第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

経営環境及び対処すべき課題

当社グループを取り巻く経済環境につきましては、食品値上げによるお客様の節約志向に加え、原材料・エネルギー価格の高騰や人件費の上昇の懸念もあり、依然として厳しい状況が続くと予測されます。

このような状況にあって当社グループは、洋菓子、製菓の両事業を併せ持つという強みを活かして売上と利益の確保につとめてまいります。

 

各事業における対処すべき課題は次のとおりです。

 

[洋菓子事業]

洋菓子では、原材料・エネルギー価格の高騰等に対して、ケーキ類の集約生産や新たな生産設備を導入して効率化を促進し、生産性向上をはかることにより対応してまいります。

チェーン店においては、第129期に刷新した洋菓子店のVI(ビジュアルアイデンティティ)に基づいた店舗改装や包装資材のリニューアルを促進してまいります。

製品施策においては、産地・品種にこだわった原料を使用した『厳選素材製品』の品揃えの充実をはかってまいります。

また、新規の取り組みとして冷凍スイーツ自動販売機の設置推進、Web販売の強化など多様化する購入方法への対応や「ミルキードーナツ」専門店など新たなコンセプトショップの開設を通じて顧客の拡大に取り組んでまいります。

広域流通企業との取り組みについては、海外輸出の強化や半生菓子分野への参入など、新たな販路の開拓につとめてまいります。

レストランでは、新規出店及び既存店舗の改装を促進させ、ケーキ類の拡販やメニュー強化に取り組むとともに、セルフオーダーシステムの導入等により、業務効率化・省人化をはかり、収益性を高めてまいります。

 

[製菓事業]

菓子では、『カントリーマアム』、『ホームパイ』を主力に「チョコまみれ」をはじめとする『まみれワールド』製品の拡販に取り組み売上増をはかるとともに、主力生産ラインの稼働を促進させてさらなる生産性向上につなげ、収益性を高めてまいります。

さらに、本年は『ネクター』の発売60周年に当たり、「ネクター」の新製品及び拡大しているグミ市場に向けた「ネクターグミ」を発売し、テレビコマーシャル等の販売促進活動を積極的に展開してキャンペーンを盛り上げてまいります。

海外事業の不二家(杭州)食品有限公司においては、中国経済停滞の影響が懸念されますが、主力製品の「ポップキャンディ」を軸に、新規設備を導入して生産するグミ製品や業務提携によるキャラクター菓子製品の拡販に注力するなど、売上確保に取り組んでまいります。

ベトナムにおいては、設立した合弁会社を通じて、2025年10月の工場稼働に向けて、現地における販売活動及び新製品開発を促進し、海外事業の売上伸長を目指してまいります。

 

上記すべての事業活動において安全・安心な製品の製造・販売に際し、FSSC22000(食品安全マネジメントシステムに関する国際規格)を含め、事業の基盤となる食品安全衛生管理を着実に実行するとともに、労災ゼロ、異物混入クレームゼロを目標に、業務に取り組んでまいります。

 

当社グループを取り巻く環境は、厳しい状況が続くと思われますが、前記の各施策を着実に実行し、業績の向上を目指してまいります。

また、親会社の山崎製パン㈱との連携を強化し、グループ全体の総合力を発揮して、持続的な企業価値の向上と不二家ブランドの強化につとめ、事業の発展を目指します。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社は、不二家の価値観「Smile makes the heartful world ~笑顔がつくる こころあたたまる世界~」の実現に向け、商品・サービスを通してこころあたたまる絆や記憶を提供しています。不確実性の増す事業環境において、不二家の価値観を達成するためには、社会問題解決と企業成長の両立が不可欠であり、サステナビリティの取り組みを重要な経営課題の1つであると認識しております。

サステナビリティ経営推進にあたり、指針となる「不二家 サステナビリティ方針」を以下のとおり策定し、推進体制の構築及び取り組みの推進を図っております。

不二家 サステナビリティ方針

 私たち不二家は、「愛と誠心と感謝をこめて お客様に愛される不二家になります」という社是のもと、お菓子が作り出す人と人との「絆」や生活への「彩り」を、新しい価値を創造する原動力とし、適正な企業統治の下、安全かつ多様な製品やサービスを通して社会から信頼される企業を目指し、社会問題解決と企業成長を両立させて、持続可能な未来の実現に貢献します。

 取り組みにあたっては、「環境」「人権」「従業員」「地域社会」を4つの柱として、グローバルな視点を持ちながら地域活動を大切にし、多くのステークホルダーの皆さまとともに積極的に推進してまいります。

 

 

  ①ガバナンス

サステナビリティに関する取り組みについては、全社におけるサステナビリティ推進を図る「サステナビリティ推進室」のもと、「不二家 サステナビリティ方針」の4つの柱に沿った分科会を設置し、個々のテーマに取り組んでおります。その活動内容について、サステナビリティ推進室が取りまとめの上、取締役会に付議・報告することで、取締役会が活動状況を監督しております。

