文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「世界中にあらゆる『人が活きるカタチ』を創造することで、人々の幸せと社会の持続的発展を実現する」というパーパスの下、最重要資産である人的資本への投資を進め、その価値を高めることで、さらなる社会への貢献と高い成長を目指してまいります。
(2)経営戦略等
当社グループは、人材教育ビジネス・不動産ビジネス・情報通信ビジネス・農業公園ビジネス等の複数事業に亘るポートフォリオにより、経済環境の変化に柔軟に対応できる強い経営基盤を構築し、時流を的確に捉えた経営を行うことで安定的な成長を実現してまいります。
(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2024年度の目標である売上高2,520億円、営業利益90億円の達成に向け努めてまいります。また、「中期経営計画2026」の最終年度である2026年度には、売上高2,750億円、営業利益150億円を目指しております。
(4)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
サステナビリティに関する取り組み
当社グループは、「世界中にあらゆる『人が活きるカタチ』を創造することで、人々の幸せと社会の持続的発展を実現する」というパーパスの下、複数事業による幅広い分野において、サステナビリティの観点からも、多様な人々の活躍の場や、活き活きと生活できる環境の創出を通じ、より生きやすく活力あふれた社会の創造を進めております。
しかし、当社グループの持続的な企業価値向上の為には、これらの取り組みをより一層深化させる必要があると考えております。今後も『人が活きるカタチ』の種類・深さ・量を見定め、より一層の事業成長を図ることで、事業を通じて社会問題の解決に繋げ、社会の持続的発展に貢献してまいります。
感染症による影響
この数年間にわたり脅威であった新型コロナウイルス感染症に関しては、現状では落ち着きを見せておりますが、未だ再流行の可能性や、新たな感染症発生の可能性もあり、その与える影響は未知数であると考えております。
このような状況下、当社グループは、感染防止策の徹底はもちろんながら、従前から戦略的に構築してきた複数事業のポートフォリオによりリスク分散を図り、経営環境の変化に柔軟に対応してまいります。また、この数年間にわたるコロナ禍で様々に変化したニーズを好機と捉え、幅広い事業を持つ強みを活かして、変化したニーズに的確に応えていくことでさらなる事業成長に繋げてまいります。
人材教育ビジネスにおける主な課題
人材教育ビジネスにおいては、市況変動や地政学的リスクに伴う顧客ニーズの変化、働き方改革等が進んだことによる雇用形態の変化、ICT・デジタル技術やロボット化による産業構造の変化、及び働く事に対する志向の多様化等への対応を主な課題と捉えております。
当社グループでは、これらの課題に対し、強みである「受託」力を活かし人材業界での独自ポジションを確立することで業界での優位性を発揮し市況変動に柔軟に対応してまいります。また、「教育」(学び直し)に重点を置くことで社員のリスキリングを進めスキル向上を図り、あらゆる顧客ニーズと産業構造の変化に対応してまいります。加えて、プロダクツHRとサービスHRという幅広い業種をカバーする「人材プラットフォーム」によって、働く人の志向の多様化に確実に対応し、業界でのプレゼンス向上を図るとともにさらなる成長に繋げてまいります。
不動産ビジネスにおける主な課題
不動産ビジネスにおいては、不動産価格の高止まり状況の継続や建築費の高騰、及び金利上昇リスク等の市況動向への対応を主な課題と捉えております。
当社グループでは、これらの課題に対し、慎重なリスクマネジメントにより、“無理をしない”事業展開を進めることでそれらのリスクを最小限化することに加え、強みである不動産M&Aや事業用地創出ノウハウを活かし、業界での独自ポジションを確立することで安定成長を図ってまいります。
情報通信ビジネスにおける主な課題
情報通信ビジネスにおいては、総務省の指導による通信キャリアの料金の引下げ、オンライン専用プランの提供等による、携帯電話代理店の実店舗の役割変化や再編の加速等への対応を主な課題と捉えております。
当社グループでは、これらの課題に対し、モバイルショップ事業と、もうひとつの柱である法人ソリューション事業のノウハウを融合することで業界内での差異化を図り、優良店舗網の構築を進め、地域のトータルソリューションパートナーを目指すことで課題解決に繋げてまいります。
農業公園ビジネスにおける主な課題
農業公園ビジネスにおいては、地方自治体管理公園施設の民間委託化の加速、自然災害・天候不良等、及び資源価格・エネルギー価格の高騰への対応を課題と捉えております。
当社グループでは、これらの課題に対し、これまでの事業再生実績と自社施設保有の強みを活かした新たな指定管理施設案件の獲得を進めることで、場所と業態の多様化により自然災害や天候不良のリスクを最小限化し、またエネルギー価格の高騰に対しては太陽光発電などの再生可能エネルギー設備を拡充することで、これらの課題への対応とさらなる成長を図ってまいります。
1.サステナビリティ共通
<当社グループのパーパス>
「世界中にあらゆる人が活きるカタチを創造することで人々の幸せと社会の持続的発展を実現する」
<当社グループの企業理念>
一.人として心の通った精神的な結びつきを持った企業を目指す。
一.ビジネスを人材育成・教育の場として道徳的感覚を持った有為な人材を世に送り出す企業を目指す。
一.自然環境を守り、地球資源を大切にし、常に社会貢献できる企業を目指す。
一.シニア人材の経験を活かし、新しい雇用を創設できる企業を目指す。
一.社員が働き甲斐のある企業を目指す。
当社グループのパーパスは2022年に制定したものですが、それから遡ること20年ほど前に現在の企業理念を制定しております。まだ、SDGsが国連総会で採択される前、サステナビリティという言葉が一般的になる前からサステナビリティの考え方は当社グループに根付いています。また、2023年7月20日にサステナビリティ基本方針を制定し、サステナビリティの取り組みをより一層推進しています。
サステナビリティ基本方針については、当社のホームページに記載しております。
https://world-hd.co.jp/app/wp-content/uploads/2023/08/4dc706e00fddd11d0804156b5c73fcbe.pdf
(1)ガバナンス
当社グループのサステナビリティに関する議論を集約し、意思決定の迅速化、取組みの充実を目的として、「サステナビリティ委員会」を設置いたしました。サステナビリティ委員会は、委員長を代表取締役会長兼社長、委員を社内及び社外役員として構成され、サステナビリティ基本方針の策定及び定期的な見直し、事業活動のリスク・機会の選定評価、サステナビリティに関する課題についての審議並びに当該事項に関する進捗状況の確認を行い、取締役会への付議・報告を行います。事務局は経営企画本部が担当し、原則、年に2回の開催としております。取締役会は、グループ全体のパーパス、中長期の経営戦略等の大きな方向性を示すとともに、サステナビリティ委員会からの報告を受け、サステナビリティ経営の監督と重要事項の審議及び意思決定を行います。特に重要性が高いと考えるサステナビリティ課題については分科会を設置し、全社横断的な推進を図っています。また、リスクの選定、評価に関する事項は、当社グループの経営上のリスクとも密接に関わることから、リスクマネジメント委員会と連携して対処しています。
