第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、日本及びアジア諸国の医療に貢献するため、海外又は国内の製薬企業又はバイオベンチャー企業から有望な新薬候補品を導入し、日本及びアジア諸国における臨床開発を中心とした開発活動を通じ、製品を医薬品市場に供給することを経営基本方針としています。

 

(2)目標とする経営指標

現在の当社グループが目標とする経営指標は、開発品の価値向上にあります。将来収益の源泉となる開発品価値は、臨床開発を推進することにより増大します。当社グループはこれを目標とするため、①成功確率を重視した新規開発品の導入、②短期的な上市を可能とするための効率的な臨床開発を実践しています。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

① 当社グループの事業領域

現在、日本及び中国では悪性腫瘍(一般に悪性新生物又はがんという。以下同じ)が死因の第一位を占めており、その他のアジア諸国でも死因の上位を占める傾向にあります。当社グループは、悪性腫瘍治療を目的とする医薬品の開発及び販売を主たる事業領域としています。また、悪性腫瘍治療薬の投与や放射線治療によって生じる有害事象(副作用等)を軽減し、悪性腫瘍に対する治療及び患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)向上が期待できる医薬品及び医療機器の開発及び販売も事業領域としています。

 

② 製薬バリュー・チェーン(初期研究活動から事業化までの機能連鎖)での位置づけ

標準的な製薬バリュー・チェーンは、上流の基礎研究、製剤研究、非臨床開発の各機能、中流の臨床開発機能、下流の製造、マーケティング、販売の各機能により構成されます。当社グループは開発候補品の導入から薬事承認を取得するまでの臨床開発機能及び承認申請を含む当局対応機能等を中心とした事業を推進しています。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 既存開発パイプライン/技術の進捗

当社グループの将来の収益基盤は開発パイプラインの成功にかかっており、既存開発パイプラインの臨床試験を中心とした製品開発推進、承認取得が企業価値向上には必要不可欠であると認識しております。また医薬品関連技術の進捗も企業価値向上の重要手段と認識しております。

 

② 新規開発パイプライン/技術の拡充

 当社グループにおいて、開発パイプラインの充実は企業価値向上に直結し、将来の収益に大きく影響します。当社グループのビジネスモデルは、臨床試験の計画及び実施等の開発行為によって付加価値を高めた製品の導出又は販売であり、当社グループの特徴である製品開発機能を最大限活かすために、臨床試験開始前の開発早期ステージから承認直前の後期ステージにある開発候補品までをバランスよく導入することを目指してまいります。また、当社グループは、経営資源を主にがん治療薬及びがん支持療法薬又は医療機器に集約し、がん治療全般に貢献し得る新薬や新医療機器の開発候補品を積極的に探索してまいります。このほか、当社開発パイプラインの拡充に資する新規技術の探索導入も継続的に推進してまいります。

 

③ 強固な販売パートナーシップの構築

  当社グループの収益確保のビジネスモデルは、当社グループにより開発が完了した製品の権利導出又は販売によって実現いたします。各地域で確立された販売網を持つ強力かつ信頼できるパートナー企業への販売権導出を通じてのパートナーシップが極めて重要になります。当社グループは、これらの収益化の構築及び強化のため、各事業領域において一定の実績を有するパートナー企業との連携を積極的に推進してまいります。

④ 組織の強化

 当社グループでは、いずれの部門も、専門領域の知識及び経験並びにマネジメント能力を有するスタッフを採用し、配置することに努めていますが、開発パイプライン拡充による製品開発活動量の増加、製品の品質確保、製品製造及び販売等に要する信頼性保証等に対応するためには、適切な人員増加と効率的な組織編制が重要になってまいります。また、当社グループが継続的に株主の期待に応えられる企業であるためには、年齢、性別を問わずバランスの良い人材配置と蓄積された知識・経験の次世代への伝達が不可欠であると考えられます。当社グループでは、組織の規模を追うことなく、少数の専門スタッフを最大限に活用する組織構築を念頭に、中長期の視点による必要人員の確保、育成及び組織強化に積極的に取り組んでまいります。また、当社グループのビジネスモデルの実践に際しては、当社グループのスタッフと外部専門家及び外部委託機関との連携が不可欠です。今後も、専門性の高い外部専門家及び外部委託機関と対等の協力関係を築くことを重視し、当社グループ人材を中心とする最適なチームを構築してまいります。

⑤ 内部統制の強化

 当社グループは、当社グループのビジネスモデルの実現及び継続のため、事業及び企業規模に応じて、業務執行の妥当性、効率性、企業倫理、法令遵守に留意するとともに、継続的にステークホルダーの期待に応えられる企業となるべく、リスク管理及びコンプライアンス管理等の内部統制の徹底を図ってまいります。

⑥ 資金調達の実施

 上記のとおり、企業価値の向上を図るためには開発パイプラインの強化が必要ですが、一方で臨床試験等遂行のための開発費支出やライセンス導入費等の支払いが先行するため、これらへの一定の資金需要が存在しております。当社グループは、これまでの製品販売、製薬企業への開発品導出、新株発行、社債発行、新株予約権発行を通じて資金を調達してまいりました。事業基盤強化のための資金調達の可能性は今後も継続して検討し、企業価値向上に資する事業活動に支障が生じないように努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)ガバナンス

 当社グループではサステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他の経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理しております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

(2)戦略

 当社グループが継続的に株主の期待に応えられる企業であるためには、年齢、性別を問わず多様な人材の確保育成、バランスの良い人材配置と蓄積された知識・経験の次世代への伝達が不可欠であると考えられます。当社グループでは、組織の規模を追うことなく、少数の専門スタッフを最大限に活用する組織構築を念頭に、中長期の視点による必要人員の確保、育成及び組織強化に積極的に取り組んでまいります。具体的には、フレックスタイム制度等、社員がワークライフバランスを実現しやすい制度、取締役及び社員を対象としたインセンティブ制度等、人材確保のための各種制度の整備並びに社内外の機会を捉えた社員教育を行っております。

 上記の点以外に現状重要性の高いサステナビリティ関連リスク及び機会を認識していないため、その他の戦略については記載を省略しております。

 

(3)リスク管理

 当社グループではサステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理しております。詳細は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ⑤ リスク管理体制の整備の状況」をご参照ください。

(4)指標及び目標

 上記(2)戦略で記載した、多様な人材の確保及び育成について、現時点では定量的な指標や目標は設定しておりませんが、達成に向けて進捗を注視していくとともに、指標や目標の設定要否についても引き続き検討する予定です。

