文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「TURN STRANGER TO STRONGER(ハグレモノをツワモノに)」 をミッションに掲げており、「ファッションブランドを纏うことで、未知の才能をもつ世界中のハグレモノが、そのズレを強さに反転させられるように」という願いをもとに、複数のブランドの創造を図ることでミッションの実現に取り組んでおります。
(2)目標とする経営指標、経営戦略等
企業価値を継続的に拡大することが重要であると考え、売上高、売上総利益及び営業利益を重要な経営指標としております。下記「(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」を解決することにより、これらの指標の向上を図ってまいります。
(3)経営環境
①市況
当社の経営に影響を与える大きな要因としては、市場動向、経済情勢等に加え、当社の取り扱う商品である衣料品及び雑貨等に関連するものとして、アパレルファッション市場の動向があります。
株式会社矢野経済研究所の調査(「2023 アパレル産業白書」)によれば、国内アパレル総小売市場は2017年から2019年ごろまでほぼ横ばいの推移を続けておりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大等による影響により2020年には大きくマイナス成長となりました。しかしながら、2020年から2021年にかけて回復の兆しを見せており、2022年は前年比で105.9%の市場規模となっております。また、新型コロナウイルスの感染拡大等による消費者の購買行動の変化も起きているものと考えており、ECにおけるアパレル産業は堅調に成長しております。具体的には、経済産業省の調査「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」 によれば、2022年の衣類・服装雑貨等のEC比率は21.56%、市場規模は2兆5,499億円となっております。2016年のEC化率は10.93%であることから、急速にシフトが進んでおります。また、2021年の市場規模は2兆4,279億円であり、2022年の市場規模の金額は前年対比で5.02%増加しております。
この点、当社の主な販売チャネルはオンラインストアであることから、今後のEC化率の拡大は当社にとって好機になるものと考えております。
②市場の規模
当社の事業はアパレルブランドの運営でありますが、取り扱うブランドの特徴として、ストリートファッションのブランドを中心とし、10〜20代を主なターゲット層としてブランドの展開を行っている点に特徴があります。今後は30代へ顧客層の拡大や、アパレル以外の商材による事業展開を目指してまいります。市場規模は以下のとおりとなります。
10〜20代を主なターゲット層としたブランドの展開:1兆5,154億円(参考:「2023 アパレル産業白書」矢野経済研究所、「人口推計」総務省統計局)
10~30代を主なターゲット層としたブランドの展開:2兆3,963億円(参考:「2023 アパレル産業白書」矢野経済研究所、「人口推計」総務省統計局)
アパレル以外の商材による10〜20代を主なターゲット層としたEC事業の展開:2兆6,324億円(参考:「電子商取引に関する市場調査報告書」経済産業省、「人口推計」総務省統計局)
(4)中長期的な会社の経営戦略
当社は、これまでストリートファッションを中心にインフルエンサーを活用したマーケティング手法を駆使して創り上げてきたD2C(注1)ブランド群をもって事業を推進してきましたが、一層の事業の拡大のため次世代のブランド群の創造を目指してまいります。
具体的には、①既存ブランドのさらなる成長およびZ世代向けブランドの新規創出、②Y世代(1981年から1996年に生まれた世代でいわゆる「ゆとり世代」ともいう)等のZ世代以外をターゲット層にしたブランドの新規創出、③商材の多様化の3点を考えております。
①既存ブランドのさらなる成長およびZ世代向けブランドの新規創出
大きく分けると社内でのヒットブランド数の拡充とM&Aによる社外からブランドの取得の2つがあります。社内でのヒットブランドの拡充とは、ブランド数のより一層の拡充と売上・利益拡大の両立を実現すべく、各種SNSにおける各ブランドの社内運用アカウントの拡充とそれによるファンの獲得(外部のインフルエンサーを活用したマーケティングの割合は2023年6月以降で減少しており、今後もその傾向が続く想定)、ブランド立ち上げにかかるノウハウ及び成功体験の組織内での共有による自律分散型のブランド運営をさらに強化するとともに、市場の潜在的な消費のトレンドを早期に発見し、商品開発へと反映させる活動を行うことで市場のニーズに合致した商品をリリースすることを目指してまいります。実際に当社の売上の中心であるYZ Storeでは、その多くがZ世代による注文であり、今後もZ世代向けのブランド、商品の開発を一層強化していきます。その他、店舗出店に伴ったOMO戦略(注2)も既存ブランドの成長戦略の一つとして考えており、自社ECサイトであるYZ Storeを訪れた待機ユーザーをスムーズに実店舗に誘導(Online to Offline)、EC注文商品の店舗受取やEC在庫の店舗取り寄せ等、ECサイトと店舗をシームレスに連携することを検討しております。これによりオンライン購入履歴から近隣店舗の案内やLINEを使用した顧客との一対一の接客の質の向上が実現可能と考えております。一方で、M&Aによるブランドの取得は、当社が得意とするSNSマーケティングの手法を他ブランドにも適用して成長軌道に乗せていくことを目標としています。実際に、2022年10月に吸収合併した株式会社A.Z.Rに属していたブランドは、合併後、フォロワー数を伸ばすとともに売上高や店舗数も順調に拡大しております。具体的に、フォロワー数は2023年11月15日時点で約34万人に達し、合併直前と比較して増加しております。店舗数は合併直前の2022年10月の2店舗から2023年9月末時点で8店舗(POPUP3店舗を含む)、従業員は同期間で19人から47人に増加しており、その成長が認められます。
②Y世代等のZ世代以外をターゲット層にしたブランドの新規創出
これまでZ世代を主なターゲット層としてきましたが、Y世代を主なターゲット層としたブランドも新たに立ち上げ、顧客層を拡大していくことを考えております。また、上記同様にM&Aにより他社のブランドを取得して、当社のノウハウを適用して成長させていくことも考えております。当社において、Y世代をターゲット層としたブランドとしては「PAMM」があり、SNSの活用などZ世代向けブランドの運営ノウハウを活かしながら、ブランド独自の世界観を築き、成長しております。
