第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループにおきましては、設立以来、住宅・不動産業界において、過去の慣習にとらわれずに新しい経営スタイルを確立すべく事業運営を行ってまいりました。

 経営理念として、「我々は、住宅産業を通じて価値創造し、人々に夢と希望の創出を永続することが、社会貢献であり、企業としての宿命であると考える。」を揚げ、お客様と共に栄える企業へ成長するとともに「お客様に選ばれる満足度No.1の住宅会社」を目指しております。

 現在では、関西、九州及び中部エリアで26拠点を展開し、地域密着スタイルの営業基盤の拡充が着実に進んでおります。グループ全体で、不動産仲介、新築戸建分譲、建設請負、損害保険代理、不動産賃貸の5つの事業を展開し、このシナジー効果を発揮して、お客様が一生涯にわたり安心して生活できる「住環境」をご提供してまいります。

 

(2)経営戦略

 当社グループにおきましては、基本戦略として、不動産仲介、新築戸建分譲、建設請負、損害保険代理、不動産賃貸の5つの事業分野の連携強化によるシナジー効果の最大化と、エリアを絞った地域密着の営業戦略のもと、各商圏でのマーケットシェアを高め、地域顧客の生涯顧客化による、長期的な収益モデルの構築を目指しております。

 このような戦略のもと、当社グループといたしましては中長期的な事業規模、事業領域の拡大を目標に、各事業の収益力向上に向けた施策を推進してまいります。

 当社グループの中核事業である不動産仲介事業におきましては、時代のニーズにあった「低価格の新築住宅」及び「優良な中古住宅」の流通を拡大するとともに、リフォーム需要の獲得を継続して強化し、新たなエリアへの進出も含め新規出店等を推進してまいります。

 新築戸建分譲事業におきましても、より安価でありながら高品質な住宅の提供が求められること、また、多様化する住宅ニーズに対応した、自由設計を中心とした分譲住宅の提供を進めてまいります。

 展開する5事業分野の連携強化により、シナジー効果を最大限発揮して、住まいに関する総合的なサービスを提供し、永続的な事業成長や企業価値の向上に努めたいと考えております。

 

(3)目標とする経営指標

 当社グループにおきましては、経営基盤の強化及び継続した企業価値向上を目標に、売上高経常利益率を重要指標と位置付けております。売上高経常利益率向上のため、不動産仲介事業の手数料収益の拡大や新築戸建分譲事業の収益性、生産性の向上等、各事業の収益力向上策を推進すると共に、グループ全体として、利益の最大化が図れる事業展開を推進してまいります。

 

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループを取り巻く経営環境は、社会経済活動の正常化により、緩やかな景気回復が継続することが期待されます。しかしながら、ウクライナ情勢及び中東情勢の緊迫、海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスク、また原材料及びエネルギー価格の高騰や金融資本市場の変動等、先行きについては不透明な状況が予想されます。

 当不動産業界におきましても、住宅取得に係る各種政策は継続し、住宅需要を下支えすることが予想されるものの、住宅取得価格の上昇による取得マインドの低下、建築コストの上昇、国内金融政策の動向などが懸念され、住宅市場につきましては、引き続き厳しい経営環境が継続するものと予想されます。