 

●サステナビリティ推進体制


 

   ●4つの分科会のテーマ

   ・環境分科会:地球環境保全に対する配慮

   ・人権分科会:事業活動における人権の尊重

   ・従業員分科会:従業員の健康向上・労働環境改善と公平な処遇

   ・地域社会分科会:地域社会との共存・共栄・調和

 

 

②リスク管理

当社では、「経営リスク」「事故・災害リスク」等に対して、事前にリスクの特定・分類・分析・評価を行い、適切に対応するための「リスク管理委員会」を設置し、年4回開催しております。「リスク管理委員会」は代表取締役社長を委員長として、委員会において進捗のモニタリングを行い、審議内容や検討状況は必要に応じて取締役会に報告することで、リスク管理全般の統制管理を行っております。なお、サステナビリティに関するリスクについては、適切な対応を図るため、代表取締役社長を委員長とした「ESG委員会」を新たに設置することが決定しております。

当社のリスクマネジメントの詳細は、「3.事業等のリスク」に記載しております。

 

(2)人的資本関係(人的資本・多様性)

当社では、「不二家 人事方針」のもと、当社の価値観に共感するとともに、変化への迅速な対応、多様性の尊重、お客様・地域社会に対する継続的な価値提供ができる自律した人材の育成を推進しております。

●不二家 人事方針

  不二家の価値観「Smile makes the heartful world」の実現に向け、不二家と従業員との強固な関係を築くため、従業員の成長を支援するとともに、各々の持つ強み・能力を最大限発揮できる環境と場を提供します。

 

 

①戦略<人材育成方針及び社内環境整備方針>

当社では、人材は経営を担う重要な財産の1つであると考えております。「不二家 人事方針」のもと、「不二家 人材育成方針」及び「不二家 社内環境整備方針」を掲げ、自律的かつ主体的にチャレンジする従業員を支援するとともに、各々の持つ強み・能力を最大限発揮できる環境を提供しております。

 

●不二家 人材育成方針

(1)「個の成長」と「個々が強い結びつきを持つ組織」の両立により、多様な人材が活躍する組織を

       実現します。

(2)多様な職務経験・人との関わりを通じた幅広い能力開発と人間的成長を支援します。

(3)自律人材の育成に向け、自己成長支援を推進するとともに、主体的にキャリアが形成できる環境を

      整備します。

 

 

●不二家 社内環境整備方針

(1)「不二家グループ 労働安全衛生方針」を踏まえ、安全・安心が確保された職場環境を整備します。

(2)従業員が個々の能力を最大限発揮するために、「心理的安全性」を高め、「多様性」を尊重する

      風土を醸成します。

(3)従業員を代表する労働組合と健全かつ良好な関係を構築し、相互理解と諸問題解決に向けて協議
      します。

 

 

    具体的には、下記2点を重要課題であると認識し、施策を推進しております。

重要課題

選定理由

●人材の育成

一人ひとりが「高い能力を持つ集団(専門家)」でありながら「個々が強い結びつきをもつ組織」となり、経営戦略と連動した施策の推進・多様な人材が活躍する組織実現が重要であると認識しております。

●安全・安心な職場環境の整備と

健康経営の推進

多様な従業員が活躍でき、心理的な安全性が確保された職場環境を整備することが重要であると認識しております。

 

人材の育成については、OJT・OFF-JT・自己啓発・各種研修を実施しており、今後社内研修の更なる充実を図ってまいります。

安全・安心な職場環境の整備と健康経営の推進については、健康リスクの観点から労働時間の短縮に努めており、今後更なる推進を図ってまいります。また、社外の労働安全衛生顧問と中央労働安全衛生委員による定期的な安全衛生巡回を実施し、労働災害の未然防止に努めております。

 

②指標及び目標

上記重要課題の達成状況を確認するための、主な指標及び目標は以下のとおりです。

指   標

2023年度

実 績

2025年度

目 標

2030年度

目 標

●人材育成

従業員意識調査における「成長実感とキャリア展望」のスコア(※1)

3.1点

3.5点

4.0点

研修費用(2022年度実績を100とした時の率)

166%

180%

200%

●職場環境整備

 と健康経営推進

労働災害率(度数率)(※2)

0.28

0.00

0.00

年間総実労働時間

2,054時間

1,950時間

1,850時間

 

(※1)  従業員意識調査の質問項目「あなたは、当社における自分自身のキャリア目標(将来のありたい姿)を描いているか」に対する回答状況であります。5段階評価の回答の平均スコアを算出しており、4.0点以上が「良好」、3.5点以上4.0点未満を「及第」としております。

