当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
企業は社会的な存在であります。当社は社会に受け入れられる高品質の製品と最高のサービスを提供し、顧客の満足を得ることに全力を尽くしてまいります。同時に事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。また、地域社会の一員として教育文化等地域社会の発展に役立つ活動を積極的に支援してまいります。これらを実現するために、先進の研究開発と新分野の確立に挑戦する研究開発型企業を目指し、自主的な成長発展を図ってまいります。
また、適正な利益を確保し、会社の成長発展の原資とするとともに、株主、社員そして社会へ還元したいと考えております。
(2)目標とする経営指標
当連結会計年度は「売上高営業利益率20%」、「海外売上高比率70%以上」、「自己資本当期純利益率(ROE)10%以上」を目標として設定し、新製品投入による新市場の開拓及び海外市場の開拓を通じ売上高を拡大し、経営効率を上げることにより、これらの目標の達成を目指してまいりました。また、自己資本当期純利益率(ROE)の構成要素のうち、売上高当期純利益率と総資産回転率の改善に向けた取り組みを各部門の事業計画と連動させることで、自己資本当期純利益率(ROE)の継続的な改善を進めてまいりました。「売上高営業利益率20%」の目標に対して当連結会計年度の実績は20.3%となり、目標を達成いたしました。「自己資本当期純利益率(ROE)10%以上」の目標に対して当連結会計年度の実績は18.1%となり、目標を達成いたしました。また、「海外売上高比率70%以上」の目標について、当連結会計年度の実績は63.3%と未達となりましたが、海外売上高は前連結会計年度に比べ28億15百万円伸長いたしました。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は創業以来、「HIOKIの理念」である「人間性の尊重」と「社会への貢献」をベースに産業のマザーツールと呼ばれる電気計測器の開発、生産、販売・サービスを事業としてまいりました。
現在、持続可能な社会の実現に向け「脱炭素化」が叫ばれ、世界規模で「化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギー源転換」という大きな変革が起きています。
このような社会の変化に対し、当社は2030年までの長期経営方針「ビジョン2030」を策定し、取り組みを進めてまいりました。このビジョンに基づき、これまで培ってきた電気計測のノウハウと海外販売会社を中心にグローバル展開している顧客密着型の課題解決スタイルによって、あらゆる産業の脱炭素化及び電動化シフトを後押ししてまいります。
電気を安全に供給し、エネルギーを有効に活用するために、「測る」という計測ソリューションから、新たな検査や試験の基準を創出し提供することで、顧客と共に持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。
各分野における取り組みは以下のとおりです。
研究開発面におきましては、顧客に密着し顧客の要望をいち早くつかみ、他社にないオンリーワンの製品を提供することを目指してまいります。また、将来の需要を見越して研究開発を進め、新しい価値を顧客に提案することにより新分野の確立を目指してまいります。
販売面におきましては、グローバル化の方針のもと、中国、韓国、台湾、東南アジア、インドを中心にアジア地域を最重要ターゲット市場として開拓するとともに、米国市場及び欧州市場の開拓も積極的に進め輸出を強化してまいります。
生産面におきましては、品質の向上及びコストダウンを進め、国際市場において活躍できる製品づくりを目指してまいります。また、競合他社に対する優位性の一つとして、短納期化を進めてまいります。
また、当社はコーポレート・ガバナンスを経営戦略の重要な柱の一つと考えており、コーポレート・ガバナンスを企業価値向上のための経営体制の確立と認識しております。コンプライアンスを最重要視し、経営の効率化に取り組み、適正な利益を確保すると同時に、経営情報の積極的な開示により経営の透明性を高め、株主(投資家)、顧客、社員等全てのステークホルダーに対して、その社会的な責任を果たしてまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
世界経済は、半導体等の部品需給逼迫、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発するエネルギー価格の高騰、各国の金融政策変更に伴う景気の減速見通しや不安定な為替相場など、今後も先行き不透明な状況が続くと見込んでおります。一方で、脱炭素化及びデジタル化の世界的な流れは引き続き継続することが予測されます。特に世界中でEVシフトの進展が見込まれており、その動きは充電インフラ関連市場にも広がっております。世界では実体経済や社会情勢に関わらずEVが大きく普及する前提で、EV電池の高付加価値化と価値循環、電池産業のカーボンニュートラル化や材料の完全リサイクルなどバッテリーサーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みが活発になっております。
EVの普及に合わせて、世界中で急速充電に関する開発と急速充電器などのインフラ設備の充実が急務となっております。この実現には高電圧・大電流・高周波・低力率に関する課題を克服する必要があります。また、カーボンニュートラル社会の到来が推進されることで、電源の開発、機器の省力化、航空機の電動化等の開発が加速すると想定されております。この流れを受け、電源の高性能化(高効率化・小型化・軽量化)が求められることになります。
ウクライナ危機によるエネルギー問題を受け、主要国では再生可能エネルギーへの注目が高まっております。日本では2023年6月に水素基本戦略が6年ぶりに改訂され、各国でも投資が進められております。また、太陽光発電が再生可能エネルギーとして注目されており、エネルギー源としての比重が今後高まるものと期待されております。さらに水素及び太陽光発電が新たなエネルギー源として普及することは、エネルギーを保存するための蓄電池市場の成長要因になると見込まれます。
当社グループは、このような市場変化を非常に大きなビジネスチャンスと捉えております。市場変化を踏まえ、新たな顧客価値を創造し、独自のセンシング技術をより高めるとともに、培ってまいりました計測技術を組み合わせ、高付加価値製品及び電気計測ソリューションを提供してまいります。
また、海外販売子会社を中心にHIOKIブランドの浸透を図り売上高を伸長させるとともに、世界中のお客様に安心して当社製品をお使いいただくためのグローバルアフターサービス体制の構築に引き続き取り組んでまいります。さらに、目標とする経営指標の一つである「海外売上高比率70%以上」の達成を目指し、特定の地域に依存しない均衡の取れた売上高構成を目指してまいります。
重点市場を含む顧客への供給責任を果たすことを最優先に部品を調達したことに加え、多くの部品の価格が高騰したことから、原材料を中心に棚卸資産の残高が高い水準で推移しております。この現状を踏まえ、当社は棚卸資産の残高を適正な水準とするための取り組みを全社一丸となって進めてまいります。
また、さらなる生産能力増強のため、売買契約を締結いたしました土地建物について、2024年7月中旬の稼働に向けて環境整備工事を進めており、既存の本社工場及び坂城工場を含め一層効率の良い生産体制を構築してまいります。さらに、サステナビリティ基本方針に基づき、当社グループ一体となってサステナビリティ活動を推進すると同時に、デジタルトランスフォーメーションに向けた取り組みも進めてまいります。
現在、多くの部品の価格高騰により、売上原価が押し上げられております。次期において国内及び海外の製品価格の見直しを行い、収益性の改善を図ってまいります。
