文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
当社は、メッセンジャーRNA(mRNA)を標的とした低分子創薬(以下「mRNA標的低分子創薬」という)のプラットフォーム型ビジネス(独自の基盤技術を、共同創薬研究等を通じて複数の製薬会社へ提供)により、「どんな疾患の患者様も治療法がないと諦めたり、最適な治療が受けられないと嘆いたりすることのない、そんな希望に満ちたあたたかい社会を実現する」ことを経営理念(ミッション)としています(図21)。当社は、製薬業界で新たな領域を切り拓く先駆者、すなわち「パスファインダー(Pathfinder)」として、どんな疾患の患者様も最適な治療が受けられるように、より多くのmRNAを標的とする低分子医薬品(以下「mRNA標的低分子医薬品」という)を迅速に社会に届けていく方針です。

(2) 経営戦略
当社は、mRNA標的低分子医薬品の将来市場の見通しを踏まえ、その時期に応じてビジネスモデルを変えることで長期持続的な成長を達成することを目指しています(図22)。
短期的には、現在の「プラットフォーム戦略」により、現在進行中の共同創薬研究をさらに加速・拡大させて事業収益の獲得等による業績の安定化を図るとともに、より多くの国内外製薬会社とのパートナーシップを展開していく方針です(図22、図23 共同創薬プロジェクト)。2023年6月の武田薬品との提携を皮切りに、大手製薬会社や海外製薬会社をパートナー提携先として獲得し、さらなる事業拡大を目指します。中期的には、当社プラットフォームのさらなる技術開発と専門人材の獲得・社内育成により、現在は製薬会社が担当している創薬研究プロセスも自社で実施する体制を構築する方針です。海外大手製薬会社は、共同創薬研究よりもパイプラインをそのまま導入する取引を重視する傾向があるため、共同創薬プロジェクトを推進するプラットフォーム事業にくわえ、自社でパイプラインを創出するパイプライン事業を並行して進める「ハイブリッド型」のビジネスを展開することを計画しております。これにより、継続的な業績の安定化とパイプラインのライセンス等による企業価値の最大化を目指します(図22、図23 自社プロジェクト)。さらに長期的には、創薬研究に特化したバイオテク企業から、研究開発・販売機能等を備えた製薬会社(スペシャリティファーマ)に業態を転換することで、持続的な事業の成長を目指します(図22)。当社は、こうした短中長期の各成長ステージに合わせて適切な経営を行っていくことを経営戦略としています。
2024年度からの中期経営計画期間は、プラットフォーム事業を遂行する態勢を財政面や人材面でより頑強なものとし、加えて「ハイブリッド型」のビジネスに切り替える準備と実行の時期と位置付けております。
図22. プラットフォーム型ビジネスからスペシャリティファーマに至るまでの成長曲線のイメージ図

(注) あくまで当社が目標とする成長のイメージであり、実際の時価総額の推移を示唆するものではありません。
当社は、プラットフォーム型からハイブリッド型ビジネスへ移行する際には、mRNA標的低分子医薬品又は核酸医薬品のプロジェクトの中から自社パイプライン候補を選定のうえ研究を進め、自社パイプラインの創出につなげる方針です(図23、自社プロジェクト)。mRNA標的低分子創薬の場合には、様々な疾患に適用できるという特性を活かし、マーケット志向にもとづいて医薬品1品目あたり年間200億円以上の売上が見込める自社プロジェクトを選定する方針です。

当社は、当社のibVISⓇプラットフォームから創出された低分子医薬品の実用化により社会に貢献するとともに、製薬会社から医薬品候補化合物の開発の進捗に応じて受領する開発マイルストーン、上市後の製品販売に伴う売上マイルストーン及びロイヤリティ収入によって事業収益を拡大することを経営目標としています。
しかしながら、現時点において、製薬会社とのプロジェクトは全て研究段階であり、当社が開発・売上マイルストーン及びロイヤリティ収入を獲得可能となるのは早くても数年後となるため、短期的には、ROAやROEといった経営指標ではなく、製薬会社と締結する新規共同創薬研究契約の獲得数、並びに契約一時金、研究支援金及び製薬会社とのプロジェクト進捗に応じて得られる研究マイルストーンに基づく事業収益全体を、目標達成の判断基準(KPI)として掲げています(図23)。これらKPIは取締役会等に報告されており、目標達成に向けた組織のパフォーマンスの動向を把握できるようにしております。
新規共同創薬研究契約数の目標を達成するための施策として、当社はこれまでに、製薬会社と秘密保持契約書(CDA)の締結からはじまる事業開発活動の実績を統計的に解析しています(図24)。その結果、全CDA締結数のうち本契約まで至った確率はおおよそ48%、CDA締結から本契約に至るまでの期間(中央値)は約14か月となっています(2023年12月末現在)。現時点において製薬会社4社とCDA下で契約交渉を進めているため、これらの解析にもとづき、2024年にはそのうちの2社と契約締結することを目標達成の指標としています。また、2025年以降も毎年2社と契約を締結するという目標のもと、その数に見合うCDA締結数を獲得するべく事業開発活動を実施しています。

(注) 契約締結数と契約交渉中のCDA数は2023年12月末現在の実績
内閣官房の健康・医療戦略室委託事業が2021年3月に発表した『令和二年度 医薬品・再生医療・細胞治療・遺伝子治療関連の産業化に向けた課題及び課題解決に必要な取組みに関する調査報告書』によると、世界の医療用医薬品市場は、2020年の約75兆円から、2030年には約103兆円に成長すると予測されています(図25)。
