当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクついての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
前第2四半期連結会計期間より四半期連結財務諸表を作成しており、子会社の損益計算書は前第3四半期連結会計期間より連結しております。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国の経済状況は、所得・雇用環境が改善される中、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が期待されているものの、世界的な金融引締めに伴う影響や物価上昇等による景気の下振れリスクが懸念されています。
その一方で、情報サービス業界においては、従来なかったスピード感での技術革新や、少子高齢化・生産年齢人口の減少等を受け、デジタル技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する投資が引き続き拡大を続けています。特に、AI市場においては、OpenAI社による「ChatGPT-3.5」「ChatGPT-4.0」のリリースに端を発した、各産業におけるAIトランスフォーメーション(以下、「AIX」という。)に関する投資の加速が続いており、まさに現在進行形で、LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)を含むAIの技術競争・需要拡大・社会実装が急激なスピードで進んでおります。なお、当社グループでは、AIXとは、AIを社会に浸透させることにより、その力を通じて既存の業務プロセスやビジネスモデル等を含めて社会全体に抜本的な変革を起こすこと、ととらえております。
また、SaaS市場においても、導入の需要のみならず、「ニーズの多様化に伴うSaaS間連携」「統合管理の複雑化によるセキュリティ要件の高度化」等に関する需要拡大が見込まれるほか、セキュリティ市場においても、サプライチェーンを狙ったサイバー攻撃や一般企業・病院等を狙うランサムウェア被害(身代金要求型ウイルス)が増加しており、また企業によるクラウドサービスの利用やDX化の推進等もあって、セキュリティ対策は必然となっております。
このような環境の中で、当社グループは、「AI革命を起こし、未来を創っていく」というビジョンのもと、「AI×SaaS」戦略を掲げ、AI・SaaS・セキュリティ関連技術を用いたソリューション提供やLLMを含むAIの社会実装等に努めたほか、「LLM関連の研究開発強化」「グループシナジーの強化」等も進めてまいりました。今後も、AI関連技術の利活用によるソリューション提供を通じた各企業・業界のAIX推進のみならず、LLMを含むAI・SaaS・セキュリティ関連分野において積極的に研究開発を進め、よりスピード感をもってグループ全体の事業拡大を目指してまいります。
また、2023年11月に、コンタクトセンター領域において各種ソリューションを提供している株式会社エーアイスクエアの株式を取得し、子会社化を行いました。コンタクトセンターの運営業務と、AIによる業務の自動化・学習は非常に親和性が高く、業務精度の向上や作業の効率化、人件費等のコストの大幅な削減等が見込まれることから、当領域での高度なAIソリューションに対する期待感・需要も高まっております。株式取得後、各種分野で連携・PMI活動を進めており、両社の強みを活かしたシナジー創出を通じ、コンタクトセンター領域・業界におけるAIXを目指してまいります。
なお、セグメント別の経営成績の概況は以下の通りです。
(AI/DX事業)
AI/DX事業は、当社グループに蓄積されたAI・SaaS関連技術・ノウハウ・データ等を活用し、AI関連ソリューションの提供やSaaS導入支援・SaaS間連携開発、コンタクトセンター領域における各種ソリューション等を提供することにより各企業・業界のAI/DX化推進を目指すセグメントとなります。また2023年11月に子会社化した株式会社エーアイスクエアの事業はAI/DX事業となります。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループのAI/DX事業については、BtoC領域における将棋への注目度向上や新サービスのリリース、BtoB領域における案件数・引き合いの増加や大型案件の獲得もあり、収益が拡大しております。
BtoC領域については、藤井聡太竜王・名人による史上初の八冠獲得に伴う将棋への注目度向上等の効果により、「将棋ウォーズ」「棋神アナリティクス」ともに安定した収益を上げました。2023年10月には、将棋初段昇段を目指すeラーニングサービス「棋神ラーニング」をリリースし、11月には日本将棋連盟より将棋の普及振興への貢献を表彰頂きました。また、BtoB領域についても、LLMを含むAIに関する投資拡大・注目度向上を受けた案件数・引き合いの増加や大型案件の獲得等もあり、収益が拡大しております。同領域においては、2023年12月の建設DX展への出展等を受け、生成AI関連の引き合いも増加しているほか、2024年2月には株式会社ポケモンと共同で、「ポケモン竜王戦2024」のゲーム部門配信画面に初導入されるポケモンバトルに特化したAIを開発し、また2024年2月にはストラテジット社でSaaS連携プラットフォーム「JOINT」の新プロダクトとして、「JOINT iPaaS for SaaS」をリリースするなど、事業拡大に向けた活動を積極的に展開しております。
