第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは「市場と顧客に対し、常に第一級の商品とサービスを創造し、日本及び海外市場に広く提供することによって、人類の豊かな生活の実現に寄与する」ことを経営理念として掲げ、ステークホルダー(お客様、株主の皆様、お取引先様、社員、社会)に対し、常に新しい価値創造に努め社会的責任を果たすことを目指した企業活動を基本方針としております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、継続的な「売上高」「利益」の成長と「ROE」の向上により、持続的な成長の土台形成やグローバル競争に勝ち抜くことができる資本効率の高い経営体質の構築を目指しております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、2026年より開始する第13次中期経営計画において、2030年のROE17%達成に向け、事業成長に加え、資本政策の再構築(Rebirth)の両輪で推進してまいります。その内容は、2026年2月12日に公表した「第13次中期経営計画(FY2026~FY2030)」に記載しております。

当該説明資料は、次のURLからご覧いただけます。

(当社ウェブサイト)

https://www.unicharm.co.jp/ja/ir/library/chukei.html

 

(4)会社の対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境は、参入国・地域ごとに景況感に差が見られ、予測困難な状況が続いています。海外においては、アジア地域で経済の不確実性が依然として残存していることに加え、COVID-19の影響を経て、特にベビーケア関連商品において、消費者の間で手頃な価格の商品への需要が高まりつつあります。また、eコマースにおける新興チャネルが急成長するなど、市場環境は目まぐるしく変化しています。

国内においては、ウェルネスケア関連商品やペットケア関連商品への引き合いは強いものの、景気の先行き不透明感に加え、競争が激しい販売環境のなか、為替や原油価格に起因する輸入原材料価格の上昇が懸念されるとともに、パーソナルケア業界においては、ベビーケアやフェミニンケア関連商品の対象人口減少が今後も見込まれております。

こうした課題を背景に、当社グループは経営理念に則り、常に新しい市場創造及び価値創造に努め、日本製需要の最大化、アジアでの急速な高齢化への対応、感染症予防関連や顧客インサイトに応える商品ラインアップの拡大をスピーディーに進めてまいります。海外ではリスク管理を強化しながら積極的なエリア展開と成長市場におけるカテゴリーリーダーとしての地位を確立し、国内では市場の活性化による業界総資産の拡大により、「共生社会」の実現を目指します。

今後もより一層の企業変革に努め、全ての事業において、絶え間ない商品革新による価値向上に一層注力するとともに、原価低減と経営資源の効率的活用をさらに強力に推進してまいります。

一方、非財務面においても、環境(E)社会(S)ガバナンス(G)を中長期的かつ持続的な企業価値向上のための重要な基盤と位置付け、環境への配慮やガバナンス体制の強化等の施策推進を継続してまいります。また、企業経営の健全性と透明性をより高めるために、子会社の内部統制体制について、業務プロセスの適正性を検証する手続きの改善を推し進め、ガバナンスの強化を図ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する記述は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティ経営

①ガバナンス

当社グループでは、ステークホルダーに期待されるサステナビリティに関する取り組みを円滑に推進するべく、以下のような体制を構築しています。まず、社長執行役員を委員長としたグループ横断の推進組織「ESG委員会」を四半期に1度、年4回開催し、サステナビリティ全般及びガバナンスに関する方針及び活動内容について審議・決定し、その進捗状況をモニタリングしています。ESG委員会には、取締役や執行役員といった経営層に加えて、営業部門や開発部門、マーケティング部門、コーポレート部門、国内外の連結子会社の責任者が出席することで、決定したサステナビリティ関連の諸活動を迅速に実行できる体制を構築しています。なお、ESG委員会での審議・決定内容については、ESG担当執行役員より年1回以上取締役会に報告しています。

 

>>サステナビリティ推進体制図

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>>ESG委員会における主な取り組みテーマと分類

ISO26000

中核主題

組織統治、人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者課題、コミュニティ参画および開発

 

主な取り組みテーマ

E

・気候変動: 温室効果ガス、エネルギー使用管理、気候変動リスク

・水資源:水使用、水使用量削減

・汚染と資源:廃棄物、資源使用、リサイクル

・サプライチェーン:サプライヤー方針、環境問題、持続可能な森林資源・持続可能なパーム油調達

・生物多様性

・環境配慮型商品の開発

S

・労働基準:児童労働の禁止、強制労働の禁止、差別禁止、結社の自由、団体交渉権、最低賃金、ハラスメントの防止

・健康、安全

・人権:デュー・ディリジェンス、子どもの権利、児童労働の禁止、地域雇用、苦情処理

・社会:コミュニティ投資、社会貢献活動

・顧客に対する責任:責任ある広告とマーケティング、顧客満足

・サプライチェーン:児童労働の禁止、強制労働の禁止、差別禁止、結社の自由、団体交渉権、最低賃金、健康安全、デュー・ディリジェンス、能力開発

・商品品質、商品安全

G

・腐敗防止:贈収賄、インサイダー取引、内部通報制度、教育、リスク評価

・コーポレート・ガバナンス

・全社的なリスクマネジメント:環境、社会、コーポレート・ガバナンス

・コンプライアンス

・税の透明性

 

②戦略

>>中長期ESG目標「Kyo-sei Life Vision 2030」

当社グループはコーポレート・ミッションに「『共生社会』の実現に寄与する」を掲げ、事業活動によって自然環境問題や社会課題の解決に貢献することを目指しています。具体的には、2020年10月に中長期ESG目標「Kyo-sei Life Vision 2030 ~ For a Diverse, Inclusive, and Sustainable World ~」(以下、「Kyo-sei Life Vision 2030」)を公表しました。この「Kyo-sei Life Vision 2030」の策定では、当社が想い描く『2030年のありたい姿』を具体化し、この将来像と現状のギャップを埋めるために、社内外のステークホルダーから寄せられた意見を整理・分析して重要課題を抽出し、当社の事業展開との親和性などを踏まえて、「私たちの健康を守る・支える」「社会の健康を守る・支える」「地球の健康を守る・支える」「ユニ・チャーム プリンシプル」の4分野にそれぞれ5つ、合計20の重要取り組みテーマ・指標・目標を設定しました。

まず、「私たちの健康を守る・支える」では、すべての人が「自分らしさ」を実感し、日々の暮らしを楽しむことができる社会の実現に貢献する商品・サービスの展開をテーマに設定しています。次に、「社会の健康を守る・支える」では、提供する商品・サービスを通じて、お客様の安全・安心・満足度の向上と、社会課題の解決や持続可能性への貢献の両立を目標としました。そして、「地球の健康を守る・支える」では、衛生的で便利な商品・サービスの提供と、地球環境をよりよくする活動への貢献を目指しています。加えて、「ユニ・チャーム プリンシプル」では、すべてのステークホルダーから信頼を得られるような公正で透明性の高い企業運営を目標としています。

このように、社員一人ひとりが日々の事業活動を通じて「Kyo-sei Life Vision 2030」を着実に実行することは、自然環境問題や社会課題の解決や地域社会への貢献そのものであり、継続的な事業成長につながると考えています。

 

>>「Kyo-sei Life Vision 2030」重要取り組みテーマ

 

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>>2050年・「共生社会」の実現に必要なアプローチ

「Kyo-sei Life Vision 2030」の立案に際しては、2050年に「共生社会」が実現されると仮定して、「理想の将来像」を具体化し、この将来像と現状のギャップを埋めるために必要なアプローチを整理しました。

 

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>>Kyo-sei Life Vision 2030策定プロセス

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③リスク管理

当社グループでは、中長期ESG目標「Kyo-sei Life Vision 2030」の着実な推進にあたって、取締役会の下に設置されている「ESG委員会」(委員長・社長執行役員)が全体の管理・監督を行っています。日々の業務と密接に関連する重要取り組みテーマの運用は、関連部門が主体的に推進し、あらかじめ設定した管理項目・KPIに照らしてゲート管理を行い、PDCAサイクルを回しています。重要取り組みテーマの進捗状況の把握はESG本部が担い、四半期に1度、年4回開催しているESG委員会に報告します。ESG委員会での報告内容、討議事項については、ESG担当執行役員より年1回以上取締役会に報告しています。

また、「Kyo-sei Life Vision 2030」の重要取り組みテーマは、各部門の目標に落とし込み、部門から個人の目標や、週単位の行動計画に紐づけるといったきめ細かい活動を行っています。

 

 

④指標及び目標

>>「Kyo-sei Life Vision 2030」重要取り組みテーマ・指標・目標・実績一覧

重要取り組みテーマ

指 標

実績

中長期目標

2022年度

2023年度

2024年度

目標値

目標年

私たちの健康を守る・支える

全ての人が「自分らしさ」を実感し、日々の暮らしを楽しむことができる社会の実現に貢献する商品・サービスの展開を目指します。

 

健康寿命延伸/QOL向上

どのようなときも、誰もが“自分らしさ”を実感して暮らすことのできる社会の実現に貢献する商品・サービスの展開比率。

100%

継続

100%

継続

100%

継続

100%

2030年

性別や性的指向等により活躍が制限されない社会への貢献

世界中全ての人が、性別や性的指向等によって制限を受けることなく活躍できる社会の実現に貢献する商品・サービスの展開比率。

100%

継続

100%

継続

100%

継続

100%

2030年

ペットとの共生

ペットが、家族はもちろん、地域に暮らす人々から歓迎される社会の実現に貢献する商品・サービスの展開比率。

100%

継続

100%

継続

100%

継続

100%

2030年

育児生活の向上

赤ちゃんと家族が、すこやかに、かつ、ほがらかに暮らすことのできる社会の実現に貢献する商品・サービスの展開比率。

100%

継続

100%

継続

100%

継続

100%

2030年

衛生環境の向上

一人ひとりの努力で、予防可能な感染症(接触感染、飛沫感染)を抑制する活動に貢献する商品・サービスの展開比率。

100%

継続

100%

継続

100%

継続

100%

2030年

社会の健康を守る・支える

提供する商品・サービスを通じて、お客様の安全・安心・満足の向上と、社会課題の解決や持続可能性への貢献の両立を目指します。

 

「NOLA & DOLA」を実現するイノベーション

さまざまな負担からの解放を促し、生きる楽しさを満足することに貢献する商品・サービスの展開比率。

100%

継続

100%

継続

100%

継続

100%

2030年

持続可能なライフスタイルの実践

持続可能性に貢献する社内基準「SDGs Theme Guideline」に適合した商品・サービスの展開比率。

10.5%

5.9%

15.4%

50%

2030年

持続可能性に考慮したバリューチェーンの構築

環境・社会・人権の観点を踏まえ、地域経済に貢献する『地産地消』で調達した原材料を用いた商品・サービスの展開比率。

開発

継続中

開発

継続中

開発

継続中

倍増

(2020年比)

2030年

顧客満足度の向上

消費者から支持を獲得している(=No.1シェア)商品・サービスの比率。

24.0%

23.6%

23.1%

50%

2030年

安心な商品の供給

品質に関する新たな安全性の社内基準を設定し、認証を付与した商品の比率。

100%

継続

100%

継続

100%

継続

100%

2030年

 

 

 

重要取り組みテーマ

指 標

実績

中長期目標

2022年

2023年

2024年

目標値

目標年

地球の健康を守る・支える

衛生的で便利な商品・サービスの提供と、地球環境をより良くする活動への貢献の両立を目指します。

 

環境配慮型商品の開発

今までにないユニ・チャームらしい考え方で「3R+2R」を実践する商品・サービスの展開件数。

2件

2件

5件

10件

以上

2030年

気候変動対応

事業展開に用いる全ての電力に占める再生可能電力の比率。

11.0%

22.8%

25.8%

100%

2030年

 

リサイクルモデルの拡大

紙おむつリサイクル設備の導入件数。

1件

1件

1件

10件

以上

2030年

商品のリサイクル推進

資源を循環利用した不織布素材商品のマテリアル・リサイクルの実施。

開発

継続中

開発

継続中

開発

継続中

商業利用開始

2030年

プラスチック使用量の削減

プラスチックに占めるバージン石化由来プラスチックの比率。

開発

継続中

開発

継続中

開発

継続中

半減

(2020年比)

2030年

ユニ・チャーム プリンシプル

全てのステークホルダーから信頼を得られるような公正で透明性の高い企業運営を目指します。

 