当社グループは、目標とする経営指標として「自己資本当期純利益率(ROE)10%以上」を定めております。引き続き、保有する資本を有効に経営に投下し、売上高当期純利益率と総資産回転率を一層高め、7%前後と推計する株主資本コストを上回るROEを実現してまいります。また、「売上高営業利益率20%」につきましても、引き続き目標の達成を実現してまいります。
こうした取り組みのもと、2030年までの長期経営方針「ビジョン2030」の施策を通じ社会に貢献すると同時に、継続的に成長発展できる体制を構築してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りです。
なお、文中の将来に関する情報は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
また、当社は気候変動、人的資本及び多様性を当社グループにおける重要なサステナビリティ項目と認識しております。
(1)サステナビリティ、気候変動、人的資本及び多様性に関するガバナンス
① 取締役会による監視体制
当社及び子会社は、サステナビリティ、気候変動、人的資本及び多様性等(以下、サステナビリティ等と記載)様々なリスクに対するリスクアセスメントと未然防止手続き、及び発生した場合の対処方法等を定めた「リスク管理規程」と「危機対応規程」を制定しております。当社の代表取締役社長は、リスク管理・危機対応責任者として当社及び子会社のリスク管理・危機対応を総括しております。当社の各部門及び子会社は、当該規程に従って業務を遂行し、企業集団全体のリスクの回避と損失の軽減に努めております。
当社の各部門及び子会社は、年に一度リスクアセスメントを実施し、必要に応じて適切な措置を講じることとしております。リスクアセスメント結果は当社の経営会議で毎年度評価し、リスク管理者である総務部長がその内容を取締役会に報告することにしております。重要な事案は、取締役会で改善策を審議し決定することにしております。
また、サステナビリティ等の問題が当社の事業及び業績に与える影響について、社長以下の経営陣幹部は少なくとも年に1回、また必要に応じて適宜取締役会に報告し、取締役会による監督を受けております。また外部環境が当社の経営に大きな影響を与えていることを考慮しながら、当社取締役会は経営戦略、中期経営計画、事業計画、リスク管理等の重要な意思決定を行っております。
当社は取締役会(議長:代表取締役社長)での議論を経て、サステナビリティ基本方針とHIOKIサステナビリティ宣言を定め、自社における脱炭素化に向けた取り組みを進めております。脱炭素化に向けた取り組みの進捗については、サステナビリティ推進担当の役員及び部署が適宜報告し、取締役会の監督を受けております。
② 経営者の役割
当社はサステナビリティ推進を重要な経営課題と考えております。2022年1月には取締役常務執行役員最高技術責任者(CTO)兼最高情報責任者(CIO)をサステナビリティ推進担当の責任者とし、当社グループのサステナビリティに関する取り組みを推進しております。また、経営企画室をサステナビリティ推進担当の部署とし、管理職級の社員を含め複数の専任者を配置しております。また、人的資本及び多様性に関しては執行役員人事部長を責任者とし、人事部を人的資本及び多様性担当の部署としております。当該責任者及び部署は、経営会議を通じて必要な施策を立案しております。また適宜取締役会に報告し、必要な監督を受けております。また、サステナビリティ等に関する課題を重要なリスクと認識しており、当該責任者及び当該部署を中心にリスク管理と危機対応を行っております。
(2)気候変動に関する戦略について
組織が識別した気候変動の機会
現在、脱炭素化に向けた世界的な流れが加速しており、各国政府による公共投資及び企業による設備投資の拡大が引き続き期待されております。特に自動車の電動化は今後さらに加速し、バッテリー等の関連市場の規模が拡大することが見込まれています。こうした世界各国の取り組みを受け、当社電気計測器の需要は高い状態で推移しており、当社にとって重要な機会と認識しております。
当社が重要市場と位置づけるバッテリー市場に向けた取り組みとしては、モビリティ産業やリチウムイオン電池のサプライチェーンにおけるブロックチェーン技術の推進と標準規格策定を行うMobility Open Blockchain Initiative(米国カリフォルニア州、MOBI)へ加盟いたしました。MOBIの推進するバッテリーバリューチェーンの構築を計測技術によって支え、加盟企業と協力しながら、世界の脱炭素化に貢献していくことを目的にしております。さらに、当社はインドネシアのバリ島で開催されたASEAN電池・電気自動車技術会議の開催を支援いたしました。市場の真の要求を理解し、業界の第一線で活躍する方々とのコミュニケーション及び連携を深めることを目的にしております。当社は株式会社日本総合研究所等の5社と協定を締結しております。この協定に基づき、電気自動車(EV)電池の残存価値の診断とブロックチェーンによる継続的な情報管理を行うサービスの中国国内での事業化を目指した取り組みを進めており、当社は診断技術とバッテリー関連の計測器を提供しております。
さらに当社社員が次世代モビリティを通じて最新の技術に触れることを目的に、株式会社マクニカとともに自動運転EVバスの実証実験を行いました。
また、昨今CO2を排出しないクリーンなエネルギー源の一つとして水素エネルギーが注目されております。当社は水素エネルギー分野に向けた先行開発とソリューション提供強化のため、「水素エナジーソリューション」チームを発足しました。さらに水素分野におけるグローバルな連携や水素サプライチェーンの形成を推進する「一般社団法人水素バリューチェーン推進協議会」に加入いたしました。こうした取り組み強化の結果、当社は水電解装置や膜電極接合体のインピーダンス計測をするシステム「ALDAS-E」を、「国立研究開発法人産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所」向けに受注いたしました。
当社の長期経営方針「ビジョン2030」では「世界のお客様と共に持続可能な社会を実現する」ことをミッションとしております。当社は取締役会の監督を受け、研究開発資源を、代替・再生可能エネルギーへの転換、電気エネルギーの有効利用、及びデジタルトランスフォーメーションに集中し新たな電計計測ソリューションを展開しております。
気候関連のリスクにつきましては、サステナビリティ推進担当の責任者及び部署により、その内容と財務的影響の特定に取り組んでまいりました。現時点で当社が把握する、気候関連のリスク及び機会がもたらすビジネス・戦略・財務に及ぼす影響は次のとおりであります。
気候関連のリスク及び機会がもたらすビジネス・戦略・財務に及ぼす影響
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リスク/機会の分類 |
時間軸 |
説明 |
対応策 |
リスク/ 機会の 影響度 |
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移行 リスク |
政策・ 法規制 |
国内:中期 ~長期 ~中期 |
各国の脱炭素化に向けた動きが活発になる中、炭素税導入によるエネルギーコスト、部品コスト、製造コストの高騰が予想される。 |
当社は2022年より段階的に社用車のEV化やCO2フリー電力の採用を積極的に行い、GHGプロトコル スコープ1、2に備えてきたが、さらなるエネルギーコストの高騰に備えて、2023年から段階的に本社駐車場のソーラーカーポート化へ投資を行う。 本社建物の省エネルギー、ZEB化を推進するための投資を行う。 |
大 |
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技術 |
国内:長期 |
