当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループのビジョン・ミッション・バリューを基礎として、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた次の10年を「食ビジネスの変革を支援する会社」と定義しています。
人手不足が慢性化している環境下において、HR事業によって食分野への人材流入を促進し、DX事業でテクノロジーやデータを用いて人手不足を補います。また、守るべき食のコンテンツの持続可能性を高めるため、新たに開始した事業再生によって付加価値の高い事業や商品を有する企業の事業・経営の再構築を行い、再成長に貢献いたします。コロナ前・コロナ禍を比較・分析し、中期的なターゲットKPIを設定の上、2026年〜2027年には主要事業であるHR事業の売上規模は40〜50億円程度(CAGR25〜30%)まで回復・再成長すると試算しています。
これまで支援し続けた「人」を起点に、新たにDXや事業再生を通じて持続可能な食ビジネスのためのエコシステムを提供することで、事業規模の拡大に向けた取り組みを加速させてまいります。
(2)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの事業に関連する外食産業市場においては、一般社団法人日本フードサービス協会による、外食産業市場動向調査の売上統計は2019年が前年比101.9%と増加傾向であったものの、2020年は前年比84.9%、2021年は前年比98.6%と新型コロナウィルス感染症(以下「COVID-19」という。)の影響により逓減しておりました。しかしながら、2022年は前年比113.3%、2023年は前年比114.1%と売上金額は増加傾向に転じており、外食産業市場においてはCOVID-19の拡大前に戻りつつあります。
このような環境の変化のなか、当社グループは、持続可能な経営基盤の再構築を目指して、様々な取り組みを進めております。
再成長に向けた取り組みとして、
・飲食採用決定人数シェアの最大化に向けた投資
・求職者登録数の増強にむけたマーケティングの実施及びCRM強化
・IT基盤の構築及び業務生産性向上による既存事業の収益性拡大
・新規事業の開発、推進及び管理体制の整備・強化
を実施し、当社グループの非連続な成長を目指します。
先々の取り組みとしては、食ビジネスを「HR領域」「DX領域」「事業再生領域」の3つの領域からサポートしてまいります。「HR領域」では、不足する食分野への人材流入を促進すべく、最適なマッチングによって個人のキャリア開発と企業の成長の実現を目指します。「DX領域」では、テクノロジーやデータを活用し食分野の人材不足を補いつつ、付加価値の高い業務に人が専念できる環境整備のため働きかけます。当連結会計年度におきましては、主に飲食事業者向けアルバイト業務管理クラウドのシフト管理・勤怠管理・給与管理SaaSプロダクトであるCAST事業の譲受を実施しました。また「事業再生領域」では、食分野における付加価値の高い事業や商品を有する企業の事業及び経営の再構築を行って、食ビジネスの持続可能性を高めるべく尽力いたします。当連結会計年度におきましては、連結子会社であるきゅういち株式会社が本格的な稼働を開始しました。
上記を踏まえ、以下の事項を優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として認識し、事業展開を図る方針であります。
①飲食業界の人材関連市場の再定義と自社のマーケットシェアの分析
前述した事業規模(40〜50億円)に既存事業を回復・再成長させ、かつ新たな収益機会を獲得していくためには、ウィズコロナ・アフターコロナにおける食関連ビジネスの現況を正確に捉える必要があります。今後も継続的にマーケット調査を行い、日本国内の労働人口の将来予測も踏まえて、従来の人材紹介サービスや求人広告サービスという自社サービスの枠に捉われず、多様化する顧客のニーズや課題を探索してまいります。
②既存事業の新たな価値創造と収益性の改善
当社グループの主力事業であるHR事業では、人材紹介・求人広告を主に提供しております。
顧客の求人需要が急速に高まる昨今においては、より顧客に寄り添った価値を提供し、採用のミスマッチ等を防ぐ事が非常に重要な課題の一つであると認識しております。そのため、当社グループでは、これまで以上に顧客目線に立ったサービス開発を実施し、既存サービスである人材紹介・求人広告・スカウトサービスに加え、それらのサービス提供で培ったノウハウを活かし、人材採用にまつわる顧客の課題を総合的に支援・解決するワンストップ型サービスである採用総合パッケージの販売を開始しました。また、紹介手数料等の採用予算をより抑えたいという顧客の要望にも応えるべく、求人サイトおよびスカウトサービスをリニューアルし、利便性の改善と予算に応じた価格帯での様々なサービス展開の実施を予定しています。
また、求職者の当社サービスへの登録に係る広告手法の改善による収益性の改善に関しても継続的な事業の成長を図る上で重要な課題となっております。そのため、ブランディング・オフラインプロモーション・SEO・アライアンスなど、オンライン広告以外のマーケティング手法強化による求職登録者数の最大化を図るとともに、掲載企業数・求人数の最大化と、求職登録者の求人応募アクション最大化を実現するため、商品・サービス(ウェブ・アプリ)のシステムリニューアルを予定しています。
③優秀な人材の確保
当社グループは、今後も各事業領域での新規事業開発及び成長を目指す上で、多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材の獲得が不可欠であると考えております。
そのため、人事制度改革やダイバーシティ対応、能力開発支援等を通じて、当社のビジョン・ミッションに共感する多様かつ優秀な人材の獲得と入社後の活躍・成長を促進し、営業体制・開発体制・管理体制等を強化してまいります。
