第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社及び当社連結法人(以下総称して「当社連結企業集団」)が判断したものであります。当社連結企業集団は、事業基盤の確立のため、以下の取り組みを重点課題とし、企業体制の強化を進めてまいります。

 

(1)経営における基本方針

当社連結企業集団は、親会社であるGMOインターネットグループのインターネット広告・メディアセグメントを構成する連結企業集団として「すべての人にインターネット」という企業理念のもと、インターネット広告事業におけるナンバーワンを目指し、事業を展開しております。

また、事業運営にあたり、「ともにつくろう」をかかげ、すべてのステークホルダーと協同し、新しいサービスを生み出し、社会に対してよりよい価値を提供していくことをミッションとしています。 

 

(2)経営環境

① 当連結会計年度における市場の状況の認識

当社グループの事業領域であるインターネット広告市場につきましては、2022年度の広告費が3兆9百億円(前年比+14.3%)と、マスコミ四媒体広告費を上回り、初めて3兆円を超える市場規模となりました。(株式会社電通調べ)。総務省の調査では、全ての年代で、インターネット利用時間がもっとも長く利用され、また利用者の割合も継続して増加しているという結果が出ております。動画視聴・投稿やソーシャルメディアの利用時間も増加傾向が続いており、日常生活におけるインターネットの果たす役割がますます高まっているものと考えられます(総務省「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」より)。

このような流れを受け、インターネット広告市場においては広告形態の多様化が進んでおり、従来から活用される運用型広告以外にも、マス広告のように、認知促進を目的として動画広告等を活用する事例や、インターネット広告とオフラインでのマーケティング活動を組み合わせた事例など、企業におけるマーケティング活動の様々な場面でインターネット広告の活用が進んでおります。また、これに比例する形で、当社グループのようなマーケティングサービスを提供する事業者においては、広告主の事業活動全体に影響を及ぼすようなマーケティング支援と関連する高度な知識・ノウハウが求められるようになりつつあります。

当社グループでは、今後も同様の傾向が続くものと見込んでおり、本市場におけるさらなる取扱高の拡大と、市場トレンドに即した柔軟な戦略による収益の最大化を企図し、事業活動を行っております。

当連結会計年度においては、世界的な経済環境への不透明感が続く中、特に我が国においては、対面経済の本格的な復調により経済環境全体の見通しが強気へ振れる一方、一部業種におけるコロナ禍で生じたいわゆる「巣ごもり」需要の急減もみられ、当社顧客においても一部業種で広告需要の縮小が当社の想定を超えて顕著になるなど、個別の市場環境には濃淡がみられました。

 

② 今後の市場の状況の認識

インターネット広告市場は、ソーシャルメディアの影響力の拡大やコロナ禍に伴うオンラインコミュニケーションの増加といった環境変化による、インターネット利用時間の増加などに支えられ、引き続き好調に推移していくと考えられます。

一方で、オンラインコミュニケーションは生活への密着度を年々増しており、アドフラウドや広告品質、プライバシー保護といった固有の課題に向き合いながら、どのようにインターネット広告を広告主・生活者のニーズと適合させていくのか、インターネット広告市場の課題はより複雑化・多面化しております。

 また、競争環境についても、様々な特性・特徴をもつ企業が次々に市場へ参入し、新たな技術開発も進んでおります。特に、生成AIの登場は、インターネット広告の機械化・自動化を飛躍的に進めることとなり、当社グループを含めた事業者は、広告主・生活者に選ばれる独自性・付加価値の追求が求められており、困難な事業環境におかれています。

このような市場において、当社は競合他社に対する競争優位性の確保だけでなく、当社独自の付加価値の追及に向けた経営資源の適切な投資配分、選択と集中による強味の創出が一層重要になっていくものと考えており、足許の状況認識と今後の展望を「中期経営の取り組みについて」としてまとめ、2023年2月に開示をしております。

本方針に基づき、高粗利・高付加価値の自社グループ商材の販売拡大、内部管理体制の一層の強化、オペレーションの効率化等を中心とした業務効率化により、収益体質の改善を進めるとともに、高度人財の採用、内部人材の教育・育成による人的資本の増強により、「稼ぐ力」の増大に取り組んでまいります。

 

(3)インターネット広告事業における課題

当社連結企業集団は、(1)の記載の方針に基づき、継続してインターネット広告事業に重点を置き、業界をリードするプロ集団を目指すにあたり、競合他社に対する優位性を確保する施策を講じ実現するために、次の点を経営課題として認識しております。

 

① 自社商品・サービスの開発の強化

当社連結企業集団のインターネット広告市場に及ぼす影響力を高めるため、自社商品・サービスの開発力を引き続き強化してまいります。

この方針の実現に向けて、インターネット広告事業特有の問題を技術的に解決できる開発体制を強化し、販売部門との連携による顧客ニーズを汲み取った商品開発を推進することにより、広告主に選ばれる自社ブランド商品・サービスの拡充に向けて取り組んでまいります。

 

② 自社商品・サービスの提案力の強化・運用力の強化

生成AIの活用による既存業務の効率化や人材育成・拡充などの組織強化を徹底するとともに、既存の協力会社との営業体制を強化・継続することで、サービスの管理体制強化につなげ、市場シェアの拡大を目指してまいります。