③商材の多様化
これまで当社が蓄積してきたブランド運営ノウハウおよびSNSマーケティングの手法をアパレル商品に限らず、他の商材にも応用することでよりZ世代における認知を拡大して、安定的な売上の確保、売上の季節偏重の逓減に貢献できるものと考えております。
(注1)D2C:Direct to Consumerの略。自ら企画、生産した商品を広告代理店や小売店を挟まず、消費者とダイレクトに取引する販売方法。
(注2)OMO戦略:Online Merges with Offlineの略。オンラインとオフラインをシームレスにつなげた状態で顧客への付加価値の高い購買体験の提供を目指す戦略。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①ブランドポートフォリオの多様化
当社は、主力ブランドの売上安定化を図るとともに継続的に新規ブランド及び商品を生み出し、特定のブランド及び商品への依存度合いを下げ、リスクの分散を図ることが重要であると考えております。ブランドポートフォリオのさらなる多様化のために、優秀な人材配置、販促活動の強化による顧客化推進、自社ECサイトのYZ Storeの強化等に取り組むとともに、ブランド運営においては、客観的な撤退基準を設け、基準を充足しない場合には撤退の意思決定を検討するなど、リスク管理を図った上で、ブランド運営を行っております。これらの取り組みにより、規律ある投資とブランドポートフォリオの多様化に取り組んで参ります。
②システム及び物流機能の強化
当社の主要事業は消費者への直販を中心としたアパレル商品の販売事業であることから、安定した事業運営を行うにあたっては、消費者の増加に対応可能な物流機能の強化が重要であると考えております。当社のビジネスモデルにおける物流機能には在庫の保管及び入出庫の管理が必要不可欠であり、物流機能と物流コストの最適化を追究することが、経営上、特に重要な要素となります。今後におきましては、引き続きシステムの強化による安定性及び効率化に取り組んでまいります。
③商品力の強化
当社は、ファッション感度の高い顧客ニーズへの対応を図るため、引き続きSNSを中心として、流行の状況のリサーチを徹底することにより、商品力の強化につなげるとともに、当社内の複数のブランド間での成功事例やノウハウの共有を図ることにより、ヒット商品、ブランドの再現性の向上に取り組んでまいります。
④インターネット販売の強化
当社は、アパレル事業の開始当初から、オンラインを中心とした販売を行ってきました。そのため、当社の自社ECサイト経由の売上は51.4%(第5期)と、実店舗等のオフラインを中心とした事業展開を行ってきた一般的なアパレル企業と比べ、高い水準にあります。コロナ禍での消費者の生活様式の変化に伴い、インターネット販売の需要が高まるとともに一層のサービスレベル向上が求められると認識しており、引き続き自社ECサイトの強化、システムの見直し、消費者の利便性を向上するサービスの実装、優秀な人材配置、販促活動の強化による顧客化推進等に取り組んでまいります。
⑤M&Aの検討
当社は、継続的に高い成長を実現するため、日々企業買収の検討を行っております。アパレル業界は消費低迷や消費者ニーズの多様化から、競争力の弱い一部の企業においては、販売不振に陥っている状況にあると考えております。今後の業界再編の中で、本業の不振などの課題に直面し、事業もしくは企業そのものの売却を検討する企業が現れるものと考えております。当社は、このような企業のうち、当社の強みを活かすことで事業もしくは企業の価値を高めることができる場合があると考えているため、M&Aを経営戦略のうちの重要な1つと位置付け、日々案件のソーシングを行うとともに、収益性及び当社とのシナジー効果を慎重かつ十分に検討した上で、実施してまいります。
⑥SNSを通じた認知拡大
当社は、Z世代が主な顧客層であり、SNSでの継続的な認知獲得が売上に寄与しております。自社サイトの訪問数の53.2%(2023年9月実績)が自社の配信するSNSコンテンツからの流入であり、自社SNSコンテンツの認知拡大が売上に大きな影響があります。当社はクリエイティブ職の継続的な強化と社員の発信力の強化を通じて若者へのさらなる認知向上に取り組んでまいります。
⑦実店舗販売の強化
当社は、継続的に高い成長を実現するため、2022年4月より実店舗の運営を行っており、2023年9月には13店舗(POPUP5店舗を含む)を展開しております。期間限定店舗を活用して需要の調査を慎重に行った後、SNSでの集客力を活かした小型店舗での展開が中心となっております。当社は、東名阪を中心に実店舗の拡大に取り組んでまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社は、「TURN STRANGER TO STRONGER(ハグレモノをツワモノに)」 をミッションに掲げ、「ファッションブランドを纏うことで、未知の才能をもつ世界中のハグレモノが、そのズレを強さに反転させられるように」という願いをもとに、複数のブランドを運営する企業として、ファッション文化を育むとともに、地球環境への影響に配慮した事業活動を行うことで、持続可能な社会の実現に貢献できると考えております。
(2)サステナビリティへの取組
①ガバナンス
当社は、持続可能性の観点から、持続可能な開発目標(SDGs)へのアプローチを行うことで、中長期的な企業価値の向上を目指しております。そのため、サステナビリティに関する課題への対応は重要な経営課題であると認識しており、当社としてはサステナビリティ推進体制を整備し、基本方針の策定を今後検討する予定です。
②リスク管理
当社では、サステナビリティに関する基本方針や重要課題の特定、さらには重要課題の監視・管理等のため、サステナビリティ関連のリスクが事業活動に与える影響について分析し、対応策について検討を行ってまいります。リスクについては今後、リスク管理・コンプライアンス委員会等で確認を行い、必要に応じて重要課題及び基本方針を見直すなど適切に対応してまいります。また、今後は内部監査においても、監査項目にサステナビリティに関する課題への対応状況を加え、サステナビリティ推進体制を強化してまいります。内部監査を通じて、リスク管理・コンプライアンス委員会の主要な議題となった場合には、サステナビリティを推進する各部門と連携し、リスクマネジメント体制において人的資本に対する各種施策の実施状況を管理する体制を構築する予定であります。