 上記の点以外に現状重要性の高いサステナビリティ関連リスク及び機会を認識していないため、その他の指標及び目標については記載を省略しております。

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループの財政状態及び経営成績に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を下記に記載しています。また、必ずしも事業上のリスク要因に該当しないと考えられる事項についても、投資家の判断において重要と考えられる事項は、積極的な情報開示の観点から記載しています。当社グループは、これら事業等のリスクを認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応を図り事業活動を行っていますが、このような諸策の成否には不確実性が存在します。また、当社グループの事業はこれら以外にも様々なリスクを伴っており、下記の記載はリスクを網羅するものではありません。当社グループは、医薬品等の開発を行っていますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、すべての開発が成功するとは限りません。特に販売開始前の研究開発段階のパイプラインを有する製品開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。

なお、文中における将来に関する事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 研究開発の失敗に関する事項

当社グループの開発品は、既に販売開始となったもの、当局により承認を取得したもの、臨床試験の最終段階にあるものもあります。これら開発品には、今後の開発活動等において主に下記のとおりのリスクが付帯しています。

 

・医薬品等の有効性若しくは安全性に対する、臨床試験等の結果の不確実性

・臨床試験等の開発活動運営の不確実性

・開発活動への投資額や所要期間の不確実性

・法令や規制、規制当局指導の不確実性

・開発品の競合関係の不確実性

・導入や導出、開発委託等の提携関係の不確実性

・開発主体である当社組織の不確実性

・特許侵害等の知的財産権の不確実性

 

これらリスクが顕在化した場合には、当該開発品の開発方針の変更、開発延期、延長又は中止という事態(以下「開発品の中止等」という。)が生じる可能性があります。

開発品の中止等が生じた場合には、当該開発品に対して計画していた将来収益を失うほか、主に以下の事象を生じせしめ、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼすこととなります。但し、開発品の中止等に起因する下記事象は、それを網羅するものではありません。以下は、これら事象により影響を受けると考えられる勘定科目の、過去の連結財政状態計算書の数値です。

(単位:百万円)

第15期

2022年12月期

連結会計年度

第16期

2023年12月期

連結会計年度

決算年月

2022年12月31日

2023年12月31日

棚卸資産

14

122

無形資産

1,570

1,117

負債合計

472

354

資本金

1,436

1,596

資本剰余金

1,500

1,657

利益剰余金

△223

△1,336

資本合計

2,662

1,875

 

① 棚卸資産の評価損

開発品の中止等が生じた場合、かかる開発品の棚卸資産の一部若しくは全部が評価減されることとなり、連結損益計算書上で評価損が計上され、同額だけ連結財政状態計算書上の利益剰余金及び資本合計が減少することとなります。

 

② 無形資産の減損

当社グループは、採用する国際会計基準(IFRS)に基づき、開発品への投資のうち資産性を有すると認識される開発費用、導入費用及びかかる資金コストにつき、これを連結財政状態計算書上の無形資産として計上する会計処理を行っています。開発品の中止等が生じた場合、かかる開発品に対して計上された無形資産の一部若しくは全部が減損されることとなり、連結損益計算書上で減損損失が計上され、同額だけ連結財政状態計算書上の利益剰余金及び資本合計が減少することとなります。

 

(2) 医薬品等の研究開発事業一般に関する事項

① 研究開発の不確実性に関する事項

当社グループは医薬品等の開発を主業務としています。近年の診断理論及び技術、また遺伝子レベルでの病因解析に基づいた新薬の効果安全性を予見する技術の向上にもかかわらず、最終的な効果及び安全性は臨床試験での検討あるいは検証を要することから、その成功の可能性は、他産業に比して極めて低いものとされています。これらのことから、一般的に、医薬品等の研究開発期間は、基礎研究段階から承認取得に至るまで長期間を要し、相当規模の研究開発投資が必要と考えられています。

医薬品等の開発過程においては、臨床試験結果等に起因して、開発方針の変更、開発延期、延長又は中止となる場合があります。このことから、研究開発活動の将来性は不確実性を伴っています。

医薬品等の開発は、主に開発を計画して運営する製薬企業、臨床試験を実施する医師及び医療施設、さらに開発プロセスの監督及び承認権限を有する規制当局の三者によって実施されます。製薬企業が科学的根拠に基づき作成した開発計画あるいは臨床試験計画についても、臨床試験を実施する医師の見解あるいは医療施設側において計画どおりに試験が実施できる可能性等によって計画変更を余儀なくされる場合があります。また、規制当局からの要望又は指導等により、当社グループの方針にかかわらず計画の変更を余儀なくされる場合があります。また、医薬品等業界は規制業種であり、開発をはじめとする医薬品等事業全般には、医薬品医療機器等法や他の法令に基づいて計画・実施することが求められます。法令は定期的又は不定期に変更・改訂される場合があります。これらの要因により、開発方針の変更、開発延期、延長又は中止を招く場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 導入活動の不確実性に関する事項

当社グループは、開発パイプラインの拡充にあたっては導入の手法を活用しています。近年、世界的に新薬や新医療機器の開発候補品が限られてきており、大手製薬企業等も自らの基礎研究から輩出される新薬や新医療機器の開発候補品に加えて、積極的な候補品導入活動を行っていることから、当社グループの目指す疾患領域であるがん領域における有望な開発候補品獲得において、これら世界的製薬企業等との厳しい競合も想定されます。導入における他社との競合に起因する製品候補品導入の不確実性は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

③ 医薬品等業界の競合関係に関する事項

当社グループの属する医薬品等業界は、国際的な巨大企業を含む国内外の数多くの企業や研究機関等による、研究、開発、製造及び販売の各分野で競争が激しい状態にあります。当社グループの開発パイプラインには、同業他社が同じ適応症で開発を進めている競合品が存在するため、競合品の開発進捗状況あるいはその結果によっては、当社グループ製品の優位性を示せない可能性があり、将来の開発品についても同様です。従って、これら競合相手との、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動における競争の結果により、当社グループの製品開発や販売が計画どおりに推移しない場合、財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

④ 副作用、製造物責任に関する事項

通常、医薬品は本来期待する治療効果とともに、期待されない副作用の両面を併せ持っています。医薬品の安全性は、動物を用いた非臨床試験の中で十分に検討されますが、ヒトに使用した場合、種の違いによる予期できない副作用が発現する可能性は否定できません。また少数例での臨床試験では検出されなかった発現頻度の低い副作用が、当該医薬品の上市後、より多く使用される段階で検出される可能性もあります。