④情報管理体制の強化
当社グループが運営する事業においては、顧客情報及び個人情報を多く取り扱っており、これらの情報管理が重要課題であると認識しております。今後も個人情報保護方針及びインサイダー取引の未然防止を含む社内規程の整備・運用の徹底、定期的な社内教育の実施、関連社内システムのセキュリティ強化等を図り、情報管理のための管理体制を拡充してまいります。
また、当社は、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が運営するプライバシーマークを取得し、その制度に準じた個人情報管理体制を構築しております。
⑤内部管理体制の強化
当社グループは、既存事業の再成長と新規事業の展開及び新規サービスの拡充にあたっては、経営上のリスクを適切に把握し、当該リスクをコントロールするための内部管理体制の強化が重要な課題と考えております。そのため、事業運営におけるリスク管理を徹底し、内部監査による定期的なモニタリングの実施およびコンプライアンス体制の強化を行うことで、コーポレート・ガバナンス機能の充実を図ってまいります。
また、監査役会や監査法人との適切な連携により、ステークホルダーに対しての経営の適切性や健全性を確保しつつ、効率性・有効性を阻害する業務フローを改善し、全社的に効率的な組織体制の構築に向け、さらなる内部管理体制の強化に取り組んでまいります。
⑥新規事業の開発
当社グループは、持続的な成長を実現するためには、積極的な新規事業の開発・育成により新たな主要事業を創出することが不可欠であると考えております。前述した経営の基本方針や食ビジネスの変革支援の重点項目に基づき、既存事業の周辺領域における新サービスの開発に留まらず、新たな取り組みであるDX領域でのクラウドサービスによるSaaSプロダクトの提供や、食にまつわる事業・経営の再構築を行う事業再生領域を中心に新規事業の開発・育成を進めることで、食ビジネスの変革に貢献してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
サステナビリティ全般への取組
当社グループは「食の世界をもっと自由に、もっと笑顔に。」をビジョンに掲げ、人手不足が慢性化している環境下において、HR事業によって食分野への人材流入を促進し、DX事業でテクノロジーやデータを用いて人手不足を補います。また、守るべき食のコンテンツの持続可能性を高めるため、新たに開始した事業再生・成長支援によって付加価値の高い事業や商品を有する企業の事業・経営の再構築を行い、再成長に貢献いたします。
当社グループは事業の成長を通じてミッションである「食に関わる、あらゆる制約を解き放つ。」を実現し、企業価値向上と持続可能な社会への貢献を目指しております。
(1)ガバナンス
当社グループは、重要な経営課題について、当社の経営会議及びリスク・コンプライアンス委員会において検討し、必要に応じて取締役会に報告を行うこととしております。なお、サステナビリティへの対応方針・施策等は、各担当部門が主体となって推進し、これらの進捗状況等を定期的に取締役会に報告します。
当社グループのガバナンスに関する詳細は、「
(2)戦略
・人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
当社グループは、「食の世界をもっと自由に、もっと笑顔に。」をビジョンに掲げ、事業の成長を通じてミッションである「食に関わる、あらゆる制約を解き放つ。」を実現し、飲食業界のみならず事業活動を通じて直接的・間接的に環境及び社会課題への解決に貢献することを目指しております。当社グループは、より高い事業成長を続け、持続可能な社会へと貢献するために、特に当社グループのビジョン・ミッションに共感する人材の採用、または採用後の成長支援をすることこそが競争力の源泉となると考えております。
また、当社グループに所属する全てのメンバーがビジョン・ミッションの元に同じ方向に向かって進み、組織として高いパフォーマンスを継続的に発揮し続けていくことが不可欠であると考え、様々な施策を策定し、安心して働ける環境づくりに努めています。
具体的な施策
・飲食業界出身の調理人や店舗運営の経験を持つ人材を含め多様なバックグラウンドをもつ人材の採用を行っております。
・入社時研修や営業研修等のオンボーディングの充実に務め、新入社員のストレスの軽減を目指しております。
・グループ間の人材交流を活発に実施しております。当社において長年の経験を積んだ人材をHR事業からグループ会社経営層へと積極的に登用しております。
・リモートワークを選択可能とし、また、原則フレックス制度を採用しており、柔軟な働き方を可能としております。
・社外での業務に挑戦することを支援するため、副業許可基準を明確化し、解禁しております。業務を通じた能力向上・新たな視点の獲得・人脈形成・キャリア及び自律性向上などを促進しております。
・エンゲージメントの向上や情報共有のため、月1回、経営陣から全社に向けた情報発信の場である「Monthly Summit」を実施し、経営陣と従業員の意思疎通を図っております。
・四半期に一度、従業員表彰を行っております。また、賞賛文化を醸成し、従業員の相互理解を深めるため、新たに「cookbiz Praise」という取組みを始めております。四半期に一回、従業員が自由に「誰の・どんな功績を讃えたいか」を決め、従業員投票を行い受賞者を表彰します。選考理由や評価基準を従業員に委ねることで、従業員同士の相互理解を深めます。
・従業員の経営参画意識向上と中長期的な財産形成支援のため、国内最高水準の奨励金付与率120%となる持株奨励金制度を実施しております。持株会加入率は70.9%と、東京証券取引所が2023年6月に発表した「2021年度従業員持株会状況調査結果の概要について」における「従業員の持株会加入状況」の37.65%(※)を大きく上回っております。
(※)出所:東京証券取引所:
(3)リスク管理