 このような状況下で当社グループは、中長期的成長に向けた事業展開に継続して取り組んでまいります。事業分野ごとの収益力向上策を継続して推進し、既存事業におけるエリア内のシェア拡大を図ってまいります。当社グループの基幹事業であります、不動産仲介事業の収益力は、エリアの拡大に伴って順調に成長しており、翌連結会計年度は更にエリア内の新築、中古住宅の仲介件数を増加させると共に、これに伴ったリフォーム獲得の拡大等を着実に推進してまいります。また、当社グループのサービスをご提供できるエリアが、関西、九州、中部及び沖縄エリアの主要地域で拡大しており、2023年9月には沖縄県那覇市に沖縄営業所を開設いたしました。沖縄エリアの体制を強化し、当該エリアにおける新築戸建分譲事業の拡大を図ってまいります。不動産賃貸事業は、2022年に収益不動産販売を本格化して以降、順調に事業拡大を続けており、翌連結会計年度においても、安定的な収益の拡大を図りながら中長期的成長に向け、バランスの取れた事業成長を進めてまいります。当社グループの展開する5事業分野のシナジー効果を発揮して、今後も需要が見込まれる事業を推進すると共に、需要の高いエリアへの進出等を計画し、実行してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社は、『我々は、住宅産業を通じて価値創造し、人々に夢と希望の創出を永続することが社会貢献であり、 企業としての宿命であると考える』を経営理念として掲げており、社会のニーズに応え、常に住む人々に満足していただける良質な住宅を供給し続けることで、持続的な企業成長及び持続可能な社会の実現を目指しております。

 また、サステナビリティへの取組強化をはじめ、SDGsへの取り組みを拡大することで、社会から支持される安定した経営を継続し、更なる企業価値の向上に努めてまいります。

 なお、サステナビリティに関する基本方針と具体的な重要課題の設定については、現在検討を進めております。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、グループ各社の取締役会にて月に1回以上、サステナビリティに関するリスクと機会について分析及び管理をしております。分析及び管理の結果を踏まえて、サステナビリティに関する基本方針策定や重要課題の見直し、重要課題に関する目標設定や進捗管理、情報開示等に関する審議を行っております。今後、サステナビリティ委員会等の諮問機関の設置を検討し、サステナビリティに関しての審議の機会拡大に努めてまいります。

 

(2)戦略

 当社グループは、経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するため、人的資本の充実を重要課題として認識しております。当該重要課題に対処するため、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する方針として以下の具体的取組を検討しております。

 

(人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)

1.各種研修制度の整備

 適切な研修実施や認定資格の取得に対する支援等に加え、各事業における技術・データ・ノウハウ等の無形資産を活用するための体制づくりにも取り組んでまいります。

2.多様な人材の活用

 女性管理職の積極登用、高度なスキルや実戦経験を有するキャリアの積極的採用を推進してまいります。

3.働きやすい風土

 教育、介護、仕事との両立を支援できる勤務体系、有給休暇取得の推奨、定期及び非定期の全社ミーティングによる経営理念共有と一体感の醸成などを行ってまいります。

 

(3)リスク管理

 当社は「リスク・コンプライアンス管理規程」に基づきリスク管理委員会を設置しております。当社の経営に悪影響を与えるリスクを把握し、リスクがもたらす損失の極小化、コンプライアンス違反の未然防止を図ることを目的に、代表取締役社長以下取締役、各部門長を委員とし、常勤の監査等委員及び監査室長をオブザーバーとして構成しており、原則年2回以上開催しております。

 また、今後は、気候変動リスク及び人的資本経営に関するリスク管理を強化するために、サステナビリティ委員会の設置を検討してまいります。

 

(4)指標及び目標

 当社グループの規模拡大を踏まえ、上記(2)戦略において記載した人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標については、策定を検討している段階であるため、開示を省略しております。

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
 なお、これらのリスク情報につきましては、当連結会計年度末現在の判断によるものであり、また、当社グループの事業等に関するリスクの全てを網羅するものではありません。

 以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響について合理的に予見することが困難であるため、その可能性の程度や時期・影響についての記述は行っておりません。

① 原材料・資材価格・人件費、物流費、外注費等について

 国内外の市場の動向等により、原材料・資材価格・人件費・物流費等の上昇、またそれによる外注先の原材料調達状況に起因する外注費の上昇は、その影響額を販売価格へ転嫁することが難しい場合に、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、仕入先を複数にすることにより仕入価格上昇に対するリスクヘッジを行っております。