今後も引き続き、自社商品・サービスの提供・運用力強化に取り組んでまいります。

 

③ 優秀な人材の獲得と育成、組織の強化

インターネット広告業界をリードするプロ集団を目指すにあたり、高い倫理観を持つ人材の育成は、重要な経営課題の一つとして認識し、継続して取り組んでまいります。

特に、コンプライアンスに対する高い意識付けを目的とした教育・研修や、人材の長期継続雇用体制の構築を目的とした人材育成フォローアップ制度の拡充を図ってまいります。   

また、より良い組織と職場環境の構築を目的としたエンゲージメント施策を講じ、当社連結経営と事業・サービスに関与する全ての役職員の声・組織の状態を可視化することで、外的要因に左右されない強い組織づくりを進めてまいります

 

④ 内部統制の拡充

株主・投資家の判断基準となる企業会計の信ぴょう性はもとより、当社企業活動そのものへの信頼の醸成・予測可能性の提供は、健全な企業統治体制の下でのみ実現しうるものであることを強く認識するとともに、取締役会を中心としたコーポレートガバナンスの停滞、業務・内部管理体制およびコンプライアンス意識の不全により損なわれることにも十全の配慮をし、コーポレートガバナンス体制の整備・充実と、これを支える業務・内部管理体制の拡充、およびコンプライアンス意識の向上に努めてまいります。

 

⑤ 外的環境変化への対応と社内環境の整備

天災地変・感染症などの外的要因による当社連結企業集団の事業・サービスの停止や業績への影響を回避・軽減するべく、社内システム等の業務基盤の整備、指揮命令系統の連携体制を適宜見直すなど、既存のBCP対策に対して必要に応じて改善を進めてまいります。また、外的要因の環境変化をいち早く感知し、柔軟に対応していくための組織体制の強化を実行してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 文中の表記について、当社は「従業員」を「パートナー」、「人材」を「人財」と表記・呼称しております。これは当社の成長がパートナーによって支えられており、人が会社の財産である、というGMOインターネットグループの共通の考え方に基づくものです。

 

(1)基本的な認識

当社はインターネット広告市場を事業領域として、エージェンシー事業、メディア・アドテク事業を運営しております。顧客である企業と消費者を広告コミュニケーションでつなぎ、生産と消費を促し、持続可能な経済活動に貢献するものであります。

当社事業の持続的な成長は、持続可能な社会の実現に資するものとであると認識しており、中長期的な企業価値の向上につながっていくものと考えております。

当社は現時点でサステナビリティにおける重要課題の特定に至っておりませんが、上場企業として、企業活動全般にわたるガバナンスへの取組みを継続的に実践しており、コーポレートガバナンスコードを基本的な枠組みとしたガバナンス体制を構築しております。

また、当社のビジネスモデルの特性及び事業規模に鑑みれば、当社事業の環境負荷は現時点で高いとはいえません。

一方、当社のビジネスモデルにおいて、人的資本は最も重要性の高い要素の1つであると認識しております。したがって、人的資本にかかる取組みを継続することがサステナビリティにおける、「S:社会の領域の課題に対する取組み」における課題解決に繋がり、当社の事業の継続や持続的な成長にも寄与していくものと考えております。具体的な取組みについては、「(4)人財の多様性の確保を含む育成方針・社内環境整備に関する方針」に記載しております。

 

(2)ガバナンス

当社は、取締役会として、経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備及び迅速・果断な意思決定の支援が重要な役割・責務の一つであると認識しております。

当社は、社外取締役の機能を活用することで取締役会の監督機能を強化し、中長期的な企業価値向上を図るべく、監査等委員会設置会社であることを選択しております。

加えて、独立した客観的な立場から経営陣に対して実行性の高い監督を行うためホールディングス体制を取るとともに、執行役員制度を導入しており、業務執行は子会社で行い、当社取締役会ではその監督を実施する、経営の意思決定・監督機能と業務執行機能を分離する体制をとっております。

また、取締役会規程を始めとする諸規程の整備により、提案にあたり各社会議体において十分な議論・検討が行われる体制を作るとともに、提案が実行される際の意思決定支援に関しても、迅速な業務執行がなされるよう、支援体制を整えております。

詳細についてはコーポレートガバナンス報告書に記載の「現状のコーポレート・ガバナンス体制の概要」及び当社コーポレートサイトに掲載している「当社のコーポレートガバナンスに関する考え方について」の「経営体制に関する考え方」をご参照ください。

 

(3)リスク管理

当社は、リスクの影響度に応じて、取締役会を始めとした意思決定機関において、リスク情報の精査と対応を決定しております。管理部門が中心となり、社内外のリスク情報の収集と一次検証を行うとともに、取締役会等における意思決定の支援を行っております。

このような管理体制の下、当社は重要性の高いリスクやその他中小のリスク発生の可能性を認識した上で、経営上のリスクとなる事項の洗い出しや対策の検討、保険の付保や与信管理、専門部署の設置及び規程の整備といったリスクコントロールを行い、発生の回避及び発生した場合の対応に努めております。