(※2)  100万延べ労働時間当たりの労働災害による死傷者(不休災害による傷病者は含んでおりません)をもって労働災害発生の頻度を表しております。

 

(3)気候変動関係

当社では、「不二家 環境方針」にもとづき、従業員一人ひとりが当社の果たすべき責任と役割を認識し、低炭素社会・循環型社会等持続可能な社会の実現に寄与する「地球にやさしい企業」を目指しております。その達成に向けて、気候変動への対応を重要な課題であると認識しており、2023年4月、金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース<TCFD>(※3)」提言へ賛同するとともに、「同コンソーシアム(※4)」へ加盟し、気候変動への対応と情報開示を推進しております。

(※3)G20から要請を受け、金融安定理事会(FSB)が2015年に設立。企業に対し、気候変動関連リスク及び機会について開示することを推奨する提言をまとめた。

(※4)企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断につなげる取り組みについて議論する場として、2019年に設立。

 

① 戦略

当社では、洋菓子事業と菓子事業を対象としてシナリオ分析を実施しております。2023年度に実施したシナリオ分析では、2030年における4℃シナリオ及び2℃・1.5℃シナリオの2つの将来世界観を整理し、リスクと機会の特定・評価を行っております。特定・評価したリスクと機会に対応すべく、経営戦略との整合性を図ってまいります。

 

 

 a. 4℃シナリオ及び2℃・1.5℃シナリオに基づく将来世界観

4℃シナリオ

2℃・1.5℃シナリオ

<異常気象に伴う自然災害などの被害が拡大>

産業革命期頃と比較して、2100年頃までに地球平均気温が4℃以上上昇する世界を想定したシナリオ。

現在の気候変動に関連する法整備や施策が成り行きで続き、異常気象の激甚化をはじめとした、平均気温上昇による物理的影響が顕著になる世界観。

気候変動による直接的な被害が増加するのに対し、法規制や税制という形での市場への締め付けは強化されないため、移行リスクとしての影響度は小さく、企業の事業活動や顧客及び投資家における気候変動に対する意識に特別な変化は見られない。

<脱炭素社会への移行が表面化>

産業革命期頃と比較して、2100年頃までに地球平均気温上昇を2℃程度に抑える世界を想定したシナリオ。

現在より厳しい政策や規制の導入等によって気温上昇が抑制され、異常気象等の物理的リスクの規模や頻度は4℃シナリオに比べ縮小するが、脱炭素化に向けた社会構造の変化に伴い、移行リスクは高まる世界観。

そのため、あらゆる企業の事業活動において、気候変動の適応と緩和の動きが顕著になり、顧客や投資家の間では環境配慮の商品・サービスに関心が集まる。

<分析に使用したシナリオ>

●IPCC AR5

(気候変動に関する政府間パネル第5次報告書)

:RCP8.5、RCP6.0

●IEA WEO 2022

(国際エネルギー機関2022年版世界経済見通し)

:Stated Politics Scenario

<分析に使用したシナリオ>

●IPCC AR5

(気候変動に関する政府間パネル第5次報告書)

:RCP2.6、RCP4.5

●IEA WEO 2022/IEA Net by Zero2050

(国際エネルギー機関2022年版世界経済見通し/国際エネルギー機関2050年ネット0に向けたロードマップ)

:Net Zero Emissions by 2050 Scenario

●IEA WEO 2019

(国際エネルギー機関2019年版世界経済見通し)

:Sustainable Development Scenario

 

 

リスク項目については、2030年における財務インパクトを推定し、影響度を大中小で評価いたしました。その結果、下記「b.リスク一覧」に示したように、4℃シナリオにおける「原材料コストの変化」、2℃・1.5℃シナリオにおける「炭素税の導入」「プラスチックへの規制」「顧客行動の変化」「原材料コストの変化」が特に大きな影響を及ぼす可能性があると確認いたしました。

一方で、環境意識の高まりなどお客様の新たなニーズへの対応や、気温上昇によるお客様の嗜好変化や喫茶需要の増加に合わせた商品開発、店舗業態での出店等、事業機会の可能性を確認しております。

リスクへの対応策をはじめとする具体的な取り組みについては、当社ホームページやCSR報告書で開示しております。

 

b. リスク一覧

分類

リスク項目

時間軸

事業への影響

影響度

4℃

2℃・1.5℃

移行リスク

炭素税の導入

中~

長期

事業活動に伴うCO2排出量に対して課される炭素税による操業コストの増加

導入

プラスチックへの

規制

短~

長期

石油由来原料への規制強化等、プラスチック梱包材への規制が導入された場合、紙を用いた包装へ変更するなどの対応コストの増加

省エネ・再エネ政策の

強化

中~

長期

省エネ政策強化による省エネ対応設備への切替コストや店舗のZEB化・ZEH化への対応コストの増加

エネルギーコストの

変化

中~

長期

・再生可能エネルギーへの需要増加による電力

 価格高騰が引き起こす、電力調達コストの増

・化石燃料や電力などエネルギー価格の変動による、石油由来包装及び輸送コストの変動(増加)