③サステナビリティに関連する戦略や指標及び目標
A) 人材育成方針
当社は、持続可能な事業の成長及び企業価値の向上を図るためには、多様性ある人材及び組織の育成が重要であると認識しており、従業員一人ひとりの自己実現のための機会を提供することで、人材及び組織の育成を通じた持続的な企業価値の向上を目指しております。
具体的には、取り組みとしては、定期的な1on1面談を通し、各従業員に対し期待される役割を明確にするとともに、従業員のキャリアに関する希望を把握し、配属の検討に反映しております。また、部門横断的な活動が自発的に行われること、組織の一体感の醸成を目的として、定期的に社内イベントを実施し、従業員間の対話が活発に行われるように努めております。
B) 社内環境整備
多様な人材を確保・活用するには、柔軟な働き方を実現することが重要と考えており、継続した働き方改革を推進しております。テレワークやフレックスタイム制を活用し、ワークスタイルの柔軟化を図ることで、従業員がワークライフ・バランスを整えながら能力を十分に発揮できる就業環境の整備に努めております。
C) 指標及び目標
当社では、多様性ある人材及び組織の育成が重要と考える中、女性、外国人、中途採用者等の区分で管理職の構成割合や人数、障害者の雇用率等の目標値は定めておりませんが、その具体的な目標設定や状況の開示については、今後の経営課題として検討してまいります。
以下には、当社が事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項について記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生する可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。また当社がコントロールできない外部要因や必ずしもリスク要因に該当しない事項についても記載しております。当社はこれらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、リスク回避あるいは発生時に迅速に対応する所存ですが、当社の経営状況、将来の事業についての判断及び当社株式に対する投資判断は、本項記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。
(1)消費者嗜好の変化について(顕在可能性:大 / 影響度:大 / 発生時期:中期的)
当社は、流行の影響を受けやすい、衣料・服飾品を中心に商品展開を行っております。特に、当社は、ストリートブランドを中心としており、ブランドの商品を支持するファッション感度の比較的高い顧客層を主体としております。新型コロナウイルス感染症拡大の影響による生活様式の変化や新規参入企業による競合の激化等により、当社が顧客の嗜好や生活様式の変化に対応しきれない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社としては、今後も、各ブランドのターゲット層を中心として、流行の状況のリサーチを継続することにより、商品力の強化につなげるとともに、オンライン販売のみならず、オフラインの実店舗を活用した新たな販売チャネルの展開等により、顧客の嗜好と生活様式の変化に応えるとともに顧客層の拡大により、これらのリスク低減を図ってまいります。
(2)商品の品質について(顕在可能性:中 / 影響度:大 / 発生時期:特定時期なし)
当社で取り扱う商品について、検品や商品管理の不備により、不適切な商品を販売してしまった場合、当社のブランドイメージが毀損する可能性があります。また、その範囲は当社に留まらず、仕入先ブランドや入居する商業施設等多方面にわたります。これにより、お客様をはじめ取引先への賠償や違約金の支払いが生じた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。この点、当社は、商品管理体制の強化として、生産委託先との契約において納入前検査条項、品質保証条項を含めることにより、これらのリスク低減を図ってまいります。
(3)競合環境について(顕在可能性:中 / 影響度:大 / 発生時期:中期的)
当社の事業が属するアパレル小売市場は、流行・嗜好が短期的に大きく変化する傾向が強く、また国内外の競合企業との厳しい競争状態にあり、商品企画等の失敗により顧客の選好にマッチした商品開発ができなかった場合、またブランド価値が陳腐化した場合には、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社では、店舗や自社ECサイト、自社SNSアカウント等を通じて顧客の嗜好に関する情報を収集し、機動的に商品展開に反映させることで、顧客のニーズに合った商品の提供に努めております。加えて、新ブランド開発スピードと精度を向上させることで、ブランド陳腐化のリスクを低減しながら、常に顧客ニーズを捉えたブランドを開発し、提供してまいります。また、当社の主なマーケティング活動はSNSを活用したマーケティングであり、SNS利用動向及びSNSマーケティング環境にかかる動向を注視し、流行・嗜好に合わせた施策の検討に取り組んでおりますが、SNS利用動向の変化やSNSにおけるマーケティング活動を対象とした法規制の変更等の外部環境の変動等が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)株式会社ZOZOとの関係について(顕在可能性:中 / 影響度:大 / 発生時期:中期的)
株式会社ZOZO(以下、同社)は、本書提出日現在、当社の議決権の51%を保有しているため、当社の親会社に該当いたします。当社における経営上の意思決定は、取締役を中心とする経営陣の判断のもと、独自に実行しております。なお、当社は同社との間で株主間契約を締結しており、当社に関する重要事項の事前承認及び事後通知事項が規定されておりますが、当社株式が上場する場合には、当該株式間契約は終了する旨、同契約において合意しております。上場に伴い株主間契約が終了した場合においては、契約上も同社の承認を必要とする取引や業務は無くなるため、引き続き独立した意思決定による独自の経営を行ってまいります。