② 法的規制等について

 当社グループの属する住宅・不動産業界は、宅地建物取引業法、建築基準法、建設業法、都市計画法、土地区画整理法等の多くの法的規制を受けております。

 当社グループでは法令遵守を極めて重要な企業の責務と認識のうえ、コンプライアンス体制を強化して法令遵守の徹底を図っており重大な法令違反等は発生しておりません。しかしながら、重大な法令違反等を起こした場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、今後これらの公的規制の改訂、新設、強化等がなされた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 許認可、免許及び登録番号等の状況は、次のとおりであります。

 

当社

許認可等の名称

許認可番号等/有効期間

規制法

免許取消条項

宅地建物取引業

(免許)

国土交通大臣免許(4)第7017号

自 2020年2月26日

至 2025年2月25日

宅地建物取引業法

同法第5条

第66条

第68条

特定建設業

(許可)

国土交通大臣許可

(特-2)第25215号

自 2020年4月7日

至 2025年4月6日

建設業法

同法第15条

第17条

一級建築士事務所

(登録)

大阪府知事登録(二)第21477号

自 2020年11月29日

至 2025年11月28日

建築士法

同法第23条の4

福岡県知事登録 第1-62070号

自 2021年7月14日

至 2026年7月13日

 

株式会社リフォスタ

許認可等の名称

許認可番号等/有効期間

規制法

免許取消条項

宅地建物取引業

(免許)

国土交通大臣免許(1)第9240号

自 2022年9月20日

至 2027年9月19日

宅地建物取引業法

同法第5条

第66条

第68条

 

シティーホーム株式会社

許認可等の名称

許認可番号等/有効期間

規制法

免許取消条項

宅地建物取引業

(免許)

愛知県知事免許(8)第16785号

自 2023年11月25日

至 2028年11月24日

宅地建物取引業法

同法第5条

第66条

第68条

 

株式会社アイデムホーム

許認可等の名称

許認可番号等/有効期間

規制法

免許取消条項

宅地建物取引業

(免許)

国土交通大臣免許(1)第9915号

自 2021年5月11日

至 2026年5月10日

宅地建物取引業法

同法第5条

第66条

第68条

 

③ 瑕疵担保責任について

 当社グループは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」及び宅地建物取引業法の規定により、新築住宅の構造上主要な部分並びに雨水の侵入を防止する部分について10年間、中古不動産については引渡し後2年間の瑕疵担保責任又は契約不適合責任を負っております。

 当社グループは、建設工事の工程ごとにチェックリストを用いて完了チェックを行い、品質管理に万全を期するとともに、賠償責任保険に加入するなど瑕疵発生リスクの軽減に努めております。

 しかしながら、万一、当社グループの販売した物件に重大な問題があることが判明した場合には、その直接的な原因が当社グループの責めに帰すべきものでない場合であっても、売主としての契約不適合責任を負わなければならない場合があります。その結果として生じる保証工事費(引当金繰入額を含む。)の増加や、当社グループの信用力低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ 事業資金の調達について

 当社グループにおきましては、分譲用地取得資金等の運転資金を金融機関からの借入金に依存しており、2023年12月期末における有利子負債の残高は12,152百万円でした。今後も事業規模拡大に伴ってプロジェクト用地の仕入件数が増加していくこと等から、有利子負債は増加することが予想されます。このため、金融政策の動向・経済情勢等による市場金利の動向や資金調達環境等によっては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループの信用力低下等何らかの理由により調達に制約を受けた場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 これらのリスクが長期間にわたり顕在化する可能性は高くないと考えておりますが、当社グループでは、金融機関との良好な関係の維持・強化に努めるとともに、常に手元流動性の確保や資本効率の向上等の観点から検討を行い財務基盤の強化に取り組んでおります。

⑤ 競合について

 当社グループが事業展開しております不動産業界においては、大手企業から中小企業まで数多くの事業者が存在しております。当社グループは、大阪・福岡・愛知と地方の主要都市にて事業を展開しております。今後、他社に対して優位性を持つような仲介物件や販売物件の取扱いを進めていく方針でありますが、事業展開エリアは人気の高い地域であり、物件件数の減少や、価格競争により仕入価格の上昇もしくは販売価格の下落が生じる可能性があります。

