当社グループは、企業として目指す姿を表した「経営理念」を以下のとおり定めています。
空気圧機器をはじめとする自動制御機器製品の製造販売を通じて、「産業界の自動化・省力化に貢献する」ことが、当社の社会的使命であると認識しております。
「産業界の自動化・省力化に貢献する」要素部品メーカーとしての本分に徹し、本業である自動制御機器事業に経営資源を集中して、競争力の向上に努めてまいります。
世界各国・地域のルールやニーズに沿った製品、世界のどの市場でも通用する製品を供給してまいります。
当社グループの主要製品である空気圧機器をはじめとする自動制御機器は、自動化された工場の生産・搬送ライン、半導体製造装置、工作機械、産業用ロボットなどのオートメーションを支える要素部品として、あらゆる産業分野で使用されています。
当社グループは、特定の業種、特定のお客様への依存度が低いため、産業構造の変化や需要環境の急変への耐性が相対的に高いと認識しています。
空気圧機器は、汎用性が高く、お客様の創意工夫によって、用途が無限に拡大しています。当社グループは、お客様のニーズに応える製品開発を進めており、これを通じて新規需要の開拓が可能です。
環境保護の取組は人類共通の喫緊の課題であり、お客様の環境保護への要請は年々高まっています。
大気中に放出しても問題のない圧縮空気を動力源とする空気圧機器は、それ自体が環境にやさしい特性を備えています。
少子・高齢化は世界的に進んでおり、多くの先進国では、労働力人口の減少が始まっています。また、これまで労働集約型の生産活動を担ってきた新興国においては、経済発展に伴い人件費が高騰しつつあります。
空気圧機器は、人の手による作業の代替に適した自動制御機器であり、労働力人口の減少や人件費の高騰に対処するための自動化・省力化ニーズに合致しています。
② 当社グループの競争優位性
空気圧機器は、空気配管上で使用される様々な機器でシステムを構成しています。当社グループは、それらの機器すべてを製造販売する総合メーカーであり、お客様に各種の空気圧機器をワンストップで供給することができます。
当社グループは、製品設計の段階から、環境負荷の少ない製品の開発に取り組んでいます。また、お客様のニーズに応じた製品開発を続ける中で技術力を培い、特に製品の小型化・軽量化を得意としています。
空気圧機器の小型化・軽量化は、空気圧機器を組み込んだ装置やロボットの重量を減らし、お客様の工場全体のエネルギー消費量の削減を可能にします。
空気圧機器には、お客様の使用状況に応じた様々なバリエーションが要求されます。当社グループは、70万品目に及ぶ豊富な品揃えで、お客様のあらゆるニーズにお応えします。
空気圧機器は、お客様の工場の生産・搬送ライン等に組み込まれる要素部品であり、空気圧機器の不具合や欠品によってライン等が停止すれば、お客様は多大な損失を被ります。そのため当社グループは、製品の品質管理に万全を期すとともに、戦略的に厚めの在庫を保持することにより、お客様のご注文に迅速に対応できる短納期即納体制を整えています。
お客様の事業はグローバル化が進んでいます。
当社グループは80以上の国と地域に拠点を持ち、直販の営業人員を配置することで、お客様のニーズを的確にとらえ、ニーズに合った製品をグローバルに供給できる体制を構築しています。
以下のような当社グループの強みを活かすことにより、さらなる売上成長と、低シェア地域及び低シェア製品の領域を中心に、販売シェアの向上を実現することができるものと考えています。
当社グループの製品は汎用性が高く、半導体・電機、自動車、工作機械だけでなく、あらゆる産業分野で多種多様な用途でご使用いただいています。顧客アカウントは70万社に上り、特定の業種・地域への依存度が低いことから、需要環境の急激な変化に対して強い耐性を持っています。
また当社グループは、世界80以上の国と地域に500以上の拠点網を展開し、7,000名以上の営業スタッフを配置するとともに、販売代理店各社との協働により、お客様へのきめ細かなサービスの提供に努めています。世界5か国の技術センターには、2,000名以上の技術スタッフを配置し、センター間の連携強化を図りつつ、研究開発、技術情報の収集及びお客様への技術サポートを行っています。
こうした広汎なグローバルフットプリントを通じて収集・蓄積した情報は、お客様に付加価値をもたらす源泉であり、当社グループは、各種のITツールも利用して情報を共有し、事業戦略に活用しています。
当社グループは、主力の空気圧機器だけでなく、自動制御機器全般を網羅する一連の製品群をお客様に提供しています。豊富な品揃えは70万品目に及び、在庫も厚めに保持する戦略で、当社グループにご用命いただければ自動制御機器なら何でも揃う「ワンストップショップ」のサービスにより、お客様の様々なニーズに対応しています。
② 着実な設備投資
当社グループは、以下の観点から、着実な設備投資に取り組んでいます。これらは、短期的には減価償却費の負担により収益性の悪化を招きますが、中長期的には当社グループの競争力を高め、企業価値の向上に資するものと考えています。
地球温暖化や労働力人口の減少などの社会課題は深刻さを増しており、自動化・省力化を通じてこれらの解決に貢献できる自動制御機器は、中長期的な需要の拡大が見込まれます。当社グループは、不況期にも着実な設備投資を行って生産能力を確保することにより、需要回復期には他社に先んじて受注を獲得し、販売シェアを伸ばしてきました。
不透明な政治経済情勢を背景に、設備投資意欲の減退傾向がみられる現在の状況のもと、生産拠点、物流拠点及び研究開発拠点の拡充を進めています。
当社グループは従来、集中生産とロケーションセービング(人件費を中心とする生産コストの低い国・地域での生産)による徹底的なコストダウンを進めてきましたが、自然災害や感染症、貿易紛争など様々なリスクを想定し、いかなる事態が発生してもお客様への製品供給責任を果たすことができる体制を確立するため、世界6か国の量産拠点を中心に、生産の複線化(一つの製品を複数の拠点で生産できる体制の構築)を進めています。
当社グループは、「従業員が誇りと愛着を持てる企業」を目指して、快適な職場環境の整備に取り組んでいます。近年竣工した新工場、新本社、建設中の新技術センター及び遠野サプライヤーパークでは、従業員のウェルビーイング向上とともに、お客様、お取引先、当社グループ各社の従業員などとの交流促進を目的とした設備を導入しています。
当社グループは従来から、小型化・軽量化を進め、省エネルギー性能を高めた製品を開発し、お客様に提供してきました。当社製品の高い環境性能をお客様にアピールすることで、売上成長につなげていきます。