近年、抗体医薬品やペプチド医薬品などの中分子・高分子医薬品が一定規模の市場を形成しており、今後も成長期市場として存在感を示すと考えられます。低分子医薬品は、既に成熟期に差し掛かっている市場であり、市場成長率は微増であるものの、2030年においても医薬品市場の約半分を占めると予測されています。低分子医薬品は、グローバル市場において、日本企業が占有率を高く保っている領域です。今後日本では、占有率の維持に向けて、低分子医薬品の創薬標的やターゲット構造の拡大、適応疾患の拡大、及び研究開発の効率化による低コスト化が重要視されると考えられます。

出典:内閣官房 健康・医療戦略室委託事業「令和二年度 医薬品・再生医療・細胞治療・遺伝子治療関連の産業化に
向けた課題及び課題解決に必要な取組みに関する調査報告書」をもとに当社にて作成
当社の属するmRNA標的低分子創薬の領域は、現在世界的に見ても研究段階であるため、2030年時点で市場が大きく形成されている可能性は低いと考えられます。しかしながら、従来のタンパク質標的低分子医薬品と競合することなく、全く新規の創薬標的に対して低分子医薬品の創出に取り組めるうえに、低分子医薬品は経口投与が可能で、製造コストが低く、規制体制及び商材としてのバリューチェーンも確立されているため、将来的には、mRNA標的低分子医薬品単独で新たな市場が形成されると考えられます。その市場規模は、将来のある時点において、既存のタンパク質標的低分子医薬品の市場と同等規模になると、当社は推定しています(図26)。

(注1) 初期採用者とも呼ばれ、イノベーター(革新者)の次に商品やサービスを購入する人々
(注2) 前期追随者とも呼ばれ、アーリーアダプターからの影響を受ける人々
2010年代後半、米国を中心としてmRNAを標的とした低分子医薬品の創出を目指すバイオテク企業が相次いで立ち上がり、2017年11月には、科学系学術団体としては世界最大のアメリカ化学会の学会誌であるChemical & Engineering Newsに「The RNA hunters」として取り上げられました。さらに、近年の科学技術の発展に伴って低分子医薬品でアプロ―チ可能な創薬標的が拡大したことにより、2023年10月の同学会誌には「Is this a golden age of small-molecule drug discovery?」と特集されるなど、再度低分子医薬品の創出に対する注目が高まっています。その中で、RNA標的低分子創薬についても同学会誌に取り上げられており、創薬の専門家のコメントとして「個人的な見解ではあるものの次の大本命はRNA標的であり創薬の主流になりつつある」という記載がされております。このような流れを受けて、低分子医薬品の研究開発能力を持つ製薬会社はmRNA標的低分子創薬を検討しはじめ、mRNA標的低分子創薬に取り組むバイオテク企業間の競争は今後より一層激しくなると予想されます。その一方で、各社独自のビジネス展開により棲み分けが進んでいくものと考えられます。当社は、mRNA標的低分子医薬品の潜在的な市場のシェアをいち早く獲得するため、現時点において、製薬会社との提携数やプロジェクト数を増やすことを優先したプラットフォーム型ビジネスに集中しています。加えて、ibVISⓇプラットフォームの優位性を維持するため、短期的に更なる技術力の強化を図るとともに(図27)、中期的にハイブリッド型ビジネスに転換する際には、自社パイプラインの創出に必要なインフラを整備します(図27中の※印)。

(注1) FMOによるCADDとは、量子化学計算の一種であるフラグメント分子軌道法(FMO)による計算を用いて医薬品を設計する手法
(computer-aided drug design:CADD)のこと。タンパク質標的低分子創薬でも用いられる最新の化合物設計手法です。
(注2) 第一原理MDとは、非常に高いレベルの量子化学計算(第一原理計算)を用いた分子動力学法(Molecular Dynamics:MD)のこと。
RNA構造と低分子化合物がどのように動くかシミュレーションすることができ、医薬品を設計する手法(CADD)の精度が飛躍的に
上がることが期待されます。
(注3) RIBOTAC(ribonuclease-targeting chimeras)とは、リボヌクレアーゼ(RNA分解酵素)と結合する化合物と、mRNAに結合する
化合物をつないだ融合化合物のこと。当社にて取得したmRNA結合化合物の活性が十分でない場合でも、RIBOTACによりRNA分解
酵素を誘導することでmRNAの分解を促進することで、活性の飛躍的な向上が期待できます。
当社の知る限り、国内外の大手製薬会社20社以上がmRNA標的低分子創薬関連のバイオテク企業と提携済みであり(2023年12月末現在)、本創薬への流れは既に始まっていると考えております。当社では、mRNA標的低分子創薬関連に取り組むバイオテク企業の中で、以下に示す当社基準にもとづき、Arrakis Therapeutics、Ribometrix、及びAnima Biotechの3社を当社の主要な競合他社と考えております(図28)。
[競合他社の選定基準]
・当社同様の作用機序に基づくmRNA標的低分子創薬を目指している企業
・全てのmRNA標的低分子創薬に関する技術を保有していると考えられる企業
・大型提携の実績をもつ企業