顧客行動の変化

短~

長期

環境意識の高まりによる消費者離反や、小売企業による当該商品の採用減に伴う売上の減少

原材料コストの変化

短~

長期

持続可能な農業への移行や干ばつ、平均気温の上昇に伴う、原材料(カカオ豆、小麦、牛乳、大豆油等)調達コストの増加

物理リスク

異常気象の激甚化

短~

長期

気象災害の激甚化による拠点の被災及びサプライチェーンの寸断による損害や営業停止による損失の発生

 

・*印のリスク項目は、定量的な評価を実施しております。

・時間軸は下記のとおり定義しております。

  短期:0~3年、中期:4~10年(2030年ごろ)、長期:11年~

 

 

c. 具体的な取り組み

・CO2排出量の削減

 当社では、2030年までにCO2排出量を2013年度比で46%削減することを目標に、低炭素社会の実現に向けた取り組みを積極的に行っております。

 例えば、生産工場の屋上に太陽光パネルを設置し、太陽光発電によって得た電力を工場で使用するなど、CO2排出量の削減を進めております。

 また、商品の配送時に排出されるCO2についても削減活動を推進しており、共同配送等により配送の効率化を行うことで使用燃料及びCO2排出量の抑制に努めております。

 

・プラスチック使用量の削減

 製品の容器や包装については、商品をおいしく安全にお客様にお届けするための「品質保持」の役割を維持するとともに、省資源や廃棄時の環境負荷低減などの「環境配慮」への対応を進めております。

 例えば、プラスチック包材から紙包材への切替や、外装・個包装・トレーなどの薄肉化及びサイズの縮小に取り組んでおります。洋菓子店舗やレストランにおいても、バイオマスプラスチックを使用した持ち帰り袋への切替などを行っております。

 

・お客様の嗜好変化への対応

 お客様の環境に対する意識の高まりにより、環境配慮型商品への需要が増加するなど、お客様の嗜好も変化しております。エシカル消費の広まりに対し、上記プラスチック使用量の削減のほか、FSC(※5)認証紙の使用や、サステナブルな原料を使用した商品及び気温上昇によるお客様の嗜好変化に合わせた商品の開発などに取り組んでおります。

(※5)Forest Stewardship Concilの略。森林の生物多様性を守り、地域社会や先住民族、労働者の権利を守り ながら適切に生産された製品を消費者に届けるためのマーク。

 

②指標と目標

当社では、気候変動によるリスクを緩和するため、以下のとおり指標・目標を定めております。各目標の達成に向け、主に以下の活動に注力しております。

・温室効果ガス(CO2)排出量の削減:生産工場における省エネ・創エネ施策の推進

・食品リサイクル率の向上:生産工場や店舗等で排出される規格外品等の再資源化

・ガーナ産カカオ豆のサステナブル調達

:「不二家 購買・調達方針」に則った、ガーナ産カカオ豆のサステナブル調達活動の推進

指標

2023年度

実 績

2028年度

目 標

2030年度

目 標

●温室効果ガス(CO2)排出量の削減

              (2013年度比)

13.9%削減

 

46%削減

●食品リサイクル率の向上

80%

 

95%

●ガーナ産カカオ豆のサステナブル調達

43%

100%

 

 

 

 

3 【事業等のリスク】

(1)当社のリスクマネジメント体制

 当社は、「リスク管理規程」に基づき、事業における様々なリスクに対して、事前にリスクの特定・分類・分析・評価を行い、適切に対応するための「リスク管理委員会」を設置し、年4回開催しております。「リスク管理委員会」は代表取締役社長を委員長として、委員会において進捗のモニタリングを行い、審議内容や検討状況は必要に応じて取締役会に報告することで、リスク管理全般の統制管理を行っております。

(2)主要な事業等のリスク

 事業の状況、財務の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。当社グループは、事業等のリスクが発生する可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応につとめる所存であります。

 以下に記載したリスクは当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、これら以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、以下の文中には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2024年3月22日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

リスク

対応策

「食」の安全性

●原材料や製造工程のトラブルによる製品の安全性低下、食品事故の発生

●上記に起因した製品の回収や販売停止

●「不二家 食品安全品質方針」のもと、社長直轄の食品安全衛生管理本部による「食」の安全性に対する日々の管理
●食品表示法、景品表示法等の関係法令に則った製品表示の実施
●毎月11日を「食品安全の日」と定め、通常の食品安全衛生管理業務に加え、定期的な当社・ 当社グループ工場及び製造委託会社の管理状況を点検
●店舗への巡回チーム派遣による食品安全衛生管理の徹底

