当社グループは、『美と健康の「新しい」で、笑顔あふれる毎日をつくる。』をパーパス(PURPOSE)に掲げ、その実現に向けて全社を挙げて取り組んでおります。パーパスは、当社の究極の目的、社会における存在意義を示したものであり、経営の根幹であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、パーパス(PURPOSE)、経営理念(MISSION)、バリュー(VALUE)、行動指針(CREDO)で構成するフィロソフィーを経営の柱として事業活動を行っております。
(2) 経営環境及び経営戦略、対処すべき課題
わが国経済は、雇用や所得環境の改善に加え、各種経済支援策により景気は緩やかな回復基調が続くと期待されますが、世界的な資源価格の上昇や原材料価格の高騰、為替変動による物価上昇等もあり、先行き不透明な状況が続くと予想されます。このような市場環境のもと、当社グループが事業を展開する化粧品及びヘルスケア市場において、消費者のニーズや価値観、ライフスタイル等の変化を捉え、それらに対応しながら事業を展開していくことが重要であると考えております。
このような中、当社グループは、パーパスの実現に向けた成長戦略として掲げる中期経営計画「VISION2025」において、「連結売上高500億円」という経営目標達成のため「パーフェクトワンを世界のブランドへ」「ヘルスケア事業を次の柱に」というテーマのもと、以下の重点課題への取り組みを推進し、持続的な成長を実現してまいります。
① デジタルマーケティングを中心としたデータベースマーケティングの強化
当社グループは、マスメディア(テレビインフォマーシャル、新聞広告、折り込みチラシ等)とコールセンターによるヒューマンコミュニケーションを組み合わせたデータベースマーケティングを強みに、シニア世代(60代以上)のお客さまを継続的に獲得し続けることで成長してまいりました。今後、さらなる成長を実現するためには、ミドル世代(40代~50代)及びミレニアル世代(20代~30代)の顧客開発が重要であり、ECチャネルの強化が課題と認識しております。Web広告をはじめ、SNSやインフルエンサーを活用したデジタルマーケティングの取り組みを強化することに加え、ECチャネルとオフラインチャネル(ドラッグストア等)を融合させた新たな販売モデルの確立等に取り組み、強みであるデータベースマーケティングをさらに進化させてまいります。
② 海外展開の加速
当社グループは中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、ベトナムで事業を展開しております。今後、パーフェクトワンを世界のブランドへと成長させるためには、各国及び地域の成長機会とカントリーリスクを考慮した上で、これまでの中国と台湾を中心としたアジア・ASEAN戦略からグローバル戦略にシフトする必要があると認識しております。特に、世界最大の化粧品市場である米国市場への展開が重要な課題であると認識しており、令和5年7月には米国に子会社を設立しました。今後、アジア・ASEANエリアへの一定の投資を継続しながら、令和6年9月期より米国市場への展開をスタートさせてまいります。
③ ヘルスケア事業の開発と育成
当社グループは、シニア世代やミドル世代のお客さまを中心に健康食品や医薬品を通信販売で提供するヘルスケア事業及び健康志向の高いお客さまに向けてMCTオイルやアマニ油等のウェルネスフードを提供する事業を展開しております。今後、ヘルスケア事業を化粧品に次ぐ事業の柱へ成長させるためには、既存のヘルスケア事業の拡大に加え、新たなヘルスケア事業を開発・育成することが重要な課題であると認識しており、具体的には高い機能性を持つ新商品を継続的に投入することに加え、通信販売の販売力を生かしたヒット商品の育成、化粧品購入顧客に対するクロスセルの強化による顧客開発の推進等の取り組みを強化してまいります。
④ 新商品、新サービスの開発
当社グループは、今後の持続的な企業成長を実現するため、お客さまの日常に寄り添いながら、多様化するニーズを把握し、世代やライフステージごとに必要とされる新たな商品やサービスをスピーディーに開発・投入し続けることが重要な課題であると認識しております。今後、新商品及び新サービスの開発をさらに加速させるため、商品開発体制を強化し、美と健康の領域において、高い機能性で効果を実感いただける商品やサービスの新規開発に向けて取り組んでまいります。
⑤ コスト構造改革
当社グループは、中長期的な収益力の向上と持続的な企業成長を実現するためには、既存事業のコスト構造を見直すと同時に、成長戦略への機動的な経営資源の配分を可能にする収益構造へ改革することが重要な課題と認識しております。そのために、商品配送箱の小サイズ化や詰め替え用パウチタイプの発売等の取り組みによるフルフィルメントコストの低減、受電体制の最適化、業務生産性の向上によるコールセンターコストの低減など、オペレーションコストの効率化施策をはじめとするコスト構造改革を推進すると同時に、経営管理システムの強化に取り組んでまいります。
⑥ 人財開発
当社グループは、今後の持続的な企業成長を実現するためには多様な人財の育成と確保が重要な課題であると認識しており、成長戦略をけん引する経営人財の育成、人財の最適配置による経営体制の強化、多様な人財の採用とその育成を進めております。そのために、後継者育成計画の審議やその一環としての幹部層選抜型研修の実施、人事評価制度や組織体制の見直し等に取り組むことで、従業員の士気を向上させ能力を最大限に発揮するための環境づくりに取り組んでまいります。
⑦ M&A実行体制の強化
当社グループは、多様に変化する美と健康のニーズにスピーディーに対応し持続的な企業成長を実現するためには、M&Aを活用し素早く新規事業を立ち上げるとともに、グループシナジーを発揮しながら事業規模を拡大させることが重要な課題であると認識しております。そのために、M&A実行体制の強化をはじめ、経営戦略に合致するM&A候補先企業の積極的な探索、M&A実行後のグループ経営管理体制の構築やグループ内人財交流によるノウハウ共有と能力開発などの取り組みを積極的に推進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、令和4年7月に新日本製薬グループ サステナビリティ基本方針を策定しました。