そのうえで、当社がもっとも注目している点は、公開情報等から競合他社が主に既知のターゲット構造を創薬対象としていると考えられるのに対して、当社は多種多様なターゲット構造を同定し、創薬対象とできることです(当社のターゲット構造を同定する技術の詳細は、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (2) 当社の事業領域 ② ibVISⓇプラットフォーム c mRNA標的低分子創薬を可能にするインシリコRNA構造解析技術」を参照)。当社の「ターゲット探索」は、各製薬会社の新薬開発ニーズに対して、多種多様なターゲット構造を創薬対象とすることで応えられるため、創薬標的の枯渇という製薬業界の課題に対する抜本的な解決につながると考えております。したがって、当社のプラットフォーム技術は、競合他社に比べて「ターゲット探索」において優位性があると考えます。
以上の点に加えて、当社は「ターゲット探索」の段階から多くの製薬会社と共同創薬プロジェクトを実施し、mRNA標的低分子創薬に関するノウハウを豊富に蓄積できている点でも、競合他社と比べて優位性があると考えます。
mRNA標的低分子創薬の適用範囲は非常に広いため、少なくとも今後数年間は、当社とこれら競合他社は互いに競合する一方で、本分野のビジネスを相乗的に拡大させていくものと当社は考えております。

(注) 1USD= 140円として換算
出典:Crunchbase及び各社ウェブサイト情報をもとに当社で作成
経営方針及び経営戦略を実行していくうえで、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。
当社は、mRNA標的低分子創薬で事業提携している製薬会社のニーズを適宜把握し対応することで、滞りなく共同創薬研究を前進させるとともに、その成果を新規の製薬会社との事業提携につなげることで、持続的・安定的な事業収益の獲得を目指します。
当社の事業を大きく発展させるためには、RNA研究に関する高い専門性や豊富な創薬研究経験を有する人材、及び事業開発の拡大に資する人材が必要となります。当社は、当社ウェブサイトの充実や人材紹介サービス会社の積極的な活用により、優秀な人材の確保に努めます。さらに、従業員が働きやすく、業務を通じて成長できるような環境を整備することで、当社の将来を担う人材の育成に努めます。
当社が取り組むmRNA標的低分子創薬の領域は、今後、国内外のバイオテク企業や製薬会社との競争の激化が予想されます。このような状況の中、当社は、製薬会社との共同創薬研究及び自社研究を通じて蓄積した知見を当社のプラットフォーム技術にフィードバックするとともに、大学との共同研究や他社との業務提携等により新技術を積極的に取り込むことで、プラットフォームの機能拡充による技術競争力の強化を図ります。
当社は、製薬会社との共同創薬研究及び自社研究を通じて、mRNA解析技術を飛躍的に向上させました。mRNA標的低分子創薬にとどまらず、核酸医薬品の創出やmRNA医薬品の設計など、新たな事業領域の拡大の可能性について検討します。
当社は、競争力の確保や将来の事業展開のため、当社独自の創薬技術の特許権利化及び自社開発した各種ソフトウェアの秘匿化を進めています。引き続き、専門分野の弁理士・弁護士と連携しながら、新規技術の権利化や新規ソフトウェアの秘匿化に努めます。
当社は、急速に事業を拡大しており、上場後はさらなるコーポレート・ガバナンスの強化が課題となります。当社は、役員による業務執行に係る適正な意思決定を行い、法令や社内規程を遵守し、健全性と透明性の高い経営体制の構築に努めます。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
サステナビリティに関する重要な事項は、サステナビリティ担当の取締役が起案して経営会議で協議し、社長が決定します。サステナビリティに関する特に重要な事項は、取締役会で審議し、取締役会として決議します。
当社は、「どんな疾患の患者さまも治療法がないと諦めたり、最適な治療が受けられないと嘆いたりすることのない、そんな希望に満ちたあたたかい社会を実現する。」という経営理念のもと、メッセンジャーRNA(mRNA)を標的とする低分子医薬品(「mRNA標的低分子医薬品」)の創出に取り組んでおり、事業活動を通じた持続可能な社会の継続と、当社の持続的な成長を目指しております。
当社の事業活動の原動力は当社で働くすべての従業員であり、事業基盤を構築する上で優秀な人材を確保し育てていくことが肝要です。このため、従業員の人権を最大限に尊重するとともに、働きがいのある企業風土の醸成(社内環境整備)、人材の多様化と一人ひとりを活かす組織づくり等により人的資本への対応を進め、また従業員の健康管理・健康増進を経営としてコミットし従業員の活力向上や職場の活性化を実現することに努めます。
また、気候変動への取組みは、サステナビリティが事業活動の前提であるという認識のもと、重要な取組みであることを理解しておりますが、現時点では当社に影響を与えると考えられるリスク・機会について特定や抽出を行っておらず、今後具体的な検討を始めたいと考えております。
当社のサステナビリティに関するリスク及び機会は、その他の経営上のリスク及び機会と一体的にリスクマネジメント・コンプライアンス委員会において定期的に把握し、審議・検討します。
当社の社内環境整備、人材の多様化をはじめとする人的資本への対応、及び従業員の健康管理・健康増進の指標として「年次有給休暇取得率」を定めております。「年次有給休暇取得率」の実績と達成目標は下表のとおりです。
当社の事業運営及び展開等について、リスク要因として考えられる主な事項を以下に記載しております。中には当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項も含まれておりますが、投資判断上、もしくは当社の事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項については、投資家や株主に対する積極的な情報開示の観点からリスク要因として挙げております。