顧客の省エネへの要求が急増する中、当社製品における省エネへの要求もまた増えている。顧客の省エネニーズに対応できなくなることで、売上高減少のリスクが予想される。 |
当社は連結売上高の10%を目途に研究開発投資を行っている。昨今の課題を解決するため、製品の省エネ化とIoT化へ引き続き投資を続ける。 |
中 |
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市場 |
国内:短期 海外:短期 |
再生可能エネルギーの利用進展等により希少金属等の需要が高まり、原材料の調達コスト増加が危惧されている。 |
当社売上高の10%をソフト製品へ転換することにより、鉱物資源を使わない製品ソリューションやサービスの展開を進めていく。 これに加えて、サーキュラーエコノミーの検討により、製品及び資源の再利用を図っていく。 |
大 |
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評判 |
国内:短期 海外:短期 |
脱炭素社会に対して、企業が責任ある行動を取っているかについて、ステークホルダーからは第三者による客観的な評価や認証が求められており、これらに対応できない場合、当社の評価が低下するリスクが予想される。 |
2023年から段階的にGHGプロトコル スコープ1・2・3における第三者認証を実施していく。以下の検証範囲で第三者検証意見書を取得済。 ≪検証範囲≫ 検証対象:スコープ1及びスコープ2、 スコープ3 カテゴリ1 (購入した製品・サービス) 対象期間:2022年1月1日~2022年12月31日 対象範囲:スコープ1及びスコープ2 (当社及び連結子会社の21拠点) スコープ3 カテゴリ1 (当社の本社サイトのみ) |
中 |
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物理 リスク |
急性 |
国内:長期 海外:長期 |
台風・竜巻・洪水等による、本社・支店・販社の被害発生リスクは現在小さいが、中長期的には大きくなることが予想される。仮に台風や洪水等の水害が発生した場合、営業停止による機会損失や被害復旧に伴う費用増大が予測される。 |
ハザードマップにより、本社・支店・販社の安全確保等に努めていく。これに加えて支店・販社の移転、新設等に関してはハザードマップを参照し、リスクの少ない地域を候補としていく。 今後はサプライチェーンにまで対象を広げ、リスクの確認を行う。 外部機関による財務への影響度の算出と検証を進め、検証対象として抽出した海外販社の拠点における財務リスクは他社の平均リスクに比べて低いことが判明。 |
小 |
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慢性 |
国内:長期 海外:長期 |
海面上昇における本社・支店・販社の被害発生リスクは現在小さいが、中長期的には大きくなることが予想される。 |
海面が上昇すると、水没する可能性のある支店・販社が存在する。長期的には海面上昇が少ない地域への移転やビルの高層階への移転も検討する。 外部機関による財務への影響度の算出と検証を進め、検証対象として抽出した海外販社の拠点における財務リスクは他社の平均リスクに比べて低いことが判明。 |
小 |
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機会 |
エネルギー源 |
国内:短期 海外:短期 |
エネルギーコスト高騰における省エネ/再エネの要求が加速していく。それに伴い、当社の電気計測器に対する需要が高まることが予想される。 |
当社は、電力測定やIoTソリューションにより、省エネ/再エネの測定及びメンテナンス機器の需要が増えている。 |
大 |
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製品及びサービス |
国内:長期 海外:中期 |
自動車のEV化が進み、それに伴い、高効率モーターやバッテリーへの要求が加速していく。 当社は、バッテリーサーキュラーエコノミーの考え方により、そのプロセスに応じた計測ソリューションが可能となっている。 |
当社は、高効率モーターの測定、バッテリーにおける測定ソリューションの全てを有している。今後も新しい技術をキャッチアップし、製品開発に活かしていく。 社会において再エネ化、省エネ化、IT化が進展することで、当社のコスト削減に繋げることができる。 |
大 |
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市場 |
国内:中期 海外:中期 |
脱炭素社会の進展に伴い、新市場及び新技術が生み出される機会が増える。こうした変化に対応することで当社のビジネスチャンスが生まれる。 |
市場情報のキャッチアップと新市場開拓のため、2022年社内に水素エナジーソリューションチームを発足させた。これに加えて水素バリューチェーン推進協議会へ参加し、新たな市場構築のため開発を続けていく。 |
中 |
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レジリエンス |
国内:短期 海外:短期 |
脱炭素社会に対して資源の代替の多様化が急務となっている。資源代替の多様化への対応を進める中で、当社のレジリエンスが強化される。 |
当社はGHG削減に向け、2023年から段階的に本社駐車場のソーラーカーポート化へ投資を実施中。これにより、自立電源の確保に向けた取り組みが進み、当社におけるBCP強化に繋がる。 |
中 |
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(3)人的資本及び多様性に関する戦略について
多様性確保に向けた人材育成方針として当社は「人事ポリシー」及び「社員教育指針」を設けております。
「人事ポリシー」では、社員を長期的・継続的に育成することにより将来的に新たな価値の創造を期待される存在と位置づけ、社員の育成に投資をする旨定めております。
当社では、「人事ポリシー」に従って、多様性確保に向けた社内環境を整備していく方針であり、次のような取り組みを行っております。
① 働きがいを感じ能力を発揮しながら定年まで長く働ける環境を提供する旨を方針としております。
② 個人や業務の状況に応じて働く時間を選択できるフレックスタイム制度や働く場所を選択できる在宅勤務制度を設けております。
③ 法定要件を上回る水準の育児介護休業制度を設けております。
④ 結婚や育児介護、配偶者転勤などに伴う帯同などを理由に当社を退職した正社員を再び正社員で雇用するジョブリターン(再雇用)制度などを設けております。
さらに当社グループ全体を横断してDE&Iを積極的に推し進めていくことを目的に2023年1月1日付でDE&I推進担当に執行役員人事部長を任命いたしました。また、2023年6月1日付でDE&Iガイドラインを策定いたしました。
※DE&I:Diversity,Equity&Inclusion
「社員教育指針」では、社員一人ひとりが自らの職業ビジョンを持ち、潜在能力を常に開発しながら自律した職業人として職業人生を営むことを通じ、当社の永続的な成長発展と社員の働きがいの向上を追求する旨定めております。この実現のため、当社管理職は部下の自主性を尊重しつつ能力開発の機会を積極的に与え部下の育成を図る役割を担っており、当社はその役割実現に向けた環境整備及び社員の監督、支援を行っております。また、社員のキャリア形成を支援するため、社内外の資格保有者も含むキャリアコンサルタントによるキャリア相談制度を設けると同時に、30代~60代にかけて各世代別に希望者を対象としたキャリア研修を実施しております。さらに、社員の自主性を尊重したキャリア形成を促進するため、社内ベンチャーや異動、プロジェクトに関する公募制度を導入しているほか、自己啓発費用を支援する制度を設けております。
(4)サステナビリティ、気候変動、人的資本及び多様性に関するリスク管理
