当社グループでは、長年培った自社通信技術を基礎として「モバイル・ワイヤレスコミュニケーションのパイオニア(先駆者)」として成長を続けつつ、より良い製品・サービスを提供することによって経済社会に貢献していくことを社是としております。
また、当社グループの提供する通信技術・製品が、人と人とのコミュニケーションだけでなく、人と機械、あるいは機械と機械の通信に幅広く使われること、また、コミュニケーションの円滑化を通して実りある豊かな社会が創造されることを願い、『新しい「伝わる」と新しい「つながる」でつぎの「楽しい」を創る』を経営理念として掲げております。
当社グループでは、高付加価値による収益性の高い企業を目指しており、経営指標としては売上高、営業利益率及び時価総額を重要な経営指標として考えております。
また、M&A等の投資につきましては、グループ戦略上の意義と回収の態様、そして回収期間を明確にしてガバナンスを効かせることによりバランスを図っております。
当社グループでは、技術開発力に裏打ちされたデバイス製品だけではなく、サーバーや管理システム、さらにはエンドユーザーに対するアプリケーションをワンストップで提供することにより、IoT市場全体をカバーすることで、高い収益性を維持し、また会社財産の安定性を確保した経営を行っております。
加えて、今後の社会環境の変化を捉え、企業としての社会的責任を果たし、早期の営業黒字化と新たな収益の柱となる事業拡大を行うため、IoT関連事業主体の現在の事業モデルから、成長分野へ大きく事業展開を行う施策を講じてまいります。
なお、中期的経営戦略において注力すべき事項は以下のとおりであります。
① 付加価値の最大化
・株主、社員への利益還元の拡大
・企業価値の増大
② 収益性の向上
・現在の成長の維持と管理コストの比率の低減
・グループ連携をした、高付加価値サービスの創造
③ コアコンピタンスの強化
・ネクスコインの価値向上によるネクスコイン経済圏の拡大
・成長分野であるメタバース・デジタルコンテンツ事業の拡大
・モバイル通信技術の資産応用により、AI・VRなどの最新技術を取り入れたIoTデバイス及びサービスの開発
④ 事業シナジーの追求
・「ブロックチェーン」、「トークン」、「メタバース」を掛け合わせた、Web3.0サービスの提供
・IoTの戦略資産に、「メタバース」などの新たな強みを加えた「デジタルツイン」市場での展開
「メタバース」市場規模は、アメリカの市場調査・コンサルティング会社のEmergen Researchが、「世界のメタバース市場規模は2020年に476.9億米ドルに達し、2028年までには8,289.5億米ドルへ拡大するだろう」との予想を発表するなど、成長性が非常に高く注目されている市場です。しかし日本国内での「メタバース」はまだ黎明期と言える状態です。黎明期は、メタバース参入企業向けの「インフラ」「サービス・コンテンツ」の開発需要に応えながら、ユーザー体験をサポートする機器(モーショントラッキング)などを提供することで、市場の成長を後押しすることが重要と考えます。
また、「デジタルコンテンツ」は、日本国内の2022年の市場規模は、10兆1,545億円(前年比104.7%)と前年を上回り、順調に成長をしており、コンテンツ市場全体に占める割合も76.5%と4分の3を超える規模となっております。電子書籍は、2020年以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による「巣ごもり消費」の対象として、前年比2割から3割の大幅成長となっています。2022年は「巣ごもり消費」が一巡したこともあり成長率は前年までと比べると鈍化したものの、拡大した利用者層の消費行動が一定程度定着し10%以上の成長を記しております。
さらに、このような成長分野の両市場を下支えする技術としてIoTの整備が重要と捉えております。
当社グループは営業利益黒字化並びに売上拡大を目指すことが当面の対処すべき課題であると認識しており、以下に示す取り組みを推進してまいります。
① IoT関連事業の拡大
IoT市場の成長にあわせ事業拡大を図るとともに、注目の高いAIを活用した画像認識分野、自動車テレマティクス分野、フィンテック分野(ブロックチェーン、暗号資産関連)のサービスの拡大を目指します。
② 新たな事業収益の確保
新たな収益の柱となる成長分野へ進出をしてまいります。M&Aなどにより、すでに一定の利益の確保ができている新規事業へ参入することで、事業収益性の強化を図ります。
③ 財務体制の強化
今後の成長に向けた各種資本政策を推進してまいります。
④ 事業ポートフォリオの分散化
今まで培ってきた通信機器開発のノウハウをベースに異業種へのIoT化を推進してまいります。あわせて、通信機器ハードのみの提供に限らず、ソフトウェアを含めたトータルソリューションの提供を目指します。
⑤ ブランドイメージ戦略
積極的な広報活動の推進を行ってまいります。