<サステナビリティ推進体制>
(2)戦略
当社グループはサステナビリティ基本方針に基づき、経営上のマテリアリティ(重要課題)を特定しており、「働く」カタチ、「まちづくり」のカタチ、「便利と安心安全」のカタチ、「未来」のカタチ、及び「事業をつなぐ」カタチを創造することで、グループとして「人が活きるカタチ」を実現し、社会の持続的な発展と企業価値向上を目指しております。
なお、後述する経営上のマテリアリティ(重要課題)はGRIスタンダードなどの国際ガイドライン、持続可能な開発目標(SDGs)などをベースとして総合的に分析・検証した上で定めています。マテリアリティの特定に当たっては、国際ガイドラインなどから抽出した27項目の重点課題候補をステークホルダーの期待、持続可能な社会実現への貢献及び事業との関連性の側面から評価、マッピングして特に重要度の高いものを特定し、取締役会で審議承認の上で各事業セグメントの特性に合わせた表現に落とし込んでおります。
当社グループは、全社を挙げて「人が活きるカタチ」の創造を目指しております。中でも、「働く」カタチを創造する人材教育ビジネスは、グループ売上構成の約7割を占めるプロダクツHR事業とサービスHR事業が担っており、あらゆる人々に適材適所の「仕事」を提供するとともに、教育を通して人がもつ潜在能力を引き出し、人の可能性を開花させることで産業の発展に貢献しております。更なる「働く」カタチの創造に向けて、2023年7月に当社グループは、ヤマトホールディングス㈱(以下、YHD)との戦略的な業務提携を発表いたしました。また、業務提携の一環としてYHDで人材ビジネスを展開するヤマト・スタッフ・サプライ㈱の株式を取得し、当社の連結子会社といたしました。この提携により、当社とYHDの経営資源のさらなる有効活用を図り、収益機会の維持や将来的な競争力の確保を進めるとともに、より多くの方々が幅広い業種・職種で一層活躍できる場の創出に繋がりました。
また、「人の活きるカタチ」の創造に取り組まない(マテリアリティに取り組まない)ことは、人材の質低下による業界平均賃金の低下、業界の人手不足による市場縮小及びそれに伴う雇用減少、保有不動産価格のボラティリティ上昇、ITインフラ・機器不足の顕在化等のリスクを招くと考えており、マテリアリティに基づく機会獲得及びリスク回避をすることで持続可能な価値創造を目指しています。
(3)リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ委員会にて、特定したマテリアリティに取り組まないことで生じるリスク、及びマテリアリティの定期的な評価・見直しを行っております。また、評価したリスクは、リスクマネジメント委員会と共有し、当社グループ全体の総合的なリスクとして統合管理しております。今後は新設されたサステナビリティ委員会とリスクマネジメント委員会の連携を密に行うことで、リスクの定期的な評価・見直しを行ってまいります。
(4)指標及び目標
目標につきましては、サステナビリティ委員会において、分析・検討を進めた後、開示を行ってまいります。
2.気候変動
(1)ガバナンス
当社グループでは、2023年7月に策定した「サステナビリティ基本方針」のもと、気候変動や生物多様性をはじめとする環境問題を重要な経営課題と認識しております。サステナビリティ委員会を設置すると同時にその傘下に気候変動分科会を設置し、活動を開始いたしました。分科会では、気候変動に関するリスクを定期的にモニタリングするとともに、企業経営に影響を及ぼすリスクの特定と影響の評価を行います。分科会での検討・決定事項は、サステナビリティ委員会を通して、年1回以上取締役会に報告する体制を構築しております。取締役会は、グループ全体のパーパス、中長期の経営戦略等の大きな方向性を示すとともに、サステナビリティ委員会からの報告を受け、グループ全体の気候変動対応の監督と重要事項の審議及び意思決定を行います。
(2)戦略
当社グループは、気候変動が事業及び業績に与えうるリスクを認識し、気候変動リスクへの対応を重要な経営課題として位置づけ、脱炭素社会実現に向けたグループとしての対応の検討を進めております。
当社グループのセグメントにおいて考えられる気候変動リスク(一部)
|
事業セグメント |
リスク事象 |
考えられるリスク |
|
セグメント共通 |
気候変動対策への意識の高まり |
気候変動対応が遅れることによるステークホルダーからの評価の低下 |
|
人材教育事業 |
台風・竜巻・風水害 |
・顧客企業の拠点が被害を受けることによる事業停止に伴う人材需要の低下 |
|
猛暑日の増加 |
・人材への健康被害増加 ・生産性の低下 |
|
|
脱炭素への取組・規制強化 |
・産業構造の転換に伴う人材需要の低下 |
|
|
不動産事業 |
台風・竜巻・風水害 |
・保有不動産や周辺インフラが被害を受けることによる不動産価値の低下 ・仕掛商品、完成商品の損壊 ・原材料高騰による建設コストの上昇 |
|
情報通信事業 |
台風・竜巻・風水害 |
・モバイルショップ等の拠点が被害を受けることによる営業停止期間の増加 ・災害被害を起因とする顧客企業の移転や倒産による取引先の喪失 |
|
農業公園事業 |
台風・竜巻・風水害、猛暑日の増加 |
・入園者の減少による売り上げ減少 |
|
平均気温の上昇 |
・家畜・動物用設備冷却のための電力消費量の増加 ・本来その地域に存在しない伝染病の発生 ・販売する食品による食中毒の発生確率の増加 |
|
|
脱炭素への取組・規制強化 |
・プラスチック製品の使用規制による代替商品購入に伴うコストの増加 |
2023年度より、当社及び国内連結子会社によるCO2の排出量の把握を開始しました。今後は、TCFD提言に則ったシナリオ分析を通し、気候変動リスクと機会の特定及び事業インパクトの把握を進めていきます。また、当社グループは、農業公園事業におけるメタンガスの排出を認識しており、排出量の把握に向け、保有している牛やその他の動物の個体数の把握に取り組んでおります。
(3)リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ委員会傘下の気候変動分科会において気候変動に係るリスクを特定し、事業活動に与える影響の把握に努めております。気候変動分科会にて特定したリスクについては、リスクマネジメント委員会と共有し、当社グループ全体の総合的なリスクとして統合管理していきます。
(4)指標及び目標
(a)指標: CO2排出量実績(2023年度)
Scope1:3,353t-CO2
Scope2:5,069t-CO2
(注)CO2排出量算定に当たっては、CO2排出量算定・削減支援クラウドサービスを利用しております。
また、算定対象範囲は当社及び国内連結子会社としております。
(b)目標につきましては、今後、気候変動分科会において分析・検討を進めた後、取締役会にて審議及び承認した上で、開示を行ってまいります。
3.人的資本・多様性
(1)ガバナンス