当社はこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて、慎重に検討した上で行っていただく必要があると考えます。また、本項は投資判断のためのリスクを全て網羅したものではなく、これら以外にも様々なリスクを伴っていることにご留意いただく必要があると考えます。なお、文中の将来に関する記載は、提出日現在において当社が判断したものであります。
医薬品の研究開発は、初期の創薬研究から上市に至るまで長期間を要するとともに、上市までに多額の研究開発投資が必要となります。また、有用な薬効を確認できない場合や副作用など安全性への懸念が生じた場合には、研究開発の延長や中止の判断が行われるなど、研究開発には不確実性が存在します。一般に医薬品の開発の成功の可能性は、他の産業と比較して相対的に低いものとされております。このような一般的な状況のほか、当社はプラットフォーム型ビジネスモデルのため、研究開発の進行が、自社のみではコントロールできず、提携先の方針等によって左右される点、現時点でリード化合物最適化までの創薬研究プロセスを完遂した実績がない点がリスクとして挙げられます。
しかしながら、当社は、非臨床試験前の創薬研究を主な業務としており、製薬パートナーが行う非臨床試験以降の開発に係るコストを負担することはありません。また、当社は現状ではプラットフォーム型ビジネスモデルのため、開発・上市まで進捗しなくとも短期の一時金、研究支援金、研究マイルストーンの事業収益を計上させるような契約を締結することにより、安定的な業績確保を可能となるようにしております。さらに、当社の業務範囲である創薬研究は、その後の開発・販売と比較して期間が短く、「医薬品の研究開発」全期間と比較すると、リスクが限定されると考えております。
当社は複数の製薬会社と複数の創薬研究プロジェクトを実施することで、契約一時金、研究支援金、マイルストーン等の多様な収益を獲得してリスクを分散し、軽減するよう努めております。しかしながら、研究開発の不確実性が当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬機法やその他の関連法令、ガイドラインにより様々な規制を受けております。当社は、製薬会社との共同創薬研究で医薬品候補化合物を取得した場合、当該製薬会社に化合物の権利を導出する予定であり、かかる場合には薬機法等の規制の影響を直接受ける可能性は低いと考えております。しかしながら、導出先の法域で特殊な法規制が存在する場合、各国の薬機法等の規制に今後大きな変更が生じ、導出した化合物の薬事承認の取得等に影響が出たり、当社が新たに規制の対象になった場合等には、計画どおりの事業収益が獲得できず又は当社に体制整備等の負担が生じ、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、医薬品の開発、製造及び販売を行っておらず、製造物責任の影響を直接受けることは基本的にはありません。しかしながら、将来的には、当社から導出し提携先の製薬会社により開発・上市された医薬品について製造物責任の問題が生じた場合には、当社は計画どおりの事業収益が獲得できない等により当社の収益が影響を受ける可能性があります。また、当社にレピュテーションリスクが生じる可能性があるほか、想定外の副作用等が発生した場合に当社に直接損害賠償請求等の訴訟が提起される可能性や提携先から損害賠償請求を受ける可能性があります。このように、提携先の製薬会社により開発・上市された医薬品について製造物責任の問題が生じた場合には当社も影響を受けることにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
医薬品の販売価格は、日本及びその他各国政府の医療保険政策など薬価に関する規制の影響を受けます。当社は、医薬品候補化合物を製薬会社に導出する方針であるため、これらの規制の影響を直接受けることはありません。しかしながら、今後、導出した医薬品候補化合物が最終的に医薬品として上市され、当該医薬品にとって想定外の薬価改定や医療保険制度の改定等が実施される等により、計画どおりの事業収益を獲得できなくなる可能性があり、あるいは中長期的に薬価が引き下げられた場合には、今後開始する共同創薬研究契約の条件が悪くなる可能性がある等により、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の創薬プラットフォームは、mRNA標的低分子創薬に必要な技術群をワンストップで提供します。特に、製薬会社のニーズの高い任意の遺伝子に対してmRNA上に種々の部分構造を発見し、ターゲット構造を定めることができる点に特徴があります。当社は引き続き、新技術の開発等を通じて創薬プラットフォームの技術力強化に努めますが、競合する他社技術の発生により当社の創薬プラットフォームの優位性が損なわれた場合や創薬プラットフォーム間での競争が激化する等した場合には、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、研究用資材を購入し研究を行っているため、研究用資材の調達先の多様化を進めており、現時点では、特定の調達先に依存しておりません。しかしながら、調達先における事故、生産地における災害発生等による被害、社会不安(テロ、戦争、感染症)等により、研究用資材の調達が困難になった場合や研究用資材が値上がりした場合には、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業展開上、第三者の権利や利益を侵害した場合、又は相手側が侵害されたと考える場合には、損害賠償等の訴訟を提起されるなど法的な紛争が生じる可能性があります。