当社は「効率的で快適な社会の発展に貢献する」ことを企業理念として掲げており、これは2015年に国連サミットで採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」の目的である持続可能な社会の実現に一致していると考えます。当社のサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社のコーポレート・ガバナンス体制は、「
当社は、持続的成長と企業価値向上にあたり、人材は最も重要な経営資源と考えております。従って、多様性に富んだ優秀な人材を積極的に採用し、事業の成長に主体的に取り組める人材の確保と継続的な雇用の創出に努めております。
当社の全社的なリスクに関する課題・対応策を審議・承認する会議体として、代表取締役社長を委員長としたコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、毎月1回開催される経営会議と同時に開催しております。当社のリスク管理体制については、(1)同様、「
当社は「(2) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略」について、本報告書提出日現在において、当該方針についての具体的な指標及び目標を設定しておりません。今後、関連する指標のデータ収集及び分析を進め、開示項目を検討してまいります。
当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項について記載しております。また、当社グループは、当社グループでコントロールできない外部要因や、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても投資判断上重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から、以下に開示しております。
以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
① 研究開発型企業であることについて
当社グループには研究開発型企業が存在するため、常に新しい技術をグループ内に蓄積していくことが競争力の源泉となります。このため、優秀な技術者の確保と育成が困難になった場合、または優秀な人材が流出した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、当社では技術者の保有スキルの社内標準化、継続的な技術者の採用活動に注力しております。
② ファブレス経営について
当社グループは、モバイル通信機器等の製造の大部分を外部にアウトソースしております。このため、アウトソース先企業の経営状況や当社グループによる今後のアウトソース先の開拓・維持、及びグループ内製造の対応の状況が、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、製品ごとにアウトソース先を変更するなどの対応を行いリスクの分散化を図っております。
③ モバイル通信機器需要の変動について
当社グループが開発、製造しているデータ通信端末などのモバイル通信機器は、製品間の競争が激しく、技術の進化、競合製品の状況等により需要動向が大きく変動する傾向を有しております。また、短期間で新製品が投入されるという性質を持っております。当社グループでは、ファブレス経営により需要の変動に対応していく方針でありますが、現時点において当社グループが開発、製造する製品数は少なく特定の製品に依存しているため、競合会社の事業戦略や顧客ニーズの変化等によるモバイル通信機器の需要動向の大幅な変化や販売価格の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、陳腐化しにくい付加価値をつけた機器の開発や、ソフトウェアサービスの開発にも注力をしております。
2023年11月期において、TRICHEER TELECOMMUNICATION LTDへ当社グループの主要なモバイル通信端末の製造をアウトソースしております。当社グループと同社の取引方針の変更や生産体制の変更等が、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、研究開発型企業として複数の知的財産を保有し、特許権の出願・登録、意匠権・商標権の登録を行っております。当社グループは、当社グループの開発、製造する製品が第三者の知的財産権を侵害することがないよう努めており、現時点において侵害はないものと認識しております。ただし、将来において第三者の知的財産権への侵害が生じてしまう可能性は否定できません。当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合、損害賠償請求、信用低下、企業ブランド価値の劣化などにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの知的財産権が第三者によって侵害された場合には、侵害者に対する訴訟やその他防衛策を講じるために経営資源を割くことを余儀なくされ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、モバイル通信機器の開発、製造を行っており、製品に不具合が生じた場合、製品の回収や修理が必要となり、製品の欠陥が理由で事故が生じた場合、製造物責任法(PL法)により損害賠償請求を受ける可能性があります。