持続可能性を念頭においた経営

外部評価機関による評価レベルの維持・向上の推進。

最高

レベル

2026年から

毎年

バリューチェーンにおける重大な人権違反の発生件数。

1件

(是正済)

1件

(是正済)

発生

ゼロ

発生

ゼロ

毎年

適切なコーポレート・ガバナンスの実践

重大なコンプライアンス違反件数。

発生

ゼロ

発生

ゼロ

発生

ゼロ

発生

ゼロ

毎年

ダイバーシティマネジメントの推進

女性社員に様々な機会を提供することによる管理職における女性社員比率。

23.2%

24.7%

25.5%

30%以上

2030年

優れた人材の育成・能力開発

社員意識調査の「仕事を通じた成長実感」における肯定的な回答の比率。

89.2%

88.7%

90.1%

80%以上

2030年

職場の健康と労働安全システムの構築

心身ともに社員が健康で安心して働くことができる職場環境整備による心身の不良を原因とした休職者の削減比率。

7名

(日本)

9名

(日本)

13名

(日本)

半減

(2020年比)

2030年

2025年度の実績は2026年6月発行予定の当社「統合レポート 2026」をご参照ください。

 

>>「Kyo-sei Life Vision 2035」

2025年度をもって「Kyo-sei Life Vision 2030」取り組みが5年経過したことを踏まえ、グループ全体でESGの取り組みをさらに加速するべく、2025年10月に「環境目標2030」と統合し「Kyo-sei Life Vision 2035」へとリニューアルしました。「Kyo-sei Life Vision 2035」では、これまでにステークホルダーの皆様からお寄せいただいた、ご意見やアドバイスをもとに、重要取り組みテーマ見直しと目標の定量化を図り、より「実行性」と「実効性」の高い中長期ESG目標を策定しました。詳細につきましては下記の当社ホームページをご参照ください。

https://www.unicharm.co.jp/ja/csr-eco/kyoseilifevision.html

 

(2)気候変動対応

文中の将来に関する事項は、提出日時点において当社グループが判断したものです。

①ガバナンス

当社グループでは、気候変動に関するリスクと機会の評価やCO排出量削減目標の設定と施策等に関する責任は社長執行役員が担っています。また、社長執行役員が委員長を務め、社内の取締役及び全執行役員が委員を務めるESG委員会を四半期に1度、年4回開催し、気候変動関連を含む自然環境活動全般(当社グループ中長期環境目標「環境目標2030」及び中長期ESG目標「Kyo-sei Life Vision 2030」の進捗状況も含む)及び社会課題への対応やガバナンス上の重点について報告・審議を行っています。開催にあたっては、全社の自然環境関連問題対応部門であるESG本部で各拠点の自然環境データや活動状況の情報を毎月収集・確認し、ESG担当執行役員と協議の上で、ESG委員会の議題を選定しています。

ESG委員会の活動状況は、ESG担当執行役員より年1回以上取締役会に報告し、取締役会の監督を受けています。ESG委員会や取締役会では、「環境目標2030」「Kyo-sei Life Vision 2030」の進捗状況に応じてチェックや指導、活動の指示を行います。加えて、目標を達成するために投資回収年数や投資判断を適宜検討して必要な施策を実行し、目標達成を目指しています。具体的な計画については、TCFD※1の提言に基づき2021年から「環境目標2030」「Kyo-sei Life Vision 2030」をベースに情報公開を行っています。

また、取締役や執行役員が先頭に立ちESG戦略・目標の完遂にリーダーシップを発揮すべく、2020年より取締役(監査等委員である取締役を除く)および執行役員の業績連動報酬を決定する評価指標にESG項目を導入しました。さらに、2023年より人事評価指標へのESG項目導入を全社員に拡大しました。

 

※1 TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures/気候関連財務情報開示タスクフォース

 

>>TCFD各項目の概要と取り組み状況

TCFDの開示推奨項目

当社の取り組み状況

ガバナンス

気候変動に関連するリスクおよび機会に関わる組織のガバナンス

・社長執行役員が委員長を務めるESG委員会を四半期に一度、年4回開催し、審議・決定事項については取締役会に年1回以上報告

・2020年度より役員の業績連動報酬を決定する評価指標にESG項目を導入

戦略

気候変動に関連するリスクおよび機会が組織の事業・戦略・財務計画に及ぼすインパクト

・TCFD提言に基づき、2030年における財務影響について、1.5℃および4℃という2つの状況に応じたシナリオ分析を実施

・「環境目標2030」「Kyo-sei Life Vision 2030」において、Scope別の削減目標、再生可能電力への切り替え目標を設定し、実績を開示

・「GHG排出量可視化プロジェクト」を通じて、GHG排出量削減ロードマップの策定および、原材料のGHG排出量可視化を推進

リスク管理

気候変動に関連するリスクの識別・評価・管理方法

・気候変動に関連するリスク・機会については、「事業等のリスク」に位置づけており、ESG委員会で内容を討議し、必要に応じて適切な対応を実施

指標と目標

気候変動に関連するリスクおよび機会を評価・管理する際に使用する指標と目標

・2018年5月にSBTiから2.0℃目標の認定を受けたが、CO₂をはじめとする温室効果ガスのさらなる削減推進のため1.5℃目標を設定し、2024年10月にSBTiから認定を取得

・「2050ビジョン」において、2050年に3つのゼロ(廃プラスチック“0”、CO₂排出“0”、自然森林破壊“0”)社会の実現を掲げ、その実現に向けて「環境目標2030」および「Kyo-sei Life Vision 2030」で具体的な目標を設定し、進捗を開示

 

②戦略

当社グループは1年ごとの状況(短期)、経営計画に合わせた状況(3~5年の中期)、国際的な見通し(SDGsやパリ協定などのように10年、20などの長期)のそれぞれに応じてリスクや機会を捉えています。また、ERM※2の考え方を踏まえ、全社的なリスクを抽出し、その中のひとつとして気候変動のリスクに取り組んでいます。抽出したリスクや機会に対応するために、財務計画とも連動して対応していきます。

 

>>シナリオ・プランニング

産業革命前と比較して2100年までに世界の平均気温が1.5℃および4℃上昇することを想定した2つの状況を用いて、シナリオ分析を実施しました。なお、推定される物理的影響を計算するためのベースとして、 RCPシナリオ※3を使用しています。

当社は、2015年のパリ協定で合意された2℃目標に科学的アプローチで参加するために、 2018年にSBTi※4より2030年までの削減目標について承認を受けましたが、2021年のCOP26でより厳しい1.5℃目標への移行が求められたことを受け、2024年10月に1.5℃目標の認定を取得しました。

グループ全体の環境重点目標である「環境目標2030」と「Kyo-sei Life Vision 2030」において2030年目標を設定し、マーケティング部門と開発部門においては商品開発戦略の中に環境配慮を掲げ、生産部門においては省エネ活動や再生可能電力の導入など短期・長期それぞれの視点で計画を戦略に落とし込み、実行しています。

 

※2 ERM:Enterprise Risk Management/統合型リスク管理

 

※3 RCP(Representative Concentration Pathways/代表濃度経路)シナリオは、代表濃度経路を複数用意ともに、その濃度経路を実現する多様な社会経済シナリオを策定できる。海面が上昇する沿岸地域でのプラントの運用に関連するリスク、サイクロンなどによって引き起こされるサプライチェーンの混乱に関連する運用リスク、熱波による赤道地域のGDP低下のリスク、陸上生態系の変化による森林資源の生育や、農作物等の収穫の遅れのための原材料コスト上昇の影響などが含まれる。

※4 SBTi:Science Based Targets initiative/科学的根拠に基づく目標

 

③リスク管理

当社グループは、ERMの考え方を踏まえ、全社的なリスクを抽出し、その中のひとつとして気候変動のリスクにも取り組んでいます。グループ全体での気候関連のリスク評価は、ESG本部が行っています。まず、TCFDの推奨に基づいて、重大度、範囲、移行リスク(カーボンプライシング、エネルギー価格など)を含む気候変動の影響のシミュレーションを行い、IPCC※5気候変動レポートやIEA※6のWorld Energy Outlook 2023などの情報を使用して、2050年までの複数の定性的なシナリオを構築します(1.5℃目標シナリオと4℃目標シナリオ)。

これらのシナリオと、サイトレベルのリスク評価の一部として計算された被害の推定値は、グループ各社の被害の合計値を推定するために使用します。評価の結果はESG委員会及び取締役会に報告され、それに応じて事業戦略及び事業計画の策定にリンクされます。取締役及び全執行役員が参加するESG委員会が上記のシナリオに影響を与えると判断した場合は、対応担当部門を設定し、ESG本部を事務局として計画を立案します。次回のESG委員会で承認後、担当部門が計画を実施します。さらに、担当部門はESG委員会で計画の進捗状況を報告します。

 

※5 IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change/気候変動に関する政府間パネル

※6 IEA:International Energy Agency/国際エネルギー機関

 

④指標及び目標

当社グループは気候変動緩和策の具体的な対応計画立案のため、国際的イニシアチブであるSBTiに2017年5月より賛同しています。2045年までのシミュレーションを行い、SBTiと協議の上、2℃目標に整合した計画として、2018年6月に日本で17番目の認定を受けました。このため具体的なCO排出量削減の長期目標はScope1※7及びScope2※8のそれぞれについて設定しています。また、COP26を受け、1.5℃目標への修正を申請し、2024年10月にSBTiより認定されました。

さらに、COをはじめとする温室効果ガス削減推進の世界的な機運の高まりを踏まえ、2024年10月に1.5℃目標の認定を取得しました。具体的なCO排出量削減の長期目標はScope1(自社の工場・オフィス・車両等による直接排出)、Scope2(自社の工場・オフィス等での間接排出)およびScope3※9(サプライチェーン上の間接排出)のそれぞれについて設定しています。

また、当社グループは「2050ビジョン」と「環境目標2030」で、気候変動に関する中長期のビジョンと目標を定めています。気候変動対応に関する目標としては、ライフサイクルにおけるCOの排出量の割合が高い「原材料調達時CO排出量削減(Scope3 Category1※9)」「製造時CO 排出量削減(Scope1、Scope2)」「使用済み商品廃棄処理時CO排出量削減(Scope3 Category12※9)」を設定しています。Scope1及びScope2については、各拠点の活動推進者と年4回省エネ・再エネに関する会議を行い、年間計画と進捗を確認しています。Scope3の大部分を占める「原材料調達時CO排出量削減(Scope3 Category1)」については、商品機能とCO排出量の観点から、設計時に商品ごとのLCA※10によるCO排出量を計算し、商品開発者とESG本部で協議して対策を検討します。

 

※7 Scope1:自社の工場・オフィス・車両などからの直接排出

※8 Scope2:電力など自社で消費したエネルギーを起源とする間接排出

※9 Scope3:Scope1、2以外の間接排出(事業活動に関連する他社の排出)。企業活動を分類した15個のCategoryから構成される。Category1は購入した商品・サービス、Category12は販売した製品の廃棄

※10 LCA:Life Cycle Assessment/製品の原材料調達から、生産、流通、使用、廃棄に至るまでのライフサイクルにおける投入資源、環境負荷、及びそれらによる地球や生態系への潜在的な環境影響を定量的に評価する手法

 

>>当社グループにおけるScope1、2、3の全体像

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>>環境目標2030「気候変動対応」

実施項目

基準年

2022年度

実績

2023年度

実績

2024年度

目標

2024年度

実績

2025年度

目標

2030年

目標

2050

ビジョン

原材料調達時CO₂

排出量削減

Scope3 Category1

原単位

2016年

▲12.6%

(日本)

+5.9%

▲5.9%

+4.1%

+0.6%

▲17%

CO₂排出“0”社会の実現

製造時CO₂

排出量削減

Scope1、Scope2

▲35.2%

▲55.4%

▲57.8%

▲59.8%

▲62.2%

▲34%

使用済み商品

廃棄処理時CO₂

排出量削減

Scope3 Category12

▲11.6%

(日本)

▲35.8%

▲37.0%

▲38.0%

▲39.9%

▲26%

 