●主要工場においてAIB(American Institute of Baking)の国際検査統合基準による指導に基づいた管理の実施
●FSSC22000(食品安全マネジメントシステムに関する国際規格)を含めた食品安全衛生管理の実施

原材料・エネルギー価格

●下記の要因による原材料・エネルギー価格の上昇、調達不全
 ・異常気象 ・自然災害
 ・世界的な需給状況の変化
 ・為替変動
 ・原産国の政情不安、紛争
 ・原油価格の上昇
 ・パンデミック  等

●調達先等からの適時的確な価格変動情報の収集
●調達先や産地の分散化
●代替原材料の検討
●生産ラインの効率化推進

海外事業展開

●進出先における下記不測の事態の発生
 ・政治・社会情勢の変化
 ・テロ活動・暴動行為の発生
 ・自然災害の発生
 ・パンデミック
 ・為替変動  等 

●当社からの基幹人材の派遣(中国)
●当社海外事業部による現地情勢の把握
●災害発生時の現地子会社と連携した情報収集体制の整備

法的規制等

●海外現地法令を含む法的規制の変更・強化による事業活動の制限

●適時的確な情報収集
●役員・従業員に対するコンプライアンス教育実施による法令等の啓発及び意識の向上

 

 

 

リスク

対応策

異常気象・自然災害、パンデミック

●過度な気温上昇による購買動向の変化
●大規模な地震や水害などの自然災害、パンデミックによるサプライチェーンの停滞

●情報収集や分析に基づく需要予測・生産計画の策定
●有事の際は危機管理マニュアルに従った対応を基本とし、事業活動への影響が大きい場合、社長を本部長とする対策本部を設置、全社的に対応
●地震・火災等を想定した防災訓練の実施
●事業所ごとのハザードマップの整備

企業情報・個人情報の漏洩

●不正アクセスやコンピュータウイルス感染等による社内情報の漏洩、改ざん、システム障害等

●「文書管理規程」「経営機密情報管理規程」「個人情報保護基本規程」等情報セキュリティに関する各種規程の整備、啓発活動の実施

不二家ブランドの毀損

●SNS等による当社グループ製品・サービスへの予期せぬ風評被害の発生・拡散

●インターネット上の当社関係情報の監視

●虚偽又は事実と異なる情報に対し法令等に則り迅速且つ適正な対応を実施

人材の確保・育成

●雇用情勢の変化や国内の少子高齢化による労働人口の減少等による人材の確保難

詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)人的資本関係」をご参照ください。

労働災害

●従業員の生命身体を脅かす事故の発生

●「不二家グループ 労働安全衛生方針」のもと、労働時間の短縮による安全・安心な職場環境の整備と健康経営の推進

●労働災害の未然防止のため、社外の労働安全衛生顧問と中央労働安全衛生委員による定期的な安全衛生巡回の実施

気候変動

●移行リスク(脱炭素社会への移行に伴うリスク)
●物理リスク(気候変動による災害等により顕在化するリスク)

詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(3)気候変動関係」をご参照ください。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、政府の各種政策の効果により景気は緩やかに回復しておりますが、食品業界においては、原材料・エネルギー価格の高騰や食品値上げに対するお客様の節約志向の高まりにより厳しい状況となりました。

このような状況下にあって当社グループは、お客様に、より良い商品と最善のサービスの提供を心掛け、売上と利益の確保につとめてまいりました。

その結果、当連結会計年度の売上高は、1,055億34百万円(対前期比104.9%)と、前期の実績を上回りました。

一方、利益面では、製品規格の変更や省人化などによる生産性向上をはかってまいりましたが、原材料・エネルギー価格の著しい高騰や人件費の上昇がありました。洋菓子事業においては在庫の適正化に向けた不良在庫の処分及びそれに伴う一時的な生産減による労務費率の悪化、製菓事業においては価格改定による販売数量の減少が大きく影響し、営業利益は13億74百万円(対前期比31.7%)、経常利益は21億4百万円(対前期比38.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益は9億69百万円(対前期比28.7%)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

 

 

 

 

当連結会計年度(第129期)

前連結会計年度(第128期)

対前年
同期比

増減

2023年1月1日から
2023年12月31日まで

2022年1月1日から
2022年12月31日まで

売上高

構成比

売上高

構成比





 

百万円

百万円

百万円

洋菓子

25,188

23.9

25,189

25.0

100.0

△0

レストラン

5,712

5.4

4,818

4.8

118.5

893

30,900

29.3

30,007

29.8

103.0

893




菓 子

66,927

63.4

62,713

62.3

106.7

4,213

飲 料

4,479

4.2

4,698

4.7

95.3

△219

71,407

67.6

67,412

67.0

105.9

3,994

その他

3,227

3.1

3,194

3.2

101.0

33

合   計

105,534

100.0

100,614

100.0

104.9

4,920

 

(注)記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しております。

 