サステナビリティに関する課題についても同様に、管理部門にて情報収集を行い、他社事例の共有や外部コンサルの知見も交え、複合的な情報提供により、取締役会等の意思決定を支援しております。

 

(4)人財の多様性の確保を含む育成方針・社内環境整備に関する方針

a.基本的な認識

当社は現時点でサステナビリティにおける重要課題の特定に至っておりませんが、当社のビジネスモデルにおいて、人的資本は最も重要性の高い要素であると認識しております。

人的資本に関する考え方の根本的要素として、親会社であるGMOインターネットグループの創業の精神である「スピリットベンチャー宣言」を標榜しており、人種・性別・学歴・言語・宗教といったあらゆる差別を排除し、実力本位の人財登用をすることを方針としております。

また、当社は異なる事業を主業とした企業の集合体であり、企業理念として「ともにつくろう」を定めております。公平性・多様性の包摂と、所属にとらわれない連帯が、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上の観点において、最も重要であると考えております。

 

b.人財育成方針及び環境整備方針

上記の基本認識に基づき、以下のテーマに基づき、人財育成及び環境整備に取り組んでおります。

ⅰ)ミッション・ビジョン・バリューの浸透を通じた連結経営の実現

ⅱ)部や法人をまたいだコミュニケーションの促進

ⅲ) 個のパフォーマンスを最大化する人財活性化

ⅳ) チームのパフォーマンスを最大化する組織活性化

ⅴ) 誰もが活躍できる環境整備

 

c.具体的な取組

上記のテーマに基づき、具体的に以下のような取組を行っております。これらの取組を通じて、独自の競争力を構築するとともに、高い利益成長と生産性の向上を実現し、企業理念の実現と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

なお、詳細は当社コーポレートサイトにも掲載しております。

 https://www.gmo-ap.jp/outline/csr/

 

・全パートナー参加の情報共有会の開催

四半期に1回以上、全幹部参加型・全パートナー参加型で直近の業績や連結会社の取組を共有するイベントを開催しております。ミッション・ビジョン・バリューを代表取締役自らが発信するとともに、各事業管掌役員が直接各事業の取組や目標を共有することで、全幹部・全パートナーのモチベーションの向上、連帯の意識醸成に取り組んでおります。

 

・社内メディア・ピアボーナス制度の導入

WEB社内報や動画配信をメインとした社内放送を積極的に発信しております。

パートナー各人のパーソナリティに焦点を当てることで、それぞれの個性を尊重し、パートナー同士のコミュニケーションを促しております。

また、全社を対象としてピアボーナス制度(パートナー同士がポイント形式でインセンティブを贈りあえる制度)を導入しています。賞賛する文化を根付かせることで全パートナーがそれぞれの業務に意欲的に取り組む効果と合わせて、パートナー同士の活動への気づきや発見、興味関心を促しております。

これらのコミュニケーション施策を通じて人財と組織の活性化を促し、連結企業内での新しいアイデアの想起やイノベーションにつながるものと期待しております。

 

・人事制度

組織規模・役職・年齢・勤続年数にとらわれず、高いパフォーマンスを発揮しているパートナーを評価するしくみである「パフォーマンスグレード制度」を導入し、ひとりひとりが得意領域に応じて最大限のパフォーマンスを発揮し、自己のキャリア目標に向けて挑戦、成長ができる環境整備を進めております。

また、連結会社間の人財交流を通じて組織と人財を活性化させるために、FA制度やキャリアドラフト制度を設け、連結会社内の人財の流動性を高め、適材適所とパートナーの働きやすさ・満足度の向上の両立を目指しております。

これらの取組に対して、定期的にエンゲージメントサーベイを実施することで、施策の効果検証を行っております。

 

 

・健康経営の推進、労働環境の適正化

当社は親会社であるGMOインターネットグループの共通理念であるスピリットベンチャー宣言を標榜し、「企業はパートナー・株主・お客さま、かかわるすべてのステークホルダーが幸せになるための道具である」との認識の下、パートナーが心身ともに「健康」であることが、ステークホルダーの「幸せ」の実現につながるものと考えております。

具体的には、健康診断の受診促進(受診率99%)をはじめとして、2023年8月には健康組合連合会・東京連合会より健康優良企業「銀の認定」を取得いたしました。 また、平均残業時間の改善・有給取得・育休取得の促進、育休からの復職支援等、労働環境の適正化と併せて実施し、パートナーの健康の向上、働く環境の整備を推進しています。

 

・D&I推進・障がい者雇用の推進

当社は親会社であるGMOインターネットグループの共通理念であるスピリットベンチャー宣言を標榜し、実力本位の人財登用を行っています。人種・国籍・性別・学歴・言葉・宗教等、すべての差別の排除を徹底し、また、新卒採用・中途採用の別なく、当社の経営理念やマインドに賛同する人財であることを基本的な人財に対する考え方としています。

