文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「わたしたちは 人と食を笑顔で結び いつも信頼される企業グループです」をグループ経営理念に掲げ、ステークホルダーの信頼を高める誠実な企業活動を実践し、持続的な企業価値の向上をめざすことを経営の基本方針としています。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、2022年度から2024年度の3カ年を対象とした中期経営計画の最終年度である2024年度において、営業収益1,880億円、営業利益46億円、経常利益37億円、親会社株主に帰属する当期純利益16億円、総資産経常利益率(ROA)3.0%、自己資本当期純利益率(ROE)3.9%を見込んでおります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は、グループ経営理念に基づき、持続可能な物流の実現をめざすなか、成長・発展へとシフトするための3カ年として、第7次中期経営計画を策定いたしました。テーマは「徹底力で体質強化」とし、(1)機能の強化(2)環境変化への対応(3)海外展開の基盤拡充(4)新領域への参入の4つを基本方針として進めてまいります。前中期経営計画に引き続き、めざす姿として「魅力ある人と技術でベストパートナーとなり環境と人にやさしい企業をめざします」を採択しました。策定いたしました中期経営計画の具体的な戦略・施策の実践を通じて、企業価値の向上に取り組んでまいります。
[基本方針]
(1)機能の強化
・既存資源を最大活用し、利益率向上を図る
① 基盤の拡充
② 標準化・効率化
③ ネットワークの強化
(2)環境変化への対応
・急速に変化する事業環境へ対応し、社会的価値を創出する
① 働きやすい環境づくり
② 社会・環境への取り組み
③ ガバナンスの強化
(3)海外展開の基盤拡充
・既存事業の安定化とASEANへの展開に向けた基盤強化
(4)新領域への参入
・温度管理技術を用いた物流をベースとする新しい取り組み
(4)経営環境及び優先的に対処すべき課題
先行きにつきまして、景気は緩やかな回復が続くことが期待されるものの、物流の2024年問題や、物価上昇による消費マインドの動向など、事業環境に与える影響に、十分な注視が必要となります。
このような状況のなか、当社グループは、「徹底力で体質強化」をテーマに掲げ、「機能の強化」、「環境変化への対応」、「海外展開の基盤拡充」「新領域への参入」の4つを基本方針とした第7次中期経営計画(2022年11月期から2024年11月期)を引き続き推進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次の通りです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.サステナビリティ全般
[サステナビリティ基本方針]
当社グループは、グループ経営理念に「わたしたちは人と食を笑顔で結びいつも信頼される企業グループです」と掲げており、サステナビリティ経営を進めることがグループのさらなる成長とすべてのステークホルダーの幸せにつながるものと考えております。そのためサステナビリティ経営のさらなる推進を企業価値の向上の実現に向けた経営の重要な課題のひとつととらえて、サステナビリティ基本方針を制定し、マテリアリティ(重要課題)の特定をいたしました。
(サステナビリティ基本方針)
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キユーソー流通システムグループは、グループ経営理念である |
[マテリアリティ(重要課題)の特定]
当社グループは、持続可能な地球環境への貢献、安全・安心な社会の実現、人権とダイバーシティの尊重、従業員の成長と活躍できる機会創出、パートナーシップの強化、ガバナンスの推進の6つの項目をマテリアリティ(重点課題)として掲げました。当社グループは、マテリアリティに紐づく14のテーマにしっかり取り組むことで、サステナビリティ経営を推進してまいります。
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マテリアリティ(重要課題) |
取り組みテーマ |
主要なゴール |
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持続可能な地球環境への貢献 |
脱炭素社会の実現 |
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資源管理と資源循環の推進 |
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安全・安心な社会の実現 |
運輸安全マネジメント |
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労働安全衛生の推進 |
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物流品質マネジメント |
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人権とダイバーシティの尊重 |
ビジネスと人権に関する体制構築 |
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ダイバーシティの推進 |
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従業員の成長と活躍できる機会創出 |
働きやすさと働きがいのある職場環境作り |
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人材育成・確保 |
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パートナーシップの強化 |
ステークホルダーとのコミュニケーション |
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取引先・協力会社と連携したESG推進 |
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ガバナンスの推進 |
リスクマネジメントの推進 |
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コンプライアンスの徹底 |
