当社は、2023年11月20日開催の当社取締役会において、当社の普通株式(以下「当社普通株式」といいます。)の併合(以下「本株式併合」といいます。)を目的とする2023年12月25日開催予定の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本報告書を提出するものであります。
なお、株式会社Infinity brand capital(以下「割当予定先」といいます。)を割当先とする払込金額の総額594,000,000円の第三者割当増資による当社普通株式(以下「本新株式」といいます。)の発行(以下「本第三者割当」といいます。)の後に、当社普通株式3,300,000株を1株とする、本株式併合を経て、当社を割当予定先の完全子会社とすることが企図されております。
1.本株式併合の目的
ア.当社の財務状況及び資本性資金の調達の必要性
当社グループは、写真・CG・映像・イラストレーションなど視覚から訴求するものを「ビジュアル」と総称し、これらビジュアルを活用したコミュニケーション・コンテンツの提供等を通じて、お客様の商品やサービスの価値を可視化することで、「届けたい想いが伝わり、行動を促す」コミュニケーションをお客様と共に創造する、ビジュアルコミュニケーション事業を展開しております。ビジュアルコミュニケーションは、顧客とのかかわり方や受託する案件の特性に応じて価値提供の主体として①コミュニケーション・コンテンツの企画制作(communication領域)と、②ビジュアル・コンテンツの企画制作(visual領域)の2つに大別しております。当社グループでは、1979年の創立以来、広告業界を中心としてビジュアルコミュニケーション事業で順調に業績を拡大し、2019年12月期連結会計年度で売上高22,901百万円となるまでに成長してまいりました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、新商品発売の遅延や中止、イベント等のプロモーション活動の制限など、企業の広告宣伝費・販売促進費の削減による影響が生じました。この結果として、2020年12月期連結会計年度において、売上高が17,198百万円(前期比24.9%減)と著しく減少し、営業損失1,526百万円を計上したうえ、不適切会計事案の調査に関する費用等の特別損失の計上などで親会社株主に帰属する当期純損失2,486百万円を計上した結果、983百万円の債務超過となりました。さらに一部の長期借入金について財務制限条項に抵触したことで、短期的な資金繰りへの懸念が生じました。これらの状況を受けて、債務超過の早期解消に向けた計画を策定しましたが、さらなる財務体質の抜本的な改善を目指して、2021年8月に第三者割当増資による普通株式及びA種優先株式の発行により総額約11億円の資金調達を行いました。
しかしながら、デジタル技術の進化やメディアの多様化により常に経営環境が変化する中で、特に当社グループへの影響が大きい広告業界においては、4マス広告からインターネット広告という潮流の変化が生じております。また、広告代理店においても内制強化といった動きもみられ、さらに、当社グループにおいては業績低迷が継続したことで従業員のモチベーションの低下が続き、営業及び制作進行を担う人材を中心に人材流出が継続しました(当社の従業員数は、2021年12月期連結会計年度末時点(923名)から139名減少し、2022年12月期連結会計年度末時点で784名となっております。)。このため、中長期的な成長マーケットであるコミュニケーション・コンテンツの企画制作の事業領域の成長を上回るスピードで、当社の収益の柱であったビジュアル・コンテンツの企画制作の事業が大きく縮小することとなりました。この結果として、2022年12月期連結会計年度では売上高が14,165百万円(前期比19.2%減)まで減少しました。また、2022年12月期連結会計年度末において、当社が株式会社りそな銀行をアレンジャーとする取引金融機関8行と締結しているシンジケート方式によるコミットメントライン契約及びタームローン契約に定める財務制限条項に抵触しており、同時に、RKDエンカレッジファンド投資事業有限責任組合(以下「RKDファンド」といいます。)と締結している株式投資契約に定める財務制限条項に抵触していることから、短期的な資金繰りへの懸念が生じております。これらの状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。
このような厳しい経営環境のもと、さらに当社従業員による不適切な取引の疑義が2022年11月下旬に生じたことで、当社は、同年12月に特別調査委員会の設置を行い、2023年5月にその調査結果を公表することとなりました。これらの不適切な取引を調査するために調査費用656百万円を計上するなど、2023年第3四半期連結累計期間においても親会社株主に帰属する四半期純損失1,249百万円を計上し、3,787百万円の債務超過となりました。これに加えて、当社は、厳しい外部環境のもとでさらに追加の損失が計上されることも予想されており、借入金合計7,115百万円については取引金融機関から返済猶予をいただいております。そのため、財務体質を抜本的に改善するための資本増強施策がなければ法的整理に至る可能性が極めて高い状態に陥っております。
イ.スポンサー選定の経緯
上記のとおり、厳しい経営環境の中で当社グループの損失計上が続き、また、不適切な会計処理の調査にかかる費用が多額に発生する見込みとなり、2023年4月頃には、2023年12月期連結会計年度において大幅な債務超過となることが見込まれ、さらに、借入金の返済に支障を来たすこととなったことから、増資の引き受けに関してスポンサー候補へのコンタクトを本格的に開始することとしました。しかしながら、当社グループの属するビジュアルコミュニケーション領域の厳しい事業環境のもと、当社の必要とする規模での資本調達を可能とするためのスポンサー探索については相当な困難を伴うものであることから、当社は、フィナンシャル・アドバイザーとしてフロンティア・マネジメント株式会社(以下「フロンティア・マネジメント」といいます。)を起用し、同社を通じて、当社事業への関心を有し、事業再生に理解を有する事業会社及び金融投資家を中心に、100社以上に対して順次スポンサー支援の検討を依頼しました。
当初はスポンサー支援を検討する複数の候補がいたものの、2023年5月11日付で過去の従業員による不適切な会計処理に関する特別調査委員会の調査報告書が公表されたことで、特に上場企業からは買収・出資後のガバナンス体制についての不安から検討の辞退が相次いだほか、経営環境が厳しい中で短期的な回復が見込めないなどの理由で、具体的な出資の提案を伴う意向表明書の提出を受けられない状況が続きました。当社はさらなるスポンサー探索を継続し、9月上旬に、上場企業の経営者であり、これまでターンアラウンドなど様々な経験を有する松島陽介氏の資産管理会社である合同会社YM Capital(以下「YMCapital」といいます。なお、割当予定先は松島陽介氏が本新株式の引受けを主たる目的として設立した株式会社です。)を含む数社から提案を受けましたが、最終意向表明書を提出するに至ったスポンサー候補者は2社のみに留まりました。このうち、YMCapital以外の1社の提案においては、出資の前提条件として取引金融機関の了解を得ることが非常に困難であるものが条件として付されていたことから、取引金融機関との合意形成の観点から検討が困難と判断しました。他方、YMCapitalには支援金額の増額等を依頼したところ、支援金額の上乗せが行われた最終意向表明書が提出されました。
YMCapitalが提出した最終意向表明書で示された提案の概要は以下のとおりでした。
