第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、設立以来の経営理念である「倫理、情熱、挑戦そして夢の実現」のもと、社会を構成する一員として地域に根差した活動を行い、ステークホルダーの皆様の期待と信頼に応え、中長期の視点から、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努め、誰もが夢をもって成長できる未来を目指します。

 

(2) 経営環境

本書提出日現在におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行により社会経済が正常化し、国内景気は緩やかな回復傾向にあります。またインフレ率の上昇や人手不足を受け、賃金が上昇しております。一方、世界経済においては、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化、燃料・資源の価格高騰、円安の進行、欧米を中心とした世界的な金融引き締め等、依然として先行きが不透明な状況にあります。

当社グループの属する不動産業界においては、人手不足や建築資材の高騰により建築費が上昇傾向にあります。またマイナス金利解除の方向に向かっており、金利動向の変化を注視する必要があります。しかし賃貸マンションに関しては景気動向の影響を受けにくいことから、稼働率、賃料水準及び物件の販売価格のいずれも堅調に推移しております。ホテル業界においては、旅行支援や円安の影響を受けた訪日外国人観光客の増加により、稼働率、客室単価は、おおよそコロナ禍前の水準に達しており、国内外の旅行需要は順調に回復している状況にあります。

 

(3) 中期的な経営戦略及び目標とする経営指標

当社グループは、賃料収入等のインカムゲインによる安定した収益基盤の構築を目指し、開発用地、収益用不動産の取得を強化しております。

不動産業界に関しましては、上記 (2)の経営環境に記載のとおり、賃貸マンションは景気変動やコロナ禍の影響を受けにくく、賃料水準も安定して推移しております。また不動産への投資マインドは引き続き底堅く、不動産の投資市場は堅調に推移すると予想されます。 このような外部環境のもと、不動産開発事業、不動産ソリューション事業は、金利や売買価格、キャップレート(還元利回り)等を多角的に検証し、物件を開発、取得してまいります。 海外事業は、特にASEAN諸国の高い経済成長率とこれによる中間所得層の増加や都市部の人口増加を背景として住宅需要が旺盛であることから、不動産デベロッパーとして大きな開発利益を獲得する機会があると判断しております。今後も投資先の国政、経済動向等を注視しつつ事業推進してまいります。 不動産賃貸事業は、引き続き中期経営計画「サムティ強靭化計画(アフターコロナ版)」に則り完成物件を一 定期間保有し、インカムゲインの最大化を目指します。 ホテル賃貸・運営事業は、外部環境を鑑みながら、サムティ・ジャパンホテル投資法人の東京証券取引所への 上場に向け準備を進めてまいります。

 

なお、以上の計画において、営業利益、ROE、ROA及び自己資本比率を重要な経営指標として設定しております。

2025年12月期における経営目標は次のとおりです。

営業利益

35,000百万円 以上

ROE

15.0% 水準

ROA※

7.0% 水準

自己資本比率

30.0% 以上

 

※ROA:営業利益÷総資産(期首・期末平均)

 

 

(4) 優先的に対処すべき課題

上記(3)の経営戦略及び目標とする経営指標を達成するための、現状の課題は以下のとおりであります。

 

① コーポレート・ガバナンス、内部管理体制の強化

当社は、特定の取引先との取引に関連し、過年度決算における会計上の連結対象範囲の判断等についての疑義が判明したため、2023年1月16日に特別調査委員会を設置し調査を実施いたしました。調査の結果、子会社又は関連会社のいずれかに該当するとの認定及び関連当事者に該当するとの認定には至らず、また、過年度訂正を要するような事象は認められないと判断されております。しかしながら、社会的責任を果たし、ステークホルダーの皆様に信頼いただくために、更なる強固なコーポレート・ガバナンスの充実を通じて経営の透明性の向上に取り組んでまいります。

② 優秀な人材の確保・育成

会社の持続的な成長のためには、優秀な人材の確保・育成が必要不可欠であると考えております。各拠点において当該エリアに精通した優秀な人材を確保・育成するために、各々の従業員がやりがいを持って活躍できる職場環境の下、各自の成長ステージに応じた能力開発を支援する等、積極的に人材の投資をいたします。

③ 財務基盤の強化と資金調達方法の多様化

安定的・持続的な成長のために、また外部環境の変化に対応するためには、強靭な財務基盤と機動的な資金調達が重要であると考えております。収益獲得やステークホルダーとの協働により財務基盤の構築、資金調達方法の多様化を図ります。