(a) 低圧化の提案
製造業における消費電力の約20%が、圧縮空気を生成するコンプレッサの稼働によるものとされています。お客様の工場で使用されるエアの消費量の削減や圧力の低圧化により、CO2排出量の大幅な削減が可能です。
当社グループは、エアの使用状況を常時監視し、設備の稼働状況に応じて自動的に圧力を下げる機能などを持つ「AMS(エアマネジメントシステム)」や、工場全体を低圧化しつつラインの必要な部分のみ局所で増圧する「省エネ増圧弁」など、低圧化に役立つ製品の提案に力を入れています。
(b) 省エネ診断
当社グループのスタッフがお客様の工場にお伺いして、エアの使用状況を細かくチェックし、エアの消費量の削減や圧力の低圧化を実現する製品やノウハウを組み合わせた、総合的な提案を行う「省エネ診断」の活動を進めています。
世界50か国以上で約200名の営業スタッフを担当者として任命し、お客様に対して年間350件以上の提案を実施しています。
(c) 「環境配慮型製品」
当社製品をシリーズごとに区分して、原材料の調達から生産、販売、お客様による製品の使用、廃棄に至るまでのプロセス全体における環境負荷の低減について、11項目の評価を実施しました。これらの項目のうち、お客様のCO2排出量削減に直接的に貢献できる4項目(省電力、省資源、省エア、省エネ性能の向上を目的に開発した新製品)のいずれかに該当する製品を「環境配慮型製品」と位置付けました。
環境配慮型製品の売上高は、当社グループの売上高全体の約80%を占めています。
(d) 政府・自治体との協働
当社は、経済産業省資源エネルギー庁の施策として(一社)環境共創イニシアチブが運営する「中小企業等に向けた省エネルギー診断拡充事業」の「省エネ診断機関」として登録を受けて、お客様の生産設備や装置の省エネ診断を実施しています。
このほか、各国政府や自治体などと協働して、当社グループの製品やソリューションの活用により、広くCO2排出量削減を図る施策の検討を進めています。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
[マテリアリティ]
当社グループは、事業活動を通じた社会課題の解決に取り組んでいます。
お客様や株主・投資家の皆様との対話を起点に、取締役会で議論を重ね、リスク及び収益機会の両面から、当社グループが持続的に成長する上での重要課題(マテリアリティ)を以下のとおり特定しました。
・当社グループはもとよりサプライチェーンにおいても、人権侵害のない環境づくりに取り組みます。
・ダイバーシティに取り組み、国籍・性別・年齢等に関わらず、多様な人材が活躍できる企業を目指します。
・従業員が安全・安心に働ける職場環境の維持に努めます。
(b) 気候変動・環境課題への対応
・製造時及び使用時のCO2排出量を削減した環境配慮型製品(エコプロダクツ)の開発・供給を推進します。
・工場におけるCO2排出量削減、廃棄物の削減など(エコファクトリー)に取り組み、そのノウハウをお客様への提案にも活かします。
(c) グローバルな製品の安定供給
・事業活動全般にわたるBCP(事業継続計画)を推進し、いかなる時にも製品供給を持続できる体制を構築します。
(d) 人材の育成・自動制御技術の普及
・グローバルな人事評価制度・表彰制度・教育研修制度を整備し、人材の育成と活用に努めます。
・奨学金や各種セミナーの開催等を通じて、自動制御技術の普及に努めるとともに、次世代を担う人材の育成に貢献します。
[ガバナンス]
取締役会の諮問機関として「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティ課題に関する取組の進捗状況等の監督機能を強化しています。サステナビリティ委員会は、独立社外取締役が全体の過半数となるよう構成すること、委員長は独立社外取締役である委員の互選により選定することを、内規により定めています。
執行側の組織としては、同委員会を補佐する管掌取締役を置き、サステナビリティに関する取組を統括する「SDGs事務局」及びグループ内外への情報発信を担当する「コーポレートコミュニケーション室」が、事務局機能を担っています。また、各事業部門の責任者が管下組織における取組を統括管理し、サステナビリティ委員会及び取締役会への報告を行う体制としています。
環境関連のデータ収集並びに再生可能エネルギーの利用促進など気候変動対策及び自然保護対策としての具体的施策の企画立案・実施を担当する部署として、「エコファクトリー推進室」を設置しています。
[リスクと影響の管理]
サステナビリティ委員会は、各事業部門及び事務局から報告を受けたサステナビリティに関するリスクについて、分析、評価、対応策の妥当性を検証し、必要に応じて取締役会に報告することとしています。
気候変動及び自然資本に関しては、エコファクトリー推進室が中心となり、SDGs事務局及び各事業部門と連携して、リスク・機会を幅広く抽出し、重要なリスク・機会の特定・評価を行い、それぞれのリスク・機会に対して対応策を検討しています。その結果は、サステナビリティ委員会及び取締役会に定期的に報告しています。
[戦略]
当社グループは、2022年6月に賛同表明したTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の考え方に基づき、IEAやIPCCなどの報告書やパリ協定をはじめとする国際動向を踏まえ、低炭素社会へ移行する1.5℃シナリオと、温暖化が進行する4℃シナリオを選択し、シナリオ分析を実施しました。
シナリオ分析の結果は、当社グループの方針決定に反映しています。
また、1.5℃シナリオ及び4℃シナリオの双方において、それぞれのリスク・機会に関する財務影響度及び対応策の観点から、当社グループの事業戦略はレジリエンスを有していると考えています。
今後も定期的にシナリオ分析を行い、リスク・機会を見直すとともに、対応策の着実な実行及び進捗状況のモニタリングを実施します。
<シナリオの概要>
<定義>
時 間 軸 短期:0~3年 中期:4~10年 長期:11~30年
財務影響度 小:10億円未満 中:10~500億円未満 大:500億円以上
<1.5℃シナリオ>
<4℃シナリオ>
[指標及び目標]
当社グループは、気候関連リスク及び機会を測定・管理するための指標として、国際的な基準である「GHGプロトコル」に基づくScope1、Scope2及びScope3(*1)のCO2排出量について、グループ全体(*2)を網羅するデータの収集及び推計を行っています。なお、これらデータの正確性及び信頼性については、LRQAリミテッドによる第三者検証を受けています。
