文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
私たち積水ハウスグループは、企業理念として、根本哲学を「人間愛」、基本姿勢を「真実・信頼」、目標を「最高の品質と技術」、事業の意義を「人間性豊かな住まいと環境の創造」に据えています。
根本哲学である「人間愛」とは、「人間は夫々かけがえのない貴重な存在であると云う認識の下に、相手の幸せを願いその喜びを我が喜びとする奉仕の心を以て何事も誠実に実践する事」であり、積水ハウスグループは、この「人間愛」に根差し、「真実・信頼」を旨として、「最高の品質と技術」の提供を通して、「人間性豊かな住まいと環境の創造」という使命を担ってまいります。
このような企業理念のもと、1960年の創業以来、30年を一つの区切りとして、1990年までの第1フェーズでは、お客様の命や財産を守る「安全・安心」な住まいの提供に注力しました。続く2020年までの第2フェーズでは、住まい手にとって快適性と環境配慮を追求する住宅の提案を行い、新たな価値の創出を行ってきました。
2020年からスタートした2050年に向けた第3フェーズでは、“「わが家」を世界一幸せな場所にする”というグローバルビジョンならびに、“ハード・ソフト・サービスを融合し幸せを提案”、“積水ハウステクノロジーを世界のデファクトスタンダードに”、“ESG経営のリーディングカンパニーに”という3つのサブビジョンを掲げ、住まい手の「幸せ」につながる「健康・つながり・学び」を追求し、人生100年時代への住まい手価値の創出と持続可能な社会の実現を目指し、「住」を基軸に、融合したハード・ソフト・サービスを提供するグローバル企業へと着実に変革を進めてまいります。
また、2024年には、積水ハウスグループ従業員が誇りと責任をもって行動するための道標として、“イノベーションで、新しい価値を生みだす。”“コミュニケーションで、アイデアを育てる。”“自律して、主体的に考え、動く。”“感性を大切に、技術と美意識をともに磨く。”“「世界一幸せな場所」のためのプロを目指す。”の5つの要素による「SEKISUI HOUSE_SHIP」を制定しました。世界中の積水ハウスグループ従業員とともに、「SEKISUI HOUSE_SHIP」を深めながら、グローバルビジョンの達成に向けて価値創造を紡ぎ続けていきます。

世界経済は、米国の関税率引き上げ等による先行き不透明感の高まりや地政学リスクの継続により、各国の金融政策・通商政策を背景とした物価情勢や国際金融資本市場の変動について、引き続き注視が必要な状況が継続するものと見られます。
国内の住宅市場では、人生100年時代の到来に伴うライフスタイル・価値観の多様化、気候変動による自然災害の激甚化に加え、建築物省エネ法改正(全新築住宅への省エネ基準適合義務化)や長期優良住宅認定制度の見直し等を背景に、顧客ニーズの多様化への対応がより一層求められています。
また、米国の住宅市場は、関税政策の影響、インフレ及び金利動向へ注視が必要な状況にあります。一方で、良質な住宅の供給不足を背景に潜在的な需要は依然として強く、経済環境の安定や住宅ローン金利の低下に伴い、需要回復が見込まれます。こうした需要の顕在化に備え、高品質な住宅を安定的に供給できる体制の構築が求められます。
このような中、当社グループは、グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”の実現に向け、国内は「グループ総合力による積水ハウス経済圏の深耕」、海外は「ゲームチェンジに向けた成長基盤の構築」を基本方針とする第7次中期経営計画(2026年度~2028年度)を策定しました。
国内では、当社グループの住宅等のオーナーや住まい手に対し、グループの総合力を最大限に発揮し、顧客接点を通じて「住」を基軸としたソリューションをワンストップで提供することで持続的な成長を図ります。海外では、米国戸建住宅事業における飛躍的成長に向け、2026年1月にグループビルダー4社の統合により“One Company”体制として始動した「Sekisui House U.S., Inc.」のもと、日本で培った積水ハウステクノロジーの移植やブランド構築を加速させます。
財務戦略においては、事業拡大の機会を最大限に活かし、「成長戦略の遂行」「財務健全性の回復」「適切な株主還元」のバランスを取りつつ、企業価値の更なる向上に取り組み、ROEについては最終年度(2028年度)に12%後半の水準を目指します。株主還元については、中期的な平均配当性向を40%以上とする従来の配当方針を継続し、利益成長による増配を目指すとともに、第7次中期経営計画期間の1株当たり年間配当金の下限を2025年度の配当実績(144円)を上回る145円とします。また、自己株式取得については、キャッシュアロケーションや財務健全性回復の状況を踏まえ、機動的に実施する方針としています。
■各ビジネスモデルの事業方針と戦略
第7次中期経営計画にて、以下のとおり事業戦略(注1)を策定しました。
(注)1 第7次中期経営計画の詳細については、当社ウェブサイトに掲載の中期経営計画ページをご参照ください。
<中期経営計画>
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/plan/index.html
2 3ブランド戦略:価格帯で3つのレンジに分け、それぞれの価格帯・スペックに応じた戦略・施策を実行すること。
3 CRM(Customer Relationship Management):顧客から得られた情報を一元的に管理し、適時適切に活用することによって、顧客との良好な関係を構築・維持し、価値創出と収益向上を目指すマネジメントの仕組み・手法。
4 CRE・PRE事業:Corporate Real Estate(企業不動産)、Public Real Estate(公的不動産)を指し、法人・企業・公共団体・行政機関の保有する不動産の有効活用を提案する事業。
①第7次中期経営計画における3ヵ年業績目標(2026年3月5日公表)
(単位:億円)
(参考)第6次中期経営計画期間における3ヵ年業績
(単位:億円)
②2026年1月期の実績及び2027年1月期の業績目標
(単位:億円)
(注)1 2027年1月期計画は、2026年3月5日付で公表した連結業績予想に基づく数値です。
2 D/Eレシオ及び債務償還年数(Net Debt/EBITDA倍率)は、2024年7月に発行した公募ハイブリッド社債の調達額に対し格付機関より資本性の認定を受けた1,000億円を考慮した数値です。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
積水ハウスグループのESG経営は、企業理念の根本哲学である「人間愛」を実践することが根底にあります。お客様や社会が直面する課題解決を事業と一体的に推進していくとともに、ガバナンスの強化に努めることで、ESG経営の領域においてさらなるリーダーシップを発揮することを目指し、「ESG経営のリーディングカンパニーに」というサブビジョンを策定しています。
その実現に向け、従業員一人ひとりが自ら考え、行動することが重要であると考え、2020年より、全従業員参画を重視したESG経営に取り組んでいます。参画のきっかけとして、対話を通じてお互いの考えや価値観に触れ、ESGに対する理解を深めてきました。また、従業員が主体的に行動に移すことができるよう、自律や創発につながる制度の構築や職場風土の醸成に努めています。
2022年には、当社グループが果たすべき使命を明確にするため、持続可能な未来に向けたマテリアリティの見直しを行いました。1960年代、高度経済成長期の住宅の確保と、住まいの基本性能の確立に貢献した当社グループは、以来一心に住まいの「安全・安心」「快適性・環境配慮」を追求し、技術の進化を図ってきました。こうした私たちの取組み自体がマテリアリティそのものであると認識し、人生100年時代を迎えたこれからは、住まいを通じた「幸せ」を実現する上で、「良質な住宅ストックの形成」「持続可能な社会の実現」「ダイバーシティ&インクルージョン」という3つを、経営の重要課題に位置づけました。
第6次中期経営計画(2023年度~2025年度)においては、ESG経営の基本方針を「マテリアリティを軸としたESG経営の深化」と掲げ、「住まいを通じて環境課題の解決に貢献」「従業員の自律を成長ドライバーにする」「イノベーション&コミュニケーション」に重点を置いた取組みを推進しました。
さらに当社グループでは、社会環境の変化や価値観の多様化を踏まえ、社内外のステークホルダーとの対話を継続的に行いながら、マテリアリティの整理を進めてきました。その結果、2026年度より適用するマテリアリティとして、「良質な住宅ストックの形成」「持続可能な社会の実現」を引き続き重要課題と位置付けるとともに、これまで掲げてきた「ダイバーシティ&インクルージョン」を発展的に見直し、「豊かな感性と幸せの創造」を新たなマテリアリティとして特定しました。
本見直しは、当社グループが創業以来、住まいづくりを通じて社会価値の創出に取り組んできた歩みを踏まえ、事業活動を通じて中長期的に創造すべき価値をより明確にすることを目的としています。第7次中期経営計画(2026年度~2028年度)においては、これらのマテリアリティを軸に、新たに定めたESG経営の基本方針である「新たな価値を創造する、ESG経営のリーディングカンパニー」のもと、ESG経営の深化と持続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。

(1) サステナビリティ共通の取組み
①ガバナンス
当社グループは、取締役会の諮問機関として、専門的な知見、能力を有する少なくとも2名の社外委員を含むESG推進委員会を設置し、ESG経営の取組みの進捗と課題等についての意見交換を通じて実効性を高めています。
ESG推進委員会は3ヵ月に1回のペースで開催し、内容は取締役会に報告され、審議することとしています。
ESG推進委員会では、その推進を担う3つの部会、「環境事業部会」「社会性向上部会」「ガバナンス部会」を設置、ESG3部会長には、それぞれ職責者を任命し、目標・KPIを設定しています。
この3部会は、各部門・国内外のグループ会社と連携しながら、ESG経営の旗振り役として先導していくとともに、実効性ある取組みを行います。また、取組みの進捗報告と普及に向けた課題・改善提案のフィードバックを通じて、全従業員の理解・浸透を図ります。
ESG経営推進本部においては、ESG経営に関する基本方針の企画・立案及び推進に関する事項を掌理し、取組みの推進、情報の収集・分析、社内外への情報発信、ESG推進委員会の運営を通じて、ESG経営のさらなる推進を図っています。