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情報セキュリティの強化 |
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(1)ガバナンス
当社グループは、環境、社会に関する全社的な取り組みを推進する組織として、2023年12月に「サステナビリティ推進委員会」を設置いたしました。取締役会およびサステナビリティ推進委員会にて、継続的にサステナビリティに関する取り組みを推進してまいります。なお、サステナビリティ推進委員会は、代表取締役社長が委員長となっており、社内のサステナビリティ推進活動にまつわる意思決定機関として、戦略策定、取組進捗管理、施策の審議などを行い、その審議の結果を取締役会へ年4回報告いたします。
(2)リスク管理
当社グループは、リスク管理体制を統括する機関としてリスクマネジメント委員会を設置し、リスクの対応方針や課題について、選別・評価し管理を行っております。リスクマネジメント委員会の審議の結果については、代表取締役社長を委員長とする内部統制委員会にて取りまとめ、取締役会に報告を行っており、必要に応じてサステナビリティ推進委員会と連動し対応を検討します。(当社グループのリスク管理体制の概要については、「
2.人的資本・多様性
(1)戦略
[当社グループにおける多様性の確保を含む人材の育成の方針及び社内環境整備に関する基本的な考え方]
当社グループは、社是に「楽業偕悦」を掲げ、同じ志をもって一致協力して目標に向かい、個人の意欲・やりがいを大切にして仕事(業)を楽しみ、困難や苦しみを分かち合いながら、悦びを偕に(ともに)していこうという考え方を、わたしたちの基本的な価値観としています。
また、当社グループは、グループ倫理行動規範であるキユーソースピリットの中で、「『ひとりの人』『ひとつの事』『みんなの想い』を大切にします」「わたしたちは、従業員一人ひとりの働きやすさや健康に配慮し個性や能力、行動やアイデアを尊重し、その想いをひとつにすることで、最高のチームワークと最高の笑顔が溢れる企業を目指していきます。」と定めております。
当社グループは、従業員一人ひとりが成長すること、また、全ての社員がその能力を十分に発揮できるように、働きやすい環境を整備することが重要であると考えています。
具体的には、次の2点に取り組み、働きやすい環境を整備しております。
①従業員の成長を支援するため、教育研修制度の拡充
②従業員の意見の収集できる機会を充実させ、効果的に環境整備を進めていく
a.労使協議会の開催により対話の場を設け、意見交換の実施
b.無記名による社員意識満足度調査の実施により、意見の収集
なお、従業員からの意見を取り入れ、これまでに実施した内容は次の通りです。
時間有給休暇制度の導入/育児時短勤務期間の拡大(対象を3歳未満から小学校就学までに拡大)/
積立有給休暇制度の導入/忌引休暇対象の拡大/リフレッシュ休暇の導入/所定休日日数の拡大
(2)指標及び目標
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指標 |
目標(2028年度) |
実績(2023年11月) |
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女性管理職比率 |
15.0% |
8.5% |
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高年齢者就業確保 |
70歳までの雇用機会の確保 |
65歳までの雇用機会の確保 |
(注) 上記指標の実績及び目標については、いずれも提出会社単体の数値となります。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、ここに記載されたものは当社グループの事業その他に関し、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、当社グループに関する全てのリスクではありません。なお、本項において将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末において判断したものです。
1.当社グループの事業内容について
当社グループは、当連結会計年度末において、当社、連結子会社16社、非連結子会社3社および関連会社2社で構成され、食品を主体とした保管、荷役(入出庫)、運送、情報処理などの総合的な物流サービスを提供することを主たる業務にしております。
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事業区分 |
主な事業内容 |
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共同物流事業 |
・食品の保管・荷役、全国共同配送 ・原材料である油脂・食酢等のローリー輸送 |
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専用物流事業 |
・コンビニエンスストアなどの |
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関連事業 |
・車両・物流機器・燃料等の販売 ・中国における倉庫・輸配送 ・インドネシアにおける倉庫・輸配送・フォワーディング |
2.物流業界を取り巻く環境について
(1)法的規制・環境規制について
当社グループが属する物流業界は、貨物自動車運送事業法、貨物利用運送事業法、倉庫業法、道路運送車両法、各種環境規制等の法的規制を受けており、事業を営むためには国土交通大臣の許可・登録が必要であるほか、環境対策などについても法定されております。
当社グループは、これらの法的規制を遵守し、環境規制に対応するため、さまざまな取り組みを行っておりますが、対応のための更なるコストが発生する場合、または将来何らかの事由により処分を受けた場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
(2)コストの増加要因について
① 設備投資について
当社グループは、(a)物流の広域化、(b)一貫した物流体制の構築、(c)品質向上への取り組み、(d)自然冷媒の利用等をはじめとする環境対応等の様々な得意先ニーズに対応するため、物流拠点の整備、車両運搬具の新規取得を中心に設備投資を実施しております。
