文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは「私たちは、グローバルな発想を持つ心豊かなプロフェッショナル集団としてあらゆる不動産シーンにおいて新たな価値と感動を創造する。」ことを存在理念とし、常に「モノづくり」へのこだわりを持ち、不動産と金融の融合を意識した多様な不動産関連事業の推進により社会に貢献し、グループ企業価値を向上することを目指しております。
当社グループの主力市場である首都圏不動産投資市場は、低金利環境による円安進行やイールドギャップの厚み、地政学的リスクの低さなどから、海外主要都市に比べて相対的に高い優位性を維持しており、引き続き投資資金の流入が期待されています。一方で、2024年度はデフレ脱却に向けた政府の経済対策が推進され、日銀によるマイナス金利解除等の金融政策正常化に向けた動きが予想されることから、不動産投資家の投資意欲や金融機関の融資姿勢、住宅需要の変化、長期化する建築費高騰等に注視する必要があると認識しています。
② 中長期的な会社の経営方針、経営戦略及び優先的に対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境は、気候変動問題の深刻化や地政学的リスクの顕在化、国内では少子高齢化社会の進行やコロナ禍をきっかけとした行動変容の加速、デジタル技術の急速な進歩など大きな変革が起きており、不確実性が高まっています。このような事業環境の変化に適応し、当社グループが将来に亘って成長を続け、サステナブルな社会の実現への貢献を通じて企業価値向上を実現していくために、当社グループの競争優位の源泉となるコア・コンピタンスに立脚した「目指す方向性(ありたい姿)」を明確にし、グループ一丸となってビジョン実現に取り組むことを目的として「トーセイグループ長期ビジョン2032」を策定しました。
当社グループは、6事業からなる不動産関連事業を通じて、不動産の潜在価値を顕在化する様々なソリューションを提供してまいりました。また、事業特性の異なる複数事業を組み合わせることにより、リスクを低減しながら事業領域を広げており、多種多様なアセットを取り扱うことが出来るポートフォリオマネージャーとして不動産投資技術の研鑽を続けております。また、アセットマネジメントの分野では、世界の不動産投資家に信頼される世界品質でのサービスを提供しており、これらの「不動産ソリューション力」・「ポートフォリオ・マネジメント力」・「グローバル・リーチ力」を当社のコア・コンピタンスとして更に発展させながら、事業成長と長期ビジョン2032の実現に取り組んでまいります。
この長期ビジョン実現に向けた9年間の当初3年間(第1フェーズ)として、新中期経営計画「Further Evolution 2026」(2023年12月~2026年11月)を策定しました。本計画では、以下の大方針のもと、5つの基本方針に基づく各施策の実行によって当社グループの競争力を高めるとともに、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
<中期経営計画「Further Evolution 2026」>
<定量計画(連結)>
(注) 株主還元について、配当性向を30%から35%へ3年間で段階的な引き上げを目指すとともに、自己株式の取得については経営環境、株価動向、株主価値向上等を総合的に判断し実施検討してまいります。
本計画では、当社グループの企業価値の源泉である「不動産ソリューション力」・「ポートフォリオ・マネジメント力」・「グローバル・リーチ力」を強化し、各事業のサービス領域の拡大やグループ間シナジーの最大化によって、既存6事業のポートフォリオの進化と成長を目指します。
不動産再生事業・不動産開発事業では、サステナビリティを意識した環境配慮商品の提供や既存不動産ストックの活用促進、取扱商品領域の拡大等による差別化を図り、トーセイブランドの確立と浸透を目指します。また、仕入における競争力を高めるべく、物件査定の効率化に向けた研究やM&Aの活用を促進します。
安定事業では、不動産賃貸事業におけるテナント需要に沿った設備仕様の研究、不動産ファンド・コンサルティング事業や不動産管理事業におけるサービス機能強化とバックオフィス業務の効率化、ホテル事業ではトーセイホテルココネの差別化訴求によるブランド浸透と規模拡大に努めます。
また、DX分野では、業務プロセスの効率化を促進するとともに、自社再生物件、開発物件の出口戦略の多様化に向けて、不動産・金融・DXが融合した不動産テックビジネスである不動産クラウドファンディングやセキュリティ・トークン発行、区分マンション販売におけるデジタルマッチングに取り組み、新たな顧客層へ不動産投資機会を提供してまいります。
成長を支える事業基盤の強化においては、人材育成と多様な社員が個性を活かして力を最大限に発揮できる人事制度・組織体制・職場環境の構築に注力し、社員エンゲージメントを深めてまいります。また、財務面・資本配分については、事業規模および保有資産残高の拡大を下支えすべく資金調達力を強化し、健全な財務体質を維持しながら資本効率を意識した成長投資の継続と利益還元の向上を目指してまいります。
当社グループは、企業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献すべく、「トーセイグループ ESG方針・ESG行動指針」を定め、サステナビリティ委員会を中心としたESG推進体制を整備してサステナビリティに配慮したESG経営の実践に努めてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(ガバナンス)