・ 環境事業部会
グループ全体を対象とした事業活動全体の脱炭素化、生物多様性保全や資源循環に関する環境マネジメントシステムを計画・実行するとともに、環境関連情報を年次集計し、社内外のステークホルダーの環境意識向上・環境負荷低減に向けた認知向上を目的に情報公開しています。
グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする ”ためには環境への取組みが必要不可欠との考えのもと、これからも先進的な取組みで環境負荷と事業リスクの低減、及び事業機会の創出に努めていきます。
・ 社会性向上部会
人財価値の向上と事業・活動を通じた社会課題の解決を推進し、企業価値を高めていくことを目指しています。人財価値は、従業員の自律とベクトルの一致の掛け算という考えのもと、従業員にとっての「わが家」である会社と一人ひとりの幸せを実現する施策の計画・実行に努めます。社会価値は、子ども・環境・地方創生を軸に、社会の幸せづくりに寄与する事業・活動を実現します。各施策の方針と推進体制・進捗を包括的にモニタリングし、お客様・社会・従業員の「幸せ」を最大化していきます。
・ ガバナンス部会
グループガバナンスの強化に向けて、本社コーポレート部門と国内外のグループ会社各社とのコミュニケーション活性化が重要と考え、情報連携に努めています。
国内外グループ会社におけるコーポレート機能の強化、ガバナンス人財の育成・適正配置、人権尊重、コンプライアンス意識向上などの現状把握、改善に関する議論などを通じて、事業マネジメントレベルでのガバナンス強化に取り組んでいます。
※ 当事業年度におけるESG推進委員会の主な議題については、「
②戦略
当社グループは、外部環境の変化に伴うリスク・機会を分析し、ステークホルダーである、お客様・社会・従業員それぞれの幸せを実現するために提供できる価値とは何か考え、「良質な住宅ストックの形成」、「持続可能な社会の実現」、「ダイバーシティ&インクルージョン」という3つのマテリアリティを軸に、第6次中期経営計画において、それぞれKPIを設定しサステナビリティの取組みを推進しました。
<リスク・機会と重点テーマ>
積水ハウスグループでは、価値創造に影響をもたらす中長期の課題を分析し、外部環境の変化に伴うリスク要因を洗い出すとともに、リスクを将来の事業創出の機会でもあると位置付け、事業戦略立案に活かしています。
<重点テーマに対応するマテリアリティ>
<マテリアリティごとの果たすべき使命と重点方針>
③リスク管理
当社グループは、サステナビリティを軸に、価値創造に影響をもたらす中長期の課題を分析し、リスク要因を洗い出すとともに、リスクを将来の事業創出の機会と位置付け、中長期の事業戦略立案につなげています。ESG経営の取組みの進捗と課題については、取締役会の諮問機関であるESG推進委員会において検討した後に、取締役会に報告する体制としています。また、取締役会はESG推進委員会からの報告を受け、当社グループのサステナビリティに関する対応等についての審議・監督を行うこととしています。また、「事業運営リスク」や「ハザードリスク」に関係する事項については同じく取締役会の諮問機関であるリスク管理委員会にも適宜共有し、グループ全体のリスク管理体制の中で検討・管理しています。
サステナビリティの各アジェンダに関するリスク管理の詳細については、「(2)気候変動関連に対する取組み、(3)自然資本・生物多様性に対する取組み、(4)人的資本に関する取組み、(5)人権尊重に関する取組み」をご参照ください。
なお、これら以外のリスク管理については、「
④指標及び目標
当社グループは、第6次中期経営計画においてマテリアリティの取組みに向けたテーマごとのKPIを設定しています。そのうち、業績連動型株式報酬(PSU)に係るESG経営指標(注1)も含めた主なKPIは下記のとおりです。
(注)1 業績連動型株式報酬(PSU)に係るESG経営指標の詳細については、「
2 集計対象会社は、当社。当社が当年度に契約した戸建住宅において、国が定めた長期優良住宅認定制度の基準をクリアし、行政の認定を受けた棟数の割合を表した指標。集計対象期間は4月1日~3月31日。
3 集計対象会社は、積水ハウス不動産グループ各社。賃貸住宅において、間取りの変更を伴い、資産価値の向上が見込める内装・設備リノベーション工事の契約戸数を表した指標。
2024年度より、良質な住宅ストックの形成とお客様の幸せに資するリノベーションを実施することに主眼を置き、戸数から質の向上に注力する方針にシフトしたため、2025年度の目標数値を変更しています。
4 集計対象会社は、当社。当社が当年度に建築した戸建住宅(2023年度及び2024年度は北海道の請負・分譲住宅を除く)に占めるZEH(Net Zero Energy Houseの略称)の割合を表した指標。集計対象期間は4月1日~3月31日。
5 集計対象会社は、当社。当年度に契約した賃貸住宅「シャーメゾン」に占めるZEH戸数(ZEH Ready基準以上かつ入居者売電物件)の割合を表した指標。
6 集計対象会社は、当社グループ。当社グループの事業活動全体で直接的に排出するCO2(スコープ1)と、調達電力など間接的に排出するCO2(スコープ2)を2013年度比で表した指標。
7 集計対象会社は、2023年度は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウスリフォーム㈱、㈱鴻池組とその国内連結子会社、2024年度及び2025年度は、当社及び国内連結子会社。
8 集計対象会社は、2023年度及び2024年度は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウスリフォーム㈱。2025年度は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、積水ハウスリフォーム㈱、積水ハウスサポートプラス㈱。「積水ハウスグループ 女性活躍推進行動計画」で掲げた「当社グループ全体の男性育児休業取得率」で、3歳未満の子を持つ男性従業員が、1ヵ月以上の育児休業を取得した割合を表した指標。
9 集計対象会社は、2023年度及び2024年度は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウスリフォーム㈱。2025年度は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウスリフォーム㈱、積水ハウスサポートプラス㈱。働き方改革関連法に基づき義務化された年5日取得の促進及び総労働時間削減への取組みを推進するため、当社グループ従業員の年次有給休暇の取得率を表した指標。集計対象期間は3月11日~3月10日。
※ その他のKPIについては当社WEBサイトに掲載のESG FACT BOOK 2026をご参照ください。
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/sustainable/library/2026/ESG_factbook.pdf
(2) 気候変動関連に対する取組み(TCFD提言に沿った情報開示及び各国法令に基づく情報開示への対応)
①ガバナンス
当社グループでは、気候変動対応はESG推進委員会の重要議題の一つとして位置づけており、活動方針の妥当性や進捗状況の評価を行うとともに、重要事案については取締役会に報告しています。
ESG推進委員会の傘下に、環境経営に関わる本社部門の職責部長及び各事業部門の環境責任者を中心とした全社横断の「環境事業部会」を設置し、3ヵ月に1回開催しており、環境関連の情報共有ならびに活動方針等の決議事項の検討など、組織全体のベクトルの一致に向けて活動しています。
また、ESG推進委員会の決定事項は環境事業部会を通じて、関連会社を含む全グループに展開し浸透させています。
ESG推進委員会を通じた経営層の監視の実効性確保のために、取組みの推進は、各業務の担当取締役や経営層との日常的な報告と指示を経て進めており、これによってタイムリーな監視・監督機能を確保しています。
②戦略
当社グループは目指すべき事業全般の脱炭素化への歩みを着実に進めるために、今後起こり得る様々な事態を想定し、戦略の妥当性や課題を把握すべく、事業活動及び資源の固有の状況や、物理的リスクについて想定される事業活動・期間・資産の耐用年数などを考慮したシナリオ分析を行っています。
また、移行リスクについて法制化、技術開発、市況に係る潜在的なシナリオに基づき評価し、事業活動に与える気候関連のリスク(物理的リスク及び移行リスク)と機会を抽出し、対応しています。
2025年2月には、ネットゼロ達成に向けた日本の新たな温室効果ガス削減目標として、「2035年度及び2040年度において温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減」が設定され、これに基づき住宅産業関連で「2050年にストック平均でのZEH(Net Zero Energy House)・ZEB(Net Zero Energy Building)基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指し、これに至る2030年度以降に新築される住宅・建築物はZEH・ZEB基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」「家庭部門の非化石転換やディマンド・リスポンス(DR)も併せて進めていく観点から、家庭部門のエネルギー消費の約3割を占める給湯器の省エネルギーや非化石転換の加速、DRに必要な機能の具備の促進、開示を通じたエネルギー供給事業者の取組強化などの制度面での対応を進める」などの方向性も示されました。
そのため、全事業を対象としてあらためて大規模なシナリオ分析を実施し、戦略の見直しを行いました。
さらに、2025年度は各国法令に基づく気候関連情報の開示義務化への準備を進めました。オーストラリアにおいては「オーストラリアサステナビリティ報告基準(ASRS)」に準拠した報告書の提出に向けた準備、米国のカリフォルニア州においては「カリフォルニア州気候変動開示法(「気候関連企業データ説明責任法(SB253)」と「温室効果ガス:気候関連財務リスク(SB261)」)」の動向の把握と適切な準備を進めました。
これらの取組みにより特定した、財務影響が大であると想定された主要なリスク・機会と対応を示します。
<シナリオ分析の前提>
(注)1 IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する政府間パネル
2 IEA(International Energy Agency):国際エネルギー機関
3 NGFS(Network for Greening the Financial System):気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク
4 NatHERS(Nationwide House Energy Rating Scheme):全豪住宅省エネ性評価システム
5 BASIX(Building Sustainability Index standards):ニューサウスウェールズ州政府が定める建築持続可能性指数
なお、財務影響と想定期間については以下のとおり定義します。
財務影響 大:300億円以上、中:100億円以上、小:100億円未満
想定期間 短期:2025年から3年間、中期:2030年まで、長期:2050年まで
<主な移行リスク/物理的リスク>
<主な機会>
③リスク管理
当社グループでは、グループ全体のリスクマネジメントプロセスの一環として、気候変動関連リスク及び機会を判断するための評価をTCFDの提言に基づき実施しています。リスクと機会の抽出は、グループ全体を対象に各事業の主管部署を中心に行い、その結果をESG推進委員会の傘下にある環境事業部会で集約し、財務影響評価を行っています。このプロセスに基づき特定した主要なリスクと機会については、取締役会に報告し、必要に応じてリスクの緩和・移動・受容・コントロールについて検討します。また、「事業運営リスク」や「ハザードリスク」に関係する事項についてはリスク管理委員会にも適宜共有し、グループ全体のリスク管理体制の中で検討・管理しています。
④指標及び目標
当社グループでは、2008年に、2050年までに住まいからのCO2排出ゼロを目指す「2050年ビジョン」を宣言し、事業活動全体において、再生可能エネルギーの利用も含めてネットゼロを目指し、既に様々な取組みを開始しています。
この目標達成へのマイルストーンとして、2030年までにスコープ1(直接排出量:自社の工場・オフィス・車両などによる燃料消費)とスコープ2(間接排出量:購入した電力など自社で消費したエネルギー)において75%削減(2013年度比)、及びスコープ3カテゴリ11(販売した製品の使用)において55%削減(2013年度比)することを目指し、SBTi(注6)の1.5℃に整合する目標として設定しています。なお、現在は2023年度実績を基準年として同等の削減目標を設定、さらに同時に2050年までにバリューチェーン全体のネットゼロ目標も設定の上、SBTiによる認証をそれぞれ取得しています。スコープ1、2については、2022年度で2030年を目標としていた50%削減を既に達成したため、より野心的な目標に上方修正したものです。
(注)6 SBTi(Science Based Targets initiative):2015年にWWF、CDP、世界資源研究所(WRI)、国連グローバル・コンパクトにより設立された共同イニシアティブ
GHG排出量に関する実績(スコープ1、2)(t-CO2e)
GHG排出量に関する実績(スコープ3カテゴリ11)(t-CO2e)(注7)
(注)7 販売した製品の使用に伴う(供給した住宅及び非住宅建築物の使用段階における)排出量。年間に供給した全ての住宅及び非住宅建築物の使用時のエネルギー消費に基づくCO2排出量を算出。供用年数は60年を想定。住宅(国内)については、ZEH(*1) 計算等で使用する「建築物エネルギー消費性能の向上に関する法律」に準拠したエネルギー消費性能計算プログラムを用い算出された一次エネルギー消費量をCO2排出量に換算し算出。CO2排出係数は「地球温暖化対策の推進に関する法律」の値を採用(*2)。非住宅建築物(国内)については、床面積に用途別の床面積当たりのエネルギー消費量を乗じる方法または前述のプログラムを用いて住宅と同様の方法で算出した一次エネルギー消費量をCO2排出量に換算し算出。用途別の床面積当たりのエネルギー消費量及びエネルギー種別一次エネルギー構成比率は「CASBEE-建築(新築)2021年SDGs対応版」(一般財団法人 住宅・建築 SDGs推進センター)の値を採用。住宅(米国)については、Home Energy Rating System®(HERS)Index score算定過程で得られるエネルギー計算結果(住宅に設置した太陽電池による発電量のうち余剰売電分は不算入)または米国エネルギー省(DOE)が公開する住宅のエネルギー消費量シミュレーション結果をCO2排出量に換算し算出。CO2排出係数は米国環境保護庁(EPA)が公開する値を採用。住宅(オーストラリア)については、オーストラリア ニューサウスウェールズ州法の住宅のエネルギー消費削減率を評価する指標であるBASIXのEnergy ScoreからCO2排出量を算出、またはオーストラリアエネルギー規制当局(AER)が公開する、住宅のエネルギー消費に関するデータをCO2排出量に換算し算出。CO2排出係数は、オーストラリア気候変動・エネルギー・環境・水資源省(DCCEEW)の公開する値を採用。
*1 外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅。
*2 電力排出係数については「電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)R6年度実績」(R8.1.9 環境省・経済産業省公表、R8.2.25一部更新)の全国平均係数を使用。都市ガスの排出係数については「ガス事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用) R6年度供給実績」(R7.6.30 環境省・経済産業省公表)の代替値(省令の排出係数)を使用。
8 集計範囲の拡大(M.D.C. Holdings,Inc.(現 SEKISUI HOUSE U.S.,Inc.)傘下の住宅販売子会社の追加)及び集計基準の見直し(基準日を確認済証取得日から引渡日に変更)を反映して算定。
※ より詳細なTCFD提言に沿った情報開示については、当社ウェブサイトに掲載のESG FACT BOOK 2026をご参照ください。
<ESG FACT BOOK 2026>
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/sustainable/library/2026/ESG_factbook.pdf
また、上記表のスコープ1、2及び3カテゴリ11 のGHG排出量については有価証券報告書作成時点での暫定値であり、確定値、並びに算定基準、スコープ3の他のカテゴリにかかるGHG排出量等は、2026年5月末に発行予定のESG DATA BOOK 2026(確定版)で開示します。
(3) 自然資本・生物多様性に対する取組み(TNFD提言に沿った情報開示)
<TNFDにおける6つの一般要件>
1.マテリアリティの適用
当社グループは、「持続可能な社会の実現」をマテリアリティの一つとして掲げています。また、第7次中期経営計画では「新たな価値を創造する、ESG経営のリーディングカンパニー」を基本方針としており、自然関連の対応も重要視しています。TNFD開示・LEAPアプローチによる分析においては、自然へのインパクト・依存を含むダブルマテリアリティの考え方を採用しています。
2.開示のスコープ
当社グループの事業ポートフォリオにおける全事業の直接操業のインパクト・依存評価を行い、リスク・機会の分析を実施しました。また、当社における事業規模と財務的な影響の大きさを勘案し、住宅事業においては上流のインパクト・依存評価、リスク・機会の分析も行いました。さらに、上流のバリューチェーンのうち自然へのインパクト・依存の特に大きな原材料調達の木材について、インパクト・依存の詳細な分析を行っています。
3.自然関連課題がある地域
バリューチェーン上流の原材料調達において、特に自然へのインパクト・依存の度合いが大きい木材調達について特に優先度が高い地域を特定しました。他の原材料調達や直接操業における優先地域についても順次分析を深め、インパクト評価も行う予定です。
4.他のサステナビリティ関連開示との統合
本開示はTNFD提言に基づく開示であり、気候変動、資源循環、水リスク等のさまざまな環境課題との整合性、相乗効果、トレードオフを検証しながら分析を進めています。今後、こうした他のサステナビリティ関連情報との開示情報の統合も検討します。
5.検討される対象期間
当開示内容における時間軸は、短期:2025年から3年間、中期:2030年まで、長期:2050年までを想定しています。
6.組織の自然関連課題の特定と評価における先住民族、地域社会と影響を受けるステークホルダーとのエンゲージメント
当社グループでは、マテリアリティである「持続可能な社会の実現」の一つの要素として「地域社会との共生」を重視しています。地域社会のニーズや課題を正確に把握し、地域の関係者と信頼関係を築くことで、事業や活動計画の適切な調整や地域社会との良好なパートナーシップを形成しています。また、地域社会の課題に対処するためのリスク管理を行い、地域環境への影響に配慮した取組みを行うことで持続可能な事業活動の展開を実現しています。
①ガバナンス
当社グループでは、ESG推進委員会において、自然関連の対応を気候変動同様に重要議題の一つとして位置づけており、活動方針の妥当性や進捗状況の評価を行うとともに、重要事案については取締役会に報告しています。
また、積水ハウスグループ人権方針では、国際人権章典、労働における基本的原則及び権利に関するILO(国際労働機関)宣言、ビジネスと人権に関する指導原則など国際規範を尊重し、国連グローバル・コンパクトの10原則を支持しています。さらに、CSR調達ガイドライン、木材調達ガイドラインにおいて、人権侵害の防止に対する方針や基準を定めています。それらの方針や基準の遵守により、当社による事業活動や調達において、人権侵害が発生しないよう配慮しています。特に、木材調達ガイドラインでは、調達地の先住民を含むステークホルダーのFPIC(注1)を尊重することを規定するとともに、サプライチェーン上でのあらゆる紛争を認めない木材の調達方針なども定めて実行しています。
(注)1 FPIC(Free, Prior and Informed Consent):自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意
②戦略
当社グループは、気候変動同様、自然資本や生物多様性保全においても、人と自然の共生社会への歩みを着実に進めるために、今後起こり得るさまざまな事態を想定し、戦略の妥当性や課題の把握に努めています。
当社では、自然関連リスク・機会及びインパクト・依存評価を、TNFDのLEAPアプローチ(注2)に基づき実施しています(図1)。まず、当社の主要事業である住宅事業における自然関連のインパクト・依存の分析と診断を行い(1-1)、当社の取組みを整理したうえで、シナリオ分析によりリスクと機会への対応の優先度を検討しました(3-1)。次に、住宅事業に関する4つの工程(原料調達、製造加工、建設、解体)の中で自然へのインパクト・依存の度合いが大きい原料調達工程における木材調達について、株式会社シンク・ネイチャーの協力のもと、同社の持つ生物多様性ビッグデータを用いて、高度化した分析を行い、当社にとってより重要な自然との接点の特定とインパクト・依存の把握を行ったうえで(1-2,2-1,2-2)、リスクの定性的な財務影響評価を行いました(3-2)。さらに、インパクト・依存の分析と診断を全事業の直接操業に拡大し(1-3)、全事業におけるリスク・機会の特定と定量的な財務影響評価を行いました(3-3,3-4)。2025年度には、3-3で洗い出したリスク・機会への対応について、議論・整理しました(3-5)。
(注)2 LEAPアプローチ:組織の自然との接点、依存、インパクト、リスク、機会など、自然関連課題を判定するための統合的な評価手法。スコーピングを経て、Locate(発見する)、Evaluate(診断する)、 Assess(評価する)、Prepare(準備する)のステップをとおしてインパクトを評価し、開示を行う。