・①第三者割当による当社普通株式の発行(1株当たり18円)を実施し、YMCapitalが当社に対して約6億円出資すること、②YMCapitalがA種優先株式の全てを買い取ること(なお、A種優先株式の譲渡価額については、当社は当該譲渡の当事者ではないため、当社からは公表を差し控えさせていただきます。)、及び③当社普通株式のスクイーズアウト(1株当たり22円)により当社をYMCapitalの完全子会社とすること。また、その後の企業運営において必要な資金として、別途1.5億円を上限としたYMCapitalによる当社への追加の増資
・当該スポンサー支援の前提としての、金融機関による一定規模の債権放棄、既存借入金の元本返済猶予及びその後11年間での分割返済とする金融支援、並びに、当社の代表取締役進藤博信の保有する当社普通株式の当社による無償取得
松島陽介氏はコンサルティングファームやバイアウトファンド、事業会社における経営を通じて、多数のターンアラウンド(企業再生)やバリューアップ(企業価値の向上)の実績を有しているとのことです。また、YMCapitalからは、当社グループのこれまでの制作における実績、そこに裏付けられた優れた技術の存在価値を認めていただき、今後の日本の美的領域で世界を牽引していく企業とすべく、当社の支援を表明いただきました。
他方、YMCapitalは、仮に上場維持を続けた場合でも、スポンサーとして当社の事業構造を抜本的に改革する必要性を感じており、構造改革の実施は中長期的な収益の改善が図られるものの、短期的には一定のリストラクチャリングにかかる費用の負担が生じるなどのリスクがあると認識しているとのことです(なお、リストラクチャリングについては、業績の推移を見ながら手元資金の範囲内で希望退職等を実施することを検討しておりますが、具体的な人数及び規模はスポンサー支援後に決定する予定です。)。これに加えて、当社が上場を維持した場合には内部統制システムをはじめとしたコーポレート・ガバナンス体制の維持・構築に多額の費用が掛かることなどから、上場維持したまま少数株主をリスクにさらすことは不適当であるため、当社の少数株主にとっても、合理的な対価を支払ったうえで、当社を非公開化することが当社の少数株主の利益にも資すると考えたとのことです。
下記エに記載のとおり、当社は、当社の資金面及び事業面の双方の支援の観点から、本第三者割当及び本株式併合を内容とするYMCapitalによるスポンサー支援に係る提案が、当社の企業価値の向上のためには最善の選択肢であり、かつ、当社の現状に鑑みると、当社の少数株主の皆様にとっても最善の選択肢である、と判断し、YMCapitalを最終的なスポンサーとして選定いたしました。なお、上記の最終意向表明書はYMCapitalの名義で提出されておりますが、YMCapitalは松島陽介氏の資産管理会社であり、割当予定先は松島陽介氏が本新株式の引受けを主たる目的として設立した株式会社Infinity brand capitalとなります。
ウ.産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(以下「本事業再生ADR手続」といいます。)の正式申込
上記アに記載の厳しい経営状況を踏まえ、当社は、今後の再成長に向けた強固な収益構造の確立と財務体質の抜本的な改善を目指すため、2023年9月20日開催の当社取締役会において、本事業再生ADR手続の申込を決議し、事業再生実務家協会(法務大臣より認証紛争解決事業者としての認証、及び、経済産業大臣より特定認証紛争解決事業者としての認定を受けている団体)に対し、本事業再生ADR手続についての正式な申請を行い、同日付で受理され、事業再生実務家協会と連名にて、本事業再生ADR手続の全対象債権者(以下「本対象債権者」といいます。)に対して、経済産業省関係産業競争力強化法施行規則第20条に基づく一時停止(債権者全員の同意によって決定される期間中に債権の回収、担保権の設定又は破産手続開始、再生手続開始、会社更生法若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生手続開始若しくは特別清算開始の申立てをしないこと等)を要請する通知(以下「一時停止通知」といいます。)を送付いたしました。
その後、当社は、2023年9月29日に、本事業再生ADR手続に基づく事業再生計画案の概要の説明のための債権者会議(第1回債権者会議)を開催し、本対象債権者から一時停止通知について同意を得るとともに、一時停止の期間を事業再生計画案の決議のための債権者会議の終了時までとさせていただくことにつき、ご承認をいただきました。また、当社は、主要な取引金融機関から極度額5億円のプレDIPファイナンスによる資金支援をいただくこと及び当該資金支援に係る債権について優先弁済権を付与することについても、本対象債権者からご承認をいただきました。
また、当社は、2023年11月10日に、本事業再生ADR手続に基づく事業再生計画案の協議のための債権者会議(第2回債権者会議)を開催し、スポンサー契約の内容を踏まえ、割当予定先との協議を経て策定した事業再生計画案を説明いたしました。また、事業再生ADR手続の手続実施者より、本対象債権者に対して事業再生計画案に係る調査結果が報告されました。
その後、本対象債権者において、当該調査結果を踏まえて事業再生計画案の内容をご検討いただいたうえで、本対象債権者に対して2023年11月10日付で提示した当社の事業再生計画案が、2023年12月18日、本事業再生ADR手続において本対象債権者の全員の同意により成立いたしました。
エ.本第三者割当及び本株式併合が当社及び当社の少数株主の皆様にとって最善の策であるとの判断に至った経緯及び理由
上記イに記載のYMCapitalからの最終提案は、当社の既存株式の大幅な希薄化と当社の非公開化を含むものであり、当社の少数株主の皆様に重大な影響を与えるものであったため、当社として慎重な検討を行いました。
まず、当社は、当社の財務体質の抜本的な改善のためには資金注入が必要不可欠であり、仮に資金注入が早期に実行されなければ、当社の足元の資金繰りは極めて困窮することになるため、事業の継続が困難となる懸念があり、株価の下落等を通じて当社の少数株主の皆様をさらなるリスクにさらすおそれがあるといった状況のもとで、複数のスポンサー候補との間で真摯な協議及び交渉を行いました。また、本事業再生ADR手続を進める中で、本対象債権者との間でも金融支援が可能となるスポンサー支援の内容について協議を行いました。
その結果、YMCapitalからの最終提案は、取引金融機関に要請する金融支援の内容、当社に提供可能な資本性資金の金額の多寡、当社が希望する時間軸での資本性資金の提供及びその実現可能性、スポンサーとして参画した後に当社が再生を果たすための当社の経営・事業に関する考え方、事業構造改革を通じた中長期的な事業継続及び今後の企業価値の向上に向けた施策の内容・実現可能性等、当社グループをとりまく状況を踏まえたスポンサー選定において重要と考えられる考慮要素を充足していること、YMCapitalが、当社の事業再生及び事業の再成長に向けた当社にとって唯一具体的かつ実行可能と考えられる条件を提示していること、YMCapital以外に、取引金融機関からの金融支援を期待できる支援策の提案はなく、さらなるスポンサー候補による支援の検討継続は、当社の資金繰り上の観点等からも困難であることから、当社及び当社の少数株主の皆様にとって最善の条件であると判断いたしました。
さらに、当社としては、上場廃止及び本株式併合により、YMCapitalと当社が一体となって、柔軟かつ機動的に経営戦略を推進することが、当社グループの事業継続及び中長期的な成長に最も資するとともに、当社の少数株主の皆様をさらなるリスクにさらす事態を避けることにつながるとの判断に至りました。