当社グループでは、2023年7月に策定した「サステナビリティ基本方針」「人権方針」の下、人材育成や人権の尊重、ダイバーシティの推進といった人的資本に関わる取組みを重要な経営課題と認識しております。サステナビリティ委員会を設置すると同時にその傘下に人的資本分科会を設置し、活動を開始いたしました。分科会では、人的資本に係る計画・方針の策定、指標のモニタリング、各事業会社の人材戦略・施策の情報共有、課題解決に向けた取り組みについての協議を行っています。サステナビリティ委員会は、優れた施策の全社横断的な展開を推進するとともに、検討・決定事項につきましては年1回以上取締役会に報告する体制を構築しております。取締役会は、グループ全体のパーパス、中長期の経営戦略等の大きな方向性を示すとともに、サステナビリティ委員会からの報告を受け、人的資本に係る施策の進捗状況の監督と重要事項の審議及び意思決定を行います。
人権方針については、当社のホームページに記載しております。
https://world-hd.co.jp/app/wp-content/uploads/2023/08/6c3c18b71f304e6010f358ef90eaac76.pdf
(2)戦略
当社グループは、社員におけるさまざまな「人が活きるカタチ」の創造に努める中で、人的資本経営の強化に努めております。人材教育、不動産、情報通信、農業公園の4つの事業セグメントにおける当社グループの社員数は、現在5万人を超えております。多彩でユニークな企業集団としての多様性を活かし、5万人超の能力を最大限活用すると同時にウェルビーイングを実現させていくためには、社内における適切な“流動性”の確保と優秀な人材の“維持”が重要であるとの認識の下、人材育成方針と環境整備方針を策定しております。さらに、当社は、顧客からの人材ニーズや労働者の就労ニーズの変化を見据えて、様々なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる企業を目指すべく、“ダイバーシティ”経営を推進しております。
<人材育成方針>
当社グループは、ジェンダー・国籍・年齢・キャリアを問わず、多様な人材を分け隔てなく採用・評価・育成し、グループ内での“流動性”を確保することで、市場価値の高い人材の確保・維持と最適な人材ポートフォリオの構築を実現し、当社の競争力を高めるとともに中長期的な企業価値の向上に繋げてまいります。
“流動性“に関しては、当社グループは、部門やグループ内事業会社の垣根を越えて人材を“流動“させることで、人的資本の有効活用と個人の成長・能力向上を促し、グループ全体の企業価値向上に繋がると考えています。このことから、各事業会社での新卒及び中途採用を通して多様な人材をグループに迎え入れながら、社内公募制度の活用を推進し、現場部門から管理部門への異動やグループ内の他事業会社への移籍等ジョブローテーションの積極化に取り組んでいます。
また、組織横断的に活躍する人材を創出すべく、当社グループは、4つの事業セグメントごとの多様な人材に対して、グループ共通に求められる能力を特定し、体系立てた教育体制を構築しています。グループ共通の教育体制では、階層別(新卒、中堅、管理職)にテーマの異なる年数回の研修や、中途採用者、現場社員へのグループマインド研修を行っているほか、約600のコンテンツからなるe-ラーニング受講が可能となっています。加えて、資格取得支援として費用補助を行うことで、従業員の可能性を広げることにも注力しております。また、経営トップによる定期的なメッセージ発信、集合研修時の経営陣による講話や新卒出身管理職の体験談を通して、パーパス・企業理念の浸透、エンゲージメント向上を図っております。
事業セグメントごとの教育体制については、その事業に求められる専門性や創造性、知識・スキルの習得に特化した体制の構築に努めています。例えば、プロダクツHRにおけるモノづくり領域の川上である“研究開発”を担う人材が多数在籍している当社の強みをさらに強化し、業界におけるブランドを確立するため、研究開発職に対するスキルアップを目的にした研修や機会の提供に注力しています。
―ワールドホールディングス研修体系(グループ共通)―
|
研修種類 |
対象 |
目的 |
|
オンライン次世代リーダー研修 |
管理職以上 |
次世代リーダーの育成 |
|
会長講話会 |
4~10年目 |
創業者マインド理解促進 グループ企業理解促進 未来創造 ”絆”の醸成 |
|
フォローアップ研修 |
1~3年目 |
キャリアデザインサポート ※現状の自分とありたい姿を明確にし、キャリアプランの作成を促す" |
|
全社員 |
置換力の醸成 ※目的意識を持って、日常の情報を自らの環境に置き換えて適用する力 |
|
|
人生100年時代の社会人基礎力の醸成 ・チームで働く力 ・前に踏み出す力 ・考え抜く力 |
||
|
WHDマインド研修 |
キャリア入社及び現場社員 |
企業理解促進 エンゲージメント向上 |
|
WHDマインド研修マインドフォローアップ研修 |
パフォーマンスレビュー |
|
|
導入研修 |
新入社員 |
学生から社会人へのマインドチェンジ ・企業理解促進 ・ビジネスマナー習得 ・コンプライアンス意識の醸成 ・社会人の心構え ・報連相の習得 ・チームワーク精神の醸成 |
<社内環境整備方針>
当社グループは、様々なスキル・バックグラウンドを有する優秀な人材の“維持”を目的に、場所や時間の制約を受けず、安心してそれぞれの特性を生かし、自律的に個人の能力を最大限に発揮できる環境整備に取り組んでいます。
■働き方・キャリアの多様性推進
当社グループでは、社員がライフステージに合わせた働き方の選択ができるよう、フレックスタイム制度、リモートワーク、育休取得の推奨、リフレッシュ休暇など、柔軟な働き方を可能とする各種制度を導入しています。また、一部の事業会社では、子どもが小学3年生になるまで時短勤務、在宅勤務が選択できる制度を導入しています。当社グループは、隠れた労働力を掘り起こす取組みを組織横断的に推進しており、子育てや介護等で働き方に制約がある人材や副業ニーズのあるシニア人材など様々なライフステージでの「人が活きるカタチ」に注力しております。
■健康経営
当社グループは、人材の健康保持・推進への投資は、従業員の活力向上や生産性の向上に繋がるという考えから、健康管理を経営的な視点で捉えて取組みを行っています。
グループ共通の健康管理としては、メンタルヘルスの領域に取り組んでおり、従業員のストレスチェックを実施しています。従業員がメンタル疾患にならないよう、研修を通したセルフケア教育や第三者機関による匿名性を担保した相談窓口の設置、ストレスチェックによる高ストレス者の特定及び医師による面接指導等のフォローを行うことで、未然の防止に努めております。今後は、グループ全体の従業員に対するストレス管理の強化を目指し、グループにおけるストレスチェックツールの統一化を積極的に推進してまいります。
その他の健康管理に関しては、特に重要性の高い健康リスクを事業セグメントごとに特定し、子会社ごとに管理及び取組の推進を行っております。例えば、当社子会社である九州地理情報㈱は生活習慣病,癌予防検診の促進、健康診断後の保健指導の実施、産業医との個別相談の実施、毎日ストレッチ体操の実施などの取組みを行っており『健康経営優良法人2023』として認定されております。一部の事業会社では定期的な歯科検診受診、禁煙支援として禁煙手当の支給やニコチンパッチの配布を行っております。また、ライフイベントに合わせた特別休日の設定・取得を可能にするなど、心身ともに健康でいられるための施策を実施しております。