このような考え方に基づき、育児や介護などの「ケア」を念頭においた、柔軟な働き方を支援するユニバーサルワークを推進する社内プロジェクトを実施しております。その結果として重要ポジションへの若手抜擢や女性管理職登用が増え、2023年12月には厚生労働省東京労働局長の認定を受け、女性活躍推進企業認定「えるぼし認定」の2つ星を取得いたしました。また、特例子会社であるGMOドリームウェーブ株式会社を通じた障がい者の就労環境の整備などに取り組んでおります。

 

(5)指標と目標

当社は、人財育成及び環境整備にかかる指標及び目標について、継続的に検討をしている段階であり、現時点で開示すべき内容を決定しておりません。当社の人財育成及び環境整備に関する基本的な認識ならびに方針の達成にむけた適切な指標の設計と目標設定を継続的に検討してまいります。

なお、2023年12月期の法定の開示指標の状況は以下の通りです。

2023年12月31日現在

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

 

男性労働者の

育児休業取得率(%)

 

労働者の男女の賃金の差異(%)

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期労働者

15.2

66.7

66.2

71.5

75.5

 

(注)上記の各数字は、当社グループ全体の値を記載しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

以下には、当社及び当社連結法人(以下総称して「当社連結企業集団」)の事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

なお、当社連結企業集団は、これらの重要性の高いリスクやその他中小のリスク発生の可能性を認識したうえで、経営上のリスクとなる事項の洗い出しや対策の検討、保険の付保や与信管理、専門部署の設置および規程の整備といったリスクコントロールを行い、発生の回避及び発生した場合の対応に努めております。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)GMOインターネットグループとの関係について

① GMOインターネットグループにおける当社の位置付け

当社連結企業集団は、GMOインターネットグループ株式会社を中核とした企業グループ(以下「GMOインターネットグループ」)に属しており、同社は、2023年12月末日現在、当社議決権の9.66%を直接的に、47.35%を間接的に保有しております。GMOインターネットグループは、同社を中核として、「すべての人にインターネット」というコーポレートキャッチの下、インターネットインフラ事業、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業、暗号資産事業並びにインキュベーション事業を行っております。これら事業のうち、当社連結企業集団は、GMOインターネットグループのうち、インターネット広告・メディア事業を担う中核企業として位置付けられております。従いまして、同社の当社連結企業集団に対する基本方針等に変更が生じた場合には、当社連結企業集団の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② GMOインターネットグループとの取引について

当社連結企業集団のGMOインターネットグループ株式会社に対する販売実績の比率は比較的高くなっており、その他GMOインターネットグループの企業との間で、継続的な取引関係があります。同社グループの事業戦略、経営方針、経営成績及び財政状態により、当社連結企業集団の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ GMOインターネットグループ株式会社との役員の兼務関係について

当社の役員11名(監査等委員であるものを除く取締役7名、監査等委員である取締役4名)のうちGMOインターネットグループ株式会社の役員を兼ねている者は2名であり、当社における役職、氏名及び同社における役職は次の通りであります。

 

氏名

当社における役職

GMOインターネットグループ株式会社における役職

熊谷 正寿

取締役会長(非常勤)

代表取締役グループ代表

会長兼社長執行役員・CEO

安田 昌史

取締役(非常勤)

取締役 グループ副社長執行役員・CFO

グループ代表補佐 グループ管理部門統括

 

 

上記2名は、当社連結企業集団の事業に関する助言を得ることを目的として招聘したものでありますが、GMOインターネットグループの経営方針は当社連結企業集団の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ GMOインターネットグループ株式会社からの独立性の確保について

当社連結企業集団の事業活動および経営判断において、すべての業務を独自に意思決定し事業を展開しております。また、GMOインターネットグループ株式会社からの兼務状況は当社独自の経営判断を妨げるものではなく、当社連結企業集団の経営判断は、同社からの独立性が担保されているものと判断しております。

当社連結企業集団の営業取引において、GMOインターネットグループ株式会社との取引の状況は前項②に記載の通りでありますが、当社連結企業集団の営業取引の多くは当社と資本関係を有しない一般企業との取引となっております。また、当社連結企業集団がGMOインターネットグループ株式会社および、そのグループの企業等と取引を行う場合、取引条件等の内容の適正性を、その他の第三者との取引条件との比較などから慎重に検討し、実施しております。特に、少数株主との利益相反が生じうる取引・行為の決議にあたっては、取引発生の都度、独立社外取締役である監査等委員を中心とした特別委員会を組成し、独立性・客観性を持った見地からの意思決定を行う体制を確保しています。

 

(2) 当社連結企業集団の事業内容について

当社連結企業集団は、エージェンシー事業及びメディア・アドテク事業を展開しており、インターネット広告業界での圧倒的な地位を構築していくことを目指しております。今後予想されるインターネット広告ビジネスの急速な発展に伴い、当社連結企業集団の事業は、順調にその規模を拡大するものと考えております。しかしながら、当社連結企業集団の事業におきまして、相対的にエージェンシー事業による収益性が高いことから、大規模災害、感染症の発生などによる国内景気の動向、その他の要因による広告主からの需要等が変動した場合、当社連結企業集団の業績が影響を受ける可能性があります。

 