当社グループでは、こうした不具合・事故が生じないよう、外注先、仕入先の管理を含め品質管理体制の整備、安全性の向上、法令遵守を推進することに加え、事故が生じたときのために製造物賠償責任保険(PL保険)に加入しております。しかしながら、当社グループの予見できない事由により、重大な不具合やPL法に抵触する事態が生じた場合、回収・修理費用や損害賠償の負担、当社グループに対する顧客企業及び社会全般からの信用低下、企業ブランドの価値劣化などにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、モバイル通信機器の販売・サポート等に関連して個人情報等を保持しております。当社グループでは、取得した個人情報等の外部漏洩を防止するため、個人情報へのアクセス制限、定期的な内部監査による内部統制の強化などにより十分な注意を払っておりますが、個人情報の漏洩が生じた場合、法令違反、顧客企業との契約上の守秘義務違反を引き起こす可能性があります。こうした事態が発生した場合、顧客企業等からの損害賠償請求や、当社グループに対する顧客企業及び社会全般からの信用低下、企業ブランドの価値劣化などにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
株式会社シークエッジ・ジャパン・ホールディングスは本報告書提出日現在において、当社の議決権総数の46.95%を保有しており、当社のその他の関係会社に該当いたします。
当該会社の経営方針の変更等が、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは価格競争力及び収益力の向上等を目的として、海外メーカー等に当社グループ製品の一部を生産委託しております。そのため外貨建ての取引が為替相場の変動による影響を受けることとなります。為替予約等の活用や商品ポートフォリオの組み換え等により影響の軽減に努めておりますが、今後の取引の状況及び為替相場の動向により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、海外または日本の法規制や政策の変更等により、送金が円滑に行い得ない状況となった場合には、当社グループの業務、会計処理に影響を受ける可能性があり、その結果、当社グループの経営成績・財政状態に影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、今後の事業拡大のために、国内外を問わず設備投資、子会社設立、合弁事業の展開、アライ
アンスを目的とした事業投資、M&A等を実施する場合があります。
当社グループといたしましては、投融資案件に対しリスク及び回収可能性を十分に事前評価し投融資を行って
おりますが、投融資先の事業の状況が当社グループに与える影響を確実に予想することは困難な場合もあり、投融資額を回収できなかった場合、当社グループの経営成績・財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、暗号資産運用のリスクとして、暗号資産の価格変動や、暗号資産市場の混乱等で暗号資産市場において取引ができなくなる、または通常より不利な取引を余儀なくされることによる損失リスクや、暗号資産のデリバティブ取引システムの障害、暗号資産取引所のシステムの障害及び経営破綻、サーバーへの不正アクセスによる盗難等があります。当社においてはリスク管理を徹底しておりますが、万が一これらのリスクが顕在化した場合には、対応費用の増加、当社への信用の低下等が発生する可能性があり、当社の経営成績、財政状態に影響を受ける可能性があります。
倉庫等の周辺地域において、大規模な自然災害や事故等が発生し、同施設等に物理的な損害が生じ、販売活動や流通・仕入活動が阻害された場合、また人的被害があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、当社ではあらゆる事象を想定した初動対応と事業継続計画(BCP)を策定し、危機に備えております。
経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、円安傾向の継続やロシア・ウクライナ情勢に起因する資源・原材料価格の高騰など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような事業環境において、当社グループでは、昨年来取り組んでいる暗号資産「ネクスコイン(以下「NCXC」)」の価値向上に向けた取り組みを推進しております。