同社は当社の株式上場に際して保有する株式の一部を売出し、同社の保有割合は30%未満となる予定であります。その結果、当社は同社の子会社から関連会社となる予定でありますが、引き続き同社は当社の筆頭株主であり、議決権比率の観点から、定款の変更、取締役および監査役の選解任、合併等の組織再編行為、重要な資産・事業の譲渡および剰余金の処分等、株主の承認が必要となる事項に関しては、同社による議決権行使が当社の意思決定に影響を及ぼす可能性があるため、同社の利益は当社の他の株主の利益と一致しない可能性があります。また、同社の経営方針の変更や経営状態の悪化等により、取引関係等に影響が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
① 親会社における当社の位置付け及び親会社からの独立性の確保について
当社は、親会社グループにおいて、EC事業に区分されておりますが、当社は自社ブランドの運営を中心とした事業であり、同社グループ内において、当社の主な事業内容と同事業を展開しているグループ企業はなく、グループ内における競合は生じておりません。当社は、取り扱うブランドのターゲット層やマーケティング手法の特徴から、親会社グループにおいて、若年層向けのマーケティングに強みを持つ企業として位置付けられております。なお、今後においても競合等が想定される事象はないものと当社は認識しております。しかしながら、将来において同社グループの事業戦略や当社の位置付け等に著しい変更が生じた場合には、当社の事業活動および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、親会社からの独立性の確保に向けて、上場取引所の定めに基づく独立役員として指定する独立社外取締役1名、独立社外監査役3名が就任しており、取締役会においてより多様な意見が反映される状況にあります。
② 当社との人的関係について
当社の役員(取締役4名、監査役3名)のうち、取締役1名は同社の取締役を兼任しております。豊富な経営知識から、当社事業に関する助言を得ることを目的として招聘したものであります。なお、同社からの出向者等の受け入れはなく、今後も原則として同社からの出向者の受け入れは行わない方針であります。
③ 当社との取引関係について
当社は同社との主な取引として、同社の運営するプラットフォームであるZOZOTOWNを利用してオンライン販売を行っております。これらの取引については、親会社からの独立性確保の観点も踏まえ、第三者取引と同様の一般的な取引条件で行っております。取引条件の適切性を確保するため、当社が定める関連当事者取引管理規程に基づき、取引開始前に取引の相手方が関連当事者等に該当しないかを主管部門であるコーポレート部門が確認します。その後、取引の合理性、妥当性、適法性等について、取締役会で議論の上、決議するものとしております。また、継続的に発生する取引は過去の取引実績から予め取引想定額等を定め、新規取引と同様に合理性、妥当性等の審議を行い、取締役会にて実施可否を決議しておりますが、取引の開始後においても定期的なモニタリングを実施のうえ、取引想定額の超過等が見込まれる場合、あらためて取締役会にて決議するものとしております。なお、当社と同社との取引金額は257,393千円(第5期)であります。当社の売上高のうち31.5%(第5期)は、同社プラットフォームであるZOZOTOWN経由でありますが、今後は自社ECサイトの強化等により、その比率は逓減していくものと考えております。
④ ソフトバンクグループとの取引関係について
当社の株式を保有する同社の親会社である、ソフトバンクグループ株式会社についても当社の親会社に該当し、ソフトバンクグループ株式会社の子会社であるソフトバンク株式会社とは法人モバイル端末の賃借の取引、LINE株式会社とはLINE公式アカウントの利用に係る取引を行っております。
これらの取引は一般的な取引条件で行われており、かつ、取引開始前に、取引の合理性、妥当性、適法性等を検討のうえ、取締役会で決議することとしております。
上記のほか、ソフトバンクグループ株式会社及びソフトバンク株式会社の資本下位会社(同社を除く)と当社との間に人的取引はなく、また、競合関係は無いものと認識しております。
(5)業績の季節偏重について(顕在可能性:大 / 影響度:中 / 発生時期:短期的)
当社はアパレル商品を中心に取り扱っており、季節ごとに商品単価及び顧客が購入するアイテム数が異なることから、相対的に商品単価が高く、顧客あたりの購入アイテム数が多い秋冬シーズンに売上高が偏重する傾向にあります。また、気候、気温の変化による影響を受けやすい傾向にあり、結果として当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)新型コロナウイルス感染症について
(顕在可能性:中 / 影響度:中 / 発生時期:特定時期なし)
新型コロナウイルス感染症の影響については、ワクチン接種率の増加による新規感染者数の減少及び感染予防策を講じた外出規制の緩和に伴い、緩やかな回復傾向にあるものの、再び変異株の流行による緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置による外出自粛や休業要請、商業施設の休館・営業時間の短縮、従業員の感染、お客様の生活様式の変化等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社としては感染拡大防止策を講じ、お客様、従業員の安全に配慮した実店舗の運営を行うとともに、自社ECサイトでの販売強化、在庫の適正化、販管費抑制等、アフターコロナを見据えた今後の成長と利益確保に向けて、販売チャネルの多様化に注力してまいります。
(7)役職員の不祥事について(顕在可能性:小 / 影響度:大 / 発生時期:特定時期なし)
当社は、法令遵守を重視した事業活動を行っておりますが、職務内外を問わず役職員による不祥事が発生した場合、レピュテーションが著しく低下する可能性があります。万が一、これらの対応に関連して多額の費用を支出し、また、事業活動に支障をきたす恐れがある場合には、当社の経営成績および社会的信用に悪影響を与える可能性があります。
(8)M&Aについて(顕在可能性:小 / 影響度:大 / 発生時期:特定時期なし)
当社では、今後の事業拡大及び収益力向上のため、M&Aは重要かつ有効な手段であると考えており、M&Aの検討に際しては、対象企業の財務状況等の調査、当社の事業への相乗効果等に関するリスク及び投資資金の回収可能性を十分に事前に検討することとしております。しかしながら、事業環境の著しい変化等により、対象企業もしくは事業の業績が当初の計画どおりに推移せず、投資資金の回収ができない場合やのれんの減損損失が発生した場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)自然災害・事故等について(顕在可能性:小 / 影響度:大 / 発生時期:特定時期なし)