当社グループは、持続的な成長を確保するためにリスク管理規程を定め、経営に重大な影響を及ぼすリスクを的確に認識・評価するとともに、リスクに適切に対処し、ステークホルダーを含む社会や当社の経営への影響を最小限に留めることを行動の基本としております。代表取締役社長を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会を設置し、サステナビリティを含む事業活動を行う上で対処すべきリスクを認識・特定して、対策を協議しております。
当社グループのリスク・コンプライアンス体制については、「
(4)指標及び目標
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると当社グループが考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。
当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社グループ株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境に由来するリスクについて
①事業領域について
当社グループは、主に「人材採用・入社後の活躍」を支援する企業としてこれまで培ってきたノウハウ及びブランド力を活用できる領域を中心に事業を推進しております。しかしながら、当該市場規模の縮小や成長鈍化、当社グループにおける各種サービスの競争力低下や価格下落等の要因により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、DX領域におきましては、企業を取り巻く環境や企業経営の効率化などの動きにより業務自動化のニーズが拡大しておりますが、経済情勢の変化により事業環境が悪化した場合や、企業の投資抑制判断等が成された場合に、当社グループの事業及び経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②競合について
当社グループが関与する人材サービス業界においては、新規参入障壁が低いこともあり、大手企業から個人事業者までが存在し、広範囲な業種を対象とする事業者から特定業界に特化した事業者まで、多くの事業者が事業を展開しております。また、飲食業界に特化する事業者は限定的であるものの複数社存在しており、当社グループはこれらの事業者と競合関係にあります。
当社グループは、飲食業界特化によるノウハウの蓄積により、当該業界における求人企業及び求職者のニーズに対してきめ細やかなサービスを提供するとともに、従来の人材紹介や求人広告、ダイレクトリクルーティングサービスに加えて、「採用総合パッケージ」など商品ラインナップの拡充や研修サービス等の人材サービスに限らないサービス提供により同業他社との差別化を推進しておりますが、今後新たな企業の市場参入や競合他社における飲食業界注力等による競争の激化が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、DX領域におきましては、クラウド関連市場は近年急速に拡大している分野であるため、今後も多数の競合企業が新規参入する可能性があります。当社グループでは人材事業において長年培った強みを活かし、DX領域でのサービスを展開してまいりますが、今後、既存の競合企業の競争力の向上や競合企業の参入を含む競争環境の変化によって当社グループの事業及び経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③法的規制について
当社グループの事業を規制する主な法的規制として、「職業安定法」があり、当社は「職業安定法」に基づく有料職業紹介事業者として、厚生労働大臣の「有料職業紹介事業許可」を受けております。なお、当社の許可の有効期間は2026年2月28日であり、以後5年毎の更新が必要となります。
「職業安定法」は、職業紹介事業等が労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整を果たすべき役割に鑑み、その適正な運営を確保するために、紹介事業を規制しており、厚生労働大臣は、当社グループが有料職業紹介事業者としての欠格事由(職業安定法第32条)、若しくは、当該許可の取消事由(職業安定法第32条の9)に該当した場合には、許可の取消や業務の全部又は一部の停止を命じることが出来る旨を定めております。
本書提出日現在において、当社グループにおいて「職業安定法」に定めるこれら欠落事由又は取消事由に抵触する事項は生じておりません。しかしながら、今後において何らかの理由により当社グループが当該法令に抵触する事態が生じた場合、営業停止又は許可取消等により事業活動に支障をきたすとともに、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④原料調達等に関するリスク
当社グループのうち、連結子会社であるきゅういち株式会社が主要な原料としている水産物は、従来、漁獲量の増減などによる水産物市況の変動の影響を度々受けておりましたが、さらに、気候変動がもたらす海洋・陸上環境の変化が水産物等の原料の収量を減少させ、原料価格が高騰するおそれがあります。
気候変動以外でも、水産資源の乱獲や違法操業等が、きゅういち株式会社の調達のリスクにつながる可能性があります。
また、政治・経済情勢、テロ・紛争による治安の悪化や社会的混乱などの外的要因によっても、原料価格や調達・生産に係るエネルギーコスト等が高騰するリスクがあります。
⑤資源環境の変化および国際的な漁獲制限について
当社グループのうち、連結子会社であるきゅういち株式会社において、異常気象や天候不順、水産資源の枯渇化、漁獲状況等による影響の他、国際的な漁獲制限で魚介類等が不足し、市場価格ならびに需給バランスが崩れる事によって、価格の上昇及び調達自体の難航といったリスクが生じる可能性があります。
(2)事業内容に由来するリスクについて
