独立監査人の監査報告書

 

 

 

2023年3月30日

株式会社ファンペップ

 

 

取締役会 御中

 

 

 

EY新日本有限責任監査法人

 

 

東京事務所

 

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

飯塚 正貴

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

北池 晃一郎

 

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ファンペップの2022年1月1日から2022年12月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社ファンペップ及び連結子会社の2022年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

 

 

アンチエイジングペプタイド株式会社の子会社化に関連した取得原価の配分における無形資産の時価の算定及び耐用年数の決定

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

注記事項(重要な会計上の見積り)及び(企業結合等関係)に記載されているとおり、会社は、2022年10月1日を効力発生日としてアンチエイジングペプタイド株式会社(以下、「AAP社」という)を完全子会社とする株式交換を実施している。

会社は取得原価の配分(以下、「PPA」という。)にあたり、外部の専門家を利用して識別可能資産及び負債の時価の算定を行い、取得原価と取得原価の配分額との差額をのれんとしている。その結果、当連結会計年度末において、契約関連無形資産371,711千円及びのれん125,343千円(合わせて総資産の16.6%)が計上されている。

会社は、契約関連無形資産の時価をロイヤリティ免除法の評価モデルを用いて算定しており、算定における重要な仮定は売上予測、ロイヤリティ料率及び割引率である。また、契約関連無形資産については効果の及ぶ期間として13年を耐用年数としている。

当該企業結合取引により認識する無形資産は金額的重要性が高く、算定される時価及び適用される耐用年数により、当連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性がある。また、PPAは複数の仮定を用いて実施するためそれらの変動に伴う不確実性が高く、高度な専門性が求められる複雑な領域であり、経営者の判断に依拠する程度も高い。

したがって、当監査法人はPPAで算定された無形資産の時価の算定及びその耐用年数の妥当性を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

当監査法人は、PPAで算定された無形資産の時価及びその耐用年数の妥当性を検討するため、主として以下の監査手続を実施した。

(1)事業計画の合理性の検討

・ 取引の目的及び取引の経済合理性を理解するために、経営者にAAP社の株式取得の目的と経緯について質問するとともに、取締役会議事録を閲覧した。

・ 使用された将来キャッシュ・フローの基礎となる将来の事業計画と取締役会によって承認された事業計画との整合性を検討した。

・ 事業計画における売上予測及びロイヤルティ率について利用可能な外部データとの比較分析や過去のライセンス契約における実績との比較等を行った。

・ 耐用年数の検討を行うため、AAP社が保有する契約の契約期間との比較を行った。

(2)経営者が利用した外部専門家の業務の利用

・ 会社が利用した識別可能資産及び負債の識別、測定に関する外部専門家の適性、能力及び客観性に関して評価した。

・ 会社が採用した評価手法等が、一般的な評価実務に合致しているか検証するため、当監査法人のネットワーク・ファームの評価専門家を関与させ、会社が取得原価の配分に当たって実施した識別可能資産及び負債の評価手法及び将来キャッシュ・フローの見積りに用いられた重要な仮定及び割引率について検討した。

 

 

 

研究開発費の計上時期及び計上額の妥当性

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

会社は機能性ペプチドや抗体誘導ペプチドを用いた医薬品の研究開発を行う創薬バイオベンチャーであり、会社にとって最も重要な活動は、機能性ペプチドや抗体誘導ペプチドを用いた医薬品の早期実用化のために実施する研究開発活動である。研究開発活動に要する費用は財務諸表において研究開発費として912,355千円計上されており、【注記事項】(連結損益計算書関係)に記載のとおり、その主要な費目である委託研究開発費は 719,496千円と78.9%を占めている。

会社は、自社での研究開発活動に加え、前臨床試験や臨床試験に係る多くの研究開発活動を研究開発受託会社等に委託している。

これらの業務委託契約は、契約金額が大きく、かつ、単一の契約に支払条件や費用の発生パターンの異なる活動が数多く含まれる。研究開発費の会計処理にあたっては、個々の業務委託契約に応じて研究開発費の計上時期及び計上額が決定され、研究開発の進捗が一つの評価指標でもあることから、研究開発費が早期に計上されるリスクが存在する。

以上より、当監査法人は、研究開発費の計上時期及び計上額の妥当性が当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

当監査法人は、研究開発費が適切に計上されていることを検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。

・ 委託研究開発費を含む、研究開発費の計上に係る内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価するため、関連文書の閲覧、関係する担当者への質問及び内部統制の実施記録の検証を、サンプルを抽出して実施した。

・ 研究開発活動の進捗状況を理解するため、経営者への質問を実施するとともに、取締役会議事録及び研究開発の進捗状況に関する関連資料を閲覧した。

・ 研究開発受託会社等との契約内容や契約条件を把握するため、関連する契約書を閲覧した。

・ 計上時期及び計上額の妥当性を検討するため、金額的に重要な研究開発費及びサンプリングにより抽出した研究開発費の計上取引について、請求書や納品書、業務完了報告書といった関連資料との照合を実施した。

・ 主要な研究開発受託会社等から確認状を入手し、会社が認識している未払金と研究開発受託会社等の未収金等との整合性を確認した。

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

 

(注)1.上記は監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

E32989-000 2024-03-04