将来の売上・生産規模の拡大も想定した上で、具体的な施策を積み上げて、CO2排出の絶対量を削減する中・長期目標(*3)を策定し、削減施策に取り組んでいます。なお、2030年度までのCO2排出量削減の短期目標については、SBTi(*4)による認定を取得しています。
*1 Scope1: 自社の燃料消費によるCO2排出量
Scope2: 他社から供給されたエネルギーの消費によるCO2排出量
Scope3: 原材料の購入、製品の配送、お客様が当社製品を使用した際のエネルギー消費など、事業活動に
関わる間接排出
*2 全連結子会社及び主要物流拠点46社(2021年3月期は連結外部売上高の95%以上を構成する販売拠点、生産拠点、主要物流拠点34社)
*3 2021年度を基準年として、SBTi(*4)による1.5℃シナリオの要求を満たす削減目標
*4 SBTi(Science Based Target Initiative)は、企業が2050年までの実質的なGHG排出量ゼロ(ネットゼロ)達成
に向けた目標を設定するための科学的な基準やガイダンスを提供する国際機関
<当社グループのGHG排出量の推移(Scope1+Scope2)>

<当社グループのGHG削減計画(Scope1+Scope2)>

<当社グループのGHG削減計画(Scope3)>

<温室効果ガス(GHG)排出量>
(単位:t-CO2)
<Scope3 カテゴリー別排出量>
(単位:千t-CO2)
[戦略]
当社グループは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が提唱する評価手法であるLEAPアプローチに基づき、直接操業及び主要なバリューチェーン上流のアルミニウム、鉄鋼、銅の鉱山における自然への依存と影響及び優先地域を把握するとともに、自然に関するリスクと機会を評価し、対応策の検討を行いました。
直接操業に当たる当社グループの自動制御機器事業を分析対象とするとともに、主要なバリューチェーンの段階については、UNEP(国連環境計画)が開発したスクリーニングツールであるENCOREを用いて検討を行った結果、自然資本への影響度及び依存度が最も高いと想定される活動として、バリューチェーン上流の鉱物採掘を特定しました。SBTN(Science Based Targets Network)のHigh Impact Commodity List(自然への影響が大きいとされる原材料リスト)に基づき、当社グループが調達している鉱物のうち、アルミニウム、鉄鋼、銅を分析対象に設定しました。
当社グループの事業活動と自然との接点を把握するため、直接操業の工場・物流拠点及びバリューチェーン上流のアルミニウム、鉄鋼、銅の鉱山を対象に、優先地域を特定しました。優先地域は、要注意地域とマテリアルな地域から構成されており、各地域の判断基準を設けて特定を実施しています。
また、優先地域として特定された拠点については、Global Ecosystem TypologyやEcoregions of the Worldのデータベースによってバイオーム(生物群系)及びエコリージョン情報を調査し、自然資本への依存と影響の把握に活用しました。なお、アルミニウム、鉄鋼、銅に関する鉱山の場所は、統計情報等の二次データに基づいています。

事業活動における自然関連のリスク及び機会を識別するためには、自然への依存と影響を明らかにする必要があります。
当社グループは、直接操業である機械製造及びバリューチェーン上流の鉱物採掘に関するレポートや論文等に基づき、インパクト要因、環境資産及び生態系サービスを特定し、依存と影響の関連図を次のように整理しました。
<自然資本への依存と影響の関連図>

自然資本への依存と影響の関連図や自然資本シナリオ分析をもとに、自然に関するリスクと機会の評価を行いました。自然資本シナリオ分析では、気候変動シナリオ分析における1.5℃シナリオに整合する自然保全シナリオ及び4℃シナリオに整合する自然劣化シナリオを設定しました。また、重要な自然関連のリスク及び機会に対する対応策の検討に当たっては、気候変動のリスク及び機会に対する対応策と関連付けて検討を行っています。
<自然資本シナリオの概要>
<定義>
時間軸 短期:0~3年 中期:4~10年 長期:11~30年
<自然保全シナリオ>
<自然劣化シナリオ>
[指標及び目標]
<自然関連の依存と影響>
(注)1 取水量=排水量と推計しています。
2 集計範囲はSMC単体です。
3 水不足地域に位置する拠点として特定した、SMC Corporation (India) Pvt.Ltd.の取水量を記載しています。
(4) 人的資本に関する取組
[戦略]
当社グループは、ビジネスのグローバル化、顧客ニーズの多様化、少子高齢化・労働力人口の減少に伴い深刻化する人材不足といったビジネス環境の変化に対応するとともに、イノベーションの創出や生産性の向上など、ビジネスに新たな価値をもたらす効果が期待できるダイバーシティを推進し、人的資本の最大限の活用に取り組みます。
当社グループの従業員約23,000名のうち70%が、海外のグループ会社に在籍しています。
当社グループがさらなる成長を遂げ、次のステージに進むためには、ダイバーシティの取組を推進し、グループが一体となって事業活動に取り組む体制を構築する必要があると考えています。具体的には、グループ間での連携・協働の深化、グループの優秀な人材が能力を発揮できる仕組みと環境の整備、人材育成の仕組みの整備に取り組みます。
当社グループは、こうした認識のもと、以下の人事方針を掲げています。
・従業員が会社に愛着と誇りを持ち、働きがいを感じることで、持てる力を存分に発揮できる環境を整備する。
・持続可能性と多様性を基軸とした人事施策を推進し、多様な個性を持った従業員を繋ぎ、グループとしての一体感を醸成する。
当社グループは、空気圧機器をはじめとする自動制御機器の製造販売を通じて、「産業界の自動化・省力化に貢献する」という社会的使命を果たすために、人的資本を確保・育成していく必要があると考えています。
当社は設立以来、「働きがい」を重視した人事管理を行っています。自由闊達な企業風土を醸成し、実務経験を通じて人を育て、若い社員にも責任ある仕事を任せて成長を促しています。各自が自律的に活動することで持てる力を存分に発揮し、常に仕事に情熱を持ち、会社に誇りを持てる環境づくりに努めています。
当社グループは、持続可能性と多様性を基軸とした人事施策を推進するとともに、人材投資を惜しまず実行し、その効果の検証・改善を継続します。