④ ホテル開発、ホテルREIT上場

当社グループでは、アフターコロナ時代のホテル業界について、観光立国を目指す日本政府の施策のもとで、今後も大きな成長が見込まれる分野であると考えております。サムティ・ジャパンホテル投資法人の東京証券取引所上場含め、外部環境を注視しながら事業推進いたします。

⑤ 海外への事業展開

当連結会計年度において、ベトナム国最大手の不動産デベロッパーであるVINHOMES JOINT STOCK COMPANYと同国ハノイ市において共同で行うスマートシティ分譲住宅事業プロジェクトの顧客への引渡を進めております。また2023年12月には、同国における2号案件としてホーチミン市におけるプロジェクトに参加いたしました。今後も引き続き海外事業における収益の拡大を目指してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、下記のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

サステナビリティ基本方針

サムティグループでは、ESG(環境・社会・ガバナンス)指標と開示事項を合わせた、4つの基本方針を定めています。社会的価値の創造を重視する考え方である、サステナビリティ経営の高度化により、事業活動を通じた社会課題の解決に率先して取り組みます。

経営理念である「倫理、情熱、挑戦 そして夢の実現」の実践に向けて、社会を構成する一員として地域に根差した活動を行い、ステークホルダーの皆様の期待と信頼に応え、中長期の視点から、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努め、誰もが夢をもって成長できる未来を目指します。

 


 

 

4つの基本方針

環境への配慮(E:環境)

社会情勢の変化を捉え、エネルギーや資源に配慮し、“人と自然の共生”を意識した不動産の開発やサービスの提供に努めます。

 

地域との共存(S:社会)

事業を通じて、地域コミュニティとの共存共栄の関係を構築するため、地域ごとの特色にあった活動を模索し、社会の一員として地域の発展に寄与します。

 

人を大切にする企業の実現(S:社会)

サムティグループに関わる全ての人々の人権や多様な考えを尊重し、次世代が夢をもって成長できる社会の実現に貢献します。

 

企業倫理の徹底(G:ガバナンス)

サムティグループの経営理念や行動規範に基づき、コーポレートガバナンス体制の強化やリスク管理を徹底するとともに、従業員一人ひとりが高い倫理観をもって事業活動に取り組み、社会から信頼される企業を目指します。

 

 

(1) ガバナンス

サステナビリティ推進委員会

当社のサステナビリティに関する取り組みは、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を2021年7月に発足し、グループ全体の指針となる「サステナビリティ基本方針」を策定しました。

 


 

 

 

(2) 戦略

人的資本に関する取り組み

サムティグループでは、従業員一人一人が多様性を持ち、仕事と生活を両立させながら個人の能力を発揮し、長く働ける環境づくりをサステナビリティ経営の核として重視しています。経営戦略の一環として従業員の健康管理に注力し、性別、年齢、人種、宗教に関わらず活躍できるダイバーシティに富んだ環境を整えることで、やりがいを持って働ける職場を提供しています。また、事業活動を支える「人」の重要性を認識し、多様な人材の確保と能力開発を支援しており、強い倫理観、チャレンジ精神、自由な発想力を持った人材の活躍が新たな価値創造や社会発展に貢献することを目指しています。

 

[人材育成体系図]


 

 

 

人材育成方針

サムティグループは、事業活動を支え会社の成長を牽引していくのは「人」であると考えています。従業員の持続的な成長を目指し、全ての従業員が自身の技術や能力を磨けるよう支援します。公平かつ平等な基準で教育と研修の機会を提供することで、強い倫理観、チャレンジ精神や自由な発想力を持った人材を育成し、新たな価値の創造や、会社の発展に貢献することを期待しています。

 

私たちは、以下の取り組みを推進します。

1.専門技術と知識の拡充

2.キャリア開発支援

3.リーダーシップ育成

 

社内環境整備方針

サムティグループは、従業員がやりがいを持って末永く働ける環境を整えることがサステナビリティ経営の根幹であると考えています。そのために、性別、年齢、国籍等に関わらず多様性を持った従業員が、仕事と生活を両立させながら、個人の能力を発揮して長く働ける職場づくりを目指しています。

そのために多様性と包摂性(D&I)の推進を重視し、仕事と家庭の両立を実現できるように支援やライフイベントに対応した制度の拡充を進め、多様な働き方を支援する制度を整備します。

 

私たちは、以下の取り組みを推進します。

1.D&Iの推進

2.仕事と家庭の両立支援

3.個々の能力の最大限発揮

 

(3) リスク管理

気候変動への対応:シナリオ分析

気候変動に伴うリスクと機会は、自社の事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、以下のプロセスを通じて気候変動に伴うリスクと機会を特定し、1.5℃シナリオおよび4℃シナリオを用いて分析し、重要性を評価しました。