NCXCのGameFi*1領域での活用に向けた取り組みの一環として、NCXC GameFiプラットフォームの開発が進捗しております。
*1 GameFiとは、ゲームをプレイすることでプレイヤーがトークンなどの経済的インセンティブを獲得できる「Play to Earn」(プレイ・トゥ・アーン)のブロックチェーンゲームを指します。
2023年3月には、Zaif NFT MarketplaceでのNCXCの取り扱いを開始しました。また、2023年9月には、NCXCのGameFiプラットフォームでのユーザビリティの向上と、GameFi分野での革新的な利用を推進するために、NCXCのPolygonチェーン対応を完了しました。
Polygonチェーンは、高速かつ低コストのトランザクションを実現するオープンソースのスケーラブルなブロックチェーンプラットフォームです。
これによりユーザーは、従来のイーサリアムチェーンよりも迅速かつ効率的にNCXCの取引やNFTなどの交換を行うことができるようになりました。
さらに、GameFiプラットフォームの利用手数料低減や手数料無料キャンペーンの実施などによりユーザーに優しい施策が可能となり、非GameFiユーザーを取り込み日本のGameFiを活性化させるというGameFiプラットフォームのビジョン達成に近づく施策となります。
メタバース・デジタルコンテンツ事業での取り組みとしては、主力作品である『静かなるドン』(新田たつお作画)について、株式会社集英社(以下「集英社」)とのコラボレーションにより、2023年5月17日発売の『グランドジャンプ』(集英社発行)で『静かなるドン-もうひとつの最終章-』の連載を開始しました。また、マンガアプリを利用されていない新たな読者層の獲得を目的として、2023年7月から「ボイスコミック」という手法でYouTube公式チャンネルをリリースしました。今後も『静かなるドン』については、さらなる増売施策の実施と、新規読者獲得の2軸を進めてまいります。
一方で、IoT関連事業においては、新商品の5Gモデムの導入が、キャリアのインフラ展開が想定より遅れたことにより、MVNO事業者へのサービス開始が遅れたこと、ローカル5Gにおいて基地局の性能改善などの整備が当初予定より遅れたことにより、想定どおり進みませんでした。
また、自動車の自己診断機能であるOBDⅡの接続コネクターから車の情報をリアルタイムに取得できるOBDⅡ端末は、一部の顧客サーバとの間で発生した不具合対応が影響するなどにより、新規の端末調達受注が当初想定を下回りました。
次に、暗号資産投資事業においては、暗号資産取引における対象暗号資産の相場低迷及び予定していた大型取引が見送りになるなどの理由から、当初見込んでいた売上高を下回っております。
さらに、当社が保有する投資有価証券について、減損処理を実施したため、投資有価証券評価損を特別損失として計上しております。
上記の結果、売上高においては、802百万円(対前期比70.9%減)となりました。それに伴い、営業損失は211百万円(前期は営業利益427百万円)、経常損失は150百万円(前期は経常利益529百万円)、税金等調整前当期純損失は630百万円(前期は税金等調整前当期純利益812百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は657百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益806百万円)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントごとの業績は以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。
持分法適用関連会社の株式会社ワイルドマンでは、VR上のアバターを操作するためのメタバースユーザー向けワイヤレス・モーション・トラッキング装置の開発案件と、VRゲームの自社コンテンツの開発が進捗しております。
株式会社実業之日本デジタルは、いわゆる電子書店(電子書籍配信サイト、Web漫画サイト、漫画アプリ、雑誌読み放題サイトなど)及び電子取次が主な取引先となります。コロナ禍における巣ごもり需要が一巡したものの、電子書籍市場は引き続き堅調であり、同社のロングセラー作品である『静かなるドン』(新田たつお作画)をはじめとする漫画の優良コンテンツが売上を牽引しております。また、既存書店の増売施策として、主要電子書店でのポイント還元施策なども継続的に実施しております。
今後も、図書館・小学校向けサブスクリプションサービスや、『静かなるドン』のさらなるプロモーション施策などの新しい取り組みを続けてまいります。
一方で、のれんの償却を加味した営業損益は、まだマイナスとなっておりますが、進行年度は想定どおり成長しており、今後も各取り組みを遂行していくことで、早期の黒字化を目指してまいります。