当社グループは、サステナビリティに配慮したESG経営を推進するため、取締役会の直属組織である「サステナビリティ委員会」を設置しています。サステナビリティ委員会は、「トーセイグループESG方針」、「ESG行動指針」、「トーセイグループのマテリアリティ」等に基づき、気候変動問題への対応や人的資本経営の推進などをはじめとする当社グループの総合的なサステナビリティ向上に向けた取り組み方針の策定、サステナビリティ推進に係る年間活動計画の立案、各施策や各部門の活動進捗のモニタリング・助言・指導等の機能を担っています。
同委員会は、執行役員社長が任命するサステナビリティ推進責任者(取締役専務執行役員 平野 昇)を委員長とし、委員はサステナビリティ推進責任者が指名する者で構成されています。原則年6回開催され、その審議・活動進捗・報告事項は毎月取締役会に報告される体制となっています。
なお、取締役会は、サステナビリティ委員会が立案し取締役会が承認した各施策に関して、委員会からの報告に基づき、必要に応じて施策の見直しや推進体制の改善指示などを通じて適切にモニタリングを行い、進捗状況について監督します。なお、ESGを所管する常勤取締役の評価・報酬を決定する項目には、気候変動をはじめとするESG推進目標が設定されています。また、取締役会は、気候変動課題への対応を含めた当社グループの総合的なリスクマネジメントに対し最高責任を負い、必要な組織体制を整備するとともに、これを適切に監督し、必要に応じて指示を行います。
当社グループでは、従前より、環境、社会、ガバナンスに関するさまざまな取り組みを推進してまいりましたが、ESG経営をより一層推進するため、2022年11月期から、サステナビリティ推進における当社グループのマテリアリティ特定の検討を開始し、2023年11月期にマテリアリティを特定しました。気候変動問題をはじめとする環境、社会課題に対する企業への取組み要請は、今後ますます高まっていくことが確実となる中で、持続可能な社会の発展のため、環境、社会課題の解決に資するとともに、企業の持続的な成長に向けてESG経営を推進するべく、当社グループとして優先的に取り組むべき重要テーマを定め、より一層、取り組みを加速させていきます。
<トーセイグループのマテリアリティ(重要課題)>
当社グループでは、事業活動の推進及び企業価値の維持・向上を妨げる可能性のあるリスクを最小にするために、平常時より計画的に対策を立案、検証する体制を整備することにより、ステークホルダーの皆様からの信頼を得られる企業集団を目指しています。
当社グループでは、サステナビリティ関連を含む一元的かつ横断的なリスク管理を取締役会直属のリスク・コンプライアンス委員会が担い、グループ共通または各社ごとのリスク管理に関するプログラム施策の実践を通じて、グループの事業を取り巻く様々なリスクを統括管理するほか、リスクが顕在化した場合には同委員会が中心となって危機対応を行います。また、全社リスクの中で特に重要性が高く、TCFDの提言による枠組みに基づき管理すべき「気候変動リスク及び機会」については、取締役会の監督の下、サステナビリティ委員会が主管します。リスク・コンプライアンス委員会はサステナビリティ委員会による各種施策上の要請に応じて、その実践を補佐、支援することで、全社リスクの統合的な管理をしています。
(2) 気候変動
当社グループは、「気候変動問題は自然環境と社会構造に劇的変化をもたらし、当社の経営とビジネスに重大な影響を与える課題である」と認識し、自然災害による不動産価値の低下や政府の環境規制強化等により、当社グループの事業活動や戦略、財務計画に大きな影響を与える可能性があると考えています。
また、当社は2022年11月に「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言」への賛同を表明するとともに、国内賛同企業による組織である「TCFDコンソーシアム」に加入し、TCFD提言に基づく情報開示を行っております。
(ガバナンス)
上記(1)サステナビリティ全般(ガバナンス)を参照ください。
(戦略)
将来にわたる気候変動が当社グループの事業に及ぼし得ると想定される影響を把握し、当該影響を当社の事業戦略に反映するため、国際的な機関等が定める将来的な気候変動シナリオを複数選択し、それぞれの世界像におけるリスク・機会の識別を行いました。シナリオ分析の詳細は以下の通りです。
<主に参照した将来的な気候変動シナリオ>
<シナリオ分析の概要>
移行リスク/機会
物理的リスク/機会
(リスク管理)
上記(1)サステナビリティ全般(リスク管理)を参照ください。
(指標及び目標)
当社グループは、世界全体の1.5℃未満目標達成のため、Scope1・2における2050年度温室効果ガス排出量ネットゼロを掲げています。また、中期的な削減目標として、2022年度を基準年として、以下のように削減を進めてまいります。
(注)当社グループから排出される温室効果ガスは、営業所・自社運営ホテルにおいて使用する都市ガス及び社用車等で使用するガソリンの使用によって当社から直接排出される温室効果ガス(Scope1)と、本社・営業所・自社運営ホテルの電気使用、本社の地域熱使用に伴って間接的に排出する温室効果ガス(Scope2)で構成されております。なお、2022年の実績については、以下よりご覧ください。
(3) 人的資本
当社グループは、「人を経営の根幹とし、心豊かな真のプロフェッショナルを育成し続ける」という経営理念のもと、多様な人材が個性を生かして健やかに働ける環境を構築することを人材戦略のマテリアリティ(重要課題)の一つとし、「多様な人材の活躍、多様な働き方の推進、働きがいの追求、人権の尊重、心身の健康増進」を実現するための人材育成に関する方針、社内環境整備に関する方針を策定しています。
(戦略)
①人材育成に関する方針(人材開発基本方針)