 不動産賃貸事業の拡大により、収益の安定化を図ってまいりますが、同業他社の資本力、営業力及びブランド力等に優れる企業が多数あり、これら企業との競合の結果、当社グループが想定どおりの事業拡大を図れる保証はなく、更に競合が激化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 住宅市況及び金利状況、経済情勢等の変動について

 住宅・不動産関連事業は、顧客需要の動向に影響を受けやすい傾向にあります。顧客の需要は、景気、雇用、金利、地価、税制等の動向に左右されやすく、雇用不安、金利の上昇、住宅減税措置の縮小又は廃止、公的規制の強化等が発生した場合には、顧客の住宅購入意欲が衰え、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、日本国内における人口、世帯数は減少していくことが予測されております。特に、当社グループのメインターゲットでもある住宅一次取得者層が減少することにより、中長期的には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、外部環境の変化に対する影響を軽減し、安定的かつ持続的な成長を可能とするため、ストック型事業の拡大を進めております。

 また、人口減少による影響は経営成績のみに留まらず、事業運営に携わる人材獲得という点においても、影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、優秀な人材を幅広く採用・育成することで、事業活動の推進と競争力の維持向上を図っておりますが、人材の獲得競争の激化や従業員の退職等によって十分な人材の確保及び育成ができなかった場合には、競争力の低下につながり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 分譲用地の取得について

 当社グループの新築戸建分譲事業は、分譲用地の取得の成否が経営成績に影響を及ぼします。当業界においては同業者も多く、販売活動及び分譲用地仕入活動においても競争が発生いたします。現在のような厳しい販売環境の中、適正な利益と事業性を確保できる分譲用地の仕入れが想定どおりにできない事態が発生する場合には、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

⑧ 訴訟等の可能性について

 当社グループは不動産の仲介事業や分譲事業を中心に事業活動を行っております。当社グループは、本書提出日現在、業績に重大な影響を及ぼす訴訟提起を受けておりませんが、契約内容の不備や、取引関係先とのトラブル、開発・販売・管理する不動産物件において瑕疵・土壌汚染・販売活動等から訴訟に発展する可能性もあり、重要な訴訟が提起された場合には、訴訟費用の発生や損害賠償金の支払による損失が生じる可能性があります。

 このような事案が発生しないよう、契約締結前のリーガルチェックの徹底、クレーム対応マニュアルの整備、紛争未然防止の社内研修、クレームやトラブル関連案件が生じた場合は経営層及び関係部署による情報共有及び顧問弁護士への相談、コンプライアンス委員会等での事案共有、引き渡し後の物件については住宅瑕疵担保責任保険を付保し、地盤保証や白蟻保証を受けるなど、訴訟等に至る前に適切な解決ができるような体制整備に努めております。

⑨ 保有資産の価値下落について

 当社グループは、中長期的な事業規模拡大に向けて、プロジェクト用地の安定的確保が重要であると認識しております。また、事業ポートフォリオの最適化に向けて不動産賃貸事業の拡大を図っております。事業の採算性や顧客ニーズの動向等を考慮しつつ、販売用不動産等の棚卸資産(以下「棚卸資産」)を積極的に取得・保有しており、また、保有と販売のバランスを図りながら賃貸用不動産の取得を進めており、2023年12月期末における棚卸資産は7,544,856千円、有形固定資産4,856,514千円となっております。

 多様な顧客ニーズに対応するため、棚卸資産を積極的に取得・保有し、開発・販売することで販売機会損失を回避することができると考えております。一方で、顧客ニーズの低下等により、滞留在庫として資金が固定化する可能性、値引き販売等により利益率が低下する可能性、不動産市況の著しい悪化等によってそれらの価値が下落し、評価損の計上や減損処理を行うことになった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 このような不動産市況によるリスクに対して当社グループでは、事業用地の仕入に際して、営業面、資金面、リスク等について、事前に関係各部署が十分に協議し、その結果を踏まえて仕入れを行うと共に、早期売却によりリスク軽減を図っております。