当社は契約締結の都度、その内容を弁護士に相談し法的な紛争を回避するよう努めておりますが、当社と第三者との間に法的な紛争が生じた場合には、紛争の解決に労力、時間及び費用を要するほか、法的紛争に伴うレピュテーションリスクにさらされる等により、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、パートナーと共同創薬研究契約を締結し、共同で研究活動を行っております。各パートナーにおける経営環境の変化や経営方針の変更など当社が制御し得ない要因によって当該契約が解除された場合、あるいは研究が中断・中止・遅延となった場合には、当社の事業戦略や事業計画が変更となり、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、相手先の事情等により共同創薬研究契約自体が締結できない場合も想定され、その場合には当社の事業戦略や事業計画が変更となり、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、新潟薬科大学の研究室及びかわさき新産業創造センターのインキュベーション施設の一部を、当社研究所として使用しております。このため、両施設の使用ができなくなった場合には、当社研究所の移転を余儀なくされ、追加的な設備投資や賃借料の発生などによって、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、主にmRNA標的低分子医薬品の創薬研究を行っております。mRNA標的低分子医薬品は創薬標的の枯渇という業界の課題を解決できると考えられ、また、創出される低分子医薬品は製造法なども確立していることから、次世代創薬の本命ととらえる企業もあり近年は多くの企業の参入があります。当社は、当該市場が引き続き成長すると期待しており、今後も継続的に業界動向の情報収集に努め、経営環境の変化に応じた事業運営を行う方針です。しかし、創薬標的がmRNAであることによる毒性リスクなどが顕在化したり、mRNA標的低分子医薬品以外の有力な次世代創薬の開発等による医薬品市場におけるmRNA標的低分子医薬品の位置づけが変化したりすることにより、想定どおりにmRNA標的低分子医薬品市場が拡大しなかった場合や、共同創薬研究に係る提携先が想定どおりに見つからなかった場合には、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、事業運営上必要な特許権等の知的財産権の出願・取得を進めておりますが、現在出願中の全ての知的財産が登録査定を受けられるとは限りません。また、登録後も異議申立てや無効審判請求により、権利の一部又は全てが無効化されるなどの可能性があります。当社は専門分野の弁理士・弁護士と連携しリスクの軽減に努めておりますが、当社の事業運営上重要な特許権等が取得できない場合や権利の一部又は全てが無効化された場合には、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、第三者の知的財産権の侵害及び事業運営上第三者より使用許諾を受けた知的財産権の権利失効を、リスクとして認識し、専門分野の弁理士・弁護士と連携して、第三者の知的財産権の侵害や知的財産権の失効を回避するよう努めております。知的財産権の使用許諾については、許諾先との適切な契約締結により極力リスクを回避しておりますが、当社が予期せずに権利失効した場合には知的財産権が独占して使用できなくなります。また、第三者の知的財産権の侵害については完全に当社側で検知することは難しく、予期せず侵害した場合には、損害賠償請求、使用差止め、権利に関する使用料等の支払い請求等が発生します。このように、第三者知的財産権に関するリスクが顕在化した場合には、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業に関連した特許権等の知的財産権について、現在、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生した事実はありません。当社は、専門分野の弁護士及び弁理士との連携を図って可能な限り特許侵害・被侵害の発生リスクを軽減する対策を講じております。
今後、当社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、弁護士等と協議のうえ、その内容によって個別に対応策を検討していく方針でありますが、解決に時間及び多大の費用を要する可能性があり、また、法的紛争に伴うレピュテーションリスクにさらされる等により、このような事象が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の属する医薬品業界では、一般的に多額の研究開発資金を長期にわたって先行投資する必要があります。当社は、非臨床試験以降の開発を行っていませんが、創薬プラットフォームの技術力強化のために先行投資をしており、今後も事業拡大のため必要に応じて設備投資等に資金を投じていく方針です。
当社のプラットフォームビジネスに関して、コスト面では、主に研究開発費と販売費及び一般管理費が多くを占め、年度によって大きな変動はありません。しかし、将来は、プラットフォームビジネスと並行して、自社創薬ビジネスに取り組み、さらなる成長を目指すことを検討しております。そのような場合には追加で臨床試験等のコストが発生する可能性があります。収益面では、短期的にはプラットフォームビジネスをベースとした共同創薬研究契約に基づく、契約一時金収入、研究支援金収入、研究マイルストーン収入を確保しておりますが、将来、自社創薬ビジネスに取り組んだ場合は、ライセンス収入及び開発マイルストーン収入の獲得を目指します。