図1 TNFD LEAPアプローチ実施状況
1-1 住宅事業における自然へのインパクト・依存の分析と診断(Locate・Evaluate)
住宅事業(戸建住宅・賃貸住宅)について、調達データをもとにENCORE等を使用して潜在的なインパクト・依存の分析を実施した結果、原料調達工程において、多くの生態系サービスに依存している可能性があること、また、木材の伐採や鉱物資源の採掘における陸域・淡水域・海域の土地改変や、大気・水域・土壌・廃棄物の汚染などの影響を及ぼしている可能性があることを確認しました。
1-2 木材調達における生物多様性の観点でセンシティブな場所の発見(Locate)
当社の2022年度における木材調達量の約90%を占める上位11か国を対象に、天然林については「生物多様性の重要性」「生物多様性の完全性」を、人工林については「生物多様性の重要性」を評価しました。これにより、天然林についてはインドネシア・マレーシア、人工林についてはインドネシア・マレーシア・日本・ベトナムが11か国の中でも特に保全優先度が高いエリアであり、優先的に影響の把握が必要であることが分かりました。
1-3 全事業における自然へのインパクト・依存の分析と診断(Locate・Evaluate)
当社グループの全事業範囲の直接操業における自然へのインパクト・依存をポートフォリオ分類別に、ENCOREを用いて評価しました。その結果、直接操業では多くの事業が水循環や土壌に関する生態系サービスに関連していることが分かりました。
2-1,2-2 木材調達における自然へのインパクト・依存診断(Evaluate)
ENCOREにて林業に関連すると評価されている「陸域生態系利用」、「地盤安定化と浸食抑制機能」、「害虫抑制機能」について調達量上位11か国について分析を行いました。
3-1,3-2 住宅事業におけるリスク・機会の特定と評価、リスクの定性的な財務影響評価
3-1,3-2で行った内容については、スコープを拡大した3-3,3-4に含めているため、記載を割愛しています。
3-3 全事業におけるリスク・機会の特定と評価(Assess)
1-3で当社グループの直接操業において自然へのインパクト・依存の度合いが大きかった項目に関連する可能性のあるリスク・機会事項と、1-1で住宅事業において自然へのインパクト・依存の度合いが大きいとされた原料調達工程に関連する可能性のあるリスク・機会事項の一覧を整理しました。その後、その一覧の中から特に当社グループにとって特に重要度の高いものを洗い出し、具体的なリスク・機会を特定しました。この主要なリスク・機会を導き出すプロセスとして、当社グループ内の各事業範囲に関連する23部署の担当者が参加する横断的なワーキンググループを設け、計16回のワークショップを開催し、自然関連の将来的なリスク・機会とそのレジリエンスについて議論できる場を構築しました。
ワークショップを開催するにあたり、TNFDが推奨する2つの不確実性から構成される4象限のシナリオ(図2)のうち、シナリオ①を「持続可能なシステムが回る世界」、シナリオ③を「破滅へ進む世界」として、生物多様性の状態と気温上昇という自然の状態に関する観点(横軸)と、技術・社会・規制/政治という世界動向に関する観点(縦軸)で、短期・中期・長期の時間軸を設定して探索的にシナリオを構築しました。ワークショップでは、それぞれのシナリオにおける当社の直面しうるリスク・機会を議論しました。

図2 TNFDが推奨する2つの不確実性から構成される4象限のシナリオ
シナリオ構築にあたり、WWF のLiving Planet Report 2022 とIPCCのSixth Assessment Report(2021)等を参考に2040年時点の自然の状態を固定条件として設定しました。まず、シナリオ①では横軸の自然状態について、生態系は徐々に回復傾向にあり、気候変動でも1.5℃シナリオが達成されることで環境が改善に向かう世界を想定しました。縦軸である市場と非市場原理は一致する方向、すなわち社会や法規制、経済が、自然にとってポジティブな方向へ移行する世界を想定しています。一方で、シナリオ③では生態系は劣化し、気候変動による気温上昇が進む世界を想定しており、縦軸においても市場と非市場原理は不一致の方向、すなわち社会や法規制、経済が自然にとってネガティブな方向もしくは現状と変わらないという世界を想定しています。
3-4 リスク・機会の財務影響評価(Assess)
全社的なワークショップを通してシナリオ分析により特定した、主要なリスク・機会とその潜在的な財務影響について、短期・中期・長期の時間軸を設定したうえで算定しました。今後は、社内での議論をさらに深め、それぞれのリスク・機会が関連する自然へのインパクト・依存への詳細情報の把握や優先地域の精緻化とそのアプローチを検討したうえで、対応がさらに必要な事項について行動方針を検討していくとともに、時間軸ごとの前提条件や不確実性を考慮しながら、財務影響についてもより精査していきます。
なお、財務影響については以下のとおり定義します。
財務影響 大:300億円以上、中:100億円以上、小:100億円未満
3-5 全事業におけるリスク・機会への対応(Assess)
3-3で洗い出した具体的なリスク・機会と関連性の高い当社グループ内の10部署と議論し、それらのリスク・機会に対して、現時点で対応している取組み、ならびに今後講じるべき対応策などについて整理しました。財務影響が大であると想定された主要なリスク・機会と対応を以下に示します。
<主な移行リスク/物理的リスクへの対応>
<主な機会への対応>
③リスクとインパクト管理
当社グループでは、グループ全体のリスクマネジメントプロセスの一環として自然関連リスク・機会及びインパクト・依存評価を、TNFDのLEAPアプローチに基づき実施しています。まず、整理したバリューチェーン全体において、潜在的な自然関連のインパクト・依存が存在する活動を洗い出しました。木材については、詳細な調達情報をもとに生態学的にセンシティブな場所との地理的な接点の発見を行ったうえで、インパクト・依存を特定し、それらを定量的・定性的に分析して重大性を評価しています。
リスクと機会の抽出は、シナリオ分析を用いながらグループ全体を対象に各事業の主管部署を中心に行い、その結果をESG推進委員会の傘下にある環境事業部会で集約し、財務影響評価を行っています。このプロセスに基づき特定した主要なリスクと機会については、取締役会に共有し、必要に応じてリスクの緩和や対応について検討します。また、「事業運営リスク」や「ハザードリスク」に関係する事項についてはリスク管理委員会にも適宜共有し、グループ全体のリスク管理体制の中で検討・管理しています。
さらに、当社の事業活動に関係するサプライヤーをはじめとする主要なステークホルダーとのエンゲージメントも引き続き取組みを強化していきます。
④指標及び目標
当社グループでは、自然に関連する重要なインパクト・依存やリスク・機会の適切な評価と管理を目的として、TNFD 提言内容に沿って適切な「アセスメント指標」を選定し、「開示指標」のコア指標を中心に実績値を開示します。2025年度の実績値については、ESG FACT BOOK 2026(注3)をご参照ください。
今後は今回開示できていないコア指標と、アセスメント指標のうち重要なものを「開示指標」の追加指標として実績値の算出を進めていきます。今後は、アセスメント指標の中から、洗い出したリスク・機会に関連する指標を中心に目標設定を行い、モニタリングすることを検討しています。
また、指標以外の目標設定として、木材調達方針に掲げた2030年の天然林における森林減少ゼロ(ゼロ・デフォレステーション)達成のため、ゼロ・デフォレステーション比率を2023年度よりKPIとして設定していました。
2025年度においては、今般の国際的なサステナビリティ基準やステークホルダーの期待を踏まえ、森林減少・土地転換なし(Deforestation and Conversion Free:DCF)比率へKPIを変更し、進捗を管理しています。目標達成のため、サプライヤーエンゲージメントの強化や詳細な現地デュー・ディリジェンス、仕様変更による原材料の切り替えなどさまざまな取組みを推進しています。
(注)3 より詳細なTNFD提言に沿った情報開示については、当社ウェブサイトに掲載のESG FACT BOOK 2026をご参照ください。
<ESG FACT BOOK 2026>
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/sustainable/library/2026/ESG_factbook.pdf
(4) 人的資本に関する取組み
①ガバナンス
人的資本の施策に関する重要事項については、内容に応じて取締役会の諮問機関である「人事・報酬諮問委員会」、「ESG推進委員会」または「リスク管理委員会」での討議を経て、経営会議または取締役会で付議・報告され全社施策として実行・運営されます。人財戦略の推進にあたっては、人事総務部、人財開発部、ダイバーシティ推進部などといった当社関係部署が、施策の実施及びKPI進捗管理を行っており、ESG推進委員会の傘下にある社会性向上部会にて意見交換の上、部署間の連携を図っています。また、当社はグループ各社の課題及びKPIの進捗について、前述の関係部署が報告を受ける体制を構築しており、グループ全体を包括的に管理しています。
②戦略
人財開発基本方針・社内環境整備方針展開にあたっての基本的考え方
従業員が自律するためには、従業員が当社グループという資源を利用しながら、一人ひとりが主体的に行動し、継続的にキャリア開発に取り組むことが重要です。自律的なキャリア形成を促すため、従業員と企業がともに持続可能な成長を実践できる環境や仕組みづくりを進めます。あわせて、年齢、性別、国籍、障がいの有無などを問わず、誰もが自分らしく働き、その能力を最大限に発揮できる環境や制度づくりを推進するとともに、多様な働き方ができる柔軟性の高い勤務制度の導入・運用を積極的に進めています。また、インテグリティが高いリーダーを計画的に育成するとともに、事業戦略に必要な人員確保や適正配置に努めます。
人財開発基本方針
グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”の実現に向け「人財価値を最大化し、知と経験のD&Iで事業成長を牽引する」を方針とし、人財開発に関する取組みを推進していきます。
社内環境整備方針
グローバルビジョン実現に向け、その原動力である従業員が集う積水ハウスが世界一幸せな会社であることが重要と考えます。「誰もが働くことに、やりがいや幸せを感じられる会社」を目指し、従業員のキャリア自律支援、D&Iの推進、多様な働き方の推進、幸せの基盤づくりなど、重点テーマの推進を支える環境整備を行います。
第6次中期経営計画(2023年度~2025年度) 人財戦略
人財価値の向上は、企業の成長のドライバーです。
当社はその価値を「人財価値向上=従業員の自律(注1) × ベクトルの一致(注2)」と表現し、以下の図のとおり、人財戦略の重点テーマを整理しています。
1.キャリア自律支援、2.D&Iの推進、3.多様な働き方の推進、4.幸せの基盤づくり、これら4つのテーマに基づく、制度改革や組織風土づくり、取組み推進などを戦略的に遂行しながら従業員の自律を支援・促進していきます。さらに、これらによって創出された自律した従業員が積水ハウスグループの目指す方向性に共感し、自ら行動するために、企業理念と戦略を浸透させるリーダー育成、戦略に応じた人員確保と適正配置を実施していきます。
「人財価値向上=従業員の自律 × ベクトルの一致」については、乗算であることが重要であり、「従業員の自律」及び「ベクトルの一致」のいずれも高い水準を目指すことで人財価値がますます向上し、社会への価値提供が大きくなります。当社が成し遂げたいことは、社会への提供価値の最大化であり、これを支える人財への投資を着実に行っていきます。
(注)1 従業員の自律:従業員一人ひとりが考え、主体的に行動すること。
2 ベクトルの一致:会社のビジョンや戦略が従業員に浸透し、理解されている状態であること。

