 達成 |
|
6 |
●DX推進 |
システム部門の人数 |
マーケティング事業稼働人数対比0.2%以上 |
達成 |
|
7 |
●ダイバーシティ&インクルージョン |
取締役女性比率 |
2025年3月末までに30% |
20.0% |
|
8 |
◇コーポレート・ガバナンス |
① 取締役会の実効性評価 ② 独立社外取締役比率 |
① 毎年の評価結果概要の開示 ② 50%以上 |
① 達成 ② 達成 |
|
9 |
◇気候変動&自然災害 |
電力使用などによるグループ全体のCO2排出量 |
再生可能エネルギーの積極的な活用等(2022年度分から導入済み)により削減 |
取組中 |
(2)人的資本・多様性
① ガバナンス
人的資本・多様性に関するガバナンスの詳細については「
② 戦略
(a) 多様性を担保する採用・人材育成の方針及び社内環境整備に関する方針
当社グループにとって、人材戦略は経営戦略そのものに繋がる重要な分野です。当社グループは、人材こそが最も重要な資産だと考えており、「いま、『社会(セカイ)』から必要とされている事を」という経営理念のもと、多様な人材を適材適所に配置するという発想で性別、年齢、国籍、働ける時間帯等でふるいにかけることのない採用を行っています。そうして人材を選ぶのではなく、人材から選ばれる会社であり続けることを目指しています。これは当社グループの人材に対する本質的な価値観であると同時に、事業において多種多様な商材を取り扱う上での強みにもなっています。
また、当社グループでは、人材育成において、従業員一人ひとりが本来持っている力を最大限に発揮できる環境整備が重要だと考えています。そのため、従業員が自発的にモチベートできる報酬制度や人事制度、時間にとらわれない柔軟な働き方など、多種多様な人材が能力を発揮できる仕組みを構築しています。
(b) 主な施策及び取組み
(ⅰ) あらゆる人材に活躍の場を提供する「マルチプロダクツ・センター」
当社グループでは全拠点を人口の集中する都市部に設置し、コスト削減や人材確保の効率化を図っています。また、全拠点が複数商材を扱う「マルチプロダクツ・センター」です。一つの拠点で多様なプロダクトを扱い、さらには多様なチャネル展開をしているため、どのような人材にもマッチする業務があります。全ての拠点で、あらゆる人材が活躍できる仕組みを作り上げています。
(ⅱ) 多様で大規模な人材プールを確立する「選ばない採用」
「マルチプロダクツ・センター」では労働可能時間が短く戦力化が難しい人材にも活躍の場を提供できることから、「選ばない採用」が可能となります。「選ばない採用」とは、多様な人材を適材適所に配置するという価値観のもと、性別、年齢、国籍、働ける時間帯等でふるいにかけることのない当社グループ独自の採用方針であり、人材戦略です。当社グループはこれを徹底することで人材から選ばれる会社となり、常に多様で潤沢な人材プールを構築しています。実際に、当社グループでは子育て・介護中の方、外国籍の方、障がいのある方、仕事とは別に実現したい夢を持っている方などが、正規・非正規といった雇用形態の枠にとらわれず、自身に合った働き方で数多く活躍しています。正社員で時短勤務を希望した場合にも、成果に応じた報酬を得ながら能力次第でキャリアアップできる仕組みを整え、サステナブルに働くことができる環境を用意しています。
(ⅲ) あらゆる人材を戦力化する教育体制
独自の教育体制により、あらゆる層を生産性の高い人材に育成します。プロダクト毎に最適なトークスクリプトを作成し、徹底した品質管理を行うなど、盤石な教育体制で生産性を向上させます。
(ⅳ) 成果を評価し、モチベートし続ける評価・褒賞制度
ランキングを毎日開示し、成果に報いる高いインセンティブを設計するなど、徹底的な成果主義を取りつつ、縦横のコーチングが促進される評価体系を採用しています。これは、高収益を生み出せる組織であるからこそ実現可能な仕組みであり、高い生産性と高いインセンティブが好循環を作り出しています。その他にも、成果を上げた人を祝う社内イベントを定例で開催するなど、個人やチームでモチベーションを上げる仕組みを整えています。
(ⅴ) 女性従業員の活躍推進
当社グループは、役員及び従業員がジェンダーを問わず活躍することが企業価値の向上につながると考え、その推進を行っています。サステナビリティ委員会の分科会として女性活躍推進分科会を設け、子会社を含むグループ全体の女性活躍推進に向けた施策のPDCAサイクルを回しています。具体的な施策例として、管理職候補の女性を対象とした研修の実施や、特に女性従業員にライフステージによる働き方の制限が生じやすいことを踏まえた在宅勤務、時短勤務、フレックスタイム勤務等、ワークライフバランスを勘案した多様な働き方の推進等があります。また、福利厚生制度「BaBee Mama」では、企業主導型保育事業拠点と提携し、預け先を確保しやすくする等、子どもを持つ女性の職場復帰をサポートし、安心して働くことができる環境を整えています。女性社員の声から生まれた女性活躍を支援するための社内制度「kirari」では、グループ全体で会社の垣根を越えた女性従業員の交流を図ることで、それぞれのライフステージに合わせた女性活躍を支援しています。取組みの一例として、先輩ママとこれから出産・育児を控えているメンバーの交流、情報交換を目的とした座談会の開催等により、社員同士のネットワーク醸成を図っています。また、交流会で出た女性従業員の意見をもとに社内環境などの改善を行うことで、更に働きやすい環境を整備していきます。
(ⅵ) 健康経営