・グループ企業理念に基づく人材育成
中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、グループ企業理念(存在理念、経営理念、行動理念)及び経営方針の理解の下に、会社の発展に積極的に寄与する人材を育成していくとともに、自己においてプロフェッショナルとしての意識と知識と技術の研鑽をする人材を育成していくことを基本とする。
・人材の多様性
当社グループは、人材の採用、育成、登用においては多様性を重んじ、性別や国籍、採用の経緯等に左右されることなく、企業理念を追求し続ける者に対して、等しく成長と活躍の場を提供する。
②社内環境整備に関する方針(健康経営方針)
当社グループは、「人を経営の根幹とし、心豊かな真のプロフェッショナルを育成し続ける」という経営理念のもと、従業員の健康と安全を重要な経営課題と捉え、従業員がいきいきと働ける職場環境を整備し、健康維持・増進の施策に積極的に取り組む。
(指標及び目標)
当社グループでは、人材戦略のマテリアリティ(重要課題)に基づく計測指標(KPI)を下表のとおり設定し、「As is-To be」ギャップを測定することにより、中長期の課題を捉え、人的資本に関する施策を検討、実行しています。
(注) 1.1~8は、トーセイ株式会社を対象範囲としています。
2.8は、定期的に実施している従業員満足度調査における「仕事の満足度」の評価尺度(5段階)の内、上位2項目を選択した割合。
当社グループの経営成績、株価および財政状況等に影響を及ぼす可能性が考えられる事項には以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、リスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避と発生した場合の対応に努力する方針であります。また、以下の記載は、当社グループの事業もしくは当社株式への投資に関するリスクを完全に網羅するものではありません。
当社グループが所有するオフィスビルや商業施設への需要は景気の動向に左右されうること、また住宅購入顧客の購買意欲は景気の動向やそれに伴う雇用環境等に影響を受けやすい傾向にあること、不動産市況の悪化による地価等の下落に影響を受けやすい傾向にあること、等から、今後、国内外の経済情勢が悪化したことにより、不動産への投資意欲の低下、不動産取引の減少、空室率の上昇や賃料の下落といった事態が生じた場合には、当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクへの対応策として、定期的に景気動向・不動産市況等のモニタリングを行うとともに、エリア・規模・用途・物件特性に応じたマーケット観の醸成、投資判断力・リーシング力の強化等により、リスクの低減を図ってまいります。
将来発生が懸念されている首都圏における大地震をはじめ、暴風雨、洪水等の自然災害、戦争、テロ、火災等の人災が発生した場合には当社グループが投資・運用・開発・管理を行っている不動産の価値が大きく毀損する可能性があるほか、被災による需要減少に伴うホテル稼働率の低下等が生じる可能性があり、当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクへの対応策として、グループ主要各社においてBCP(事業継続計画)を策定し、被災時でも重要な事業を継続または早期復旧できるよう準備を行っております。
当社グループの事業に係る土地、建物取得費および建築費等は、主として個別案件毎に金融機関からの借入金によって調達しているため、総資産に占める有利子負債の比率が常に一定程度あることから、将来において、金利が上昇した場合および金融機関の融資姿勢に変化が生じた場合には、資金調達コストの増加や資金手当への影響により、当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、一部の借入金に財務制限条項が付されており、条項に抵触し一括返済をする場合のほか、案件の売却時期の遅延や売却金額が当社の想定を下回った場合には、当社グループの資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクへの対応策として、定期的に金利動向や金融機関の融資姿勢についてモニタリングを行うとともに、借入における機動的な資金確保のための融資枠設定や金利固定化を行う等、安定的かつ経済的な資金調達に努めております。
① 法的規制
会社法や上場会社としての金融商品取引法の規制のほか、当社グループの事業において関連する主な法的規制は下表のとおりであります。
今後これらの法的規制が強化される場合には規制遵守に向けた対応のためのコスト増加の可能性があります。
② 免許、許認可等
当社グループの事業は、上表の法的規制に基づく以下の関連許認可等を得て行っております。当社グループは、これらの許認可等を受けるための諸条件および関係法令の遵守に努めており、現時点において当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかしながら、法令違反等によりこれらの許認可等が取り消される、あるいは一定期間の営業活動停止等の行政処分等がなされた場合には、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、今後これらの規制の強化、または新たな規制の導入により、事業活動が制約された場合、当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクへの対応策として、関係法令の改廃情報および監督官庁からの発信文書の内容をリスク・コンプライアンス委員会等において共有、協議し、課題等の早期把握や対応に努めております。また、コンプライアンスに関する継続的な啓蒙活動や研修等により法令遵守の徹底を図っております。