当社は、自社創薬研究の要否及び今後の契約締結状況を鑑み、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務基盤の強化を図る方針ですが、適切な時期に資金調達ができない場合及び投資に比べ収益が小さい場合には、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が上場時の公募増資により調達する資金は、プラットフォーム事業の強化のみならず、上場後に計画している自社創薬に係る研究開発費、それらに関連する設備・人材への投資等に充当する方針です。しかし、研究開発活動の成果が収益に結びつくには長期間を要するうえに、研究開発投資から期待した成果が得られる保証はありません。その結果、調達した資金が期待される利益に結びつかない場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、将来の事業拡大に伴い、増資を中心とした資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
当社は、当社取締役、従業員及び社外協力者の意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を採用しています。当社の発行済み新株予約権の権利が行使された場合には、新株式が発行され、1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。今後も優秀な人材の確保のため、株式価値の希薄化に配慮しつつ同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があります。
当社は創業以来、株主に対する利益配当及び剰余金配当を実施しておりません。当面は、企業体質の強化及び研究活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先し、配当は行わない方針です。株主への利益還元については、当社の重要な経営課題と認識しており、将来的には財政状態及び経営成績を勘案しつつ利益配当及び剰余金配当を検討する所存ですが、収益計上額の大幅な変動又は収益計上の時期の遅延等により、将来的な利益配当及び剰余金配当が遅れる可能性があります。
当社の収益構造は、契約一時金、研究支援金及びマイルストーンの達成等に伴う収入が中心です。収益の変動性が高く、契約を想定通りに締結できなかった場合、想定通りに契約を締結できた場合であっても提携先とのその後の研究方針の不一致等により共同創薬研究契約等が解消された場合、その他、新規契約の契約一時金、進捗に伴うマイルストーン収入(ロイヤリティ収入)の契約金額や計上時期により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、海外に拠点を置く製薬会社と共同創薬研究の締結を目指しております。また、共同創薬研究契約以外にも、海外拠点の弁護士事務所への相談等海外との取引が発生する可能性があります。これらの契約を締結し、また、取引が発生した場合には、外貨建取引の発生が見込まれることから為替変動リスクにさらされる可能性があります。したがって、急激な為替変動が生じた場合等には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、医薬品等の研究を行う企業としては小規模組織であるため、各役職員が担当する業務及び責任範囲は相対的に広範となる場合が多く、退職あるいは休職等に対応する補充要員が十分でない環境にあります。今後の事業拡大に伴い、必要な人員補強を図っていきますが、十分な人員の確保又は教育ができる保証はなく、また、多くの人材流出等があった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、小規模な組織であります。自社ソフトウェアの開発は、当社の創業者であり代表取締役社長である中村慎吾に多分に依存しております。当社では、過度に特定の人物に依存しない組織的な経営体制の強化を進めておりますが、何らかの理由により、当社代表取締役社長中村慎吾をはじめとする特定の経営陣や責任者等が当社の業務に従事することが困難になった場合には、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、製薬会社の創薬ターゲットに関する情報をはじめ、社内外の技術、事業開発等に関する機密情報を有しています。これらの情報の外部への流出を防止するため、セキュリティシステムの継続的な改善を図るとともに、情報の取り扱いに関する社員教育、情報へのアクセス権限管理、及び内部管理体制の強化に取り組んでいます。しかしながら、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は否定できず、このような事態が生じた場合には、社会的信用の失墜を招くなど、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、東京都品川区に本社、神奈川県川崎市幸区に基礎研究部門である研究所、及び新潟県新潟市秋葉区に応用研究部門である研究所をそれぞれ設置しております。