当社グループでは、これら臨床試験中又は市販後の副作用発生による補償又は賠償に対応するために、想定し得る範囲で治験保険あるいは製造物責任保険に加入していますが、補償範囲外の賠償責任を問われる可能性は否定できません。また、重篤な副作用や死亡例の発現は、製品及び企業イメージを大きく損ねることとなり、当該製品以外の事業への影響も考えられます。重篤な副作用の発現等により、製品の回収、製造販売の中止、薬害訴訟の提起、製造物責任賠償等が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

⑤ 医薬品医療機器等法その他の規制に関する事項

当社グループの属する医薬品等業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の医薬品医療機器等法、薬事行政指導、医療保険制度及びその他関係法令等により、様々な規制を受けています。

医薬品等は基礎研究から製造販売承認を取得するまでには、多大な開発コストと長い年月を必要とします。品質、有効性及び安全性に関する十分なデータが得られず、医薬品等としての有用性を規制当局が認めない場合には、承認が計画どおり取得できず上市が困難になる可能性があります。これは開発品を他社に導出する場合も同様であり、当初計画した条件での導出が行えない可能性、導出そのものが困難になる可能性、導出した場合にその契約内容が変更になる可能性若しくは導出契約が解消される可能性があります。また、当社開発品への承認を取得できた際にも、健康保険の対象として保険収載されない場合や、計画どおりの保険価格が付されない可能性があります。このような事象が生じた場合、また、将来各国の医薬品医療機器等法等の諸規制に大きな変化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(3) 当社グループの事業活動に関する事項

① 導出に関する事項

当社グループは、開発品の収益化について、開発品を開発の途中段階で他社に導出し、一時金や導出先の販売高に連動して収益を受領する導出モデルを採用しております。しかしながら、開発の遅延その他の理由により計画どおりの時期に導出ができない場合、導出を行った場合において想定できない状況により導出契約の内容が変更となる場合若しくは導出契約が解消される場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。また、導出を予定している開発品に関して、導出そのものが困難になった場合にも、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

② 提携関係に関する事項

当社グループは、開発品の導入や導出のほか、研究開発の各段階において広範な提携関係を構築し、それによって固定費の増加を回避しつつ最先端技術の取込みを図っています。特に臨床開発部門では、組織の規模拡大を一義とせず、自社では専門性を有する少数の人材を確保するに留め、外部専門家及び外部委託機関との協力・協業によって企業活動を遂行しています。当社グループは、自社の研究開発人員とこれらの提携関係をもって研究開発体制を構築しています。同様に固定費増加の回避等を目的として、将来自社で販売を計画している開発品の販売体制や製品製造・調達体制においても、様々な提携関係を構築しています。これら提携関係のうち、特に重要と考えられる契約は、「5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。今後も事業基盤の強化、効率的な経営の実現に向けて、広範な提携関係構築を検討してまいりますが、期待どおりに提携関係が構築できない場合、提携関係に想定し得ない変化が生じた場合、提携の効果が当初の期待を下回る場合、若しくは提携関係が当社グループの意図に反して解消された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

③ 会社組織に関する事項

a 業歴に関する事項

当社は、2006年に創業し、連結子会社である中国法人は2014年に設立されています。当社グループでは、医薬品等業界又はその他専門分野での経験を有する人材の登用と維持に努めていますが、企業体としての経験はいまだ浅く、今後予測できない事業上の問題等が発生し、これに対応する人材の確保もしくは維持ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

b 小規模組織に関する事項

当社グループは、医薬品等を取り扱う企業としては小規模組織であるために、役職員一人一人が担当する業務及び責任範囲は相対的に広範となる場合が多く、退職あるいは休職等に対応する補充要員が十分でない環境にあります。今後の事業拡大に伴い、必要な人員増加を図ってまいりますが、多くの人材流出等があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

c 人材の確保及び育成に関する事項

当社グループの事業活動は、現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者や構成員等に強く依存しています。そのため、常に必要とされる人材の確保と育成に努めていますが、このような人材確保又は育成が計画どおりに行えない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

④ 事業地域に関する事項

a 中国固有のカントリー・リスクに関する事項

当社グループ事業は主にアジアを対象としており、その中心は日本及び中国です。中国の医薬品等産業は中国政府の厳しい監督管理下での規制を受けており、政策、規制、法律等に変化が生じた場合には、当社グループの経営戦略や事業活動の制約要因となり、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

b 中国での雇用に関する事項

当社グループは、中国での事業活動に際し、中国人従業員を採用しています。中国の労働環境は、社会制度の違いにより日本に比べて企業による管理が困難な場合があり、従業員の採用、解雇、退職などに関わる人事問題、また、賃金、残業等に関わる給与問題、不正行為等について、対応が困難な局面が生じる可能性があると考えています。当社グループでは、これら労務管理上の諸問題を事前に回避すべく最大限努力する所存ですが、当該事象が顕在化し解決までに長期間を要す場合、又は多額の費用が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

c 中国の開発活動に関する事項

当社が現在保有している開発品は、中国で開発販売権を有しており、そのうち、SP-01は2018年7月に、SP-03は2019年2月に、中国当局の承認を受けております。一方で、SP-02とSP-04においては、今後も中国での開発活動を推進する可能性があります。医薬品等の開発活動は、前掲「医薬品医療機器等法その他の規制に関する事項」のとおり様々な規制のもとで推進することが必要ですが、中国の規制が日本等の他の国との規制が相違する場合、中国での開発活動がその影響を受けることは否定できません。

 

⑤ 訴訟等に関する事項

当社グループは、本書提出日現在において提起されている訴訟はありません。しかしながら、将来何らかの事由の発生により、訴訟等による請求を受ける可能性を完全に回避することは困難であり、このような事態が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

⑥ 知的財産権に関する事項

当社グループは研究開発活動等において様々な知的財産権を使用しており、これらは当社グループ所有の権利であるか、あるいは適法に使用許諾を受けた権利であるものと認識しています。しかしながら、出願中の特許が登録に至らない、若しくは特許の一部のみしか登録に至らない可能性があります。また、当社グループが所有又は使用許諾を受けた知的財産権に優位する知的財産権が第三者によって生み出される可能性や、第三者の知的財産権の侵害に基づく将来の係争を完全に回避することは困難であり、こうした結果、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

⑦ 情報管理に関する事項

当社グループは、事業の過程において技術、営業に関しての機密情報を保持し、また一定の個人情報を有しています。これらの情報の外部への不正な流出を防止するため、セキュリティシステムの継続的な改善を図るとともに、情報の取り扱いに関する社員教育や、情報へのアクセス管理等、内部管理体制についても強化しています。しかしながら、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は存在し、このような事態が生じた場合、社会的信用の失墜を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 業績、財務及び資本政策等に関する事項