当社グループは、役員及び従業員が心身ともに健康で安心して業務を遂行し、最大のパフォーマンスを発揮することが企業の発展につながると考えています。子育て・介護・治療との両立など柔軟に働ける環境を整え、一人ひとりが生き生きと働きがいにあふれる職場環境を構築することで、会社の発展と個人の幸福の実現を図ります。グループ従業員のみならず親族も利用可能な福利厚生制度「ヘルスケアサポート」では、若い世代が将来のライフプランを考えて日々の生活や健康と向き合うことのできるプレコンセプションケアや、妊活・不妊の無料相談が可能となっており、次世代を担う子どもの健康の可能性を拡げることをサポートしています。
③ リスク管理
リスク管理の詳細については、「
④ 指標及び目標
指標及び目標の詳細については、「
(3)気候変動
① ガバナンス
気候変動に関するガバナンスの詳細については、「
② 戦略
当社グループでは、複数の気候変動シナリオ(1.5℃と4℃)を用いて、短期(0~1年)、中期(1~9年)、長期(10~29年)の視点で、気候変動がもたらす異常気象等の物理リスクと、気候変動抑制に向けた、政府による政策規制の導入等の移行リスクの検討を行っています。その結果特定されたリスクと機会を戦略に反映し、対応しています。
当社グループの事業モデルは、環境への、または環境からの影響が極めて小さく、どちらのシナリオにおいても、事業及び財務に対する大きなリスクは短期的にも中長期的にも無いものと現時点では判断しています。一方で気候変動への対応は重要な経営課題でもあるため、カーボンニュートラルを柱とした積極的な対応を継続的に推進します。
③ リスク管理
当社グループの事業にとって重要な気候変動に伴うリスクと機会を特定し、特定したリスクと機会について、発生の可能性とそのインパクトの大きさに基づき、影響度を評価しています。
気候変動に係るリスクについては、サステナビリティ委員会が取組みの実行計画を策定し、各部門・グループ子会社とも連携しながら進捗管理を行います。内容については、サステナビリティ委員会から取締役会に報告され、取締役会は報告を受けた重要事項の対応について審議、決定します。このプロセスを経て、特に重要と評価された気候変動に伴うリスクと機会については、取締役会による監督体制のもと、当社グループにおける企業リスクとして戦略に反映し、対応します。
④ 指標及び目標
当社グループでは、GHGプロトコルに則り、オフィス及び事業活動におけるライフサイクル全体で排出される温室効果ガス排出量(スコープ1、2の絶対量)を、気候変動に伴うリスクと機会を管理する指標に定めています。
また、国際的な目標である2050年カーボンニュートラルに貢献すべく、再生可能エネルギーの積極的な活用等(2022年度分から導入済み)によりCO2排出量削減と気候変動への適応に貢献します。
|
指標 |
CO2排出量(t-CO2) |
|||
|
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
|
Scope1+2 |
1,017 |
1,447 |
1,416 |
1,446 |
(注)CO2排出量の集計範囲は、当社及び連結子会社です。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)景気の変動等について
当社グループのマーケティング事業、オンサイト事業においては、多様な業界・顧客企業(東京証券取引所プライム市場上場企業を含む)と取引をしていますが、景気の変動、顧客企業における業況変化や内製化方針などに起因して、急激な業務量の変更が行われる可能性があります。その場合、当社グループは派遣従業員、有期雇用者の業務シフトの見直しや契約解除等で対応しますが、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法規制について
当社グループのマーケティング事業、オンサイト事業において、「不当景品類及び不当表示防止法」「特定商取引に関する法律」「電気通信事業法」「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下、労働者派遣法という。)」「職業安定法」等の法的規制を受けています。また、マーケティング事業に含まれる保険関連業務については、関連法令や制度、金融庁等の関連当局による監督、並びに取引先保険会社の指導などの包括的な規制を受けています。今後、これらの法令や規則等の予測不能な変更あるいは新設が各事業の営業成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)許認可について
当社グループのオンサイト事業の主要事業である労働者派遣事業は、「労働者派遣法」に基づき、厚生労働大臣の許可を受けて行っています。また、当社グループは、「職業安定法」に基づき、厚生労働大臣の許可を受け有料職業紹介事業を行っています。それぞれの許認可の有効期限と取消事由は以下のとおりです。
① 労働者派遣事業
(a) 有効期限
(ⅰ) 株式会社カスタマーリレーションテレマーケティング 2027年9月30日
(ⅱ) 株式会社マケレボ 2025年3月31日
(ⅲ) 株式会社スタッフファースト 2024年3月31日
(ⅳ) 株式会社データリレーションマーケティング 2024年5月31日
(b) 取消事由
(ⅰ) 「労働者派遣法」又は「職業安定法」に違反したとき
(ⅱ) 許可条件に違反したとき
(ⅲ) 関係派遣先への派遣割合が100分の80以下ではない場合又は関係派遣先割合報告書の提出をしない場合で、指導又は助言を受け、更に必要な措置をとるべきことの指示を受けたにもかかわらず、なお違反したとき
② 有料職業紹介事業
(a) 有効期限
(ⅰ) 株式会社カスタマーリレーションテレマーケティング 2028年4月30日
(ⅱ) 株式会社スタッフファースト 2024年3月31日