当社の店舗等を含む事業拠点の周辺において地震・火災等の自然災害やテロ・デモ・騒擾行為等の人災が発生した場合、店舗等の運営活動において支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、同様に自然災害・事故等が発生した場合、自社ECにおける販売活動において支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。この点、当社では店舗等以外の販路として自社ECの強化を引き続き行い、データのバックアップ体制やネットワークセキュリティの強化などにより自社ECにおける販売活動に支障が生じるリスクの低減を図っております。しかしながら、基幹システム及びネットワークの障害等を完全に回避することは困難であり、万が一障害等が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)為替相場の変動について(顕在可能性:中 / 影響度:中 / 発生時期:特定時期なし)
当社は、商品の多くを国内の取引先から仕入れておりますが、当社の仕入先は海外の生産工場から輸入しているため、為替相場の変動が当社の仕入れ価格の変動につながり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。当該為替相場の変動リスクへの対応として、当社では、直接貿易への切り替え及び為替予約等の実行を検討しております。
(11)のれんの減損リスクについて(顕在可能性:中 / 影響度:中 / 発生時期:中期的)
当社は、企業買収に伴い発生した相当額ののれんを貸借対照表に計上しておりますが、事業環境の変化等により企業買収時に期待していた成果が得られない場合には、当該のれんについて減損損失を計上することになり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)SNSマーケティングに関するリスク(顕在可能性:中 / 影響度:中 / 発生時期:中期的)
当社はSNSを活用したマーケティングを主な手法としており、マーケティングを目的として、ブランド公式アカウント、社内運用個人アカウント、および外部のインフルエンサーアカウント等によるSNS投稿を実施しておりますが、それらの投稿が広告関連法令等に違反する場合や、ステルスマーケティング(注)と見做された場合には、当社及び当社ブランドイメージが毀損され、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクへの対応策として、当社は、ブランド公式アカウント、社内運用個人アカウントによる投稿にあたっての遵守事項として「ソーシャルメディア利用ガイドライン」を策定しております。また、インフルエンサー等にギフティングを行う際には、SNS投稿を行う場合の注意事項を明示し、必要に応じて投稿内容の確認を行う等の対応を行なっております。
(注)消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること。
(13)出店計画について(顕在可能性:中/影響度:中/発生時期:中期的)
当社は、成長戦略の一つとしてオフライン店舗の出店の拡大を考えております。現時点においては、出店計画に基づき店舗数は順調に増加し、かつ、出店した店舗の集客力は高い状況ですが、今後、出店したエリアを取り巻く環境の変化等により、集客力が変動した場合、又は出店が想定通りに進まない場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)業務委託先との取引関係について(顕在可能性:中 / 影響度:小 / 発生時期:中期的)
当社は、個人又は法人との間で業務委託契約を締結し、商品デザインの開発等の業務の一部を委託しております。当社これらの委託先と良好な関係を構築しておりますが、何らかの理由により維持継続できなくなった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)システムについて(顕在可能性:小 / 影響度:中 / 発生時期:特定時期なし)
当社は事業運営において、POSシステム、インターネット販売システム、物流管理システム等各種システムを使用しております。これらが万一機能不全に陥った場合、事業活動に支障をきたし、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社としては、これらのリスク低減を図るべく、各種システム及び取引先の選定や冗長化に取り組むことによって、これらのリスク低減を図ってまいります。
(16)知的財産権について(顕在可能性:小 / 影響度:中 / 発生時期:特定時期なし)
当社では国内外で商標権など知的財産権を所有しており、法令の定めに則って権利の保全に努めていますが、第三者による当社の権利の侵害により、企業・ブランドイメージの低下、商品開発の阻害を招いた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。万一第三者から損害賠償及び使用差し止め請求等が為され、金銭の支払いが発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応として、当社は、他社の知的財産の侵害の可能性についてコーポレート部門で検討し、知的財産の侵害が懸念される場合は、必要に応じて弁理士を通じて調査する等の措置を講じる予定です。また、他社の知的財産の侵害が係争事件等に発展した場合に当社が被ると予想される損失等につきリスク管理・コンプライアンス委員会等にて注意を促し、その防止に努めております。
(17)情報管理について(顕在可能性:小 / 影響度:中 / 発生時期:特定時期なし)
当社は事業活動上、個人情報を保有しております。個人情報漏洩防止の対策は万全を期しておりますが、万が一情報漏洩が起こった場合は、賠償責任の発生や信用失墜により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応として、当社は、情報セキュリティに関連する規程を整備しており、外部からのアクセスについて、システム的な対策を講じております。また、個人情報保護に関する基本方針を定め、適正な入手と入手情報の管理体制を構築しております。個人情報保護法の改正動向やユーザーの個人情報に関する意識などを見極めながら、社内体制の整備を行ってまいります。