[従業員の自律に関する取組み]
1.キャリア自律支援
「イノベーション&コミュニケーション」を合言葉に、従業員間でアイデアを出し合い、活発なコミュニケーションを通じて新たなイノベーションを生み出すという創発型企業文化の醸成や、従業員が主体性を発揮する機会をつくることを通じて、一人ひとりのキャリア自律を支援しています。2003年に開始したキャリア自律意識を醸成する各種研修については累計23,066名が受講(2025年度末実績)し、仕事だけではない人生全体を見据えたキャリア形成への意欲を高めています。また、マネージャー職の責任範囲、職務内容、必要な知識・スキルを定めた職務記述書の従業員への公開の他、業務上必要な主要資格の取得支援も行っています。
・ 直近の取組み例
- 2021年:創発型表彰制度「SHIP」のスタート
- 2022年:人財公募制度のリニューアル
- 2023年:MBA等の自律的学習を支援する高度学習支援制度、キャリア自律休業制度のスタート、
キャリア自律コースの拡充
- 2024年:オンライン学習サービスのトライアル、職責者向けのキャリアコーチ資格プログラム、
英語学習プログラム、Myキャリアシートによるスキルと経験の可視化のスタート
- 2025年:理由を問わず一定期間転居なく同一エリアでの勤務が可能な勤務エリア継続制度
(フェア型)、高度DX人財としてビジネストランスレーター・AIエキスパートの育成スタート
2.D&Iの推進(注3)
i)女性活躍支援
当社グループの使命は「幸せづくりのパートナー」として、お客様や社会に新たな価値を提供し続けることであり、多様な価値観や感性・視点が求められる住まいづくりにおいて、あらゆる分野での女性の活躍は不可欠であると考えます。このことから、女性活躍支援を経営課題として認識し、2006年に経営企画部に女性活躍推進グループ(現在のダイバーシティ推進部)を設置し、以下の採用、定着、育成における活躍支援施策を継続して実施しています。
定着へ向けた取組みとして、職種毎の課題に即した施策を展開しており、女性営業職には2007年から「全国女性営業交流会」を実施し、女性営業同士のネットワークを構築しています。3年目以下の離職率の高さが課題であったため、現場での育成はもちろん、3年目以下の女性営業とダイバーシティ推進部が面談を実施し、課題の早期発見や改善に努めるなど一人ひとりに寄り添ったサポートを展開しています。女性現場監督職には2014年から「全国女性現場監督交流会」を毎年開催しており、在籍率30%を超える女性設計職においては専門性の強化と、育児との両立に関するロールモデルを全国へ水平展開し多様なキャリア形成の支援を実施しています。2025年からは高度な設計スキルを有する女性チーフアーキテクトが企画する手挙げ式全国女性設計交流会も開始し、より充実した横軸の繋がりや高度な設計スキル取得への意識向上を図っています。また、事業所表彰の基準であるESG指標に「女性活躍推進指標」を継続して掲げ、事業所における女性活躍も推進しています。
当社グループでは女性活躍推進法に基づく行動計画(2021年に策定)にて、2025年度までに女性管理職を310人以上(注4)登用することを目標とし、女性管理職候補人財の育成にも注力してきました。2014年から、管理職候補者研修「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」を開講。毎年、手挙げかつ上司推薦を経て決定した約20人の受講者に、約2年間OJT及び組織課題解決の実践プログラムを提供し、納得性のある育成・登用へとつなげています。開講当初から、代表取締役が自ら受講生との直接対話の機会を持ち、2018年からは、社外女性取締役も参加して受講生に直接エールを送り、女性管理職育成の大きな後押しとなっています。女性従業員の採用、定着、育成を進めてきた結果、当社及び国内連結子会社の新卒の女性採用率は、2025年度実績では営業職35.4%、技術職27.2%となっています。また、当社及び主要国内子会社(㈱鴻池組を除く,注5)の女性正社員比率は30.4%となり、建設業界平均(注6)の約2倍の比率の女性正社員が活躍しています。「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」修了生192人のうち、146人が管理職となり、当社及び国内連結子会社の女性管理職数は475人まで増加しています(2026年1月31日現在)。
現在実行している女性活躍推進諸施策の継続の結果、女性正社員、女性管理職候補者数が増加しつつあり、今後も様々な取組みを強力に推進し、従業員の男女賃金格差の縮小にも努めていきます。
(注)3 2023年3月策定の第6次中期経営計画における人財戦略において、「DE&I」の推進と表記していましたが、「Equity」という概念の捉え方に国際的な違いが見られることを鑑み、かつ当社グループのマテリアリティである「ダイバーシティ&インクルージョン」との整合を図り、「D&I」と表記しています。
4 310人以上は計画策定時の目標。提出日現在の目標は380人以上。
5 集計対象会社は当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、
積水ハウスリフォーム㈱、積水ハウスサポートプラス㈱。
6 出典:「令和6年度雇用均等基本調査 付属統計表 企業調査 第1表 男女及び職種別正社員・正職員割合」(厚生労働省)

※女性正社員比率の集計範囲は(注5)
ii)グローバル人財の活躍推進
国籍を問わない人財採用と能力適性を考慮した登用を進めています。海外子会社においては、人員体制強化の観点から、現地採用を積極的に行い、優秀な現地採用者の重要ポストへの登用を進めています。
iii)障がい者の活躍支援
2026年1月末時点での障がい者雇用率は、当社で2.83%、国内連結会社のうち障がい者法定雇用義務のある30社(当社を含む)で2.89%です。現法定雇用率2.50%(2026年7月改正2.70%)を上回る状況ですが、今後も当社は各本部単位で、グループは各社で法定雇用数の達成を目標に、積極的に雇用を促進します。活躍支援に向けた取組みとして、障がいのある従業員とその上司・同僚を対象に所属部署を超えたネットワークの構築、相互に発信・相談できる関係づくり、職場環境改善を図ることを目的として、2015年から毎年「ダイバーシティ交流会」を実施しており、2025年は大阪での対面開催に加え、後日オンライン形式でも実施しました。
また、障がい等により配慮を必要とされるお客様に対し、設備・応対の両面から取組みを進めています。設備面では、社内施設(住宅展示場・事務所等)の新築・改築時に、障がい等へ配慮した設計とする指針を定め、運用を通じて継続的な改善を図っています。応対面では、戸建事業部門の各支店にお客様からの配慮・調整のお申し出に対応できる社員(全国120名)を任命し、日本ユニバーサルマナー協会が実施する検定の受講と、理解促進を目的とした社内研修を通じてマインド醸成を進めています。
さらに、戸建事業部門の新入社員に対しては、障がい体験を含む研修を実施し、障がい理解の促進に取り組んでいます。ウェブサイトやテレビCMにおいても、「ウェブアクセシビリティ方針」に基づく公式サイトのアクセシビリティ向上や、クローズドキャプション方式によるテレビCMの字幕対応を実施しています。
iv)LGBTQの理解促進
社内のLGBTQ理解促進を図るため、2014年から毎年、ヒューマンリレーション研修にLGBTQのテーマを設け、学習、ディスカッションや情報提供を継続しています。セミナーやイベントも定期的に開催し、理解者・支援者である社内のアライが増えています。またアライ主導で、社会の理解促進を促す発信も継続し、PRIDE指標において、8年連続でゴールドの認定を受けました。また、「レインボー認定」も4年連続受賞しています。誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の実現を目指しています。
3.多様な働き方の推進
従業員一人ひとりが働く場所や時間にとらわれず、柔軟かつ自律的に働きながら自分の個性や能力を最大限に活かすため、多様な働き方を推進しています。多様な働き方を推進するためには、まず、信頼関係に基づく安心安全な風土が職場に必要であり、全ての従業員が役職や雇用形態にかかわらず、少人数のグループで対話する機会を設け、心理的安全性の高い職場風土醸成に取り組んでいます。さらに、2024年から総務責任者及びマネージャー職を対象にしたラインケア研修、2025年から各部署単位の組織開発支援プログラムを導入しました。これらの取組みについては、当社が行う幸せ度調査の「職場の幸せ力」のスコアによりモニタリングをしています。
また、従業員が育児や介護、治療などによるキャリアロスなく安心して働けるよう、働く場所にとらわれないテレワーク制度や働く時間帯にとらわれないスライド勤務制度(時差通勤制度)、治療・介護・育児などの事情に応じて一定期間転居なく同一エリアでの勤務ができる勤務エリア継続制度(ケア型)などに代表される、両立を支援する制度の整備や情報提供を行っています。
4.幸せの基盤づくり
i)家族の幸せ支援
従業員と家族の幸せのため、2018年より「男性従業員1ヵ月以上の育児休業完全取得」(注7)を推進しています。社内全体の意識改革、制度整備、家族や職場とのコミュニケーションツールの開発などを行った結果、2019年2月の本格運用開始以降、期限を迎えた対象者全員(2026年1月末2,633人)が1ヵ月以上の育休取得を完了(2021年4月以降はグループ会社も全員取得)し、2025年度の育休取得者の配偶者満足度は97.8%と高く、家族の幸せづくりに貢献しています。社外に向けても「日本でも男性の育児休業取得が当たり前になる社会」を目指し、2019年より積極的に情報発信を行っています。2025年には174の賛同企業・団体様と共に発信し、男性育休取得促進の気運醸成に寄与しました。
(注)7 3歳未満の子を持つ男性従業員が、1ヵ月以上の育児休業を取得すること。
ii)健康づくり支援
当社グループでは、従業員の幸せの源泉は健康の維持・増進であると考え、健康の維持・増進に向けた活動を重要な経営課題と位置づけ戦略的に取り組むため「幸せ健康経営」と名付けて推進しています。取締役会傘下のESG推進委員会で承認された年度目標や計画に基づき、関係部署横断で構成されたワーキンググループにて、健康保険組合や産業医などと連携して、課題の抽出、全社方針の策定、具体施策の立案をおこない、各事業所と連携しながら全従業員への周知・浸透を図っています。
AIによる健康診断結果活用サービスや従業員の課題別セミナー実施など「幸せ健康経営」に取り組んだ結果、健康経営優良法人に認定されています。(2020~2024年はホワイト500)
iii)幸せ度調査の継続
従業員一人ひとりの幸せの実現のために、2020年11月から、全従業員を対象とした「幸せ度調査」を実施し2025年10月で6回目を完了しました。幸福経営学の第一人者である武蔵野大学ウェルビーイング学部長・慶應義塾大学名誉教授の前野 隆司氏の監修により、日本企業で初めて従業員と職場の幸せを多面的に計測、相関性を分析し、幸せを「見える化」しました。この調査結果を振り返り、職場での幸せ対話などの具体策につなげています。
[ベクトルの一致に関する取組み]
・企業理念と戦略を浸透するリーダーの育成
当社グループとしてお客様と社会に幸せを届けるためには、自律した従業員に企業理念と事業戦略を浸透させ、組織力を生み出すリーダーの存在が不可欠であり、そのようなリーダーを計画的に育成することが企業の持続可能な成長には必要です。
組織成果創出力・人財育成力・組織活性化力などの強化のためのマネジメント対象の階層別研修を実施しています。また、支店長・本社部長・工場長などの組織リーダー候補の選抜と育成を目的に2018年から実施している経営塾、2019年にスタートした若手(35歳以下)リーダー候補者を育成する「SHINE! Challenge Program」によって、次世代のビジネスリーダーを計画的に生み出す土壌づくりを継続的に実施しています。2021年からは執行役員、業務役員及びキーポジションの後継者候補を挙げ、全社的かつ多様な視点で透明度の高い議論を行うサクセッションプラン会議を開始しました。候補者全員の個別育成計画を立案し、定期的な進捗確認により、リーダーパイプラインのさらなる充実に努め、後継者候補準備率(注8)をモニタリングしています。また、グループリーダー以上の全マネージャー職を対象に多面観察を実施しています。フィードバックされた結果を基に、マネジメント行動の変革に向けたアクションプランを作成し、定期的なコーチングによる内省を通じてマネジメント力の向上に取り組んでいます。