以上のように、当社は、当社の資金面及び事業面の双方の支援の観点から、本第三者割当及び本株式併合を内容とするYMCapitalによるスポンサー支援に係る提案が当社の企業価値の向上のためには最善の選択肢であり、かつ、当社の現状に鑑みると、当社の少数株主の皆様にとっても最善の選択肢であると考えております。なお、上記の最終提案はYMCapitalの名義で提出されておりますが、YMCapitalは松島陽介氏の資産管理会社であり、割当予定先は松島陽介氏が本新株式の引受けを主たる目的として設立した株式会社Infinity brand capitalとなります。
オ.本第三者割当、本株式併合及び本事業再生ADR手続に関する留意事項
上記アに記載のとおり、当社は継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在すると認識せざるをえない状況となっており、本臨時株主総会で本第三者割当及び本株式併合に係る議案のご承認がいただけない場合、又は、その他の本第三者割当及び本株式併合の実施の前提条件が充足されない場合に、本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援又は取引金融機関による債務免除の同意等をいただけないときには、当社の事業の継続は極めて困難になる可能性があります。なお、本事業再生ADR手続において当社が策定する事業再生計画案(以下「本事業再生計画案」といいます。)は、2023年12月18日、本事業再生ADR手続において本対象債権者の全員の同意により成立いたしました。
カ.本第三者割当後の経営体制
当社の代表取締役進藤博信は、事業再建に向け、その経営責任を明確化するため、本第三者割当に係る払込みの完了をもって、当該払込完了日に代表取締役及び取締役を辞任する予定です。後任の代表取締役社長については、割当予定先より、本新株式の払込みを条件として割当予定先が指名した取締役3名のうち、金子剛章氏を代表取締役とする予定である旨の連絡を受けており、本臨時株主総会における、割当予定先が指名した取締役3名の選任議案の承認及び本新株式の払込みを条件として、内定しております。
また、当社代表取締役以外の取締役のうち、吉田大介、伊賀智洋、深尾義和、山口俊光、佐伯泰寛、青木裕美、太田睦子、飛松純一及び彦工伸治についても、割当予定先との協議を踏まえ、本第三者割当に係る払込みの完了をもって、当該払込完了日に辞任する予定です(社外取締役平田静子につきましては、当社上場廃止までの間は留任し、上場廃止日付で辞任する予定となっております。)。
なお、2023年10月26日付で締結した当社と割当予定先との間のスポンサー契約において、本臨時株主総会における本新株式の払込みを停止条件とする3名以内で割当予定先が指定する者の当社取締役の選任に係る議案が承認されることが前提条件とされております。本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先による当社へのスポンサー支援の実行後は、割当予定先が指定する取締役3名が派遣され、当社事業の再建に向けて取り組む予定です。
当社は、上記のとおり、本第三者割当を行うとともに本株式併合を実施することが最善の選択肢であるとの判断に至りました。
そこで、当社は、本臨時株主総会において株主の皆様のご承認をいただくことを前提に、本第三者割当に係る本新株式の払込み(すなわち、本第三者割当に係る本新株式が全て発行されること)を条件に、当社の株主を割当予定先のみとするために、本株式併合を実施することといたしました。
2.本株式併合の割合
当社普通株式について、4,650,000株を1株に併合いたします。
3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法
本株式併合により、割当予定先以外の当社の少数株主の皆様が所有する当社普通株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
本株式併合の結果生じる1株に満たない端数の処理の方法については、その合計数(会社法第235条第1項の規定により、その合計数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。)に相当する数の株式を、同法第235条その他の関係法令の規定に従って売却し、その端数に応じて、その売却によって得られた代金を少数株主の皆様に交付いたします。当該売却について、当社は、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項及び4項の規定に基づき、裁判所の許可を得て、当該端数の合計数に相当する当社普通株式を割当予定先に売却することを予定しております。
(2)当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
本株式併合に係る端数処理により少数株主の皆様に交付することが見込まれる金銭(以下「本株式併合交付見込金額」といいます。)は、少数株主の皆様が所有する当社普通株式の数に、本第三者割当における本新株式の払込金額(18円)に対して22.22%のプレミアムを付した金額である22円を乗じた金額に設定することを予定しております。この金額は、本第三者割当に係る取締役会決議日(以下「本取締役会決議日」といいます。)の前営業日である2023年10月25日の当社普通株式の終値(以下「終値」といいます。)313円に対しては92.97%のディスカウントとなります。しかしながら、上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、本株式併合交付見込金額は、当社の財務体質の抜本的な改善のためには資金注入が必要不可欠であり、仮に資金注入が早期に実行されなければ、当社の足元の資金繰りは極めて困窮することになるため、事業の継続が困難となる懸念があり、株価の下落等を通じて当社の少数株主の皆様をさらなるリスクにさらすおそれがあるといった状況のもとで、複数のスポンサー候補との間で真摯な協議及び交渉を行った結果決定された金額であることから、当社及び当社の少数株主の皆様にとって最善の条件であると判断しております。
以上により、当社は、本株式併合交付見込金額(22円)については、相当であると判断しております。
(3)本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
① 当社における独立した第三者算定機関からの算定書及びフェアネス・オピニオンの取得
当社は、足元の厳しい経営環境下において、当社にとって最も有利かつ実現可能な条件での資金調達を目指すべく、上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、スポンサー候補に対するスポンサー支援の打診の過程において、複数のスポンサー候補との間で真摯な協議及び交渉を行いました。その結果、YMCapitalからの最終提案は、取引金融機関に要請する金融支援の内容、当社に提供可能な資本性資金の金額の多寡、当社が希望する時間軸での資本性資金の提供及びその実現可能性、スポンサーとして参画した後に当社が再生を果たすための当社の経営・事業に関する考え方、事業構造改革を通じた中長期的な事業継続及び今後の企業価値の向上に向けた施策の内容・実現可能性等、当社グループをとりまく状況を踏まえたスポンサー選定において重要と考えられる考慮要素を充足していること、YMCapitalが、当社の事業再生及び事業の再成長に向けた当社にとって唯一具体的かつ実行可能と考えられる条件を提示していること、YMCapital以外に、取引金融機関からの金融支援を期待できる支援策の提案はなく、さらなるスポンサー候補による支援の検討継続は、当社の資金繰り上の観点等からも困難であることから、当社にとって現時点で最善の条件であると判断し、YMCapitalが提示した18円を本新株式の払込金額として決定いたしました。なお、上記の最終提案はYMCapitalの名義で提出されておりますが、YMCapitalは松島陽介氏の資産管理会社であり、割当予定先は松島陽介氏が本新株式の引受けを主たる目的として設立した株式会社Infinity brand capitalとなります。