>>Kyo-sei Life Vision 2030「地球の健康を守る・支える」

指標

2022年度実績

2023年度実績

2024年度実績

2030年度目標

事業展開に用いる全ての電力に占める再生可能電力の比率

11.0%

22.8%

25.8%

100%

 

 

>>当社グループにおけるScope別、カテゴリー別CO₂排出量                   (千ton)

Scope

カテゴリー

2022年度

2023年度

2024年度

備考

Scope1

直接排出

31.6

29.2

30.1

 

Scope2

エネルギー起源の

間接排出

454.5

376.9

354.6

 

Scope3 ※1

1 購入

3,830.6

3,756.1

3,877.7

 

2 資本財

85.2

99.0

121.2

 

3 その他燃料

59.3

51.1

49.5

 

4 上流輸送

320.7

225.5

206.7

※2

5 事業廃棄物

40.1

28.7

26.2

 

6 従業員の出張

2.1

2.0

2.1

 

7 従業員の通勤

12.7

12.8

13.2

 

8 上流のリース資産

※3

9 下流物流

79.9

81.0

63.2

※2

10 販売した製品の加工

※3

11 製品の使用

※3

12 販売した製品の廃棄

2,151.8

1,875.7

1,903.4

 

13 下流のリース資産

※3

14 フランチャイズ

※3

15 投資

39.6

34.7

21.3

 

Scope3合計

6,622.0

6,166.5

6,284.5

 

合計

7,108.1

6,572.6

6,669.2

 

2025年度の実績は2026年5月発行予定の当社「サステナビリティレポート 2026」をご参照ください。

※1 Scope3に関しては、LCIデータベース AIST-IDEA Ver3.4 国立研究開発法人産業技術総合研究所安全科学研究部門 IDEAラボ、IPCC2021 with LULUCF AR6に基づく算定を行っています。また、2023年度以前の数値も上記DBに基づき再算定を行うとともに、活動量の算定方法の見直しも行いました。

※2 海外分はScope3-1、3-2、3-3、3-5、3-6、3-7、3-12、3-15は活動量から算出しましたが、その他のカテゴリーは売上比による推計値としています。

※3 対象となる業務はありません。

 

(3)生物多様性保全

文中の将来に関する事項は、提出日時点において当社グループが判断したものです。

①ガバナンス

当社グループは年4回、社長執行役員を委員長としたESG委員会で生物多様性に関する重点課題の計画と進捗を共有・報告しています。具体的な計画については、TCFDやTNFDのフレームワークに準拠して整理を行い、「環境目標2030」や「Kyo-sei Life Vision 2030」に沿って報告を行っています。

 

②戦略

当社グループは事業活動によって生物多様性を毀損させた場合、バリューチェーン全体に甚大な被害を及ぼすと考え、持続可能性に配慮した資源の利用を推進しています。特に原材料に用いるパルプや紙、パーム油などは、「森林由来の原材料調達ガイドライン」を定め、適切な管理がなされた森林からのみ資材を調達し、違法伐採材の排除や地域住民ならびに関係する労働者の権利保護などに努めることで「生物多様性の主流化」に貢献しています。

2020年5月に公表した「環境目標2030」では、「森林破壊に加担しない(調達対応)」をテーマに、生物多様性の保全に貢献すべく、「2050ビジョン」として「購入する木材について自然森林破壊“0”社会の実現」を掲げています。このビジョンに向けて、パルプやパーム油のトレーサビリティの確保と原産地確認の完了および認証材への100%切り替え、使用済み紙パンツ(紙おむつ)のリサイクル推進を2030年目標に設定しました。

 

③リスク管理

パルプの原料は、計画的に植林・伐採した北米産スラッシュパイン(松)ですが、地球温暖化による渇水や過度の乾燥などが原因の森林火災などが発生して松の栽培が困難となった場合、原材料の需給バランスが崩れ、安定調達が困難になり、購買価格が上昇するなどのリスクがあります。パーム油は、持続可能性に配慮した、RSPO※1などの認証油の需要が高まり、調達コストが上昇するリスクがありますが、一方で持続可能性に配慮しなかった場合は、卸店・小売業などの流通各社からの取り扱い停止や消費者の買い控えなどが発生するリスクがあります。また、生物多様性を害する問題を発生させた場合は、原状回復のために多額の支出が発生するリスクがあります。持続可能性に配慮した認証材を積極的に活用することによって、原材料の安定調達やコスト抑制が期待できます。さらに、卸店・小売業との協働による生物多様性に配慮した商品の提供により、消費者理解が得られ、売上拡大が期待できます。また、成長が早く東南アジアでも計画的に植林・伐採が可能な広葉樹を原材料としたパルプを利活用することにより、当社が事業を展開しているアジアでの原材料の安定確保や輸送コストの低減などが期待できます。このような取り組みは「地産地消」による地域経済の活性化などにもつながると考えています。

 

※1 RSPO:Roundtable on Sustainable Palm Oil/持続可能なパーム油のための円卓会議

 

 

④指標及び目標

>>持続可能な森林由来原材料(パルプ)の調達

当社は、持続可能な森林由来原材料の調達を推進しています。商品の吸収体で使用されているパルプの多くは、北米および南米原産のFM(Forest Management/森林管理)認証林の針葉樹から作られています。また、生物多様性に著しい影響を与えるHCVFやHCSFから伐採された原材料は使用しないようにサプライヤーに要請しており、2016年度からは対象範囲を海外のローカルサプライヤーにも広げて持続可能な原材料の調達を進めています。2024年度の森林由来原材料(パルプ)の原産地トレーサビリティ比率は、グループ全体で99.3%でした。

 

>>認証パルプ(PEFC※1・CoC認証※2)の拡大

グループ全体で、PEFCのCoC認証の取得を推進しており、2024年度は中国の上海工場とベトナムのバクニン工場が新たに認証を取得しました。2024年12月末時点で、対象30工場中18工場が認証を取得し、PEFC・CoC認証工場数比率は60.0%、パルプのPEFC認証材調達比率は70.3%でした。

PEFC・CoC認証を取得した工場で生産した商品のうち、日本の『ムーニー 低刺激であんしん』『ムーニーマン 低刺激であんしん』『ムーニー』『ムーニーマン』『ムーニーオヤスミマン』、韓国の『MamyPoko』、マレーシアの『MamyPoko Pants』と『PETPET Pants』、台湾-大中華圏の『MamyPoko 極上のCare Pants』などのベビー用紙おむつ、日本の『ソフィ はだおもい』などの生理用品の商品パッケージにPEFC認証ラベルを掲載しています。また、ソーシャルメディアやWebサイトを通じて、適切に管理された森林から作られたパルプ・紙を使用した商品であることを紹介し、消費者に向けて当社の取り組みの周知や浸透を図っています。

 

※1 PEFC(Programme for the Endorsement of Forest Certification)とは、世界各国の森林認証制度を相互承認していく認証プログラムです

※2 CoC(Chain of Custody)認証とは、認証林から産出された森林由来資源を適切に加工・流通する拠点として認証するものです

 

>>持続可能なパーム油の調達

当社は、2017年度にRSPOへ加盟し、持続可能な認証パーム油の調達を進めています。日本で生産しているペットフードで使用しているパーム油については、不二製油グループのRSPO認証油を使用しており、不二製油グループではパーム油の供給元の搾油工場・農園までのトレーサビリティの向上を進めています。

2024年度のマスバランス方式※1によるRSPO認証油の調達量(日本)は194.6tonで、原産地トレーサビリティ比率は99.4%でした。今後も品質・調達ルートを確認しながら持続可能な調達活動を続け、当社が購入するすべてのパーム油をRSPO認証油に切り替えていきます。

 

※1 認証農園で生産された認証油が流通過程で他の非認証油と混合される認証モデル。物理的には非認証油を含んでいますが、購入した認証農園と認証油の数量は保証されます

 

>>環境目標2030「森林破壊に加担しない(調達対応)」

実施項目

2022年度

実績

2023年度

実績

2024年度

目標

2024年度

実績

2025年度

目標

2030年

目標

2050

ビジョン

パルプ、パーム油の原産地(国・地域)トレーサビリティ確認

森林由来原材料※2

97.1%

99.2%

100%

99.3%

100%

完了

購入する木材について自然森林破壊

“0”社会の実現

パーム油(日本)

62.8%

58.5%

95%

99.4%

100%

認証パルプ(PEFC・CoC認証)の拡大

認証工場数比率※3

48.4%

58.6%

72%

60.0%

75%

100%

認証材調達比率

72.3%

65.3%

73%

70.3%

75%

認証パーム油(RSPO)の拡大※4(日本)

62.8%

58.5%

95%

99.4%

100%

100%

紙パンツ(紙おむつ)リサイクル推進

2※5

2

2

2

2

10以上の

自治体で展開

※2 第三者認証材に加え、原産地(国・地域)トレーサビリティ確認ができた森林由来原材料(パルプ)の比率

※3 当社工場におけるPEFC・CoC認証取得工場数の比率

※4 認証パーム油は、マスバランス方式によるRSPO認証油

※5 2022年度より鹿児島県志布志市と大崎町の2つの自治体でリサイクル設備を運用(使用済み紙パンツの回収に関する実証実験は、2020年度に東京都東大和市、2021年度に東京都町田市で実施)

 

>>Kyo-sei Life Vision 2030「地球の健康を守る・支える」

指標

2022年度実績

2023年度実績

2024年度実績

2030年目標

今までにないユニ・チャームらしい考え方で「3R+2R」を実践する商品・サービスの展開件数。

2件

2件

5件

10件以上

紙パンツ(紙おむつ)リサイクル設備の導入件数。

1件

1件

1件

10件以上

2025年度の実績は2026年5月発行予定の当社「サステナビリティレポート 2026」をご参照ください。

 

(4)水資源

文中の将来に関する事項は、提出日時点において当社グループが判断したものです。

①ガバナンス

当社グループは年4回、社長執行役員を委員長としたESG委員会で、水資源に関する重点課題について計画と進捗を共有し、取締役会で承認を得た上で、目標達成に向けたPDCAサイクルを回しています。また、水使用量(取水量)については毎月、排水量については年に2回以上ESG本部がデータの収集とモニタリングを実施しています。

 

②戦略

当社グループは、製造工程における水の直接利用量は少量ですが、原材料のサプライヤーはパルプ・紙等を製造する工程において多くの水を必要としています。そのため、限りある水資源を有効に活用する必要があると考え、水の保全については、「ユニ・チャームグループ環境基本方針」に沿って、事業活動全体の水リスク調査とその対応、生産拠点の水使用量(取水量)削減、水の循環利用や浄化を行っています。

 

③リスク管理

当社グループは、紙パンツ(紙おむつ)や生理用品を中心に、ウェットティッシュなどの衛生用品やペットフードを製造・販売しています。当社の製造工程における水の直接利用は少量ですが、森林由来資源(パルプ・紙等)を原材料に用いているため、調達先である上流サプライヤーは多くの水を使用しています。水資源枯渇を遠因とする森林由来原材料の供給の不安定化により操業停止を余儀なくされるリスクや、ウェットティッシュやペットフードの製造工程で使用する水供給の逼迫による商品販売停止のリスク、水使用料の値上げによる原価上昇や安定供給が困難になるなどのリスクがあります。このため、すべてのサプライヤーに対して「ユニ・チャームグループ サスティナブル調達ガイドライン」への理解と協力を求め、推進しています。

また、世界資源研究所(WRI)のツールであるアキダクト(Aqueduct Overall Water Risk Map)を使用して中長期的な水リスクアセスメントを行い、特にリスクの高い河川流域で操業するサプライヤーに対して、水資源管理を徹底しリスクの低減に努めるよう要請しています。当社グループ全40工場のうち、アキダクトで2024年度の水ストレスのスコアが「極めて高い」または「高い」14工場を特定しています。水ストレスのスコアが高い地域においても、水使用量(取水量)を毎年前年度比で1%削減することを目標に設定し、削減に取り組んでいます。また、気候変動などの将来シナリオに基づいて、2050年の水ストレスのスコアが「極めて高い」 7工場を特定しており、今後水リスクへの対応の必要性を認識しています。

 