・失敗を恐れずに積極的にチャレンジする人材
・グローバルな視点で活躍できる人材
・主体的に考え行動する自律型の人材
・専門性を高めスペシャリストを志向する人材
(ⅰ) SMCグループ内転勤制度
当社グループのさらなる成長を実現するためには、世界中のグループ各社で働いている優秀な人材が、会社の枠を超えて「グローバルに活躍できる体制」を、スピード感を持って構築する必要があるとの考えから、「SMCグループ内転勤制度」の運用を2023年度から開始し継続して実行しています。本制度は、海外グループ各社から募った、優秀で高い意欲を持った人材が、日本の本社での勤務経験をもとに視野を広げ、帰国後のさらなる活躍の素地を固めると同時に、日本の従業員が海外の人材と交流し切磋琢磨する中で刺激を受け、グローバルな活躍の舞台を求めてチャレンジする精神を培うことを目的としています(2024年度末時点のグループ内転勤制度適用者は、6か国10名)。
(ⅱ) SMCグループ技能競技大会
当社は、技能の向上及び伝承の環境づくりを整備するために、「技能伝承委員会」を発足し、日本の6工場に「技能育成道場」を設置しています。また、技能の維持・向上を図ることを目的に、当社グループ及び協力企業の技能者を対象に、「SMCグループ技能競技大会」を実施しており、2024年度は日本の6工場のほか、中国・ベトナム・シンガポール・韓国・台湾の各工場から代表選手が競技に参加しました。優れた技能に触れ切磋琢磨する機会を提供することで、製品の安定供給と品質向上を実現するとともに、モノづくりによるヒトづくり、モチベーションやエンゲージメントの向上、生産性向上を図ります。
(ⅲ) キャリアチャレンジ制度
当社では、「社員の自発的なキャリア形成の促進」及び「社員の意欲向上」を目的に、2024年度からジョブポスティング制度として「キャリアチャレンジ制度」を導入しました。自らのキャリアに対して自律的であることの重要性を踏まえ、導入初年度は、特定のスキルや経験を持つ若手及び中堅社員を対象に、自身のキャリアを主体的に選択できる仕組みを導入しました。今後さらに募集対象を拡大することで、従業員の自律的なキャリア形成を促進し、意欲向上を図ります。
当社グループは、「SMCグループ行動規範」において、「従業員一人一人の人格、個性を尊重し、国籍、人種、民族、信条、宗教、性別等に基づくいかなる非合理な差別もなく、各自が意欲を持ち、能力を十分に発揮できる、安全で働きやすい職場環境の維持に努めます」と定めています。
事業活動のすべてにおいて安全・安心を優先します。日本の6工場に「安全道場」を設置して研修を徹底するなど、安全管理に万全を期しています。また、人権を侵害し職場環境を害する行為であるセクシュアルハラスメント、パワーハラスメント等のハラスメント行為は、固くこれを禁じるとともに、問題発生時には、迅速に調査し、被害者の救済と再発防止に向けた断固たる措置を取っています。全従業員を対象としたハラスメント防止研修を継続して実施し、組織としてハラスメントを起こさない職場風土づくりを進めています。
自由闊達な企業風土を醸成するとともに、明るく、働きがいのある職場環境の維持に努めます。公平・公正で透明性のある人事評価を行い、役割、能力・成果に基づいて処遇します。各自が意欲を持ち、能力を発揮できる環境を整備することで、生産性の向上を図り、会社に愛着や誇りを持って、働きがいを感じることができる職場環境づくりを進めています。
[指標及び目標]
当社は、女性がキャリア形成をあきらめることなく活躍できる環境を整え、管理職へ昇進する機会も平等であることが重要だと考えています。積極的な採用活動により女性採用比率を向上させるとともに、出産や育児のための休暇・休業から復帰する際には、休業前と同一の職場に復職することとして、スムーズな復帰が可能となるよう配慮しています。また、仕事と家庭・育児等の両立支援策として、時短勤務制度や時差出勤制度などの諸制度を設け、働きやすい職場環境の整備に取り組んでいます。
将来的に組織の管理や経営の意思決定に携わる女性社員を増やしていくためには、中長期の視点でキャリア意識の醸成が必要であり、各自の特性や能力を最大限活かせる職場環境の整備や管理職の養成に関わる研修等の取組を進めています。
<当社における育児休業取得者の復職率>
(注) 期間中に復職した者の数/期間中に休職を終了した者の数(退職者を含む)で算出しました。
<当社における大学新卒採用状況>
(注) 2020年度の営業職・企画業務職の女性の応募比率・採用比率については、採用者が0名であったことから、算出していません。
<当社における女性管理職比率>
<当社における全労働者の年次有給休暇の取得率・1人当たりの平均取得日数>
<女性活躍推進法に基づく行動計画>
当社は、男性の育児参加の促進を図るため、出生時育児休業制度の利用者を対象に「出生時育児休業取得奨励金」を支給しています。また、社内報で男性の育児休業取得者を特集するなど、職場全体が育児への理解を深め、育児を応援する職場風土を醸成する取り組みを進めています。育児休業を取得しやすい環境の整備を進めたことにより、男性従業員の育児休業制度の利用が進み、男性の育児休業取得の数値目標を前倒しで達成しました。しかし、育児休業の平均取得日数には改善の余地があり、男性の育児参加をより促進するための課題として認識しています。
また、育児を目的とした休暇の取得を促進するために、配偶者の出産時の特別有給休暇日数を増やしており、育児休業取得に限定しない男性の育児参加の促進に取り組んでいます。
<当社における男性従業員の育児休業取得率・育児休業平均取得日数>
(注) 育児休業平均取得日数に、配偶者の出産時の育児を目的とした特別有給休暇の取得日数及び会社休日は含めていません。
<男性の育児休業取得の数値目標と施策>
③ 男女間の賃金格差
<男女間の賃金格差(男性を100とした場合の女性の値を表した指数)>
<当社における労働者の職層別の男女間の賃金格差、従業員比率、平均勤続年数>
当社の賃金制度は、同一労働同一賃金の原則に則り、同一の職群(職層や職階のカテゴリー)においては同一の賃金テーブルで運用しており、性別による支給格差は一切ありません。
賃金格差が生じている理由は、以下のとおりであると分析しています。
従来の日本企業では、女性が結婚、出産、育児、介護を理由に退職することが多く、当社においても女性の平均勤続年数が男性より短い要因となっています。
加えて、特に技術職・営業職・技能職・技能工職の職層では、過去に女性の採用者が少なく、近年の新卒採用において女性の比率が上昇し、若手層が増加していることも、女性の平均勤続年数が男性より短い要因となっています。