当社グループは、『美と健康の「新しい」で、笑顔あふれる毎日をつくる。』というパーパスのもと、持続可能な社会の実現に向け、地球環境や社会を取り巻く課題の解決をめざしています。
当社グループは、令和4年5月にサステナビリティ委員会を新設いたしました。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長CEOを委員長として、常勤取締役及び執行役員によって構成され、原則として年に2回開催、年に2回取締役会に報告しております。
(3) リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ委員会にてサステナビリティ関連のリスクと機会を識別、評価を行った上で、サステナビリティ委員会での審議・承認、経営会議、取締役会への報告により、各重要課題(マテリアリティ)及び目標に対する進捗管理を行っております。
サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)及び目標
重点課題(マテリアリティ)、目標の設定プロセス
様々な社会課題のうち、当社グループの事業活動と関連性が高いと思われる社会課題を全社で議論の上抽出し、重点課題、目標を設定いたしました。
STEP1 社会課題の抽出
当社グループの方針や国際的な枠組み・原則(※)、社会情勢等を参考とし、検討すべき39項目の社会課題を抽出いたしました。
STEP2 社会課題の優先順位付け
抽出された社会課題について、ステークホルダーにとっての重要度と当社グループ事業にとっての重要度の2つの視点で評価を行い、社内の各部署を交え優先順位付けを実施いたしました。
STEP3 マテリアリティ案の策定
選定された社会課題を、その内容や特性から6つに整理し、マテリアリティ案を策定いたしました。
STEP4 妥当性の検証
マテリアリティ案及び策定までのプロセスについて、経営層との意見交換を行い、妥当性を検証いたしました。
STEP5 マテリアリティの特定
経営の承認を受け、マテリアリティを決定いたしました。
STEP6 マテリアリティの目標の策定
関連部署や各会議体より出された目標案をサステナビリティ委員会で審議の上決定し、取締役会へ報告しました。
※ GRI、SASB、ISO26000、SDGs等
持続可能な社会の実現に、気候変動の問題解決は重要と考え、当社は中長期的視点で予測されるリスクと機会を踏まえ、緩和と適応の両方から気候変動に取り組んでまいります。
① ガバナンス
気候変動に起因するリスク・機会は、サステナビリティ委員会で審議されます。サステナビリティ委員会では、委員長である代表取締役社長CEOをはじめ常勤取締役、執行役員が参加し、気候変動に起因したリスク・機会の特定及び顕在化した際の影響分析、その対応策の検討を実施します。その結果は取締役会に報告されます。気候変動を含む事業等に重要な影響を与える可能性のあるリスクについては、サステナビリティ委員会及びリスクマネジメント・コンプライアンス委員会において検討・審議が行われ、取締役会へ報告されます。
② 戦略(シナリオ分析)
当社では、将来における気温上昇のシナリオとして、2℃以下・4℃の2種類の温度帯を想定し、令和12年(2030年)及び令和32年(2050年)におけるシナリオ分析を実施しています。国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のシナリオなどを参照し、重要度の評価及び財務影響の分析を実施しています。
③ 気候変動におけるリスクと機会
リスク
機会
① 人財育成に関する方針
Ⅰ 人財育成方針制定の背景
人財育成方針の制定にあたり、まずは「理想の人財像」の改定を行いました。理想の人財像は、当社のこれまでの歴史・沿革を振り返りながら、当社のめざすべき未来像を見据えたうえで、抽出した重要なキーワードを反映したものです。
人財育成方針は、この理想の人財像を具体化するための育成方針を定めたものです。
今後は、理想の人財像と人財育成方針に沿った人事施策を実行してまいります。

Ⅱ 理想の人財像
当社は、パーパスを実現するため、新日本製薬の社員として理念を体現し、行動指針を実践する力を備えた人物を理想とします。
ⅰ 当社社員として、その立場に相応しい業務姿勢、倫理観、人間力を有する。
ⅱ 当社を取り巻くすべての人々に愛情をもって接し、何事においても当たり前と思わず、社内外で常に感謝の心もって行動する姿勢を有する。
ⅲ 社会情勢や事業状態の変化を前向きに捉え、自らを成長させる機会とし、イノベーションの創出へ繋げる力を有する。
ⅳ 様々な課題に対し挑戦・変化・成長の志向で向き合い、それまでの経験値を最大限に活用しながら高いパフォーマンスの中で成果を生み出す力を有する。
ⅴ 当社の永続的な発展、また自身の成長のため、パーパスの実現を常に念頭におき、それを周囲にも波及することで、後進の育成にも寄与する力を有する。
Ⅲ 人財育成方針
パーパスに掲げる『美と健康の「新しい」で、笑顔あふれる毎日をつくる。』の実現には、すべての社員が夢と志を持ち、日々の挑戦の中から生まれる成長が不可欠であると考えます。
ⅰ 当社の経営理念や経営方針を実現するとともに、社会課題を解決する次世代のリーダーを育成します。
ⅱ 複雑に変化し続ける環境の中でも、自身の価値を見失うことなく、挑戦し続ける人財を育成します。
ⅲ 不確実性の高い時代において、新たな価値を生み出し続けるため、年齢・性別・国籍・専門性・経験等、個性を尊重し、多様な人財を育成します。
ⅳ すべての物事を当たり前と捉えず、感謝の気持ちで夢と志の実現に邁進する人財を育成します。
Ⅳ 人財育成に関する具体的取り組み
当社では、経営戦略を実現するための人財づくりとして、OJT、OFF-JT及び自己研鑽の3つに分類し、各種人財育成施策を企画・実行しております。
ⅰ OJT(On the Job Training)
a ジョブローテーション
当社は、マーケティング、新素材や新商品の開発、販売から出荷まで様々な機能を社内に有しており、各機能を実行するための組織が存在しております。この当社特有の組織を活かしたジョブローテーションを実施することで、複数の分野にわたる知見を有する社員が育成され、事業の変化に対応した組織構築のための人財確保が可能となり、企業の持続的な成長を支えることができると考えております。