■コンプライアンス違反・ハラスメント等への対策
当社グループは、コンプライアンス違反や法令違反、ハラスメント、人権侵害等、職場環境を悪化させる要因に対して、毅然とした対応を行い、各種社内基準・規程の策定や社内研修の実施、社内通報制度の周知を徹底している他、発生及び再発生の防止に努めています。
コンプライアンスに関しては、コンプライアンス委員会を設置し、企業行動基準やコンプライアンス規程及び関連資料等をとりまとめた「コンプライアンス・マニュアル」の整備や社内研修を実施するなどして、役職員への周知とコンプライアンス意識の向上を推進しています。
また、ハラスメントや差別を含む人権侵害に関しては、「サステナビリティ方針」や「人権方針」を通して、性別・年齢・国籍・人種・思想・信条・宗教・障がい・性自認・性的指向などによるあらゆる差別とハラスメントを容認せず、サプライチェーンを含むグループに関わるすべての人々に対する人権を尊重する旨を、社内外に対して公開しております。加えて、グループ全体の社内方針として「ハラスメント防止基本方針」を策定しており、パワー/セクシャルハラスメントや妊娠/出産/育児/介護休業に関するハラスメントに該当する具体的な行動の例示や相談窓口の存在、ハラスメントに対する相談や事実関係の確認に協力することで生じる不利益はない旨等を明示しています。
「サステナビリティ方針」及び「人権方針」の詳細は、当社のホームページをご参照ください。
https://world-hd.co.jp/corporate/philosophy
<ダイバーシティ経営の推進>
当社グループは、顧客からの人材ニーズや労働者の就労ニーズの変化を見据え、4つの事業セグメントすべてにおいて様々なバックグラウンドを持つ人材が活躍する姿を目指し、ジェンダー、キャリア、年齢、国籍における“ダイバーシティ”を重視しております。
・ジェンダー
当社グループは、「サステナビリティ方針」や「人権方針」、「ハラスメント防止基本方針」を通して、従業員のジェンダーに関するグループ共通の認識を明示しています。加えて、各部署や事業特性等を踏まえて、会社・事業毎にジェンダーの多様性に関する規定を設け対応しております。
・新卒及び中途採用人材
当社グループはこれまで、事業規模の拡大に伴い、即戦力となりうる中途採用に注力してきました。そのため現状は新卒入社の従業員及び管理職の割合が少ない構成となっております。今後も当社グループの事業分野や人材ポートフォリオを踏まえ、中途採用者の採用・管理職への登用にも注力してまいりますが、グループ内で新卒採用を強化する会社を選定するなど、新卒・中途採用にメリハリをつけて採用活動を実施します。当該方針に基づき人材を採用・登用することにより新卒入社の従業員及び管理職の割合をこれまで以上としたいと考えています。
・シニア人材
シニア人材の豊富な社会経験は大きな強みであると認識しており、グループ各社ではシニアが活躍できる職場の拡大に努めております。また、2023年9月にグループインしたヤマト・スタッフ・サプライ㈱はヤマトグループの経験豊富なOB/OGが約9,000名在籍しております。
・外国人人材
当社グループでは、労働人口減少に対応すべく外国人労働者の採用と重要ポジションへの登用の強化を計画しており、それに伴い外国人材のマネジメント層についても増員する必要があると考えていることから、外国人管理職を増員させていく方針です。
また、人材教育ビジネスにおける外国人技能実習生やエンジニア等が自国に帰国した際のキャリアパス実現のサポートや企業のグローバル戦略に対応する事を視野に入れ、新規採用の他、海外事業会社からの人材受入れ等を行い中核人材としての育成を進めていく方針です。
(3)リスク管理
当社グループは、サステナビリティ委員会傘下の人的資本分科会において人的資本に係るリスクを特定し、事業活動に与える影響の把握に努めております。人的資本分科会にて認識したリスクについてはリスクマネジメント委員会と共有し、当社グループ全体の総合的なリスクとして統合管理しております。
(4)指標及び目標
|
分類 |
項目 |
2022 年度 (実績) |
2023 年度 (実績) |
2024 年度 (計画) |
2025 年度 (目標) |
2026 年度 (目標) |
|
研修 |
研修受講者数(人)(注)1 |
17,935 |
19,863 |
20,588 |
- |
- |
|
うち、研究開発職 |
738 |
1,100 |
1,135 |
- |
- |
|
|
エンゲージメント |
従業員エンゲージメント(注)2 |
62.4% |
64.7% |
67.5% |
71.0% |
75.0% |
|
採用 |
重要なポジションの充足率(注)3 |
― |
52% |
55% |
62% |
70% |
(注)1.人材教育ビジネス主要関係会社の合計(㈱ワールドインテック、㈱ワールドスタッフィング、㈱ディンプル)
2.国内主要連結子会社23社の平均値。グループで同じ設問による調査を実施し、回答結果より各社平均値を算出
3.当社及び連結子会社の部長職以上における専任者の比率
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)戦略リスク
① 人材教育ビジネスに関するリスク
(顧客企業の人材需要の減少・変化)
人材教育ビジネスにおいては、市況変動及び地政学的リスク等の海外情勢の変化に伴い、顧客企業における生産計画の低減等があった場合、人材需要が減少し業績に影響を及ぼす可能性もあります。
また、ICT、デジタル技術やロボット導入等が一層進展していく中、多くの業界において産業構造の転換が起きており、それによる人材需要の変化に対応できない場合、業績に影響を及ぼす可能性もあります。
(人材確保・人材育成についてのリスク)
そうした状況で、少子高齢化に伴う社会的な人手不足等がさらに進んだ場合は、人材確保が円滑に進まなくなることも想定され売上機会の損失や原価率の上昇等、業績に影響を及ぼす可能性もあります。
(法令等の制定・改正)
加えて、当事業は、労働基準法、労働者派遣法及びその他関係法令等による法的規制を受けておりますが、社会環境の変化に伴い法令等の制定・改正による規制強化が実施され、事業運営に制限が加わった場合は、業績に影響を及ぼす可能性もあります。
当社グループとしては、研究開発・設計開発・製造・リペア等の「ものづくり領域」を担うプロダクツHR事業と、ロジスティクス・ツーリズム・接客販売等の「サービス領域」を担うサービスHR事業により、幅広い領域にて事業を展開することで、あらゆる市況の変化に柔軟に対応してまいります。また、社員のキャリア形成の幅を広く持つ強みを活かし、人材企業としての魅力をさらに高め“選ばれる”会社となることで優秀な人材確保に繋げ、さらなる成長を図ってまいります。
② 不動産ビジネスに関するリスク
(市況変動)