この結果、当連結会計年度の売上高は148百万円(対前期比57.8%増)、営業損失は1百万円(前期は営業損失13百万円)となりました。
(IoT関連事業)
株式会社ネクスは、培ってきた自動車テレマティクスをはじめとする様々な分野に対するIoT技術をベースに「IoT×ブロックチェーン技術」、「IoT×AI技術」など、「IoT×新技術」を活用した新たなサービスの提供を目指しております。
AIコンピューティングの分野で様々なプラットフォームを提供しているNVIDIA Corporationが提供するGPU(画像処理やディープラーニングに不可欠な並列演算処理を行う演算装置)を利用したリアルタイム画像認識技術と、マルチキャリア対応の高速モバイル通信技術を搭載した、NCXX AI BOX「AIX-01NX」は、AIプラットフォームのエッジ端末認定やAI開発ベンダーとのAIソフトウェア搭載検証、各通信事業者の動作確認済端末認定を進めております。
AI活用の一つとして流体解析ソリューションの分野において、水処理場や排水ピットなどでの油面検知や濁度検知、異物検知などのエッジAIコンピューターと流体解析AIをパッケージにした「流体解析AIパッケージ」をAnyTech株式会社と共同で開発し、販売を開始しました。従来のAIでは「異常データ」を大量に蓄積し学習させる必要があるなどAI構築までに障壁が多く、断念するケースが多く見られましたが、本パッケージでは、ベースとなるAIモデルを用意することで、正常データを少量用意するところから利用を開始することが可能となっております。

「流体解析AIパッケージ」利用イメージ

「流体解析AIパッケージ」検知例
この1台でカメラ・センサーなどからの情報をリアルタイムにAI分析して分析結果をクラウドに連携することが可能となっており、リテールテック、製造業、セキュリティ、介護見守り、測定・異常監視、分析やシミュレーションによる効率的なモノ作りから都市レベルの課題解決に至るまでその用途はますます拡大していくことが期待され、デジタルツインなどを含めた幅広い分野においても活用が期待される技術であり、今後もこれらの技術をデバイス事業の新たな製品開発に活用してまいります。
データ通信端末につきましては、第5世代移動通信システムである5Gに対応し、Wi-Fi、Ethernetを搭載したバッテリーレスのルーター・モデムとなる、5Gデータ端末「UNX-05G」を開発し、販売を開始しました。5Gは、LTEと比べて超高速・大容量な通信で多数同時接続、超低遅延を実現するもので、KDDI株式会社のIoTの認証、富士通株式会社が提供するローカル5Gスタンドアロンシステム Fujitsu Network PW300との接続検証済製品として認定、日本電気株式会社(NEC)が提供するローカル5G Sub6一体型基地局 UNIVERGE RV1200との「接続検証済端末」として認定されており、今後、日本全国に基地局の展開が計画されております。また、ネットワーク上に仮想空間を構築するメタバース関連サービスの通信インフラとしての活用や、ライブメディアストリーミング、エクステンデットリアリティ(XR)、遠隔医療、建設現場の建機遠隔制御、工場のスマートファクトリー、農業を高度化する自動農場管理、自治体の河川等の監視などの建物内や敷地内でスポット的に柔軟に構築できるローカル5Gへの活用など、地域課題解決や地方創生への対象領域の拡大が期待されております。
テレマティクスにつきましては、法的規制強化と車両管理業務の効率化、ドライバーの減少・高齢化など市場を取り巻く社会環境の影響で需要が増加傾向にあるクラウド型車両管理・動態管理システムにおいて、NTT docomo/KDDI/SoftBankの国内の主なLTE周波数や、みちびき(準天頂衛星システム)など5方式のGNSS*2に対応した通信機能を持ち、より多くの衛星測位システムを使うことで、ビルや樹木などで視界が狭くなる都市部や山間部においても測位の安定性が向上したOBDⅡ型データ収集ユニット「GX700NC」が、市場を確保しており、排気ガス測定・管理や今後増加するEV車の充電・電費・残量管理などのSDGsへの取り組みなどにも活用の範囲が広がることが期待されます。
*2 「GNSS」とは「Global Navigation Satellite System(全球測位衛星システム)」の略で、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等の衛星測位システムの総称です。
農業ICT事業(NCXX FARM)では、農作物の生産、加工、販売を行う6次産業化事業と、特許農法による化学的土壌マネジメント+ICTシステムによるデジタル管理のパッケージ販売を行うフランチャイズ事業の事業化を推進しております。