① 財務状況について

当社グループは、医薬品等の研究開発とその販売を業としています。医薬品等の研究開発は多額の先行投資を要し、かつその期間は中長期に亘ることから、収益確保、投資資金回収には相当程度の期間を要するものとなります。2018年5月、2019年3月、2019年7月、2022年8月に当社製品の上市を達成しましたが、いずれも現時点で市場浸透度は充分ではありません。このことから、事業全体としても先行投資の段階にあり、研究開発活動の失敗を原因としない損益計算上の損失計上、収支計算上の営業キャッシュ・フローマイナスの計上という状況が継続的に生じています。

これまでの先行投資の結果として、当局承認を経て上市に到達した開発品、医薬品等の事業化プロセスの後期段階にある開発品ポートフォリオを保持するに至り、今後も製品開発、承認獲得及び製品上市を通じ、更なる企業価値向上と中長期視点に基づく財務状況改善を図る計画にあります。このうち、当社開発品SP-03(国内販売名:「エピシル® 口腔用液」)の日本事業化においては2018年5月に、当社開発品SP-01及び当社開発品SP-03の中国事業化では2019年3月、2019年7月に、当社開発品SP-02の日本事業化においては2022年8月にそれぞれ製品上市を達成しております。このことは、これまでの先行投資一辺倒であった財務状況から、一定の経常的な収益を計上しうる事業構造への転換点に到達したものと見込まれ、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象は現時点で存在せず、またそのような状況に現時点で該当しないと判断しております。但し、承認獲得及び製品上市には不確実性を有し、当社グループの計画どおりに製品開発と事業化が進捗しない場合には、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 過年度の業績推移等に関する事項

当社グループは医薬品等の開発を主たる事業としています。既に3製品の上市を達成しましたが、いずれも現時点で市場浸透度は充分ではありません。また、積極的に研究開発活動に経営資源を投入していることから、下表のとおり、最近5事業年度の損益(単体)はマイナスとなる傾向が続いています。一方で、今後の一定時点において、開発の成功を契機として投下した研究開発費の回収を図り、また損益がプラスに転じる可能性があります。そのため、過年度の財務経営指標は、期間業績比較、今後の当社グループ業績を予測する材料としては不十分な面があります。

 

回次

第12期

第13期

第14期

第15期

第16期

(単位:百万円) 決算年月

2019年12月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

日本基準単体

 

 

 

 

 

売上高

1,310

454

559

1,092

617

経常利益(△損失)

△2,203

△3,090

△2,228

△1,772

△678

当期純利益(△損失)

△2,204

△3,091

△2,232

△2,084

△679

利益剰余金

△2,204

△5,296

△7,529

△2,084

△2,764

現金及び預金

4,077

2,909

668

793

719

国際会計基準連結

 

 

 

 

 

売上収益

1,310

454

559

1,092

617

税引前当期利益(△損失)

△1,797

△4,159

△2,442

△2,492

△1,135

当期利益(△損失)

△1,867

△4,127

△2,478

△2,548

△1,112

利益剰余金

1,400

△2,726

△5,204

△223

△1,336

現金及び現金同等物

4,116

2,964

714

803

728

 

③ 契約に基づく支払義務の負担に関する事項

当社グループは、開発パイプラインに関する提携企業との契約において、販売に至る前の開発段階及び販売開始後に提携先に対する支払義務を負っている場合があります。また、開発費の共同負担や、販売開始後一定額の販売活動経費の投入を行う義務を負う場合もあります。これらの対価の支払形態は、当社グループのような製薬企業の事業の性質上当然のものと認識していますが、当社グループの資本力に比べ金額が高額となる可能性は否定できず、支払時期等の観点から当社グループにとって資金負担が大きくなる可能性もあります。何らかの理由により当社グループがかかる支払義務を履行できない事態が生じた場合は、当社グループは対象となる契約の解除や損害賠償請求等を受ける可能性もあり、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

④ 外国為替変動に関する事項

当社グループは、事業活動をグローバルに展開しており、海外企業とのライセンスや、海外からの製品仕入、海外での研究開発活動等においては、外貨建て取引を行い、債権債務が存在しています。当社グループでは、為替変動に対しては想定し得る範囲でヘッジ手段を講じていますが、急激な為替変動によって当該リスクが顕在化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

⑤ 無形資産に関する事項

当社グループは、採用する国際会計基準(IFRS)に基づき、開発品への投資のうち資産性を有すると認識される開発費用、導入費用及びかかる資金コストにつき、これを連結財政状態計算書上の無形資産として計上する会計処理を行っています。開発品において、「(2) 医薬品等の研究開発事業一般に関する事項」「(3) 当社グループの事業活動に関する事項」に記載のとおりのリスクが顕在化し、開発方針の変更、開発延期、延長又は中止が生じた場合、また当該開発品に対して想定している売上収益と利益を計上できない場合には、資産化された無形資産の全部又は一部を減損する可能性があります。なお、無形資産の残高の総額は、第15期連結会計年度末においては1,570百万円、第16期連結会計年度末においては1,117百万円です。

 

⑥ 業績予想に関する事項

当社グループは、連結会計年度毎に業績予想を公表しています。しかし、事業や経済環境の変化及び不確実性等の予測不可能な要因により、これら業績予想や目標を期限内に達成することや、目標を維持することが困難になる可能性があります。

 

⑦ 公募増資等の資金使途に関する事項

当社グループが2018年9月に実施した公募増資による調達資金は、SP-04(がん化学療法に伴う末梢神経障害への適応)の臨床試験を中心とした開発費及び権利導入元へのマイルストン費用に充当致しました。

当社グループが2019年12月に実施した第三者割当増資により調達した資金は、2020年8月に導入したSP-05への投資に充当致しました。

当社グループが2020年8月に実施した普通社債発行及び新株予約権発行による資金調達はSP-05第Ⅲ相臨床試験費用等、SP-02適応拡大非臨床試験費用等、当局申請準備費用等、SP-04非臨床試験費用等、第Ⅲ相臨床試験費用等へ充当致しました。

当社グループが2022年3月に実施した普通社債発行及び新株予約権発行による資金調達と2022年7月に実施した第三者割当増資による資金調達で得た資金は、SP-02適応拡大検討費用、株式会社HikariQ Healthへの出資等による新規開発品探索費用、開発費用、その他開発体制維持費用等に充当いたしました。