当社では、相対的に賃金水準が高い職層(特に管理職層、技術職・営業職・企画業務職)で女性比率が低くなっています。
これらを踏まえた当社の対応策については、前記「① 女性の活躍推進」をご参照ください。
当社は、シニア世代が自身のスキルを活かして会社に貢献できる仕組みを整えることで、モチベーション高く活躍できる環境の整備に努めています。2024年度は、シニア世代の従業員が自身のスキルを活かし、事業の発展に貢献が期待できるチャレンジングなテーマに取り組む仕組みを導入しました。シニア世代の多様な知見を事業の発展に活かすとともに、ノウハウや技術の伝承を通じて後進の育成にも取り組み、事業の継続性を高めています。
当社は、グローバル化への対応及び専門的知見を持つ人材の獲得を目的として、外国人や中途採用者の積極的な活用を推進しています。従業員全体の意識改革、組織の活性化といった効果も期待しています。
<当社における正規労働者に占める女性・外国人・中途採用者の比率>
<当社における管理職に占める女性・外国人・中途採用者の比率>
<当社における新規採用者に占める女性・外国人・中途採用者の比率>
当社は、従業員が会社に愛着と誇りを持ち、働きがいを感じることで持てる力を存分に発揮できる環境の整備を進めています。2022年度から人事評価に関わる納得性調査を開始し、2023年度から従業員一人ひとりの意欲を高め、組織としての一体感を醸成することを目的に、従業員のエンゲージメントサーベイを開始しています。「職場・仕事」「支援・上司」「環境・同僚」「風土・ビジョン」「処遇・報酬」の分類でエンゲージメントの調査を実施しています。結果は、肯定的な回答の比率が高いことから、概ね一定のエンゲージメントを維持できていると認識しています。今後も定期的な調査を継続し、より良い職場環境づくりに活用するとともに、人事施策の評価に活用します。
各分類に4問の質問を設けて、各々の質問に対して、「その通りである」「どちらかというとその通りである」「どちらかというその通りではない」「その通りではない」のいずれかで回答したものを集計しています。「その通りである」「どちらかというとその通りである」と回答した従業員(肯定的回答者)の割合は以下のとおりです。(調査対象者:当社における社員・嘱託。ただし、執行役員、海外赴任者、休職中の者を除く)
<当社における正規雇用労働者のエンゲージメントサーベイ各分類に占める肯定的回答者の比率>
従業員エンゲージメントサーベイの結果全体は肯定的な回答が多いものの、「処遇・報酬」の比率が相対的に低く、そこに改善すべき課題があると認識しています。特に肯定的な回答比率が低かった「昇格・昇進における公平・公正性」と「自分の希望するキャリアビジョン・キャリアプランを実現する機会」で課題が認識されました。
これらの課題に対し、公平・公正で透明性のある人事評価を行い、役割、能力・成果に基づいて処遇することが必要であると認識しています。また、自分のキャリアについて漠然とした不安を抱えている可能性、将来に向けて明確な目標を持って仕事に取り組めていない可能性があることから、自分のキャリアについて考える機会が必要であるとも認識しています。
調査を踏まえ、2024年度は自分の希望のキャリアプランを実現する仕組みとして、特定のスキル・経験を持つ従業員が自身のキャリアを主体的に選択できる仕組みである「キャリアチャレンジ制度」を実行しました。引き続き調査結果に基づき、従業員が挑戦意欲を持ち、能力を発揮できる環境を整備することを目指します。
<当社における正規雇用労働者の人事評価に関わる納得性調査に占める肯定的回答者の比率>
(注) 「大変納得できた」「ある程度納得できた」と回答した者の数/回答者数で算出しました。
<当社における正規雇用労働者の離職率>
(注) 期間中の離職者数/期初の在籍者数で算出しました。
<当社における新卒入社者3年以内離職率>
(注)1 期間中の離職者数/期初の在籍者数で算出しました。
2 2023年4月1日時点における高校卒の数値については、2020年の新卒入社者が0名であったことから、算出していません。
当社は、従業員が働きがいを感じ、生産性の向上に取り組む意欲を高めることを目的として、賃金水準の向上に努めています。直近5期間の昇給率は、以下のとおりであり、平均年率4.1%です。
<当社における正規労働者の昇給率の推移>
(注) 2021年度は、住宅手当の制度拡充を別途実施したため、他の年度に比して昇給率が低くなっています。
<当社における正規労働者の平均年間給与の推移>
[ガバナンス]
当社グループは、グループ内で最も先進的なIT活用の実績があり、専門知識を持つ人材も多いSMCアメリカに設置した専門組織「GIT」が、グループ各社のITスタッフと連携して、情報セキュリティ対策を含む、グローバルに統一したIT戦略を推進しています。
GITの最高責任者は、当社取締役執行役員でSMCアメリカ社長のケリー・ステイシーが務めており、GITの活動の計画及び実績は、必要に応じて取締役会に報告されています。
[戦略]
当社グループは、オートメーションを支える自動制御機器の総合メーカーとして、いかなる非常事態に際してもグローバルに製品供給責任を果たすことが自社の社会的使命であり、そのためのBCPを整備することが、お客様からの信頼を獲得し、ビジネス面でも大きな競争優位性をもたらすものと認識しています。
BCPの極めて重要な構成要素である、グローバルな情報セキュリティ対策は、以下のとおりです。
当社グループは、北米、中米、欧州、アジア、オセアニア及び日本に合計11か所のデータセンターを設置して、基幹業務のバックアップ体制を構築しています。
・グローバルに統一した基盤整備により、セキュリティホールを排除
・サイバー攻撃の阻止、自動検知、監視体制の強化及び被害の極小化
・データセンター間のレプリケーションにより、システム障害や災害の発生時にも業務を継続
・他のデータセンターでのバックアップにより、サイバー攻撃や災害による障害からも早期に復旧
・定期的に東京大阪間の切り替えテスト(ドリル)を実施

② グローバルで統一したセキュリティツールの導入
当社グループは、グローバルで統一した各種の情報セキュリティツールを導入し、運用しています。
・サイバーハイジーン(衛生管理)、従業員教育
・エンドポイントセキュリティ対策
・統合ID認証管理(ID乗っ取り、認証攻撃対策)
・ルータ防御、ファイアウォール
・メール監視、フィッシングメール対策
・SPAMメール、マルウェア、ランサムウェア対策
・バックアップ
・サイバーインシデント管理