(当社)
(トーセイ・コミュニティ㈱)
(トーセイ・アセット・アドバイザーズ㈱)
(トーセイ・ロジ・マネジメント㈱)
(トーセイ・ホテル・マネジメント㈱)
<トーセイホテルココネ神田>
<トーセイホテルココネ上野>
<トーセイホテル&セミナー幕張>
<トーセイホテルココネ浅草蔵前>
<トーセイホテルココネ上野御徒町>
<トーセイホテルココネ浅草>
<トーセイホテルココネ鎌倉>
<トーセイホテルココネ築地プレミア>
(㈱プリンセススクゥエアー)
(トーセイ・プロップテック㈱)
(トーセイ・アール㈱)
(岸野商事㈱)
(磯子アセットマネジメント㈱)
(芝浦レジデンシャル㈱)
会計基準、不動産税制に関する変更があった場合、資産保有および取得・売却時のコストの増加等により当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクへの対応策として、会計基準及び不動産税制の変更に関して適時に情報を収集することで、当社グループの経営成績、財務状況に与える影響を早期に把握するよう努めております。
当社グループは、既存事業の拡大などを目的とした企業買収、子会社の設立等に加えて、新たにクラウドファンディングやセキュリティ・トークンを活用した不動産事業を推進しております。これら事業の業績には様々な不確実性を伴うため、想定しうるリスクに対する内部管理体制の構築、人材の充実、保険の付保等を行っておりますが、想定を超えるリスクの発生、法令や諸規制の変更によっては、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクへの対応策として、可能な限りリスクを想定した内部管理体制の構築、人材の充実、保険の付保等を行うとともに、事業戦略の進捗状況や事業環境の変化等について定期的にモニタリングを行い、環境変化に応じた戦略の見直しを適時に行っております。
当社グループの事業の特性に鑑み、人材は極めて重要な経営資源であり、事業継続、拡大のためには、優秀な人材を確保し、育成することが不可欠となります。
少子高齢化による人材確保難や労働市場の変化などによって、人材の流出、人材の継続的な確保や育成が不十分である場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「人を経営の根幹とし、心豊かな真のプロフェッショナルを育成し続ける」という経営理念のもと、従業員の健康と安全を重要な経営課題と捉え、従業員がいきいきと働ける職場環境を整備し、健康維持・増進の施策を積極的に取り組んでおります。
サステナビリティに配慮したESG経営の重要性は、年々高まっております。当社グループの取組みが適切に行われず対応に遅れや不備が発生した場合、地域社会や顧客、取引先、従業員、投資家、市場からの信頼を損ない、当社グループの事業戦略や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、環境分野においては世界的に気候変動の影響がより一層顕著となり、気候変動に伴う物理的な被害や気候関連の規制強化、脱炭素・低炭素社会への移行に対する適切な緩和策と適応策の取り組みに遅れや不備が生じた場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、社会分野では人材の多様性の確保を含む人材育成や登用、社内環境整備等、人的資本経営に関する体制整備や実行計画、情報開示等に遅れや不備が生じた場合、企業価値創造の源泉となる中核人材の確保や市場からの評価など、当社グループの人材戦略および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクへの対応策として、「トーセイグループESG方針・ESG行動指針」、「トーセイグループ人権方針」、「トーセイグループ環境ポリシー」、「トーセイグループ健康経営方針」などを制定の上、「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティ推進体制を整備、強化するとともに、ESG経営の実践および地球環境の負荷軽減への取り組みの推進を通じて、サステナビリティ課題のリスク低減に努めております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 事業環境と経営成績等の状況に関する認識
当連結会計年度(2022年12月1日~2023年11月30日)における我が国経済は、社会経済活動の正常化が一段と進んだことに加え、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果も相まって景気は緩やかな回復傾向となりました。一方、世界的な金融引締めや中国経済の先行き懸念、地政学的リスクの高まり等が景気の下振れリスクとなっており、引き続き動向に注視が必要です。
当社グループが属する不動産業界は、2023年1月~9月の国内不動産投資額が2兆7,483億円(前年同期比40%増)となり、世界都市別投資ランキングでは東京は4位(2022年通年は16位)となりました。昨年末から世界各国では金利上昇を背景に不動産価格の調整と市場停滞が続いているなか、日本では比較的良好な資金調達環境や円安等により優位性が維持されており、国内不動産への投資需要は底堅く推移しています(民間調査機関調べ)。