b キャリア申告
社員の成長には主体性や積極性等の要素が重要であると考え、当社では毎年、自身のキャリアを申告する仕組みを導入しております。キャリア申告をする過程で社員各人がこれまでの経験や知見を振り返り、将来のありたい自分を想像することで、改めて自身のキャリアに対する自覚をもつ機会が生まれます。他方で、社員の成長は企業の成長を支える要素でもあるため、キャリア申告は社員と企業の双方にとって継続して実施していくべき重要な施策であると考えております。
ⅱ OFF-JT(Off the Job Training)
a 選抜型研修
経営戦略や事業目標の達成に向け、必要な経営人財を計画的に輩出することを目的に導入した研修制度です。全社員へ画一的に実施する研修とは異なり、社内の人財を選抜したうえで、様々な外部研修に派遣する等、育成にかける費用と時間を集中的に投じて、よりハイレベルな研修を受講させることにより、経営戦略や事業目標の達成に必要な人財の育成を実現します。
b デジタルリテラシー研修
デジタルリテラシーは、DX化が進められている現代において欠かせない重要なスキルの1つと考えております。そのため、当社としては社員が自主的にデジタルリテラシーを習得できる環境づくりが重要と考え、社内研修会の実施やIT系資格の取得推奨を行い、社員のデジタルリテラシー向上に努めております。
ⅲ 自己研鑽制度
会社から提供される研修等の機会とは別に、社員自らスキルや知識を高めるために、当社指定の研修以外の時間を使って講座や独学を通じて主体的に学ぶ機会を支援する独自の制度として、自己研鑽制度を導入しております。本制度は、社員一人当たり年間50,000円を上限に、講座の受講料や試験費用等を会社が支援するものです。自己研鑽は、社員一人ひとりの知識の幅を広げるとともに、新たな経験を積むことで人生をより豊かにするものであり、経営理念に掲げる「社員には幸せと未来への夢を」の実現にも繋がると考えております。
② 社内環境整備に関する方針
Ⅰ 社内環境整備方針策定の背景
社内環境整備方針は、経営目的の実現と企業価値向上という視点から、労働条件や職場環境等を含めた「働く人を取り巻く環境」という社内環境を整備するための基本方針です。
今後は、社内環境整備方針に基づき、各種取り組みを実行してまいります。

Ⅱ 社内環境整備方針
私たちは、社員の人格、個性、人権や多様性を尊重し、快適で働きやすく、やりがいのある職場環境を実現します。
ⅰ 人権・多様性の尊重
国籍・人種・性別・年齢などの属性に加え、経験や感性、価値観、専門性等のあらゆる多様性を尊重し、社員一人ひとりがその個性や能力を発揮し、活躍できる環境を創出します。
ⅱ 社員の安全・安心と心身の健康を推進
社員一人ひとりが安全かつ安心して業務を遂行できる環境を整備するとともに、活発なコミュニケーションにより組織力を高め、イノベーションを生み出す環境を創ります。また、世界中に美と健康の「新しい」を提供する企業として、社員の健康意識を高めるとともに、心身の健康の推進に取り組みます。
ⅲ 柔軟な働き方の実現
社員の柔軟な働き方を支援し、生産性の向上及び社員一人ひとりのワークライフバランスの向上をめざします。
ⅳ やりがいを感じられる風土の実現
社員一人ひとりの自主性とチャレンジ精神を大切にし、やりがいをもってイキイキと働くことを通じて、自己成長できる風土をつくり、パフォーマンスの最大化を図ります。
Ⅲ 社内環境整備に関する取り組み
ⅰ 人権・多様性の尊重
a 多様な人財の活躍
当社は、国籍・人種・性別・年齢等に関わらず、多様な人財の獲得と活躍の実現をめざしております。その取り組みの一つとして、新卒採用だけでなく経験者採用を積極的に行っており、多様な価値観で新たなイノベーションを生み出す環境づくりに取り組んでいます。また、当社は誰もが活躍できる風土をつくるために、女性管理職率30%を令和12年度(2030年度)までの目標とし、目標達成に向けた取り組みを推進しています。
ⅱ 社員の安全・安心と心身の健康を推進
a 心身の健康推進
当社は、パーパスである『美と健康の「新しい」で、笑顔あふれる毎日をつくる。』の実現のために、社員一人ひとりが健康であり、幸せであることが重要だと認識しています。「企業は人財なり」という言葉を大切にしている当社は、社員と会社が一丸となって健康経営を実現することを宣言しております。また、社員の意見を積極的に施策に取り入れるため、月1回開催される「衛生委員会」で社員の意見を集約し、新たな取り組みに反映させる仕組みを整えております。
心の健康のための取り組みとしては、メンタルヘルスケアを目的とした社外相談窓口を設置しております。専門カウンセラーに直接相談することで、社員自身の悩みや不安の解消だけでなく、キャリア形成やキャリアアップを目的としたキャリアコンサルティングとしても活用できます。
身体の健康のための取り組みとしては、年齢に関わらず法律に定める項目数を上回る内容で定期健康診断を実施し、病気の早期発見・予防ができる体制を整えております。その中でも、女性社員について、女性特有の病気のリスクを減らし、活躍してほしいとの想いから、年齢を問わず、定期健康診断の際に会社負担で乳がん検診を受診することが可能な体制を整えております。社内の乳がん検診受診率については、毎年100%の受診率を目標としております。
b カフェテリアの充実
当社は、美と健康の「新しい」を提供する企業として、まずは社員が健康であってほしいという想いから本社最上階に社員食堂を設けております。社員食堂では、管理栄養士の監修のもと日替わりランチを「スマートランチ」として提供している他、数種類の日替りメニューをリーズナブルに提供しております。「スマートランチ」は成人女性の1日に必要なエネルギー摂取量の1/3で設計されております。
c 各種休暇制度
当社は、行動指針の1つに「利他の心を大切にする」との指針を掲げております。そこで、社員一人ひとりが「地域社会に貢献できる企業風土」をつくり、利他の心を行動に移す想いを尊重するために、ボランティアや地域活性化に向けた活動に参加する場合に、当社独自の制度として「社会貢献休暇」(有給休暇)を年間で1日付与しています。また、社員の誕生月にはより心身ともにリフレッシュする時間を過ごしてほしいという想いから、誕生日休暇(有給休暇)を1日付与しています。