①求職者の集客について
当社グループの人材紹介サービス及び求人広告サービスにおいては、求人情報サイト「cookbiz」における継続した求職者の集客(サイト登録者及び閲覧者の拡大)が重要な要素であると考えております。
当社グループは、サービス拡充及び品質向上等により飲食業界における評価及び知名度の向上に努めるとともに、ウェブマーケティングを中心とした集客拡大のための施策を推進しております。しかしながら、今後における雇用情勢の変化、競合激化、集客施策の不振等により、十分な求職者の集客が困難となった場合、人材紹介にかかるマッチング機能の低下や求人広告にかかる広告効果の低下等が生じる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループにおける集客施策については、以下のリスクがあります。
(a)検索エンジンへの対応について
当社グループが運営する「cookbiz」サイトにおける利用者の集客については、特定の検索エンジン(「Yahoo!Japan」及び「Google」)の検索結果からの誘導によるものが一定の割合を占めております。
当社グループは、検索結果において上位表示されるべくSEO対策等の必要な対応を推進しておりますが、今後、検索エンジン運営者における上位表示方針及びロジックの変更、その他何らかの要因によって検索結果の表示が当社グループにとって優位に働かない状況が生じる可能性があり、この場合、「cookbiz」サイトへの集客効果が低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(b)集客に係る広告宣伝活動について
当社グループは、サービスの認知度向上、当社グループサイトへの集客及びサービス利用拡大等を目的として、継続した広告宣伝活動を行っております。当社グループの広告宣伝は、インターネット広告(検索連動型広告、ディスプレイ広告及びインフィード広告等)を中心としております。
当社グループの広告宣伝においては、広告手法や媒体、その実施方法及びタイミング等について、費用対効果を検討した上で効率的な広告宣伝費の投下に努めておりますが、その効果を正確に予測することは不可能であり、当社グループが行う広告宣伝について著しい広告効果の低下や広告費用の上昇が生じた場合には、求職者の集客等に影響が生じ、また、当該費用負担により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②求人企業と求職者の適正なマッチングについて
人材紹介サービスにおいては、求人企業における人材採用ニーズと、求職者の保有スキル・経験や就職・転職にかかる希望条件等を適正にマッチングすることが重要な要素であると考えております。また、飲食業界は、人材不足等の要因から長時間労働が生じ易いこと、従業者の離職率が高い業種とされていること等から、求人企業における労働環境等も考慮した上での、求人求職双方のニーズに応じた適正なマッチングが必要となります。
当社グループは、求人企業に対するヒアリング・取材又は求職者に対するコンサルタントによる面談等におけるニーズ、希望条件、適性等の把握を徹底することに加えて、社内における業務ノウハウ等の共有や継続的な教育・育成による担当者のスキル向上、求職者に適した求人企業の候補抽出等のシステム化によるサポート及び効率化等を推進することにより、適正なマッチングの実施及びその精度向上に努めております。
しかしながら、当社グループの施策推進にも拘らず、マッチング精度の低下による人材紹介にかかる成約率の大幅な低下や早期退職の著しい増加、その他のトラブルが生じた場合、当社グループ事業の収益性低下や信頼性低下等が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③人材紹介サービスにおける取引慣行に基づく返金制度について
人材紹介サービスにおいては、当社グループの紹介した求職者が、求人企業に入社した日付を基準に売上高を計上しております。当該事業においては、人材紹介業界における取引慣行に基づき、求職者が入社した日から3ヶ月以内に自己都合により退職した場合は、その退職までの期間に応じて紹介手数料を返金する旨を求人企業との契約に定めております。
当社グループは、求人企業と求職者の双方のニーズを十分に斟酌した上で紹介を進める等、このような事態の発生の低減に努めており、過去の返金実績に基づき返金引当金を計上しております。しかしながら、当社グループの想定した返金率を上回る返金が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④新規事業について
当社グループは、継続的な成長を図るため、飲食業界に関わる事業領域において新規事業の創出に取り組んでおります。当該取組みにおいては、システム開発や人件費等の先行投資が必要となるほか、事業展開に応じて追加支出等が発生する可能性があります。また、事業推進においては、当初の計画通りに事業が進捗しない又は十分な収益を見込めず初期投資を回収出来ない等の状況が生じる可能性があるほか、事業撤退を余儀なくされる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤消費変動のリスクについて
当社グループのうち、連結子会社であるきゅういち株式会社において、一般消費者の生鮮魚介類の購入量は安定的に推移しているものの、購入額は減少傾向にあります。その反面、世界の魚介類の消費量は増加しており、一部の魚介類に対する漁獲量の制限の動き、魚価の高騰も見られます。また、我が国における魚食文化の後退による魚離れ、人口減少による生鮮魚介類購入額の減少が加速するなど、これらの傾向が持続し又は急激に変化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3)当社の事業体制について
①人材の獲得・育成について