6次産業化事業では、引き続きスーパーフードとして人気の高いGOLDEN BERRY(食用ほおずき)の生産、販売を行っております。また、加工品としてGOLDEN BERRYアイス、GOLDEN BERRYフレッシュリキュール、セミドライゴールデンベリーを販売しております。
フランチャイズ事業では、自社試験圃場での栽培実績をもとに、自社独自の特許農法(多段式ポット)とICTシステムの提供に加えて、お客様の要望に沿った多種多様な農法・システム・農業関連製品の提供を行う農業総合コンサルティングサービスを展開しております。
この結果、当連結会計年度の売上高は549百万円(対前期比15.6%減)、営業利益は31百万円(対前期比37.8%減)となりました。
(暗号資産・ブロックチェーン事業)
本事業では、NCXCを利用したサービスの向上、NCXCの流通促進、NCXC保有者の拡大を通じたNCXC経済圏の拡大を目指し、価値向上に向けた取り組みを行っております。
NCXC GameFiプラットフォームの開発を行い、ゲーム会社とのアライアンスにより、世の中で既に実績を上げている他社ゲームタイトルを中心に、これらを簡単にPlay to Earnのゲームに転換することのできるプラットフォームサービスの提供を目指します。
また、暗号資産市場の動向と資金効率を踏まえた暗号資産の安定的な運用を行ってまいります。当期は暗号資産の一部売却を行ったことで、営業利益を計上しております。
この結果、当連結会計年度の売上高は60百万円(対前期比92.4%減)、営業利益は27百万円(対前期比96.5%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下資金)の期末残高は、前連結会計年度末と比べて25百万円減少し、483百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により支出した金額は148百万円(前年同期は292百万円の資金支出)となりました。これは主に、資金の増加要因として投資有価証券評価損623百万円、のれん償却額97百万円、売上債権の減少額89百万円があり、減少要因として税金等調整前当期純損失630百万円、投資有価証券売却益134百万円、棚卸資産の増加額75百万円があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により獲得した金額は188百万円(前年同期は354百万円の資金支出)となりました。これは主に、資金の増加要因として投資有価証券の売却による収入276百万円があり、減少要因として有形固定資産の取得による支出47百万円、無形固定資産の取得による支出48百万円があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した金額は66百万円(前年同期は308百万円の資金獲得)となりました。これは主に、資金の減少要因として短期借入金の純減額50百万円があったことによります。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 メタバース・デジタルコンテンツ事業、暗号資産・ブロックチェーン事業及びその他事業については、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
2 金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 メタバース・デジタルコンテンツ事業、暗号資産・ブロックチェーン事業及びその他事業については、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
2 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(注) 前連結会計年度における合同会社アスタラビスタに対する販売実績は、連結損益計算書の販売実績の10%未満であるため、記載を省略しております。当連結会計年度における株式会社フィスコ(旧株式会社フィスコ・コンサルティング)、及び株式会社Zaif(旧株式会社カイカエクスチェンジ)に対する販売実績は、連結損益計算書の販売実績の10%未満であるため、記載を省略しております。
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。なお、キャッシュ・フローの状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(資産)
資産の残高は、前連結会計年度末と比較して454百万円減少し、3,080百万円となりました。この主な要因は、売掛金が89百万円減少、投資有価証券が500百万円減少、のれんが97百万円減少したものの、仕掛品が77百万円増加したことによります。
(負債)
負債の残高は、前連結会計年度末と比較して108百万円減少し、118百万円となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金が32百万円減少、借入金残高(※)が67百万円減少、未払費用が33百万円減少したことによります。