ⅲ 柔軟な働き方の実現
a 短時間勤務制度の充実
当社では、子育て中の社員も多く活躍しております。そのため、仕事をしながら安心して子育てができるよう、短時間勤務制度を法律で定める基準よりも拡充し、子どもが小学校3年生の年度末まで利用できるようにすることで、ワークライフバランスの向上を図っております。
ⅳ やりがいを感じられる風土の実現
a パーパスの実現
当社は令和5年1月、30周年の節目に新たにパーパスを制定しました。制定にあたり、社員一人ひとりが自社のパーパスへの理解を深めるため、「パーパス浸透プロジェクト」を実施しております。会社の存在意義や使命、価値観を自分ごととして考えることで、社員がやりがいをもって日々の業務に取り組める風土づくりを進めてまいります。
b 挑戦を後押しする褒賞制度
当社は、行動指針の1つに「挑戦・変化・成長の志向を大切にする」との指針を掲げております。社員がより行動指針を実践するために、各種褒賞制度を通じて主体的且つ積極的に挑戦することを奨励しております。過去に前例のない高い成果を出したことに対する「スーパーチャレンジ賞」、革新的な取り組みを実現したことに対しては「イノベーションアワード」等、様々な視点から挑戦を奨励する風土づくりを行っております。
c エンゲージメント調査の実施
当社は、やりがいをもってイキイキと働くことができる環境をつくるために令和2年度より年1回の頻度で全社員を対象にエンゲージメント調査を実施しております。調査結果をもとに、自組織の強みや解決すべき課題について職場で議論し、部署横断でアイデアを出しながらパフォーマンスの最大化をめざすべく、改善に取り組んでおります。
d 職場代表委員会の活用
当社は、「職場代表委員会」を活用し、社員が安心とやりがいをもって働ける職場をつくるため、会社の取り組みに対し主体的に関わり意見交換し、施策に反映できる環境を整えております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
新規ブランド及び商品の開発、育成並びにマーケティング活動の消費者ニーズへの適合状況は、当社グループの売上及び利益に大きな影響を及ぼします。当社グループでは、消費者ニーズに応えるため、コールセンターに寄せられる顧客の声を広く収集する等して、新商品の開発や消費者ニーズの変化に合わせた商品の改良を継続的に行っております。しかしながら、商品の開発はその性質上、様々な要因による不確実性が伴うため、当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが属する化粧品市場においては、国内外問わず多くの競合企業が存在しております。また、商品の製造を請負うOEM企業等の活用により製造設備を持たずに事業展開が可能であることから、参入障壁が低く、新規事業者の継続的な参入も見られます。このような競争環境の下、当社グループは、消費者ニーズを踏まえた商品開発や広告宣伝等のマーケティングを積極的に行うことにより認知度の向上及びブランド価値の向上に努めております。また、顧客データベースやデータベースマーケティングのノウハウを活用し、お客さまとの関係性構築にも取り組んでおります。
しかしながら、既存の競合他社との競争激化や、高い知名度・ブランド力をもつ企業等の参入及び類似商品の販売等により、当社グループの顧客流出やそれに対処するためのマーケティングコスト等が増加した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのパーフェクトワン オールインワン美容液ジェルシリーズは、売上高の大半を占める主力商品であります。当社グループは、リブランディング等により「PERFECT ONE」のブランド力や品質等の維持・向上に努めるとともに、同商品以外の取扱商品を増やし、特定の商品に対する依存度の低減を図っております。しかしながら、当該商品の品質不良等によりブランド価値が毀損されるなどして販売量が大きく低下した場合、また、同商品に次ぐ新たな商品の開発において、当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、既存商品の製造を外部委託しており、当社と製造委託先との間で役割分担と責任を定めた書面を締結しております。
製造委託先における品質管理においては、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律における製造販売業許可を取得し、品質管理基準(GQP)手順を定め運用すると共に、適正な製造管理及び品質管理の確保のため、製造委託先に対する定期的な実地監査を行い、衛生管理、製造体制、製造記録のチェックを行うことにより、商品品質の維持、改善に努めております。
また、当社グループは委託先に対する計画的な発注や、委託先との良好な関係を保つことにより、商品を安定的に供給できるよう努めております。
当社グループはこのように製造委託先、製造再委託先の管理に万全を期すことによりリスクの低減を図っておりますが、商品の製造委託先もしくは製造再委託先との急な契約の解消や、天災等による生産設備への被害等、不測の事態が生じた場合には商品の円滑な供給に支障をきたすことが考えられ、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、主力商品のオールインワン美容液ジェルを含む化粧品の大部分において、製造を日本コルマー株式会社及び御木本製薬株式会社に委託しております。当社グループは両社に対して厳正な製造管理及び品質管理を徹底することに加え、製造を分散することにより、リスクを軽減するよう努めております。しかしながら、急な契約解消や天災等による生産設備への被害等不測の事態が生じた際には、当社グループの商品の円滑な供給に支障を来すことが考えられ、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
商品に使用する商標権及び特許権につきましては、事前の調査により類似のものがないことを確認して出願しております。しかしながら、この出願の調査や当社グループにおける出願決定に期間を要した場合、他社が当社グループに先駆けて商標登録、特許登録をする可能性があり、その場合には、商品を該当の商標にて販売できなくなるといった事態が生じる可能性があります。