 

気候変動シナリオの選択

 

シナリオ

想定される社会環境

1.5℃シナリオ

世界がネットゼロへ加速化するシナリオ

(規制が広く導入され気温上昇抑制に成功するが、移行リスクが高まる)

炭素税や化石燃料関連の規制強化、さらにエシカル消費の拡大など、社会全体が脱炭素に向かい、温度上昇の抑制に成功するシナリオ

4℃シナリオ

温室効果ガス排出規制が強化されず、気温上昇が促進されるシナリオ

(規制が限定的なため温暖化が進行し、物理リスクが高まる)

規制が限定的で温暖化による自然災害が頻発し、ビジネスの停止リスクが高まるシナリオ

 

 

 

シナリオ分析結果

<リスク>

リス

の類型

ドライバー

発生時期

総合影響度

短期
(~2025)

中期
(~2030)

長期
(2031~)

1.5℃

シナ

リオ

4℃

シナ

リオ

政策・

法規制

・GHG排出・省エネなどの規制の強化

・炭素価格制度の導入により建築・運営コストが上昇省エネ法の強化などに伴い新築・改修コストが上昇

 

 

市場

・環境配慮意識の高まり再生可能エネルギーの導入コスト

 

 

・顧客(入居テナント、住宅の購入者など)のニーズ変化

 

 

・開発等に関わるコストの上昇

 

 

評判

・当社グループの取組・事業が評価されず資金調達への影響

 

 

急性

・自然災害(台風、洪水、集中豪雨など)の増加

 

 

・災害の発生に伴う保有建物の破損・機能停止

 

 

・災害の発生に伴う工事の中断・遅延

 

 

慢性

・風水害や洪水などの極端な気象事象過酷化

 

 

・自然災害の顕在化に伴う、不動産の鑑定評価への影響

 

 

・真夏日増加に伴う、従業員・取引先などへの健康影響

・労働力への悪影響による収益の減少とコストの増加

・テナントによる施設のBCP(Business Continuity Planning)対応に対するニーズが増加し、賃料に影響

・住宅購入者によるLCP(Life Continuity Planning)に対するニーズが増大し、地域の選別や商品間の競争が激化

 

 

 

 

 

<機会>

機会の

類型

ドライバー

発生時期

総合影響度

短期

(~2025)

中期

(~2030)

長期

(2031~)

1.5℃

シナ

リオ

4℃

シナ

リオ

エネルギー・

資源効率性

・再生可能・クリーンエネルギー供給技術の進展

 

 

・GHG排出量の少ない製品需要を通じたコストの低下

 

 

製品と

サービス

・防災と省エネルギーなどに対応する商品・サービスに対する需要の高まり(資産価値上昇)

 

 

・ZEH1、ZEB2に対する顧客評価の高まり

 

 

市場

・気候変動の解決に資する新たな市場の創出(事業活動を多様化)

・脱炭素社会に向けた政府・地方自治体・民間団体などとの協働プロジェクト機会の増加

 

 

 

1 ZEH(Net Zero Energy House) :エネルギー収支ゼロおよび省エネルギー+創エネルギーを目指した一般住宅のこと。

2 ZEB(Net Zero Energy Building) :建物内で消費されているエネルギー収支ゼロを目指したビルや工場、学校等の建物のこと。

 

(4) 指標及び目標

サムティグループは、カーボンニュートラル実現に向け温室効果ガス排出量削減の中期目標「2030年度までにCO2排出量(Scope1・2)を20%削減(2022年度比)」を掲げています。

 

[サムティグループの温室効果ガス排出量]

2023年11月30日現在

単位:t-CO₂

スコープ1

1,159

スコープ2

3,869

スコープ1+2

5,028

 

 

[人的資本に関する取り組み]

研修

2023年11月30日現在

研修

時間(h)

4,454

投資額(千円)

15,458

 

 

年次有給休暇取得

2023年11月30日現在

一人当たりの年次有給休暇取得日数

8.4

一人当たりの平均有給休暇取得率

53.6

 

 

両立制度の利用

2023年11月30日現在

育児休業からの復職率

男性

100%

女性

100%

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化したときに当社グループの経営成績等の状況に与える影響について合理的に予見することが困難な場合には、その可能性の程度や時期・影響についての記述は行っておりません。なお、当社グループはリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、コンプライアンスに係るリスク、日常の業務活動に係るリスク、情報に対するリスク、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスク顕在化の予防を図っております。

 