本新株式の払込金額は、本取締役会決議日の前営業日である2023年10月25日の株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)における当社普通株式の終値313円に対しては、92.97%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、株価に対するディスカウントの数値(%)において同じとします。)のディスカウント、本取締役会決議日の直前1か月間(2023年9月26日から2023年10月25日まで)の終値単純平均値である295円(小数点以下四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じとします。)に対しては92.53%のディスカウント、同直前3か月間(2023年7月26日から2023年10月25日まで)の終値単純平均値である321円に対しては93.15%のディスカウント、同直前6か月間(2023年4月26日から2023年10月25日まで)の終値単純平均値である334円に対しては93.41%のディスカウントとなります。
当社は、上記の協議及び交渉の結果を踏まえて、本新株式の払込金額及び本株式併合交付見込金額を決定するに当たり、また、本臨時株主総会における少数株主の皆様の議決権行使の参考に資するために、第三者算定機関である赤坂国際会計に対して、当社普通株式の株式価値の算定並びに本新株式の払込金額及び本株式併合交付見込金額が、当社の少数株主の皆様にとって財務的見地から妥当である旨の意見書(以下「本フェアネス・オピニオン」といいます。)の提出を依頼いたしました。なお、赤坂国際会計の報酬は、本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、当該スポンサー支援の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、第三者算定機関である赤坂国際会計は、当社並びにYMCapital及び割当予定先の関連当事者には該当せず、当該スポンサー支援に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。
赤坂国際会計は、当社普通株式の株式価値の算定手法を検討した結果、①市場株価平均法、②類似会社比較法、③ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)の各算定方法のうち、DCF法を採用して、当社普通株式の株式価値の算定を行い、当社は、2023年10月26日付で、株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)を取得しております。また、当社は、2023年10月26日付で、赤坂国際会計から本フェアネス・オピニオンを取得しております。
本株式価値算定書によれば、各手法に基づいて算定された当社普通株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
DCF法:0円~18円
赤坂国際会計が当社普通株式の株式価値の算定にDCF法を採用した理由は以下のとおりです。
まず、①市場株価平均法については、本株式価値算定書作成時点において、上場廃止を前提とした当社の業績見通し等が公表されていないことや、既に公表された本事業再生ADR手続に関する楽観的なシナリオに基づく投機的な取引が価格形成に一定の影響を与えている可能性があること等から、本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援又は取引金融機関による債務免除の同意等をいただけない場合に想定される、当社の事業継続に及ぼす重要な影響が市場株価に十分に反映されていない可能性が高いと考えられ、市場株価平均法を適用する前提となる適切な情報開示がなされていないことによる株価への重要な影響が無視し得ないものであると考えられるため、当該算定手法を採用しないものと説明されております。
また、②類似会社比較法については、当該算定手法において一般的に使用される基準財務指標である利益・純資産・EBITDA等が、当社においては、直近でいずれもマイナスとなることが見込まれており、適切に類似会社比較法を採用することが困難であると考えられるため、当該算定手法を採用しないものと説明されております。
一方、当社普通株式の株式価値の算定に採用されている③DCF法については、事業の将来のキャッシュ・フロー(収益力)に基づく算定手法であり、事業継続を前提とした場合の価値算定を行う上で適切な手法の一つであると考えられており、本株式価値算定書においては、当社が赤坂国際会計に提供した事業計画等を検討し、算定基準日時点での当該事業計画を前提とした将来のキャッシュ・フローに基づき、DCF法による株式の価値を算定するものと説明されております。
DCF法では、当社新経営会議にて十分に審議の上、当社が提出した2023年12月期から2027年12月期までの事業計画に基づく収益予測や投資計画等、合理的と考えられる前提を考慮した上で、当社が2023年12月期第3四半期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを基に、事業リスクに応じた一定の割引率で現在価値に割り引いて企業価値を評価しております。割引率は、加重平均資本コスト(WACC)である10.8%~11.6%を採用しており、継続価値の算定にあたっては永久成長率法を採用し、永久成長率を-1.0%~1.0%として算定し、当社普通株式の1株当たりの株式価値の範囲は、0円から18円と算定されています。
赤坂国際会計が、DCF法の算定の前提とした当社の財務予測の具体的な数値は以下のとおりです。
以下の財務予測は、本対象債権者に対して要請することとなる債務免除、本第三者割当を含む当社普通株式の上場廃止を前提としたものです。当該財務予測においては、2024年12月期まで、中長期的な成長マーケットであるコミュニケーション・コンテンツの企画制作の事業領域の成長を上回るスピードで、当社の収益の柱であったビジュアル・コンテンツの企画制作の事業が縮小する傾向が継続することを見込んでいる一方、稼働人員数の減少に伴う報酬・給与等の減少、業績進捗を勘案した賞与勘定の抑制など人件費のコントロールを継続し、また、非中核部門の見直しにより事業及び組織の最適化を図ることなどで、固定的な費用の削減に努めた効果が発現することが前提とされています。
(単位:百万円)
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2023年12月期 (6か月) |
2024年12月期
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2025年12月期
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2026年12月期
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2027年12月期
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売上高 |