⑦ 法的規制等
a 特定商取引に関する法律
本法は、特定商取引(訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売に係る取引、連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引、業務提供誘引販売取引並びに訪問購入に係る取引をいう。)の公正化を図ることで、消費者の保護を目的とするものであり、クーリング・オフ等の規制を定めております。当社グループは商品を販売するに当たり、通信販売を主要な販売経路としており、本法による規制を受けるものであります。
当社グループは、考査課において、本法及び施行令に基づき厳正にチェックを行っておりますが、何らかの原因により本法に違反する事象が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
b 不当景品類及び不当表示防止法
本法は、消費者の利益を保護するため、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽ったり、消費者に誤認されたりする表示を行うことを規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額、総額を制限するものであります。
当社グループは、販売促進活動の一環として広告による宣伝を積極的に行っております。また営業戦略の一環として、お客さまに対し、本法の景品類に該当する販促品、商品等を提供しており、本法の規制を受けるものであります。
当社グループは、考査課において、日本化粧品公正取引協議会が作成した公正競争規約に基づき厳正にチェックを行っておりますが、何らかの原因により本法に違反する行為が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
c 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
化粧品、医薬部外品及び医薬品を国内にて製造販売するためには、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」という。)に基づく、製造販売の許可を取得する必要があります。当社グループは、当該許可が求める基準を遵守するために三役責任者の設置、品質管理基準(GQP)、製造販売後安全管理基準(GVP)を満たした活動を行うとともに、法令の定めに基づき5年毎の更新、その他必要な手続きを行っております。
しかしながら、「薬機法第12条の2」等に抵触し、業務の一部もしくは全部の停止が命ぜられた場合、又は、製造販売に係る許可が取り消された場合、もしくは、将来において更に規制が強化され、その対応が困難となる場合には、事業における許可の取消等の事業制約要因となる可能性があります。これらの可能性が顕在化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
[主要な許可の取得状況(令和5年9月30日現在)]
なお、上記の許可について、令和5年9月30日現在において、事業の停止、許可取り消し及び事業廃止事由に該当する事実はありません。
d その他
当社グループは、国内外で様々な商品を取り扱っているため、関連する法令・規制は上記以外にも多岐にわたります。具体的には、会社法、税法、知的財産法、下請法、食品表示法、健康増進法、食品衛生法、個人情報保護法、さらには海外事業に係る当該国の各種法令・規制等となります。当社グループでは法令遵守は極めて重要な企業の責務と認識しており、規程の制定、コンプライアンス委員会の開催、研修の実施等の対策を行い、法令遵守の徹底を図っております。しかしながら、個人的な不正行為等を含めコンプライアンスに関するリスク並びに社会的な信用やブランド価値が毀損されるリスクを回避できずに、当該リスクが顕在化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 顧客情報の管理
当社グループの主力の販売形態は通信販売であるため、多数の個人情報を取り扱っております。これらの当社グループが知り得た顧客情報等については、コールセンター、ホームページサービス利用の顧客の個人情報を格納する各サーバーに厳格なアクセス制限を設けることにより、関係者以外はアクセスできないよう対策をしております。また、アクセス可能な関係者においても、外部に情報を持ち出すことができないよう多重のセキュリティ対策を実施しております。さらに、個人情報保護法の改正に対応して、社内規程の整備、社員教育の徹底等を行なうとともに、「プライバシーマーク(JISQ15001)」の認証取得や外部コンサルタントによる情報セキュリティに係るアドバイスをもとに社内にて監査を実施しております。しかしながら、何らかの原因により、これらの情報が外部に流出した場合には、当社グループに対する損害賠償請求の提起、信用失墜等が生じることにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 在庫の滞留又は欠品
当社グループは、在庫の保有状況をモニタリングしながら発注数量の調整を毎月実施し、滞留が予測される商品について販売施策を追加で立案することにより在庫リスクの最小化を図っております。しかしながら、需要動向を見誤ったことによる欠品、または滞留在庫が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 原材料価格の高騰
当社グループの商品の製造に不可欠な原材料等は、製造委託先が統括管理のもと調達しております。製造委託先は、調達先を分散するとともに、調達先と良好な関係を保ち、常に適正な価格で必要量を調達できるように努めております。しかしながら、原材料価格の動向や為替相場の変動により、当社グループの商品の主要原材料の価格が高騰した場合には、当社グループの製造委託先からの商品仕入価格も上昇する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 配送コストの高騰