(3) 広告市場の業績への影響について

当社連結企業集団は、広告枠を提供する媒体について広告主の多様なニーズに対応するため、その取扱数を拡大し、また、広告主のニーズを媒体にフィードバックする等により、媒体開発にも注力しております。一方で、当社連結企業集団が取り扱う各媒体において、新技術への対応に遅れが生じた場合やユーザーの嗜好と乖離したサービス提供を行った場合、これら媒体の利用者数が減少し、当該媒体における当社取扱広告枠の販売に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社連結企業集団の取引先であるネット広告媒体運営事業者が、いわゆる「アドフラウド(広告詐欺)」に関与した場合、その影響を受けた広告主による広告露出が減少すると共に、当社連結企業集団の広告取扱高が減少し、当社連結企業集団の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 競合他社の動向について

インターネット広告市場は、主要なマスメディアにおける広告市場を上回る規模となっており、既存の競合他社が再編により資本力を増強することで競争力を増し、また、成長市場であることから事業会社の新規参入が相次ぐ業界でもあります。この状況下において、当社連結企業集団では、サービスの開発、販売力の拡充、技術力の強化により他社との差別化を図っておりますが、競争環境の激化により当社連結企業集団の商品・サービスの優位性が他社に劣後する場合、当社連結企業集団の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 特定取引先への依存について

当社連結企業集団は、エージェンシー事業において、LINEヤフー株式会社及びGoogle,Inc.の正規代理店を担う会社を含んでおり、連結取扱高に占めるこの2社の商材の売上高の割合が大きくなっております。また、LINEヤフー株式会社とは、当社連結企業集団のメディア・アドテク事業における媒体枠の提供など、密接な取引関係があります。

これらの取引先とは、良好な関係を維持しておりますが、各社の事業方針の変更、契約の更新内容及び業界動向などの理由により取引量の縮小が生じた場合、当社連結企業集団の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 海外における事業展開・海外事業者との事業活動について

当社連結企業集団は、インターネット広告事業におけるテクノロジーの革新に対応するため、海外事業所における業務や、海外事業者との業務提携を進めております。この提携関係は、海外現地の法律、規制等に従っておりますが、役務の輸出入に関する規制、関税等の租税に関する制度の制定又は改定、現地事業者の法人統廃合、その他の予期しない現地法令又は政府方針の制定もしくは改定等、関連法令等に基づく勧告や手続の執行、又は行政による命令や指導の結果、当該事業の遂行が制約され、当社連結企業集団の財政状況や業績に影響を与える可能性があります。

また、戦争、テロリズム、紛争、暴動、その他の要因による社会的・政治的混乱等の発生により、海外事業者が影響を受けた場合、当社連結企業集団の事業活動に影響を与える可能性があります。

 

(7) 情報セキュリティについて

当社連結企業集団は事業活動を通じ、取引先の重要情報や個人情報に接する機会を有しており、継続した情報資産の適切な管理体制の維持は、当社の重要課題と認識しております。しかしながら、当社連結企業集団から取引先の重要情報等が漏えいするような事態が生じた場合、社会的信用の失墜により当社連結企業集団の業績及び事業の継続に重大な影響を与える可能性があります。

 

 

(8) システム管理について

当社連結企業集団の事業は、インターネット関連サービスに特化しており、インターネットへの接続、データセンターの維持管理等の重要な業務の一部を外部委託していることがあります。その為、当社連結企業集団では制御できない領域で発生した障害、悪意の第三者による不正アクセス、ハードウェア又はソフトウェアの欠陥(いわゆるバグを含む)等により、当社連結企業集団の事業に用いるネットワーク・システムの一部又は全部が正常に作動せず、重要なデータの消滅や書換え、第三者によるデータの不正入手、取引停止等が発生する可能性があります。これらは、当社連結企業集団の収益機会を喪失するだけでなく、第三者からの多額の損害賠償請求、監督官庁による行政指導、営業停止処分その他の行政処分により、当社連結企業集団の事業活動及び業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 法令等遵守体制の維持について

当社連結企業集団は、総合的なリスク管理の継続的な強化が求められていることを認識し、当社連結企業集団全体でコンプライアンスの周知徹底を図り、代表取締役社長直轄の内部監査室や内部通報制度(GMOヘルプライン制度)の運用、金融商品取引法上の内部統制体制の運用、会社法上の内部統制システムの整備・運用などを実行することにより、コンプライアンス体制の継続的強化に取り組んでおります。

しかしながら、事業の急速な拡大や人員の急激な増加等によりコンプライアンス管理体制の十分な構築が追いつかない場合、個人的・組織的な不正行為を含むコンプライアンス上のリスクを完全に回避できない可能性があり、法令等に抵触する事態が発生した場合、当社連結企業集団の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 人材の確保・育成について

当社連結企業集団は、事業規模の拡大に伴う業務量の増加に伴い、エージェンシー事業及びメディア・アドテク事業各分野における優秀な人材の確保・育成が重要な経営課題であると認識し、事業企画・管理組織の強化と積極的な採用活動を行うと同時に、教育研修等、組織開発と人材育成の充実に注力しております。

しかしながら、雇用環境や労働需給が変化した場合、既存事業の見直し、事業発展のペースダウン、採用方法の多様化により費用が増加し、当社連結企業集団の業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。