当社グループでは、配車効率の改善、再寄託貨物の集約による委託費用や引取り運送費等の削減、作業の効率化等をはじめとする合理化改善施策の実施等によりコストの削減に努めておりますが、設備投資負担の増加により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 燃料価格及び電力料金の変動について
当社グループにおいて使用する輸送用車両等の燃料価格は、世界的な原油価格の変動により影響を受けております。今後、原油価格の動向により、燃料価格が高価格を形成した場合、コスト増の要因となる可能性があります。そこで、当社グループは、合理化改善等により、燃料価格の上昇を転嫁する取り組みを行っておりますが、十分な価格転嫁が困難となる場合には、収益を悪化させ当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
また、当社グループが利用する冷蔵冷凍倉庫および物流設備等は電力を消費するため、電力料金引き上げ等が生じた場合にはコスト増の要因となり、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
3.人材の確保・育成について
当社グループは、得意先の要望を満たす物流業務を行うための専門的な人材(ドライバー・倉庫内スタッフ等)の確保が課題となっており、積極的な採用活動や、社内研修の充実による人材の育成、定着のための魅力ある職場づくり等を行っております。しかし、人材の確保や労働環境の維持・向上のため、人件費等の負担が増加する可能性があるほか、今後必要な人材の育成および確保ができなかった場合または適切な人員配置等に支障が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
4.海外事業リスクについて
当社グループは、中国およびインドネシアで事業活動を行っておりますが、海外進出には、①予期できない法律または規制の変更、②事業活動に不利な政治または経済要因の発生、③未整備な社会インフラによる影響、④税制等の変更、⑤戦争、テロ、伝染病、その他の要因による社会的混乱、⑥為替相場の大幅な変動等のリスクが内在しており、これらにより当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
5.食品、小売業界および外食業界への依存度が高いことについて
当社グループは、共同配送業務を行うために食品物流業務に特化し発展を遂げました。その結果、得意先が食品、小売業界および外食業界に偏重しております。
(1)競争の激化について
当社グループが属する食品物流業界は、商品の小型化による収受料金単価の低下および少子高齢化に伴う消費低迷、企業による在庫圧縮・物流の見直しによる貨物の減少等の要因により競争が激化しております。
当社グループにおいては、コスト低減による価格競争力の強化に取り組むとともに、物流情報システムおよび物流技術を駆使することで得意先満足度の一段の向上を図り、既存得意先との取引拡大および新規得意先の開拓を推進しております。
しかしながら、このように当社グループが特定の業界に強く依存していることは、他社との競争をより熾烈なものとし、得意先の要請に応じて、値下げを行う可能性を高める要因となる可能性があるとともに、貨物量の減少等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)物流品質管理について
当社グループが取り扱う貨物は、食品という特性上、低温物流(冷凍・冷蔵)が中心であり、かつ、厳しい物流品質管理が求められております。当社グループにおいても、物流品質管理を重要な経営課題として掲げており、そのための設備投資・従業員教育・規程の整備等を継続的に実施しておりますが、万が一、品質上の問題が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
6.営業収益比率が比較的高い得意先について
当社グループの取引先は多岐にわたっており、特定の取引先に依存することはありませんが、一部営業収益比率が比較的高い得意先があります。
当社グループはすべての得意先との取引関係をより強固にするため、信頼される業務体制の維持に努力するとともに、得意先の多様化を推進しておりますが、営業収益比率の高い得意先の貨物量が減少した場合は当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
7.自然災害等による影響について
当社グループは、地震、暴風雨、洪水等の自然災害等により倉庫や車両、情報システムおよび電力、交通網などのインフラ等が被害を受けた場合、物流業務の停滞等事業に支障が生じる可能性があります。
そうした事態に備え、当社では社員の安否確認や事業継続計画(BCP)実行のための災害対策マニュアルの作成および情報システム等の耐震対策(データ等のバックアップ含む)、迅速な復旧を目的とした総合防災訓練の実施等の対策を講じておりますが、被害が発生した場合には当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
8.新型感染症(新型コロナウイルス等)の感染拡大リスクについて
当社グループは新型感染症(新型コロナウイルス等)に対して、危機管理マニュアルに基づいた対応を行う体制を構築しており、本社総務部門にてグループにおける危機管理を所管しております。
新型感染症の感染拡大により得意先または当社グループの業務委託先などで休業や閉鎖が発生し、取り扱い貨物量が減少した場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。なお、当社は、従業員および取引先の健康と安全確保を最優先とした事業継続のための新型コロナウイルスを含めた感染症対策を継続しております。必要に応じて勤務する従業員へのマスク等支援物資の手配や、一部従業員の在宅勤務実施等に取り組んでおります。
9.情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、各種情報システムを活用し、業務の効率化をすすめております。
情報システムや情報ネットワークを安定稼働させるため、適切な情報機器の管理やバックアップ等の必要な対策を講じているほか、セキュリティ対策として定期的な標的型攻撃に対する訓練や情報セキュリティ教育等によりセキュリティリスク低減を図っております。