④指標と目標

当社グループは、主に設備の冷却や機械のメンテナンスに伴う洗浄、一部の不織布の製造工程、ペットフードの製造工程において水を使用しています。水使用量(取水量)を毎年前年度比で1%削減することを目標に設定し、工程の見直しや節水機器の導入、一部の拠点では雨水を活用した植栽への散水などの取り組みを行っています。2024年度の水使用量(取水量)は、総量では4,846千m3で2023年度より0.5%増加しました。なお、売上高原単位での水使用量は0.005千m3/百万円で2023年度とほぼ同等でした。

 

>>使用量(取水量)※1

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※1 原単位の分母には連結売上高を使用しています。

 

2025年度の実績は2026年5月発行予定の当社「サステナビリティレポート 2026」をご参照ください。

 

(5)人的資本

文中の将来に関する事項は、提出日時点において当社グループが判断したものです。

①ガバナンス

当社グループの人材育成は、社長執行役員を最高責任者として、グローバル人事総務本部が中心となり、「BOP-Ship※1を体現できる『共振人材』を世界中で育成する」ことを基本戦略としています。人材育成計画は、取締役や執行役員ら経営層への定期的な報告により承認を得ており、実施状況や効果等に関する報告も定期的に行っています。また、各種の人材育成に関する戦略や人事施策は、関連部門の人事担当者及びグループ関係会社の人事部門等が連動し、グループ全体に展開しています。

 

※1 BOP-Ship(ビーオーピーシップ):当社グループ社員が体現すべき規範

Best Practiceship(ベストプラクティスシップ):ベストプラクティスを集め、今までのこだわりを捨て、常にアップデートし、そのときの最高のものをスピード重視で取り入れていくこと

Ownership(オーナーシップ):何事も“自分事”として捉え、主体的に考え行動し、困難を突破していくこと

Partnership(パートナーシップ):利他の心で常に仲間と協働を重んじること

 

②戦略

当社グループ社員一人ひとりの「三つの豊かさ」を追求することを、人材育成の基本方針としています。「三つの豊かさ」とは、「志」「経済」「心と体」を指し、それぞれにバランスよく施策を運用することが肝要と考えています。

「志の豊かさ」では、高く広い視座を持ち、仕事を通じて社会全体に貢献することを目指します。当社では「私のキャリアビジョン&キャリアプラン」という独自のフォーマットを用いて、社員一人ひとりが主体的に自身のキャリア開発の計画を策定します。具体的には、まずは自身の価値観や大切にしたい事柄などを棚卸しし、これに基づいて10年後、3年後の「ありたい姿」をライフビジョンとキャリアビジョンに描きます。その後、そのビジョンを実現するためのキャリアプランを立案します。「私のキャリアビジョン&キャリアプラン」の内容は、2021年度より運用している人材育成プラットフォーム「KYOSHIN」に反映されます。当社では、一人ひとりの自己実現を支援すべく、各種教育メニューの充実を図り、社員の成長を支援しています。

「経済の豊かさ」においては、常に業界トップクラスの報酬制度を構築・運用し、さらには中長期的なインセンティブが働くよう、譲渡制限付株式報酬制度を導入するなど、社員とのエンゲージメントの醸成・強化に努めています。

「心と体の豊かさ」においては、年1回の健康診断をはじめとした社員の健康維持・増進のためのさまざまな施策に加えて、メンタルヘルス対策に関する研修や、ストレスチェックによるモニタリングを通じて、社員が心身ともに健康で安心して働くことができる職場環境の整備に努めています。

以上のような取り組みを通じて、それぞれの強みを最大限に発揮できる働きがいのある職場にすることによって、多様な人材一人ひとりを業績達成と企業価値向上へとつなげるべく、人的資本への投資を強化しています。

 

>>ユニ・チャーム独自の経営手法「共振の経営」

当社グループは「共振の経営」と名付けた独自の経営手法を展開しています。具体的には「社員一人ひとりが革新の震源となり、個々の振動がより大きく会社全体で共鳴・変化しあい、それぞれのビジョンを実現できる企業経営の実践及び企業文化を創造すること」です。「共振の経営」の実践により、経営陣は現場の生の情報や本音に鮮度良く多頻度で触れることができ、現場の社員は経営陣との対話を通じて経営者の視点、視座、時間軸を学ぶことができるなど、それぞれに理解が進みます。こうして社員と経営陣が目的や目標をしっかりと共有することによって、厳しくも心地よい一体感が醸成されます。このような、日々の工夫や知恵が現場と経営の間を行ったり来たりする「振り子」のような共振を目指しています。

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>>人材育成プラットフォーム「KYOSHIN」

人材育成の成否は、上司による現場での適切な指導によって決まります。そして適切な指導には、部下に関する情報の可視化が欠かせません。上司による指導力と人材情報の可視化をグループ全体で高めるべく、2020年度からタレントマネジメントを中心とする人材育成プラットフォーム「KYOSHIN」の導入を開始し、2024年末時点で日本を含む17の現地法人で運用しています。「KYOSHIN」には、プロファイル、業績目標・評価、キャリアプラン&キャリアビジョン、eラーニングの機能等が備わっています。一例として業績目標・評価の運用状況をご紹介します。まず、「KYOSHIN」上のフォーマットに半期ごとに目標を入力し、上司が面談で内容を確認した後に承認します。その後、四半期ごとの面談で進捗確認とフィードバックを行います。このように「KYOSHIN」を活用することで、上司と部下のコミュニケーションの頻度と質を高め、人材育成力を強化しています。

 

③リスク管理

>>OODA-Loop(ウーダループ)メソッド

当社グループは、2003年度よりPDCAサイクルを主体的に回し、目標完遂を目指して自発的に考え、行動する「SAPS経営モデル」を運用し、社員の能力向上と組織力向上に活用してきました。しかしながら、環境変化が常態化した今日において、より機敏に変化に対応するモデルへの修正が必要となりました。

このような課題認識に基づき、2019年に「SAPS経営モデル」から「OODA-Loopメソッド」へと、アップグレードを図りました。

「OODA-Loop」とは、「現状観察(Observation)」によって変化を素早く察知し、適切な「状況判断(Orientation)」と「意思決定(Decision)」を行い、「行動(Action)」に移すという一連の流れを、ループを描くように繰り返しながら「やり方自体」を常に見直し、抜本的な変革を続ける仕組みです。この「OODA-Loop」を回すことによって、素早く環境変化に適応した状況判断と意思決定に基づく行動を自律的に行える人材を育成しています。

0102010_009.png

 

④指標及び目標

>>ダイバーシティ&インクルージョンの推進

当社グループは、「ユニ・チャームグループ行動憲章」に則り、多様な人材が国籍・人種・宗教・性別・性的指向・年齢・家系・障がいの有無などの違いを認め、互いに尊重し合うことで、個性や能力を最大限に発揮し、活躍できる企業を目指しています。

1.女性の活躍推進

当社は、性別に関係なく、どのようなライフステージにおいても常に活躍できる職場環境と人事制度の整備を進めています。また、若手社員の交流会などを通じて女性活躍推進に向けた取り組みを強化しています。

女性社員のネットワークづくりの支援策としては、2021年度より女性メンター制度「Room L+(ルームエルプラス)」を開始し、メンタリングや座談会を通じてキャリアやライフの悩みの払拭・解消を支援しています。産休や育休からの復帰を控えた社員を対象とした「産休育休Room L+」も設置し、職種に合わせた情報交換の場を提供することで、復職後の安心感を醸成しています。2024年度には他社とのコラボレーションやメンターへのインタビュー会などを実施し、メンティー同士のつながりはもちろん、先輩や他社社員との交流機会を創出することで、参加者の視野を広げる支援をしました。

また、2022年度より女性の部門長・役員候補者への個別支援として「エンパワーメント制度」を導入し、育成責任者(直属の上司)ではない執行役員との1対1での面談を実施するなど、情報交換会を通じて、役員候補者の育成を推進しています。2024年度は、13名の女性リーダーが参加し、先述した1対1の面談の他に、参加しているメンター、メンティーが一堂に会する交流会・懇親会、女性社外取締役による講話、成果共有会などを実施しました。

 

>>Kyo-sei Life Vision 2030「ユニ・チャーム プリンシプル」

指標

2022年度実績

2023年度実績

2024年度実績

2030年目標

女性社員にさまざまな機会を提供することによる管理職における女性社員比率

23.2%

24.7%

25.5

30%以上

 

>>女性活躍推進関連実績

 

2022年度実績

2023年度実績

2024年度実績

2025年目標

女性社員比率

35.8%

36.4%

36.8

女性管理職比率

23.2%

24.7%

25.5

女性執行役員比率

3.4%

3.6%

3.4

6.0

日本女性役員数

2名

2名

2

3

海外女性役員数

12名

10名

10

2025年度の実績は2026年5月発行予定の当社「サステナビリティレポート 2026」をご参照ください。

 

2.多様な国籍の社員の採用と管理職登用

当社グループの現地法人は、さまざまな国・地域で事業を展開しており、経営幹部・管理職ともに現地で採用した社員を中心としています。また、日本においても国籍・人種を問わない人材採用と幹部登用を進めています。グループ全体でグローバルな人材交流を実施し、国籍・人種を問わず活躍できる体制づくりと、企業文化の醸成に努めています。

 

>>Kyo-sei Life Vision 2030「ユニ・チャーム プリンシプル」

 

2022年度実績

2023年度実績

2024年度実績

2030年目標

海外現地法人の経営幹部(本部長以上)に占める現地社員の比率

52.2%

52.3%

58.7

80

2025年度の実績は2026年5月発行予定の当社「サステナビリティレポート 2026」をご参照ください。

 

3.経験者採用と管理職登用

当社グループでは、多様な経験やスキル、専門知識を有する経験者採用を進めています。経験者採用で入社した社員は、能力発揮や適性などを見極めつつ、積極的に管理職への登用を推進しています。また、家庭の事情等を理由に当社を一度退職した社員の再雇用も進めています。

 

4.障がい者雇用の促進

障がいの有無にかかわらず、意欲ある人材を積極的に雇用し、一人ひとりが能力を発揮し、成長意欲を充足できる職場を目指しています。具体的には、それぞれの能力と意欲に合わせた適切な目標設定を行い、週単位で適切な指導・アドバイスをすることで成功体験が得られるように促し、チームで達成感を味わう組織風土づくりを推進しています。2023年には、本社オフィスでマッサージルームを新設し、視覚障がいがあり国家資格を持つ専属のあん摩マッサージ指圧師を採用しました。2024年度には、障がいのある社員が新たなコミュニティを通じて部門を越えて人脈をつくることや、メンバー同士で情報を共有し合いお互いに働きやすい環境をつくることを目的に、社内ネットワーク「Room C(ルームシー)」を発足させました。昼休みの時間を活用して、定期的に情報交換や交流ができる機会を設けています。

職場環境においては、スロープや手すりの設置、動線上の障害物の撤去による移動の安全確保、メールやチャットを用いた業務指示の配慮など、障がいの特性に応じて、一人ひとりが能力を発揮できる適切な労働環境の提供に努めています。

また、ユニ・チャーム株式会社の水戸サテライトオフィスでは、障がいのある社員がスキャン業務や請求書処理等に従事しています。

 

5.年齢を問わず活躍できる職場

50代社員を対象に、これまでのキャリアを棚卸しし、Will(やりたいこと)・Can(できること)・Must(やらなければならないこと)を明確にした上で、異なる部門に応募することができる「Re-Create(リクリエイト)制度」を導入しています。また、定年を迎えても、次世代の社員へ技術やノウハウを伝承できるよう、能力を活かして働き続けられる環境を整え、継続勤務を希望したベテラン社員をプロフェッショナル社員として引き続き雇用しています。

これまでの経験・スキル・知識、新たに身につけたスキル・知識等を活かせる職務役割に応じて処遇を決定し、職務内容と処遇の一致を図っています。なお、プロフェッショナル社員の処遇決定においては、発揮し得る能力の市場での評価を参照しています。また、この雇用による若年層の採用への影響はありません。

 

6.性的指向への配慮

社員一人ひとりの性的指向や性自認を含む多様な性を尊重し、自分らしい環境で能力を発揮できる職場環境を整備しています。2022年に「ハラスメント防止規程」を見直し、SOGI※1・ハラスメントの禁止規程を追加しました。加えて、性的マイノリティへの理解を深めるためにeラーニングや階層別研修での啓発を進めています。