(1) 不動産市況の影響について

不動産開発事業及び不動産ソリューション事業における開発及び収益物件の売買については、景気の悪化や金利上昇、税制の変更等の諸情勢の変化により、販売価格の下落、不動産市場からの資金流出を招く可能性があります。

さらに、マンションの開発においては、用地の取得から竣工引受までの期間を概ね2~3年要するため、その間に地価動向、金利動向、金融情勢等のマクロ経済に変動が生じ、これに伴い不動産市況が悪化した場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

また、不動産の用地取得競争の激化による取得価格の上昇や建設資材価格の上昇に伴い原価が高騰する状況において、販売価格への転嫁が難しい場合には、売上総利益が圧迫され、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応については、今後の国内経済の動向を注視するとともに、不動産市況の動向を適宜把握し、当該リスクの適時軽減に取り組んでまいります。

 

(2) 物件の引渡時期による業績の変動について

不動産開発事業及び不動産ソリューション事業の売上高及び利益は、各プロジェクトの規模や利益率に大きく影響を受けるとともに、当該事業の売上は顧客への引渡時に計上されることから、各プロジェクトの進捗状況、販売計画の変更、販売動向の変化及び建設工事等の遅延による引渡時期の変更が、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、大規模なプロジェクトについては、当該プロジェクトの引渡時期が変更された場合、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 外注業務について

当社グループは、ほぼすべての建設工事を外注しております。当社の選定基準に合致する外注先を十分に確保できない場合、外注先の経営不振や繁忙期等による工期の遅延、労働者の不足に伴う外注価格の上昇等が発生する場合には、建設コストの増加や建設工期が長期化し当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 販売用不動産の評価について

経済情勢の悪化や不動産市況悪化等により販売用不動産としての価値が大きく減少した場合には、棚卸資産の簿価切下げに伴う損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 固定資産の減損について

当社グループは、インカムゲインの最大化を企図してフィー収入ビジネスを強化する戦略を推進しております。経済情勢や不動産市況の悪化による賃料水準の低下や空室率の上昇等、賃貸用不動産の収益性が著しく低下した場合等には固定資産の簿価切下げに伴う損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6) 有利子負債の依存及び資金調達について

当社グループは、開発用地及び建築費用、収益物件等の取得資金は、主に金融機関からの借入金によって調達しており、総資産に占める有利子負債への依存度が高くなる傾向にあるため、想定通りに資金調達が行えなかった場合や経済情勢等により市場金利が上昇した場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

<有利子負債残高の推移>

回次

第38期

第39期

第40期

第41期

第42期

決算年月

2019年11月

2020年11月

2021年11月

2022年11月

2023年11月

有利子負債残高(百万円)

130,927

153,005

219,231

267,948

265,450

総資産(百万円)

218,803

250,864

349,194

413,594

413,429

有利子負債比率(%)

59.8

61.0

62.8

64.8

64.2

 

 (注) 有利子負債は、短期借入金、1年内返済予定の長期借入金、長期借入金、1年内返済予定のノンリコース長期借入金、ノンリコース長期借入金、1年内償還予定の社債、社債であります。

 

(7) 偶然不測の事故・自然災害について

火災、破裂爆発、落雷、風ひょう雪災、水災、地震火災、地震破裂、地震倒壊、噴火及び津波並びに電気的事故、機械的事故その他偶然不測の事故並びに戦争、暴動、騒乱、テロ等の災害により、当社グループが保有する物件について滅失、劣化又は毀損し、その価値が影響を受ける可能性があります。また、偶然不測の事故・自然災害により不動産に対する投資マインドが冷え込んだ結果、不動産需要が減り、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。こうした場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 法的規制等について

当社グループは、宅地建物取引業法、建築基準法をはじめとする不動産関連の様々な法令や金融商品取引法等の法的規制を受けており、宅地建物取引業免許、一級建築士事務所登録、第二種金融商品取引業登録、投資運用業登録等の免許・登録等を取得しております。

当社グループでは内部管理体制の強化とコンプライアンス体制の整備に努めており、本書提出日現在を含め過去においても、免許・登録等の取り消しや更新拒否の事由となる事実は発生しておりません。しかし、将来において不本意ながら、これら法令に違反する事実が発生し、免許・登録等の取り消しや行政処分が発せられた場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

また、関連法令の改正や制定に伴い当社グループの事業活動が制約を受ける場合や当社グループが十分に対応できない場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクへの対応として、役職員が常に法令遵守を意識して業務に取り組むようコンプライアンスに関する研修を定期的に行っております。

 