当社グループは、経営計画及び事業方針のもと、既存事業や新規事業の展開を行っており、その都度、必要に応じて人材の確保が必要であると考えております。特に、事業基盤を拡大・成長させていくための高度なマネジメント能力やシステム技術分野のスキルを有する人材確保に努めるとともに、教育体制の整備を進め人材の定着を図るよう努めていく方針であります。しかしながら、当社グループの求める人材が十分に確保・育成できなかった場合や人材の流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び新規事業の拡大等に支障が出る可能性があり、そのような事態が生じた場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②内部管理体制について
当社グループは、今後の事業運営及びその拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しており、当該強化を推進しております。しかしながら、人的要因及び急激な事業環境の変化により、内部統制に関する制度の構築、運用、モニタリングのいずれかが十分に機能しない場合、様々な事業リスクを適切に管理できず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、内部統制に関する制度が完全にその機能を果たしたとしても、これらは違法行為のすべてを排除することを保証するものではなく、従業員による重大な過失、不正、その他の違法行為等が生じた場合には、訴訟や損害賠償等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③個人情報保護について
当社グループは、事業運営において、登録求職者に関わる多数の個人情報を取り扱っております。取り扱う個人情報については、利用目的を明示し承諾を得た上で取得し、当該範囲でのみ利用しております。
当社グループは、個人情報の適正な取り扱い及び安全管理を推進するため、「個人情報保護規程」を策定し、従業員に対する教育及び適正な業務運営の徹底を図るほか、プライバシーマークの認定取得を行う等の情報管理体制の強化に取り組んでおります。
しかしながら、何らかの理由により当社グループが管理する個人情報等の漏洩や不正使用等の事態が生じた場合、当社グループ及び事業サービスに対する信頼性の著しい低下や顧客からの損害賠償請求等が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④求人サイトリニューアルについて
当社グループは2024年春を目途に求人サイトのリニューアルを予定しております。当該リニューアルは2012年以降のサイト開設以来初の試みとなり、求職者情報を含む基幹データベースの移管等の大規模な改修を予定しております。当社グループは、当該リニューアルに係るシステムトラブル発生の未然防止及び回避に備えて万全な体制を整えております。
しかしながら、新旧システムの入替に係るトラブル及びその他予測不能な様々な要因により、求人サイトのリニューアルに際し障害が発生した場合、継続したサービス提供等に支障が生じる可能性があり、当該要因による、当社グループの収益機会の喪失、システム及び事業運営に対する信頼性低下、クレーム発生その他の要因により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤システム障害について
当社グループのHR事業は、インターネット上に開設したウェブサイトを通して提供されております。当社グループは事業の信頼性及び取引の安全性の観点からも、自社のシステム管理体制の構築、定期的バックアップ、稼働状況の監視等によりシステムトラブル発生の未然防止及び回避に加えて、万が一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧出来るような体制を整えております。
しかしながら、自然災害や事故、人為的ミスの発生、通信回線等の遮断・停止、ソフトウエア又はシステム機器の欠陥等によるトラブル、外部からのシステム攻撃や侵入、その他予測不能な様々な要因により、コンピュータシステム等に障害が発生した場合、継続したサービス提供等に支障が生じる可能性があり、当該要因による、当社グループの収益機会の喪失、システム及び事業運営に対する信頼性低下、クレーム発生その他の要因により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥技術開発について
インターネット関連事業は、技術革新が著しく、新技術、新サービスが常に生み出されております。当社グループのHR事業は、インターネットと深く関わっており、競争力のあるサービスを提供し続けるためには、新技術及び新サービスを適時に提供することが重要になります。質の高いサービスを提供するため当社グループでは、プロダクトマーケティング部が中心となり関係部署と協議の上、新規サービスを開発する体制をとっております。これはユーザーやクライアントから寄せられる様々なリクエストを吸い上げ、自社システムに反映することを可能にするためであります。
当社グループは、人的資源を随時見直しながら人員の適切な配置を行っており、必要により人員増加を行いますが、サービスの強化に繋がる有効なシステムの開発に時間がかかる等、新技術や新サービスの提供が遅れるような場合には、業界内での競争力の低下を招き、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスクについて
①感染症蔓延について
COVID-19の感染拡大が徐々に抑制され、2023年5月には、5類感染症に移行したことにより社会活動がCOVID-19拡大前に戻りつつあり、経済活動の本格的な再開が期待されておりますが、今後も同様の感染症が蔓延し、行動制限等が発令された場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループにおきましては、飲食店向け求人事業に経営成績及び財政状態が依存しない経営基盤を構築するため、新規事業の創出及び成長に注力することで、事業活動や収益性の維持を図ってまいります。