2023年11月にダイバーシティ&インクルージョン教育の一環として、ユニ・チャーム株式会社の全社員を対象に「アンコンシャスバイアス勉強会」を実施しました。まず、アンコンシャスバイアスとは何かについて事例で示し、併せて好ましい対処策などについて動画で学び、続けて自分の職場での対応策などを課やグループ内で討議しました。2024年度は、さらに理解を深め実践へとつなげるべく、応用編を実施しました。また、性的マイノリティも異性婚と同様の福利厚生を受けられるように「同性パートナーシップ制度」を導入しました。

このように、定期的に継続教育を行い、啓発することによって、一人ひとりが互いを尊重し認め合い、多様性を活かす職場風土の醸成に努めています。

 

※1 SOGI:Sexual Orientation and Gender Identity/性的指向・性自認

 

>>社員意識調査の実施

当社グループは「仕事を通じて社員が育ち、社員の成長によって業容が拡大する」といった好循環を目指しており、社員の仕事に関する意識や満足度等を確認すべく、グループ全社で「社員意識調査」を毎年実施しています。日本以外の国・地域で活動する社員も回答できるよう、調査項目を8つの言語に翻訳しています。毎年調査を行うことで、社員の活性化や、組織改革に活かすことはもちろん、さまざまな人事・経営施策を検討する際の参考にしています。回答の一例として、2024年度の「仕事を通じた成長実感」における肯定的な回答率は90.1%でした。

 

>>Kyo-sei Life Vision 2030「ユニ・チャーム プリンシプル」

指標

2022年度実績

2023年度実績

2024年度実績

2030年目標

「社員意識調査」の「仕事を通じた成長実感における肯定的な回答」の比率

89.2%

88.7%

90.1

80%以上

2025年度の実績は2026年5月発行予定の当社「サステナビリティレポート 2026」をご参照ください。

 

>>リスキリング

仕事も環境も激しく変化するVUCA時代において新たな価値を創出するには、これまで以上に最新情報を学び続けることが重要です。

当社では、ITのリテラシーを高めDX人材を増強することを目的に、「ITパスポート」の取得を奨励し、資格取得者にはスキル手当を支給しています。2024年度は、350名を超える社員が「ITパスポート」を取得しました。

また、社員がテキスト生成AIサービス「UniChat」を業務で効果的に活用できるよう、2024年度はメールマガジン形式の学習コンテンツ「UniChat活用Navi」を22回配信しました。加えて、生成AI勉強会も並行して開催した結果、ユニ・チャーム株式会社社員の生成AIの利用率は、77%まで高まっています。

さらには、社員一人ひとりに成長機会を提供するために、時間や場所に縛られず自分のペースで受講できるオンライン学習プラットフォーム「LinkedIn Learning」を日本および12の現地法人で導入しています。

今後も社員が継続的に学習し、スキル習得等の意欲を維持できるよう定期的な情報発信を行います。

 

>>社員の能力開発にあてられた時間/費用

 

2022年度実績

2023年度実績

2024年度実績

社員の能力開発研修にあてられた総研修時間

49,824時間

50,503時間

68,067時間

社員の能力開発研修にあてられた総研修費用

8,400万円

7,531万円

10,109万円

一人当たり研修日数

4.4日

3.5日

4.8日

一人当たり研修時間

35時間

28時間

38時間

一人当たり研修費用

58,618円

42,119円

56,349円

2025年度の実績は2026年5月発行予定の当社「サステナビリティレポート 2026」をご参照ください。

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループは、経営の基本方針(1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(1)会社の経営の基本方針をご参照下さい)としております企業活動の遂行・達成に影響を及ぼす様々なリスクを適切に把握し、その未然防止及び発生時の影響最小化と再発防止を、経営における重要な課題と位置付けております。その上で、当社全体のリスクマネジメント体制を構築し、「企業価値に影響を与えうる不確実性(事象)」をリスクと定義し、戦略リスク、重要なオペレーショナルリスク、オペレーショナルリスクの3つに区分し、管理しています。

区分

定義

管理方法

戦略リスク

経営戦略、事業計画その他のユニ・チャーム株式会社の取締役会が決定する事項又はその実行に影響を与えるリスク

取締役会における決議の際に、リスク委員会の審議結果を踏まえ、リスクを考慮したうえで意思決定を行います。また、決定後の状況については、定期的に取締役会への報告又は全取締役による討議を実施し、取締役会がモニタリングします。

重要なオペレーショナルリスク

顕在化した場合に当社グループの事業遂行やレピュテーションを著しく阻害するおそれがあるリスク

リスク委員会が深刻度(影響度×発生可能性)及び対応準備度を取りまとめます。経営監査部のCSA(Control Self-Assessment)、業務監査結果を対応準備度として考慮します。深刻度の変化、対応準備の方針に問題はないか等の観点で定期的に検証の上、1年に1回以上取締役会へ報告を行い、取締役会がモニタリングします。

オペレーショナルリスク

日常の事業活動において定められた方針、規程、ガイドライン、業務プロセスを遵守すること等により、許容できる範囲内に防止・軽減できるリスク

担当執行役員が責任をもってリスク管理を行い、リスクを踏まえた経営資源の配分や経営判断を実行します。

 

(1)リスクマネジメント体制

当社グループでは、下記図の通りリスクマネジメント体制を構築しています。ユニ・チャーム株式会社の取締役会の監督の下、代表取締役社長執行役員は、ユニ・チャームグループのリスク管理に関する基本的な方針を決定します。また、効果的かつ効率的なリスク管理が行われるようにするため、ユニ・チャーム株式会社の執行役員に必要な権限、責任ならびに経営資源を割り当てるとともに、リスク委員会は当社グループ全体のリスク情報を取りまとめ、取締役会へ定期的な報告を行います。また、独立した内部監査部門を設置し、これらを監督する体制としています。

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(2)戦略リスク及び重要なオペレーショナルリスクの状況

戦略リスク及び重要なオペレーショナルリスクは、1年に1回以上見直し、取締役会へ報告を行います。当連結会計年度において特定した戦略リスク、重要なオペレーショナルリスク、並びにこれらの対応策は以下のとおりです。

 

<リスクの評価方法>

・影響度:人的リソース、有形・無形資産、レピュテーション、および財務状況への波及を総合的に勘案し、3段階で評価しています。 財務的影響については、税引前利益に対する比率を定量的な判定基準としており、同利益の「5.0%以上」を「3:深刻な影響」、「0.1%以上5.0%未満」を「2:一定程度の影響」、「0.1%未満」を「1:軽微な影響」と定義しています。

・発生可能性:発生頻度を3段階(3:顕在化している、2:3年以内に顕在化する可能性がある、1:顕在化可能性が低い)で評価しています。

 

①戦略リスク

項目

消費者の変化

リスク事象・影響

消費者の価値観や購買行動の急速な変化、およびマクロ経済環境の変動に対し、当社グループの製品・サービスが適時適切に対応できない場合、市場における競争優位性の喪失、ブランド価値の毀損を招き、売上収益および市場シェアが低下する恐れがあります。

要因

・デジタル技術の進化やSNSの普及に伴う情報収集・購買プロセスの多様化および消費トレンドの短サイクル化。

・世界的な景気後退やインフレ圧力による、生活必需品への支出抑制および低価格品への需要シフト。

評価

影響度

3

発生可能性

3

対応策

・生成AI等のデジタル技術を積極的に活用し、膨大な消費者データからインサイトをリアルタイムに抽出・分析する体制を構築しています。

・変化の激しいトレンドを即座に製品化するための開発・生産リードタイムの短縮を推進しています。また、地域ごとの市場環境の変化に応じた柔軟なブランド・価格ポートフォリオの見直しを実行しています。

 

項目

流通チャネルの変化

リスク事象・影響

オンライン販売チャネルの急拡大に伴う流通構造の激変に対し、販売戦略やサプライチェーンの再構築が遅れた場合、新たな成長機会を逸失するとともに、既存チャネルにおけるプレゼンス低下を招き、売上収益および市場シェアが低下する恐れがあります。

要因

eコマース(以後EC)市場の拡大、およびSNSやライブコマース等、デジタルチャネルを通じた販売手法の多様化に伴う消費者の購買行動の変化。

評価

影響度

3

発生可能性

3

対応策

・主要なECプラットフォーマーとの戦略的パートナーシップを強化するとともに、既存の小売店とも連携し、リアルとデジタルを融合させた施策を推進することで、顧客接点を最大化しています。

・自社ECやSNSを通じた直接販売チャネル(D2C)を強化し、顧客との直接的な対話を通じて独自データを蓄積しています。得られた知見はマーケティング施策の最適化だけでなく、既存流通向けの営業提案にも還元しています。

・国・地域ごとに異なるECの浸透度や主要プレイヤーの動向を踏まえ、専任部門および現地法人が最適なチャネルミックスを策定しています。

 

 

 

項目

競争環境の変化

リスク事象・影響

市場における競争環境の激化(既存の枠組みを超えた新規参入や、サプライチェーンにおける役割の変化に伴う競争環境の変化を含む)への対応遅れにより、価格競争による収益性の低下や市場シェアの縮小を招く恐れがあります。

要因

・グローバル大手メーカーによるM&Aを通じた巨大化や、新興国メーカーの台頭による価格競争の激化。

・既存カテゴリーにおける競合他社の革新的な新製品投入。

・デジタルプラットフォーマーやプライベートブランドなど、従来の業界の枠組みを超えたプレイヤーの参入による競争ルールの変化。

・技術革新による既存製品カテゴリーのコモディティ化。

評価

影響度

3

発生可能性

3

対応策

・価格競争に陥らないよう、独自の特許技術やサステナビリティ対応など絶対的な品質優位性を確保することでシェア維持・拡大を図っています。

・事業ポートフォリオの定期的かつ厳格な見直しを行っています。成長性と資本効率の観点から、経営資源を「高付加価値分野」および「高成長エリア」へ重点配分し、競争優位性が維持できない事業については撤退や縮小も含めた構造改革を断行します。

 

項目

投資判断

リスク事象・影響

事業変革や非連続な成長を実現するための投資判断において、環境変化の予測を見誤った場合、あるいは投資後の統合プロセスや事業立ち上げが計画通りに進捗しなかった場合、投資回収期間の長期化や減損損失の計上により、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす恐れがあります。

要因

地政学リスクの顕在化やマクロ経済環境(金利・為替・資材価格等)・法規制の急激な変更などによる投資回収プランの乖離。

評価

影響度

2

発生可能性

1

対応策

・特定の国・地域への過度な依存を避けるため、地政学リスクや法規制の動向を常時監視し、サプライチェーンや投資配分の分散を図っています。

・投資案件の実行可否判断においては、資本コストを上回るリターンが見込めるかを審査しています。また、リスクアペタイトに基づき、取締役会・リスク委員会においてリスク・リターンのバランスを評価しています。

 

②重要なオペレーショナルリスク

重要なオペレーショナルリスクは、影響度、発生可能性、対応準備度の観点で評価を行い、評価結果に応じて優先順位付けをして対応しています。

項目

サイバーセキュリティ

リスク事象・影響

サイバー攻撃によるデータの漏えいやシステムの停止・誤作動が、損害賠償責任の負担、復旧・対応費用の発生、オペレーションの混乱・停止に伴う逸失利益、中長期的な信用失墜をもたらす恐れがあります。

評価

影響度

3

発生可能性

2

対応策

国内外のグループ各社において、EDR(Endpoint Detection and Response)およびSOC(Security Operation Center)を組み合わせたセキュリティ体制を統一展開し、サイバー攻撃の早期検知と能動的な対応力の強化を図っています。また、IT資産管理やインシデント対応体制の継続的な整備・拡充に努めています。

 

 

 

項目

自然災害・大規模な事故

リスク事象・影響

地震、台風、洪水等の自然災害や、大規模な事故の発生により、当社グループの生産拠点やサプライチェーンが被災した場合、長期間の操業停止や供給網の寸断が発生し、復旧費用の発生やオペレーションの混乱・停止に伴う逸失利益等、経営に大きな影響を及ぼす恐れがあります。