しかしながら、コンピューターウイルスによる感染、サイバー攻撃を含む外部からの不正アクセス、災害等により情報システムの停止や情報漏洩が発生した場合には、事業の停止、取引先等からの損害賠償、信用の失墜等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
10.固定資産減損に関するリスク
当社グループは、のれんをはじめとする有形・無形の固定資産を所有しております。
これらの資産については、その価値が下落した場合や期待通りの将来キャッシュ・フローが見込めない状況となった場合、減損処理が必要となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を受ける可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス禍が一段落し、経済社会活動の正常化が進むなか、個人消費などは持ち直したものの、原材料やエネルギー価格の上昇など、先行きは不透明な状況にて推移しました。
食品物流業界におきましては、新型コロナウイルスが「5類感染症」に移行され、人流は回復したものの、食品の値上がり影響なども見られるなか、荷動きの持ち直しは、緩やかなものとなりました。当社においては、上期における電気代の上昇や、鳥インフルエンザ感染拡大による鶏卵供給不足の影響に対し、下期は持ち直しの動きが見られたものの、軽油価格の上昇など、事業環境は厳しい状況が続きました。
このような状況のなか、当社グループは、「徹底力で体質強化」をテーマに掲げ、「機能の強化」「環境変化への対応」「海外展開の基盤拡充」「新領域への参入」の4つを基本方針とした第7次中期経営計画(2022年11月期から2024年11月期)を推進しております。既存資源の最大活用による利益率の向上、事業環境の変化に対応した社会的価値の創出、海外における事業の安定化と、更なる展開に向けた基盤強化を進めております。また、食品の温度管理技術を活かした高付加価値物流を提供できる体制構築に取り組んでおります。
営業収益は、上期における鶏卵供給不足の影響があったものの、通期においては、関連事業のインドネシアにおける新規・既存取引の拡大などにより、前年を上回りました。営業利益は、増収による利益増加に加え、軽油・電気代、倉庫・運送コスト、労務費などの増加に対する、適正料金施策やコスト改善の進捗により、前年を上回りました。
以上の結果、当連結会計年度の業績につきまして、営業収益は1,846億17百万円(前期比2.8%増)、営業利益は40億30百万円(同9.1%増)、経常利益は34億70百万円(同6.5%増)となりました。また、特別損失として、当社の共同物流事業に帰属する一部の資産グループについて、減損損失34億47百万円を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純損失は13億34百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益14億58百万円)となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(共同物流事業)
共同物流事業の営業収益は、上期における鶏卵供給不足の影響があったものの、下期における持ち直しの動きや、適正料金施策などにより、増収となりました。利益面は、軽油・電気代、倉庫・運送コスト、労務費などの増加に対する、適正料金施策やコスト改善が進捗したものの、上期における電気代上昇や鶏卵供給不足の影響などにより、前年を下回りました。
この結果、営業収益は1,267億39百万円(前期比0.5%増)となり、営業利益は15億31百万円(同7.7%減)となりました。
(専用物流事業)
専用物流事業の営業収益は、チェーンストアやコンビニエンスストアに関する既存取引や事業領域の拡大などにより、増収となりました。利益面は、増収による利益増加に加え、コスト改善などが進捗したものの、労務費などの費用増加により、前年を下回りました。
この結果、営業収益は389億87百万円(前期比2.4%増)となり、営業利益は13億64百万円(同3.0%減)となりました。
(関連事業)
関連事業の営業収益は、国内における施設工事の増加や、インドネシアにおける新規・既存取引の拡大などにより、前年を上回りました。利益面は、増収による利益増加などにより、前年を上回りました。
この結果、営業収益は188億91百万円(前期比22.1%増)となり、営業利益は10億93百万円(同80.0%増)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は1,188億74百万円となり、前連結会計年度に比べて1億2百万円の減少となりました。当連結会計年度における資産、負債および純資産の状況は次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度における流動資産の残高は、280億47百万円となり、前連結会計年度に比べ12億90百万円減少いたしました。主な要因といたしましては、現金及び預金、前払費用が減少したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度における固定資産の残高は、908億27百万円となり、前連結会計年度に比べ11億88百万円増加いたしました。主な要因といたしましては、退職給付に係る資産、繰延税金資産が増加したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度における流動負債の残高は、375億89百万円となり、前連結会計年度に比べ2億33百万円増加いたしました。主な要因といたしましては、リース債務が増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度における固定負債の残高は、298億29百万円となり、前連結会計年度に比べ3億64百万円増加いたしました。主な要因といたしましては、長期借入金が増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度における純資産の残高は、514億55百万円となり、前連結会計年度に比べ6億99百万円減少いたしました。主な要因といたしましては、利益剰余金が減少したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ11億29百万円減少し、38億57百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ9億76百万円増加し、90億93百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失の計上はありましたが、減価償却費、減損損失の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ5億30百万円増加し、82億86百万円となりました。