首都圏分譲マンション市場は、2023年1月~11月の新築発売戸数が20,911戸(前年同期比12.2%減)、2023年11月発売のマンション平均価格は8,250万円(前年同月比36.7%増)となりました。引き続き高価格帯物件の供給が平均価格を押し上げており、用地・建築費の高騰や供給抑制なども相まってマンション価格は引き続き高値圏で推移するとみられています。首都圏中古マンション市場においては、2023年1月~10月の成約戸数が30,146戸(前年同期比1.2%増)と前年を若干上回る水準で進捗しており、2023年10月時点の成約平均価格は4,765万円(前年同月比8.4%上昇)となりました。また、分譲戸建市場においては、2023年1月~10月の新設住宅着工戸数は49,042戸(前年同期比0.8%減)となりました(民間調査機関調べ)。
2023年1月~10月の建築費は、鉄骨鉄筋コンクリート造の平均坪単価が1,183千円/坪(前年同期比17.6%下落)、木造は平均669千円/坪(同15.5%上昇)となりました。資材価格は鋼材・木材ともにピーク時から緩やかな下落傾向となっていますが、物価上昇や人件費高騰等の影響により、建築費は今後も上昇することが懸念されています(国土交通省調べ)。
東京都心ビジネス5区のオフィスビル賃貸市場では、2023年10月時点の平均空室率は6.1%(前年同月比0.3ポイント低下)となりました。オフィス回帰の動きにより2023年に大量供給された新築ビルの空室消化は進んでいるものの、平均賃料は19,741円/坪(同1.9%下落)と緩やかな下落傾向は継続しています。また、2025年には大量供給が予定されていることから引き続き需給動向には注視が必要です(民間調査機関調べ)。
賃貸マンション市場は堅調に推移しており、首都圏賃貸マンションにおける2023年10月時点の平均募集賃料は11,705円/坪(前年同月比7.6%上昇)、J-REITが東京圏で保有するマンションにおける2023年8月末時点の平均稼働率は97.5%(前年同月比0.6ポイント上昇)となりました。都心部への人口流入数増加や分譲マンション価格高騰に伴う賃貸マンション選好の高まりなどの影響から、賃料・稼働率ともに堅調に推移しています(民間調査機関調べ)。
首都圏物流施設賃貸市場では、2023年10月時点の賃貸ストックは950万坪(前年同月比15.8%増)、空室率は6.4%(同2.4ポイント上昇)と需要を上回る供給は続いており、空室率の上昇傾向は継続しています。また、足元2023年10月時点の募集賃料は4,600円/坪(同2.1%下落)となり、所在エリアや物件特性によっては募集賃料動向に変化がみられています(民間調査機関調べ)。
不動産ファンド市場は、引き続き市場規模の拡大が続いています。2023年10月のJ-REITの運用資産総額は22.5兆円(前年同月比0.8兆円増加)、私募ファンドは運用資産総額33.4兆円(2023年6月末時点、前年同月比6.9兆円増加)となり、両者を合わせた証券化市場規模は55.9兆円まで拡大しています(民間調査機関調べ)。
東京都のビジネスホテル市場では、2023年1月~9月の平均客室稼働率は78.4%(前年同期は53.9%)、東京都の全施設タイプにおける同期間の延べ宿泊者数は7,054万人(前年同期比82.0%増)となりました。インバウンド需要の堅調な回復を受け、今後コロナ禍前水準以上の需要増加が期待されています(観光庁調べ)。
このような事業環境の中、不動産再生事業や不動産開発事業において、物件販売ならびに将来の収益の源泉となる収益不動産や各種開発用地の取得を進めてまいりました。また、不動産ファンド・コンサルティング事業において、アセットマネジメント受託資産残高を伸長させるとともに、ホテル事業の業績回復に努めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度は、売上高79,446百万円(前連結会計年度比12.0%増)、営業利益16,254百万円(同20.3%増)、税引前利益15,310百万円(同20.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益10,507百万円(同22.1%増)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
(不動産再生事業)
当連結会計年度は、「大塚トーセイビルⅡ」(東京都豊島区)、「柏トーセイビル」(千葉県柏市)、「ステラコート東糀谷」(東京都大田区)等45棟のバリューアップ物件及び中古区分マンション106戸を販売いたしました。
仕入につきましては、収益オフィスビル、賃貸マンション等を合わせて53棟、土地26件及び中古区分マンション198戸を取得しております。
また、保有する収益不動産の評価を見直したことにより、棚卸資産評価損42百万円及び棚卸資産評価損の戻入408百万円を計上しております。
以上の結果、不動産再生事業の売上高は47,535百万円(前連結会計年度比26.8%増)、セグメント利益は8,877百万円(前連結会計年度比45.5%増)となりました。
(不動産開発事業)
当連結会計年度は、賃貸マンション「THE PALMS町田」(東京都町田市)、賃貸アパート「T's Cuore西荻窪」(東京都杉並区)を販売いたしました。また、戸建住宅では「THEパームスコート綱島」(神奈川県横浜市)、「THEパームスコート三鷹ヴェール」(東京都三鷹市)等において、52戸を販売いたしました。
仕入につきましては、賃貸マンション開発用地6件、賃貸アパート開発用地6件、分譲マンション開発用地2件、220戸分の戸建住宅開発用地を取得しております。
また、保有する収益不動産の評価を見直したことにより、棚卸資産評価損28百万円及び棚卸資産評価損の戻入33百万円を計上しております。
以上の結果、不動産開発事業の売上高は7,246百万円(前連結会計年度比47.5%減)、セグメント利益は1,036百万円(前連結会計年度比65.0%減)となりました。
(不動産賃貸事業)
当連結会計年度は、保有する賃貸物件のリーシングに注力しました。