評価

影響度

3

発生可能性

1

対応策

国内外のグループ各社においてBCP(事業継続計画)を策定し、定期的な訓練や教育啓蒙活動を通じて、有事の際の対応実効性の向上を図っています。グローバルでの防火基準を設定し、グローバルの各拠点において基準適合状況のチェックと継続的な改善を行っています。

サプライチェーンのレジリエンス(強靭性)強化を重要課題と捉え、主要サプライヤーとの連携訓練や安否確認システムの整備等、迅速な情報共有と供給継続に向けた協力体制の構築に努めています。

 

項目

重大な品質不良

リスク事象・影響

製品不良・設計不備により、死亡事故や重大な健康被害が発生し、損害賠償、刑事罰、ブランド毀損、売上低下をもたらす恐れがあります。

評価

影響度

3

発生可能性

1

対応策

当社グループ全体での品質水準を一定に保つための仕組みを構築しています。

さらに不適合や苦情の発生状況を定期的に分析し、重大な品質事故が発生した場合、迅速な是正措置の実施と再発防止策の策定が行えるように、マネジメントシステム自体の更新を継続的に実施します。万一の事態に備え、迅速な情報開示と誠実な対応を行うための緊急時レスポンス体制を整備し、透明性の高い社内の情報連携の仕組みを構築しています。

 

項目

気候変動

リスク事象・影響

炭素税の導入、ならびに税率の引き上げ、エネルギー価格の大幅な変動による操業コストの上昇と、原材料価格の高騰による調達コスト上昇を招く恐れがあります。また、温室効果ガス排出量削減を考慮しない商品開発は、中長期的な信用失墜を招く恐れがあります。

評価

影響度

3

発生可能性

1

対応策

「資材別のGHG(温室効果ガス)排出量の一次データを活用し、効率的な資材活用とGHG排出量削減を両立する商品開発を進めます。また、持続可能性に貢献する社内基準「SDGs Theme Guideline」に適合した商品の開発と販売の継続、2030年の再生可能電力比率100%達成に向けたロードマップを推進します。

 

項目

個人情報保護

リスク事象・影響

サイバー攻撃や人的過誤、管理体制の不備による個人情報の漏洩は、損害賠償責任の発生や社会的な信用失墜をもたらします。とりわけグローバル展開においては、各国・地域の法規制への準拠が不可欠であり、万一、対応に不備が生じた場合、多額の制裁金を科され、ブランド毀損を招く恐れがあります。

評価

影響度

2

発生可能性

2

対応策

人為的なミスを防止するため、社員を対象とした個人情報保護に関する継続的な教育を実施します。また、流出事案が発生した際に迅速な公表と被害拡大防止を図るための緊急対応マニュアルを整備します。また、各国・地域の個人情報保護法やデータ越境規制に適切に対応するため、グループ内データ移転契約を締結し、法的に適正なデータ管理体制を徹底します。

 

項目

AI

リスク事象・影響

導入した生成AI等のアルゴリズムにおける偏向や技術的不備によって、誤った意思決定や不適切な情報発信が生じ、社会的な信用失墜や法的責任の追及を受ける恐れがあります。

評価

影響度

2

発生可能性

2

対応策

安全なAI利用環境を整備するため、当社グループ社員が遵守すべき行動規範を制定します。また、生成AIの社外利用における可否判断チェックリストを運用し、著作権侵害や不適切内容の出力リスクを制御します。

 

 

 

項目

製品の信頼性

リスク事象・影響

製品不良・設計不備により、リコール、軽微な健康被害、ブランド毀損が発生する恐れがあります。また、不実表示、虚偽広告、違法又は非倫理的なマーケティングにより、損害賠償責任、SNSでの炎上、ブランド毀損が発生する恐れがあります。

評価

影響度

2

発生可能性

2

対応策

各国・地域における法規制に準拠した製品をお客様に提供するため、各国・地域の法規制を網羅しかつ、品質や製品安全性の観点も加えた厳しい自社基準を設定し、国内外のグループ会社全体でその基準を遵守する運用としています。

正しい情報伝達のために、関連法規制遵守およびエビデンスに基づく適正な広告・表記となるよう、ゲート会議、表示審査の仕組みを設けて厳しいチェックを行っています。製品に関するクレームがあった場合は、発生件数の多寡にかかわらず、迅速な原因究明や改善対処をし、製品の信頼性が低下しないよう体制を整えています。

 

項目

為替変動

リスク事象・影響

当該国・地域の規制、経済環境及び社会的・政治的情勢の変化に伴う為替相場の変動は、外国通貨建ての売上や原材料の調達コストによっては、市場が大きく変化し当社の事業活動や保有資産の価値に影響を与える恐れがあります。また、当社グループ会社の当該国・地域通貨建の財務諸表は、連結財務諸表作成に際し円に換算されるため、為替相場の変動が円高時には当社の財政状態及び経営成績にマイナスの影響を与える恐れがあります。

評価

影響度

2

発生可能性

3

対応策

原材料仕入を含めた外貨建取引や保有債権・債務を総合的に勘案した為替ヘッジにより、リスクの最小化に努めます。また、安定的な株主還元や当社内資金循環にも寄与するよう、投資予定を上回る資金を保有する当社グループ会社からの配当を積極的に実行し、在外資産の円高によるマイナス影響を抑制します。

 

項目

取引先の与信

リスク事象・影響

国内外の主要な取引先において、景気後退、消費構造の変化、または、予期せぬ経営環境の悪化により、経営破綻や支払遅延が発生し、売掛金等の債権が回収不能となる恐れがあります。その結果として、売上高の減少や、引当金の計上による業績悪化の恐れがあります。

評価

影響度

2

発生可能性

3

対応策

独自の与信管理規程に基づき、新規取引時の厳格な審査および取引先ごとの与信限度額の設定や定期的な見直しを徹底しています。外部機関の活用等により取引先の財務状況を継続的にモニタリングし、支払懸念等の予兆把握に努めています。リスク顕在化時には債権保全策を講じ、取引条件の変更等により損失の最小化を図っています。これら与信状況は定期的に経営層へ報告され、組織的なリスク管理体制を構築しています。

 

項目

人材(採用・育成・離職)

リスク事象・影響

高度専門人材やリーダー人材の採用の遅延・未達、キー人材の離職により、経営計画・戦略の実行が遅延する恐れがあります。

評価

影響度

2

発生可能性

2

対応策

データおよび生成AIを活用したタレントマネジメントにより、適材適所の実現と、最適な後継者の計画的な選抜・育成を遂行します。必要に応じて外部人材の獲得も柔軟に組み合わせつつ、OODAループと生成AIを高度に活用し、自律的に価値創造を牽引する「共振人材」の育成に注力します。併せて、キャリアビジョン・キャリアプランに基づいた自律的なキャリア形成支援を行うことで働きがいの向上やエンゲージメント強化を通じて、少数精鋭の組織体制による持続的な競争力の維持・強化を図ります。

 

 

 

項目

労働災害

リスク事象・影響

労働災害による死亡や重大な後遺障害、および過重労働等に起因するメンタルヘルス不調の発生は、尊い生命と健康を損なうだけでなく、社員の活力低下や長期離職、エンゲージメントの減退を招き、中長期的な経営計画の実行を阻害する恐れがあります。

評価

影響度

2

発生可能性

2

対応策

「安全衛生管理規程」に基づき、社員の安全確保と健康の維持・増進を最優先する職場環境を整備しています。管理者が部下の心身の健康状態を常に確認し、早期発見・早期対応する体制を徹底するほか、産業医・保健師を含めた安全衛生委員会において社員の健康増進策を毎月協議しています。また、生産拠点でのOSHMS運用やISO45001の取得、リスクアセスメントによる予防措置、さらには「労働安全の日」を通じた意識啓発により、心身ともに安全で快適な職場づくりを推進しています。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

コア営業利益は売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した利益であり、IFRSで定義されている指標ではありませんが、当社グループの経常的な事業業績を測る指標として有用な情報であると考えられるため、自主的に開示しております。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

売上高

988,981

945,268

△43,713

△4.4

コア営業利益

138,463

108,884

△29,579

△21.4

税引前当期利益

134,537

105,386

△29,150

△21.7

親会社の所有者に帰属する当期利益

81,842

65,212

△16,629

△20.3

基本的1株当たり当期利益(円)

46.41

37.30

△9.11

△19.6

(注)当社は、2025年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を実施しました。当該株式分割が前連結会計年度の期首に行われたと仮定して、基本的1株当たり当期利益を算定しております。

 

当連結会計年度の業績は、売上高945,268百万円(前連結会計年度比4.4%減)、コア営業利益108,884百万円(同21.4%減)、税引前当期利益105,386百万円(同21.7%減)、当期利益70,858百万円(同25.6%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益65,212百万円(同20.3%減)となりました。

なお、2025年9月にインドにおいてGST(物品・サービス税)の制度改正が行われたことに伴い、当連結会計年度において6,920百万円の評価損失を認識いたしました。当税制改正に関し、当該事項を除き、現時点において業績に重要な影響を与える事項はございません。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表に対する注記 26.その他の収益及びその他の費用」をご参照ください。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(a)パーソナルケア

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

売上高(注)

826,100

774,428

△51,672

△6.3

コア営業利益

110,883

83,197

△27,686

△25.0

(注)外部顧客に対する売上高

 

●ウェルネスケア関連商品

海外においては、大人用排泄ケア用品の需要が高まっているタイ、インドネシア、ベトナムなどの東南アジア地域で、商品ラインアップの拡充やパッド型と紙パンツの併用を通じて、日本式ケアモデルの普及促進を継続しました。また、高齢化が日本以上のスピードで進む中国では、対象人口が多いものの、高品質・高付加価値な専用品の認知度は依然として低く、ベッドシーツなどの代替品で対応しているケースも多く見られます。こうした状況を踏まえ、当社は現地ニーズに即した商品ラインアップの強化と、継続的なマーケティング投資を行い、事業成長に向けて経営資源を積極的に投入しました。

国内においては、“できるはふやせる、ひとつずつ。”の想いのもと、パンツタイプや紙パンツ用パッドなどの新商品を発売するなど、健康寿命の延伸につながる軽度・中度の商品を中心に、ADL※1に合わせた豊富な商品ラインアップを展開した結果、高い売上高成長を実現しました。また、使用者に合った商品選びをサポートするAIチャットボット「チャームさん」や、「大人用おむつカウンセリング」などのサービスを通じて、商品情報や使用者・介護者向け知識の提供にも継続して取り組みました。さらに、使用済み紙パンツからリサイクルした「再生パルプ」を原材料の一部に活用した『ライフリー のび~るフィットうす型軽快テープ止めRefF(リーフ)』を発売し、商品機能の充実と環境配慮を両立させ、社会課題の解決に貢献しました。

マスクカテゴリーにおいては、『超快適』・『超立体』両ブランドの多様な商品ラインアップで市場の活性化を図りました。引き続き、消費者ニーズを捉えた新商品を継続的に展開することで市場シェアの拡大を目指します。

 

※1 日常生活動作(Activities of Daily Living)の略語で、排泄・食事・入浴など日常生活で必要な基本動作を表し、介護される方の介護レベルを計る指標

 

●フェミニンケア関連商品

海外においては、クールタイプナプキンやショーツ型ナプキンなど、独自性の高い幅広い商品ラインアップで消費者ニーズに応えました。

中国では経済の先行き不透明感が続き、若年層を中心に、より低い価格帯の商品を好む傾向が見られるなか、当社は交換の簡便性を高めた新コンセプトの昼用ショーツ型ナプキンや、キャラクターを活用した商品を発売するなど、市場の活性化を図りました。

一方で、2024年11月、2025年3月及び10月に報道された生理用品の品質や廃棄管理に関する風評の影響による一時的な販売の減少に対し、当社は、eコマースにおけるデジタルマーケティングの強化に加え、安心・安全・信頼のブランドイメージを醸成する情報発信の徹底を通じてブランド価値の向上に取り組みました。

タイ、インドネシア、ベトナムなどアジア地域では、高付加価値商品であるクールタイプや活性炭配合ナプキンの展開を継続しました。

生理用品の普及率が低いインドでは、都市部を中心にアンチバクテリアをコンセプトとした商品に加え、現地の利用実態・価格感度に応じた、より手に取りやすい仕様である個包装や折りたたみを省いたフラットタイプを導入し、取扱店舗数の拡大を進めました。その結果、高い売上成長と収益性改善を実現しました。