 

(11) 新規事業展開・事業投資について

当社連結企業集団は、事業拡大又は育成の手段として、新会社の設立や既存会社への出資、合弁事業の展開等を行うことがあります。これらの投資活動は、社内主要メンバーによる専門的見地を踏まえつつ、収益可能性とリスク分析を検討する会議体を通じ、当該投資行為の可否を決定するけん制機能を有しております。

しかしながら、投資実行先の事業状況や新規事業が当社連結企業集団に与える影響を確実に予測することは困難であり、投資実行後、事前の調査で把握できなかった未認識債務の判明や偶発債務が発生した場合、投資活動又は新規事業が計画通りに進捗しない投資回収が困難となるような予期せぬ要因が生じた場合、当社連結企業集団の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 組織改革について

当社連結企業集団では、継続して既存組織の機能見直しを進めると共に、コストの合理化や資産圧縮を進めるなどの施策を講じていく方針です。この進捗状況により、既存の組織や事業・業務の見直しにより、一時的な多額の経費が発生した場合、当社連結企業集団の業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社及び当社連結法人(以下総称して「当社連結企業集団」)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当社連結企業集団の当連結会計年度の売上高は14,903百万円(前年同期比10.4%減)、営業損失は25百万円(前年同期は710百万円の営業利益)、経常利益は180百万円(前年同期比75.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は40百万円(前年同期比89.8%減)となりました。

セグメント別の業績は次の通りであります。

 

(エージェンシー事業)

当連結会計年度のエージェンシー事業の売上高は9,924百万円(前年同期比4.6%減)、営業利益は477百万円(前年同期比55.0%減)となりました。

「エージェンシー事業」は、当社連結企業集団における広告主様との主要な接点として、営業活動を主に担っております。

当連結会計年度におきましては、上半期までは前年同期の取扱高を上回る推移であり、一時費用などにより利益計画に遅れがあったものの、下半期で挽回可能な見通しでありましたが、コロナ禍で生じたいわゆる「巣ごもり」需要の急減と、対面経済の復調による顧客の広告需要の変化に対し、社内の営業体制等の更新が遅れ、前年同期比で減収減益となりました。 

 

(メディア・アドテク事業)

当連結会計年度のメディア・アドテク事業の売上高は5,044百万円(前年同期比20.3%減)、営業利益は306百万円(前年同期比35.0%減)となりました。

「メディア・アドテク事業」は主に、当社連結企業集団におけるアドテクノロジー商材・自社メディアの開発及びメディア様とのリレーション構築の要となっております。

当事業においては、自社開発のインターネットメディア「michill byGMO」に加え、業界最大級の接続先を誇る「GMOSSP」や、広告配信プラットフォーム「ReeMo」 など、自社開発のアドテク商材からなる総合的なマーケティングプラットフォームを提供しております。

当連結会計年度におきましては、自社アドテク商材の広告単価の下落・媒体仕入枠の獲得競争による収益の伸び悩みなどの影響が継続しており、売上高が四半期ごとに減少する状況に改善の兆しが見られず、売上高・営業利益ともに前年同期比で減少することとなりました。

 

 当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は次の通りであります。

 

(流動資産)

当社連結企業集団の当連結会計年度末の流動資産につきましては9,084百万円(前連結会計年度末は10,503百万円)と1,418百万円の減少となりました。主な要因は、現金及び預金が4,185百万円(前連結会計年度末は5,343百万円)と1,157百万円の減少、受取手形及び売掛金が3,620百万円(前連結会計年度末は4,117百万円)と496百万円減少した一方で、流動資産その他が455百万円(前連結会計年度末は214百万円)と240百万円増加したこと等によるものであります。

 


(固定資産)

固定資産につきましては1,762百万円(前連結会計年度末は1,920百万円)と157百万円の減少となりました。主な要因は、繰延税金資産が128百万円(前連結会計年度末は200百万円)と72百万円の減少、投資有価証券が629百万円(前連結会計年度末は683百万円)と54百万円減少した一方で、無形固定資産その他が50百万円(前連結会計年度末は45百万円)と5百万円増加したこと等によるものであります。

この結果、総資産は10,847百万円(前連結会計年度末は12,423百万円)と1,575百万円の減少となりました。

 

(流動負債)

流動負債につきましては5,160百万円(前連結会計年度末は6,552百万円)と1,391百万円の減少となりました。主な要因は、買掛金が3,690百万円(前連結会計年度末は4,302百万円)と611百万円の減少、流動負債その他が930百万円(前連結会計年度末は1,208百万円)と277百万円減少したこと等によるものであります。


(固定負債)

固定負債につきましては445百万円(前連結会計年度末は437百万円)と8百万円の増加となりました。主な要因は、固定負債その他が284百万円(前連結会計年度末は270百万円)と13百万円増加した一方で、繰延税金負債が12百万円(前連結会計年度末は17百万円)と5百万円減少したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は5,605百万円(前連結会計年度末は6,989百万円)と1,383百万円の減少となりました。

 

(純資産)