6,045 |
10,857 |
11,415 |
11,801 |
12,118 |
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営業利益 |
△239 |
△27 |
179 |
216 |
273 |
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EBITDA |
△144 |
190 |
431 |
500 |
532 |
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フリー・キャッシュ・フロー |
△473 |
△196 |
114 |
203 |
300 |
なお、本株式価値算定書において採用されたDCF法に関し、本株式価値算定書では、当社の事業が計画期間終了後も継続することを前提とした場合の株式価値を算定しておりますが、金融機関からのバックアップが得られない等の要因により、計画期間中又は計画期間終了後に事業の継続が困難になる状況は想定されておらず、この点について、このような事業継続が困難となる状況を想定した場合には、本株式価値算定書におけるDCF法による算定結果よりも低い株式価値が算定される可能性があるとの見解が本株式価値算定書において示されています。
② 当社における当社の経営者並びにYMCapital及び割当予定先からの独立性並びに本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援の成否からの独立性が認められる者からの意見の取得
本第三者割当は、大規模な希薄化と支配株主の異動を伴うのみならず、本第三者割当の発行条件が割当予定先に特に有利なものであり、また、その後に当社普通株式の上場廃止及び割当予定先による当社の完全子会社化及が予定されていることから、当社の少数株主の皆様へ与える影響の大きさを踏まえて、当社の意思決定の過程の公正性、透明性及び客観性を確保すべく、2023年9月20日付の当社取締役会決議に基づき、当社の経営者並びにYMCapital及び割当予定先からの独立性並びに本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援の成否からの独立性が認められる者として、当社の社外取締役である飛松純一氏、当社の独立役員として東京証券取引所に届け出ている社外取締役である平田静子氏、及び当社の独立役員として東京証券取引所に届け出ている社外監査役である西井友佳子氏の3名で構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置いたしました。なお、本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず固定額の報酬を支払うものとされており、当該報酬には、本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援の全部又は一部の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。
そして、当社は、2023年9月26日付で、本特別委員会に対して、①本第三者割当に係る資金調達の必要性、②本第三者割当に係る手段の相当性、③本第三者割当に係る発行条件の相当性、並びに④当社普通株式の上場廃止及びこれに引き続いて行われる本株式併合によるスクイーズアウトの実施に関して、当社が本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援に関する決定をすることが当社の少数株主にとって不利益なものでないかについて諮問し、以下の内容の答申書を2023年10月26日付で取得しております。
(本特別委員会の答申書の概要)
①答申内容
(ⅰ)本第三者割当に係る資金調達の必要性は認められると考えられる。
(ⅱ)本第三者割当に係る手段は相当であると考えられる。
(ⅲ)本第三者割当に係る発行条件は相当であると考えられる。
(ⅳ)当社普通株式の上場廃止及びこれに引き続いて行われる本株式併合によるスクイーズアウトの実施に関して、当社が本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援に関する決定をすることが当社の少数株主にとって不利益なものでないと考えられる。
②答申理由
(ⅰ)本第三者割当に係る資金調達の必要性
・ 当社グループでは、1979年の創立以来、広告業界を中心としてビジュアルコミュニケーション事業で順調に業績を拡大し、2019年12月期連結会計年度で売上高22,901百万円となるまでに成長してきた。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、新商品発売の遅延や中止、イベント等のプロモーション活動の制限など、企業の広告宣伝費・販売促進費の削減による影響が生じた。この結果として、2020年12月期連結会計年度において、売上高が17,198百万円(前期比24.9%減)と著しく減少し、営業損失1,526百万円を計上したうえ、不適切会計事案の調査に関する費用等の特別損失の計上などで親会社株主に帰属する当期純損失2,486百万円を計上した結果、983百万円の債務超過となった。さらに一部の長期借入金について財務制限条項に抵触したことで、短期的な資金繰りへの懸念が生じた。これらの状況を受けて、債務超過の早期解消に向けた計画を策定したが、さらなる財務体質の抜本的な改善を目指して、2021年8月に第三者割当増資による普通株式及びA種優先株式の発行により総額約11億円の資金調達を行った。
・ しかしながら、デジタル技術の進化やメディアの多様化により常に経営環境が変化する中で、特に当社グループへの影響が大きい広告業界においては、4マス広告からインターネット広告という潮流の変化が生じている。また、広告代理店においても内制強化といった動きもみられ、さらに、当社グループにおいては業績低迷が継続したことで従業員のモチベーションの低下が続き、営業及び制作進行を担う人材の流出が継続した。このため、中長期的な成長マーケットであるコミュニケーション・コンテンツの企画制作の事業領域の成長を上回るスピードで、当社の収益の柱であったビジュアル・コンテンツの企画制作の事業が大きく縮小することとなった。この結果として、2022年12月期連結会計年度では売上高が14,165百万円(前期比19.2%減)まで減少した。また、2022年12月期連結会計年度末において、当社が株式会社りそな銀行をアレンジャーとする取引金融機関8行と締結しているシンジケート方式によるコミットメントライン契約及びタームローン契約に定める財務制限条項に抵触しており、同時に、RKDファンドと締結している株式投資契約に定める財務制限条項に抵触していることから、短期的な資金繰りへの懸念が生じている。これらの状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識している。
・ このような厳しい経営環境のもと、さらに当社従業員による不適切な取引の疑義が2022年11月下旬に生じたことで、当社は、同年12月に特別調査委員会の設置を行い、2023年5月にその調査結果を公表することとなった。これらの不適切な取引を調査するために調査費用656百万円を計上するなど、2023年第2四半期連結累計期間においても親会社株主に帰属する四半期純損失1,084百万円を計上し、3,611百万円の債務超過となった。これに加えて、当社は、厳しい外部環境のもとでさらに追加の損失が計上されることも予想されており、借入金合計7,114百万円については取引金融機関から返済猶予を受けている。そのため、財務体質を抜本的に改善するための資本増強施策がなければ法的整理に至る可能性が極めて高い状況に陥っている。