当社グループが2024年3月に実施した普通社債発行及び新株予約権発行による資金調達はSP-02中国開発費用等に充当する予定です。

しかしながら、経営環境の変化に対応するため、あるいは開発品の中止等が生じた場合、調達資金を計画以外の使途に充当する可能性があり、その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定です。また、計画どおりの投資が行われても想定どおりの効果が得ることができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

⑧ 資金繰りに関する事項

当社グループは医薬品等の開発を進めるため、多額の研究開発費を必要とします、開発パイプラインの事業化が計画どおりに進展せず、資金不足が生じた場合、新たな提携契約の獲得、既存提携先との契約内容の見直し、新株発行等の方法により資金の確保に努めますが、資金確保のタイミング次第では、医薬品等の開発の継続が困難となり、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

⑨ 資金調達に関する事項

医薬品等事業においては、多額の研究開発費を要し、その額は研究開発の進捗に応じて増加する傾向にあり、当社グループに資金需要が生じた場合には、増資を中心とした資金調達の実施を検討してまいります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、市場における需給環境の悪化等により機動的な資金調達を行うことができなかった場合には、当社グループの研究開発に係る体制及び計画の見直しを余儀なくされるなど、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

⑩ 無配継続等の配当政策に関する事項

当社グループは、創業以来配当を実施していません。また、上記「② 過年度の業績推移等に関する事項」の表記のとおり日本基準の貸借対照表(単体)において利益剰余金のマイナスが継続しており、当連結会計年度末においても、会社法の規定上、配当可能な財政状態にはありません。将来財政状態が好転した場合、株主への利益還元を重要な経営課題として、その時点における財政状態及び経営成績を勘案しつつ利益配当を検討する所存です。

 

⑪ 新株予約権等に関する事項

当社は、資金調達を目的として新株予約権を発行しております。また、当社はインセンティブ目的としてのストックオプション制度を採用しており、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき当社グループ取締役、監査役、従業員及びアドバイザー等に対して新株予約権を発行しております。

これらの新株予約権等の目的となる株式数は2024年3月5日現在で46,716,899株であり、これらの新株予約権等の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。そして、今後インセンティブ目的等で新株予約権等を新たに発行しその行使が行われた場合、同様に当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営業績等の状況の概要

①  経営成績の状況

当社グループは、がん領域を対象とする製品の開発事業化に特化するスペシャリティファーマであり、バイオベンチャー企業の一種です。医薬品等の研究開発は臨床試験等を実施するために多額の先行投資を要し、かつその期間は中長期に亘ることから、収益確保、投資資金回収には相当程度の期間を要するものとなります。これまでの先行投資の結果として、3つの開発品について開発に成功し、販売開始に至りました。製品の販売開始により、投資資金回収の端緒に就いたものと認識しておりますが、医薬品等の研究開発過程において最大の投資が必要とされる最終段階の開発を複数行ってきたことから、事業全般においては未だ先行投資を継続している状況にあります。

バイオベンチャー企業の成功事例を多数有する米国において、その大半の企業の単年度損益は赤字です(米国ナスダックバイオインデックス構成企業のうち、株式時価総額1,000億円超の企業は155社あり、うち営業赤字計上の企業は118社。本年2月7日現在。当社調べ)。これは、当該企業の単年度損益への評価に比して、有望な医薬品開発への先行投資を積極的に図る事業戦略への評価が金融市場においてより重要視されていることによるものと考えられます。当社グループは、現時点において同様の事業戦略によって運営されております。

当連結会計年度は、主に、以下の各開発品等の事業活動に努めてまいりました。

 

[開発完了した販売開始済製品]

■Sancuso® (効能・効果:がん化学療法に伴う悪心・嘔吐)

■エピシル®(使用目的:がん等の化学療法や放射線療法に伴う口内炎で生じる口腔内疼痛の管理及び緩和)

・中国販売を中心とするSancuso®(SP-01)及びエピシル®(SP-03)は、原価低減目的による製造所移管作業による影響、中国で施行された汚職撲滅キャンペーンによる通常営業活動への影響等により年央以降の製品出荷に制約が生じ、当初想定を大幅に下回る水準となりました。

 

■ダルビアス® (効能・効果:再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫)

・2022年に日本で承認され、販売が開始されています。

・現在、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫に引き続く、他のがん種への適応拡大検討を行っております。また本製品の海外権利導出活動も行っております。

 

[非臨床試験段階の開発品]

■SP-04(予定する効能・効果:がん化学療法に伴う末梢神経障害)

・大腸がん患者におけるオキサリプラチンを含む多剤化学療法に起因する末梢神経障害を対象とした、日本を含む国際共同第Ⅲ相臨床試験の結果に鑑み、当該対象の開発を留保し、タキサン製剤に起因する末梢神経障害を対象とした開発の可能性を探索するため追加の動物試験を実施しております。これまでの動物試験結果で得られた情報をもとに導入元Egetis社と協力して新たな動物試験を日本で実施しております。

 

[開発を停止した開発品]

■SP-05(予定する効能・効果:フルオロウラシルの抗腫瘍効果増強)

・大腸がん患者を対象とした、日本を含む国際共同第Ⅲ相臨床試験(AGENT試験)の最終結果として、主要評価項目及び重要な副次評価項目で統計学的に有意な結果を示さなかったことが2022年に判明し、当社は開発を停止し、また、無形資産の減損処理を行いました。

・本開発品の権利導入元であるIsofol社は、SP-05の臨床開発再開を念頭に、2023年よりAGENT試験結果の詳細な解析と新たな非臨床試験を実施しており、これらの全般的な評価はSP-05(arfolitixorin)がAGENT試験で使用されたものとは異なる用量及び用法で臨床効果が認められることを示していると結論付けました。

・この結論を受け、Isofol社は2024年2月に同社取締役会において、SP-05の新たな開発プログラムを準備し、可能な限り早期に新たな臨床試験を開始することを決定いたしました。また本決定と合わせて、新用法・用量を用いたSP-05の臨床効果を標準治療と比較して証明するために、時間とコスト効率の良い方法で小規模臨床試験の実施を計画していることを発表いたしました。

・当社は、SP-05の開発を一旦停止した後も、Isofol社と定期的な情報交換を継続してまいりました。今般Isofol社がSP-05の開発再開を決定し、小規模の臨床試験実施を計画している状況を踏まえ、引き続き同社と情報交換を継続すると共に、新たな非臨床試験結果の評価並びに臨床試験計画の内容も評価して、日本における開発再開並びにIsofol社が計画中の新開発プログラム参画についての方針を決定しております。