(純資産)
純資産の残高は、前連結会計年度末と比較して345百万円減少し、2,961百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が657百万円減少したものの、その他有価証券評価差額金が309百万円増加したことによります。
(※)短期借入金、1年内返済予定の長期借入金、長期借入金残高の合計
当社グループの当連結会計年度における経営成績は、以下のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、802百万円(前期比70.9%減)となりました。
詳細につきましては「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 当期の経営成績の概況」に記載したとおりであります。
(売上総利益)
売上高総利益率は、前連結会計年度より15.5ポイント減少し、46.3%となり、売上総利益は、371百万円(前期比78.2%減)となりました。
(営業損益)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より減少し、582百万円(前期比54.3%減)となりました。
以上の結果、売上高営業利益率は、前連結会計年度より41.9ポイント減少し、△26.4%となり、営業損失は211百万円(前期は427百万円の営業利益)となりました。
(経常損益)
営業外収益は70百万円(前期比45.9%減)となりました。これは主に為替差益の減少によるものであります。営業外費用は9百万円(前期比67.6%減)となりました。これは主に支払手数料の減少によるものであります。
以上の結果、経常損失は150百万円(前期は529百万円の経常利益)となりました。
(特別損益)
特別利益は142百万円(前期比81.7%減)となりました。これは主に関係会社株式売却益の減少によるものであります。特別損失は623百万円(前期比25.8%増)となりました。これは主に投資有価証券評価損の増加によるものであります。
(税金等調整前当期純損益)
以上の結果、税金等調整前当期純損失は630百万円(前期は812百万円の税金等調整前当期純利益)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は657百万円(前期は806百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
当社グループは現在、必要な運転資金、設備投資及び投融資資金については、自己資金、借入及び保有株式の売却といった資金調達方法の中から、諸条件を総合的に勘案し、最も合理的な方法を選択して調達していく方針であります。当連結会計年度末におきましては、1年内返済予定の長期借入金11百万円となりました。
当社グループは、今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金等を調達していく方針であります。
当社では、メタバース・デジタルコンテンツ事業を戦略的注力分野とした取り組みを行っております。
「メタバース」の市場規模は、アメリカの市場調査・コンサルティング会社のEmergen Researchが、「世界のメタバース市場規模は2020年に476.9億米ドルに達し、2028年までには8,289.5億米ドルへ拡大するだろう」との予想を発表するなど、成長性が非常に高く注目されている市場です。また、「デジタルコンテンツ」は、日本国内の2022年の市場規模は、10兆1,545億円(前年比104.7%)と前年を上回り、順調に成長をしており、コンテンツ市場全体に占める割合も76.5%と4分の3を超える規模となっております。
当社では、仮想空間で提供されるコンテンツ制作やそのサポート、電子書籍をはじめとするデジタルコンテンツの取り扱い、ブロックチェーン技術を利用したトークン「ネクスコイン」を活用したサービスの提供、仮想空間を楽しむためのハードウェアの開発・販売などを検討してまいります。
また、上記のサービスの提供に欠かせないインフラの整備としてIoT関連サービスの拡充、「IoT×ブロックチェーン技術」、「IoT×AI技術」など、「IoT×新技術」を活用した新たなサービスの提供を目指しております。
1.資本業務提携契約締結
当社は、2022年12月26日開催の取締役会において、株式会社エルテス(以下「エルテス」)との間で、資本業務提携契約(以下「本契約」)を締結することについて決議いたしました。また、本契約の締結に関連して、当社の親会社の異動も生じております。
1 資本業務提携について
(1) 資本業務提携の理由
当社は、「メタバース・デジタルコンテンツ事業」、「IoT関連事業」、「暗号資産・ブロックチェーン事業」を中核事業として、各事業の拡大及び各事業を掛け合わせたWeb3.0領域の取り組みを推進しております。