・ このような状況に照らすと、スポンサー支援に至る背景となる当社の財務状況及び経営環境については、当社の属する業界及び市場の環境として一般に説明されている内容や当社取締役会の理解とも整合すると考えられる。
・ 以上の事実関係を踏まえると、一刻も早い資本性の資金調達と財務状態の抜本的な改善がなされない場合には、当社の事業継続が困難になるおそれが極めて高いと考えられる。
以上の点より、本第三者割当に係る資金調達は必要であると考えられる。
(ⅱ)本第三者割当に係る手段の相当性
・ 公募増資による普通株式の発行については、第53期有価証券報告書にて公表のとおり、当社の第53期連結財務諸表に「継続企業の前提に関する注記」を記載しており、証券会社の引受けにより行われる公募増資の実施はそもそも困難と考えられる。また、ライツオファリング・株主割当についても、株価動向等を踏まえた割当株主の判断により、新株予約権が必ずしも全て行使されるとは限らず、また、全ての株主が割り当てに応じるとも限らないことから、最終的な資金調達金額が不確実であり、確実に必要金額を調達できることが担保できず、現時点における適切な選択肢ではないと考えられる。
・ 上記に記載のとおり、当社は既に債務超過状態で、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していることからすれば、証券会社による引受けを伴う公募増資の実施は困難であり、その確実性も高くないと考えられる。また、新株予約権の発行・ライツオファリングや株主割当といった手法も想定されるところ、これらの手法は調達金額に不確実性が伴うことから、当社が必要とする資金の全てを調達する方法としては適切ではないと考えられる。そのため、特定の第三者を引受人とする第三者割当増資を含むスキームを採用することは、確実かつ合理的な資金調達方法であって、当該判断に不合理な点はない。なお当社は、本事業再生ADR手続において本対象債権者より債務免除を含む本事業再生計画案への同意を得ることを最優先とし、金融機関からの追加借入による資金調達やその他の資本支援は当社にとって現実的又は利用可能な選択肢ではないと判断したが、当該判断は当社グループの厳しい経営環境を踏まえれば合理的である。
・ このように、第三者割当増資という手段が相当であるという判断のもと、本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援は、当社グループの現在の経営環境及び財務状況を踏まえた合理的なものであり、当社における今後の再成長に向けた強固な収益構造の確立と財務体質の抜本的な改善のための施策として、評価し得るものであると考えられる。
・ すなわち、上記のとおり、当社は既に債務超過状態で、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しており、早急に財務体質を抜本的に改善するための資本増強施策がなければ法的整理に至る可能性が極めて高い状況に陥っていると考えられる。また、そのような厳しい経営状況を乗り越えて、今後の再成長に向けた強固な収益構造の確立と財務体質の抜本的な改善を果たすためには、本事業再生ADR手続を通じた本対象債権者による債務免除の同意等が必要不可欠であることも是認できる。その上で、当社は、事業再生に理解を有する事業会社及び金融投資家を中心に100社以上に対して順次スポンサー支援の検討を依頼し、広くスポンサー候補を募る機会を確保した。その中で複数のスポンサー候補との間で真摯な協議及び交渉を行った結果、(ⅰ)YMCapitalからの最終提案のみが、当社グループをとりまく状況を踏まえたスポンサー選定において重要と考えられる考慮要素を充足し、当社の事業再生及び事業の再成長に向けた当社にとって唯一具体的かつ実行可能と考えられる条件を提示していた一方で、(ⅱ)YMCapital以外に、本対象債権者からの金融支援を期待できる支援策の提案はなく、さらなるスポンサー候補による支援の検討継続は、当社の資金繰り上の観点等からも困難であることから、当社及び当社の少数株主にとって最善の条件であると判断したとのことであるが、当該説明に不合理な点は存しない。
以上の点より、本第三者割当は、厳しい経営環境に置かれている当社において、確実かつ合理的な資金調達方法であり、また、当社が事業を継続するための手段として合理的な手段であることから、当該手段を用いることには相当性が認められる。
(ⅲ)本第三者割当に係る取引条件の相当性
a. 本新株式の払込金額の相当性
・ 本新株式の払込金額は、本取締役会決議日の前営業日である2023年10月25日の東京証券取引所における当社普通株式の終値313円に対しては、92.97%のディスカウント、本取締役会決議日の直前1か月間(2023年9月26日から2023年10月25日まで)の終値単純平均値である295円に対しては92.53%のディスカウント、同直前3か月間(2023年7月26日から2023年10月25日まで)の終値単純平均値である321円に対しては93.15%のディスカウント、同直前6か月間(2023年4月26日から2023年10月25日まで)の終値単純平均値である334円に対しては93.41%のディスカウントとなっている。
・ 本新株式の払込金額は、当社が大幅な債務超過であり、さらに追加の損失が計上されることも予想されていることを踏まえ、かつ、弁済期限が到来する借入金について返済猶予を受けている中で、スポンサー支援の前提でもある取引金融機関から金融支援の同意を得る必要がある状況下において、複数のスポンサー候補との協議及び交渉を重ねた結果として最終的に合意したものであることが認められる。
・ 加えて、当社は、上記の協議及び交渉の結果を踏まえて、本新株式の払込金額及び本株式併合交付見込金額を決定するに当たり、また、本第三者割当及び本株式併合に係る議案を付議する予定の臨時株主総会における少数株主の議決権行使の参考に資するために、第三者算定機関である赤坂国際会計から、2023年10月26日付で本株式価値算定書を取得した。
・ 本特別委員会は、赤坂国際会計が当社普通株式を評価する前提とする、当社新経営会議にて十分に審議の上、当社が提出した2023年12月期から2027年12月期までの事業計画(以下「本事業計画」といいます。)について、当社及びフロンティア・マネジメントからの説明を踏まえ、以下のとおり、当該事業計画の作成経緯及び当社の事業環境等を把握した上で検討した。
・ 当社は、当社グループ各社の事業計画、当社の当面の投資計画、及び追加で支出が想定される費用等を考慮した上で、マクロ指標等を参照して本事業計画を作成している。また、本事業計画は、YMCapital及びその他のスポンサー候補からの客観的な意見も踏まえつつ、当社新経営会議にて、当社の業務執行を担当する経営陣を中心に十分に審議がなされ、当社の厳しい経営環境下を踏まえて、現実的な収益の見通しや、当社の事業再建に必要なリストラクチャリング・構造改革に要する費用等を精査したものである。
・ さらに、本特別委員会は、本事業計画の前提や実現可能性について、当社及びフロンティア・マネジメントに対して質疑応答を繰り返し実施し、検証を行った結果、本事業計画の内容に不合理な点は認められない。
・ したがって、赤坂国際会計が作成した本株式価値算定書は準拠できるものと評価した。
・ そして、本新株式の払込金額は、赤坂国際会計がDCF法によって算定した当社普通株式の株式価値の範囲内の価格である上、その上限値と同じ金額であるところ、当該算定結果において採用されたとされる各算定方法及び内容についても不合理な点は認められない。
・ また、当社は、赤坂国際会計より、本新株式の払込金額及び本株式併合交付見込金額が、当社の少数株主にとって財務的見地から妥当である旨の本フェアネス・オピニオンを取得している。