②東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水問題について
2023年8月、東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出に起因した中国による日本の海産物輸入の全面的停止措置を受け、連結子会社であるきゅういち株式会社において、中国向けに輸出予定であったホタテ等の売上減少の影響を受けております。今後も中国による禁輸措置が長期化した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループにおきましては、係る影響を最小限にとどめるため、2023年9月に国内一般消費者向けECサイトをリリースし、また、当社HR事業における顧客である飲食店向けの新規販路拡大による収益性の維持及び拡大を目指しております。
③減損損失について
当社グループが保有している固定資産については、月次決算において部門ごとの損益を踏まえ各種施策を実施することにより利益管理を行っておりますが、外部環境の急激な変化等により著しく収益性が低下した場合など十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は減損損失の認識が必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④配当政策について
当社グループは設立以来、配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元は重要な経営課題であると認識しており、事業基盤の整備状況、経営成績や財政状態などを総合的に勘案の上、配当をしていきたいと考えております。
ただし、当面は、事業基盤の整備を優先することが株主価値の最大化に値するとの考えから、その原資となる内部留保の充実を基本方針としており、現時点において配当実施時期等については未定であります。
⑤潜在株式の行使による当社グループ株式価値の希薄化について
当社グループは、役員及び従業員に対し、当社グループの経営成績向上への意欲や士気を一層高めることを目的として、新株予約権付与によるストックオプション制度を採用しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、当社株式の1株当たりの価値が希薄化する可能性があります。
なお、本書提出日の前月末現在における新株予約権にかかる潜在株式数は117,990株であり、発行済株式総数2,790,691株の4.23%に相当しております。また当社グループは長期的な企業価値向上を目指し、今後もストックオプション制度を含めたインセンティブ制度を活用していく方針であります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社グループは、当連結会計年度より連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結キャッシュ・フロー計算書を作成しているため、「①財政状態及び経営成績の状況 (b)経営成績、③生産、受注及び販売の実績」について前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループのビジョン・ミッション・バリューを基礎として、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた次の10年を「食ビジネスの変革を支援する会社」と定義しています。激変する消費者の行動・価値観変容を理解し、飲食店の新たな収益機会や業態の創出と変革にかかる店舗・業務・人材・資金をトータルサポートすることで食産業の再成長に貢献いたします。
主要事業であるHR事業においては、コロナ前・コロナ禍を比較・分析し、中期的なターゲットとなるKPIを設定し、2026年~2027年にはHR事業売上が40~50億円(CAGR25~30%)程度まで回復・再成長すると試算しています。これまで支援し続けた「人」を起点に、新たな食体験・食サービスとエコシステムを提供することで、事業規模の再拡大に向けた取り組みを加速させてまいります。
当連結会計年度におきまして、主要事業であるHR事業においては、人流の回復とインバウンド需要も増加し、飲食業界の人材採用ニーズはさらに高まっております。特に第4四半期におきましては、従来の当社事業における季節性において高い需要が見込まれる期間でしたが、当連結会計年度におきましても年末年始の繁忙期を見据えた企業の人材需要の高まりを受け、季節性通りの堅調さとなり、より一層コロナ前の傾向が戻りつつあります。さらに、従前の課題であった求職者の集客においても回復し、堅調に推移しております。
また、事業再生・成長支援セグメントであるきゅういち株式会社の売上高は東京電力によるALPS処理水問題の影響を受け、第4四半期において売上高減少となるものの、第3四半期累計期間までにおいては概ね想定通りで進捗いたしました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(a)財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ634,342千円増加し、3,441,539千円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて311,943千円増加し、1,914,637千円となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて322,399千円増加し、1,526,902千円となりました。