現所在地の周辺地域において、地震、噴火、水害等の自然災害が発生し、当社設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合には、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機に、役職員に感染リスクの軽減及び安全確保を目的として在宅勤務、時差出勤の推進、及びオンラインミーティングの活用を推進しております。しかしながら、将来的に新型コロナウイルス感染症やその他の感染症の感染拡大等により、本社・研究所の活動に影響が生じた場合には、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、法令等諸規則が遵守されるよう、役職員に対するコンプライアンスの徹底に関する教育・啓蒙等を行っておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。法令違反等が発生した場合や事故や不正等を役職員が起こした場合、損失の発生、行政処分や当社の社会的信用の失墜を招くこと等により、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2016年11月に設立された社歴の浅い企業であります。当社は、豊富な経験を有する経営陣及び各部門責任者により運営されているものの、企業としては未経験のトラブルが発生する可能性は否定できず、その場合の組織としての対応能力については、一定のリスクがあり、そのような未経験のトラブルが発生した場合には、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社並びに当社の関係者及び取引先に対する否定的な風説や風評は、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社の社会的信用に悪影響を与える可能性があります。マスコミ報道、アナリストレポート又はインターネット上の書き込み等によりこうした事態が発生した場合には、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
当社は創薬プラットフォーム「ibVISⓇ」を活用し、製薬会社との共同研究創薬研究を通じてmRNA標的低分子医薬品の創出に取り組むプラットフォーム型ビジネスを展開してまいりました(① mRNA標的低分子創薬事業)。また、当社のmRNA関連創薬の取組みにも進展がありました(② その他のmRNA関連創薬事業)。
当社のmRNA標的低分子創薬事業では、東レ株式会社、塩野義製薬株式会社、ラクオリア創薬株式会社(以下「ラクオリア創薬」という)、および武田薬品工業株式会社(以下「武田薬品」という)との共同創薬研究が進行中であり、当事業年度における主な進捗は以下のとおりであります。
当社と武田薬品は、2023年6月に武田薬品が重点疾患領域に定める複数の遺伝性疾患に対して、mRNAを標的とする低分子医薬品の創出を目的とした新規共同創薬研究契約を締結しました。本契約では、創薬研究の初期から上市・販売にいたる全ての経済条件を定めており、本契約の締結に伴い当社が保有するプラットフォーム技術へのアクセスフィーとしての契約一時金にくわえ、研究支援金を武田薬品より取得しました。
当社とラクオリア創薬は、2022年12月より、ラクオリア創薬が定めるがん疾患に対してmRNAを標的とする低分子医薬品の創出を目的とした共同創薬研究を実施しております。2023年12月には、本共同創薬研究において事前に定めた研究マイルストーンを達成したことから、マイルストーン収入をラクオリア創薬より受領しました。
核酸医薬品をはじめとしたmRNA関連創薬については、今なお技術開発が必要な分野であり、現時点において幅広い治療ニーズに十分応えられているとはいえません。
当社と三菱瓦斯化学株式会社(以下「三菱瓦斯化学」という)は、2023年12月、核酸医薬品の研究・開発・製造を目指して共同研究契約の締結に向けた検討を開始することに合意いたしました。三菱ガス化学の2024年度から始まる次期中期経営計画「Grow UP 2026」においても“医・食”分野での事業を拡大する方向性が立案されていることから、核酸医薬品に関する共同研究契約の締結に向けた協議を進めてまいります。
以上のことから、当事業年度の事業収益は360,356千円(前年度は178,801千円)、事業費用は研究開発費136,552千円(前年度は148,332千円)を含む322,733千円(前年度は317,711千円)となりました。この結果、営業利益は37,623千円(前年度は138,909千円の営業損失)、経常利益は35,898千円(前年度は138,455千円の経常損失)、当期純利益は33,048千円(前年度は141,381千円の当期純損失)となりました。
なお、当社は創薬プラットフォーム事業の単一のセグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(資産)
当事業年度末の総資産は1,655,531千円となり、前事業年度末に比べて56,954千円増加しました。その主な要因は、有形固定資産が24,037千円減少したものの、現金及び預金が64,679千円、売掛金が23,286千円増加したこと等によるものです。
(負債)
当事業年度末における負債は79,892千円となり、前事業年度に比べて23,906千円増加しました。その主な要因は、その他に含まれる未払消費税等が21,714千円増加したこと等によるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産は1,575,639千円となり前事業年度と比べて33,048千円増加しました。その要因は 当期純利益を33,048千円計上したことによるものです。