当連結会計年度末の賃貸物件数は、物件取得50棟及び賃貸開始9棟、物件売却31棟及び賃貸終了5棟に伴い、前連結会計年度末の91棟より、23棟増加し114棟となりました。
以上の結果、不動産賃貸事業の売上高は6,656百万円(前連結会計年度比9.4%増)、セグメント利益は3,232百万円(前連結会計年度比6.3%増)となりました。
(不動産ファンド・コンサルティング事業)
当連結会計年度は、前連結会計年度末のアセットマネジメント受託資産残高(注)1,722,896百万円から、ファンドの物件売却等により200,859百万円の残高が減少した一方で、新たにアセットマネジメント契約を受託したことにより、830,417百万円の残高が増加し、当連結会計年度末のアセットマネジメント受託資産残高は2,352,454百万円となりました。
以上の結果、不動産ファンド・コンサルティング事業の売上高は7,377百万円(前連結会計年度比35.5%増)、セグメント利益は4,555百万円(前連結会計年度比41.6%増)となりました。
(注) アセットマネジメント受託資産残高には、一部コンサルティング契約等に基づく残高を含んでおります。
(不動産管理事業)
当連結会計年度は、新規契約の獲得及び既存契約の維持に努めました。当連結会計年度末での管理棟数は、オフィスビル、ホテル及び物流施設等で511棟、分譲マンション及び賃貸マンションで347棟、合計858棟(前連結会計年度末比65棟増加)となりました。
以上の結果、不動産管理事業の売上高は6,470百万円(前連結会計年度比3.9%増)、セグメント利益は813百万円(前連結会計年度比7.4%減)となりました。
(ホテル事業)
当連結会計年度は、行動制限の緩和や全国旅行支援の実施による国内需要の回復、入国制限や水際対策の緩和によるインバウンド需要の回復が見られました。これに伴い、客室単価、客室稼働率がほぼコロナ禍前の水準まで改善し、売上高、セグメント損益ともに前年同期を上回りました。
以上の結果、ホテル事業の売上高は4,158百万円(前連結会計年度比115.8%増)、セグメント利益は990百万円(前連結会計年度はセグメント損失315百万円)となりました。
② 経営成績等に関する分析・検討内容
当連結会計年度は、世界的なインフレ進行を背景とした欧米の利上げや地政学的リスクの高まり等がありながらも、国内の社会経済活動はコロナ禍からの回復が進み、一段と経済の正常化が進展しました。また、首都圏不動産投資市場では、投資需要が堅調に推移し、人流回復によってオフィスビルやホテル、商業施設の稼働が持ち直し、一部アセットタイプでは投資家の不動産期待利回り圧縮も見られました。また、エンドユーザーによる住宅取得需要は、建築費高騰の影響はありながらも、底堅く推移しています。
このような事業環境のなか、当社は引き続き不動産市場の動向を注視しながら各事業を推進し、当連結会計年度の業績は、売上高は794億円(期初計画比6.5%減)、営業利益は162億円(同9.6%増)、税引前利益は153億円(同9.3%増)となりました。不動産再生事業及び不動産開発事業において、一部当期販売予定物件の販売時期を翌期以降に変更したことにより売上高が期初計画比で減収となったものの、これら不動産売買の利益率が計画を上回ったことや、ホテル事業の大幅回復、不動産ファンド・コンサルティング事業の収益拡大などにより営業利益は期初計画を大きく上回り、税引前利益・当期利益ともに過去最高益を達成しました。
2020年に策定した中期経営計画「Infinite Potential 2023」(2020年12月~2023年11月)は、当連結会計年度をもって3年間の計画期間が終了となります。
本計画は、『あらゆる不動産シーンにおいて、グループの無限大の成長可能性を追求し、総合不動産会社としての新たなステージを目指す。』を大方針とし、当社は、環境・社会的課題への取組みを意識した既存事業の拡大とDX推進による既存事業の拡充、サステナビリティ経営の実践等に取り組んでまいりました。
中期経営計画「Infinite Potential 2023」(2020年12月~2023年11月)
<大方針>
『あらゆる不動産シーンにおいて、グループの無限大の成長可能性を追求し、総合不動産会社としての新たな
ステージを目指す。』
<基本方針>
基本方針1.環境・社会的課題を意識した既存事業の拡大、営業利益増大
基本方針2.DXによる既存事業拡充と新たな収益モデルの創出
基本方針3.事業規模拡大、保有資産増加、資本効率を意識したバランスシート戦略
基本方針4.ガバナンスと効率性の両立を意識したグループ戦略、組織戦略
基本方針5.IT活用促進による業務効率・事務効率の改善、生産性向上に資する従業員満足度の向上
基本方針6.サステナビリティを意識した事業マネジメント、ESG経営の推進
<定量計画>
成長性 :最終年度連結売上高 850 億円
最終年度連結税引前利益 140 億円
資本効率 :最終年度 ROE 12%以上
安定性 :安定事業比率(営業利益ベース) 42%以上
財務健全性 :自己資本比率 35%程度
ネットD/Eレシオ 1.3倍程度
株主還元 :3年間で配当性向 25%から 30%へ段階的に引き上げを目指す
資本効率を意識した自社株買いの実施検討
初年度の2021年度は新型コロナウイルス感染症の終息が見えない中でのスタートとなりましたが、業績回復と成長施策の推進に努めた結果、2022年度は過去最高益を達成し、最終年度には再度最高益を更新し、目標としていた最終年度ROE12%を上回るROE13.6%を達成しました。
基本方針に掲げる各方針における実績は以下の通りです。
基本方針1.環境・社会的課題を意識した既存事業の拡大、営業利益増大