(18)内部管理体制の強化について(顕在可能性:小 / 影響度:中 / 発生時期:特定時期なし)
当社は、企業価値の継続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底してまいりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社としては、規模の拡大に伴った適切な組織体制の構築と人員の配置により、当該リスクの低減を図ってまいります。
(19)特定の企業が運営するオンラインモール(ZOZOTOWN)での売上依存度について
(顕在可能性:小 / 影響度:小 / 発生時期:特定時期なし)
当社の2023年3月期の売上高のうち31.5%が、特定の企業が運営するオンラインモール(ZOZOTOWN)に出店した店舗の売上であります。現時点において、該当するオンラインモール(ZOZOTOWN)の集客力は高い状況ですが、今後、出店先を取り巻く環境の変化等により、集客力が変動した場合は、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の出店先の経営方針の変更により、当社が営業活動の方針変更を余儀なくされ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社としては該当するオンラインモール(ZOZOTOWN)の売上を維持しつつ、自社ECを強化することによって過度な依存状態を解消し、リスク低減を図ってまいります。
(20)配当政策について(顕在可能性:小 / 影響度:小 / 発生時期:特定時期なし)
当社は会社設立以来、配当を実施しておらず、今後の配当の具体的な実施の有無等についても未定でありますが、将来にわたって経営環境、財政状態や内部留保の状況を勘案し、株主に対する利益還元を検討していくこととしております。しかしながら、将来的に安定的な利益を計上できない場合には、配当による利益還元が困難となる可能性があります。なお、その時期は想定されるものではなく当該リスクが短期的に顕在化する可能性は低いと想定しております。
(21)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
(顕在可能性:小 / 影響度:小 / 発生時期:特定時期なし)
当社は、当社の役員、従業員に対して新株予約権を付与しており、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は138,600株であり、発行済株式総数1,480,700株の9.36%に相当しております。今後もストック・オプションとしての新株予約権を付与する可能性があります。今後、既存の新株予約権や将来付与する新株予約権が行使された場合には、当社株式の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
(22)調達資金の使途について(顕在可能性:小 / 影響度:小 / 発生時期:中期的)
株式上場時における公募増資による調達資金の使途については、2025年3月期までに、金融機関からの借入金の返済に充当する予定です。市場環境の変化が激しく、計画の変更を迫られ調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があり、その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。
(23)商品の生産先の偏重について(顕在可能性:中/影響度:中/発生時期:中期的)
当社の商品の多くを中国の工場にて生産しております。そのため中国国内において、政治・地政学リスクの顕在化及び感染症等に係る政策等によりサプライチェーンが不安定になった場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(24)特定の人物に対する依存について(顕在可能性:小/影響度:大/発生時期:中期的)
当社の代表取締役社長である片石貴展は、当社の経営方針の決定、事業戦略の立案を中心に事業運営の中心的な役割を担っております。当社では今後の事業拡大に備え、外部人材の登用、社内人材の育成など代表取締役を含め特定の役職員へ過度に依存しない体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により代表取締役が職務遂行をできなくなった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、片石貴展から当社金融機関借入に対する債務保証および不動産賃貸借契約に対する債務保証を受けており、その詳細は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 関連当事者情報」に記載のとおりでありますが、当社は金融機関および賃貸借契約に係る貸主との継続交渉により当該債務保証を解消していく方針であります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
第5期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は891,170千円となり、前事業年度末に比べ67,856千円増加いたしました。これは主に、M&Aの実行等により現金及び預金が265,806千円減少した一方で、商品が221,737千円増加、売掛金が35,999千円増加したことによるものであります。固定資産は450,434千円となり、前事業年度末に比べ430,266千円増加いたしました。これは主に、M&Aの実行に伴うのれんの発生により無形固定資産が322,724千円増加したこと及び実店舗の新規出店にかかる設備等の取得により有形固定資産が43,416千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、1,341,605千円となり、前事業年度末に比べ498,123千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は915,278千円となり、前事業年度末に比べ459,846千円増加いたしました。これは主に、運転資金の増加により短期借入金が200,000千円増加、M&Aの実行に伴う分割債務の発生等により未払金が218,320千円増加したことによるものであります。固定負債は195,802千円となり、前事業年度末に比べ106,727千円増加いたしました。これは長期借入金の増加によるものであります。