 

[新規開発候補品・技術]

当社は、下記研究段階或いは臨床開発前の早期ステージのプロジェクトに対し、将来当社の開発品となり得る可能性を見出し、各々のパートナー企業と共に、研究開発活動に取り組んでおります。

■ 核酸医薬

・当社は、本邦バイオベンチャー企業である株式会社ジーンケア研究所(GC社)と同社の有する核酸医薬開発品RECQL1-siRNA 及びその関連技術の権利取得にかかる独占交渉権(オプション権)に関する契約を2020年に締結いたしました。現在GC社と共同で開発を行っており、また、今後の非臨床試験及び新製剤開発の進捗状況等に鑑み、オプション権行使による権利取得を検討してまいります。

・RECQL1-siRNAは、米国 Alnylam Pharmaceuticals社 (Nasdaq: ALNY) からのライセンス技術を基盤に、GC社で創成されたsiRNA(短鎖二本鎖RNA)であり核酸医薬品の一つです。がん細胞で過剰発現が認められるDNA修復酵素ヘリカーゼRECQL1に対して当該酵素のみを選択的に発現抑制することで細胞死を誘導する新しい作用機序が考えられています。既に複数の薬理試験において、様々ながん種での増殖抑制効果、また進行期の卵巣癌及び胃癌等で発現する腹膜播種モデル動物における延命効果が示されています。

・当社及びGC社は、東京大学大学院理学系研究科 程研究室との共同研究で創製された、より高い有効性と安全性が期待できるsiRNA新配列について、臨床開発段階に移行するためのさらなる薬効薬理試験及び新製剤開発の準備を開始いたしました。

*腹膜播種は、卵巣癌や胃癌など腹腔内に発生した癌の腹膜への転移であり、癌細胞が種をまいたように腹腔内に散らばる状態です。病態が進行すると癌性腹水などを伴うことがあり、予後不良の状態になるとされています。現在の全身化学療法の腹膜播種に対する奏効は十分ではなく、腹腔内直接投与など新たな局所療法も試みられています。

■ RNA編集技術を用いた創薬事業(遺伝子治療)

・当社は、九州大学発のバイオベンチャー企業であるエディットフォース株式会社と共同研究開発契約を2019年に締結し、中長期にわたる開発候補品獲得手段を確保いたしました。同社の核心的RNA編集技術を基にした新規がん領域等における遺伝子治療薬の創薬への展開を意図します。

・現在、可能性のある対象疾患及びその変異遺伝子を選択し、同社RNA編集技術に基づいて創製されたpentatricopeptide repeat(PPR)候補の効果発現を確認するための非臨床試験に関する諸条件の整備・検討を進めています。

■ 新規抗体修飾技術を用いた創薬事業

・当社は、東京工業大学発のバイオベンチャー企業である株式会社HikariQ Healthと、当社から同社への出資を中心とする資本業務提携契約を2022年4月に締結いたしました。

・同社のQ-body基盤技術は、Q-body本体である抗体内部に蛍光色素が取り込まれ消光状態になり、当該抗体が抗原と反応することで取り込まれた蛍光色素が弾き出されて本来の蛍光を放つ仕組みです。このため、Q-bodyは抗原濃度に応じて蛍光強度が変化するバイオセンサーとして機能するとされ、この仕組みを利用した免疫測定技術は、現在の免疫反応を用いた検査に比べて大幅な簡素化及び低コスト化が期待されます。また、当該技術を医薬品に応用した次世代抗体薬物複合体(Antibody-drug conjugate: ADC)創薬の初期検討を進めています。

・同社では、免疫検査事業に関する研究を進めており、当社は、同社と共にQ-body技術を応用した 次世代ADC創薬の初期検討にも着手しております。

■機能性蛍光プローブ技術共同事業化の検討

・当社は、2023年に、五稜化薬株式会社と、同社の技術に基づく機能性蛍光プローブを用いたがん外科手術向けナビゲーションドラッグなどの医薬品事業に係る事業開発活動及び臨床開発活動を共同で実施するための共同事業化検討契約を締結いたしました。

・最初の対象として、乳がんを対象としたナビゲーションドラッグ(GCP‐006)の開発及び事業化について検討を開始しております。

 

上記のとおり製品開発品価値向上に努め、また損益改善を念頭とした昨年の構造改革の成果が生じはじめ、中長期観点での企業価値向上を図りましたが、短期的損益面においては、製品販売が未だ初期段階にあるため、製品販売利益を超過する医薬品開発先行投資等を継続している状況にあります。このため、当連結会計年度の単年度損益業績は次のとおりとなりました。

 

売上収益は、Sancuso®(SP-01)、ダルビアス®(SP-02)及びエピシル®(SP-03)の製品販売収益等により617百万円生じ、また、売上総利益は337百万円となりました。

研究開発費は403百万円発生いたしました。これは主に製品原価削減に資する製造所変更への投資、ダルビアス®(SP-02)の適応拡大検討、SP-04動物実験、新規開発品候補への投資によるものです。販売費及び一般管理費は、前年度の中国自販体制解消を中心とする固定費削減策を継続したことにより、前連結会計年度と比べ1,176百万円減少し、1,073百万円となりました。売上総利益より研究開発費と販売費及び一般管理費を減じた営業損益は1,139百万円の損失となり、当期損益は1,112百万円の損失となりました。

無形資産については、当連結会計年度において、開発パイプラインへの投資のうち資産性を有すると認識される開発費用等はありません。当連結会計年度の開発パイプラインへの投資は、研究開発費403百万円となります。

また、Sancuso®(SP-01)及びダルビアス®(SP-02)の無形資産償却により、当連結会計年度において452百万円の償却が発生しました。これらの結果、無形資産残高は1,117百万円となりました。

 

② 財政状態およびキャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローについては、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に記載のとおりです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社グループは生産活動を行っていませんので、該当事項はありません。

 

b. 受注実績

当社グループは受注生産を行っていませんので、該当事項はありません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

医薬品事業(百万円)

617

△43.5%

(注)1.当社グループは、医薬品事業の単一セグメントです。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Lees Pharmaceuticals Holdings Ltd.

512

46.9

498

80.8

日本化薬株式会社

274

25.1

38

6.3

Itochu Chemicals America Inc.