既存事業の拡大に向けた取り組みにおいては、M&Aを活用した不動産取得の推進や、環境・社会課題を意識した不動産ソリューションによって不動産売買における競争力を強化したほか、中古区分MS販売を営むプリンセスグループを連結子会社に加え、取り扱いアセットタイプの拡充や機能強化を図りました。また、安定事業と位置付けるストック・フィービジネスにおいては、2021年にトーセイホテルココネ浅草とトーセイホテルココネ鎌倉、2023年にトーセイホテルココネ築地銀座プレミアを開業し、宿泊需要回復への対応とともにホテル事業の規模拡大を推進したほか、不動産賃貸事業においては、大型優良物件の取得や保有不動産の環境性能向上、不動産環境認証取得等の付加価値向上施策に取り組みました。そして不動産ファンド・コンサルティング事業や不動産管理事業では、サービス品質向上と受託拡大に邁進し、なかでも不動産投資家より資産運用管理を受託するトーセイ・アセット・アドバイザーズ株式会社は、2.3兆円規模の受託資産残高を抱える業界トップのアセットマネジメント会社に成長しました。
基本方針2.DXによる既存事業拡充と新たな収益モデルの創出
不動産とDXの融合による新たな収益モデルの創出を目指す取組みを加速し、不動産セキュリティ・トークンの発行や、不動産クラウドファンディング事業としてトーセイ不動産クラウド TREC FUNDING第2号~第7号の組成、不動産投資商品のデジタルマッチング事業「TRESQ」の立ち上げなどを進めました。また、これら3つの事業を当社グループの不動産テック事業と位置づけて集約し、既存事業に縛られることなく戦略的かつ革新的に事業を展開するべく、新会社「トーセイ・プロップテック株式会社」を設立しました。
基本方針3.事業規模拡大、保有資産増加、資本効率を意識したバランスシート戦略
事業規模拡大を財務面で支えるべく資金調達力の強化に取り組み、グループ調達枠の引き上げや銀行とのリレーション強化、サステナビリティ・リンク・ローンの獲得等を推進しました。そして、資本効率性を意識したキャピタルアロケーション方針に沿って財務健全性を維持しつつ優良不動産の仕入を推進した結果、2023年度末の棚卸資産は1,182億円(3年累計528億円増)、固定資産は708億円(同203億円増)まで積み上がり、総資産は2,453億円(同836億円増)と約1.5倍にまで拡大しました。また、利益剰余金の積み上げ等により資本合計は823億円(同233億円増)に成長、株主還元においては、配当性向を3年間で25%から30%へ段階的に引き上げるとする当初計画通り、中計最終年度30.0%を実現し、3年間累計で総額15億円の自己株式取得も実施しました。
基本方針4.ガバナンスと効率性の両立を意識したグループ戦略、組織戦略
グループ全体の機能を再整理し、当社及びトーセイ・コミュニティ株式会社の2社で営んでいた賃貸管理業務を不動産管理会社であるトーセイ・コミュニティ株式会社に集約したほか、トーセイ・アーバンホーム株式会社の戸建事業を当社の開発事業を所管する部署と統合し、ノウハウの承継と業務効率化を図りました。また、M&Aで取得した子会社をはじめとしたグループ各社のコンプライアンス体制、ガバナンス体制、グループ経理体制・人事体制を整備するなど、本社サポートにより各社管理部門の機能強化を推進しました。
基本方針5.IT活用促進による業務効率・事務効率の改善、生産性向上に資する従業員満足度の向上
トーセイグループのIT活用促進として本社ビルにおけるグループ統一ネットワーク環境の構築や情報セキュリティレベルの向上などの環境整備を進めたほか、各部門にDX推進リーダーを設置し、各事業部の業務効率化を推進しました。これらの取り組みにより、DX推進の準備が整っていると認められた企業を国が認定する「DX認定」を2021年10月に取得し、2023年10月に認定更新を行っております。また、多様な働き方の促進や従業員満足度の向上施策として、在宅勤務制度の恒久化や育児休暇の取得支援、人材育成プランの見直し、各種研修制度や福利厚生制度の拡充などに取り組み、2023年3月には健康経営優良法人2023に認定されました。
基本方針6.サステナビリティを意識した事業マネジメント、ESG経営の推進
ESG経営の推進においては、更なる進化を目指してESG推進規程や人権方針などの諸規程の制定を行い、サステナビリティ推進における当社グループのマテリアリティの特定、人材・組織戦略の推進、非財務情報開示の拡充にも積極的に取り組みました。気候変動課題に対しては、2050年脱炭素目標(Scope1・2)を掲げ、自社グループにおける温室効果ガス排出量(Scope1・2)の算出や自社運営ホテル等への再生可能エネルギーの導入、LED改修工事、テナント啓蒙の実施などの施策を推進し、TCFD提言に基づく情報開示を行いました。
<中期経営計画「Infinite Potential 2023」定量計画(連結)>
<当連結会計年度までの実績>
(2) 生産、受注及び販売の状況
当社グループは、不動産再生事業、不動産開発事業、不動産賃貸事業、不動産ファンド・コンサルティング事業、不動産管理事業及びホテル事業を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
当社グループにおいて受注生産を行っておりますが、グループ事業全体における重要性が低いため、受注実績の記載はしておりません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