(注)8 後継者候補準備率:(後継者プールにいる人数÷リーダーのポジション数)×100
・戦略に応じた人員の確保と適正配置
既存事業の深化と新規事業への挑戦を担う人員確保に努めるとともに、各ビジネスユニットの事業戦略に基づく人財ニーズを把握し、適正配置を実現すべく、持続的成長に必要な人財の採用・育成を計画的に進めています。なかでも、多様性と専門性を強化する方針の下、採用全体に占めるキャリア採用に力を入れ、着実にその数を増やしています。特に、海外事業の拡大という大きな変化については、コーポレート部門を中心に人財獲得を強化すると共に、グローバル化に向けて必要な人員規模やスキルを今後さらに精査していく予定です。
また、2024年から「Welcome Home制度(アルムナイ制度、注9)」をスタートしています。これまでのリファラル採用(注10)なども含めて多様な手法やチャネルを活用し、採用力の強化を図っています。
2025年度はキャリア採用者を632名採用し、採用者全体に占めるキャリア採用者の割合は39.7%です(注11)。入社直後からの活躍を支援するオンボーディングプログラム(注12)を拡充し早期の活躍を支援しています。
(注)9 一度退職した従業員を再度、採用する制度。
10 自社で働いている従業員からの紹介、推薦による採用制度。
11 集計対象会社は当社、国内連結子会社。
12 新しく組織に加わった従業員が会社の文化や業務内容に馴染み、早期に活躍できるように支援する仕組み。
第7次中期経営計画(2026年度~2028年度) 人財戦略の概要
第7次中期経営計画においても、「人財価値向上=従業員の自律×ベクトルの一致」を基本方針とし、持続的な企業成長を目指します。「従業員の自律」では、考える力や分析力、AI/DX活用、英語学習支援などの学びを拡充しつつ、グループ間の人財異動やグローバル挑戦を後押しすることで、個々の成長をさらに促進します。また、働き方制度の拡充や多様な人財の活躍支援、価値創造を発揮するための組織文化の醸成、価値創造の場づくりにも取り組みます。「ベクトルの一致」では、人財マネジメントを強化し、戦略推進リーダーの育成、人財獲得・適正配置、リーダーパイプラインの高度化を推進します。また海外では、一体感醸成と人事インフラ強化、技術伝承の仕組み構築、現地人財への成長機会提供を通じてエンゲージメント向上を図り、理念・価値観の共有と国内外の人財融合を進める予定です。
③リスク管理
人的資本に関するリスクと機会については、人財開発部や人事総務部、ダイバーシティ推進部といった当社関係部署においてリスクと機会の分析、対応策などを検討しており、ESG推進委員会の傘下にある社会性向上部会にて意見交換の上、部署間の連携を図っています。このプロセスに基づき特定した主要なリスクと機会については、取締役会に報告し、中長期の戦略立案につなげています。また、当社はグループ各社が作成したリスクマップをモニタリングし、人員確保に関する事項などの重要事項についてはリスク管理委員会にも適宜報告の上、グループ全体のリスク管理体制の中で検討・管理しています。
当社グループの持続的成長を実現するためには、既存事業の深化と新規事業への挑戦を担う優秀な人財を国内外で獲得し、雇用を維持していく必要があります。採用競争力が低下した場合や、離職による人財流出が深刻化した場合には、成長力が鈍化し、社会的評価が低下する可能性があります。事業戦略に必要な人財を要員計画策定により明確にし、採用ブランディングの強化、採用活動における募集経路・選考手法の多様化を積極的に進め、年齢、性別、国籍、障がいの有無などによらない人財採用を行っています。
④指標及び目標
人財価値向上を加速させるため、各重点テーマに対し以下の目標を設定して取り組んでいます。
(注)1 集計対象会社は当社。
2 当初、イノベーション&コミュニケーションを体現する場への参加を促進するための指標として設定していましたが、一定数以上の参加が継続されているため指標より削除しました。
3 集計対象会社は当社、国内連結子会社。
4 「一級建築士」「1級建築施工管理技士」「FP2級」「宅地建物取引士」を含む業務上必要な11の資格。
5 集計対象会社は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、
積水ハウスリフォーム㈱、積水ハウスサポートプラス㈱。
6 集計対象会社を当社及び国内連結子会社とした場合の実績値は29.4%です。
7 集計対象会社は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、
積水ハウスリフォーム㈱ 、積水ハウスサポートプラス㈱、㈱鴻池組とその国内連結子会社。
集計対象会社を当社及び国内連結子会社とした場合の実績値は34.4%です。
8 集計対象会社は、当社及び国内連結子会社のうち、障がい者法定雇用義務のある30社。
9 集計対象会社は当社、国内連結子会社(㈱鴻池組とその国内連結子会社を除く)。多様な幸せを多面的に測って数値化している「幸福度診断 Well-Being Circle」における、安心安全な風土、信頼関係のある職場の雰囲気、チャレンジを推奨する雰囲気及び職場オススメ度の平均値。
10 実績値のみ公開しています。
11 配偶者アンケートで「良かった」・「まあ良かった」の回答者がアンケート全回答者に占める割合。
12 集計対象会社は当社、国内連結子会社(㈱鴻池組とその国内子会社を除く)。「幸福度診断 Well-Being Circle」の34項目の平均値。
13 集計対象会社は当社グループ。
(5) 人権尊重に関する取組み
①ガバナンス
当社グループは、2020年4月に公表した「積水ハウスグループ人権方針」(以下、「人権方針」)に定めるとおり、取締役会が人権方針の遵守及び取組みを監督しています。取締役会の傘下には、経営会議、ESG推進委員会、リスク管理委員会を置き、それぞれの機関が有機的に機能することにより、当社グループ全体の人権尊重の推進体制を構築しています。
当社グループの人権に関する重点課題と方針は、ESG推進委員会のもと、ガバナンス部会で決定します。ガバナンス部会には複数の関連部署が参加する「人権デュー・ディリジェンスミーティング」(以下、「人権DDミーティング」。事務局:人権・コンプライアンス推進部)を設置しており、これら関連部署が互いに連携し情報共有、意見交換などを行うことにより、当社グループの人権尊重推進に取り組んでいます。(注1)
人権尊重推進の取組みは、リスク管理委員会にも定期的に報告されています。リスク管理委員会では、人権に関するテーマとして主にグループ従業員の労働や健康に関する戦略的な取組み、ハラスメントや労働災害などについて、リスク管理の観点から議論しています。
(注)1 2025年度まではESG推進委員会傘下の社会性向上部会で実施し、人権DDミーティングも同部会に設置していました。
②戦略
当社グループは、「人権方針」において、従業員やサプライヤーをはじめとした事業活動によって影響を受ける可能性のある、すべてのステークホルダーの人権を尊重することを表明しています。また、「人権DDミーティング」において、毎年、人権リスクマップを作成するプロセスで重要な人権課題を特定し、定期的に検証をしています。
以下のマップの中の赤いポイントが2025年度に特定した重点課題です。

特定した重点課題:1.職場のハラスメント
2.施工現場の安全衛生
3.サプライチェーン上の人権課題
4.施工現場の外国人就労
特定した重点課題に対応するため、当社グループは以下の取組みを推進しています。
1.職場のハラスメント
多くの従業員が働く当社グループにとって、心理的安全性が確保された適切な職場環境の整備は、優先して取り組むべき重点課題の一つです。
従業員が安心して働けるように「セクハラ・パワハラホットライン」を設置し、各種のハラスメントや人権被害に関する相談や通報を受け付け、迅速な対応を行います。必要に応じて調査し、是正・救済措置、再発防止策を講じています。これらの相談・通報事案を分析した結果を、全従業員向けに実施している「ヒューマンリレーション研修」(人権・コンプライアンス研修の人権尊重パート)のテーマに反映させるなど、ハラスメントの未然防止や発生時の適切な対処につなげています。

2.施工現場の安全衛生
危険が伴う建設現場では、労働環境が人命に関わる災害に直結する可能性があることから、施工現場の労働安全衛生は当社グループにとって最も根底にある重要課題です。施工従事者が安全に働ける環境の整備のために、さまざまな措置を行っています。
当社では、労働安全衛生に関する法令など当社の就業規則に基づき、「安全衛生管理規則」を定めています。安全衛生の基本事項を定め、施工現場を含む職場の安全と健康を確保し、快適な作業環境を形成することを目的としています。施工協力会社・施工従事者に対しては、特定元方事業者として施工管理部が統括管理しています。施工管理部は、全社的な「安全衛生年間計画」を毎年策定するほか、必要に応じ、「労働災害防止対策」も策定しています。
3.サプライチェーン上の人権課題
当社グループは、サプライチェーンにおける「人権・労働」に関しても、重要な課題と認識しています。「積水ハウスグループ人権方針」 を公表し、ビジネスパートナーの皆様に対して、この人権方針の理解と支持への期待を表明しており、サプライチェーンにおける人権尊重の輪を広げるべく、取組みを進めています。
当社は2018年の国連グローバル・コンパクトへの署名を機に「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)」のサプライチェーン分科会に参加し、このGCNJ版SAQ(自己問診票)に準拠した「CSR調達ガイドライン」を制定しました。このガイドラインでは、人権尊重に関し、「国籍や人種等による差別」「非人道的な扱い」「強制労働」「児童労働」などの禁止がうたわれており、また従業員の安全衛生や健康についても適切な管理が求められています。
以来、主要なサプライヤーに対し、ガイドラインの趣旨と内容を理解して遵守すること、その取組みに関する確認等にも協力することについて「同意確認書」の提出を要請するとともに、毎年春に開催する「年度活動方針説明会」において、CSR調達の意義や重要性を共有してきました。
4.施工現場の外国人就労
当社グループでは、外国人労働者の労働災害発生率が日本人と比べて高いことを踏まえ、安全で働きやすい職場環境の整備に取り組んでいます。労働災害の主な要因として、日本語理解の不足やコミュニケーション不足により、危険情報が十分に伝達されていない可能性があると考えています。これらの課題に対応するため、ピクトグラム及び多言語表記を用いた建設業労働災害防止協会(建災防)の統一安全標識(10種類)を採用しています。あわせて、多言語及び「やさしい日本語」を用いた「雇入れ時教育テキスト」の補助教材を製作し、外国人労働者にも理解しやすい安全教育を実施することで、労働災害の防止と人権尊重の推進を図っています。
また、技能実習生に対しては、技能実習生及び施工協力会社向けの相談窓口を設置しています。特に人数の多いベトナム人技能実習生については、実習面及び生活面の支援を行うほか、担当者が監理団体と連携して定期的な面談を実施しています。雇用主とは異なる立場から対話を行い、また、日本語学習状況の確認や助言を行うことで、安心して就労できる環境づくりに努めています。
③リスク管理
人権課題への具体的な取組みは、その内容ごとに関係する部署、事業所、グループ会社など(以下、「関係部署など」)が担当し、ステークホルダーとの直接対話及び専門家やステークホルダーの利害を代表する各種団体・機関などからの情報提供・助言を通して収集した情報をもとに、具体的なリスクを洗い出し、その原因分析に応じた啓発や対策を実施しています。
こうした関係部署などによる取組みの情報は、それぞれ事業部門や人権DDミーティングにおいて共有・集約され、内容が検証されます。さらに社外専門家の委員を擁するESG推進委員会に対して、ガバナンス部会を通じてこれらが報告され、チェックや助言を受けます。また、「リスク管理委員会」にも適宜報告されています。
④指標及び目標
当社グループが、リスクマップで特定した重点課題に対応する指標として掲げるKPIとその実績は、以下のとおりです。
<公開ウェブサイト 人権に関する問い合わせ件数>
※2020年4月の「積水ハウスグループ人権方針」策定時より、公開ウェブサイトで、人権に関する問い合わせを外部からも受け付けています。これまで全ての問い合わせに対して、状況確認と対応を完了していますが、問い合わせの中に当社の事業に影響を及ぼす可能性がある人権侵害は確認されていません。
<セクハラ・パワハラホットライン 取り扱い件数>(注2)
(注)2 集計対象は当社及び国内連結子会社。なお、2024年6月に当社及び国内連結子会社の役員・従業員向けに展開していたセクハラ・パワハラホットラインの受付対象を当社及び国内連結子会社の取引先まで拡げました。
3 相談内容と相談者の意向をヒアリングし、組織として対応すべき問題と判断して対応した件数。それ以外にも、内容に応じて相談者への助言などの支援を行っています。
◆リスク管理体制について
当社グループの事業活動における重要なリスクを的確に把握するとともに、万一リスクが顕在化した際にはグループ事業への影響の低減に向けて適正に対応する体制を構築しています。
「戦略リスク」や「財務・市場リスク」については、経営方針や経営戦略、重要な業務執行を審議する取締役会や経営会議等の会議体で検討しています。また、「事業運営リスク」や「ハザードリスク」については、取締役会の諮問機関として、「リスク管理委員会」(委員長:代表取締役副社長執行役員)を設置して、リスク管理状況のモニタリングを進めています。
リスク管理委員会は取締役会決議で選任された委員を中心に構成されており、原則月1回開催されています。委員会で選定した重要リスク項目については、本社専門部署や会議体など主管組織におけるリスク管理状況のモニタリング内容を踏まえ、リスク管理体制の整備状況の集約・検証及び必要な助言を行い、その内容を年2回、取締役会へ報告しています。委員会には内部監査部門からも委員として参加しており、定期監査の実施内容との連携も図っています。
また、「品質管理」及び「情報セキュリティ」の重要性を鑑み、傘下に「品質管理委員会」及び「情報セキュリティ委員会」を設置し、より専門的視点におけるリスク認識及び対応策について部署横断的に審議しており、両委員会における運営方針や審議内容については、年3回、リスク管理委員会に報告されています。
なお、ESG経営に係るリスク管理の詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しています。

◆リスク管理のプロセスについて
当社グループ会社の各主管部門で識別された「戦略リスク」や「財務・市場リスク」については、取締役会、経営会議等において、中期経営計画をはじめとする事業戦略全体に関する議題及び個別案件に関する議題の中で協議され、リスク評価及びその対策について検討するとともに、重要な影響を及ぼす事象が発生していないかをモニタリングしています。
リスク管理委員会では、主に「事業運営リスク」や「ハザードリスク」について、当社グループの国内事業所・国内子会社・海外子会社を対象として前年度に実施したモニタリング内容及び本社各部署からのヒアリング内容をもとに、リスク課題を抽出しています。その中から発生可能性及び全社的影響度を、リスク管理委員会で評価し、その評価に基づいて「リスクマップ」を作成して重要リスク項目を選定しています。各重要リスク項目を主管する部署または会議体は、期初にリスク管理に関する計画を策定し、その進捗についてリスク管理委員会へ報告し、委員会で出た意見を踏まえ改善を進めるという、リスク管理におけるPDCAサイクルを推進しています。