(9) 個人情報保護法について

当社グループは、業務遂行上の必要性から、各事業において多くの個人情報を取り扱っております。これらの個人情報に関しては、「個人情報の保護に関する法律」をはじめ関係する諸法令に則り適正な取得・管理・取扱いの確保に努めております。しかしながら不測の事態により、万が一、個人情報が外部へ漏洩した場合、当社グループの信用失墜等及びそれに伴う売上高の減少や損害賠償費用の発生等により、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクへの対応については、各部門の代表者から構成される情報セキュリティ委員会により、会社が取り扱う情報を適切に管理するための仕組みの整備を行うとともに、その実施及び運用を推進してまいります。

 

(10) 訴訟の可能性について

 当社グループが国内外で行う事業活動において、訴訟、紛争またはその他の法的手続の対象となる可能性があります。当社グループではリスク管理体制の整備及び運用を通じて訴訟等の予防に努めておりますが、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績及び財政状態及び経営成績、社会的信用の低下等に影響を及ぼす可能性があります。また当社グループが第三者より損害、権利の侵害を受けた場合は、当社グループの権利を保護するための費用が発生する可能性があり、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(11) 瑕疵担保責任、契約不適合責任について

売買対象不動産に瑕疵や契約不適合がある場合、売主が買主に対して瑕疵担保責任や契約不適合責任を負うこととなります。万が一当社グループの販売した物件に重大な瑕疵や契約不適合があるとされた場合(工事における施工の不具合及び施工報告書の施工データの転用・加筆等を含みますが、これらに限りません。)には、その直接的な原因が当社グループ以外の責によるものであっても当社グループは売主としてこれらの責任を負うことがあります。これらの場合には、当社グループが当該欠陥・瑕疵等の補修、建替えその他に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなることがあり、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 人材の確保・育成について

当社グループの将来の成長は優秀な人材をはじめとする人的資源に大きく依存するため、不動産及び金融分野における高い専門性と豊富な経験を有するプロフェッショナルな人材の確保と育成が不可欠な条件であります。しかしながら、計画どおりに当社の求める人材が確保できない場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 海外事業について

当社グループは、本書提出日現在、海外事業としてシンガポール及びベトナムで事業を展開しております。市況、金利、為替の変動、予期できない政治・社会情勢の変化や、テロ・紛争の発生、法規制の変更があった場合は、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 税制改正による影響

法人税法や消費税法の改正による税率の引き上げ等、当社グループが事業を展開する国における不動産に関連する税制の改正により、不動産取得資金の増加や事業戦略への影響が生じ、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 財務報告に係る内部統制及び会計に関するリスクの影響

当社は、財務報告に係る内部統制の整備、運用に努めております。しかしながら内部統制の整備、運用が有効に機能せず、改善が不十分である場合、監査法人による内部統制監査において、期末日以降に財務報告に係る内部統制に重要な不備が指摘され、その結果、当社グループの経営成績及び響を及ぼし、社会的信用や市場での評価が低下する可能性があります。当該リスクを低減するため適切な内部統制の整備、運用を充実させるべく、会計コンプライアンス意識を保持し、監査法人を含む社内外の関係者とより深度あるコミュニケーションを図ります。

 

(16) 持株会社体制への移行に関するリスク

当社は2024年6月3日にサムティホールディングス株式会社を設立する予定でありますが、今後、本件に関わり、予期せぬ損失及び費用が発生した場合、当社グループの業績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行したことにより社会経済の正常化が進み、国内景気は緩やかな回復傾向に向かっている一方、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化、燃料・資源の価格高騰、円安の進行、欧米を中心とした世界的な金融引き締め等、依然として先行きが不透明な状況にあります。

当社グループの属する不動産業界においては、賃貸マンションに関しては景気動向やコロナ禍の影響を受けにくいことから、稼働率、賃料水準及び物件の販売価格のいずれも堅調に推移しております。ホテル業界においては、全国旅行支援や円安の影響を受けた訪日外国人観光客の増加により、稼働率、客室単価は、おおよそコロナ禍前の水準に達しており、国内外の旅行需要は順調に回復している状況にあります。

このような事業環境のもと、国内外の機関投資家の旺盛な投資意欲に支えられ、自社賃貸マンションブランド「S-RESIDENCE」シリーズを含む販売用不動産126物件を販売いたしました。物件の仕入れにつきましては、金利や売買価格、キャップレート(還元利回り)等の市場動向を多角的に検討しながら進めております。また、2023年1月16日付公表の「2022年11月期通期決算発表日の延期ならびに特別調査委員会設置に関するお知らせ」のとおり、当社グループにおいて判明した特定の取引先との取引状況の分析、検討をするための特別調査委員会に係る一過性の費用9億円を特別調査費用等として特別損失に計上しております。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高1,986億円(前連結会計年度比54.6%増)、営業利益195億円(前連結会計年度比38.7%増)、経常利益158億円(前連結会計年度比9.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益103億円(前連結会計年度比5.2%減)となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(不動産開発事業)