中東では、現地の習慣を捉えたオリーブオイルを配合した新商品などへの積極的なマーケティング投資により、サウジアラビア国内販売が順調に推移したほか、近隣諸国への輸出も伸長しました。

国内においては、対象人口が減少傾向にあるなか、健康意識や安心志向の高まりに合わせた高付加価値商品の展開を進めるとともに、店頭での陳列提案やSNSを活用した継続的なコミュニケーション戦略により、市場シェアNo.1を継続しています。さらに、デジタル領域においても消費者との接点を強化しており、ホルモンの変化に着目した生理・体調管理アプリ『ソフィBe』を通じた一人ひとりの状態に合わせた情報提供を継続しています。引き続き、女性を取り巻く環境や価値観の変化によりライフスタイルが多様化するなか、女性一人ひとりが自ら心身の状態を把握・管理し、健康と生活の質の向上に貢献できるよう、生理期にとどまらず日常全体をトータルでサポートし、ライフタイムバリューの最大化を図ります。

 

●ベビーケア関連商品

海外においては、当社の強みとなるパンツタイプ紙おむつを中心に普及促進と独自性のある商品展開を進めました。参入国のなかでも紙おむつの普及率が低いインドでは、販売エリアの拡大や啓発活動を継続するとともに、2025年2月に3番目の工場が再稼働したことで供給体制が強化され、市場シェアは過去最高水準で推移するなど、成長基調を維持しました。一方、9月に行われたGST(物品・サービス税)の制度改正に伴う減税を背景として、流通業者による在庫調整の影響から一時的に販売が停滞したものの、実需ベースでの消費者需要は底堅く推移しました。

ベトナムやタイ、インドネシアを中心とする東南アジア市場では、出生数の減少や経済の低迷を背景に、一部でダウントレードが見られるほか、価格競争の激化による厳しい状況が続くなか、当社は2ブランド戦略を推進し、プレミアム志向層と価格志向層それぞれに対応してきました。

タイでは、人気キャラクターとのコラボレーションを実施し、ブランド認知と話題性の向上を図りました。

インドネシアでは、ローカル企業が営業力と価格競争力を強化するなか、商品面では長時間使用でき、吸収後も薄さが続くエコノミータイプの『Mamy Poko GEMBUNG』や、販売単価を抑えてトライアルを促進する小容量パックを発売しました。また、販売面では営業員を増員し提案力を強化するなど、商品・販売の両面で戦略を実行しました。

サウジアラビア国内販売に加えて近隣諸国への輸出も堅調な中東では、現地の習慣を捉えたオリーブオイルを配合した新商品などへの積極的なマーケティング投資を継続し、高い売上高成長と市場シェアの拡大を実現しました。

国内市場は少子化により縮小傾向にありますが、“笑顔あふれる育児生活”の事業理念のもと、『ムーニー』と『マミーポコ』の2ブランドで多様なニーズに対応し続けた結果、市場シェアNo.1を継続し、収益性の改善を実現しました。

また、BABY JOB株式会社と協働で展開する「手ぶら登園※2を導入している保育施設を対象に、使用済みの紙おむつから取り出した「再生パルプ」を使用した施設専用品の導入を進めるなど、商品とサービスの両面で消費者の満足度向上と環境負荷低減に積極的に取り組みました。

 

この結果、パーソナルケアの売上高は774,428百万円(前連結会計年度比6.3%減)、セグメント利益(コア営業利益)は83,197百万円(同25.0%減)となりました。

 

※2 「手ぶら登園」とは、保護者が紙おむつやおしりふきを準備する手間や、かさばる荷物を持っての登園、保育士による紙おむつやおしりふきの管理業務など、保護者と保育士双方の負担を軽減する保育施設向けの定額制サービス

 

(b)ぺットケア

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

売上高(注)

148,673

156,084

7,411

5.0

コア営業利益

25,840

24,067

△1,773

△6.9

(注)外部顧客に対する売上高

 

ペットとの共生社会の実現を目指すスローガン“もっと一緒に、ずっと一緒を。”のもと、ワンちゃん・ネコちゃんが社会とつながりながら幸せな一生を全うできる社会づくりに取り組んでいます。国内ペットフードにおいては、犬・猫ともに食感や味の多様性、健康志向の高まりに対応し、豊富なラインアップで消費者ニーズに応えました。猫用おやつでは『銀のスプーン』ブランドから、健康機能を付加した新タイプとして『銀のスプーン おいしい顔が見られるおやつカリカリッチ 総合栄養食おやつ』と『銀のスプーン お魚味クリームどーにゃつ 毛玉ケア※3』を発売しました。犬用では、人間の食事のような見た目と味わいにこだわったウェットフード『グラン・デリ おかず仕立てパウチ』から、「シチュー仕立て」「ミネストローネ仕立て」「茶碗蒸し仕立て」の3種類を新発売し、消費者の多様なニーズに応えました。

国内ペットトイレタリーにおいては、猫用では、システムトイレの取替サンド『デオトイレ 消臭・抗菌チップ』から天然木を使用した「飛び散らない※4 ねこ型チップ」と「慣れやすい小粒」を発売しました。犬用では中型犬の体形に合わせたペット用吸収ウェア『マナーウェア長時間快適オムツ男女共用 中型犬用』を発売し、ラインアップを拡充しました。

ペット市場の拡大に伴い、SNSを活用した情報収集や購買行動の多様化を受け、『DOQAT』やAIを活用した『ごはんマッチング』に加え、「TikTok Shop」において『ユニ・チャーム ペット公式Shop』を新たに開設しました。この取り組みにより、消費者との接点を一層強化し、ブランドの認知拡大を進め、持続可能な成長を実現します。

北米では、日本の技術を搭載した新たなコンセプトの猫用ウェットタイプ副食の販売が引き続き好調に推移するなか、成長するeコマース市場向けの商品拡充も進め、高い売上高成長を実現しました。関税引き上げに対しては、輸入前倒しや価値転嫁を実施しました。加えて需要が底堅く推移したことで、販売面への影響は軽微にとどまりました。今後も関税政策の動向を注視しつつ、柔軟かつ機動的な対応を図ります。

北米に次ぐ世界第2位の市場規模を有する中国では、今後も市場成長が見込まれます。当社は2022年11月、中国現地法人を通じ、持分法適用関連会社の江蘇吉家寵物用品有限公司(以下JIA PETS社)と資本業務提携を行い、独自コンセプトや技術を搭載したペットフードの製造を開始しました。以降、市場の活性化を図るべく新商品を投入し、幅広いニーズに対応しました。引き続き、日本で培った製造技術及び生産管理ノウハウと、JIA PETS社が保有する生産体制、研究開発力、eコマースにおける販売力などを活用することで、中国の重点都市において市場シェアNo.1を目指します。

また、今後の市場成長が期待される東南アジア地域においても、タイやインドネシア、ベトナムなどでペットケア市場が顕在化していることから、フード、トイレタリーともに積極的に経営資源を投下することで、飛躍的な事業成長を目指します。

 

この結果、ペットケアの売上高は156,084百万円(前連結会計年度比5.0%増)、セグメント利益(コア営業利益)は24,067百万円(同6.9%減)となりました。

 

※3 食物繊維の力で便と共に自然に排泄することを助けます。

※4 『デオサンド オシッコのあとに香りで消臭する砂』との比較

 

(c)その他

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

売上高(注)

14,208

14,755

547

3.9

コア営業利益

1,740

1,620

△120

△6.9

(注)外部顧客に対する売上高

 

主に不織布・吸収体の加工・成形技術を活かした業務用商品分野において、産業用資材を中心に販売を進めました。

 

この結果、その他の売上高は14,755百万円(前連結会計年度比3.9%増)、セグメント利益(コア営業利益)は1,620百万円(同6.9%減)となりました。

 

当期の財政状態の概況は次のとおりであります。

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

資産合計

1,239,973

1,223,176

△16,797

負債合計

366,263

331,917

△34,346

資本合計

873,711

891,259

17,548

親会社所有者帰属持分比率(%)

62.3

65.0

 

当連結会計年度末の財政状態は、資産合計が1,223,176百万円と前連結会計年度末に比べ16,797百万円減少いたしました。主な減少は、有形固定資産17,482百万円によるものです。負債合計は、331,917百万円と前連結会計年度末に比べ34,346百万円減少いたしました。主な減少は、借入金15,796百万円、仕入債務及びその他の債務9,816百万円、未払法人所得税6,752百万円によるものです。資本合計は、891,259百万円と前連結会計年度末に比べ17,548百万円増加いたしました。主な増加は、親会社の所有者に帰属する当期利益65,212百万円、主な減少は、親会社の所有者への配当金の支払い28,649百万円、自己株式の増加21,016百万円によるものです。

以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前期末の62.3%から65.0%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

137,099

131,470

△5,628

投資活動によるキャッシュ・フロー

△73,838

△58,712

15,125

財務活動によるキャッシュ・フロー

△66,794

△83,865

△17,071

現金及び現金同等物の期末残高

261,054

253,092

△7,962

 

当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は253,092百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,962百万円減少しております。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、131,470百万円の収入(前連結会計年度は、137,099百万円の収入)となりました。主な収入は、税引前当期利益によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、58,712百万円の支出(前連結会計年度は、73,838百万円の支出)となりました。主な収入は、金融資産の売却及び償還による収入、主な支出は、金融資産の取得による支出、有形固定資産及び無形資産の取得による支出によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、83,865百万円の支出(前連結会計年度は、66,794百万円の支出)となりました。主な支出は、親会社の所有者への配当金支払額、自己株式の取得による支出、非支配持分への配当金支払額、長期借入金の返済による支出によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

セグメントの名称

生産高

(百万円)

前年同期比

(%)

パーソナルケア

775,135

△9.0

ペットケア

157,477

△1.0

その他

15,119

2.3

合計

947,731

△7.6

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、販売価格によっております。

 

(b)受注実績

受注生産を行っていないので、該当事項はありません。

 

(c)販売実績

セグメントの名称

販売高

(百万円)

前年同期比

(%)

パーソナルケア

774,428

△6.3

ペットケア

156,084

5.0

その他

14,755

3.9

合計

945,268

△4.4

(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)経営成績の分析

当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境は、参入国・地域ごとに景況感・消費動向が大きく異なり、米国における追加関税政策の不確実性や、中国市場における需要回復の遅れなど、予測困難な状況が続きました。

海外においては、出生数の減少や景況感により、消費者の生活防衛意識が高まり、ベビーケア関連商品の一部でダウントレード傾向が続いています。アジアにおいては、新興eコマース市場へのマーケティング投資や、激しい価格競争の影響により収益性が圧迫されました。特に中国においては、風評被害により一時的に販売機会が減少し、年間ではなお回復途上にあるなか、デジタルマーケティング施策や販売網を強化し、足元の動向では回復に向けた兆しが見られつつあります。一方、中東や北米など、堅調に推移した地域では、引き続き売上成長を維持しました。

国内においては、当社が取り扱う商品は生活必需品であることに加え、幅広いラインアップで多様なニーズに対応した結果、需要は安定的に堅調に推移しました。

このような経営環境のなか、当社グループは“世界中の全ての人々のために、快適と感動と喜びを与えるような、世界初・世界No.1の商品とサービスを提供しつづける”という基本方針のもと、「Love Your Possibilities」を掲げ、世界中の全ての人々が平等で不自由なく、その人らしさを尊重し、やさしさで包み支え合う、心つながる豊かな社会である「共生社会」=Social Inclusionの実現に向けて取り組みました。

 

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高945,268百万円(前連結会計年度比4.4%減)、コア営業利益108,884百万円(同21.4%減)、税引前当期利益105,386百万円(同21.7%減)、当期利益70,858百万円(同25.6%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益65,212百万円(同20.3%減)となりました。

 

(b)経営成績に重要な影響を与える要因

「3 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

(c)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度においては、一部海外連結子会社において為替リスク軽減等の観点から外部借入を行った以外は、営業キャッシュ・フロー(当連結会計年度は131,470百万円のプラス)を主要な財源としております。また、事業活動や投資、自己株式取得を含めた株主還元を目的とした資金需要はできる限り自己資金で対応できるように資金の流動性を十分確保するように努めております。