グループ会社に関して、グループ各社の経営全般を管理する「経営管理主管部署」と専門領域について横断的に管理する「専門機能部署」を当社内で明確化して、マトリックスでのリスク管理を推進しています。グループ全体のリスク情報の把握に向けて、国内外のグループ各社における総務責任者による牽制機能の強化及び本社専門機能部署との情報共有の活性化に向けて、「ガバナンスネットワーク」の構築に努めています。主要な事業グループ会社に関しては、一定以上の重要な業務執行について、当社の稟議決裁または取締役会決議を経ることとしています。また、主要グループ会社のリスク認識を把握するため、当社と同様にリスクマップにより重要リスクの評価を行い、その内容についてはリスク管理委員会で共有・審議することとしています。
全社レベルで影響を及ぼすおそれのある事案が発生した際には、「クライシス対応マニュアル」に則って本社主管部署よりリスク管理委員会へ報告されます。報告を受けたリスク管理委員会は、本マニュアルに規定された基準に基づいてクライシスレベルの判定を行い、クライシスレベルにおいて一定レベル以上の重大な内容が認められる場合には、リスク管理委員会委員長の判断のもと、専門チーム「クライシス対策本部」を立ち上げて、事態の拡大防止と早期収束に向けて具体的対応を検討する体制を整えています。また、定期的にクライシス対応トレーニングを実施し、本マニュアルが機能するかどうかの検証・改善を行っています。
◆個別のリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を与える可能性のある事項については、以下のようなものが挙げられます。
なお、これらについては、提出日現在において判断したものです。
<戦略リスク、財務・市場リスク>
1.住宅及び不動産市場環境の変化に関するリスク
[リスクシナリオ]
当社グループは、国内及び海外において住宅及び不動産を中心とした事業活動を行っているため、個人消費動向、金利動向、地価動向、資材価格、エネルギー価格、輸送費及び労務費等の動向、住宅関連政策や税制の動向、それらに起因する賃料相場の変動、さらには経済動向等に影響を受けやすい傾向があります。
また、各国における政治・経済・社会情勢の不確実性等により、事業環境が変化する可能性があり、これらの要因が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
国内においては、市場環境の変化に対応した諸施策を機動的に実施するため、事業本部長・営業本部長を中心とした会議体において、市場動向を踏まえた施策の進捗状況や現場で発見された課題を共有し、次の施策の立案に活かしています。重要な施策については、経営会議の場で十分な審議を経て進めることとしています。
また、海外進出国における市場環境等においても、海外各拠点と本社が継続的に情報連携を重ね、専門部署において市場分析の上、戦略立案を行っています。
2.企業買収・事業再編に関するリスク
[リスクシナリオ]
当社グループは、国内外の事業戦略に基づき、企業や事業の買収、組織再編等による事業規模の拡大を進めています。しかしながら、その統合に向けた手続き及び実行後において期待通りの成果が得られない場合、または想定外の事業環境の変化等により、想定した収益が達成できない場合には、のれん等の無形固定資産の減損損失の計上等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
企業や事業の買収、組織再編等の検討の際は、各専門機能部署が買収前に外部の専門家とともにデューディリジェンスや株式価値評価を行うことで、買収先の企業価値、事業計画の実現可能性等を適正に評価し、経営会議、取締役会等の審議を経て買収の是非の判断を行う体制としています。買収実施後は、各専門機能部署が適切なPMI(Post Merger Integration:買収後の経営・業務・組織等の統合プロセス)を推進することで円滑な統合を促し、シナジーの最大化を進めています。さらにPMIとして一定の目的を達した後は、経営管理主管部署主導でシナジーを追求し、グループ全体での持続的な企業価値向上を実現できるよう取り組んでいます。
2024年4月には米国上場ビルダーであったM.D.C. Holdings, Inc.の買収を行い、既存の米国グループビルダーを含めた統合を目的としたPMIを推進し、経営管理体制の整備や戦略・システム等の運営面の統合を進めました。現在は組織再編に伴い社名変更したSEKISUI HOUSE U.S., Inc.のもと、本社と連携しながら事業運営を行っています。
3.保有する資産に関するリスク
[リスクシナリオ]
当社グループが国内及び海外において保有している販売用不動産、固定資産、投資有価証券及びその他の資産について、時価の下落等による減損損失または評価損の計上や、為替相場の変動によって、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
特に販売用不動産については、取得から引渡しまで長期間を要する場合もあり、投資回収には一定の期間を要します。プロジェクト進行中において、不動産市況の変化、許認可の取得の遅延、資材価格及び労務費の上昇、自然災害、その他予期し得ない事象等の影響により、想定外の費用の発生、開発スケジュールの遅延もしくは中止などの影響を受ける可能性があります。
[対策]
当社グループでは、国内外の投資案件が一定金額以上となる場合、積水ハウス本社における稟議審査、経営会議ならびに取締役会の審議により、各案件に対する事業性やリスクを評価して投資の可否を慎重に検討しています。投資回収まで長期間を要する案件については、内部収益率(IRR)を主要な指標としています。
不動産については、優良土地の取得及び資産回転率の向上による安定経営を図り、政策保有株式については、資本・資産効率向上の観点から必要最小限の保有を基本とし、保有の妥当性について、毎年、取締役会において検証するとともに、定量的な目標を設けて段階的に縮減を図っています。為替相場の変動に対しては、為替予約等必要に応じヘッジ手続きを実行することにより、その影響を低減しています。なお、保有する資産については、減損損失及び評価損のリスクを定期的に把握し、必要に応じ適宜会計処理を実施しています。
4. 資金調達コストに関するリスク
[リスクシナリオ]
当社グループは、金融機関からの借入、社債の発行等によって資金調達を行っています。市場金利の急激な変動や金融市場の混乱、格付機関による信用格付けの大幅な引下げ等が生じた場合には、資金調達コストが増加する可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
[対策]
財務規律を重視し、適切な水準の格付けを維持することで資金調達コストを低減するとともに、資金調達手段の多様化及び年限の適切な分散を図ることで金利変動リスクの軽減に努めています。
5.退職給付債務に関するリスク
[リスクシナリオ]
当社グループの従業員に対する退職給付債務及び退職給付費用は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上設定した前提条件に基づいて算出しています。この前提条件が変更となった場合、または実際の結果が前提条件と大きく異なった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
[対策]
当社グループでは、退職給付債務については定期的に実績に基づいて見積りの検証と見直しを行っています。年金資産の運用については、外部コンサルタントの助言をもとに、リスク・リターン特性の異なる複数の資産クラス・運用スタイルへの分散投資を行っており、年金資産全体のリスク・リターンの分析を定期的に実施する事で分散効果の有効性について評価を実施しています。また、企業年金基金においてスチュワードシップ・コードの受け入れを表明し、運用機関に対するモニタリングを強化するとともに、企業年金基金の諮問機関である資産運用委員会では、市場環境や運用状況等について定期的に協議を行っています。
<事業運営リスク、ハザードリスク>
1.法令規制に関するリスク
[リスクシナリオ]
当社グループは、国内では宅地建物取引業法、建設業法、建築士法等の主要法令に基づく許認可を受けるとともに、建築、労働、環境その他事業の遂行に関連する各種の法令及び条例に則り事業活動を行っています。また、海外においてもそれぞれの国における法令規制を受けています。これら法令規制において違反が生じた場合に、改善に向けて多額の費用が発生すること、または業務停止等の行政処分を受けることなどで当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
[対策]
国内請負事業においては、設計における建築基準法上のチェックミス・手続き漏れを防ぐための法規制チェックシステムを導入し、型式認定不適合の発生を抑えるために、事業所及び本社でのダブルチェック体制を構築しています。また、建設業法上の専任の配置技術者の適正運用に向けて、配置状況のチェックを行うとともに有資格者の人財確保・能力向上に継続して取り組んでいます。
海外においては、現地の法令や規制の動向を継続的にモニタリングし、現地法務部門や外部専門家と連携し、法令改正への迅速な対応を可能とする仕組みを構築しています。
その他、国内外の各種法令の動向について、各専門部署にて情報収集・分析を行い、必要に応じて当社グループ内の関係先へ情報発信の上、適切な対応に努めています。
2.品質管理に関するリスク
[リスクシナリオ]
当社グループは、設計・生産・施工上の品質において万全を期すとともに、主要な戸建住宅及び共同住宅においては、長期保証制度及び定期的な点検サービスを実施していますが、長期にわたるサポート期間の中で、予期せぬ人的ミス等により重大な品質問題が生じた場合には、多額の費用発生や当社グループの評価を大きく毀損することになり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
[対策]
国内においては、リスク管理委員会傘下の「品質管理委員会」により、製品・設計・生産・施工・CSの5つの検討会をまとめる組織として、品質に関する一元的な管理を進めています。特に施工品質不具合の発生を抑えるために、期初に策定する「全社施工品質管理年間計画」に基づく「品質管理重点項目」に対する改善に取り組んでいます。また、同委員会では製品の安全性に関する検証、生産現場の検査・品質に関わる検証、法令遵守、CS 対応についても議論されており、その内容については定期的にリスク管理委員会へ報告されています。
海外の米国戸建住宅事業においても、積水ハウスクオリティの実現を目指し、品質管理体制の強化と統一化を推進しています。設計品質、施工品質、部材品質の向上に向け、日本からの技術者を各拠点に増員し、現地及び本社が連携して対応しています。
3.建設技能者の減少に関するリスク
[リスクシナリオ]
国内の建設業界においては、建設技能者の高齢化と若年就業者の減少が進行しており、労働力の安定的な確保が課題となっています。また、当社グループが海外事業を展開する米国やオーストラリアの建設業界においても、労働力獲得競争に加え、建設技能者の高齢化と若年就業者の減少や移民規制による人材確保が困難な状況が継続しています。これらの環境下において必要な建設技能者を十分に確保できず、施工体制の維持が困難になった場合、受注物件の着工の遅れや工期の長期化、さらに労務費の高騰等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
[対策]
当社のグループ会社である積水ハウス建設各社と施工協力会社からなる「積水ハウス会」による「責任施工体制」の構築を維持し、高い施工品質を提供する施工環境の整備や施工技術の開発の実現を図るとともに、「施工力の確保」に向けて、工事量の確保と平準化、DXの推進等による現場生産性の向上、建設技能者の積極的な育成、魅力発信等多角的な取組みを進めています。また、積水ハウス建設各社では高校卒業予定者を中心とした住宅技能工「クラフター」の採用・育成や賃金体系・人事制度の見直しに取り組んでいます。
海外においては、標準化による省力化を進めるとともに、日本からの技術者の派遣を進め、積水ハウステクノロジーの移植を推進しています。戸建住宅事業が拡大している米国では、グループ会社の統合・再編を通じて協力会社との関係強化を図り、安定的な施工力の確保に取り組むとともに、事業規模の拡大によるスケールメリットを活かし、デジタル技術も活用しながら工事計画や要員配置の最適化を進めることで、建設技能者の効率的な活用や施工能力の平準化を図っています。
4.情報セキュリティに関するリスク
[リスクシナリオ]
当社グループでは、コンピューターウィルスの侵入や高度なサイバー攻撃により、個人情報や機密情報の漏洩・改ざん、システム停止等が発生するリスクを抱えています。これらの事象が生じた場合、お客様対応やシステム復旧に伴う費用の発生、取引機会の損失、さらにはお客様や市場からの信頼低下を招き、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
[対策]
当社グループは、リスク管理委員会の下に設置された情報セキュリティ委員会を中心に、情報セキュリティポリシー及び秘密情報管理規則に基づき、情報セキュリティに関する施策を策定・実施しています。内部統制に基づくディフェンスラインを確立し、社内体制の強化を進めるとともに、外部機関による定期的なセキュリティアセスメントを実施し、ガバナンス体制の継続的な改善に努めています。
また、標的型メール訓練や情報セキュリティ研修、情報セキュリティ監査を通じて、従業員のITリテラシー向上を図っています。個人情報保護については、お客様情報保護方針に基づき、各組織に個人情報取扱責任者を配置し、安全対策の徹底を推進しています。さらに、全従業員を対象としたeラーニングを継続的に実施し、個人情報保護に関する責任認識の浸透を図っています。
技術面では、コンピューターウィルスやサイバー攻撃、情報漏洩・改ざんを防止するため、社内外からのアクセス制御を強化しています。加えて、ITデザイン部セキュリティシステム推進室にセキュリティインシデント対応の専門チーム(CSIRT)を設置し、インシデント発生時の対応力を高めるため、各部門が参加する訓練を定期的に実施しています。さらに、情報セキュリティ委員会の下に情報セキュリティ推進部会を設置し、幹部から従業員までセキュリティ意識の啓発と対策の徹底を図っています。
海外拠点においても、統一した規則やガイドラインのもと、情報セキュリティ対策を強化しています。多言語対応の教育プログラムや標的型メール訓練を通じて、現地従業員のITリテラシー向上に努めるほか、ITガバナンス体制の整備や現地調査、WEB会議による改善活動も推進しています。また、各拠点ごとに成熟度評価を定期的に行い、評価結果に基づく継続的な改善を進めています。
5.施工中の災害に関するリスク
[リスクシナリオ]
施工現場では作業環境や作業手順・作業方法の誤りが災害につながる恐れがあり、死亡災害など重篤な災害が発生すると、工事の中断及び工期の延長に加えて、損害賠償負担や社会からの信用失墜を招く可能性もあります。
[対策]
国内においては、施工現場での災害の抑制を目指し、各組織において安全衛生委員会を開催し、災害予防に向けた定期点検や安全パトロール及び災害発生事案に対する検証・再発防止策の推進等を行っています。また、技術・生産部門が連携し、独自の安全仮設材等を設定・整備することで作業環境改善を進めています。特に施工現場では、期初に設定する「全社施工安全衛生年間計画」に基づき、安心安全な施工環境の整備に努めているとともに、発生頻度及び重篤性の高い災害の削減に向けて、本社施工本部の指揮のもと事例共有による類似災害発生防止、DX推進による作業方法の遵守指導や現場確認体制の強化など対策に取り組んでいます。
米国事業においても、安全委員会を設置・従業員教育の強化などにより現場監督や事故情報の共有、改善策の検討を継続的に実施するとともに、第三者検査機関の活用による客観的評価でリスクの早期発見に取り組んでいます。
6.労務管理に関するリスク
[リスクシナリオ]
従業員の長時間労働は、36協定違反など各種労働法への抵触、精神疾患を含めた健康障害による長期休業につながる恐れがあり、場合によっては労働問題に発展するリスクがあります。
[対策]
総労働時間の削減に向けて、部門毎に1人当たりの月平均総労働時間の目標を設定し、各組織において働き方の改善に取り組んでいます。加えて、自律的に働くことのできる職場環境を目指して、年次有給休暇も計画的に取得する取組みをグループ全体で推進しています。各組織ごとに勤務状況の確認を行うとともに、必要に応じて本社人事総務部によるモニタリング、労務管理研修を実施して適正な労務管理を促しています。
海外においても、現地の労働関連法規に準拠した労務管理体制を整備し、適切な労務管理に努めています。
7.資材供給停止に関するリスク
[リスクシナリオ]
大規模自然災害や社会不安(戦争、感染症、サイバー攻撃、地政学的リスク等)により、資材調達先が被害を受け、資材の供給が困難になった場合、または受注量の増大により資材調達が間に合わない場合、施工がストップして契約工期に影響が出る可能性があります。
[対策]
当社グループでは、一つの資材調達先が被災等で調達が困難になった場合及び受注量の増大等を想定し、3つの側面から備えを進めています。
・供給面の備えとして、部材ラインナップ複数化、複数社調達、複数生産拠点化、国内供給拠点の強化を進めています。また、受注と供給の情報についても各部署と共有する体制を構築しています。
・仕様面の備えとして、部材の汎用化等、調達の容易な材料や仕様への変更に取り組んでいます。
・情報面の備えとして、サプライヤー拠点のデータベース化により、迅速な対応を行う体制を構築しています。
さらに具体的な対策を強化するために、資材調達に関するリスクと影響度を分析し図示することで、従業員の意識向上と、ターゲットを明確にした活動の推進を図っています。また、サプライヤーに対しては、セキュリティ勉強会やセルフチェックを通じて、意識の向上と自社サプライチェーンの強化を求めることで、備えの輪を広げ、サプライチェーン全体の強靭化に努めています。
8.大規模自然災害等に関するリスク
[リスクシナリオ]
大規模自然災害やパンデミックの発生時など緊急事態への対応計画が不明確なことにより初動対応が遅れた場合、各拠点における事業継続が困難になり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
[対策]
当社グループでは、「積水ハウスグループ事業継続計画管理基本方針」に基づき、事業継続に影響を及ぼす緊急事態が発生した場合でも、重要な事業を中断させない、または中断せざるを得ない場合でも速やかに復旧できるよう、「BCP文書」を整備しています。本社で業務継続が困難となった場合には、代替拠点(東京拠点:東京都港区赤坂)やテレワーク環境を活用し、重要業務を継続します。
大規模自然災害等に備え、「積水ハウスグループ災害対策基本方針」を定め、各組織で「災害対策マニュアル」を策定し、災害時の事業拠点における情報収集や安全確保を進めています。また、災害対策本部の設置や指揮系統を規定した「初動対応マニュアル」「災害対策本部運営マニュアル」を整備し、迅速な初動対応を可能にしています。
海外においても、事業継続計画の整備と災害対応体制の強化を進めています。従業員の安全確保を最優先とし、緊急連絡体制の整備や避難訓練の実施を通じて、災害時の人的被害の最小化を図っています。大規模自然災害等が発生した場合においても、事業の早期復旧と継続的なサービス提供が可能となる体制の構築を進めています。
※ サステナビリティに関わる、「気候変動に関するリスク」、「自然資本・生物多様性に関するリスク」、「人的資本に関するリスク」及び「人権尊重に関するリスク」については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しています。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。
当連結会計年度における世界経済は、米国の関税政策を巡る動き等による先行き不透明感の高まりや地政学リスクの継続により、各国の金融政策・通商政策を背景とした物価情勢及び国際金融資本市場の変動について、引き続き注視が必要な状況となりました。また、わが国の経済は、米国の関税政策等の影響が景気を下押しするリスクに留意が必要な中、物価上昇等により消費者マインドへの影響は見られるものの、雇用・所得環境の改善の動きが継続し、個人消費に持ち直しの動きが見られました。
国内の住宅市場では、建築物省エネ法等の改正に伴う駆け込み需要の動きが見られましたが、その反動や建設コスト高騰の影響もあり、持家や貸家の新設住宅着工戸数は弱含みで推移しています。一方、米国では、慢性的な住宅不足を背景とした新築住宅に対する潜在需要は依然として強いものの、低下傾向の住宅ローン金利や関税政策等による先行き不透明感から顧客の様子見姿勢が継続したことによる需要鈍化に加え、建設コストの上昇等から新規の住宅着工に慎重な動きが見られました。
このような事業環境の中、当社グループは、2050年を見据えたグローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”の実現に向け、「国内の“安定成長”と海外の“積極的成長”」を基本方針とする第6次中期経営計画(2023年度~2025年度)に基づき、ハード・ソフト・サービスを融合した様々な高付加価値提案等を積極的に推進しました。
第6次中期経営計画(2023年度~2025年度)最終年度である当連結会計年度における業績は、連結受注高は4,247,762百万円(前期比4.8%増)、連結売上高は4,197,922百万円(前期比3.4%増)となりました。
利益については、連結営業利益は341,402百万円(前期比3.0%増)、連結経常利益は327,800百万円(前期比8.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は232,095百万円(前期比6.6%増)となりました。
また、第6次中期経営計画3ヵ年の業績は、策定時の計画を上回る結果となりました。