(ⅲ) 株式会社データリレーションマーケティング 2024年5月31日
(ⅳ) 株式会社アーキテクト 2025年2月28日
(b) 取消事由
(ⅰ) 「職業安定法」又は「労働者派遣法」の規定又はこれらの規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき
(ⅱ) 暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段で職業紹介を行った者又はこれらに従事した者
(ⅲ) 虚偽の広告をし、又は虚偽の条件を提示して職業紹介を行った者又はこれに従事した者
現時点において、当社グループでは許可の取消等の事由に該当する事実はないと認識していますが、許可要件に違反した場合等には、許可の取消、事業停止命令又は事業改善命令を受けることがあります。企業コンプライアンス及びリスク対策に十分努めていきますが、当社グループのオンサイト事業の売上高の大部分が当該事業で構成されており、今後何らかの理由により許可の取消等があった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)人材の確保及び人件費の高騰について
コールセンターやBPOセンターにおいては、業務に従事する多数のコミュニケーターの確保が必要となります。そのため、当社では様々な求職者層に向けた採用活動により、優秀なコミュニケーターの安定確保に努めています。しかしながら、人口減少や少子高齢化、景気好転などにより当社グループに十分な労働力を継続的に確保できない可能性及び採用費や人件費などが増加する可能性があります。また、労働関係法令の改正等により従業員に係る費用が増加し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)労務関連について
当社グループでは、多くのパートタイム・アルバイト等の有期雇用者が、コンタクトセンター業務に従事しています。2013年の改正労働契約法の施行により、施行日以降において有期雇用契約が反復更新され通算契約期間が5年を超えた場合に労働者が申込みをしたときは、期間の定めのない雇用契約に転換されることが法定された他、2016年10月からは短期労働者に対する厚生年金及び健康保険の適用が拡大されました。今後もこうした労働関連法規制への対応や労働環境の変化により、当社グループが優秀な人材を雇用できなくなる可能性や当社グループの人件費が高騰する可能性があります。
(6)情報システムに障害が発生した場合の影響について
当社グループでは、コール業務管理、エンドユーザー情報の管理など情報システムに依存しています。プログラムの不具合、コンピュータウイルスやサイバー攻撃等により、当社情報システムにさまざまな障害が生じた場合には、コール業務自体が停止する可能性があるほか、効率的な運営が阻害され、重要なデータが流出する等による対応費用が発生する可能性があり、当社グループの事業、財政状態、経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(7)情報漏洩リスクについて
当社グループは、取得及び収集した個人情報の漏洩等は当社グループの信用力低下に直結することから、「個人情報保護規程」を制定し、同規程に基づき管理及び運営しています。また、情報管理を強化するため、各子会社において情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際標準規格「ISO27001」の認証及び個人情報の保護体制に対する第三者認証制度であるプライバシーマークを取得しています。しかしながら、万一漏洩があった場合、当社グループは社会的信用を失い、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)風評等について
当社グループは、法令遵守違反などの不適切な行為が発覚した場合は、速やかに適切な対応を図っていきますが、当社グループに対する悪質な風評が、マスコミ報道やインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合は、それが正確な事実に基づくものであるか否かにかかわらず、当社グループの社会的信用が毀損し、お客様や投資者等の理解・認識に影響を及ぼすことにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)総資産に占めるのれんの割合が高いことについて
当社は、非流動資産にのれんを計上しており、総資産に占める割合が高くなっています。その大部分については、APファンドからのLBOを用いた出資の受入及びその後のインテグラル株式会社の関連ファンドであるインテグラル3号投資事業有限責任組合及びInnovation Alpha L.P.からのLBOを用いた出資の受入のためです。当社はIFRSに基づき連結財務諸表を作成しているため、当該のれんの償却はできませんが、のれんの対象となる事業の収益性が低下した場合等には、減損損失が発生し当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度末における回収可能価額は、のれんが含まれる資金生成単位のそのグループの資産から直接関連負債を除いた事業価値の帳簿価額を大幅に上回っていることから、減損テストに用いた主要な仮定が合理的な範囲内で変更されたとしても、当該資金生成単位又はそのグループの回収可能価額が帳簿価額を下回る可能性は低いと考えています。仮にマーケティング事業の税引前割引率が3.2ポイント上昇した場合又は継続価値を含む将来キャッシュ・フローの見積額が28.1%減少した場合に減損損失が発生する可能性がありますが、今後5年間の成長率がゼロであった場合でも回収可能価額が事業価値の帳簿価額を十分に上回るため、減損の可能性は低いと考えています。