これは主に、関係会社株式の取得による支出の減少はありましたが、有形固定資産の取得による支出の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ23億50百万円増加し、18億50百万円(前期は4億99百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入による収入の増加はありましたが、短期借入金の純増減額の減少、割賦債務及びリース債務の返済による支出の増加によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
物流サービスの提供が主要な事業のため、記載を省略しております。
b.受注実績
物流サービスの提供が主要な事業のため、記載を省略しております。
c.営業収益実績
当連結会計年度における営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
共同物流事業 |
126,739 |
100.5 |
|
専用物流事業 |
38,987 |
102.4 |
|
関連事業 |
18,891 |
122.1 |
|
合計 |
184,617 |
102.8 |
(注)1.主な相手先別の営業収益実績および総営業収益に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年12月1日 至 2022年11月30日) |
当連結会計年度 (自 2022年12月1日 至 2023年11月30日) |
||
|
営業収益 (百万円) |
割合(%) |
営業収益 (百万円) |
割合(%) |
|
|
㈱日本アクセス |
25,502 |
14.2 |
23,317 |
12.6 |
|
キユーピー㈱ |
11,312 |
6.3 |
11,135 |
6.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に当たり、資産および負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(営業収益)
営業収益の概況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しておりますのでご参照いただけますようお願いいたします。
(営業利益)
営業原価は、1,742億64百万円と前連結会計年度に比べ43億33百万円(2.6%増)の増加となりました。原価率につきましては、コスト改善の進捗などにより、94.4%と前連結会計年度に比べ0.2ポイント改善しております。販売費及び一般管理費は63億22百万円と前連結会計年度に比べ2億99百万円(5.0%増)の増加となりました。
この結果、営業利益は40億30百万円と前連結会計年度に比べ3億35百万円(9.1%増)の増益となりました。
(経常利益)
営業外収益は、補助金収入の増加などで、3億92百万円と前連結会計年度に比べ22百万円の増加となりました。営業外費用は、支払利息の増加などで、9億53百万円と前連結会計年度に比べ1億47百万円の増加となりました。
この結果、経常利益は34億70百万円と前連結会計年度に比べ2億10百万円(6.5%増)の増益となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
特別利益は、固定資産売却益、投資有価証券売却益の減少などで、69百万円と前連結会計年度に比べ74百万円の減少、特別損失は、訴訟関連損失の減少などがありましたが、減損損失の発生などで、35億97百万円と前連結会計年度に比べ32億68百万円の増加となり、親会社株主に帰属する当期純損失は13億34百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益14億58百万円)となりました。
以上の結果、総資産経常利益率(ROA)は2.9%、自己資本当期純利益率(ROE)は△3.3%となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しておりますのでご参照いただけますようお願いいたします。
④ 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、傭車費、外注費、人件費等の営業原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は株式取得や設備投資等によるものであります。
短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資につきましては、自己資金および長期借入金を基本としております。
なお、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は404億62百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は38億57百万円となっております。
当社グループは、グループ全体の資金を有効活用するため、キャッシュマネジメントシステムの導入により、連結子会社の支払代行業務を行う他、連結子会社の報告に基づき、グループにおける重要な資金繰りの状況について把握しております。また、取引銀行において、借入金の与信枠の設定を受けており、必要な資金を速やかに確保するための体制を整えております。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「わたしたちは人と食を笑顔で結びいつも信頼される企業グループです」を経営理念に掲げ、持続可能な物流をめざすなか、「徹底力で体質強化」をテーマに掲げ、「機能の強化」「環境変化への対応」「海外展開の基盤拡充」「新領域への参入」の4つを基本方針とした、中期経営計画(2022年度から2024年度)を推進しております。最終年度である2024年度において、営業収益1,880億円、営業利益46億円、経常利益37億円、親会社株主に帰属する当期純利益16億円、総資産経常利益率(ROA)3.0%、自己資本当期純利益率(ROE)3.9%を見込んでおります。
特記事項はありません。
特記事項はありません。