セグメント別の経営成績は次のとおりです。

当事業の当連結会計年度における売上高は478,952百万円(前期比0.0%減)、営業利益は48,035百万円(前期比4.3%増)となりました。
お客様一人ひとりの“感性”を住まいに映し出すデザイン提案システム「life knit design」の活用やグループ連携による提案力の向上、生産から出荷までの邸別生産体制の強化等の取り組みに加え、政府による「子育てグリーン住宅支援事業」等の後押しもあり受注は堅調に推移しました。
価格レンジ別戦略として、2ndレンジ商品における分譲地との一体提案や、3rdレンジ商品における当社「DESIGN OFFICEチーム」によるブランディング推進など、中高級商品の拡販に注力するとともに、1stレンジ商品においては、各パートナー企業が建築する木造住宅の基礎と構造躯体の施工を当社グループ各社が請け負う共同建築事業「SI※1事業」を積極的に推進し、国内の良質な住宅ストック形成に貢献しています。
2024年度において戸建住宅ZEH比率※2が96%と過去最高を更新したネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)「グリーンファースト ゼロ」をはじめ、大空間リビング「ファミリー スイート」、間取り連動スマートホームサービス「PLATFORM HOUSE touch」、家具・内装等の高付加価値提案の推進により、戸建住宅ブランドの強化が進捗しました。
※1 SI(エス・アイ):S=スケルトン(建物の構造躯体)とI=インフィル(外装・内装)のこと
※2 戸建住宅ZEH比率:当社が建築した戸建住宅(北海道の請負・分譲住宅は除く) に占めるZEHの割合
を表した指標。集計対象期間は2024年4月1日~2025年3月31日。

当事業の当連結会計年度における売上高は564,813百万円(前期比3.6%増)、営業利益は87,826百万円(前期比7.4%増)となりました。
当社独自に選定した長期間にわたり入居需要が見込まれる都市部(S・Aエリア)を中心とした事業展開を推進し、その中でも特に駅近で利便性の高い地域(Sエリア)において、当社オリジナル構法を用いた3・4階建て賃貸住宅の拡販、ネット・ゼロ・エネルギーの賃貸住宅「シャーメゾンZEH」の普及に注力しました。これらのエリアマーケティングに基づくプライスリーダー戦略と、高い入居率・賃料水準を背景とした長期安定経営の提案により、賃貸住宅の受注は堅調に推移しました。特に、「シャーメゾンZEH」においては、太陽光パネルが住戸ごとに接続されている入居者売電方式により、入居者が光熱費節約のメリットを実感できることが好評で、高い入居率につながっています。その結果、賃貸住宅受注に占めるZEH住戸割合は77%となりました。
また、ESGソリューション提案や法人の事業承継ニーズへの対応強化により、CRE(法人)・PRE(公共団体)事業における受注も好調に推移しており、戸建住宅事業で培ったノウハウをオフィス空間等に活用するネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)「グリーンファースト オフィス」をはじめとした非住宅分野の提案強化を推進しました。

当事業の当連結会計年度における売上高は302,293百万円(前期比7.0%減)、営業利益は22,049百万円(前期比44.9%増)となりました。
建築・土木事業ともに、大型工事の順調な進捗や追加変更工事の獲得等により、採算性が向上しました。特に建築事業については、資材価格高騰や人件費増加等の受注価格への転嫁が進んだことに加え、大型官庁工事の採算性が改善しました。受注についても、良好な環境は継続し、建築事業の大型官庁工事、土木事業の民間工事で受注が好調に推移しました。

当事業の当連結会計年度における売上高は712,621百万円(前期比3.7%増)、営業利益は68,996百万円(前期比21.5%増)となりました。
S・Aエリアを中心とした好立地に供給する賃貸住宅「シャーメゾン」の継続的な受注に加え、当期より賃貸事業専門のグループ会社として営業を開始した積水ハウスシャーメゾンPM各社において、オーナー及び入居者に対してよりきめ細かなサービスの提供が可能となる体制整備が進んだことから、管理受託戸数が増加しました。既存管理物件については、退室後における原状回復工事期間や新たな申込みから入居日までの期間など空室期間の短縮化を企図した戦略的なリーシング活動により高水準な稼働率を維持するとともに、リテナント時におけるバリューアップ等を通じた賃料上昇に注力しています。また、アプリやブロックチェーンを用いた入退去手続きのワンストップ対応等のDX推進、入居後のトラブル対応サービスの拡充等により、入居者満足度及び「シャーメゾン」ブランド価値の向上に努めました。

当事業の当連結会計年度における売上高は187,958百万円(前期比2.2%増)、営業利益は27,966百万円(前期比5.0%増)となりました。
戸建住宅では、当社グループのアフターサービス事業を担う積水ハウスサポートプラス株式会社が当期より営業を開始したことにより、グループ連携がさらに深まりオーナーとのコミュニケーションが一層強化されました。特に、家族構成やライフスタイルの変化に合わせた生活提案等の提案型リフォームにおいて、「life knit design」の思想を取り入れた大型リノベーション提案を強化するとともに、断熱改修や最新の省エネ・創エネ・蓄エネ設備等を導入する環境型リフォームにおいて、住生活空間に範囲を絞った「いどころ暖熱」や開口部の断熱改修を中心に国等の補助金を活用した提案を強化しました。また、賃貸住宅では、エリア・間取り・築年数別にマーケット分析を実施し、オーナーの資産価値向上に資する間取り変更等のフルリノベーション提案に注力しています。これらの取り組みにより、リフォーム事業全体の受注は好調に推移しました。
(開発事業)
当事業の当連結会計年度における売上高は681,989百万円(前期比17.1%増)、営業利益は94,970百万円(前期比35.1%増)となりました。当事業に集約された仲介・不動産事業、マンション事業、都市再開発事業の経営成績は次のとおりです。

当事業の当連結会計年度における売上高は394,509百万円(前期比10.8%増)、営業利益は30,915百万円(前期比6.7%増)となりました。
とりわけ当期より“地域№1の「住まい」に強い不動産会社”を目指し、仲介・不動産事業専門のグループ会社として営業を開始した積水ハウス不動産株式会社においては、前期まで6社に分かれていた同事業を1社に統合したことにより、良質な販売用不動産の仕入や販売先開拓を強化するための情報・課題をより迅速に共有化する体制整備が進み、これまで以上に事業法人や金融機関など引合ルートの拡大や深化に取り組んだ結果、不動産事業については、住宅用地を中心とした販売用不動産の売却が順調に進捗しました。
仲介事業についても、当社グループ間の連携に加え、全国ネットワークと多彩な販売ルートの活用により堅調に推移しました。

当事業の当連結会計年度における売上高は122,844百万円(前期比19.9%増)、営業利益は18,062百万円(前期比23.3%増)となりました。
「グランドメゾン武蔵小杉の杜」(川崎市中原区)及び「グランドメゾン福岡 The Central Luxe」(福岡市中央区)の引渡しが順調に進むなど、販売物件の引渡しは計画通りに進捗しました。
当社の分譲マンション「グランドメゾン」については、東京・名古屋・大阪・福岡の中心地に特化し集中的に展開することで、安定した需要が継続しています。また、家庭部門の脱炭素化への貢献を目指して全住戸ZEH仕様とすることに加えて、建物長寿命化の観点から進める長期優良住宅の認定実績が着実に積み上がりました。加えて、各物件の魅力を最大限に活かす企画の策定や、各戦略エリアに根差した情報発信拠点「GM BASE」を順次開設するなど、「グランドメゾン」のプレゼンスは着実に向上しています。これらの取り組みが奏功し、「グランドメゾン One 大濠 Park」(福岡市中央区)及び「グランドメゾン THE 白金台」(東京都港区)等の販売が好調に推移しました。

当事業の当連結会計年度における売上高は164,634百万円(前期比32.7%増)、営業利益は45,992百万円(前期比72.5%増)となりました。
まちづくりの展開エリアとして東京・名古屋・大阪・福岡の中心地に特化する戦略が奏功し、その良好な売却環境を背景に、大型物件の持分を含め、複数の物件売却が計画以上に進捗しました。また、当社が引き続き保有する「プライムメゾン」等の物件では、入居率が堅調に推移しました。
なお、当社が一部を出資する特定目的会社における保有不動産の引渡しが完了し、持分法投資利益を計上しました。

当事業の当連結会計年度における売上高は1,286,358百万円(前期比0.6%増)、営業利益は39,102百万円(前期比50.5%減)となりました。
米国戸建住宅事業においては、2024年4月に買収したM.D.C. Holdings, Inc.※の業績が当期初より貢献したものの、米国経済の先行き不透明感に伴う顧客の様子見姿勢の継続を受けたインセンティブ増加に加え、棚卸資産評価損の計上等が利益を押し下げた結果、営業利益は減益となりました。米国コミュニティ開発事業においては、新規取得した物件が収益に寄与し、堅調に推移しました。米国賃貸住宅開発事業においては、積水ハウス・リート投資法人が組成したSPCに対して、「City Ridge」(ワシントンD.C.)の追加売却分と、「San Diego Court House Middle棟」(サンディエゴ)の引渡しを完了しました。
また、オーストラリアにおいては、シドニーの「Orchards Lumia棟」、「Sanctuary Laguna棟・Glade棟」及び「Melrose Park Village棟」、ブリスベンの「West Village Allere棟」の引渡しが進捗しました。
※ 2025年9月に、「M.D.C. Holdings, Inc.」の商号を「SEKISUI HOUSE U.S., Inc.」に変更しました。