当社グループは、商品販売に際し運送会社に商品配送業務を委託しており、一定金額以上購入のお客さまに無料配送サービスを提供しております。現在は複数の配送会社の使い分け等により委託価格の安定を図っておりますが、今後配送コストが高騰した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、継続的な事業の発展のため、全国各地において様々な媒体、手法を活用し、新卒採用及び中途採用を積極的に行うことにより人財の確保に努めております。しかしながら、国内における少子高齢化による労働人口の減少や産業構造の変化を背景に、必要な人財を継続的に確保するための競争は厳しくなっており、人財確保のための採用費及び人件費が高騰しております。今後の競争激化により、必要な人財の確保が計画通りに進まない場合、あるいは、人件費が高騰し続けた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 通信販売におけるリスク
当社グループの主要な販売形態は通信販売であり、通信販売の売上は、コールセンターへの入電による受注がその大半を占めております。この販売方法から取引件数は膨大なものであるため、受注以降の業務プロセスの多くをシステム化し、業務の効率化を図っております。しかしながら、システム障害等により一連の業務プロセスが寸断された場合、もしくは著しく業務効率が低下した場合には、受注や出荷、会計処理等が滞る可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 海外販売におけるリスク
当社グループは、中国や台湾、香港、タイ、シンガポール、ベトナム、米国等において、海外代理店を通じて商品を販売しております。海外での事業活動において、予期し得ない経済的・政治的・社会的な突発事態の発生、テロ・戦争・内乱の勃発、伝染病の流行等による社会的・経済的混乱、自然災害等が、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 消費者とのトラブル及び風評
当社グループでは、商品の効果・効能に係るエビデンスを取得し、効果を実感いただける商品をお客さまに提供することに注力をしております。しかしながら、お客さまが期待する効果・効能が体感できなかった場合や健康被害等が発生した場合に、消費者とのトラブルが生じる可能性があります。このようなトラブルがマスコミ報道やインターネット上の書き込み等により流布され、これにより当社グループの商品イメージが低下する等の事態が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また当社グループの商品に直接関係がない場合であっても、他社の模倣品等によるトラブルや風評等により当社グループの商品イメージが低下する等の事態が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑯ 天災や突発的事象
当社グループのコールセンター、物流センター、事務所等、事業活動に必要な機能については、当社グループだけでなく外部パートナーと協業することにより、拠点を分散して事業継続性を高めております。しかしながら、拠点を分散しているものの、いずれかの拠点が所在する地域において、地震等の天災あるいは火災や爆発事故等が発生した場合には、お客さまとのコミュニケーションや商品の販売等の機能に支障が出る恐れがあり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 感染症
新型インフルエンザ・新型コロナウイルス等の新興感染症の世界的な蔓延により、当社グループの事業活動に支障をきたす可能性があります。具体的には、サプライチェーンの維持やコールセンターの運営、物流センターの運営、海外への輸出入等に影響があった場合に、商品や資材の安定調達や、お客さまからの受注・お客さまへの納品が滞る可能性があります。以上のリスクを踏まえ、当社グループは事業継続の対応として、社員の感染予防・感染拡大防止の観点から在宅ワーク制度や時差出勤制度の継続実施、職場の衛生管理の徹底等、必要な措置を実施しております。またコールセンターの運営やサプライチェーンの維持・継続のために、外部のパートナー企業とも適切に連携をとって対応しております。しかしながら、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、かかる事象の発生時には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑱ 気候変動対応に関する評判リスク
当社グループは、気候変動への対応を重要な課題として認識しております。気候変動への対応が不十分な場合、環境に良くない影響をもたらしている等の評判が流布される恐れがあります。その結果、ブランドイメージの悪化により顧客が離反し、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
令和5年9月30日時点において、当社の主要株主(第1位の大株主)である山田英二郎氏は、当社の創業者であり、元代表取締役であります。当社の主要株主(第2位の大株主)である山田恵美氏は、当社の元代表取締役であり、山田英二郎氏の配偶者であります。山田英二郎氏と山田恵美氏は、直接所有分と合算対象分を含めて当社株式の49.54%(自己株式を除く)を保有しており、今後も中長期的に保有する方針であります。しかしながら、今後の株価の推移等によっては短期で当社株式を売却する可能性があり、市場で当該株式の売却が行われた場合や売却の可能性が生じた場合には、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。さらに、市場での売却ではなく特定の相手先へ譲渡を行った場合には、当該譲渡先の保有株数や当社グループに対する方針次第では、当社グループの経営戦略等に影響を与える可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行やインバウンド需要の回復等、社会経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復傾向にあります。一方で、世界的な資源価格の上昇や原材料価格の高騰、為替変動による物価上昇等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような市場環境のもと、当社グループは中期経営計画「VISION2025」に基づき重点課題に取り組みました。