当社グループでは、のれんの減損リスクを低減するため、当社グループが提供する営業ソリューションサービスのパフォーマンスを梃子に、新規顧客企業による小口の試験的な取引から本契約へと移行することにより新規顧客を獲得しています。またテレマーケティング市場にとどまらず、営業人件費市場を含めたダイレクトマーケティングニーズを持つ顧客の獲得を通じた顧客基盤の増強により、収益源を積上げています。更にエンドユーザーのデータベースとその運用の精度を高めることによって、エンドユーザーのニーズをより的確にとらえた営業・マーケティングサービスを展開することでサービスの高付加価値化を進め、既存顧客における業務範囲の拡張、他部署展開等を進め取引の大口化を進めています。
(10)借入金及び財務制限条項について
当社は、2021年3月26日付で複数の金融機関との間で金銭消費貸借契約を締結しています。当該契約には、財務制限条項が定められており、2021年12月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における連結財政状態計算書に記載される資本合計の金額を、2020年12月期末日における連結財政状態計算書に記載される資本合計の金額の75%に相当する金額、又は直近の事業年度末日における連結財政状態計算書に記載される資本合計の金額の75%に相当する金額のうち、いずれか高いほうの金額以上に維持すること、2021年12月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における連結損益計算書に記載される営業損益を2回連続して損失としないことをそれぞれ求められています。
また、当社は、2023年11月27日付で複数の金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しています。当該契約には、財務制限条項が定められており、2023年12月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における連結財政状態計算書に記載される資本合計の金額を、2022年12月期末日における連結財政状態計算書に記載される資本合計の金額の75%に相当する金額、又は直近の事業年度末日における連結財政状態計算書に記載される資本合計の金額の75%に相当する金額のうち、いずれか高いほうの金額以上に維持すること、2023年12月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における連結損益計算書に記載される営業損益を2回連続して損失としないことをそれぞれ求められています。
これらの財務制限条項に抵触した場合には、借入金を一括返済する可能性があり、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)新株予約権の行使による株式希薄化について
当社は、新株予約権方式によるストックオプション制度を導入しており、当社グループの取締役、執行役及び従業員に対して、業績向上及び企業価値増大のインセンティブを与えること等を目的として新株予約権を発行しています。新株予約権に関する潜在株式数は2023年12月31日現在で合計1,083,600株であり、発行済株式総数の2.3%に相当しています。但し、新株予約権のすべてが即時に行使され、即時に当社株式価値が希薄化する予定はありません。新株予約権の詳細は、「第4 提出会社の状況 1株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。なお、新株予約権の将来的な行使に備えるため、自己株式取得を含む資本政策を検討していきます。
(12)大株主がファンドであること等について
当事業年度末日において、インテグラル株式会社及び同社グループが運用するファンドは当社の大株主となっています。また、当社取締役である池田篤穗氏、水谷謙作氏の2名はインテグラル株式会社と兼職しています。
当該ファンドにおける当社株式の保有・処分方針によっては、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当該ファンドの当社株式所有割合等については、「第4 提出会社の状況 1株式等の状況 (6)大株主の状況」に記載しています。
(13)内部管理体制について
当社グループでは、社会から信頼され続ける企業となるため、コーポレート・ガバナンスが適切に機能することが必要不可欠であると認識しており、業務の適正及び財務報告の信頼性の確保、各社内規程及び法令遵守の徹底に努めています。
しかしながら、当社の連結子会社において一部の顧客企業に対する請求額が過大となっている疑義が判明しました。これを受け、当該疑義に関する事実関係、類似事案の存否及びその事実関係等の解明、並びにこれらの事案の連結財務諸表への影響の確認にあたり、客観的かつ中立的な立場からの調査が必要であると判断し、2023年7月18日付で外部の専門家を含む特別調査委員会を設置し、調査を進め、2023年10月13日付で同委員会から調査報告書を受領しました。
当社は、特別調査委員会からの指摘、提言を真摯に受け止め、2023年11月14日付で開示した再発防止策をもとにグループを挙げて再発防止にあたるとともに、引き続き内部管理体制の再構築を実施し、適切な管理・運用をすることで信頼回復に尽力します。
(14)新規事業について