不動産開発事業は、自社賃貸マンションブランド「S-RESIDENCE」シリーズ等の企画開発・販売を行っております。

当連結会計年度においては、66物件の販売用不動産を販売いたしました。

この結果、当該事業の売上高は1,026億円(前連結会計年度比39.7%増)、営業利益は161億円(前連結会計年度比3.6%増)となりました。

(不動産ソリューション事業)

不動産ソリューション事業は、収益不動産等の取得・再生・販売を行っております。

当連結会計年度において60物件の販売用不動産を販売いたしました。

この結果、当該事業の売上高は535億円(前連結会計年度比86.8%増)、営業利益は65億円(前連結会計年度比66.8%増)となりました。

(海外事業)

海外事業は、海外における投資、分譲住宅事業を行っております。2021年11月期より販売を開始したベトナム国ハノイ市におけるスマートシティ分譲住宅事業プロジェクトについては、販売が順調に進捗しております。

この結果、当該事業の売上高は166億円(前連結会計年度は74億円の売上高)、営業利益は12億円(前連結会計年度は5億円の営業損失)となりました。

 

(不動産賃貸事業)

不動産賃貸事業は、マンション、オフィスビル、商業施設の賃貸を行っております。

当連結会計年度において物件取得が順調に推移し、53物件、合計約325億円の収益物件を取得したほか、54物件の開発物件を竣工いたしました。

この結果、当該事業の売上高は86億円(前連結会計年度比0.3%減)、営業利益は40億円(前連結会計年度比3.5%減)となりました。

(ホテル賃貸・運営事業)

ホテル賃貸・運営事業は、ホテルの賃貸及び管理を行っております。当連結会計年度において、「メルキュール東京羽田エアポート(東京都大田区)」等をはじめとした当社グループが参画するホテルは21物件となりました。

当連結会計年度においては、全国旅行支援や、訪日外国人観光客の増加により、保有・運営ホテルの稼働率、客室単価は回復傾向にあります。なお、「ホテルサンシャイン宇都宮(栃木県宇都宮市)」について、栃木県より宿泊療養施設確保の要請があり、当社グループとして、企業の社会的責任及び地域社会への貢献の観点から本要請を受け入れ、一棟全体を療養施設として栃木県に賃貸しておりましたが、2023年4月1日より、宿泊療養施設としての賃貸を終了し、通常営業を再開しております。

この結果、当該事業の売上高は129億円(前連結会計年度比104.6%増)、営業損失は10億円(前連結会計年度は27億円の営業損失)となりました。

(不動産管理事業)

不動産管理事業は、マンション、オフィスビル、商業施設の管理を行っております。

この結果、当該事業の売上高は42億円(前連結会計年度比10.4%増)、営業利益は4億円(前連結会計年度比38.6%減)となりました。

 

② 財政状態の状況
(資産)

当連結会計年度の資産合計は、前連結会計年度末と比べ、1億円減少し4,134億円となっております。主な増減要因は、販売用不動産、仕掛販売用不動産、有形固定資産が213億円の減少、投資その他の資産が88億円の増加、現金及び預金が7億円の減少によるものであります。

(負債)

当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度末と比べ、8億円減少し3,023億円となっております。主な増減要因は、短期借入金が177億円の減少、1年内返済予定の長期借入金が236億円の増加、長期借入金が84億円の減少によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度末と比べ7億円増加し1,111億円となっております。主な増減要因は、利益剰余金が61億円の増加、非支配株主持分が60億円の減少、為替換算調整勘定が7億円の増加によるものであります。

 

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動により420億円増加、投資活動により292億円減少、財務活動により119億円減少したことなどによる結果、前連結会計年度末と比べ、10億円増加し、当連結会計年度末には441億円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動により獲得した資金は、420億円(前連結会計年度は148億円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益155億円、棚卸資産の減少額303億円、利息の支払額48億円、法人税等の支払額40億円などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、292億円(前連結会計年度は520億円の支出)となりました。これは主に、預け金の預入による支出101億円有形固定資産の取得による支出81億円投資有価証券の取得による支出96億円などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動により使用した資金は、119億円(前連結会計年度は389億円の収入)となりました。これは主に、短期借入れによる収入375億円、短期借入金の返済による支出553億円、長期借入れによる収入1,469億円、長期借入金の返済による支出1,318億円、社債の発行による収入55億円、配当金の支払額41億円などによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社グループは、不動産開発事業、不動産ソリューション事業及び不動産賃貸事業を主要な事業としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。

b. 受注実績

当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年12月1日

至 2023年11月30日)