  <洋菓子事業>

当社単体の洋菓子においては、洋菓子チェーン店にて産地・品種にこだわった原料を使用した『厳選素材製品』や旬の国産フルーツを使用した期間限定の『宝石箱』シリーズを展開するなど、お客様に選ぶ楽しさを提供してまいりました。夏場の記録的な猛暑の影響や不採算店、後継者不足等のフランチャイズ店の閉鎖によって、当連結会計年度末の不二家洋菓子店の営業店舗数が939店と前期に比べ15店減少したこともあり、洋菓子店の売上は前期の実績には届きませんでした。そのような中、新たな取り組みとして第3四半期以降、冷凍スイーツ自動販売機の設置活動を促進し、クリスマスにおいては、ケーキの予約受付を店頭のほか、Webでも実施したことにより販売数量が大きく伸長し、洋菓子店の売上は回復傾向となりました。

 

広域流通企業との取り組みについては、新規販路の拡大に加え、マカロンなど当社の技術力を活かした製品や「横浜元町で生まれた不二家の2個入りケーキ」など生産性の高い洋菓子ラインを活用した製品の提案を積極的に行った結果、売上は好調に推移いたしました。

 

レストラン事業では、メニュー及び価格の一部見直しによる客単価アップ、新型コロナウイルス感染症の影響で減少していた客足の回復に加え、これまで取り組んできた美化改装の効果や新規開店の売上寄与もあり、売上高は57億12百万円(対前期比118.5%)と前期の実績を上回りました。

 

㈱ダロワイヨジャポンでは、主力製品であるマカロン及び自社キャラクター商品の販売が好調に推移し、売上は前期の実績を上回りました。

 

以上の結果、当連結会計年度における洋菓子事業全体の売上高は309億円(対前期比103.0%)となりましたが、利益面では、卵や油脂、砂糖など原材料価格の高騰や不良在庫の処分の影響により、減益となりました。

 

<製菓事業>

当社単体の菓子においては、テレビコマーシャルやデジタル広告配信、各種キャンペーン等の販売促進活動の効果もあり、主力ブランド製品である『ホームパイ』や『ミルキー』の販売が好調に推移いたしました。また、3月の価格改定を機に「19枚カントリーマアム」等の大袋製品の販売数量が減少し苦戦しておりましたが、9月における「ハートチョコレート」や「ショコラウェファース」などの『ハート』シリーズの拡販に加え、10月には期間限定で『カントリーマアム』や『ホームパイ』等の増量品を発売するなどの取り組みを行った結果、売上は前期の実績を上回りました。

 

不二家(杭州)食品有限公司では、第3四半期までは売上は回復傾向で推移したものの、第4四半期に入り、中国国内の景気減速に加え、中国政府による日本製品の輸入制限もあり、前期の売上を確保するまでに留まりました。

 

以上の結果、当連結会計年度における製菓事業全体の売上高は714億7百万円(対前期比105.9%)となりましたが、利益面では、規格や価格を改定した製品の販売数量減少の影響により、減益となりました。

 

<その他>

ライセンス事業、不動産賃貸事業及び㈱不二家システムセンターのデータ入力サービスなどの事務受託業務の売上高は、32億27百万円となりました。

 

財政状態は、次のとおりであります。

 

流動資産は340億22百万円で、前連結会計年度末に比べ30億76百万円減少いたしました。固定資産は491億2百万円で、主に有形固定資産の増により前連結会計年度末に比べ24億89百万円増加いたしました。この結果、総資産は831億25百万円で前連結会計年度末に比べ5億87百万円減少いたしました。

また、流動負債は193億16百万円で、主にその他に含まれる設備支払手形の減により前連結会計年度末に比べ17億42百万円減少いたしました。固定負債は31億68百万円で、前連結会計年度末に比べ3億19百万円減少いたしました。この結果、負債合計は224億84百万円で前連結会計年度末に比べ20億62百万円減少いたしました。

純資産は606億40百万円で、主に為替換算調整勘定や非支配株主持分の増により前連結会計年度に比べ14億75百万円増加いたしました。この結果、自己資本比率は67.3%(前期は65.6%)となり、1株当たり純資産は2,170円11銭となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローにつきましては、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて23億62百万円減少し、77億81百万円となりました。

営業活動の結果得られた資金は、67億75百万円(前連結会計年度は49億48百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益によるものであります。

投資活動の結果使用した資金は、79億67百万円(前連結会計年度は77億39百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものであります。

財務活動の結果使用した資金は、12億40百万円(前連結会計年度は15億49百万円の使用)となりました。これは主に配当金の支払やリース債務の返済等によるものであります。

 

③生産、商品仕入及び販売の実績

a 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

前年同期比(%)

洋菓子事業計(百万円)

25,109

99.9

製菓事業計(百万円)

63,023

106.2

合計(百万円)