この結果、負債合計は、1,111,080千円となり、前事業年度に比べ566,573千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は230,524千円となり、前事業年度末に比べ68,449千円減少いたしました。これは当期純損失の計上により利益剰余金が68,449千円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は17.2%(前事業年度末は35.4%)となりました。
第6期第2四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
(資産)
当第2四半期会計期間末における流動資産は1,304,004千円となり、前事業年度末に比べ412,833千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が204,489千円増加したこと及び商品が160,868千円増加したことによるものであります。固定資産は432,181千円となり、前事業年度末に比べ18,252千円減少いたしました。これは主にのれんが35,217千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は1,736,185千円となり、前事業年度末に比べ394,580千円増加いたしました。
(負債)
当第2四半期会計期間末における流動負債は1,156,827千円となり、前事業年度末に比べ241,548千円増加いたしました。これは主に買掛金が200,041千円増加したこと、短期借入金が100,000千円増加したこと、未払金が170,526千円減少したことによるものであります。固定負債は290,987千円となり、前事業年度末に比べ95,185千円増加いたしました。これは長期借入金の増加によるものであります。
この結果、負債合計は1,447,814千円となり、前事業年度末に比べ336,733千円増加いたしました。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産合計は288,371千円となり、前事業年度末に比べ57,846千円増加いたしました。これは主に四半期純利益53,219千円によるものであります。
この結果、自己資本比率は16.3%(前事業年度末は17.2%)となりました。
②経営成績の状況
第5期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当事業年度における我が国の経済は、2022年3月からまん延防止等重点措置が全面解除され、6月からの海外往来の水際処置の緩和などにより、旅行や外食といった接触型サービスを中心に個人消費の回復が見られました。一方、ウクライナ情勢の長期化等による原料価格の高騰や供給面での制約により世界的に物価上昇が継続し、また、内外の金融政策の違いによる金利差を主要因に大幅な円安が進行するなど、国内経済は依然として先行き不透明な状況が続いています。
このような環境のなかで、当社は、事業譲受及び吸収合併や内製での新規ブランドの展開によるブランドポートフォリオの拡充や複数の自社ブランドを扱う統合のEC サイト「YZ Store」をローンチするなど積極的な投資を実行してきました。その結果、事業譲受及び吸収合併や内製での新規ブランドの展開によるブランドポートフォリオの拡充により、売上高は2,470,266千円(前事業年度比51.4%増)となったものの、サプライチェーンの管理体制の強化や人員体制の強化等の投資や海外生産の比重の大きさに伴う円安による原価率の上昇などにより、営業損失は47,625千円(前事業年度は営業利益226,397千円)、経常損失は54,399千円(前事業年度は経常利益224,787千円)となりました。また、事業譲受により取得したF-LAGSTUF-Fブランドにおいて当初想定していた収益が見込めなくなったことから、事業譲受時に発生したのれんについて、全額を減損損失として計上した結果、当期純損失は68,449千円(前事業年度は当期純利益149,640千円)となりました。
なお、当社の事業は、アパレル事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載しておりません。
第6期第2四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
当第2四半期累計期間におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限や海外からの入国制限が緩和されたことにより人流が増加し、経済・社会活動の正常化が進んだことで、個人消費には緩やかな回復が見られました。一方、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、資源・エネルギー価格の高騰、国際的なインフレなど経済の先行きは不透明な状況が続いております。
当社の属する衣料品販売業界においても、資源価格の上昇や為替変動による物価上昇などにより、依然として先行き不透明な状況が続いているものの、ファッションに関連する消費意欲は緩やかな回復傾向が見受けられております。このような環境の中、当社は、今後の売上成長と利益確保に向け、オンライン事業を主とした販売強化に加え、実店舗の展開を拡大しております。
この結果、当第2四半期累計期間の業績は、売上高1,751,912千円、営業利益113,834千円、経常利益106,874千円、四半期純利益53,219千円となりました。
なお、当社はアパレル事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③キャッシュ・フローの状況
第5期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純損失、棚卸資産の増加、合併による支出及び有形固定資産の取得による支出等の要因により、前事業年度末に比べ265,806千円減少し、244,688千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は291,610千円(前年同期は110,734千円の資金増加)となりました。これは主に、税引前当期純損失81,917千円の計上、棚卸資産の増加額109,720千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は227,913千円(前年同期は2,254千円の資金減少)となりました。これは主に、合併による支出167,582千円、有形固定資産の取得による支出29,102千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は253,718千円(前年同期は286,434千円の資金増加)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出146,282千円があった一方で、短期借入金の増加による収入200,000千円、長期借入れによる収入200,000千円があったことによるものであります。