前年同期比(%)

金額(百万円)

不動産開発事業

102,627

+39.7

不動産ソリューション事業

53,523

+86.8

海外事業

16,640

+122.9

不動産賃貸事業

8,679

△0.3

ホテル賃貸・運営事業

12,987

+104.6

不動産管理事業

4,202

+10.4

合計

198,660

54.6

 

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 2021年12月1日

至 2022年11月30日)

当連結会計年度

(自 2022年12月1日

至 2023年11月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

MFTJPN3特定目的会社

17,777

13.8

サムティ・レジデンシャル投資法人

17,672

13.7

MFTJPN2特定目的会社

15,799

12.3

 

3.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績につきましては、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める顧客がないため、記載を省略しております。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債や収益及び費用等の額に不確実性がある場合、過去の実績や取引の状況に照らし合理的と考えられる見積り及び判断を行っております。当該見積り及び判断について当社グループは継続的に評価を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成において使用される見積り及び判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

a.販売用不動産の評価

当社グループは、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に従い、収益性の低下により正味売却価額が帳簿価額を下回っている販売用不動産(仕掛販売用不動産を含む)の帳簿価額を、正味売却価額まで切り下げる会計処理を適用しております。

会計処理の適用に当たっては、個別物件ごとに販売価格、建築工事原価追加発生額及び販売経費等を見積もって正味売却価額を算定しており、正味売却価額が帳簿価額を下回った場合に、帳簿価額を正味売却価額まで切り下げる評価減を行っております。

経済情勢の悪化や不動産市況の悪化等により評価損の認識が必要となった場合、また、見積りの前提条件の変更等により正味売却価額が減少することとなった場合には、追加の評価減の処理が必要となる可能性があります。

 

b.固定資産の減損

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」に従い、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった固定資産の帳簿価額を、回収可能価額まで減額する会計処理を適用しております。

会計処理の適用に当たっては、継続的な営業損失や営業キャッシュ・フローの赤字、市場価格の著しい下落、経営環境の著しい悪化及び用途変更等によって減損の兆候がある場合に減損損失の認識の要否を検討しております。減損損失を認識するかどうかの検討には将来キャッシュ・フローの見積金額を用いており、減損損失の認識が必要と判断された場合は、帳簿価額が回収可能価額を上回る金額を減損損失として計上しております。なお、回収可能価額は正味売却価額又は使用価値のいずれか高い金額によって決定しております。

将来の継続的な営業損失や営業キャッシュ・フローの赤字、市場価格の著しい下落、経営環境の著しい悪化及び用途変更等により減損損失の認識が必要となった場合、また、見積りの前提条件の変更等により将来キャッシュ・フローの見積金額及び正味売却価額が減少することとなった場合には、追加の減損損失の計上が必要となる可能性があります。

また、以上の会計上の見積り等に関する新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、収束が長引く場合、不動産開発事業において進行中のホテル開発計画の見直しや、ホテル賃貸・運営事業において保有中のホテル資産の評価の見直しにより、評価減や減損の処理が必要となる可能性があります。

 

② 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高につきましては、前連結会計年度の1,284億円から701億円増加(前期比54.6%増)し、1,986億円となりました。これは主に、不動産開発事業における賃貸マンション、ホテル等の販売に伴う売上高の増加によるものであります。

重点的に補充を実施したレジデンスが当期において販売が順調に進んだことにより不動産開発事業の売上高が増加し、2021年11月期より販売を開始したベトナム国ハノイ市におけるスマートシティ分譲住宅事業プロジェクトについて、販売が順調に進捗したことにより海外事業の売上高が増加しております。

(売上原価)

当連結会計年度における売上原価につきましては、前連結会計年度の1,013億円から612億円増加(前期比60.5%増)し、1,625億円となりました。これは主に、不動産開発事業及び海外事業における売上高の増加に伴う売上原価の増加によるものであります。詳細な要因は上記(売上高)に記載のとおりであります。

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費につきましては、前連結会計年度の130億円から34億円増加(前期比26.6%増)し、165億円となりました。これは主に、従業員の増加及び社員の賃金のベースアップに伴う給与手当の増加、業容の拡大に伴う支払手数料の増加等によるものであります。

(営業外損益)

当連結会計年度における営業外収益につきましては、前連結会計年度の60億円から43億円減少し、16億円となりました。これは主に、前期において円安進行により海外子会社の外貨建て負債について為替差益を認識したことによるものであります。