当社グループは、今後も持続的な成長を実現するために、新規事業の創出と育成に取り組んでいきたいと考えています。しかしながら、新規事業を遂行していく過程では、急激な事業環境の変化をはじめとして様々な予測困難なリスクが発生する可能性があります。その結果、当初の事業計画を達成できない場合は、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(15)競合について
当社グループは、ダイレクトマーケティングを中心に、コンサルティングやビジネス・プロセス・アウトソーシングといった、企業の顧客獲得プロセスに対するソリューションサービスを提供しています。各サービス毎に競合は存在するものの、それらをワンストップで提供できることは当社グループの強みであり、競合との差別化につながると考えています。しかしながら、今後の景気の悪化、業界内の合従連衡等が起き、当社グループが属する市場の規模が想定したほど拡大しない場合、あるいは、当社グループの差別化戦略が奏功せず、競合優位性の確立につながらなかった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)顧客企業について
当社グループは、多種多様な業界に属する企業を顧客としています。今後も業界・企業を問わずにサービスの提供を拡大していくことを目指していますが、現状では情報通信業界が主な販売先となっています。そのため、情報通信業界のマーケティング動向により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。販売先の詳細については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④ 生産、受注及び販売の実績」をご参照ください。
(17)感染症に関するリスク
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等重大な感染症が長期にわたり拡大・蔓延することにより、当社グループや主要取引先の事業活動の停止又は事業継続に支障をきたす事態が発生した場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。
① 経営成績の分析
当連結会計年度における日本経済を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は落ち着きを見せ、社会の新たな段階への移行が進み、経済活動の正常化に向けた持ち直しの動きがみられました。しかしながら、国際的な情勢不安の長期化や、物価上昇、供給面の制約による影響など、依然として先行きは不透明な状況が続いています。
当業界においては、アウトソーシング需要や、生活様式の変化及びDXの推進を背景とした新たなサービスへのニーズが継続しています。
こうした環境のもと、当社グループは、新型コロナウイルスワクチン接種関連業務の受託等、社会インフラとしての一翼を担ってきましたが、経済社会活動の正常化に伴いこうした需要は縮小しました。また、これらの需要が大きく縮小したことによりインバウンドビジネス全体の競争が激化し、当社の収益性に大きな影響を及ぼす結果となりました。一方で、通信インフラからのアウトバウンド/ハイブリッドの業務受託は堅調に推移したほか、新たな事業領域の開拓も進みました。また、収益基盤の拡大を目的として、株式会社アーキテクトを連結子会社化しました。
加えて、成長戦略を推進するため、既存顧客の深耕や新規クライアントの開拓に注力したほか、採算性の向上や低採算業務の見直しなどにより収益力アップに努めてきました。さらに、競争力の源泉である優秀な人材の確保、育成を図るため、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を勘案した多様な勤務体系やオフィス環境の改善、独自の教育体制・評価体系の構築等、従業員が活躍できる環境づくりを進め、働きがいのある企業風土の醸成に取り組んでいます。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上収益は26,851百万円(前年同期比22.6%減)、営業利益は1,220百万円(前年同期比78.9%減)、税引前利益は1,180百万円(前年同期比79.4%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は310百万円(前年同期比91.8%減)となりました。
各セグメントの経営成績は以下のとおりです。
(マーケティング事業)
既存顧客や新規クライアントへ向けたアウトバウンド/ハイブリッドの業務受託が堅調に推移しました。一方、新型コロナウイルスワクチン接種関連の需要が大きく縮小したことによりインバウンドビジネス全体の競争が激化し、当社の収益性に大きな影響を及ぼす結果となりました。
この結果、マーケティング事業の売上収益は23,725百万円(前年同期比24.7%減)、営業利益は2,639百万円(前年同期比62.5%減)となりました。
(オンサイト事業)
新型コロナウイルスワクチン接種関連業務の人材派遣ニーズは減少しました。一方、収益性を重視した戦略を推し進めました。
この結果、オンサイト事業の売上収益は4,177百万円(前年同期比18.1%減)、営業利益は118百万円(前年同期は1百万円の営業損失)となりました。
② 財政状態の分析
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2022年12月期 (百万円) |
2023年12月期 (百万円) |
増減額 (百万円) |
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資産合計 |