⑩ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化リスク

 当社グループは当社の従業員等に対して、経営成績向上や企業価値の増大に関する意欲や士気を高めること等を目的として、新株予約権の報酬額を設定しております。当社グループでは今後も優秀な人材の確保のため、ストックオプションも含めた役職員等の意識向上の施策を実施する方針であります。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化することで、株式の需給バランスの変動が発生し、株価の一時的な変動・下落要因となる可能性があります。

⑪ 配当政策について

 当社グループは、株主に対する利益還元を経営上の重要課題と位置付けており、剰余金の配当につきましては、毎期の経営成績、財政状況を勘案しつつ、将来の事業展開・経営環境の変化に対応するため内部留保の確保と株主還元等とのバランスを考慮した配当を実施する方針であります。

 しかしながら、当社グループの経営成績が計画どおりに進展しない場合には、配当を実施できない可能性があります。

⑫ 自然災害、事故等について

 地震、台風、洪水等の大規模な自然災害のほか、当社グループの拠点において、火災・爆発等の産業事故が発生した場合、対応費用の発生や生産活動の停止による機会損失又は当社グループが所有する不動産価値の下落等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 これらの自然災害、事故等の発生の可能性を予想することは困難でありますが、事象が発生した場合には大きな影響を被る可能性があることから、当社グループでは損害保険等の加入により対応を行っております。

 一方、地震、台風、洪水等の大規模な自然災害は、当社が販売した住宅を損傷する可能性もあります。当社グループでは、住宅を引き渡した後のメンテナンス体制も強化しており、提供する住宅の基本性能の向上と維持に努めております。

⑬ 情報セキュリティについて

 当社グループは、事業を展開する上で多くの個人情報や機密情報を有しております。当社グループは、これら情報の管理や活用にあたり、管理体制の強化や必要な従業員教育を実施する等、適切なセキュリティ対策を行っておりますが、万一、情報の流出・漏洩が発生した場合には、対応に多額の費用負担が生じ、あるいは社会的信用が低下することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 本項目については、近年サイバー攻撃が巧妙化している中で、新型コロナウイルスの感染拡大を契機にテレワークが急拡大したこともあり、情報流出などの脅威が増大していることから、重要度が上昇していると認識しております。

⑭ M&Aについて

 当社グループは、既存事業の規模拡大に際し、事業戦略の一環としてM&Aを実施しております。M&A実施に当たっては、当社グループの既存事業とのシナジー効果、事業計画、財務内容及び契約関係等を慎重に調査・検討し、将来の当社グループの経営成績に貢献すると判断した場合に実行しておりますが、市場環境や競争環境の著しい変化等により当社グループとの期待されたシナジー効果が出ないことや、当初計画された事業が予定通り展開できなくなることも考えられ、その場合にはグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑮ 気候変動について

 当社グループは、環境課題への取り組みを推進しており、中でも気候変動については重要な課題であると認識しております。気候変動における移行リスクとしては、炭素税など法規制の厳格化といった政策動向の変化、低炭素社会に対応できない企業に対する需要低下やレピュテーション悪化、物理リスクとしては、自然災害の激甚化や異常気象の深刻化、降雨や気象パターンの変化、平均気温の上昇等による対応費用の発生や生産活動の停止による機会損失、建設作業員の熱中症等による健康被害などが想定され、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 これらの影響を軽減し、また変化に対応するために、SDGsを重要な経営課題と位置づけ、経営戦略を策定するとともに、気候変動の予測及び変化の対応に努めてまいります。

 しかしながら、将来において環境規制の変更や気候変動の影響等により、更に多くの対策コストが必要になった場合、あるいは想定外の経済・社会環境の変化が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

経営成績等の状況の概要

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行したことにより社会経済活動の正常化が進み、緩やかに景気持ち直しの動きを見せました。しかしながら、世界的な金融引締め等が続く中、ウクライナ情勢の長期化、原材料及びエネルギー価格の高騰や為替相場における急激な円安等、依然として先行きは不透明な状況で推移しました。