通信販売において、化粧品では主力商品である「パーフェクトワン オールインワン美容液ジェルシリーズ」を中心にLTVを重視した広告投資を行い、成長の基盤となる定期顧客づくりを推進しました。また、「落とす・満たす・魅せる」の3ステップスキンケアの提案を軸に、コールセンターでクロスセルを推進した結果、複数商品顧客比率及び定期顧客の購入単価が継続して上昇し、「PERFECT ONE」のブランド売上高が第4四半期から増収に転換しました。20代を中心に若年層の開拓が進む「PERFECT ONE FOCUS(パーフェクトワンフォーカス)」では、ECモールのセールイベントに合わせた限定商品の先行発売や人気キャラクターを起用した限定デザインパッケージの発売、インフルエンサーやVTuberとのコラボレーション等、話題性のあるプロモーションに継続的に取り組んだ結果、EC売上高が大きく伸長しました。ヘルスケアでは機能性表示食品「Wの健康青汁」へのデジタル広告投資が奏功し、ECでの新規顧客獲得が大きく伸長したことで売上高が拡大し、機能性表示食品青汁市場で国内売上NO.1(※)を初めて獲得しました。
直営店舗販売・卸売販売においては、人流の回復や実店舗への回帰が進み、インバウンド需要が拡大する中、「PERFECT ONE」のドラッグストア展開の開始や「PERFECT ONE FOCUS」の展開店舗数の拡大、インバウンド需要の獲得に向けた空港免税店への再出店等の取り組みを推進しました。
海外販売においては、中国では再成長に向けた取り組みが計画より遅延した一方、台湾の好調により売上高は前年並みで着地しました。9月には、台湾の人気番組「女人我最大」のビューティーアワードにて、オールインワン泡洗顔である「パーフェクトワン シルキーホイップ」がクレンジングフォーム部門最優秀賞を受賞しています。また、今後の本格的な米国展開に向けて、7月には米国に子会社を設立しました。
※ TPCマーケティングリサーチ調べ(令和4年のメーカー出荷)
以上の結果、当連結会計年度の売上高は37,653百万円(前年同期比4.3%増)、営業利益は3,754百万円(前年同期比6.6%増)、経常利益は3,721百万円(前年同期比6.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,394百万円(前年同期比1.6%増)となりました。
なお、当社グループの事業セグメントは化粧品、ヘルスケアに関わる商品の通信販売、直営店舗販売・卸売販売及び海外販売でありますが、直営店舗販売・卸売販売及び海外販売の全セグメントに占める割合が僅少であり、開示情報としての重要性が乏しいため、セグメントごとの記載を省略しております。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて、1,644百万円増加して25,501百万円となりました。これは主に、現金及び預金が1,166百万円、商品が406百万円それぞれ増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べて、97百万円減少して5,840百万円となりました。これは主に、買掛金が393百万円、未払金が608百万円、未払法人税等が254百万円それぞれ増加した一方で、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が1,393百万円減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて、1,742百万円増加して19,661百万円となりました。これは主に、利益剰余金が1,686百万円増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、1,166百万円増加して15,518百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とその要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは3,468百万円の収入(前年同期は2,287百万円の収入)となりました。これは主に、法人税等の支払額964百万円の一方で、税金等調整前当期純利益3,530百万円、仕入債務の増加額393百万円、未払金の増加額586百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは208百万円の支出(前年同期は496百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出102百万円、無形固定資産の取得による支出104百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは2,101百万円の支出(前年同期は1,093百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出1,393百万円、配当金の支払額708百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b 仕入実績
当社グループは、販売チャネルを基礎としたセグメントから構成されており、全セグメントで共通して仕入活動を行っているため、セグメントごとの金額は記載しておりません。
c 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主要な販売先の記載については、総販売実績に対する販売先別の販売実績割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、当社グループが現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果は様々な要因により大きく異なる可能性があります。なお、当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症については、将来の一定の時期にその影響が収束するとの仮定を置いておりますが、当社グループの事業活動及び経営成績等に与える影響は軽微であるため、会計上の見積りに重要な影響は与えないものと判断しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績等に関する認識及び分析