当事業の当連結会計年度における売上高は16,451百万円(前期比17.0%増)、営業利益は3,203百万円(前期比29.9%増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により216,325百万円増加し、投資活動により73,172百万円、財務活動により93,255百万円それぞれ減少した結果、前連結会計年度末と比較して44,618百万円増加となり、当連結会計年度末の資金残高は434,925百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は216,325百万円(前期比153,440百万円資金増)となりました。税金等調整前当期純利益を338,737百万円計上したこと等により、資金の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は73,172百万円(前期比624,514百万円資金増)となりました。有形固定資産の取得による支出が66,930百万円(前期比9,763百万円資金増)あったこと等により、資金の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は93,255百万円(前期比814,222百万円資金減)となりました。配当金の支払額が92,712百万円(前期比9,743百万円資金減)あったこと等により、資金の減少となりました。
当社グループ(当社及び連結子会社)の展開する事業は多様であり、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載していません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(ハ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 主な相手先別の販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載
を省略しました。
(参考) 提出会社個別の事業の受注高、売上高、繰越高の状況は次のとおりです。
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、その増減額を「当期受注高」並びに「当期売上高」に含めています。
2 損益計算書において、住宅請負事業は「完成工事高」、不動産事業は「不動産事業売上高」として表示しています。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
当連結会計年度の連結売上高は、国内事業のストック型ビジネスと開発型ビジネスの増収により、前期比139,339百万円増加の4,197,922百万円(前期比3.4%増)となりました。
連結営業利益は、米国戸建住宅事業を取り巻く厳しい事業環境の影響等により国際事業が減益となったものの、物件売却が順調に進捗した開発型ビジネスの増益、請負型ビジネス及びストック型ビジネスでの利益率の改善による増益により、前期比10,036百万円増加の341,402百万円(前期比3.0%増)となりました。
連結経常利益は、連結営業利益の増加に加え、持分法投資利益の計上等により、前期比26,172百万円増加の327,800百万円(前期比8.7%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式の売却による投資有価証券売却益の減少等によって特別利益が11,899百万円減少したものの、M.D.C. Holdings, Inc.の買収関連費用の反動減等によって特別損失が18,878百万円減少したことにより、前期比14,390百万円増加の232,095百万円(前期比6.6%増)となりました。
(参考) 連結売上高、連結営業利益をビジネスモデル及びセグメントごとに示すと、次のとおりです。
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における資産総額は、前連結会計年度末と比較して4.1%増の5,006,637百万円となりました。流動資産は、販売用不動産の増加等により、3,907,449百万円と増加(前期比5.3%増)しました。固定資産は、退職給付に係る資産の増加等により、1,099,188百万円と増加(前期比0.2%増)しました。
負債総額は、未払法人税等及び有利子負債の増加等により、前連結会計年度末と比較して1.0%増の2,818,400百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を232,095百万円計上したことによる利益剰余金の増加等により2,188,237百万円と増加(前期比8.4%増)しました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び不動産(棚卸資産を含む)の取得・開発をはじめとする投資資金等であります。
これらの資金需要に対し、運転資金については、自己資金の活用又は借入金、コマーシャル・ペーパーにより調達し、投資資金等については、主に社債、借入金により調達しています。うち、コマーシャル・ペーパーについては、機動的な資金調達手段の拡充を目的として、2025年4月に発行限度額を1,500億円から2,500億円へ増額しました。
そのほか、複数の金融機関とコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結し、十分な資金の流動性を確保しています。
なお、M.D.C. Holdings, Inc.の買収に係る資金については、2025年2月にパーマネント化を完了しました。パーマネント化に際しては、政府系金融機関からの借入を活用するなど、多様な調達手段から時機に応じて最適な手段を選択することで、安定的な財源の確保及び調達コストの低減を図りました。また、長期資金については年度別償還額の集中を避けることで借換リスクの低減を図っています。
次年度以降は、2026年3月に発表した第7次中期経営計画を基本方針とし、株主還元・成長投資・財務健全性のバランスを図りながら、持続的な企業価値向上に資する資金運用及び資金調達を実施します。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおりです。
当連結会計年度においては、2025年9月に上方修正した2026年1月期の業績目標(連結売上高43,310億円、連結営業利益3,400億円、連結経常利益3,210億円、親会社株主に帰属する当期純利益2,320億円)に対し、実績は連結売上高41,979億円、連結営業利益3,414億円、連結経常利益3,278億円、親会社株主に帰属する当期純利益2,320億円となりました。また、EPSは358.07円(目標357.97円)、ROAは7.7%(目標7.8%)、ROEは11.3%(目標11.9%)、1株当たり配当金は144.00円(目標144.00円)及び配当性向は40.2%(目標40.2%)となりました。引き続き、目標数値の達成を目指します。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。
この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に不確実性がある場合、作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出するために見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
(1) 標章使用許諾に関する契約(提出会社)
(2) 財務上の特約が付された金銭消費貸借契約
連結子会社であるNASH FINANCING, LLCの借入金のうち、以下の金銭消費貸借契約については、財務上の特約が付されており、これに抵触し貸付人から請求があった場合には、期限の利益を喪失します。契約内容は次のとおりです。
(注)全ての債務に担保は付されていません。
当社グループ(当社及び連結子会社)では、グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”の実現に向け、ハード・ソフト・サービスを融合させた住まいの研究開発が使命と考えています。創業以来積み上げてきた安全・安心・快適の技術を土台として、住まい手の「幸せ」につながる「健康・つながり・学び」という2030年に提供すべき価値を見据え、デザイン研究開発・環境技術開発・オリジナル技術開発を推進するとともに、新たな研究開発領域の拡大も図っていきます。
住宅は個人資産であると同時に、社会資本であり、住まいが次世代に引き継がれるために、持続可能性、環境への配慮、美しさの追究は必須です。そのために、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」や「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」の推進をはじめとする2050年の脱炭素社会を目指した研究、自然と共生するまちなみ等、住む人の感性や価値観に合わせたデザイン研究に積極的に取り組んでいます。
そして、これらの研究開発成果を国内事業とともに海外事業にも展開し、幸せなわが家づくりを通して積水ハウステクノロジーが世界のデファクトスタンダードとなるように推進していきます。
また、研究開発における当社の強みは、「総合住宅研究所」の徹底した技術検証によるエビデンス構築とともに、「しあわせ住まい研究所」の時間軸を意識した「幸せ住まい」の提案力です。「最高の技術と品質」を技術開発の根本に据え、業界のトップランナーとして、経営戦略にベクトルを合わせた研究開発を行っています。
ハードとソフトの融合により、家族の「幸せ」を実現する「ファミリー スイート」は、当社の研究開発の成果の一つです。柱をなくし、最大スパン7mの大空間リビングを支えるオリジナル構法「ダイナミックフレーム・システム」は、当社独自の技術であり、「ファミリー スイート」の新築戸建住宅での採用率は60%を超えています。また、ウイルスや花粉等の汚染物質に配慮した、次世代室内環境システム「スマート イクス」の採用率は60%を超えています。
当社グループでは、R&D本部において、「総合住宅研究所」や「しあわせ住まい研究所」による建築新技術、住生活の研究開発に加え、住を基軸としたデザイン、商品開発並びに技術戦略の推進に関する事項を掌握し、技術開発の更なる推進を図っています。
今後もR&D領域をさらに拡大し、「住」を基軸としたあらゆる分野の情報を収集・分析するとともに、一つの事象をより深掘りし多くのエビデンスを取得しながら研究開発を進める体制を強化していきます。そのために、社内だけでなく社外のリソースを有効的に活用することが必要であり、オープンイノベーションやM&A等による同業種・異業種との交流・連携の強化を推進していきます。
また、2025年8月5日には「エデュケーション(学び)」と「エンターテインメント(楽しさ)」を融合させた「住育エデュテイメント施設」である大型体験型施設「JUNOPARK(ジュノパーク)」を開業しました。施設のメインとなる体験エリアには、「暮らしの中で育まれる6つの感性」をテーマにしたオリジナルプログラムや展示を設けています。
当連結会計年度の研究開発活動の概況と成果は以下のとおりであり、研究開発費総額は
・重量鉄骨の強さと設計自由度を両立する「フレキシブルβシステム」において、2025年4月より当社オリジナル外壁材「ダインコンクリート」を採用しました。これにより、重厚感のある意匠と多様な表現を可能とし、都市景観に調和する外観を提供しています。
・デザイン提案システム「life knit design」は、人生100年時代、良質な住まいに“愛着”を持って、より長く住み続ける循環型社会を目指し、流行り廃りではないお客様の“感性”を大切にした住まいづくりを提供しています。2025年8月より、リフォーム事業でも「life knit design」の思想での提案を展開しています。
・ミナ ペルホネンのファウンダー/デザイナー皆川 明氏とコラボレーションした平屋のモデルハウス「HUE(ヒュー)」(住まいの体験型ミュージアム「Tomorrow's Life Museum 山口」に設置)をオープンし、2025年10月に「2025年度グッドデザイン賞」を受賞しました。また、「HUE」は、「life knit design」の思想を基に子どもの五感や想像力を刺激し、豊かな心と生きる力を育む住まいの提案として、2025年8月に「第19回キッズデザイン賞(子供たちの創造性と未来を拓くデザイン部門〈建築・空間〉」を受賞しました。
・2025年10月に開催された国内最大級のデジタルイノベーション総合展「CEATEC 2025」において、わが家の図面と機能を結び付けたアプリサービス「PLATFORM HOUSE touch(プラットフォームハウスタッチ)」を体験できるリビング空間を設置し、アプリを使った玄関の施解錠、照明やエアコンなどの遠隔操作といった暮らし方の体験とともに、独自の技術を活用した住まいの未来像を体験できる空間を提供しました。
・兼松サステック株式会社と共同開発した、環境負荷の低減を実現する新たな地盤補強工法「SH-KPパイル工法」を2025年12月より販売開始しました。同工法は、間伐材等の国産木材を有効活用することで、環境負荷低減を実現しながら、高品質な防腐・防蟻処理により高耐久性を確保する地盤補強工法である「環境パイル工法」の地盤の適用範囲を拡大した工法で、一般財団法人日本建築総合試験所にて2025年7月24日に性能証明を取得しました。
・当社の2025年度の新築戸建住宅ZEH比率は高い水準となりました。また、集合住宅においても、「賃貸ZEH」をシャーメゾンブランドで展開し、2025年度の住戸ZEH比率は第6次中期経営計画の2025年度目標である75%を上回りました。2025年度の実績値は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ共通の取組み ④指標及び目標」に記載しています。
・積水ハウステクノロジーの海外移植を推進すべく、米国では、2024年1月よりカリフォルニア州南部のシャーウッドの分譲地「Sommers Bend」につき、優れた快適性やエネルギー効率に加え、シャーウッド構法による高い施工精度、品質が支持され、2025年2月には全米住宅建設業者協会(NAHB)主催の「The Nationals 2025」において4部門で1位「Gold Award」を受賞しました。また、同月、ラスベガスにシャーウッドの分譲地「Arcadia」をオープンし、好評を博しています。
・オーストラリアでは、現地の気候・風土・ニーズに合わせた独自のシャーウッド構法で日本品質の快適な住宅を提供し、シドニー近郊で展開エリアを拡大するなど、ブランド認知を進めています。
・リフォーム事業において増改築の提案力を一層強化すべく、構造に関わる公的認定(建築基準法施行規則第1条の3)の認定範囲を拡大し、2025年9月より運用を開始しています。
・健康を意識しなくても健康的な生活環境が実行できるような環境づくり、いわゆる「ゼロ次予防住環境」の創造を目指した千葉大学との共同研究を基に、住まいの広さやリビングルームの天井の高さが居住者の Well-being に寄与している可能性が高いとの研究結果を2025年2月に公表しました。
・2025年3月14日に締結した株式会社土屋ホールディングスとの資本業務提携により、当社の全国展開力や技術革新力と、株式会社土屋ホールディングスの住宅における業界最高水準の高断熱・高気密の技術や品質へのこだわりを組み合わせることで、よりお客様のニーズに適した高付加価値の住宅を目指します。
・2025年11月より、旭化成株式会社、旭化成ホームズ株式会社、積水化学工業株式会社及び株式会社CFPと共同で、住宅建築現場で発生する給水・給湯管(架橋ポリエチレン管「エスロペックス」)の施工端材を回収し、再生原料として再び配管材へ循環させる資源循環スキームの構築に取り組んでいます。
・当社の寄付によって東京大学総括プロジェクト機構内に設立した「国際建築教育拠点(SEKISUI HOUSE - KUMA LAB)」は、研究施設「T-BOX(2021年10月運用開始)」を活用し、次世代の人財育成及び住宅イノベーションの実現に向けた研究を継続しています。その取組みの柱の一つである、「デジタルファブリケーションセンター」の活動として、2025年3月13日から開催されたクリエイティブの祭典「Tokyo Creative Salon 2025」に出展しました。また、「SEKISUI HOUSE - KUMA LAB」、東京大学とともに産学協働で大阪・関西万博 日本政府館の解体材(CLT:直交集成板)の再利用に取り組む「旅するCLT」を2025年12月に発表し、2027年以降の全国展開を見据えてCLTパネルの残存強度評価・設計指針・生産物流までの仕組み化の検証を開始しました。
・東京大学大学院情報学環との共同研究に基づき、人生100年時代における「ソーシャルライフ」(個人の幸せを起点に人や社会のつながりを再構築する新たなライフスタイル)に関する共同研究報告会を2025年11月に実施しました。新たなライフスタイル提案の社会実装を目指し、最終成果の取りまとめに向けた研究を加速しています。
・京都大学との「子どもの感性発達に有効な住提案に関する知見の拡大・創出」を目的とする包括連携に基づき、「住まいにおける子どもと家族との会話によるつながりに関する研究」と題し、家族の会話スタイルが子供の幸福感や非認知能力に与える影響の分析を共同で実施しています。
・「しあわせ住まい研究所」はオープンイノベーション施設「イノコム・スクエア」を拠点とし、今後迎える人生100年時代には暮らしにおける「幸せ」のさらなる追求が重要と考え、時間軸を意識した「住めば住むほど幸せ住まい」研究に取り組んでいます。「アートのある暮らし」のサービス化に向けた価値検証プロジェクトを慶應義塾大学の川畑 秀明教授と共同研究するなど、複数の研究テーマを推進しています。
・庭などに生態系に配慮した地域の在来樹種を中心とした植栽を行う「5本の樹」計画による累計植栽本数は2,143万本となりました(2026年1月末時点)。
・2030年のネイチャー・ポジティブ実現に向け、琉球大学の久保田 康裕教授が立ち上げたスタートアップ企業の株式会社シンク・ネイチャーと生物多様性ネットゲインを共同推進し、建築地における生物多様性保全に効果の高い樹種を提案可能なツールの試験運用を開始しています。試験運用で明らかになった課題を精査し、実務レベルで活用できるよう「5本の樹」計画向けにカスタマイズを実施しました。2025年10月よりスモールスタートを行い、2026年度の本格運用開始を目指しています。