・ これらの点を踏まえれば、本新株式の払込金額は相当なものと認められる。
b. 希薄化の相当性
・ 本第三者割当により発行される本新株式は33,000,000株(議決権数は330,000個)であり、2023年6月30日現在の当社発行済株式総数5,579,200株に対する比率は591.48%であり、2023年6月30日現在の当社議決権総数52,602個に対する比率は627.35%である。
・ YMCapitalからの最終提案は、当社の既存株式の大幅な希薄化を含むものであり、当社の少数株主に重大な影響を与えるものであるが、当社の財務体質の抜本的な改善のためには大規模な資金注入が必要不可欠であり、仮に資金注入が早期に実行されなければ、当社の足元の資金繰りは極めて困窮することになるため、事業の継続が困難となる懸念があり、株価の下落等を通じて当社の少数株主をさらなるリスクにさらすおそれがあるといった状況に対応するものであり、現時点で取り得る唯一かつ最善の策である。当該前提のもとで、①当社には資金調達の必要性が認められるところ、本第三者割当による調達資金は原則として運転資金及び借入金の弁済にのみ充当することを予定しており、本第三者割当の発行規模は、あくまで当社として必要不可欠と考える資金不足の状況を解決するために必要な規模に設定されていること、②割当予定先に対する本第三者割当は、他の資金調達方法との比較においても、最も適切な資金調達手法と考えられること、③本新株式の払込金額についても、当社をとりまく状況を踏まえれば、当社にとって現時点で最善の条件であり、本株式価値算定書で示された当社普通株式の株式価値の算定結果に照らしても公正性及び妥当性が認められると判断できることといった事情を踏まえれば、本第三者割当によって生じる大規模な希薄化を考慮してもなお、本第三者割当を実行することには合理性が認められると考えられる。
以上の点より、本新株式の払込金額は相当なものであり、本第三者割当によって生じる大規模な希薄化を考慮してもなお本第三者割当を実行することには合理性が認められることから、本第三者割当に係る取引条件は相当であると考えられる。
(ⅳ)当社普通株式の上場廃止及びこれに引き続いて行われる割当予定先による本株式併合によるスクイーズアウトの実施に関して、当社が本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援に関する決定をすることが当社の少数株主にとって不利益なものでないか
a. 当社普通株式の上場廃止及び本株式併合によるスクイーズアウトの相当性
・ 当社は財務体質を抜本的に改善するための資本増強施策がなければ法的整理に至る可能性が極めて高い状況に陥っており、仮に大規模な資本増強が早期に実行されなければ、当社グループの足元の資金繰りが滞って事業継続が困難となるため、当社普通株式の株式価値が著しく毀損する状況にあると考えられる。その中で、複数のスポンサー候補との間で真摯な協議及び交渉を行った結果、(ⅰ)YMCapitalからの最終提案のみが、当社グループをとりまく状況を踏まえたスポンサー選定において重要と考えられる考慮要素を充足し、当社の事業再生及び事業の再成長に向けた当社にとって唯一具体的かつ実行可能と考えられる条件を提示していた一方で、(ⅱ)YMCapital以外に、本対象債権者からの金融支援を期待できる支援策の提案はなく、さらなるスポンサー候補による支援の検討継続は、当社の資金繰り上の観点等からも困難であることから、当社及び当社の少数株主にとって最善の条件であると判断したとのことであるが、当該説明に不合理な点は存しない。
・ また、YMCapitalは、短期的には一定のリストラクチャリングにかかる費用の負担が生じるなどのリスクがあると認識しており、また、仮に上場維持を続けた場合には、内部統制システムをはじめとしたコーポレート・ガバナンス体制の維持・構築に多額の費用が掛かることなどから、上場維持したまま少数株主をリスクにさらすことは不適当であるため、当社の少数株主にとっても、合理的な対価を支払ったうえで、当社を非公開化することが当社の少数株主の利益にも資すると考えたとのことであるが、上記のような状況を踏まえれば、その説明には不合理な点は認められない。
・ 加えて、当社は既に債務超過に陥っており、当社の現在及び将来のキャッシュ・フローや足元の資金繰りの状況を踏まえると、本株式価値算定書にも表れているとおり、当社普通株式の実質的な株式価値は、市場価格に比して著しく低いと考えられるほか、スポンサー支援を受けられず法的整理に至った場合には、株式は無価値なものとなる事態も想定される。
・ したがって、この段階で、少数株主に対して上記のとおり公正かつ妥当と認められる本株式併合交付見込金額を支払うことは、少数株主に対しても合理的な救済策となると考えられる。
b. スクイーズアウト価格(本株式併合交付見込金額)の相当性
・ 本株式併合交付見込金額は、本取締役会決議日の前営業日である2023年10月25日の東京証券取引所における当社普通株式の終値313円に対しては、92.97%のディスカウント、本取締役会決議日の直前1か月間(2023年9月26日から2023年10月25日まで)の終値単純平均値である295円に対しては92.53%のディスカウント、同直前3か月間(2023年7月26日から2023年10月25日まで)の終値単純平均値である321円に対しては93.15%のディスカウント、同直前6か月間(2023年4月26日から2023年10月25日まで)の終値単純平均値である334円に対しては93.41%のディスカウントとなっている。
・ 本株式併合交付見込金額は、当社が大幅な債務超過であり、さらに追加の損失が計上されることも予想されていることを踏まえ、かつ、弁済期限が到来する借入金について返済猶予を受けている中で、スポンサー支援の前提でもある取引金融機関から金融支援の同意を得る必要がある状況下において、複数のスポンサー候補との協議及び交渉を重ねた結果として最終的に合意したものであることが認められる。
・ 加えて、当社は、上記の協議及び交渉の結果を踏まえて、本新株式の払込金額及び本株式併合交付見込金額を決定するに当たり、また、本第三者割当及び本株式併合に係る議案を付議する予定の臨時株主総会における少数株主の議決権行使の参考に資するために、第三者算定機関である赤坂国際会計から、2023年10月26日付で本株式価値算定書を取得した。
・ 本特別委員会は、赤坂国際会計が当社普通株式を評価する前提とする本事業計画について、その内容に不合理な点は認められず、赤坂国際会計が作成した本株式価値算定書は準拠できるものと評価した。そして、本新株式の払込金額は、赤坂国際会計がDCF法によって算定した当社普通株式の株式価値の範囲内の価格である上、その上限値と同じ金額であるところ、当該算定結果において採用されたとされる各算定方法及び内容についても不合理な点は認められない。その上で、本株式併合交付見込金額は、本株式価値算定書の評価額の上限18円を4円上回り、かつ、本新株式の払込金額(18円)に22.22%のプレミアムを付した金額(22円)となっている。
・ また、当社は、赤坂国際会計より、本新株式の払込金額及び本株式併合交付見込金額が、当社の少数株主にとって財務的見地から妥当である旨の本フェアネス・オピニオンを取得している。
・ これらの点を踏まえれば、本株式併合交付見込金額は相当なものと認められる。
c. 本第三者割当が少数株主にとって不利益でないかの検討に当たってなされた公正性担保措置の内容
・ 本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援においては、以下のような公正性担保措置に則った適切な対応が行われており、その内容に不合理な点は見当たらない。