純資産合計につきましては5,242百万円(前連結会計年度末は5,434百万円)と192百万円の減少となりました。主な要因は、利益剰余金の減少160百万円(親会社株主に帰属する当期純利益の計上により40百万円の増加、配当金の支払いにより200百万円の減少等)、自己株式の減少28百万円、その他有価証券評価差額金の減少59百万円を計上したこと等によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当社連結企業集団の当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べて1,157百万円減少し、4,185百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金は912百万円の減少(前連結会計年度は881百万円の増加)となりました。主な増加要因としては、売上債権の増減額390百万円、減価償却費143百万円、税金等調整前当期純利益181百万円等によるものであります。一方、主な減少要因としては、仕入債務の増減額608百万円、法人税等の支払額405百万円、投資事業組合運用損益109百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金は68百万円の減少(前連結会計年度は197百万円の減少)となりました。主な増加要因としては、関係会社預け金の払戻による収入860百万円、投資事業組合からの分配による収入143百万円等によるものであります。一方、減少要因としては、主に関係会社預け金の預入による支出860百万円、無形固定資産の取得による支出127百万円等によるものであります。

なお、関係会社預け金はGMOインターネットグループ全体で資金運用を行うために導入しているキャッシュマネジメントサービス(CMS)を利用しているものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金は177百万円の減少(前連結会計年度は55百万円の減少)となりました。主な増加要因としては、新株予約権の行使による収入28百万円によるものであります。一方、主な減少要因としては、配当金の支払額200百万円等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績の状況

a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

エージェンシー事業

5,498,193

101.8

メディア・アドテク事業

3,075,469

76.3

合計

8,573,662

90.9

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

c.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

エージェンシー事業

9,888,012

94.9

メディア・アドテク事業

4,982,561

79.6

合計

14,870,574

89.1

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

d.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

エージェンシー事業

9,918,198

95.6

メディア・アドテク事業

4,985,641

79.7

合計

14,903,840

89.6

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下の通りです。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

  至 2022年12月31日

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

GMOインターネットグループ

株式会社

1,928,059

11.6

1,875,256

12.6

ヤフー株式会社

1,832,290

11.0

1,187,830

8.0

株式会社エウレカ

1,813,683

10.9

1,141,049

7.7

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社連結企業集団の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社及び当社連結法人(以下総称して「当社連結企業集団」)が判断したものであります。当社連結企業集団は、事業基盤の確立のため、以下の取り組みを重点課題とし、企業体制の強化を進めてまいります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社連結企業集団の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 

この連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債の帳簿価格及び収益・費用の認識に影響を与える見積りにつきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は異なる場合があります。

当社では、特に以下の重要な会計方針が、当社連結企業集団の連結財務諸表等の作成における見積もりや仮定により重要な影響を受ける可能性があるものと考えております。

なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積もり及び当該見積もりに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。

 

② 連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財務状態の分析

当連結会計年度末の財政状態は、流動資産9,084百万円、固定資産1,762百万円、流動負債5,160百万円、固定負債445百万円、純資産5,242百万円となりました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」において記載しております。

 

b. 経営成績の分析

当連結会計年度の売上高については、エージェンシー事業において9,924百万円、メディア・アドテク事業において5,044百万円となり、連結売上高は14,903百万円となりました。なお、前連結会計年度より収益認識に関する会計基準を適用しておりますが、旧基準に基づく連結売上高は36,979百万円(前年比4.8%減)となりました。

対面経済の本格的な復調により経済環境全体の見通しが強気へ振れる一方、特にエージェンシー事業において、一部業種におけるコロナ禍で生じたいわゆる「巣ごもり」需要が急減し、当社の想定を超えて縮小しました。こうした環境変化に合わせた営業戦略の見直しや、費用抑制などを実施したものの、対応の遅れから、連結売上高および旧基準に基づく連結売上高はともに前年同期比で減少することとなりました。 また、メディア・アドテク事業においても、広告掲載に関する法令・規制の強化が進む中、アドテク商材の売上が減少を続けており、メディア事業は堅調に推移するものの、連結売上高の減少要因となっております。

いずれのセグメントも、外部環境の変化に対する当社の対応が結果的に減収要因ではありますが、その内容は異なっており、特にアドテク事業についてはビジネスモデルの見直しが必要なものと分析しており、2024年1月をもってセグメント横断の組織再編を実施しております。

 

売上原価については、連結売上原価が8,573百万円となりました。連結売上高と連動する形で推移をしており、当社が開発・販売に注力している自社企画サービスの売上高比率も前年同程度となりました。

一方で、販売費及び一般管理費は連結売上高の減少に伴い、サービス提供にかかる費用は減少しておりますが、当連結会計年度の第1四半期累計期間に計上した一過性の販促費や、定期昇給などによる人件費の増加などが加わり、前年とほぼ同水準の6,355百万円(前年同期比2.1%減)となりました。

売上原価、販売費及び一般管理費については、引き続き費用対効果の検証を継続し、利益率の向上に努めてまいります。

 

以上の結果から、営業利益は、連結売上高の減少に伴い利益が低下した一方、販売費及び一般管理費が前年と同程度となったことから、25百万円の営業損失となりました。

 