エルテスは、テクノロジーの発展とともに顕在化するデジタルリスクに対するマネジメントの第一人者として事業展開を行っているため、今回、NCXCを利用したサービスの拡充とトークンエコノミーの形成、トークン市場におけるデジタルリスクソリューションの提供拡大のために、資本業務提携いたしました。
(2) 資本業務提携の内容等
① 業務提携の内容
ア.トークンエコノミー関連セキュリティサービスの拡大
イ.当社及び関連会社が発行する暗号資産の利用促進・価値向上
ウ.Web3.0領域における新規サービスの共同開発
② 資本提携の内容
エルテスは、2022年12月26日に当社株式1,337,791株を214百万円(1株当たり160円(直前営業日12月23日)の東京証券取引所スタンダード市場における当社普通株式の終値)にて、当社の主要株主である株式会社スケブベンチャーズ(以下「スケブベンチャーズ」)より譲り受けました。なお、譲渡後、同社による当社株式の持株比率は4.9%となりました。
(3) 日 程
① 取締役会決議日 2022年12月26日
② 契約締結日 2022年12月26日
2 親会社及びその他の関係会社の異動について
上記の通り、当社の主要株主であるスケブベンチャーズは、同時に当社の親会社である株式会社シークエッジ・ジャパン・ホールディングス(以下「シークエッジ・ジャパン・ホールディングス」)の子会社でもあるため、今回のスケブベンチャーズからエルテスへの当社株式譲渡により、シークエッジ・ジャパン・ホールディングスは当社の普通株式12,756,170株(総議決権の46.95%)を直接及び間接保有することになり、当社の親会社から主要株主である筆頭株主かつその他の関係会社に該当することとなりました。
(1) 異動する株主の概要
新たに主要株主である筆頭株主かつその他の関係会社となる株主の概要
(2) 異動する株主の所有株式数及び議決権等
異動前後における当該株主の属性、議決権の数(議決権所有割合)及び大株主順位
2.当社保有株式譲渡契約(株式会社シーズメン)
当社は、2023年3月15日に開催された取締役会において、保有する株式会社シーズメンの株式を譲渡することを決議いたしました。また、2023年3月15日付で株式譲渡契約を締結いたしました。
(1)株式譲渡の理由
当社の今後の資金需要及び投資有価証券ポートフォリオ等を総合的に検討し、当社が保有する株式を譲渡することといたしました。
(2)株式譲渡の概要
①譲渡対象株式:株式会社シーズメン
②譲渡株式数 :276,900株
③譲渡金額 :276百万円
④契約締結日 :2023年3月15日
3.株式譲渡契約(株式会社ケーエスピー)
当社は、2024年2月22日に開催された取締役会において、株式会社ケーエスピー(以下「ケーエスピー」)の普通株式の一部を、株式会社ケーエスピーホールディングスから取得する株式譲渡契約を決議し、株式譲渡契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。
4.株式交換契約(ケーエスピー)
当社は、2024年2月22日に開催された取締役会において、当社を株式交換完全親会社、ケーエスピーを株式交換完全子会社とする株式交換を実施することを決議し、同日株式交換契約を締結いたしました。
なお、本株式交換は、会社法第796条第2項の規定に基づく簡易株式交換の手続きにより、当社の株主総会の承認を受けずに、株式交換完全子会社となるケーエスピーについては、2024年2月28日開催の臨時株主総会において本株式交換契約の承認を受けた上で、2024年5月1日を効力発生日として行われる予定です。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。
当連結会計年度の研究開発活動は主にデバイス事業分野において、M2M分野における「5G」の活用研究に着手いたしました。
5Gは、LTEと比べて超高速・大容量な通信で多数同時接続、超低遅延を実現するもので、ネットワーク上に仮想空間を構築するメタバース関連サービスの通信インフラとしての活用や、ライブメディアストリーミング、エクステンデットリアリティ(XR)、遠隔医療、建設現場の建機遠隔制御、工場のスマートファクトリー、農業を高度化する自動農場管理、自治体の河川等の監視などの建物や敷地内でスポット的かつ柔軟に構築できるローカル5Gへの活用など、地域課題解決や地方創生への対象領域の拡大が期待される技術となります。
今後日本全国に基地局の展開が計画されており、M2M分野においても導入の拡大が予想されるため、接続機器とのインタフェースや設置のしやすさ、使いやすさなどのニーズを備えたデバイス事業の新たな製品開発に向けた取り組みに着手いたしました。
また、暗号資産ブロックチェーン事業において、NCXCの価値向上の取り組みの一環として、前述しておりますNCXC GameFiプラットフォームの開発を行っております。
以上により当連結会計年度における当社グループの研究開発費は