 当社グループの属する不動産業界におきましては、継続する政策支援や低金利環境を背景に、不動産需要は底堅く推移しております。しかしながら、住宅需要につきまして新設住宅着工戸数は減少傾向で推移しており、急激な物価上昇や住宅ローン金利の先高観等に伴う住宅取得マインドの低下が懸念される中、販売競争は激化し、厳しい状況が続いております。また、ウッドショックによる木材価格の上昇は落ち着きつつあるものの、物価上昇に伴う建築資材全般に及ぶ仕入価格の高騰等、依然として先行き不透明な状況となっております。

 このような事業環境の下、当社グループは、継続して中長期的な成長に向けた事業展開を推進し、既存事業の収益力向上、エリア内における更なるシェア拡大に加え、5事業分野のシナジー効果創出に向けた連携強化及び最適な事業ポートフォリオ構築に向けたストックビジネスの基盤整備を図ってまいりました。

 当連結会計年度の業績につきましては、当社グループの基幹事業である不動産仲介事業及び不動産賃貸事業における収益不動産販売は堅調に推移いたしましたが、新築戸建分譲事業において、販売件数が低調に推移したことで、売上高につきましては前期を下回る結果となりました。営業利益、経常利益につきましては、利益率の高い不動産賃貸事業の売上高が増加したことにより前期を上回りましたが、前期は一過性の特別利益が計上されていたため、親会社株主に帰属する当期純利益は前期を下回る結果となりました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,444百万円増加し、16,548百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,275百万円増加し、13,344百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ168百万円増加し、3,204百万円となりました。

 b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高11,788百万円(前期比9.1%減)、営業利益686百万円(同3.6%増)、経常利益583百万円(同5.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益343百万円(同18.3%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

①不動産仲介事業

 当社グループの中核事業と位置付けております不動産仲介事業におきましては、当社グループの地域密着戦略における要として、地域内情報の取得等他事業とのシナジー効果の最大化を目的に、関西、福岡及び中部エリアにおいて事業を展開いたしました。

 この結果、当事業の売上高は2,015百万円(前期比9.0%増)、セグメント利益286百万円(同15.3%減)となりました。

 

②新築戸建分譲事業

 新築戸建分譲事業におきましては、お客様ニーズにマッチした分譲住宅の供給を目標に事業を推進しております。当連結会計年度につきましては、大阪・福岡・愛知エリアの販売件数が減少したため、売上高は前期を下回りました。利益面においては売上高減少に加え、物価上昇に伴う建築資材全般の仕入価格高騰の影響により粗利益額が減少し、前期を下回る結果となりました。

 その結果、売上高は6,389百万円(前期比24.1%減)、セグメント利益79百万円(同68.2%減)となりました。

 

③建設請負事業

 建設請負事業におきましては、注文住宅及びリフォームの請負事業を展開しております。当事業における売上高は1,123百万円(前期比9.7%減)、セグメント利益101百万円(同13.8%減)となりました。

 

④損害保険代理事業

 損害保険代理事業におきましては、不動産関連サービスから派生する火災保険及び地震保険等の代理店業務を行っております。当事業における売上高は45百万円(前期比32.6%減)、セグメント利益11百万円(同31.0%減)となりました。

 