88,132

104.4

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しておりません。

2 金額は販売価格によっております。

 

b 商品仕入実績 

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

前年同期比(%)

洋菓子事業計(百万円)

924

80.8

製菓事業計(百万円)

6,561

101.1

合計(百万円)

7,485

98.1

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しておりません。

2 金額は仕入価格によっております。

 

c 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

前年同期比(%)

洋菓子事業

ケーキ、ベーカリー、デザート等の
洋菓子類(百万円)

25,188

100.0

レストラン(百万円)

5,712

118.5

計(百万円)

30,900

103.0

製菓事業

チョコレート、キャンディ及びビスケット(百万円)

66,927

106.7

飲料、乳製品等(百万円)

4,479

95.3

計(百万円)

71,407

105.9

その他

不動産賃貸収入及び事務受託業務等
(百万円)

3,227

101.0

計(百万円)

3,227

101.0

合計(百万円)

105,534

104.9

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

株式会社山星屋

10,379

10.3

10,838

10.2

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績については、売上高は1,055億34百万円(前連結会計年度比4.9%増)となり、前期実績を上回りました。

利益面では、製品規格の変更や省人化などによる生産性向上をはかってまいりましたが、原材料・エネルギー価格の著しい高騰や人件費の上昇がありました。洋菓子事業においては在庫の適正化に向けた不良在庫の処分及びそれに伴う一時的な生産減による労務費率の悪化、製菓事業においては価格改定による販売数量の減少が大きく影響し、営業利益は13億74百万円(前連結会計年度比68.3%減)、経常利益は21億4百万円(前連結会計年度比62.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は9億69百万円(前連結会計年度比71.3%減)となりました。

a 売上高

売上高を事業の種類別に見ますと、洋菓子事業においては、単体の洋菓子チェーン店にて、産地・品種にこだわった原料を使用した『厳選素材製品』や旬の国産フルーツを使用した期間限定の『宝石箱』シリーズを展開するなど、お客様に選ぶ楽しさを提供してまいりました。夏場の記録的な猛暑の影響や不採算店、後継者不足等のフランチャイズ店の閉鎖によって、洋菓子店の売上は前期の実績には届きませんでした。そのような中、新たな取り組みとして第3四半期以降、冷凍スイーツ自動販売機の設置活動を促進し、クリスマスにおいては、ケーキの予約受付を店頭のほか、Webでも実施したことにより販売数量が大きく伸長し、洋菓子店の売上は回復傾向となりました。広域流通企業との取り組みについては、新規販路の拡大に加え、マカロンなど当社の技術力を活かした製品や「横浜元町で生まれた不二家の2個入りケーキ」など生産性の高い洋菓子ラインを活用した製品の提案を積極的に行った結果、売上は好調に推移いたしました。レストラン事業では、メニュー及び価格の一部見直しによる客単価アップ、新型コロナウイルス感染症の影響で減少していた客足の回復に加え、これまで取り組んできた美化改装の効果や新規開店の売上寄与もあり、売上高は前期の実績を上回りました。以上の結果、洋菓子事業全体では309億円(前連結会計年度比3.0%増)となりました。製菓事業においては、主に当社単体の菓子において、テレビコマーシャルやデジタル広告配信、各種キャンペーン等の販売促進活動の効果もあり、主力ブランド製品である『ホームパイ』や『ミルキー』の販売が好調に推移いたしました。また、3月の価格改定を機に「19枚カントリーマアム」等の大袋製品の販売数量が減少し苦戦しておりましたが、9月における「ハートチョコレート」や「ショコラウェファース」などの『ハート』シリーズの拡販に加え、10月には期間限定で『カントリーマアム』や『ホームパイ』等の増量品を発売するなどの取り組みを行った結果、売上は714億7百万円(前連結会計年度比5.9%増)となりました。その他の事業は、32億27百万円(前連結会計年度比1.0%増)でした。売上高の詳細については「第2 事業の状況」「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1) 経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況に記載の通りです。

b 営業利益

売上原価率は67.98%となり、原材料・エネルギー価格の著しい高騰や人件費の上昇があり2.83%上昇しました。販売費及び一般管理費率は、30.72%で前連結会計年度末並みとなりました。

セグメント別では、洋菓子事業においては、卵や油脂、砂糖など原材料価格の高騰や不良在庫の処分の影響により減益となりました。製菓事業については、規格や価格を改定した製品の販売数量減少の影響により減益となりました。以上の結果、営業利益は13億74百万円(前連結会計年度比68.3%減)となりました。

c 経常利益

主に営業利益の減少等により、経常利益は21億4百万円(前連結会計年度比62.0%減)となりました。

d 親会社株主に帰属する当期純利益

主に営業利益の減少等により、親会社株主に帰属する当期純利益は9億69百万円(前連結会計年度比71.3%減)となりました。

 