当セグメントにおいて、LLMの活用・社会実装は事業戦略の中核となるテーマであり、今後も、2023年5月に新設された専門組織「LLM Group」を中心にスピード感をもって研究開発を進めてまいります。その取り組みとして、2024年2月に生成AIを活用したエンタープライズ向けAI アシスタントSaaS「HEROZ ASK」アーリーアクセス版をリリースしました。2023年9月よりクローズドβ版として無料提供していましたが、多数の機能をアップデートし、アーリーアクセス版として、より進化した形でサービス提供を行っております。
(AI Security事業)
AI Security事業は、グループ会社であるバリオセキュア株式会社が提供するインターネットセキュリティ関連の事業となります。
同社は、そのような環境下、エンドポイントセキュリティ対策としてサイバー攻撃の兆候を検知するVarioマネージドEDRサービスの監視やインシデント調査などの運用面における手厚いサポートが評価され、売上収益が伸長しました。また、昨今の医療機関等を標的としたサイバー攻撃や医療情報システムのクラウド利用の増加などを背景に、2023年5月31日に厚生労働省より、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」が発表され、当社のデータバックアップ(VDaP)が医療機関から注目を集め、売上収益が堅調に拡大しました。
また同社は、2024年2月期から2026年2月期にかけて、中期経営方針のもと「マネージドサービスの対応領域拡大・競争力強化」「成長セキュリティ市場への参入」「既存販売網と異なる新規営業体制の強化」を掲げ、人材の獲得、サービス企画・事業開発の強化、ソフトウェア開発等の事業投資を行う計画を公表し、実現に向けての取り組みを行っております。人材基盤を強化することで、新規販路の開拓とサービス開発を推進しています。
a.財政状態
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,038,053千円減少し、7,634,995千円となりました。これは主に、のれんの減少758,952千円があったこと等によります。
当第3四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ274,717千円減少し、2,318,001千円となりました。これは主に、長期借入金の減少151,560千円があったこと等によります。
当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ763,335千円減少し、5,316,993千円となりました。これは主に、利益剰余金の減少921,926千円があったこと等によります。
b.経営成績
当第3四半期連結累計期間の売上高は3,631,974千円(前年同期比:93.2%増)、EBITDA(注)730,649千円(前年同期比:107.0%増)、営業利益402,736千円(前年同期比:105.6%増)、経常利益343,711千円(前年同期比:112.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純損失は921,926千円(前年同期は518,869千円の損失)となりました。
費用面に関して、当社にてオフィス体制の見直しを行う等、適切なコストコントロールを進めましたが、一方で、事業・サービス拡大に伴う人材採用強化による人件費等の増加や、取締役・執行役員に関する業績連動報酬の概算計上のほか、広告宣伝強化・追加のM&Aに関連した監査関連報酬の発生・為替の影響によるサーバ利用料の増加等により、売上原価・販売費及び一般管理費は増加しております。そのほか、営業外費用として株主優待関連費用18,974千円、特別損失としてのれんの一部の一括償却891,209千円が発生しております。なお特別損失ののれんの一部の一括償却は、バリオセキュア社株式の市場価格の下落に伴うのれんの一部の一括償却であり、バリオセキュアの個別決算で計上しているのれんの再評価を行ったものではありません。
また、当社グループの当第3四半期連結累計期間におけるセグメント別の損益状況については、第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)をご参照ください。
(注)EBITDA(営業利益+減価償却費+敷金償却+のれん償却額(特別損失分を除く)+株式報酬費用+棚卸資
産評価損)
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針について重要な変更はありません。
(3)重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが前連結会計年度の有価証券報告書に記載した会計上の見積りの内容及び当該会計上の見積りに用いた判断について、重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の金額は64,304千円であり、セグメント別の内訳はAI/DX事業が2,682千円、AI Security事業が61,621千円となっております。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)従業員数
① 連結会社の状況
当第3四半期連結累計期間において当社グループの従業員数は、前連結会計年度末より56人増加し、216名となっております。主な要因は株式会社エーアイスクエアが連結の範囲に加わったことによるもので、セグメント別従業員数は、AI/DX事業が105名、AI Security事業が73名、全社(共通)が38人となっております。
なお、従業員数は就業人員数(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当
社グループへの出向者を含む。)であります。
② 提出会社の状況
当第3四半期累計期間において、提出会社の従業員数に重要な変更はありません。
当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。