経常利益は、出資している投資事業組合の運用益が計上されたことから、営業外収益が207百万円(前期比165百万円増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益については、40百万円となりました。

インターネット広告市場は引き続き成長を継続するものと見込んでおりますが、顧客ニーズの多様化や競争環境の変化、新技術の発生により、参画事業者にも創意工夫に基づいた変化が求められる複雑な事業環境になりつつあるものと認識しております。特に生成AIの登場は当社を始めとしたインターネット広告事業社にとり、非常に重要な変化であり、このような変化を自社に取り込み、活用していくことが求められております。

既存顧客との関係強化・新規顧客へのリレーション創出等の事業拡大に向けた活動に注力しながらも、自社企画サービスの拡充と業務効率化・コストオペレーションの強化による収益基盤の強化を堅実に実行し、継続的な成長と収益の創出を目指してまいります。

 

c. キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、営業活動における現金収入が減少となり、4,185百万円(前年同期比1,157百万円減)となりました。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは912百万円の減少(前連結会計年度は881百万円の増加)と大きく資金流出しており、現金及び現金同等物の期末残高の減少の主な要因となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは68百万円の減少となりました。主に投資事業組合からの分配金収入が増加要因となり、前年同期比で改善いたしました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、177百万円の減少となりました。「自己株式を活用した第三者割当による第7回新株予約権」の行使による収入が前年同期比で減少した一方であり、配当の支払いが前年同期比で増加したことが増減要因となりました。

集計単位ごとの詳細は「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

当社連結企業集団においては、営業活動によるキャッシュ・イン・フローを投資活動および財務活動によるキャッシュ・アウト・フローに転換し、財務の健全性を保ちながら、自社事業への資本投入による内部成長及びM&Aや業務提携を通じた外部成長の取り込みを行い、収益基盤の安定化と株主還元・株主価値の最大化を円滑かつ効率的に行っております。

また、親会社でありますGMOインターネットグループ株式会社のキャッシュ・マネジメント・サービス(CMS)に加え、取引銀行をはじめとした金融機関等の外部資金の調達手段の確保により、資金需要の変動に柔軟に対応する体制を整えております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

契約会社名

相手先の名称

契約内容

契約期間

GMOアドパートナーズ株式会社

GMOインターネットグループ株式会社

資金調達及び運用並びに決済事務の効率化を目的として、資金の一括管理その他のキャッシュマネジメントサービス(CMS)の運営委託契約

2006年6月26日より、契約期間の定めなし。

 

(注) 上記、当社によるGMOインターネットグループ株式会社との契約に基づく金利については、市場金利等を勘案し決定しております。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

第3 【設備の状況】

 

1 【設備投資等の概要】

当社グループにおいて、「ソフトウエア」は重要な資産であるため、有形固定資産のほか、無形固定資産のうち「ソフトウエア」を含めて設備の状況を記載しております。

当連結会計年度中において実施いたしました企業集団の設備投資の総額は132,093千円で、その主なものは各種サービスに関わるソフトウェアの新規開発および機能追加等の開発投資であります。

 

2 【主要な設備の状況】

(1) 提出会社

2023年12月31日現在

事業所名
(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

帳簿価額(千円)

従業員数
(名)

建物

工具、器具
及び備品

ソフト
ウエア

合計

本社
(東京都渋谷区)

全社共通

本社機能

208,131

30,169

49,427

287,728

49〔6〕

 

(注) 1.従業員数の〔 〕は、臨時従業員の年間平均雇用人員を外書しております。

2.上記の他、主要な設備のうち連結会社以外から賃借している設備の内容は、下記のとおりであります。

リース物件

事業所名
(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

年間リース料

リース契約残高

本社
(東京都渋谷区)

全社共通

事務所関連設備

3,349千円

2,472千円

 

賃借物件

事業所名
(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

建物賃借床面積
(㎡)

年間賃借料

本社
(東京都渋谷区)

全社共通

本社事務所

3,815.1

77,245千円

 

 

(2) 国内子会社

2023年12月31日現在

会社名

事業所名
(所在地)

セグメントの
名称

設備の内容

帳簿価額(千円)

従業員数(名)

建物

工具、器具
及び備品

ソフト
ウエア

合計

GMO NIKKO㈱

本社
(東京都渋谷区)

エージェンシー事業

本社事務所

1,866

35,117

36,984

282〔15〕

GMOアドマーケティング㈱

本社
(東京都渋谷区)

メディア・アドテク事業

本社事務所

2,674

90,643

93,317

81〔8〕

GMOインサイト㈱

本社
(東京都渋谷区)

メディア・アドテク事業

本社事務所

8,742

8,742

29〔10〕

GMOソリューションパートナー㈱

本社
(東京都渋谷区)

エージェンシー事業

本社事務所

25,375

11,919

74,763

112,058

89〔38〕

 

(注) 1.従業員数の〔 〕は、臨時従業員の年間平均雇用人員を外書しております。

 2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

3 【設備の新設、除却等の計画】

(1) 重要な設備の新設等

該当事項はありません。

 

(2) 重要な設備の除却等

該当事項はありません。