(b)経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高2,665,054千円、営業利益290,428千円、経常利益287,714千円、親会社株主に帰属する当期純利益は267,372千円となりました。
なお、当社グループは、前期連結会計年度においては連結損益計算書を作成していないため、前連結会計年度との比較は行っておりません。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
HR事業における売上高は1,907,200千円、セグメント利益は213,785千円となり、事業再生・成長支援における売上高は757,873千円、セグメント利益は58,643千円となりました。
なお、当社グループは、単一セグメントであったためセグメント別の記載を省略しておりましたが、前連結会計年度末においてきゅういち株式会社を連結子会社化したことに伴い、開示情報としての重要性が増したため「事業再生・成長支援」を報告セグメントとしてセグメント情報を記載することとしました。また、当連結会計年度において、従来「事業再生」としていたセグメント名称を「事業再生・成長支援」に変更しております。当該セグメントの名称変更によるセグメント情報に与える影響はありません。
(HR事業)
HR事業におきましては、クックビズ株式会社で飲食業界に特化した求人情報サイト「cookbiz」を運営しており、当該サイトを通じて、コンサルタントを介した有料職業紹介を行う「人材紹介サービス」、求人情報を求職者に提供する「求人広告サービス」、ダイレクトリクルーティングサービスを提供する「スカウトサービス」を中心に展開しております。また、研修サービスやCAST事業等の新規サービスを「その他」に分類しております。
その結果、当セグメントにおける売上高は1,907,200千円、セグメント利益は213,785千円となりました。
※ cookbiz:当社は人材紹介サービス及び求人広告サービスともに「cookbiz」の同一ブランドにて展開しております。
(事業再生・成長支援)
事業再生・成長支援におきましては、きゅういち株式会社でホタテ・ホッケ・サバ等の冷凍加工業を行っております。
主に道南エリアの漁業協同組合等から買付を行い、冷凍加工後、商社、大手水産加工会社等へ販売することを主要業務としております。同社においては2023年8月末の東京電力のALPS処理水放出問題に起因した中国の禁輸影響を受け第4四半期におきまして中国向け輸出の出荷が停止となり、売上が減少いたしましたが、第3四半期累計期間までにおいては概ね想定通りで進捗いたしました。
その結果、当セグメントにおける売上高は757,873千円、セグメント利益は58,643千円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して215,548千円減少し、2,059,171千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
なお、当社グループは、前連結会計年度においては連結キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、前連結会計年度との比較は行っておりません。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は28,232千円となりました。その主な要因は、売上債権の増加額116,062千円、棚卸資産の増加額190,057千円等の資金の減少に対し、税金等調整前当期純利益289,831千円、減価償却費34,805千円等の資金の増加があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は525,690千円となりました。その主な要因は、無形固定資産の取得による支出168,995千円、事業譲受による支出84,892千円、投資有価証券の取得による支出99,980千円、関係会社貸付けによる支出120,000千円等による資金の減少があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、獲得した資金は281,909千円となりました。その主な要因は、短期借入金の純減額187,250千円による資金の減少に対し、長期借入れによる収入500,000千円の資金の増加があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当社が提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
(b)受注実績
生産実績と同様の理由により、受注実績に関する記載はしておりません。
(c)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年12月1日 至 2023年11月30日) |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
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HR事業 |
1,907,200 |
- |
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事業再生・成長支援 |
757,853 |
- |
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合計 |
2,665,054 |