サステナビリティ、気候変動、人的資本及び多様性に関するリスクの識別・評価・管理
当社及び子会社は、サステナビリティ、気候変動、人的資本及び多様性等(以下、サステナビリティ等と記載)様々なリスクに対するリスクアセスメントと未然防止手続き、及び発生した場合の対処方法等を定めた「リスク管理規程」と「危機対応規程」を制定しております。当社の代表取締役社長は、リスク管理・危機対応責任者として当社及び子会社のリスク管理・危機対応を総括しております。当社の各部門及び子会社は、当該規程に従って業務を遂行し、企業集団全体のリスクの回避と損失の軽減に努めております。
当社の各部門及び子会社は、年に一度リスクアセスメントを実施し、必要に応じて適切な措置を講じております。リスクアセスメントでは当社の各部門責任者と子会社社長に対してリスクとして認識している項目及び損失への影響(人的被害、金額、頻度等)を挙げさせ、その結果を点数化し重要度合を判断しております。この結果を踏まえ、リスク管理を主管する当社総務部は部門責任者と子会社社長へのヒアリングを必要に応じて実施し、気候変動リスクを含む各リスクの抽出に不足がないか確認することとしております。また、同時に各リスクに対する対応方法を確認することとしております。
各部門と子会社に対するリスクアセスメント結果は当社の経営会議で毎年度評価し、他のリスクと比較したサステナビリティ等のリスクの相対的重要性を決定することとしております。リスク管理者である総務部長はその内容を取締役会に報告し、必要な監督を受けることにしております。重要な事案は、取締役会で改善策を審議し決定することにしております。
(5)気候変動に関する指標及び目標について
評価・管理に使用する指標と目標
当社はHIOKIサステナビリティ宣言を定め、自社における脱炭素化に向け、以下の目標に基づき取り組みを継続しております。
・2025年(創業90周年) スコープ1、スコープ2のカーボンニュートラルを達成
・2035年(創業100周年) スコープ3のカーボンニュートラルを達成
スコープ3は、2035年までの目標に向け、できる限り排出権取引に頼らずカーボンオフセットを実現する方針です。
この一環として本社敷地内に発電容量2MWのソーラーカーポート(カーポート型太陽光発電設備)と2MWhのリチウムイオン蓄電設備を導入することを決定いたしました。2023年9月に着工し、2025年までの完成を予定しております。これにより、本社で利用する電気の約半分を自社で賄える見込みです。
なお、2024年1月に第1期工事が完了しました。その効果は以下の通りです。
第一期工事分:645kW発電(工事は2025年第四期まで予定)
買電電力削減効果:△48% 見込み
CO2削減効果(全稼働後):△1,137トン/年 見込み
当社は今後並行して、たゆまぬ省エネルギー活動(運用改善、設備更新)と本社建物の省エネルギー、ZEB化を推進していく方針です。
当社は2023年7月に発行した
(6)人的資本及び多様性に関する指標及び目標について
当社は、女性・外国人・中途採用者の中核人材の登用について目標を定めており、当社グループにおいて取り組みを強化しております。
外国販売を担当する連結子会社においては、現地採用者の中核人材への登用を積極的に進めております。当社人事部の支援のもと、現地の価値観や労働慣行をベースに社員が働きがいを感じながら自主的に成長できる人事、教育制度を導入すると同時に、働きやすい職場環境、福利厚生制度を提供しております。この結果、現地採用者の定着率も向上し、子会社における管理職に登用される人材も増えてきております。また、営業部門、管理部門を問わず、女性の管理職数も増えております。
こうした取り組みを進めるなかで、米国、中国、韓国及びインドネシアの連結子会社では現地採用者を社長(中国では総経理)に登用するに至っております。今後は連結子会社間の人的交流を促進し、同時に当社と連結子会社との間の人的交流も促進してまいります。この方針のもと、過去にはシンガポールでの現地採用者を米国子会社社長に登用(その後、当該社員を2023年10月1日付で当社の執行役員に登用)、2022年1月1日付で中国子会社の総経理(現地採用者)を当社の執行役員に登用いたしました。
なお、女性・外国人・中途採用者の中核人材の登用について目標と実績は次のとおりであります。
女性・外国人・中途採用者の中核人材の登用についての考え方とその目標及びその状況
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多様性確保についての考え方 |
目標値 (管理職登用数) |
実績値 (管理職登用数) |
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女性 |
「人間性の尊重」の企業理念に従い、人種・性別・国籍・信条・身体的条件などを理由に差別行為を行わないことを定めた「社員行動規範」に基づき、採用活動を行っております。 また、人事ポリシー及びDE&Iガイドラインを定め、人材の考え方の一つとして、年齢、性別、国籍など属性的条件、価値観やライフスタイルなどの思考的条件によらず、多様性を尊重します。 社員教育指針に基づき、社員の自助努力で能力の伸長を促すと同時に、社員の自主性を尊重しつつ能力開発の機会を積極的に与え部下の育成を図ることを通じて、積極的に管理職に登用してまいります。 |
過去3か年の平均実績同等、又はそれを上回る登用を目指しております。 |
2017年:1人 2018年:0人 2019年:0人 2020年:1人 2021年:1人 2022年:0人 2023年:1人 |
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外国人 |
同上 |
同上 |
2017年:0人 2018年:0人 2019年:0人 2020年:0人 2021年:2人 2022年:2人 2023年:1人 |
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中途採用者 |
人事ポリシーにおいて採用の方向性として、新卒を安定的、継続的に採用すること、また、経営戦略達成のため、能力、専門性の高い人材のキャリア採用も行う旨定めております。 社員教育指針に基づき、社員の自助努力で能力の伸長を促すと同時に、社員の自主性を尊重しつつ能力開発の機会を積極的に与え部下の育成を図ることを通じて、積極的に管理職に登用してまいります。 |
同上 |
2017年:1人 2018年:0人 2019年:0人 2020年:0人 2021年:3人 2022年:3人 2023年:1人 |
当社及び子会社は、様々なリスクに対するリスクアセスメントと未然防止手続及び発生した場合の対処方法等を定めた「リスク管理規程」及び「危機対応規程」を制定しております。当社の代表取締役社長は、リスク管理・危機対応責任者として当社及び子会社のリスク管理・危機対応を総括しております。当社の各部門及び子会社は、当該規程に従って業務を遂行し、企業集団全体のリスクの回避と損失の軽減に努めております。
当社の各部門及び子会社は、年に一度リスクアセスメントを実施し、適切な措置を講じております。この結果を踏まえ、リスク管理を主管する当社の総務部は必要に応じて部門責任者と子会社社長へのヒアリングを実施し、各リスクの抽出に不足がないか確認することとしております。また、同時に各リスクに対する対応方法を確認することとしております。
当社の各部門及び子会社に対するリスクアセスメント結果は当社の経営会議で毎年度評価しております。リスク管理者である当社の総務部長はその内容を取締役会に報告し、必要な監督を受けることとしております。重要な事案は、取締役会で改善策を審議し決定することとしております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える定量的な影響については、合理的に予測することが困難であると考えており、記載しておりません。
(1)人材に係るリスク