③ NISTへの対応
NIST(米国国立基準技術研究所)のサイバーセキュリティフレームワークを踏まえた、当社グループの情報セキュリティ対策の概要は、以下のとおりです。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、顧客満足度の向上を通じた受注の拡大を目的として、世界各地域において研究開発から資材調達、生産、販売に至るまでの広範な事業活動を展開しています。特に中国及びベトナムにおいては、当該国内での需要への対応やグローバルな製品供給の役割を担うべく、生産拠点の充実・強化を進めています。
中国をはじめ各国においては、以下のような不測の事態が発生するリスクがあります。
① 政治体制、経済環境の激変
② 法制、税制、為替政策、輸出入に関する規制などの急激な変更
③ 労働力の不足、人件費の高騰、大規模な労働争議の発生など労働環境の激変
④ 社会インフラの未整備に起因するエネルギー供給の不安定化
⑤ テロ、戦争、暴動、自然災害、感染症の蔓延などによる社会的混乱
当該リスクが顕在化する可能性は10年から20年に一度程度と想定してきましたが、近年、戦争や感染症の蔓延などリスクが顕在化したほか、経済面や安全保障面での米中対立も続いており、不透明感が高まっています。
当該リスクが顕在化した場合、現地従業員及び駐在員の安全並びに生産設備など現地資産の保全が危うくなるおそれがあるほか、グローバルな製品供給体制に支障が生じ、当社グループ全体の事業活動に深刻な悪影響が及ぶ可能性があります。
BCPの観点から、中国に匹敵する規模の生産拠点をベトナムに整備することや、国内にも一定の供給能力を確保することで、不測の事態が発生しても早期に復旧できる体制の整備に努めています。
当連結会計年度においては、ロシアによるウクライナ侵攻、中東における紛争とそれに伴うスエズ運河の航行不能という形で、当該リスクの顕在化が継続しました。
当社グループの各拠点は、通常稼働を継続しており、お客様及びサプライヤー様の事業活動への影響も限定的なものにとどまりました。海上輸送の所要期間及び物流コストの面では影響を受けましたが、平素から潤沢な在庫を保持する戦略も奏功し、当社グループの製品供給に大きな支障は生じませんでした。
当社グループは、世界各地域において研究開発から資材調達、生産、販売に至るまでの広範な事業活動を展開しています。
当社グループの外貨建取引及び外貨建資産等は、連結財務諸表作成時に円換算するため、外国為替相場の変動により業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループの海外ビジネスの拡大に伴い、当該リスクが顕在化する可能性は高まっており、過去の経験上、2~3年程度に一度は、為替変動により業績及び財政状態に比較的大きな影響を受けることが想定されます。
顕在化の時期としては、業績に対する影響は年間を通じて、財政状態に対する影響は決算期末となります。
円高方向への為替変動により、当社グループの外貨建売上高及び利益が減少します。外貨建の仕入及び費用も減りますが、相対的に影響は少額です。また、当社グループの外貨建資産に関して、換算上のマイナスが発生します。
外貨建の仕入を増やすことに努めていますが、モノづくりの本拠が日本にあることから、対応には限界があります。現在、グループ内での現金配分を見直すことにより、特に為替変動の影響を受けやすい新興国通貨建の資産を減らす対応を進めています。
当社グループは、製品の欠陥によってお客様に損害を与えた場合、製造物責任を問われるリスクがあります。
当社グループの主要製品である空気圧機器は、医療機器などの新しい分野に用途が拡大しており、これら機器に使用された製品に欠陥があったとして、損害賠償を求める訴訟が提起されるリスクもあります。
大規模な製品の欠陥という形で、当該リスクが顕在化する可能性は非常に低いと想定しています。顕在化の時期は特定できません。
当該リスクが顕在化した場合、損害賠償のための費用負担が発生するほか、お客様からの信頼を失うおそれがあり、イメージダウンに伴う他のお客様からの失注も含め、当社グループ全体の事業活動に悪影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは厳しい品質管理を行っていますが、製品に欠陥が生じるリスクをゼロにすることは不可能です。生産物賠償責任保険には加入していますが、保険金によって賠償額のすべてを賄える保証はありません。
当社グループは、顧客情報や技術情報の管理、受発注から生産、人事・給与、会計のデータ処理など、事業活動のあらゆる場面において、情報ネットワークやシステムに大きく依存しています。
これらの情報ネットワークやシステムは、日常的に大量のサイバー攻撃にさらされています。このほかシステムや機器の故障、ヒューマンエラーや不正アクセスにより、情報システムの障害や、重要な情報の漏洩が発生するリスクがあります。
サイバー攻撃の手法は年々巧妙化しており、また経済安全保障やプライバシー保護の観点から、情報の取扱いに関する規制強化の動きが各国で進む中、当該リスクが顕在化する可能性は高まっています。顕在化の時期は特定できません。
(リスクが顕在化した場合の影響の内容)
当該リスクが顕在化した場合、生産や出荷、支払が止まるなど、当社グループの事業活動全般に重大な支障が生じることが想定されます。また、お客様やお取引先様の情報が漏洩した場合、損害賠償のための費用負担が発生するほか、社会的信用を失うことによる売上の減少など、当社グループの業績に深刻な悪影響が生じるおそれがあります。
当社グループは、グループ全体の情報セキュリティを統括管理する専門チームを置いて、NIST(米国国立基準技術研究所)の「サイバーセキュリティフレームワーク」を踏まえた総合的な情報セキュリティ対策を実施しています。詳しくは、本有価証券報告書の「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (5) 情報セキュリティに関する取組」をご参照ください。
当期(2024年4月1日から2025年3月31日まで)の世界経済は、主要国でのインフレ圧力は緩和しましたが、ウクライナや中東での紛争の長期化、米国での政権交代に伴う急激な政策転換、中国経済の減速懸念などから先行き不透明感が強まり、幅広い業種において設備投資を手控える動きが続きました。