253

23.2

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。

① 重要性がある会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの重要性がある会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項3.重要性がある会計方針、注記事項4.重要性な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載のとおりです。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績及び分析は以下のとおりです。

経営成績

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前期比

(百万円)

売上収益

1,092

617

△475

売上総利益

662

337

△325

営業利益(△損失)

△2,470

△1,139

1,331

当期利益(△損失)

△2,548

△1,112

1,435

 

当社グループは、販売開始済3製品を含むがん領域医薬品パイプラインの拡充育成を中心に事業運営を図っており、当期は主に上記「(1)経営業績等の状況の概要①経営成績の状況」に記載の通り、事業活動に務めてまいりました。

 

上記のとおり製品開発品価値向上に努め、また損益改善を念頭とした昨年の構造改革の成果が生じはじめ、中長期観点での企業価値向上を図りましたが、短期的損益面においては、製品販売が未だ初期段階にあるため、製品販売利益を超過する医薬品開発先行投資等を継続している状況にあります。このため、当連結会計年度の単年度損益業績は次のとおりとなりました。

 

(売上収益、売上総利益)

 売上収益は、Sancuso®(SP-01)、ダルビアス®(SP-02)及びエピシル®(SP-03)の製品販売収益等により617百万円生じ、また、売上総利益は337百万円となりました。

 

研究開発費、販売費及び一般管理費の内訳

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前期比(百万円)

研究開発費

883

403

△479

販売費及び一般管理費

2,250

1,073

△1,176

3,133

1,476

△1,656

(内訳)人件費

661

470

△191

業務委託費

1,013

410

△602

減価償却費、無形資産償却費及び減損損失

965

500

△464

その他

492

94

△398

(研究開発費、販売費及び一般管理費、営業損益、当期損益)

研究開発費は403百万円発生いたしました。これは主に製品原価削減に資する製造所変更への投資、ダルビアス®(SP-02)の適応拡大検討、SP-04動物実験、新規開発品候補への投資によるものです。販売費及び一般管理費は、前第3四半期に行った中国自販体制解消による固定費削減により、前連結会計年度と比べ1,176百万円減少し、1,073百万円となりました。売上総利益より研究開発費と販売費及び一般管理費を減じた営業損益は1,139百万円の損失となり、当期損益は1,112百万円の損失となりました。

 

(資産性費用の無形資産計上と償却)

当連結会計年度において、開発パイプラインへの投資のうち資産性を有すると認識される開発費用等はありません。当連結会計年度の開発パイプラインへの投資は、研究開発費403百万円となります。

また、Sancuso®(SP-01)及びダルビアス®(SP-02)の無形資産償却により、当連結会計年度において452百万円の償却が発生しました。これらの結果、無形資産残高は1,117百万円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前期比(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

△2,074

△359

1,715

投資活動によるキャッシュ・フロー

△418

△0

418

財務活動によるキャッシュ・フロー

2,571

275

△2,296

 

(資産)

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ904百万円減少し、2,229百万円となりました。流動資産は976百万円であり、そのうち現金及び現金同等物は728百万円、売掛金を中心とする営業債権及びその他の債権は67百万円です。非流動資産は1,252百万円であり、そのうち開発投資にかかる資産計上額である無形資産は1,117百万円です。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比べ117百万円減少し、354百万円となりました。流動負債は293百万円であり、そのうち営業債務及びその他の債務は213百万円です。非流動負債は61百万円であり、リース負債27百万円及び繰延税金負債22百万円が主要構成要素です。

 

(資本)

当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末と比べ786百万円減少し、1,875百万円となりました。主な増加要因は新株予約権行使による新株発行318百万円であり、主な減少要因は当期損失1,112百万円です。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは359百万円のマイナス(前連結会計年度は2,074百万円のマイナス)であり、税引前当期損失1,135百万円が主要因です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは234千円のマイナス(前連結会計年度は418百万円のマイナス)です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは275百万円のプラス(前連結会計年度は2,571百万円のプラス)であり、新株予約権行使による株式発行収入318百万円が主要因です。

 

 

④ 経営戦略と見通し

当社グループの事業は、医薬品開発パイプラインの強化と収益化を経営戦略の中心に据えて、事業展開を図っています。当社グループはベンチャー企業であり、一般の製薬企業に対し相対的に経営資源に制約があることから、開発成功確率を高めることを最重要視し、体制構築、開発品選定、臨床試験戦略の策定と実行を図っています。具体的な戦略は、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりの以下を遂行することにあります。

a. 既存開発パイプラインの進捗

b. 新規開発パイプラインの拡充

c. 強固な販売パートナーシップの構築

d. 組織の強化

e. 内部統制の強化

f. 資金調達の実施

上記諸戦略は、すべて戦略目標を中長期に亘り設定しており、当面は継続して推進する所存です。

 

(3) 経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3.事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

5【経営上の重要な契約等】

(開発品コードSP―01)

契約名称

LICENSE AGREEMENT

相手先の名称

Kyowa Kirin International UK NewCo Limited

国名

UK

契約対象

SP-01:グラニセトロン経皮吸収型製剤(Sancuso®

契約締結日

2008年5月23日(2008年10月31日、2009年1月5日、2010年7月19日、2015年9月17日、2023年7月11日改訂)

契約期間

契約締結日より当社にて本製剤を販売開始後10年が経過した日又は特許が満了する日のどちらか遅い日まで

主な契約内容

①Kyowa Kirin International UK NewCo Limitedは、当社に対し、中国等における本製剤の独占的開発販売権を付与する。

②当社は、Kyowa Kirin International UK NewCo Limitedに対して契約一時金をはじめ、開発の進捗や売上高の目標達成に応じたマイルストン及び売上高に応じた一定率のロイヤリティを支払う。

(注)2024年2月5日付でKYOWA KIRIN INTERNATIONAL UK NEWCO LIMITEDより、上記契約が契約期間満了により終了する旨の通知を受領し、これにより開発品コードSP-01の中国等における権利は当社に帰属することになりました。なお、中国規制上、今後一定期間KYOWA KIRIN INTERNATIONAL UK NEWCO LIMITEDのサービス提供が必要となるため、現在、同契約内容の一部の延長を含め協議を行っています。

 

契約名称

Sancuso® License, Promotional and Supply Agreement

相手先の名称

Lee's Pharmaceutical (HK) Limited

国名

中国(香港)

契約対象

SP-01:グラニセトロン経皮吸収型製剤(Sancuso®

契約締結日

2015年11月25日(2022年6月30日改訂)

契約期間

契約締結日より契約地域においてLee's Pharmaceutical (HK) Limitedが本製剤を販売開始後5年を経過した事業年度の12月31日まで

主な契約内容

①当社は、Lee's Pharmaceutical (HK) Limitedに対し、中国(香港、マカオを除く)における本製剤の独占的販売権を付与する。

②Lee's Pharmaceutical (HK) Limitedは、当社に対し、契約一時金をはじめ、販売の開始等に応じたマイルストンを支払う。

 

(開発品コードSP―02)

契約名称

LICENSE AND COLLABORATION AGREEMENT

相手先の名称

ZIOPHARM Oncology, Inc.(現Alaunos Therapeutics, Inc.)