当社グループの成長の源泉は、企業理念に共感し自己成長する国内外の社員であります。当社グループは「業界のフロントランナーとして『測る』を進化させ続け、世界のお客様と共に持続可能な社会をつくるソリューションクリエイターになる」ことをビジョンに掲げており、人事制度を不断に見直し、社員が自律的に働ける環境を整備しております。現在、グループ各社で人材を採用するとともに教育と訓練による育成をしておりますが、計画どおり進められないリスクがあり、その場合当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)人権に係るリスク
当社グループは、社員行動規範及び資材調達基本方針に基づき事業活動における人権尊重の取り組みを推進しております。また、グループ各社の社員を対象にコンプライアンス、人権に関する啓発活動を継続的に実施するとともに、グループ各社の社員を利用対象とする内部通報制度を運営しており、人権侵害が疑われる行為があった際に適切に対処ができる仕組みを導入しております。また、今後サプライチェーンを含めた人権尊重の取り組みを強化していく方針であります。しかしながら、当社グループにおいて人権侵害等の事象が発生した場合、社会的信用の喪失、顧客との取引停止、損害賠償責任の発生等により当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)設備投資動向に係るリスク
当社グループは、電気測定器の開発、製造、販売を行っております。製品のユーザーは主として製造業であり、業種としては電機関係を中心に自動車、電子部品、環境・新エネルギー等多岐にわたっております。そのため、当社グループの売上高は、基本的には製造業の設備投資動向に影響を受けやすい傾向にあります。
当社は研究開発型企業であり、新分野に製品を投入し売上高の拡大を図っております。また、グループ各社とともに各地域及び各業種の市況や設備投資動向を常時注視し、必要な施策を迅速に講じております。しかしながら、当社の予測を超える製造業の設備投資動向の変動が生じた場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)海外売上高に係るリスク
輸出強化の方針のもと、米国、中国、シンガポール、韓国、インド、ドイツ、台湾、インドネシアに子会社を設立し、海外市場の開拓に注力してまいりました。その結果、海外売上高比率は上昇傾向にあり、2023年12月期は63.3%(2022年12月期は63.9%)になりました。
欧米地域の売上高伸長に向けた施策を継続して実施しておりますが、現在は特に中国を中心とするアジア地域の構成比率が高く、今後当該地域の地政学的リスク及び経済動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外売上高の増加に伴い、大幅な為替変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)品質に係るリスク
当社グループは、国内外の幅広い業種の顧客に対して電気測定器を提供しております。当社グループは、製品の生産に当たり、設計管理・工程管理・各種評価試験・仕入先など協力者への監査や指導等を通じ、開発段階から出荷に至る全ての段階で品質の作り込みを行う品質保証体制の整備に努めております。
しかし、当社の想定を超える事故が発生する可能性は否定できず、品質に関わる重大な問題が起こった場合には、多額の損害賠償金等の費用の発生や売上高の減少等により、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)サプライチェーンに係るリスク
当社グループは、原材料の購入から生産、販売までの一連の流れにおいて最適なサプライチェーンの構築に取り組んでおります。
当社グループは、バッテリー、デバイス、インフラ等の重点市場及び幅広い市場の顧客ニーズに適時にお応えするため、多品種少量・変種変量生産を可能とする生産体制を構築するとともに、アフターサービス体制の充実を図っております。そのため、当社グループにおいては、原材料の安定的な調達が不可欠であります。主要原材料は電気・電子部品及び金属、プラスチック等の材料部品であり、電子回路部品については半導体市場の動向によって需給が大きく変化し、そのスピードが速いことが特徴となっております。重点市場を含む顧客への供給責任を果たすことを最優先に部品を調達したことに加え、多くの部品の価格が高騰したことから、原材料を中心に棚卸資産の残高が高い水準で推移しております。また、金属材料部品、プラスチック材料部品については原材料価格、原油価格及び為替変動の影響を受けております。
当社グループは、調達先と緊密なコミュニケーションを取り、材料部品の供給不足による生産停止を招かないよう安定的な調達活動を進めております。さらに、コストダウン努力及び製品の高付加価値化により原材料価格、原油価格及び為替変動が業績に与える影響を解消していく方針でありますが、今後これらの原材料の需給状況及び価格が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、海外の顧客に対して空輸を中心として電気測定器を出荷、輸送しております。輸送に関する費用は、市場の需給及び原油価格等の影響を受けております。
当社グループは、効率的な物流体制の構築及び物流コストの低減に努めていく方針でありますが、今後輸送に関する需給状況及び価格が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)設備投資計画に係るリスク
従来当社グループの設備投資は研究開発及び生産の合理化等に関連した更新投資が中心でありました。しかしながら、より一層の研究・開発効率の向上と技術革新の推進を目指し、研究棟(2015年3月竣工)を建設し、それ以降、高額な実験研究設備への投資を積極的に進めております。また、増大する受注に対応するため本社工場の増床・増築工事と動線改善のための投資をするとともに、本社工場から約2kmに立地する土地建物の売買契約を当連結会計年度に締結いたしました。2024年7月中旬の稼働に向け、環境整備工事を進めております。
当該設備投資は当社グループの事業拡大に寄与するものと認識しておりますが、従来の設備投資と比較すると多額なものであることから、場合によっては当該設備投資に係る減価償却費負担の増加等により当社グループの業績圧迫要因となる可能性があります。
(8)競合に係るリスク
現在、脱炭素化に向けた世界的な流れから世界各国で企業の設備投資の拡大が継続しており、重点市場における電気測定器市場の成長が期待されております。当社グループは、世界的な新製品の開発により事業拡大を図ることを目指しておりますが、競合企業の新規参入や競争の激化、当社グループの技術開発力の劣後等の要因により、競合企業と価格競争になるケースが想定され、これが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)知的財産に係るリスク
当社グループは、知的財産権を重要な経営資源の一つであると考えております。そのため、知的財産権保護とそれに関連して発生する紛争の回避は重要な経営課題と考えており、知財部門にて必要な業務を進めております。
当社グループの知的財産権が侵害されたり、特定の国・地域で十分な保護を受けられない場合、当社グループの事業活動と業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが意図しない形で第三者の特許を侵害するに至った場合や、その他知的財産権に関する紛争が発生した場合には、当社グループの事業活動と業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)為替変動に係るリスク