不動産ビジネスにおいては、景気動向の影響を受けやすいため、大きな市況変動が起こった場合は、業績に様々な影響を及ぼす可能性もあります。具体的には、物件価格下落による販売用不動産の評価損、原材料価格や人件費上昇による建築コストの高騰、競争激化や景気過熱による用地取得コストの上昇、顧客都合による引渡し時期のズレ、金利上昇による企業の投資活動や景況感の減退及び消費者購買意欲の低減等の影響が想定されます。
(法令等の制定・改正)
また、当事業は、宅地建物取引業法、国土利用計画法、建築基準法、都市計画法、宅地造成等規制法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、土壌汚染対策法等の法的規制を受けております。これら法令等の制定・改正により規制強化が実施され、事業運営に制限が加わった場合は、業績に影響を及ぼす可能性もあります。
当社グループとしては、デベロップメント関連だけでなくリノベーション関連、不動産アセットマネジメント等の幅広い領域での事業展開を行うことで景気変動に柔軟に対応していくとともに、慎重なリスクマネジメントによる“無理をしない”慎重な事業展開でリスクを最小限に抑え、景気動向を的確に見極めていくことで安定成長を図ってまいります。
③ 情報通信ビジネスに関するリスク
情報通信ビジネスにおいては、主たる事業が携帯電話販売代理店事業という特性上、総務省による各携帯電話キャリアへの料金規制等の影響を大きく受ける可能性もあります。加えて、販売代理店の競争激化、業界全体での店舗の統廃合等が続いており、競争優位性が確保できない場合は、業績に影響を及ぼす可能性もあります。
また、当事業は、電気通信事業法、独占禁止法、景品表示法、携帯電話不正利用防止法等の法的規制を受けており、法改正等により業績に影響を及ぼす可能性もあります。
当社グループとしては、人材育成と店舗改良等によりホスピタリティの高い優良店舗網の構築を進め、他社との差異化を図ることで競争優位性を確立し、残存者メリット享受に向け事業展開してまいります。
④ 農業公園ビジネスに関するリスク
主たる事業が屋外施設の農業公園運営という特性上、気候変動の影響を大きく受ける可能性もあります。加えて、施設で使用する資源・エネルギー価格の高騰により業績に影響を受ける可能性があります。また、当事業は、食品衛生法、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律、酒税法、動物の愛護及び管理に関する法律等の法的規制を受けており、法改正等があった場合、業績への影響を受ける可能性もあります。
当社グループとしては、安心・安全な施設運営を最優先に事業展開することで、お客様が安心してご利用いただける憩いの場としての社会的役割を果たし、新たな指定管理施設案件の獲得による地域分散と再生可能エネルギー設備の拡充によるコスト効率化などにより、安定運営に努めてまいります。
⑤ M&A、資本提携等に関するリスク
当社グループでは、新規事業開拓のためのM&A、資本提携や企業再生を実施することがありますが、M&A等の実施後の事業・経営の統合プロセス及び事業推進が想定通りに進捗しない場合に、投下資本の回収が困難になる可能性、のれんの減損リスクが発生する可能性もあります。
当社グループとしては、専任組織を設置し、十分な経験を積んだ担当者が案件の調査、交渉、買収後の事業計画策定等を行い、買収後も、定期的にモニタリングし、監督機能を強化することにより、業績向上を目指した経営を行っております。
⑥ 多様な人材の確保・育成に関するリスク
上記「人材・教育ビジネスに関するリスク」に記載のほか、当社グループにおいて事業環境の変化や新たな社会的課題等に対応するための多様な人材の確保や育成に困難を来した場合には、当社グループの競争優位性が確保できず、事業や業績に影響を受ける可能性もあります。
当社グループとしては、人的資本への投資として、専門性や創造性などを有する人材の育成を目的とした様々な研修や、他の事業会社へのジョブローテーションなどを積極的に行い、従業員の成長、能力向上を図っております。また社員のキャリア形成の幅を広く持つ強みを活かし、グループとしての魅力をさらに高め優秀な人材確保に繋げてまいります。
⑦ ファイナンスに関するリスクについて
当社グループは、販売用不動産の主な用地取得資金を主に金融機関からの借入により調達していることから、今後の金融環境の変化、経済情勢・市中金利動向により、金利や手数料等が著しく上昇した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性もあります。このような事態に備えて当社グループでは、主要取引金融機関2行と総額30,000百万円、期間3年間のコミットメントライン契約を締結しており、予め定めた条件下での安定的且つ機動的な資金調達ができる体制を確保しております。
また、当社グループのコミットメントライン契約及びシンジケートローン契約には、一定の財務制限条項が付されており、条項に抵触した場合は、事業継続に必要な資金の調達が行えないことが想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性もあります。当社グループでは、取引金融機関への定期的な財政状態及び経営成績の開示をはじめ、事業計画及び資金計画の報告を行うことで、安定的な関係性の構築に努め、資金調達の安定化を図っております。
(2)業務リスク
① 感染症リスクについて
世界的に拡大した新型コロナウイルス等の感染症は、現状では落ち着きを見せておりますが、新たな感染症発生の可能性も含め未だ当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性もあります。感染症の拡大により、人と人との接触が制約を受けるという特性上、営業活動や採用活動への影響、消費者購買意欲の低下による販売数の減少、顧客企業の生産計画の低減による取引の縮小や終了等、様々な影響が考えられます。
当社グループとしては、引き続き、まずは社員の安全確保・雇用維持を最優先に対策を実施し感染拡大防止に努めてまいります。
また、一方では、コロナ禍で変化したニーズや新たに生まれたニーズ等様々な変化が起こっております。これらの変化を好機と捉え、従前から戦略的に構築してきた複数領域に亘る事業ポートフォリオを持つ強みを活かし、リスク分散と戦略的な注力領域への資本投下を進めることで、さらなる事業成長に繋げてまいります。
② 自然災害リスクについて
大規模な地震、暴風雨、洪水その他の天災地変等により、当社グループ及び取引先等が事業を通常通り行うことが困難となり、収益を逸失するリスク及び収益機会が先送りされるリスクが発生する場合があります。各セグメントにおける営業機会の逸失の他、人材教育ビジネスにおいては顧客企業の生産計画低減によるオーダーの減少等、不動産ビジネスにおいては工期の延長による計上時期のズレや保有不動産の毀損又は滅失等、情報通信ビジネスにおいては在庫の毀損又は滅失、及び店舗の毀損又は滅失等による運営継続難等、農業公園ビジネスにおいては施設の毀損による運営継続難、及び特に屋外施設であることから天候不良による入園者数減等が想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性もあります。
当社グループでは、様々な災害の発生を重要な社会課題と認識し、災害対策マニュアル、復旧対策マニュアル等を策定し、有事に備えて事業継続のための体制を整備しております。