自動制御機器の需要は、半導体・電機関連は、中華圏(中国・香港・台湾)では年度後半に電機関連で需要回復の動きがみられましたが、日本・北米・韓国の半導体関連需要は本格的な回復には至りませんでした。自動車関連は、米国大統領選等の影響もあり、北米・日本・欧州で設備投資先送りの動きが継続しました。工作機械関連は、中華圏では堅調でしたが、その他の地域では調整局面が続きました。医療機器関連、食品機械関連及びその他の業種向けは、コロナ後の新たな省人化・自動化需要はあるものの、伸び悩みました。
(地域別の販売の状況)
[日本]
半導体関連では、米中対立の激化を背景として特に中国向けの輸出需要が大きく縮小したほか、日本国内の投資案件も延期されるケースが多くみられました。自動車関連では、完成車メーカーから部品メーカーまで全般的に設備投資の抑制・先送りの傾向が続き、工作機械関連でも需要は低調に推移しました。
[北米]
米国では、大統領選挙を控えた様子見から、政権交代後の急激な政策変更に伴う景気の先行き不安へと、設備投資意欲の減退傾向が続きました。自動車関連、特にEV関連の投資案件が大幅に減少しました。メキシコでも、米国の政策変更への懸念から、設備投資の抑制・先送りの動きが広がりました。
[欧州]
中国経済とドイツ経済の減速が欧州全域に波及し、景況は総じて低調に推移しました。半導体関連ではユーザー在庫の消化に時間がかかっており、自動車関連では中国メーカーとの競合や各国政府の補助金打ち切りなどにより、EVの車体及び電池の生産に急ブレーキがかかるなど、厳しい需要環境が続きました。
[中華圏]
中国では、東南アジア向け輸出の伸びに加えて、年度末にかけて米国の関税措置発動をにらんだ米国向け輸出の増加もみられました。政府の景気刺激策を背景に内需も堅調でしたが、中国国内の競合メーカーも含めた競争の激化により、販売価格の下落が続いています。台湾では、半導体関連の設備投資が大きく回復したほか、工作機械の輸出も増加しており、前期の反動もあって、好調に転じました。
[その他アジア]
韓国では、半導体、二次電池、自動車など主力産業での需要が低迷しました。半導体関連向けの比率が高いシンガポール、マレーシアでは、需要は堅調に推移しましたが、その持続性については注意が必要です。インドでは、自動車及び半導体関連の設備投資案件があり、堅調な状況が続きました。
[その他]
南米やオセアニアなどその他の地域では、自動車関連や資源採掘関連の設備投資が堅調で、前期比で増収となりました。
このような環境において当社グループは、製品供給体制の強化のための設備投資を積極的に推進するとともに、お客様のCO2排出量削減に貢献できる省エネ性能の高い新製品開発、お客様が工場で使用される空気圧の低圧化等のソリューション提案、BCPの体制整備、グローバル人材の活用などの課題に引き続き取り組みました。
これらの結果、当期の売上高は、792,108百万円(前期比2.0%増)となりました。当社グループ会社の所在地別では、中華圏が前期比で10.7%増加したものの、日本は1.1%減少、北米は6.9%減少となりました。
営業利益は、190,244百万円(同3.0%減)となりました。原価率の上昇、人件費の増加、修繕費などの販売費及び一般管理費の増加が、主な減益要因です。
経常利益は、為替差損の増加などにより、209,921百万円(同16.4%減)となりました。
税金等調整前当期純利益は、211,068百万円(同16.5%減)となりました。上述の影響に加え、固定資産売却益の減少及び固定資産除却損の増加が、主な減益要因です。親会社株主に帰属する当期純利益は、156,344百万円(同12.3%減)となりました。
自己資本当期純利益率(ROE)は、前期比1.8ポイント低下して8.2%となりました。
当期末における資産は、前期末比6,208百万円増加の2,100,767百万円(前期末比0.3%増)となりました。営業債権は9,701百万円の減少、棚卸資産は29,896百万円の減少、有形固定資産は当社新本社竣工や当社グループ製造拠点における設備投資などにより65,158百万円の増加となりました。
負債は、前期末比36,227百万円減少の172,461百万円(同17.4%減)となりました。営業債務は11,919百万円の減少、未払法人税等11,092百万円の減少となりました。
純資産は、前期末比42,435百万円増加の1,928,306百万円(同2.3%増)となりました。自己株式25,018百万円の増加、為替換算調整勘定24,808百万円の減少及び親会社株主に帰属する当期純利益計上を主因とする利益剰余金の92,278百万円の増加が、主な要因です。
自己資本比率は、前期末の89.8%から当期末は91.8%となり、1株当たり純資産額は、前期末の29,338円63銭から当期末は30,255円22銭となりました。
当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末比126,062百万円増加の531,649百万円となりました。
196,656百万円の収入(前期比98,449百万円の収入増)となりました。
正味の営業活動により得られた収入242,218百万円(同73,078百万円の収入増)、利息及び配当金の収入21,239百万円(同2,418百万円の収入増)、及び法人税等の支払66,725百万円(同22,945百万円の支出減)が主要因です。
35,234百万円の収入(前期比167,135百万円の収入増)となりました。
定期預金にかかる純支出額20,144百万円(同35,204百万円の支出増)、固定資産にかかる支出額107,803百万円(同3,494百万円の支出増)、有価証券等にかかる純収入額10,782百万円(同53,920百万円の収入増)、保険積立金にかかる純収入額147,813百万円(同150,061百万円の収入増)が主要因です。
以上により当期間のフリーキャッシュフローは、231,891百万円のプラス(同265,584百万円の収入増)となりました。
100,202百万円の支出(前期比12,274百万円の支出増)となりました。
配当金の支払64,048百万円(同5,985百万円の支出増)、長期借入金の返済による支出7,884百万円(同5,833百万円の支出増)が主要因です。
当社グループは自動制御機器事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における生産実績は次のとおりです。
(注) 金額は、販売価格によっています。
当社グループは自動制御機器事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における受注実績は次のとおりです。
