独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

 

 

 

2024年3月21日

 

 

花王株式会社

取締役会 御中

 

 

 

有限責任監査法人トーマツ

東京事務所

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

山   野   辺   純   一

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

井  上  浩  二

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

中   島   雄   一   朗

 

 

<連結財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている花王株式会社の2023年1月1日から2023年12月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書及び連結財務諸表に関する注記事項について監査を行った。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条により規定された国際会計基準に準拠して、花王株式会社及び連結子会社の2023年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

 

のれんの評価(株式会社カネボウ化粧品の企業結合に係るのれん)

監査上の主要な検討事項の
内容及び決定理由

監査上の対応

連結財政状態計算書に計上されているのれん(残高218,886百万円)には、【連結財務諸表に関する注記事項】13.のれん及び無形資産に記載されているとおり株式会社カネボウ化粧品の企業結合に係るのれん119,400百万円が含まれており、総資産の6.7%を占めている。また、同注記においてのれんの減損テストで用いた仮定を開示している。

会社は、減損テストの回収可能価額を使用価値により測定している。使用価値は、キャッシュ・フローの予測の割引現在価値として算定しており、使用価値の基礎となるキャッシュ・フローの予測は、過去の実績及び将来の予測を反映した化粧品事業の中期計画(以下中期計画とする)に基づいている。

中期計画には、地域別及びブランド別の売上高の予測が含まれ、予測には中国市場の動向や化粧品市場の環境変化の影響が考慮されている。予測の決定に用いられた成長率は資金生成単位が属する市場の成長率予測等と整合したものとなっており、経営者によって承認された予測を超える期間のキャッシュ・フローの予測については各期とも成長率を0%としている。また、資金生成単位の加重平均資本コスト(WACC)7.9%により現在価値に割り引いて算定している。

売上高の成長率及び割引率については、中国市場の動向や化粧品市場の予測等といった不確実性を伴い、経営者の判断が必要であるため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

 

当監査法人は、株式会社カネボウ化粧品の企業結合に係るのれんの評価に関連する使用価値の見積りの合理性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。

(1)内部統制の評価

のれんを含む資金生成単位グループの減損損失の認識の要否の判定に関連する内部統制の整備・運用状況の有効性を評価した。

(2)使用価値の見積りの合理性の評価

・キャッシュ・フローの予測について、前連結会計年度の減損テストを実施するにあたり使用された中期計画に含まれる地域別及びブランド別の売上高予測を、当連結会計年度の実績と比較し、中国市場の動向や化粧品市場の環境変化の影響も考慮し、達成状況を遡及的に検討した。

・当連結会計年度の減損テストを実施するにあたり使用された中期計画に含まれる地域別及びブランド別の売上高予測を裏付ける販売戦略について、化粧品事業の責任者等に対し質問を実施した。

・使用価値の見積りに含まれる主要な仮定である中期計画の作成において参照された市場の成長率予測等について、外部の専門機関による化粧品市場の市場調査レポートデータとの比較及び過去の実績からの趨勢分析を実施した。

・割引率について、加重平均資本コスト(WACC)について当監査法人のネットワーク・ファームの専門家による見積り結果と比較し、合理性を評価した。

・当連結会計年度の減損判定に用いた主要な仮定が合理的に予測可能な範囲で変化した場合の使用価値について、のれんを含む資金生成単位グループにおける帳簿価額と比較した。

 

 

 

 

中国自工場生産終了に関する会計処理

監査上の主要な検討事項の
内容及び決定理由

監査上の対応

会社は、2023年8月3日開催の取締役会において、中期的な収益改善と事業基盤の強化を図るべく構造改革に取り組んでいくことを決議し、主な構造改革の施策である「非効率事業の抜本的戦略見直し・再編」の一環として、ハイジーン&リビングケア事業に含まれるベビー用紙おむつ事業の中国自工場生産の終了を決議している。

 

この結果、会社は、【連結財務諸表に関する注記事項】6.セグメント情報記載されているとおり、ハイジーン&リビングケア事業における構造改革に係る影響として21,785百万円の費用を計上しており、その中には中国自工場の固定資産に係る減損損失9,090百万円及び工場生産終了に伴って発生する費用1,049百万円が含まれている。

会社は、減損損失の計上にあたり、不動産売却見込額に基づき固定資産の公正価値を見積り、固定資産の帳簿価額を処分費用控除後の公正価値まで減額している。また、従業員に対する経済補償金の支払い等、工場生産終了に伴って発生する支出を網羅的に識別した上で費用を計上している。

 

固定資産の公正価値の見積りや工場生産終了に伴う支出の網羅的な識別及び見積り等中国自工場生産終了に関する会計処理は、固定資産の利用方針に関する経営者の判断や、中国の法制度及び商慣習に影響を受ける不確実性の高い領域であるため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

 

当監査法人は、中国自工場生産終了に関する会計処理の適切性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。監査手続については、当監査法人のネットワーク・ファームの構成単位監査人及び内部専門家を関与させた。

(1) 内部統制の評価

工場生産終了に伴って発生する費用を適切に計上するための内部統制の整備・運用状況の有効性を評価した。

(2) 公正価値の見積りの合理性の評価

・不動産処分に係る計画及び進捗状況の把握のために、中国事業責任者への質問及び董事会等の議事録の閲覧を行った。

・減損損失計上額の妥当性を検討するために、固定資産の帳簿価額と処分費用控除後の公正価値の比較を行った。

・公正価値の検討のために、会社が外部より入手した不動産評価書、売却候補先が提示した不動産売却見込額に関する資料及び売却候補先との交渉状況に関する記録を閲覧した。

・不動産売却見込額を公正価値とする固定資産が売却可能な状態であるかを検討するために、固定資産実物の視察を行った。

(3) 工場生産終了に伴い認識した費用の検討

・従業員に支払う経済補償金に関する費用の検討のために、支給金額を決定した董事会議事録の閲覧及び出金記録との突合を行った。

・中途解約した契約の違約金等工場生産終了に伴い認識した費用の検討のために、関連する契約一覧、契約書及び出金記録等の閲覧を行った。

(4)工場生産終了に伴って発生する費用の網羅性の検討

・工場生産終了に係る計画及び進捗状況の把握のために、中国事業責任者への質問及び董事会等の議事録の閲覧を行った。

・同国において工場生産終了を行う場合に通常発生する費用の内容を検討した。

・棚卸資産や売掛金等の固定資産以外の資産の評価やその他の費用の発生可能性を検討した。

 

 

 

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

 

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<内部統制監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、花王株式会社の2023年12月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。

当監査法人は、花王株式会社が2023年12月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

 

内部統制監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 

<報酬関連情報>

当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】に記載されている。

 

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以  上

 

 

(注)1 上記は監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

 2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

E00883-000 2024-03-22 E00883-000 2024-03-22 jpcrp_cor:Row1Member E00883-000 2024-03-22 jpcrp_cor:Row2Member