・ 当社は、YMCapitalから最終意向表明書の提出を受けてから本特別委員会が速やかに設置されており、取引条件の形成過程の初期段階から、本特別委員会が当社とYMCapital及び割当予定先との間の交渉に関与する状態が確保されていた。本特別委員会は、当社の社外取締役2名及び社外監査役1名から構成されており、当該構成員は、当社の経営者並びにYMCapital及び割当予定先からの独立性並びに本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援の成否からの独立性が確認されている。なお、本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず固定額の報酬を支払うものとされている。
・ 本特別委員会においては、当該スポンサー支援に関する検討過程において適時に下記の各アドバイザーの専門的な助言・意見等を取得し、当該スポンサー支援の是非、取引条件の妥当性、取引における手続の公正性等について慎重に検討及び協議を行った。また、本特別委員会は、YMCapital及び割当予定先との間の取引条件に関する交渉過程に、具体的かつ実質的に関与してきた。なお、本特別委員会においては、非公開情報も含めて重要な情報を入手し、これを踏まえて検討・判断を行うことのできる体制が整備されていた。加えて、当社の取締役11名のうち、彦工伸治氏は、当社がフィナンシャル・アドバイザーとして起用しているフロンティア・マネジメントの執行役員を兼務しており、特別利害関係取締役に該当するおそれがあるため、本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援に関する審議及び決議には参加しておらず、当該取締役が関与しない形で当該スポンサー支援の検討・交渉を進めた。このように、当該スポンサー支援の検討・交渉に際しては、適切な社内検討体制、及び利害関係を有する取締役を当該検討・交渉に関与させない体制が整備されていたことが認められる。したがって、以上の点を踏まえれば、当該スポンサー支援の検討に際して、独立性を有する本特別委員会が設置されており、これが有効に機能していることが認められる。
・ 本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援においては、当社は、当該スポンサー支援に係る当社取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を確保するために、当社並びにYMCapital及び割当予定先から独立したリーガル・アドバイザーとして西村あさひ法律事務所・外国法共同事業を選任し専門的助言を受けている。さらに、当社は、当該スポンサー支援の検討に際して、当社並びにYMCapital及び割当予定先から独立したフィナンシャル・アドバイザーであるフロンティア・マネジメント及び第三者算定機関である赤坂国際会計を選定し、赤坂国際会計に当社普通株式の株式価値の算定を依頼し、2023年10月26日付で本価値算定書及び本フェアネス・オピニオンを取得している。なお、フロンティア・マネジメント及び赤坂国際会計は、当社並びにYMCapital及び割当予定先の関連当事者には該当せず、当該スポンサー支援に関して重要な利害関係を有していないことが認められる。
・ 本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援においては、当社は、フロンティア・マネジメントを通じて、当社事業への関心を有し、事業再生に理解を有する事業会社及び金融投資家を中心に、100社以上に対して順次スポンサー支援の検討を依頼し、9月上旬にYMCapitalを含む数社から提案を受け、2社から最終意向表明書の提出を受けた。したがって、当社は、そのスポンサー候補の選定過程にあたり十分なマーケット・チェックを実施していたものと認められる。
・ 本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援においては、当社を含む当事者の開示資料において、本特別委員会に関する情報、本価値算定書に関する情報及び本フェアネス・オピニオンに関する情報等が開示される予定であるものと認められる。
以上の点より、当社普通株式の上場廃止及び株式併合によるスクイーズアウトに至るまでの判断に不合理な点は認められず、当社の現状を踏まえれば、本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援に係る取引条件は相当であり、現段階で、少数株主に対して公正かつ妥当と認められる本株式併合交付見込金額を支払うことは、少数株主に対しても合理的な救済策となると考えられ、本特別委員会において、当該スポンサー支援による当社の子会社化が当社の少数株主にとって不利益なものであると考える事情等は特に見当たらなかったことからすれば、当社が当該スポンサー支援に係る取引に関する決定をすることは、当社の少数株主にとって不利益なものではないと考えられる。
③ 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、リーガル・アドバイザーとして、西村あさひ法律事務所・外国法共同事業を選定し、同事務所より、本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援の諸手続を含む取締役会の意思決定の方法・過程等について、法的助言を受けております。なお、西村あさひ法律事務所・外国法共同事業は、当社並びにYMCapital及び割当予定先から独立しており、当社並びにYMCapital及び割当予定先との間に重要な利害関係を有しておりません。
④ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認
2023年10月26日開催の取締役会においては、彦工伸治氏を除く10名が審議及び決議に参加し、決議に参加した取締役全員一致により上記決議を行っております。なお、当社取締役の彦工伸治氏は、当社がフィナンシャル・アドバイザーとして起用しているフロンティア・マネジメントの執行役員を兼務しており、特別利害関係取締役に該当するおそれがあるため、本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援に関する審議及び決議には参加しておりません。
4.本株式併合がその効力を生じる日
本株式併合は、本第三者割当に係る本新株式が全て発行されることを条件に実施されるものであるため、本株式併合に関して、以下のとおり、本第三者割当に係る本新株式が全て発行される時点に応じて、複数の効力発生日(以下「本株式併合効力発生日」といいます。)を定めます。
a.2023年12月31日までに本第三者割当に係る本新株式が全て発行されることを条件として、本株式併合効力発生日を2024年1月31日といたします。
b.2024年1月1日以降、2024年1月31日までに本第三者割当に係る本新株式が全て発行されることを条件として、本株式併合効力発生日を2024年2月29日といたします。
c.2024年2月1日以降、2024年2月29日までに本第三者割当に係る本新株式が全て発行されることを条件として、本株式併合効力発生日を2024年3月31日といたします。
d.2024年3月1日以降、2024年3月31日までに本第三者割当に係る本新株式が全て発行されることを条件として、本株式併合効力発生日を2024年4月30日といたします。
e.2024年4月1日以降、2024年4月30日までに本第三者割当に係る本新株式が全て発行されることを条件として、本株式併合効力発生日を2024年5月31日といたします。
以 上