30,532 |
26,175 |
△4,357 |
|
負債合計 |
14,947 |
13,090 |
△1,857 |
|
資本合計 |
15,585 |
13,085 |
△2,500 |
|
資本(親会社の所有者に帰属する持分) |
15,585 |
13,085 |
△2,500 |
(資産の分析)
当連結会計年度末における資産合計は、26,175百万円となりました(前連結会計年度末は30,532百万円)。これは主に、のれんが406百万円、その他の無形資産が643百万円、その他の金融資産が268百万円及びその他の流動資産が419百万円それぞれ増加した一方、現金及び現金同等物が3,150百万円、営業債権及びその他の債権が1,971百万円、使用権資産が555百万円及び繰延税金資産が324百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
(負債の分析)
当連結会計年度末における負債合計は、13,090百万円となりました(前連結会計年度末は14,947百万円)。これは主に、借入金が749百万円及びその他の流動負債が477百万円それぞれ増加した一方、営業債務及びその他の債務が1,811百万円、未払法人所得税が1,013百万円及びその他の金融負債が556百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
(資本の分析)
当連結会計年度末における資本合計は、13,085百万円となりました(前連結会計年度末は15,585百万円)。これは主に、利益剰余金が488百万円及び自己株式の取得により2,000百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
③ キャッシュ・フローの分析
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2022年12月期 (百万円) |
2023年12月期 (百万円) |
増減額 (百万円) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
5,117 |
1,612 |
△3,505 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△769 |
△1,234 |
△465 |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
△1,807 |
△3,527 |
△1,720 |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
7,608 |
4,459 |
△3,150 |
当連結会計年度末現在における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,150百万円減少し、4,459百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1,612百万円となりました(前連結会計年度は5,117百万円の収入)。これは主に、税引前利益が1,180百万円、減価償却費及び償却費が1,618百万円の計上、営業債権及びその他の債権の減少が1,849百万円、営業債務及びその他の債務の減少が1,833百万円及び法人所得税の支払額が1,583百万円それぞれ生じたこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,234百万円となりました(前連結会計年度は769百万円の支出)。これは主に、子会社の取得による支出が686百万円及び投資有価証券の取得による支出が440百万円それぞれ生じたこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、3,527百万円となりました(前連結会計年度は1,807百万円の支出)。これは主に、短期借入金の増加が1,000百万円、長期借入れによる収入が800百万円、長期借入金の返済による支出が1,306百万円、配当金の支払額が798百万円、自己株式の取得による支出が2,000百万円及びリース負債の返済による支出が1,239百万円それぞれ生じたこと等によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
(b) 受注実績
当社グループが顧客企業と締結している契約は、料金算定の基礎となる単価等であり、受注金額の算定に必要な座席数、時間等についてはコール予想等に応じて頻繁に変動します。従って、受注金額の特定が極めて困難な状況であるため、同数値の記載を省略しています。
(c) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
マーケティング事業 |
23,725,308 |
75.4 |
|
オンサイト事業 |
3,125,994 |
97.0 |
|
合計 |
26,851,302 |
77.4 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社NTTマーケティングアクトProCX |
6,400,584 |
18.5 |
3,695,636 |
13.8 |
|
株式会社NTTドコモ |
2,728,073 |
7.9 |
3,258,246 |
12.1 |
3.上記金額は、千円未満を四捨五入して記載しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の分析及び② 財政状態の分析」に記載のとおりであり、当社グループが属するビジネス・プロセス・アウトソーシング業界においては、アウトソーシング需要や、生活様式の変化やDXの推進を背景とした新たなサービスへのニーズが継続しています。