当社グループは自動制御機器事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は次のとおりです。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当期の売上高は、792,108百万円(前期比2.0%増)となりました。需要動向及び販売の状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績」に記載のとおりです。
売上総利益は、363,038百万円(同0.0%減)となりました。生産物量の減少に伴う操業度の低下による原価率の上昇、人件費の増加、及び減価償却費の増加を主因とする製造原価や費用の増加などの影響により売上総利益率は前期比0.9ポイント低下して45.8%となりました。
販売費及び一般管理費は、人件費、修繕費の増加を主因に172,793百万円(同3.6%増)となり、販管費負担率は前期比0.3ポイント上昇して21.8%となりました。営業利益は190,244百万円(同3.0%減)となり、営業利益率は前期比1.2ポイント低下して24.0%となりました。
営業外損益では、市場金利上昇により受取利息は20,237百万円(同9.6%増)となりましたが、為替差損が4,468百万円(前期は24,486百万円の為替差益)となり、経常利益は209,921百万円(同16.4%減)となり、経常利益率は
前期比5.8ポイント低下して26.5%となりました。
特別損益では、固定資産売却益の減少及び固定資産除却損の増加の一方、法人税等が減少し、親会社株主に帰属する当期純利益は156,344百万円(同12.3%減)となりました。
なお当期の期中平均為替レートは、1米ドル=152円59銭、1ユーロ=163円86銭、1人民元=21円10銭、期末為替レートは、1米ドル=149円53銭、1ユーロ=162円03銭、1人民元=20円59銭でした。
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態」に記載のとおりです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。作成に当たっては、経営者による会計方針の選択と適用並びに資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等に基づき合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しています。
当社グループの主要製品である空気圧機器をはじめとする自動制御機器は、お客様の工場の生産・搬送ライン、半導体製造装置、工作機械、産業用ロボットなどに組み込まれる要素部品です。自動制御機器製品の単価は比較的低廉ですが、その不具合や欠品によってラインの停止や稼働遅れが生じた場合、お客様は多大な損失を被ります。そのため、お客様のニーズに合致した製品を短納期で即納することができるかどうかが、競争上、極めて重要な要件となります。
当社グループの製品を採用してくださったお客様は、次にラインや装置の図面を更新するまで長期間にわたり継続して同一の製品を購入される傾向があります。
また、当社グループの製品の主要な材質は、アルミニウムや樹脂など腐食に強い素材であり、製品は経年劣化しにくい特性を持っています。
さらに、在庫の陳腐化リスクを低減するため、最終製品に組み上げる前の段階で在庫として保持する等の対応も行っています。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境 ② 当社グループの競争優位性」に記載のとおり、豊富な品揃えと潤沢な在庫は当社グループの競争優位性の重要な要素であり、戦略的に厚めの在庫を保持するという方針を変更する予定はありません。
当社は、上記の製品の特性及び在庫保有方針を踏まえつつ、時間の経過に応じた販売実績の減少に伴う収益性の低下を棚卸資産の評価に適切に反映するため、当社及び各連結子会社が保有する在庫の品番別の残高、過去の一定期間(概ね10年)の販売・使用の実績データ等を分析し、滞留状況に応じた評価減率を設定して、棚卸資産の評価減金額を算定しています。
「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」及び「2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フロー」に記載のとおりです。
当社グループの運転資金需要の主なものは、原材料・部品等の購入費用、製造経費、販売費及び一般管理費、研究開発費です。投資を目的とする資金需要の主なものは、土地、建物、機械設備等の購入など設備投資です。
当社グループは、通常の事業活動に必要な流動性を確保しつつ、機動的な設備投資を実施するための資金需要にも対応できる資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
長期運転資金及び設備投資資金については自己資金により賄い、短期運転資金については自己資金のほか必要に応じて金融機関からの借入により調達することを基本としています。
当期末における借入金の残高は5,041百万円、現金及び現金同等物の残高は531,649百万円です。
なお当社は、2024年8月9日開催の取締役会の決議に基づき、当期中に399,200株、24,993百万円の自己株式の取得を実施しました。
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
該当事項はありません。
当社グループは、様々な産業界の自動化・省力化を支える自動制御機器の総合メーカーとして、自動制御技術及びその周辺技術に関する研究開発活動を行っています。そして、気候変動や少子高齢化など社会課題の解決に貢献します。
これら研究開発活動の中核を担うのは、筑波技術センターですが、世界の拠点(米国、英国、ドイツ、中国)に設けた技術センター間で緊密な連携を図り、各地のお客様のニーズや技術情報を収集し迅速な製品開発や技術サポートを行っています。
研究開発活動においては、半導体製造装置・自動車・工作機械・医療機器・食品機械・プラントなど多種多様な用途に適応した製品機種の拡充、省電力化・小型軽量化・長寿命化などの性能向上、生産コスト及び環境負荷物質の削減、そしてお客様のCO2排出量削減に寄与する製品開発に注力しています。また、労働人口減少や重労働軽減化に貢献するため、農業や酪農、水産業向けの自動化製品など産業分野を広げて積極的に研究開発を行っています。
当期における主な開発製品の概要は下表のとおりであり、当期の研究開発費は