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ64,679千円増加し、1,549,111千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は68,710千円(前年同期は148,780千円の資金の支出)となりました。これは主な要因として税引前当期純利益35,898千円(前年同期は138,529千円の税引前当期純損失)、減価償却費の計上26,943千円(前年同期は30,484千円)等があった一方で、売上債権の増加額23,286千円(前年同期は増加額31,453千円)等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は2,031千円(前年同期は55,547千円の資金の支出)となりました。これは主な要因として有形固定資産の取得による支出2,031千円(前年同期は取得による支出54,939千円)があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は2,000千円(前年同期は獲得・支出した資金はありませんでした)これは上場関連費用の支払いによるものです。
当社の行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載はしておりません。
当社の行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載はしておりません。
第8期事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注)1.当社は創薬プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
2.第7期及び第8期において、販売実績に著しい変動がありました。これはともに新規顧客との契約による契約金の収入及び既存顧客との契約によるマイルストーン達成による収入による事業収益の計上があったことによるものであります。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当事業年度の事業収益は360,356千円(前事業年度は178,801千円)となり前事業年度より181,554千円増加しました。事業収益が増加した原因は主に新規の共同創薬研究契約の締結によるものです。当事業年度の事業費用は322,733千円(前事業年度は317,711千円)となり、5,022千円増加しましたが、これは主に外部委託していた研究を社内で行うなどをしたことにより、当事業年度の研究開発費136,552千円(前事業年度は148,332千円)が11,780千円減少したためであります。このような結果、当事業年度の当期純利益は33,048千円(前事業年度は当期純損失141,381千円)となりました。
なお、財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況 ② 財政状態」に含めて記載しております。
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社における主な資金需要は、研究開発費であります。これらの資金需要につきましては、自己資金を基本としつつ、必要に応じて、金融機関等からの借り入れによる資金調達にて対応する方針であります。
なお、当事業年度末において、金融機関等からの借入金はありません。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら実績の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表を作成するに当たって採用した重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、重要な会計上の見積りを要する項目はないと判断しております。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」に記載しております。
当社は、2021年以降、製薬会社と以下に示す内容の共同創薬研究契約を締結しております。
当社は、新潟薬科大学と以下の共同研究契約を締結しています。この契約のもと、当社の応用研究部門を新潟薬科大学内に設置しております。
当社は、三菱瓦斯化学株式会社との間で、投資契約に基づく権利について、以下に示す内容の契約を締結しております。
当社は、研究部門として、基礎研究部門及び応用研究部門を有しています。基礎研究部門の拠点である本社及び研究所(神奈川県川崎市幸区)では、主として製薬会社とのmRNAを標的とする低分子創薬事業のプロジェクト推進や、計算化学研究をはじめとしたibVISⓇプラットフォームの基盤技術強化に取り組んでいます。応用研究部門の研究拠点である研究所(新潟県新潟市秋葉区)では、医薬品候補化合物を取得するための細胞を用いた評価実験や、mRNA標的低分子医薬品の作用機序解析等に取り組んでいます。基礎研究部門と応用研究部門の研究結果を当社のプラットフォーム技術に取り入れることで、パートナーとの共同創薬研究契約に基づく研究を実施してきました。
当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は
基礎研究部門で研究に従事する従業員数は5名、応用研究部門で研究に従事する従業員数は4名です。研究開発費の主な内容は、研究員の人件費、アカデミア等との共同研究先への研究費の支払い、新技術導入のための委託業務費の支払い、及び研究に必要な試薬等購入の研究用材料費であります。