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、取引通貨の多くは人民元・米ドル・韓国ウォン・ユーロ等、日本円以外の通貨であります。これらの通貨に対する急激な為替相場の変動は売上高や利益の増減等、損益に影響を与えます。また、海外における資産や負債価値は、財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動の結果、換算差による影響が生じます。当社では、経理部門にて為替相場を継続的にモニタリングしており、適宜必要な対応を取っておりますが、急激又は大幅な為替レートの変動等は、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11)税制に係るリスク
当社グループは、グローバルに事業を展開しております。国内はもとより、米国、中国、韓国等の国・地域に販売子会社を設立し事業運営をしており、各国・地域の税制に基づき納税をしております。当社は、国内外のグループ各社とともに各国・地域の税制等の概要、改正動向を適宜把握するとともに、国境を越える当社グループ会社間の取引価格の設定で適用される移転価格税制の遵守に努めております。しかしながら、想定しない税制改正が行われたり、税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受け、追徴課税や二重課税が生じたりすることで当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12)情報セキュリティに係るリスク
当社グループは、事業上の重要情報及び事業を展開する上で入手した顧客、他企業の機密情報、取引先関係者や従業員の個人情報等を保有しております。これらの情報は、外部流出や破壊、改竄等が起こらないように、グループ全体で管理体制を構築し、ITセキュリティ、施設セキュリティの強化、ITリテラシー向上のための社員教育等の施策を実行しております。しかしながら、想定した防御水準を上回る技術によるサーバーへの攻撃や社内における過失や盗難等により、これらの情報が流出、破壊もしくは改竄される可能性を完全に回避することは困難であり、また情報システムの停止等が発生する可能性があります。
このような事態が生じた場合には、適切な対応を行うための費用負担が生じるとともに、信用低下、被害を受けた方への損害賠償金等の費用の発生、又は業務の停止等により、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(13)自然災害等に係るリスク
当社グループは、自然災害、火災、戦争及びテロ行為、感染症の流行等が発生した際には、「リスク管理規程」に基づき全社でリスク低減を図る体制を構築しております。しかしながら、国内外における想定を超えた大規模自然災害(地震、津波、台風、水害等)やそれに起因する大規模停電及び電力不足、戦争及びテロ行為による社会的混乱、未知の感染症の流行によって大きな被害を受ける可能性があります。これらの予期せぬ事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(14)棚卸資産の評価に係るリスク
当社グループの棚卸資産の評価は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法によっております。製品のライフサイクル期間や修理保証期間を踏まえて決定した一定の回転期間を超える品目がある場合には、その回転期間に応じて規則的に帳簿価額を切り下げる方法を採用しております。また、正味売却価額が帳簿価額を下回っている商品及び製品に対する評価につきましては、正味売却価額まで帳簿価額を切り下げる方法を採用しております。
市場の設備投資動向や競合製品による需要の低迷を受け、各品目の回転期間に変動が生じる場合があります。このような場合、棚卸資産評価損の追加計上が必要となる可能性があり、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(15)気候変動に係るリスク
現在、気候変動に対する取り組みが国内外で進められており、当社グループは、これを重要な事業機会と捉え、電気測定器事業を通じて持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めております。しかしながら、気候変動に伴う市場環境の変化に対応できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、気候変動に伴い国内外で自然災害の激甚化が進んでおります。当社グループの各拠点で様々な自然災害への備えをしておりますが、予測し得ない被害が生じる可能性があり、このような場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDに基づく当社の取り組みを最新のコーポレート・ガバナンスに関する報告書に掲載しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は、次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発するエネルギー価格の高止まり、各国の金融引き締めに伴う景気の減速見通しや不安定な為替相場など、依然として先行きが不透明な状況が続いております。一方で、脱炭素化に向けた世界的な流れは持続しており、各国政府による方針を受けて企業の設備投資の拡大が引き続き期待されております。今後、自動車の電動化が加速すると同時に電源の高性能化(高効率化・小型化・軽量化)が求められるようになると見込まれており、バッテリー、デバイス、エネルギーといった市場においては、設備投資環境が中長期的に堅調に推移すると予測しております。
当連結会計年度におきましては、脱炭素化に向けた世界各国の取り組みを受け、受注高は前連結会計年度の実績を上回りました。市場別では、デバイス市場においては期初から日本や台湾において需要の落ち込みが見られ、バッテリー市場においては下期以降、中国の需要が落ち込みました。一方で、エネルギー市場関連の計測器需要が幅広い地域で引き続き高い状態で推移し、全体を牽引いたしました。顧客の所在地別では、アジア地域において主として中国での計測器需要が弱く、当該地域の受注高は前連結会計年度の実績を下回りましたが、その他の地域では伸長いたしました。
また、部品欠品による一部製品の出荷停止状況の解消、本社工場における増床・増築による生産能力強化により、3期連続で連結売上高は過去最高となりました。為替相場が円安に推移したことも、増収増益要因となっております。
開発面では、新しい社会を顧客と協創する関係を構築するため、2023年4月に稼働を開始した協創ラボラトリーにおいて、顧客とともに課題解決に取り組み、マーケットの観点での製品企画を進めてまいりました。
生産面では、重点市場を含む顧客への供給責任を果たすことを最優先に部品を調達したことに加え、多くの部品の価格が高騰したことから、原材料を中心に棚卸資産の残高が高い水準で推移しております。この現状を踏まえ、当社は棚卸資産の残高を適正な水準とするための取り組みを全社一丸となって継続して進めてまいりました。また、さらなる生産能力増強のため、本社工場から約2kmに立地する土地建物の売買契約を当連結会計年度に締結いたしました。2024年7月中旬の稼働に向け、環境整備工事を進めております。
販売面では、成長著しいインドネシア市場の深耕強化を目的に、当社の孫会社にあたるインドネシア販売会社を当社の子会社といたしました。また、重要市場及び重点顧客の深耕、新規顧客の開拓を目的に当社の国内営業組織及び中国販売子会社における営業組織の再編に取り組んでまいりました。
利益面では、顧客への供給責任を果たすことを最優先に様々なルートで市価を上回る価格で部品を調達したこと及び多くの部品の価格高騰により、売上原価が押し上げられております。一方で、為替相場が当初の想定に比べ円安に推移し売上高が増加したことは、増益要因となりました。