当社グループは、新型コロナウイルスワクチン接種関連業務の受託等、社会インフラとしての一翼を担ってきましたが、経済社会活動の正常化に伴いこうした需要は縮小しました。また、これらの需要が大きく縮小したことによりインバウンドビジネス全体の競争が激化し、当社の収益性に大きな影響を及ぼす結果となりました。一方で、通信インフラからのアウトバウンド/ハイブリッドの業務受託は堅調に推移したほか、新たな事業領域の開拓も進みました。また、収益基盤の拡大を目的として、株式会社アーキテクトを連結子会社化しました。
当社グループでは、引き続き経営戦略である「持続的成長基盤の確立」を推進し、当社グループが提供する営業ソリューションサービスのパフォーマンスを梃子に、新規顧客による小口の試験的な取引から本契約へと移行することにより新規顧客を獲得し続け、既存顧客では、顧客企業の営業・マーケティング機能全体の代替、提供する業務範囲の拡張(複数のダイレクトマーケティングチャネルの提供)、取引部署の横展開により取引を拡大し、高い顧客継続率を実現することにより持続的な成長基盤の確立に努めています。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの分析」に記載のとおりです。
(財務政策)
(a) 財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、財務体質の更なる強化と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としています。財務体質の更なる強化に関しては、自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)の中長期的な向上を目指し、十分な手元流動性を確保することでリスク耐性の強化を図っていきます。また、高い資本効率については、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで負債の活用も行うことにより、資本コストの低減及び資本効率の向上に努めていきます。更に、設備投資については、長期的な企業価値の向上に資する投資を適時に実施していきます。なお、各年度の設備投資額は、営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則とし、財務体質の更なる強化と、手元流動性の確保を進めていきます。
(b) 経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、必要な手元現預金水準を超える部分については、配分可能な経営資源と認識し、長期的な企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。当該経営資源については、成長に向けた設備投資や、株主還元のさらなる充実に活用する方針です。
(c) 資金需要の主な内容
当社グループの資金需要の主な内容は、営業活動に係る資金支出では、人件費や通信費、地代家賃などがあります。また、投資活動に係る資金支出は、都市型コンタクトセンターの新設や通信設備等に対する投資などがあります。
(d) 資金調達
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金を有効に活用しています。設備投資額は、営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則としていますが、資金調達手段の多様化と資本効率の向上を企図し、金融機関からの借入を一部活用しています。
また、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しています。なお、国内金融機関において30億円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の流動性についても確保しています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針及び4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しています。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載しています。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、当社が今後さらなる成長と発展を遂げるため、厳しい環境の中様々な課題に対処しています。
具体的には、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています。
(1)借入金
当社は、財務基盤の安定性向上のために複数の金融機関各社とコミットメントライン契約を締結しています。
詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 15.借入金」に記載しています。
(2)企業結合
当社は、2023年3月31日開催の取締役会において、株式会社アーキテクトの全株式を取得することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結のうえ、2023年4月28日付で同社の全株式を取得しました。詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.企業結合」に記載しています。
該当事項はありません。