② 財政状態の分析

当連結会計年度末における資産、負債、純資産の状況は以下のとおりであります。

流動資産は340億22百万円で、前連結会計年度末に比べ30億76百万円減少いたしました。固定資産は491億2百万円で、主に有形固定資産の増により前連結会計年度末に比べ24億89百万円増加いたしました。この結果、総資産は831億25百万円で前連結会計年度末に比べ5億87百万円減少いたしました。

また、流動負債は193億16百万円で、主にその他に含まれる設備支払手形の減により前連結会計年度末に比べ17億42百万円減少いたしました。固定負債は31億68百万円で、前連結会計年度末に比べ3億19百万円減少いたしました。この結果、負債合計は224億84百万円で前連結会計年度末に比べ20億62百万円減少いたしました。

純資産は606億40百万円で、主に為替換算調整勘定や非支配株主持分の増により前連結会計年度に比べ14億75百万円増加いたしました。この結果、自己資本比率は67.3%(前期は65.6%)となり、1株当たり純資産は2,170円11銭となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの運転資金需要の主なものは、原材料の購入、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要の主なものは、生産設備の新設及び更新や店舗設備の新設等の設備投資であります。現時点においては、キャッシュ・フローに大きな影響を及ぼす大型の投資は予定しておりません。

これらの運転資金や投資資金は、自己資金により充当することを基本方針としておりますが、必要に応じて資金調達を行ってまいります。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 不二家フランチャイズチェーン契約

当社は、フランチャイジーとの間に「不二家フランチャイズチェーン契約」を締結しております。

期間  :3カ年間(期間満了後1年毎の自動更新)

契約内容:1 不二家ファミリー・チェーン加盟店の運営

2 不二家ファミリー・チェーンに係わる商標、サービスマーク、運営マニュアル等の使用

(注)フランチャイジーによって発効日が異なりますので、発効日の記載を省略しております。

なお、1995年4月1日よりロイヤリティ制度を導入し売上の5%程度のロイヤリティを受けとっております。

 

(2) 山崎製パン株式会社との業務資本提携契約

当社は、2008年11月7日、山崎製パン株式会社との間に業務資本提携契約を締結しております。

契約内容:1

両社製品の相互販売、相互OEM生産、共同原材料調達、共同プロモーションの展開、販売拠点の共同開発、物流の共同化等の業務提携

     2

当社普通株式の第三者割当増資による資本提携

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「常により良い商品と最善のサービス(ベストクオリティ・ベストサービス)を通じて、お客様ご家族に、おいしさ、楽しさ、満足を提供する」という経営理念のもと、品質・価格など幅広い消費者のニーズに対応するべく、食品分析、製品開発、品質安定・向上に関する研究等に積極的に取り組んでおります。

また、自社製品の栄養成分表示、賞味期限設定の裏付けとなる製品の経時変化の分析を中心に、食の安全を確立するための食品分析を実施しております。

なお、当連結会計年度末の研究開発従事者は53名、研究開発費は501百万円であります。

 

セグメント別の主な研究開発内容は、次の通りであります。

(洋菓子事業)

洋菓子事業では、チェーン店の週毎の販売施策に基づき、産地と品種にこだわった国産フルーツの魅力を最大限活かした製品を開発するとともに、新VIのもと、プレミアム製品群における品質の追求をはじめ、主力製品の継続的な品質改善や百貨店の催事に合わせた高付加価値製品の開発などを行いました。

また、当社が持つセミフレッド技術を活かした冷凍自動販売機向け製品や、Web注文と宅配に対応した製品など、多様化する購入方法に応える製品を開発いたしました。

さらに、広域流通企業と一体となってマカロンや大判クッキーなど市場競争力の高い製品の開発を行うとともに、製造過程での効率化をはかる研究に取り組みました。

以上の結果、洋菓子事業の研究開発費は246百万円となりました。

 

(製菓事業)

製菓事業では、主力ブランドである『カントリーマアム』、『ルック』、『ミルキー』、『ホームパイ』の価値向上を目指し、厳選素材を取り入れた季節感と話題性ある製品を開発するとともに、継続的な品質改善に取り組みました。また、グミ製品の一部において、凝固時間を短縮したファストセット品質を導入し生産性向上に貢献いたしました。

研究室では、チョコレート原料であるカカオマスのロースト条件の最適化や、ビスケットカテゴリーにおけるプラントベースフード(植物由来の原材料を使用した食品)の開発、栄養素の不足を補うための完全栄養菓子に関する研究等、既存製品の品質改善や新製品開発に関する研究等に取り組みました。

また、CO2削減に向け、包装資材の薄肉化や、紙包材化に向けた取り組みも継続して行っております。さらに、単一素材のモノマテリアル包材の研究も開始いたしました。

以上の結果、製菓事業の研究開発費は、255百万円となりました。