- |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.前連結会計年度末においてきゅういち株式会社を連結子会社化したことに伴い、開示情報としての重要性が増したため「事業再生・成長支援」を報告セグメントとしてセグメント情報を記載することとしました。また、当連結会計において、従来「事業再生」としていたセグメント名称を「事業再生・成長支援」に変更しております。当該セグメントの名称変更によるセグメント情報に与える影響はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループは、当連結会計年度より連結損益計算書を作成しているため、「②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(b)経営成績の分析」については、前連結会計年度との比較・分析を行っておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。
この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ213,176千円増加し、2,786,549千円となりました。主な内訳は、現金及び預金2,118,796千円、商品及び製品291,994千円であります。
また、固定資産は、前連結会計年度末に比べ421,166千円増加し、654,989千円となりました。主な内訳は、有形固定資産が163,198千円、無形固定資産が305,531千円、投資その他の資産が186,259千円であります。
以上の結果、当連結会計年度末における総資産は、3,441,539千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ14,855千円減少し、981,806千円となりました。主な内訳は、短期借入金392,750千円、契約負債121,622千円であります。
また、固定負債は、前連結会計年度末に比べ326,798千円増加し、932,830千円となりました。主な内訳は、長期借入金897,519千円であります。
以上の結果、当連結会計年度末における負債は、1,914,637千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ322,399千円増加し、1,526,902千円となりました。主な内訳は、資本金760,463千円、資本剰余金753,463千円であります。
(b)経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は2,665,054千円となりました。要因としては、HR事業に関して、人流の回復とインバウンド需要も増加し、飲食業界の人材採用ニーズがさらに高まったためであります。さらに、従前の課題であった求職者の集客においても回復し、堅調に推移したためであります。また、事業再生・成長支援セグメントであるきゅういち株式会社の売上高は東京電力によるALPS処理水問題の影響を受け、第4四半期において売上減少となるものの、第3四半期累計期間までにおいては概ね想定通りとなりました。
(営業損益及び経常損益)
当連結会計年度は、売上高が堅調に回復したことおよび前期から継続して費用削減に努め、人員は確保しつつ費用対効果を見極めた投資の結果、営業利益290,428千円となり、さらに営業外収益として利子補給金5,000千円の計上や、営業外費用として支払利息16,682千円の計上により経常利益287,714千円となっております。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は特別利益としてSaaSプロダクトであるCAST事業を譲り受けたことによる負ののれん発生益2,264千円の計上がございました。また、法人税等(法人税等調整額を含む)は22,459千円となりました。
上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は267,372千円となりました。
(c)キャッシュ・フローの分析
当社グループは、運転資金及び設備投資の調達に際しては自己資金を基本としておりますが、必要に応じて銀行からの借入又は第三者割当増資による調達を行う方針であります。
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、営業活動上において必要な人件費や広告費用の営業費用であります。
当社グループのキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(d)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業体制等、様々な要因の変化の影響を受ける可能性があります。このため、事業環境を注視するとともに、新規事業の開拓、組織体制の整備及び内部統制システムの強化等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応するよう努めてまいります。
(e)経営戦略の現状と見通し
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(f)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループが継続的に成長していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、3 事業等のリスク」に記載の様々な課題に対応していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために経営者は常に外部環境の構造や変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。
(事業の譲受)
当社は2023年6月26日開催の取締役会において、CAST株式会社が運営する、主に飲食事業者向けアルバイト
業務管理クラウドのシフト管理・勤怠管理・給与管理SaaSプロダクトであるCAST事業について、事業を譲り受け
る旨の事業譲渡契約を締結し、2023年7月5日付けで当該事業の事業譲受を完了いたしました。
詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。