⑤不動産賃貸事業

 不動産賃貸事業におきましては、関西圏を中心として主に住居用マンションやオフィスビルなどの賃貸不動産の仕入れ、賃貸及び販売に加えて、小規模賃貸アパートの開発及び販売を行っております。当連結会計年度につきましては、賃貸不動産の保有棟数増加に伴う賃貸収入の増加と収益不動産16件の販売により、当事業におけるに売上高は2,213百万円(前期比59.9%増)、セグメント利益654百万円(同64.1%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加181百万円、投資活動による資金の減少1,215百万円、財務活動による資金の増加1,049百万円となり、資金は前連結会計年度末と比較して16百万円増加しました。この結果、当連結会計年度末の資金残高は3,638百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は、181百万円(前期は453百万円の資金流出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益581百万円、棚卸資産の増加額485百万円、仕入債務の増加額144百万円、売上債権の減少額66百万円及び利息の支払額114百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は、1,215百万円(前期は554百万円の資金流出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,228百万円及び有形固定資産の売却による収入13百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果増加した資金は、1,049百万円(前期は845百万円の資金流入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入3,130百万円、長期借入金の返済による支出2,350百万円、短期借入金の純増額488百万円、配当金の支払額177百万円及び社債の償還による支出27百万円等によるものであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、資金需要のうち主なものは、分譲用地等の仕入資金であり、主に金融機関からの借入により調達しております。

なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は12,152百万円(前連結会計年度末比11.3%増)となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,638百万円(同0.4%増)となっております。

受注及び販売の実績

(1)受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

不動産仲介事業

新築戸建分譲事業

建設請負事業

1,257,915

108.0

242,017

224.4

損害保険代理事業

不動産賃貸事業

合計

1,257,915

108.0

242,017

224.4

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記のセグメントの建設請負事業以外につきましては、受注実績はありません。

 

(2)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメント別・地域別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

件数

前期比(件数)

金額(千円)

前期比(%)

 

大阪府

419

40

472,376

115.6

 

兵庫県

5

1

7,868

174.0

 

奈良県

1

1

575

 

愛知県

732

△17

1,161,840

103.2

 

静岡県

78

20

110,861

139.1

 

福岡県

164

262,039

114.1

不動産仲介事業

1,399

45

2,015,558

109.0

 

大阪府

103

△15

2,889,366

79.1

 

兵庫県

△1

 

愛知県

76

△20

1,725,650

77.0

 

福岡県

48

△26

1,441,191

62.4

 

沖縄県

9

2

333,377

168.2

新築戸建分譲事業

236

△60

6,389,584

75.9

 

大阪府

75

△28

168,495

47.9

 

兵庫県

△2

 

京都府

△1

 

愛知県

796

24

755,161

107.8

 

静岡県

67

11

101,438

154.3

 

福岡県

86

△14

98,644

80.2

建設請負事業

1,024

△10

1,123,738

90.3

 

大阪府

19,806

61.4

 

愛知県

26,121

72.9

損害保険代理事業

45,927

67.4

 

大阪府

2,209,901

160.0

 

愛知県

3,297

103.6

不動産賃貸事業

2,213,197

159.9

合計

2,659

△25

11,788,006

90.9

(注)1.件数欄については契約件数を表示し、土地のみの販売も1件として記載しております。

2.地域別の分類は、物件の属する地域によって分類しております。

3.中古物件及び土地のみの販売は、新築戸建分譲事業に分類しております。

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。
 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているとおりであります。
 当社グループは、貸倒引当金、賞与引当金、製品保証引当金、棚卸資産の評価、税効果会計、固定資産の減損会計等について、過去の実績や現在の状況等から会計上の見積りを連結財務諸表に反映しておりますが、見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと実際の結果は異なる場合があります。

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の経営成績の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

(4)当連結会計年度の財政状態の分析

①財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における資産は16,548百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,444百万円増加しました。主な内容は、建物及び構築物(純額)1,635百万円、土地1,259百万円、仕掛販売用不動産951百万円及び建設仮勘定536百万円が増加し、販売用不動産2,768百万円が減少したこと等によるものであります。

(負債)

 当連結会計年度末における負債は13,344百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,275百万円増加しました。主な内容は、1年内返済予定の長期借入金751百万円及び短期借入金488百万円が増加したこと等によるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は3,204百万円となり、前連結会計年度末と比較して168百万円増加しました。主な内容は、親会社株主に帰属する当期純利益343百万円の計上による増加、及び剰余金の配当177百万円による減少であります。

②キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」をご参照ください。

5【経営上の重要な契約等】

記載すべき事項はありません。

6【研究開発活動】

 記載すべき事項はありません。