第6期第2四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前会計年度末に比べ204,489千円増加し、449,177千円となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は211,443千円となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上106,874千円、仕入債務の増加額200,041千円、棚卸資産の増加額167,659千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は239,273千円となりました。これは主に、有形資産の取得による支出23,771千円、敷金の差入による支出20,242千円、合併による支出200,000千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は232,319千円となりました。これは主に、短期借入れによる収入180,000千円、長期借入れによる収入168,864千円等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.仕入実績
当社は、アパレル事業の単一セグメントであります。
c.販売実績
当社は、アパレル事業の単一セグメントであります。
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、財務諸表作成時に入手可能な情報及び合理的な基準に基づき判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次の通りであります。
(商品評価損)
当社は、商品について正味売却価額が取得原価を下回る場合、棚卸資産の簿価切下げに伴う評価損を計上しております。将来、正味売却価額について、市場動向の変化により見直しが必要となった場合、棚卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(のれんの減損)
当社は、のれんについて5年間の均等償却を行っております。のれんを含むより大きな単位において事業計画どおりに業績が進捗せず、営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスとなっている場合や、経営環境が著しく悪化しているような場合には、減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたり慎重に検討することとしておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
当社の財務諸表で採用する当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第5期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当事業年度の売上高は2,470,266千円(前期比51.4%増)となりました。売上高の主な増加要因は、事業譲受及び吸収合併や内製での新規ブランドの展開によるブランドポートフォリオの拡充や複数の自社ブランドを扱う統合のEC サイト「YZ Store」をローンチするなど積極的な投資の成果であります。
売上原価は主に、商品の仕入であり、売上原価は1,120,556千円(前期比76.8%増)となりました。その結果、売上総利益は1,349,709千円(前期比35.2%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は1,397,335千円(前期比81.1%増)となりました。サプライチェーンの管理体制の強化や人員体制の強化等の投資や海外生産の比重の大きさに伴う円安による原価率の上昇などにより、営業損失は47,625千円(前事業年度は営業利益226,397千円)となりました。
第6期第2四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当事業年度の売上高は1,751,912千円となりました。売上高の主な増加要因は、オンライン販売を主とした販売強化に加え、実店舗の展開を拡大したことによるものであります。
売上原価は主に、商品の仕入であり、売上原価は693,336千円となりました。その結果、売上総利益は1,058,575千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は944,741千円となりました。売上増加に伴う収益性の改善により、営業利益は113,834千円となりました。
③資本の財源及び資金の流動性の分析
当社の運転資金需要のうちの主なものは、商品の仕入れ、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、金融機関に信用枠を設けており、第5期事業年度末(2023年3月31日)の信用枠の合計は400,000千円でありますが、第5期事業年度末時点では、信用枠の全てを利用しております。今後も、短期運転資金の水準を踏まえながら、金融機関からの信用枠の確保を進めてまいります。
なお、第5期事業年度末(2023年3月31日)における借入金の残高は659,078千円となっております。また、第5期事業年度末(2023年3月31日)における現金及び現金同等物の残高は244,688千円となっております。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に影響を与えるおそれがあることを認識しております。
これらリスク要因の発生を回避するためにも、提供するブランド及び商品力の強化、人員増強、財務基盤の安定化等、継続的な経営基盤の強化が必要であるものと認識し、実行に努めております。
⑤経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
該当事項はありません。
該当事項はありません。