③ 地政学的リスク・カントリーリスクについて
当社グループは、事業活動拠点を国外にも展開しておりますが、国外の国・地域にて、政治的、軍事的、社会的な緊張が高まり、政治活動の混乱や経済活動の悪化、治安の不安定化やテロ、戦争の勃発及び予期せぬ疫病等が発生した場合は、当該地域で展開する当社グループの事業活動に直接支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性もあります。加えて、サプライチェーンの混乱等による燃料・原材料価格の高騰やその他事業環境の変化が生じることにより、当社グループの顧客企業の生産等の事業に影響があった場合には、当社グループの事業に対して影響を及ぼす可能性もあります。
当社グループでは、災害対策マニュアル、復旧対策マニュアル等を策定し、また有事のシナリオを想定した事業継続計画を予め検討するなど、有事に備えて事業継続のための体制を整備しております。
④ 法務・コンプライアンスリスクについて
当社グループの社員や事業活動において、上記各事業に関するリスクに記載する法令等に抵触する事態が発生した場合には、行政処分や訴訟等も想定され、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下に加え、業績と財務状況等に影響を及ぼす可能性もあります。
当該リスクについては当社のグループ法務部を主管部署とし、コンプライアンスを実現するための活動計画の策定・推進など、グループ各社においてコンプライアンス体制を構築し、コンプライアンス経営の徹底に努めております。
⑤ 情報セキュリティ、サイバーセキュリティリスクについて
当社グループは、顧客企業の生産計画や新製品の開発に関わる情報、あるいは個人情報を知りうる立場にあり、不測の事由により情報の漏洩が発生した場合は、損害賠償請求や社会的信用の失墜により、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに業績に影響を及ぼす可能性もあります。加えて、高度化・巧妙化するサイバー攻撃により、個人情報の流出、データ改ざん及びシステムの停止等が発生した場合は、損害賠償請求や社会的信用の失墜により、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに業績に影響を及ぼす可能性もあります。
当該リスクについては、プライバシーマークの取得や、社員へのセキュリティ教育の実施に加え、情報監視室を設置し組織的に監視体制の強化を図り、情報の漏洩及びサイバー攻撃を未然に防ぐよう努めております。
⑥ 気候変動リスク
気候変動にかかる物理的リスクとして、気候変動に起因する自然災害により当社グループの拠点及び保有する不動産、並びに顧客企業が被災し稼働停止等に至った場合には、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに業績に影響を及ぼす可能性もあります。また移行リスクとして、脱炭素への取組強化に関する規制強化や社会的な要求が高まることにより、当社グループ及び顧客企業の事業においてその対応に要するコスト負担が上昇し、さらには産業構造の転換に至る場合には、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性もあります。当社グループとしては、サステナビリティにかかる対応のなかで気候変動リスクへの対応を重要な経営課題と位置づけ、脱炭素社会実現に向けたグループとしての対応の検討を進めてまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍による混乱の収束に伴い、経済活動・社会活動が正常化に向かい緩やかな回復基調にありました。しかし一方では、その需要回復もほぼ一巡したことに加え、海外経済の減速、円安の進行、戦争・地政学リスクの高まりによる混乱、そして半導体市場の低迷等の下押し要因により、依然として先行きの不透明さが続く状況にありました。
このような状況下、当社グループは、セグメントごとに濃淡はあるものの、当社グループの特徴であり強みである「複数事業によるポートフォリオ」で変化に的確に対応したことで安定的な成長を実現でき、売上利益ともに当初計画を上回り増収増益で着地致しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末における総資産は159,204百万円となり、前連結会計年度末と比較して35,613百万円の増加となりました。負債につきましては、負債合計が116,278百万円となり、前連結会計年度末と比較して29,883百万円の増加となりました。純資産につきましては、純資産合計が42,926百万円となり、前連結会計年度末と比較して5,730百万円の増加となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は213,742百万円(前期比16.4%増 / 計画比6.2%増)、営業利益は10,365百万円(前期比16.1%増 / 計画比4.5%増)、経常利益は10,251百万円(前期比14.8%増 / 計画比8.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,204百万円(前期比16.2%増 / 計画比2.6%増)となりました。
セグメント毎の経営成績は次のとおりであります。
プロダクツHR事業は、売上高は101,246百万円(前期比14.3%増 / 計画比6.9%増)、セグメント利益は3,679百万円(前期比9.3%減 / 計画比13.8%減)となりました。
サービスHR事業は、売上高は57,157百万円(前期比29.1%増 / 計画比15.8%増)、セグメント利益は1,193百万円(前期比6.0%増 / 計画比4.2%増)となりました。
不動産事業は、売上高は42,906百万円(前期比12.8%増 / 計画比3.6%減)、セグメント利益は4,590百万円(前期比44.3%増 / 計画比23.3%増)となりました。
情報通信事業は、売上高は7,710百万円(前期比8.2%減 / 計画比4.5%減)、セグメント利益は4百万円(前期比96.6%減 / 計画比98.0%減)となりました。
農業公園事業は、売上高は4,721百万円(前期比9.4%増 / 計画比1.2%増)、セグメント利益は101百万円(前期比35.9%減 / 計画比51.4%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は40,848百万円となり、前連結会計年度末と比較して5,770