国名

米国

契約対象

SP-02:darinaparsin(ZINAPAR™, ZIO-101)及びそれに関連する有機ヒ素化合物群

契約締結日

2011年3月3日(2014年7月31日、2021年10月19日改訂)

契約期間

契約締結日より販売開始から10年目、特許が満了する日又は特許以外の規制上の保護期間が満了した時のいずれか遅い日が終了するまで

主な契約内容

①ZIOPHARM Oncology, Inc.(現Alaunos Therapeutics, Inc.)は、当社に対し、米国、欧州諸国を含む全世界において、本製剤の適応症を対象とするサブライセンス付与権付き独占的開発販売権を付与する。

②当社は、ZIOPHARM Oncology, Inc.(現Alaunos Therapeutics, Inc.)に対して開発着手金をはじめ、開発の進捗や売上高の目標達成に応じたマイルストン及び売上高に応じた一定率のロイヤリティを支払う。

 

契約名称

ライセンス契約書

相手先の名称

日本化薬株式会社

国名

日本

契約対象

SP-02:darinaparsin(ZINAPAR™, ZIO-101)及び関連する有機ヒ素化合物群

契約締結日

2021年10月26日

契約期間

契約締結日より契約締結日からSP-02関連特許の終了、若しくはSP-02製品の再審査期間満了のいずれか遅い時まであり、両者合意により一定期間更新される

主な契約内容

①当社は、日本化薬株式会社に対し、日本国内商業化等の権利(日本国内販売権は独占的権利)を付与する。

②当社は同社に対して製品の供給を行い、また契約一時金のほか、今後の開発及び販売の進捗に応じたマイルストンの支払いを受けることによって収益を得る。

 

 

(開発品コードSP―03)

契約名称

ASSET PURCHASE AND LICENSE AGREEMENT

相手先の名称

Camurus AB

国名

スウェーデン

契約対象

SP-03:口腔用液状医療機器(episil®

契約締結日

2015年3月25日(2018年8月17日、2019年3月14日改訂、2022年7月8日改訂)

契約期間

契約期間の定めなし

主な契約内容

①当社は、Camurus ABより本製品の全世界開発製造販売権を取得する。

②当社は、Camurus ABに対して契約一時金をはじめ、製品販売の利益に応じた一定率のロイヤリティを支払う。

 

契約名称

ライセンス契約書および販売締結契約書

相手先の名称

Meiji Seika ファルマ株式会社

国名

日本

契約対象

SP-03:口腔用液状医療機器(episil®

契約締結日

2016年11月29日

契約期間

初回発売日より10年経過するまで

主な契約内容

①当社は、Meiji Seika ファルマ株式会社に対し、日本における独占的販売権を付与する。

②Meiji Seika ファルマ株式会社は、当社に対し、契約一時金をはじめ、開発の進捗や売上高の目標達成に応じたマイルストン及び売上高に応じた一定率のロイヤリティを支払う。

 

契約名称

episil® LICENSE, PROMOTIONAL AND SUPPLY AGREEMENT

相手先の名称

Lee's Pharmaceutical (HK) Limited

国名

中国(香港)

契約対象

SP-03:口腔用液状医療機器(episil®

契約締結日

2017年2月10日(2022年6月30日改訂)

契約期間

契約締結日より契約地域において販売開始後10年経過するまで

主な契約内容

①当社は、Lee's Pharmaceutical (HK) Limitedに対し、中国における本製品の独占的販売権を付与する。

②Lee's Pharmaceutical (HK) Limitedは、当社に対し、開発の進捗や売上高の目標達成に応じたマイルストンを支払う。

 

(開発品コードSP―04)

契約名称

LICENSE AGREEMENT

相手先の名称

PledPharma AB(現Egetis Therapeutics AB)

国名

スウェーデン

契約対象

SP-04:calmangafodipir(PledOx®

契約締結日

2017年11月20日(2019年10月9日改訂)

契約期間

特定の期間を定めていない

主な契約内容

①PledPharma AB(現Egetis Therapeutics AB)は当社に対し、日本、中国(香港、マカオを含む)、韓国、台湾における本製剤の独占的開発販売権を付与する。

②当社は、PledPharma AB(現Egetis Therapeutics AB)に対して契約一時金をはじめ、開発の進捗や売上高の目標達成に応じたマイルストン及び売上高に応じた一定率のロイヤリティを支払う。

 

契約名称

販売ライセンス契約書

相手先の名称

マルホ株式会社

国名

日本

契約対象

SP-04:calmangafodipir(PledOx®

契約締結日

2019年12月10日

契約期間

契約締結日より本件特許の終了又は本製品の上市後8年間が経過した時のいずれか遅い時まで

主な契約内容

①当社は、マルホ株式会社に対し、日本における独占的販売権を付与する。

②マルホ株式会社は、当社に対し、契約一時金をはじめ、今後の開発及び販売の進捗に応じたマイルストンを支払う。

③当社は、マルホ株式会社に対して、独占的に本製品の販売を行う。

 

(開発品コードSP―05)

契約名称

LICENSE AGREEMENT

相手先の名称

Isofol Medical AB

国名

スウェーデン

契約対象

SP-05:arfolitixorin

契約締結日

2020年8月13日

契約期間

契約締結日より本件特許の終了又は第三者が日本においてジェネリックの販売承認を得る時のいずれか早い時まで

主な契約内容

①Isofol Medical ABは、当社に対し、日本における本製品の独占的開発販売権を付与する。

②当社は、Isofol Medical ABに対して契約一時金をはじめ、開発の進捗と開発成功後の売上高達成に応じたマイルストンを支払う。

 

 

6【研究開発活動】

当社グループは、製品開発型のバイオ医薬品企業として、経営資源を医薬品の研究開発活動に集中しています。研究開発費は、当社グループが保有する開発品の臨床試験費用や製剤開発費用等により構成されています。当連結会計年度における研究開発費の金額は403百万円となりました。研究開発活動の具体的な内容は、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況」に記載のとおりです。今後も、財務状況を勘案しながら研究開発投資を継続し、企業価値の一層の向上に努めてまいります。