当連結会計年度末における財政状態は、総資産245,329百万円(前連結会計年度末比16.3%増)、負債163,010百万円(同17.6%増)、資本82,319百万円(同13.9%増)となりました。また、親会社所有者帰属持分比率は33.4%(前連結会計年度末は34.3%)となっております。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、162,831百万円となり、前連結会計年度末に比べ25,699百万円増加しております。これは主に、当社グループの主力事業であります不動産再生事業及び不動産開発事業において、物件の仕入が売却を上回ったことによる棚卸資産の増加(前連結会計年度末比22,948百万円増)等によるものであります。
(非流動資産)
当連結会計年度末における非流動資産の残高は、82,498百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,674百万円増加しております。これは主に、有形固定資産10,054百万円の増加等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、24,353百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,916百万円増加しております。これは主に、未払法人所得税等1,333百万円の増加等によるものであります。
(非流動負債)
当連結会計年度末における非流動負債の残高は、138,656百万円となり、前連結会計年度末に比べ22,428百万円増加しております。これは主に、有利子負債21,696百万円の増加等によるものであります。
(資本)
当連結会計年度末における資本の残高は、82,319百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,028百万円増加しております。これは主に、利益剰余金の積み上げ、配当金の支払等によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7,430百万円増加し、39,197百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、5,722百万円(前連結会計年度は、197百万円の使用)となりました。これは主に、税引前利益15,310万円、営業債権及びその他の債権の減少5,065百万円、棚卸資産の増加14,496百万円、法人所得税の支払額4,639百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、16,102百万円(前連結会計年度比77.3%増)となりました。これは主に、子会社の取得による支出2,938百万円、事業譲受による支出10,128百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は、17,805百万円(前連結会計年度比138.1%増)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出37,621百万円及び配当金の支払額2,408百万円があったものの、長期借入れによる収入59,501百万円があったことによるものであります。
キャッシュ・フロー指標のトレンド
親会社所有者帰属持分比率 :親会社所有者帰属持分/資産合計
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :キャッシュ・フロー/利払い
(注1) いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2) 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
(注3) キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。
(注4) 有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利息を支払っている全ての負債を対象としております。
(注5) 2022年11月期は、連結キャッシュ・フロー計算書の営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについて記載しておりません。
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり重要となる会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載されているとおりであります。
(6) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標について
2023年11月期を最終年度とする前中期経営計画「Infinite Potential 2023」(2020年12月~2023年11月)の計画数値に対する当連結会計年度の実績及び当連結会計年度の経営成績の分析につきましては前述の「(1)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照ください。
当社グループの事業活動における資金需要は、主に事業用建物および土地の仕入に関するものであります。当社グループはこれらの需要について、自己資金に加え、銀行借入を中心に機動性と長期安定性を重視した資金調達を実施しております。
当社は、2023年6月26日開催の取締役会において、株式会社LIXILリアルティの資産流動化事業に関する権利義務を、当社が新設する子会社トーセイ・アール株式会社に吸収分割の方法で承継すること等を内容とする合意契約を株式会社LIXILリアルティと締結することを決議し、同日付で契約を締結しております。
詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 37.企業結合」に記載のとおりです。
該当事項はありません。