百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは3,355百万円の支出となりました。主なプラス要因は、税金等調整前当期純利益10,120百万円、未払費用の増加額954百万円等によるものであり、主なマイナス要因は、売上債権の増加額1,677百万円、販売用不動産の増加額12,658百万円、法人税等の支払額4,862百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは11,484百万円の支出となりました。主なプラス要因は、貸付金の回収による収入275百万円等によるものであり、主なマイナス要因は、有形固定資産の取得による支出4,338百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出6,593百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは20,579百万円の収入となりました。主なプラス要因は、短期借入金の純増減額9,328百万円、長期借入れによる収入22,208百万円等によるものであり、主なマイナス要因は、長期借入金の返済による支出9,325百万円、配当金の支払額1,603百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は、当社グループ全体の事業活動において重要性が乏しいため、記載を省略しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は、当社グループ全体の事業活動において重要性が乏しいため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
プロダクツHR事業(百万円) |
101,246 |
14.3 |
|
サービスHR事業(百万円) |
57,157 |
29.1 |
|
不動産事業(百万円) |
42,906 |
12.8 |
|
情報通信事業(百万円) |
7,710 |
△8.2 |
|
農業公園事業(百万円) |
4,721 |
9.4 |
|
合計(百万円) |
213,742 |
16.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
アマゾンジャパン(同) |
27,305 |
14.9 |
28,676 |
13.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は159,204百万円となり、前連結会計年度末と比較して35,613百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金の増加額5,757百万円、受取手形及び売掛金の増加額6,338百万円、仕掛販売用不動産の増加額9,236百万円、のれんの増加額5,151百万円等によるものであります。
(負債)
負債につきましては、負債合計が116,278百万円となり、前連結会計年度末と比較して29,883百万円の増加となりました。これは主に短期借入金の増加額15,085百万円、未払費用の増加額2,468百万円、長期借入金の増加額7,743百万円等によるものであります。
(純資産)
純資産につきましては、純資産合計が42,926百万円となり、前連結会計年度末と比較して5,730百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加額4,600百万円、非支配株主持分の増加額897百万円等によるものであります。
b.経営成績の分析
(売上高)
基幹事業「人材・教育ビジネス」が主に関わる人材事業では、複数業種をカバーする強みを活かし、様々な業種への対応を進め、変化に柔軟に対応したことで堅調に推移し、売上高は158,403百万円(前期比19.2%増 / 計画比9.9%増)となりました。不動産事業は、未だ不動産価格の高止まりが続く中、慎重な事業展開を進めておりますが、前倒し等も含め最適な売却タイミングを捉え事業用地等の販売・引渡しを進めたことで、売上高は42,906百万円(前期比12.8%増 / 計画比3.6%減)となりました。情報通信事業は、携帯電話販売代理店業界が大きな変革期にある中、主力であるモバイルショップ運営においては、販売台数の減少に加え、利用料金の値下げによる1ユーザーあたりの利用単価の減少や、各通信事業者からの手数料収入の減少により、売上高は7,710百万円(前期比8.2%減 / 計画比4.5%減)となりました。農業公園事業は、コンテンツの充実化を進めたことで客単価の上昇に繋がったことにより売上高は4,721百万円(前期比9.4%増 / 計画比1.2%増)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は176,122百万円(前期比15.9%増)となり、販売費及び一般管理費は27,254百万円(前期比19.8%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は6,204百万円(前期比16.2%増)となりました。
c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(プロダクツHR事業)
プロダクツHR事業は、半導体市場の低迷によるオーダー減等の影響があったものの、複数業種をカバーする強みを活かし、自動車業界をはじめとした様々な業種への対応を進め、変化に柔軟に対応したことで堅調に推移致しました。また、過去最多となる1,200名を超える新卒社員の採用・人材育成等への投資に加え、想定外であった他業種への人員シフトにかかるコスト等があったこともあり、増収減益で着地致しました。
5月には、高度な機械設計技術者を多く抱える㈱日本技術センターをグループに迎え入れ、技術部門の強化、及び、強みである「受託」事業の更なる深化を図りました。
また、今後見込まれる九州地区をはじめとした半導体業界の成長に向け、熊本県大津町でのテクニカルセンター立ち上げ準備や、1,000人規模での半導体人材を育成できる体制を整えるなど人材育成投資を行い、次期以降の更なる成長への準備を進めるとともに、販管費の削減・バックオフィスの生産性向上に向けたDX化等への投資等も併せて推し進めました。
以上の結果、売上高は101,246百万円(前期比14.3%増 / 計画比6.9%増)、セグメント利益は3,679百万円(前期比9.3%減 / 計画比13.8%減)となりました。また、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して9,031百万円増加の37,993百万円となりました。
(サービスHR事業)
サービスHR事業は、前年上期にあった特需案件の終了による反動減、及び、eコマース市場におけるコロナ巣ごもり需要特需の反動による物量減等の逆境からのスタートでありましたが、年度後半でのロジスティクス部門の回復、インバウンド増を好機とした接客販売部門の伸長等により、年度計画を上回り増収増益で着地致しました。
また、7月にヤマトホールディングス㈱と戦略的業務提携、そして9月には同社子会社であったヤマト・スタッフ・サプライ㈱をグループに迎え入れることで、本セグメントの主力であるロジスティクス部門の強化を図りました。これまで培ってきた、レイバーマネジメントのノウハウを活かし、派遣発注管理代行等の新たなビジネス展開に繋げるとともに、物流業界の生産性向上など業界の変革に貢献すべく体制・施策整備を推し進めました。
以上の結果、売上高は57,157百万円(前期比29.1%増 / 計画比15.8%増)、セグメント利益は1,193百万円(前期比6.0%増 / 計画比4.2%増)となりました。また、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して7,285百万円増加の20,579百万円となりました。