以上により、当連結会計年度における業績は、売上高391億54百万円(前連結会計年度比13.9%増)、営業利益79億55百万円(同12.5%増)、経常利益82億36百万円(同13.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益63億29百万円(同18.7%増)になりました。
当社グループの目標とする経営指標のうち「売上高営業利益率20%」及び「自己資本当期純利益率(ROE)10%以上」につきましては、当連結会計年度において目標を達成いたしました。また、「海外売上高比率70%以上」につきましては、当連結会計年度の実績は63.3%になりました。
当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金、建設仮勘定が増加したため、前連結会計年度末と比較して46億44百万円増加し、452億50百万円になりました。
負債は、未払費用が減少いたしましたが、賞与引当金が増加したため、前連結会計年度末と比較して3億1百万円増加し、81億28百万円になりました。
純資産は、利益剰余金が増加したため、前連結会計年度末と比較して43億43百万円増加し、371億22百万円になりました。
なお、当社グループは、電気測定器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して29億8百万円増加し、147億45百万円になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、84億38百万円の収入(前連結会計年度比579.7%増)になりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益82億33百万円及び賞与引当金の増加額28億88百万円であります。主な減少要因は、未払費用の減少額25億53百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、33億53百万円の支出(同127.4%増)になりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額等により、23億20百万円の支出(同5.5%減)になりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、電気測定器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
よって、生産実績及び受注実績につきましては製品の分類別情報を、販売実績につきましては製品の分類別情報及び顧客の所在地別情報を記載しております。
a. 生産実績
|
|
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
自動試験装置 |
(千円) |
2,838,170 |
85.2 |
|
記録装置 |
(千円) |
5,671,970 |
114.4 |
|
電子測定器 |
(千円) |
21,813,191 |
120.0 |
|
現場測定器 |
(千円) |
7,693,061 |
114.1 |
|
周辺装置他 |
(千円) |
1,852,690 |
108.8 |
|
合計 |
(千円) |
39,869,084 |
114.2 |
(注)金額は売価換算価額で表示しております。
b. 受注実績
|
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
自動試験装置 |
3,394,241 |
104.5 |
1,909,052 |
136.6 |
|
記録装置 |
5,501,751 |
108.7 |
602,051 |
114.4 |
|
電子測定器 |
19,420,481 |
99.8 |
2,161,953 |
52.5 |
|
現場測定器 |
7,412,454 |
106.4 |
504,962 |
67.0 |
|
周辺装置他 |
1,781,971 |
104.8 |
127,618 |
82.3 |
|
合計 |
37,510,899 |
102.9 |
5,305,638 |
76.4 |
c. 販売実績
(a) 製品の分類別実績
|
|
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
自動試験装置 |
(千円) |
2,882,969 |
89.4 |
|
記録装置 |
(千円) |
5,426,186 |
107.4 |
|
電子測定器 |
(千円) |
21,374,743 |
120.4 |
|
現場測定器 |
(千円) |
7,660,741 |
115.2 |
|
周辺装置他 |
(千円) |
1,809,392 |
106.7 |
|
合計 |
(千円) |
39,154,033 |
113.9 |
(b) 顧客の所在地別実績
|
|
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
||
|
国内 |
(千円) |
14,368,250 |
115.9 |
|
|
海外 |
アジア |
(千円) |
17,971,722 |
106.0 |
|
アメリカ |
(千円) |
3,374,745 |
128.8 |
|
|
ヨーロッパ |
(千円) |
2,699,235 |
145.2 |
|
|
その他の地域 |
(千円) |
740,079 |
137.6 |
|
|
計 |
(千円) |
24,785,782 |
112.8 |
|
|
合計 |
(千円) |
39,154,033 |
113.9 |
|
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10に満たないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成に当たり、連結会計年度末における資産、負債の金額、及び連結会計年度における収益、費用の金額に影響を与える重要な会計方針及び各種引当金等の見積り方法(計上基準)につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、見積り、判断につきましては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等の状況
世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発するエネルギー価格の高止まり、各国の金融引き締めに伴う景気の減速見通しや不安定な為替相場など、依然として先行きが不透明な状況が続いております。一方で、脱炭素化に向けた世界的な流れは持続しており、各国政府による方針を受けて企業の設備投資の拡大が引き続き期待されております。今後、自動車の電動化が加速すると同時に電源の高性能化(高効率化・小型化・軽量化)が求められるようになると見込まれており、バッテリー、デバイス、エネルギーといった市場においては、設備投資環境が中長期的に堅調に推移すると予測しております。
当連結会計年度におきましては、脱炭素化に向けた世界各国の取り組みを受け、受注高は前連結会計年度の実績を上回りました。市場別では、デバイス市場においては期初から日本や台湾において需要の落ち込みが見られ、バッテリー市場においては下期以降、中国の需要が落ち込みました。一方で、エネルギー市場関連の計測器需要が幅広い地域で引き続き高い状態で推移し、全体を牽引いたしました。顧客の所在地別では、アジア地域において主として中国での計測器需要が弱く、当該地域の受注高は前連結会計年度の実績を下回りましたが、その他の地域では伸長いたしました。
この結果、当社グループの売上高、営業利益、経常利益ともに前連結会計年度を上回り、3年連続で過去最高の結果になりました。