(経営成績)
当連結会計年度の売上高は37,653百万円(前年同期比4.3%増)、売上総利益は30,312百万円(前年同期比3.1%増)となりました。売上高をセグメント別に見ると、通信販売で34,151百万円(前年同期比4.3%増)、直営店舗販売・卸売販売で2,917百万円(前年同期比4.1%増)、海外販売で584百万円(前年同期比1.4%増)となりました。売上高の主な増加要因は、「PERFECT ONE FOCUS(パーフェクトワンフォーカス)」や「Wの健康青汁」の伸長によるものであります。
営業利益は3,754百万円(前年同期比6.6%増)、営業利益率は10.0%(前年同期比0.2%増)となりました。営業利益の主な増加要因は、育成ブランドの伸長による増収効果とオペレーションコストの効率化によるものであります。
経常利益は3,721百万円(前年同期比6.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,394百万円(前年同期比1.6%増)となりました。
(財政状態)
「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
また、財務指標としては、自己資本比率が76.5%となりました。
b 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要の主なものは、商品仕入、広告投資、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、ブランド開発や新商品開発等の新たな投資及び構造改革による一人当たり生産性の向上を目的とした投資に係る資金需要が生じております。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を自己資金から安定的に確保することを基本方針としており、安定的かつ機動的に運転資金を確保することを目的として、複数の金融機関との間で合計13,000百万円の当座貸越契約を締結しております。
d 経営者の問題認識と今後の方針
経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
e 中長期的な会社の経営戦略
中長期的な会社の経営戦略については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
商品の製造委託契約
当社は、下記のとおり当社商品の製造委託に関する契約を締結しております。
当社グループは、Health&Beauty領域において、お客さまのスマートで新しいライフスタイルを実現することをめざしております。人生100年といわれる現代において、お客さまの美や健康に対する価値観やニーズは日々変化しております。そのような中、お客さまへ世代やライフステージに応じた科学的で効率的なケアを提案するため、原料や商品の研究開発に取り組んでおります。特に、お客さまにとって「効果を実感」頂けるような機能性の高い新素材の開発や、肌や体内の生体バリア機能向上に関する研究に力を入れ、新しい商品や新しい使用方法等の開発につなげております。また、当社グループは自社の資源の活用だけではなく、大学やパートナー企業等と共同での研究開発(オープンイノベーション)も推進しております。これにより、様々な分野の先進テクノロジーを活用し、効率的かつ効果的に研究開発を進め、研究の成果を速やかに商品開発に活用できるよう取り組んでおります。
以上より、当社グループは研究開発の成果を通じてお客さまのスマートで新しいライフスタイルの実現に貢献し続けることを、研究開発の目的としております。
当連結会計年度において、当社グループが支出した研究開発費の総額は、
(1) 化粧品
当社グループは化粧品の開発において、美容や健康に幅広い応用が見込まれるコラーゲンの新規開発や、お客さまの効果実感を高めるための浸透技術の開発等に取り組んでおります。特にコラーゲンについては、エイジングケアが重要であると捉えており、より高い機能性を持つコラーゲンの研究開発に取り組んでおります。
当連結会計年度は、国立大学法人広島大学との共同研究により当社独自の薬用植物「ムラサキ」より独自の乳酸菌を発見いたしました。また日本で古くから親しみある発酵食品は、食材を「発酵」させることで栄養成分が増え、新しい機能性が加わるなど、人の美と健康に有益な食品として知られています。この発酵に着目し、当社独自の乳酸菌の発酵を応用しコラーゲンに新たな機能性を付与することを目的とした結果「ムラサキ発酵コラーゲン」を開発することが出来ました。「ムラサキ発酵コラーゲン」は、未発酵のコラーゲンと比較してアミノ酸量が豊富であること、またヒアルロン酸の産生効果が高まることを確認しており、肌の保湿力や弾性力向上等の効果が期待されます。当社グループは、「ムラサキ発酵コラーゲン」を、主要化粧品の開発に活用しております。令和5年5月には、「パーフェクトワン」の商品「パーフェクトワン モイスチャージェル」へ配合し発売しました。
今後も、コラーゲンや薬用植物の持つ様々な可能性を探り、お客さまのお肌のお悩みを解決するための研究開発を進めてまいります。
(2) ヘルスケア
当社グループは、お客さまの健やかな毎日をサポートするための健康食品や医薬品の開発を進めております。
当連結会計年度は、品種登録を行ったスペイン甘草の新品種「新日本製薬GG01」について、ヘルスケア事業に活用することをめざして検討を継続しております。
その他、当社グループは大学との共同研究も推進しております。当連結会計年度は、国立大学法人九州大学を中心とする産学連携オープンサイエンスプラットフォームに参画し、大学から提供されるビッグデータや異分野の研究者や企業との協働・議論を通じて、ヘルスケアに関する知見の拡大・蓄積を継続しております。当社グループは、今後これらの知見を新たなヘルスケア商品の開発に活用していくことを検討しております。