(不動産事業)
不動産事業は、未だ不動産価格の高止まりが続く中、慎重な事業展開を進めておりますが、前倒し等も含め最適な売却タイミングを捉え事業用地等の販売・引渡しを進めたことで、特に利益面が上振れ、増収増益で着地致しました。利益面に関しては、高収益物件の販売を進めたことに加え、当初想定していた販促費等のコストをかけずに販売を進められたことなども相俟って大きく上振れ致しました。
マンション案件としては、東京都豊島区の「レジデンシャル池袋本町」、渋谷区の「アトラスタワー白金レジデンシャル」、港区の「アトラス青山レジデンシャル」、福岡県福岡市の「レジデンシャル原ブランシエラ」、宮城県仙台市の「レジデンシャル青葉広瀬川」等物件の引渡しが順調に進みました。
また、仕入に関しては、慎重な事業展開ながらも当社の強みである事業用地開発のノウハウを活かし、リスクを最小限に抑えつつ次年度以降に繋がる物件の確保を着実に推し進めました。
以上の結果、売上高は42,906百万円(前期比12.8%増 / 計画比3.6%減)、セグメント利益は4,590百万円(前期比44.3%増 / 計画比23.3%増)となりました。また、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して19,664百万円増加の85,398百万円となりました。
(情報通信事業)
情報通信事業は、携帯電話販売代理店業界が大きな変革期にある中、主力であるモバイルショップ運営においては、販売台数の減少に加え、利用料金の値下げによる1ユーザーあたりの利用単価の減少や、各通信事業者からの手数料収入が減少し売上利益ともに計画を下回り、減収減益となりました。
足下ではモバイルショップのスクラップ&ビルドを行い効率化を進めながら、当セグメントが従前より持つ法人向けソリューション部門の強みを活かし、個人向けであったモバイルショップ網に法人向けの課題解決ノウハウを融合することで、個人法人を含めた地域の課題解決拠点としてのプレゼンス向上と再成長を図ってまいります。
以上の結果、売上高は7,710百万円(前期比8.2%減 / 計画比4.5%減)、セグメント利益は4百万円(前期比96.6%減 / 計画比98.0%減)となりました。また、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して4百万円減少の3,116百万円となりました。
(農業公園事業)
農業公園事業は、コンテンツの充実化を進めたことで客単価の上昇に繋がり売上増となったものの、電気料金の高騰や仕入れ原価の上昇等で利益面の押下げ要因があったことに加え、年間の最繁忙期である5月の天候不良と夏季の猛暑の影響で入園者数が伸び悩み、利益面が計画を下振れ、増収減益となりました。
一方で、4月からは新たに大阪府河内長野市にある「大阪府立花の文化園」の指定管理をスタートし、さらには来期以降に繋がる新たな指定管理案件受託に向けた準備を推し進めました。
また、茨城県にある「こもれび森のイバライド」に続き、各施設で温室効果ガス削減と電気料金の削減を目的とした太陽光発電設備・蓄電池設備の導入検討を進めるなど、広大な屋外施設を持つ強みを活かした環境配慮の取り組みも推し進めました。
以上の結果、売上高は4,721百万円(前期比9.4%増 / 計画比1.2%増)、セグメント利益は101百万円(前期比35.9%減 / 計画比51.4%減)となりました。また、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して91百万円増加の3,111百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
1)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
2)資本の財源及び資金の流動性
当社グループにおける資金需要は、主として不動産事業における事業用地購入資金、建物建築資金及びM&A資金であります。これらの必要資金は主に金融機関からの借入金により調達しております。また、主要取引金融機関2行とそれぞれ借入極度額15,000百万円、期間3年のコミットメントライン契約を当連結会計年度中に締結しており、機動的かつ安定的な資金調達に備えております。
当連結会計年度末の短期借入金の残高45,883百万円のうち不動産関連資金が39,836百万円、子会社株式取得資金が1,642百万円、長期借入金の残高32,893百万円のうち不動産関連資金が20,185百万円、子会社株式取得資金が10,773百万円となっております。
今後も不動産関連資金及び子会社株式取得資金の調達が見込まれる中、金融市場の動向を的確に把握するとともに低利かつ有利な資金の調達を図ってまいります。
③重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国で一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっての会計基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
① 情報通信事業における一次代理店との契約については、以下のとおりであります。
|
契約会社名 |
相手先の名称 |
相手先の所在地 |
契約締結日 |
契約期間 |
契約内容 |
|
㈱ワールドスタイル |
㈱ジェイ・コミュニケーション |
東京都豊島区西池袋一丁目4番10号 |
2017年 12月27日 |
1年毎の自動更新 |
代理店基本契約書 |
|
㈱ネットワークソリューション |
テレコムサービス㈱ |
東京都豊島区西池袋一丁目4番10号 |
2005年 12月29日 |
1年毎の自動更新 |
代理店基本契約書 |
② 金融機関とのコミットメントライン契約については、以下のとおりであります。
|
契約会社名 |
相手先の名称 |
借入極度額 |
契約締結日 |
契約期間 |
契約形態 |
|
㈱ワールドホールディングス |
㈱福岡銀行 |
15,000百万円 |
2023年 9月29日 |
2023年9月29日 ~2026年9月30日 |
相対型 |
|
㈱ワールドホールディングス |
㈱西日本シティ銀行 |
15,000百万円 |
2023年 12月29日 |
2023年12月29日 ~2026年12月30日 |
相対型 |
③ 当社は、2023年4月20日開催の取締役会において、㈱日本技術センターの全株式を取得し、子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。また、2023年5月22日付で、同社の株式を取得し、子会社といたしました。
2023年7月27日開催の取締役会において、当社の連結子会社である㈱ワールドスタッフィングがヤマト・スタッフ・サプライ㈱の51%の株式を取得し、子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。また、2023年9月1日に株式を取得し、子会社といたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載の通りです。
記載すべき事項はありません。