当連結会計年度における営業外費用につきましては、前連結会計年度の56億円から2億円減少し、53億円となりました。

(特別損益)

当連結会計年度における特別利益につきましては、前連結会計年度の0億円から6億円増加し、7億円となりました。これは主に、受取補償金を計上したことによるものであります。

当連結会計年度における特別損失につきましては、前連結会計年度の0億円から10億円増加し、10億円となりました。これは主に、当社グループにおいて判明した特定の取引先との取引状況の分析、検討をするための特別調査委員会に係る一過性の費用を特別調査費用等として特別損失に計上したことによるものであります。

 

セグメントごとの概要は以下のとおりです。

a.不動産開発事業

重点的に補充を実施したレジデンスが当期において販売が順調に進んだことにより、売上高は前年比39.7%の増収、営業利益につきましては、前年比3.6%の増益となりました

b.不動産ソリューション事業

世界的な低金利を背景とした旺盛な不動産需要のもと、サムティ・レジデンシャル投資法人への物件供給、オフィスビルの売却を行いました。売上高は前年比86.8%の増収、営業利益につきましては、前年比66.8%の増益となりました。

c.海外事業

2021年11月期より販売を開始したベトナム国ハノイ市におけるスマートシティ分譲住宅事業プロジェクトについては、コロナ禍においても販売が順調に進捗したことにより、売上高は前年比122.9%の増収、営業利益は12億円(前年は5億円の営業損失)となりました。

d.不動産賃貸事業

当連結会計年度において物件取得が順調に推移し53物件、約325億円の収益不動産を取得したほか、54物件(自社ブランド「S-RESIDENCE」シリーズ)の開発物件を竣工いたしました。

この結果、売上高は前年比0.3%の減収、営業利益につきましては、前年比3.5%の減益となりました。

e.ホテル賃貸・運営事業

当連結会計年度において、全国旅行支援や、訪日外国人観光客の増加により、保有・運営ホテルの稼働率、客室単価は回復したことにより、売上高は104.6%の増収、営業損失は前年に比べ減少しました。

f.不動産管理事業

サムティ・レジデンシャル投資法人の資産規模拡大に伴うアセットマネジメント・プロパティマネジメント報酬の増加により、売上高は前年比10.4%の増収、営業利益につきましては、前年比38.6%の減益となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの主力事業である不動産開発事業及び不動産ソリューション事業においては、顧客への引渡し時期の変動、天災その他予期し得ない事態による建築工事の遅延、経済情勢の変動による業績への影響、有利子負債への依存による事業展開への影響等、経営成績に重要な影響を与える様々な要因が挙げられます。新型コロナウイルス感染症の影響を含め、詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金需要の主なものは、不動産開発事業における開発用地の取得資金及び建築資金、不動産ソリューション事業における販売用不動産の取得資金、不動産賃貸事業における賃貸用不動産の取得資金であり、その調達手段は主として金融機関からの借入金によっており、また、効率的な調達を行うため取引銀行と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。なお、全社費用の運転資金につきましては、原則自己資金を充当しております。

 

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2021年1月27日に公表した新中期経営計画「サムティ強靭化計画(アフターコロナ版)」において、本業の稼ぐ力として営業利益を、投資効率を図る指標としてROE及びROAを、財務健全性を図る指標として自己資本比率をそれぞれ重視することとしております。当該計画では2023年11月期のこれら指標について、営業利益20,000百万円以上、ROE12.0~15.0%水準、ROA6.0~7.0%水準、自己資本比率27.0~30.0%以上、2025年12月期においては、営業利益35,000百万円以上、ROE15.0%水準、ROA7.0%水準、自己資本比率30.0%以上という目標を掲げておりますが、当期は営業利益19,533百万円、ROE10.1%、ROA4.7%、自己資本比率が25.5%となりました。今後も投資効率と財務健全性の維持、向上に努めつつ、営業利益目標を達成してまいります。

また、各指標の推移は以下のとおりです。

 

2019年11月

2020年11月

2021年11月

2022年11月

2023年11月

営業利益(百万円)

15,395

17,355

9,461

14,083

19,533

ROE(%)

14.7

14.3

11.7

11.4

10.1

ROA(%)

8.1

7.4

3.2

3.7

4.7

自己資本比率(%)

32.5

30.7

27.0

23.9

25.5

 

(注)各指標はいずれも当社連結ベースの数値を用いて算出しております。

・ROE:当期純利益÷期首・期末平均自己資本

・ROA:営業利益÷期首・期末平均総資産

・自己資本比率:自己資本÷総資産

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。