また、目標とする経営指標の一つであります売上高営業利益率につきましては、20%を目標に掲げております。当連結会計年度におきましては、顧客への供給責任を果たすことを最優先に様々なルートで市価を上回る部品を調達したこと及び多くの部品の価格高騰により、売上原価が押し上げられております。しかしながら、部品欠品による一部製品の出荷停止状況の解消、本社工場における増床・増築による生産能力強化により、売上高が大幅に増加したことにより、売上高営業利益率は20.3%と2年連続で目標を達成することができました。売上高営業利益率を改善させるため、開発面では、重点市場として捉えております、バッテリー、デバイス、エネルギーの各分野に向けて顧客密着で高付加価値製品の開発を進め、製品を販売してまいります。
目標とする経営指標の一つであります自己資本当期純利益率(ROE)につきましては、10%以上を目標に掲げております。当連結会計年度は売上高当期純利益率が高い状態を維持したことから、自己資本当期純利益率(ROE)は前連結会計年度から1.0ポイント上昇し、18.1%になりました。
また、もう一つの目標とする経営指標であります海外売上高比率につきましては、70%以上を目標に掲げております。当連結会計年度の実績は63.3%と未達となりましたが、海外売上高は前連結会計年度に比べ28億15百万円伸長いたしました。今後は、海外販売子会社を中心にHIOKIブランドの浸透を図り売上高を伸長させるとともに、世界中のお客様に安心して当社製品をお使いいただくためのグローバルアフターサービス体制の構築に引き続き取り組んでまいります。
なお、当連結会計年度における製品区分別の状況は、次のとおりであります。
(自動試験装置)
ベアボード検査装置は高精細化が進む半導体市場、また実装基板検査装置は電子化が進む自動車市場の高度な要求への対応を進めてまいりました。これにより受注高は好調に推移いたしましたが、製品仕様の多様化により生産リードタイムが長期化し、受注残高が増加しております。また、今後高成長が見込まれるインド市場に向けて、国策のMake in Indiaに対応した現地生産の実装基板検査装置を投入いたしました。
この結果、売上高は28億82百万円(前連結会計年度比10.6%減)になりました。
(記録装置)
世界各国においてエネルギーを有効利用するため、熱エネルギーと電力を同時に管理する需要が高まっております。また、EVの航続距離延伸や充電時間短縮などを目的としてバッテリーの高電圧化が進み、セル単位で電圧や温度の推移を把握することが極めて重要になっております。こうした市場動向を背景に、データロガーの需要も高まっております。この市場に向け、温度計測用データロガーに高精度電流計測機能を追加する新モジュールと、高耐圧多チャネルに対応した高速データロガーの新製品を投入いたしました。
この結果、売上高は54億26百万円(同7.4%増)になりました。
(電子測定器)
中国のバッテリー市場では需要の鈍化が見られましたが、脱炭素化に向けた自然エネルギーやEV、充電設備などのインフラの開発に向けた設備投資は引き続き活発であり、この流れは世界各国に波及しております。また、水素エネルギーに対する期待が高まり研究投資も積極的に行われており、活発な引き合いをいただいております。これらの市場に向け、高い信頼性を要求されるEV用モーターを検査する新方式の安全検査装置や、大電流が流れるEVや充電設備などの機能を確認する高性能な抵抗計、車内の微小な消費電流も正確に検出できる高精度電流センサーなど複数の新製品を投入いたしました。
この結果、売上高は213億74百万円(同20.4%増)になりました。
(現場測定器)
再生可能エネルギーの増加による電源の分散化が進み、太陽光発電はもとより、データセンターや通信インフラなど、電気設備の保守メンテナンスの重要性が引き続き高まっております。また近年では、EVの修理時における安全確認の重要性が高まっており、その際に必要な現場測定器を専用システムとして組み合わせ市場に投入いたしました。
この結果、売上高は76億60百万円(同15.2%増)になりました。
b. 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要のうち主なものは、材料費、人件費、新製品開発に必要な研究開発費、営業費用、管理費用及び設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、自己資金を充当しております。
当社グループの経営方針、経営戦略につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当連結会計年度において、該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、当社グループの事業に係るセグメントである電気測定器事業において行っております。
当社グループは「業界のフロントランナーとして『測る』を進化させ続け、世界のお客様と共に持続可能な社会をつくるソリューションクリエイターになる」というビジョンを掲げ、新しい社会システムを構成する重要市場に開発資源を集中させております。そのためオープンイノベーションによる最先端技術の習得やIoT技術者の育成とともに、アジャイル開発の概念を開発システムに取り入れ、開発スピードを強化しております。
当連結会計年度における成果としましては、次のとおりであります。まず、新しい社会を顧客と協創する関係を構築するため、顧客とともに課題に取り組む空間として研究棟内に協創ラボラトリーの建設を進め、2023年4月より稼働を開始いたしました。協創ラボラトリーを拠点に顧客や協業各社とともに電気計測技術で新たな社会課題を解決するための要素技術開発、新製品開発を進めてまいりました。
当社が重要市場と位置づけるバッテリー市場に向けた取り組みとしては、モビリティ産業やリチウムイオン電池のサプライチェーンにおけるブロックチェーン技術の推進と標準規格策定を行うMobility Open Blockchain Initiative(米国カリフォルニア州、MOBI)へ加盟しました。MOBIの推進するバッテリーバリューチェーンの構築を計測技術によって支え、加盟企業と協力しながら、世界の脱炭素化に貢献していくことを目的にしております。さらに、当社はインドネシアのバリ島で開催されたASEAN電池・電気自動車技術会議の開催を支援いたしました。市場の真の要求を理解し、業界の第一線で活躍する方々とのコミュニケーション及び連携を深めることを目的にしております。
前連結会計年度に引き続き、水素エネルギー分野に向けた先行開発とソリューション提供を強化いたしました。取り組み強化の結果、当社は水電解装置や膜電極接合体のインピーダンス計測をするシステム「ALDAS-E」を、「国立研究開発法人産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所」向けに受注いたしました。
世界市場におけるブランド力の向上と人材育成を目指して、世界中の先端顧客と開発者の密着による市場ニーズの把握に積極的に取り組むとともに、先端商品のマーケットがグローバル化していくことに対応し、特許など知財戦略のグローバル化にも人材と資金を投入してまいりました。
また、当社社員が次世代モビリティを通じて最新の技術に触れることを目的に、株式会社マクニカとともに自動運転EVバスの実証実験を行いました。
さらに、発展を続ける中国市場において市場の顧客ニーズを適時に満たしていくため、研究開発、生産機能を有した日置(上海)科技発展有限公司と協調して開発を進めてまいりました。
当社は研究開発型企業としてこれまで売上高研究開発費比率10%以上を目安に人と設備への投資を進めてまいりました。今後も連結売上高及び営業利益を伸長させつつ、売上高研究開発費比率10%以上の投資を継続し、持続的な成長発展を実現してまいります。
なお、前連結会計年度における研究開発費の総額は3,081百万円(売上高比9.0%)、また、研究開発関連の設備投資金額も含めますと3,616百万円(同10.5%)でありましたが、当連結会計年度における研究開発費の総額は