なお、当連結会計年度のキャッシュ・フロー分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

2026年度の設備投資資金についても、自己資金をもって充当する予定であります。

 

(d)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度及び翌連結会計年度より開始する第13次中期経営計画が目標とする主な指標の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度におきましては、アジア市場におけるEC化の進展や消費の二極化に対応すべく、機動的な重点投資を実行いたしました。あわせて、中国市場における度重なる風評被害の影響や、一部資産の減損処理、さらにはインドネシアにおける販売体制変更に伴う在庫調整などが発生し、足元の利益を圧迫いたしました。しかしながら、次期以降の懸念材料となるこれらの一過性リスクに対しては、当期において抜本的な対策を講じきっており、再成長に向けた確かな道筋をつけるに至っております。

これらを踏まえ、新たにスタートする「第13次中期経営計画」の初年度(翌連結会計年度)においては、単なる外部市場の回復や原材料市況の安定といった環境要因に依存するのではなく、当期に実行した中国でのEC改革やインドネシアでの正常化に向けた取り組みなど、「自社主導の構造改革の成果」を確実な成長ドライバーと位置づけております。一過性のマイナス要因の剥落とこれらの構造改革効果の確実な刈り取りにより、全社売上高1兆円の大台突破と実質的な増収増益軌道への回帰を果たし、新たな成長ステージを確立してまいります。

さらに、同計画における中長期的な経営戦略の核として、「3つのR」を通じた事業モデルの進化を推進いたします。第一に「Renaissance(高付加価値化)」として、AI・デジタル活用による新価値の創出やパーソナル提案を通じ、販売単価を持続的に向上させます。第二に「Rebirth(脱・製造業)」として、グローバルサウスを中心とした外部パートナー(OEM/ODM)の戦略的活用により、機動的かつ高効率な収益構造への転換を進めます。そして第三に「Resonance(共振)」として、全社横断的なデータ基盤の構築や業務プロセスの最適化により、組織の実行力と販管費の効率を最大化いたします。

これらの抜本的な構造改革を通じて収益性と資本効率を飛躍的に高め、当社が経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として掲げる「連結売上高1.5兆円」及び「コア営業利益率17%」、「ROE17%」の確実な達成に向けた歩みを進めてまいります。

 

 

 

前連結会計年度

(2024年度)

当連結会計年度

(2025年度)

第13次中期経営計画

目標(2030年度)

売上高

988,981百万円

945,268百万円

1,500,000百万円

売上高成長率

5.0%

(前年度比)

△4.4%

(前年度比)

(注)10.0%

CAGR

(年平均成長率)

コア営業利益率

14.0%

11.5%

17.0%

ROE

(親会社所有者帰属持分

当期利益率)

11.1%

8.3%

17.0%

(注)売上高CAGR(年平均成長率)は、為替変動の影響を除いた数値を目標としております。

 

(e)戦略的現状と見通し

当社グループを取り巻く経営環境は、参入国・地域ごとに景況感に差が見られ、予測困難な状況が続いていますが、主要参入国においては、経済状況の不透明感は残るものの、緩やかな景気回復を見込んでおります。

このような経営環境のなかで、海外では、各国・地域のニーズを捉えた商品の提供と、積極的な販売活動を通じて、市場を上回るスピードで成長し、活性化を図ってまいります。国内パーソナルケアにおきましては、インフレーションに関連してコスト高が見込まれることから、消費者ニーズを捉えた高付加価値商品の提供による価値転嫁を推進し、安定的な成長と収益性の改善に努めてまいります。

 

(f)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。

 

②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しております。

なお、重要性がある会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表に対する注記」に記載しております。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、ビジョン“Research Locally, Develop Globally”のもと、香川県観音寺市のテクニカルセンター及びエンジニアリングセンター等を中心に、各国の生活現場で「不快」を「快」に変えるニーズを掘り起こし、仮説・検証による価値創造を行っています。不織布・高分子吸収技術等のノウハウに加え、ペットケアにおける健康貢献や細やかなセグメンテーションに対応する技術開発を絶え間なく行い、マーケティング・開発・生産の三位一体体制でカテゴリーNo.1製品の育成と市場導入までのリードタイム短縮に取り組んでまいりました。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、13,611百万円(連結売上高比1.4%)であり、主な成果は下記のとおりであります。

 

(1)パーソナルケア

●ウェルネスケア関連商品

大人用排泄ケアブランド『ライフリー』より、『ライフリー うす型軽快パンツOrganicコットンタッチ(M/L)』を新発売いたしました。肌に触れる面がオーガニックコットン100%シートをおなか周りに搭載することで、ムレ、汗を吸収し、さらに肌に触れる内側の素材の摩擦を下着同等に抑えることで、布下着のようなやさしいはき心地を実現しました。『ライフリー下着の感覚Premium(M/L)』を新発売いたしました。おなか周りゴム0設計で締め付けを抑え、下着のような極上のはき心地を実現しました。『ライフリー ズレずに安心 うす型紙パンツ専用尿とりパッド(2回・4回吸収)』を改良発売いたしました。身体に密着して動きやすい「しなやかフィット設計」を新たに搭載しています。『ライフリー のび~るフィットうす型軽快テープ止めRefF※1(SM/L)』を新発売しました。この商品は、使用済み紙パンツをリサイクルしたパルプを一部使用しているのが特徴です。独自のオゾン技術によって高品質なリサイクルパルプを生成する「RefFプロジェクト」※1が2015年から始まり、2022年にはリサイクル原材料を用いた大人用紙おむつを発売しました。今回は製品ラインアップをさらに拡張し、テープタイプにも展開することで持続可能な社会の実現に努めてまいりました。

海外においては、タイにて当社大人用おむつにおいて初めての活性炭消臭技術を搭載したパンツタイプおむつ『Lifree Comfortable Absorb Pants)』を改良発売いたしました。ベトナムにおいては、お腹周りのムレ改善に着目し、通気口をウエストに搭載したパンツタイプ『Caryn Pants thin airy』を改良発売いたしました。中国においては、急激な高齢化に伴う介護初心者の増加に着目し、だれでも簡単に装着できる「おしりガイド」を新たに搭載した『楽互宜超強吸透气腰貼型成人紙尿袴(M/L/XL)』を改良発売しました。また、ブラジルにおいては、吸収体が垂れ下がりにくいパンツタイプおむつ『Lifree PANTS PROTEÇÃO PROLONGADA SUPER CONFORT(PM/GXG)』と『Lifree PANTS PROTEÇÃO PROLONGADA EXTRA ABSORÇÃO(PM/GXG)』を新発売いたしました。このほか、インドネシア・インド・サウジアラビアなどの開発拠点を中心に、現地のニーズにあった製品開発を行い、ラインアップの拡充を図るなど市場の活性化に努めてまいりました。

 

※1 「Recycle for the Future」の頭文字をとったもので、ユニ・チャームが展開する水平リサイクルのブランド名です。当社は持続可能な社会の実現に貢献するべく「使用済みの紙パンツを捨てないみらい」に向けてリサイクルに取り組んでいます。

 

●フェミニンケア関連商品

日本の生理ケア用品ブランド『ソフィ』から、昨年中国で発売を開始しましたショーツ型のナプキンで、外出時でもズボンを完全に脱がずに、手軽に交換できる着脱可能な開閉用タブ付きである『蘇菲 早安日早安袴』を輸入発売する形で『ソフィ 超熟睡おでかけ交換ショーツ(M/L)』を新発売いたしました。また、『ソフィ経血で鉄不足チェックできるキット』を新発売いたしました。経血で鉄不足の可能性を表示するテスターが入っているナプキンに貼るシートで鉄不足の可能性をチェックできます。『ソフィBe 超熟睡パジャマ(M/L)』を新発売いたしました。女性のことを考えたこだわりと機能を盛り込んだユニ・チャーム初のリカバリーウェアとなります。韓国においては、無漂白オーガニックコットントップシート、無漂白パルプ、無漂白ティッシュを活用した「吸収層まで無漂白」を訴求した環境配慮型ナプキンである『SOFY Nature organic(26㎝/29cm/42㎝)』を新発売いたしました。また、タイにおいては、『SOFY BAB KANG KENG DUENG PUP MAI PAP(M/L)』を新発売いたしました。ショーツ型ナプキンで吸収体が2枚重なっており上層を剥がすだけで簡単に交換できる商品です。このほか、インド・ベトナム・サウジアラビアなどの開発拠点を中心に、品質機能面での改良を図ってまいりました。

 

●ベビーケア関連商品

紙おむつ『ムーニー』ブランドから、赤ちゃんのデリケートな肌を保護したいというニーズに応え、素材から見直しを行った低刺激で安心な設計の新製品を発売いたしました。この商品は、肌トラブルを未然に防ぐため、肌への刺激を低減する工夫を施し、健やかな肌環境の維持と保護者の安心感向上に努めております。テープタイプに搭載されたうんち水分吸収シートは、2層構造のシートが低月齢期のゆるいうんちの水分を肌に接しない下層に吸収。うんちの広がりや、肌への付着を低減することができます。また、誰でも正しい位置に簡単に装着できる「おしりガイド」をMサイズにも新たに搭載いたしました。適切なサイズへの移行や装着をサポートし、利便性を大幅に高めております。さらに、育児に楽しさと喜びを提供する新デザイン「ハッピーおしりガイド」を導入し、視認性の向上とともに、日々の育児負担の軽減と満足度の向上を図ってまいりました。パンツタイプにおいては、保湿成分※1配合で肌への摩擦を低減するとともに、4つの成分※2を排除した無添加表面シートを採用し、さらに保湿・抗炎症効果のある3種の天然植物オイル※3を配合することで、デリケートな赤ちゃんの肌に安心な設計を実現しています。これらの製品展開を通じて、高付加価値市場のさらなる拡大とブランドの競争力強化に努めてまいりました。

『マミーポコパンツ』からは、独自の「グルーレス技術」をビッグサイズに導入し、製品価値と環境性能を刷新しました。超音波接着により接着剤(HMA)を削減し、年間約1,300トンの温室効果ガス排出を抑制。機能面では、伸縮性能の向上により「はかせやすさ」と「22kgまでの適応」を実現し、顧客満足度においても高い評価を獲得しました。持続可能なモノ創りを通じて、ブランドの競争力と環境価値の向上を図ります。

海外においては、タイにて通気穴を搭載した『Mamypoko Happy Pants』を新発売いたしました。東南アジア特有の気候によるおむつ内のムレへの懸念に対応するため、審美性とモレ性能を兼ね備えた通気穴を搭載し、赤ちゃんが1日中快適でいられるよう努めてまいりました。現地のニーズにあった高通気性製品の投入により、お客様満足度の向上と市場の活性化を図ってまいりました。ブラジルにおいては、3D Top Sheetを搭載した、『Mamypoko Fralda-Calça Dia&Noite』をリニューアルいたしました。拡大するプレミアムパンツ市場において、一晩中安心ニーズを強化することで、お客様満足度の向上と市場の活性化を図ってまいりました。またXXXG sizeを新発売いたしました。拡大する高月齢サイズ市場に対して新規参入いたしました。サウジアラビアにおいては、現地で不安の高い背中モレを防ぐうんちポケットを搭載した『BabyJoy Tape(NB/S)』を発売いたしました。低月齢期の大きな悩みである背中モレを防止する独自技術の搭載により、エントリー市場におけるブランドの競争優位性を強化し、お客様満足度の向上と市場の活性化を図ってまいりました。インドにおいては、『MamyPoko Pants All Night Absorb』にcoconut Oil配合による「Gentle Coco care」リニューアルを実施いたしました。成長途中にあるインドでの長時間使用による肌不安を解消し、市場活性化に努めてまいりました。中国においては、『moony皇家佑肌 (L/XL/XXL)』を新発売いたしました。従来品に対して厚みを30%薄くするとともに、腰の部分に24mmのハート型の大開口通気孔を搭載することで通気性能を向上させ、お客様満足度の向上を図ってまいりました。また『moony小羊駝 (XXXL/XXXXL)』を新発売いたしました。拡大する高月齢サイズ市場に対して新規参入いたしました。

 

※1 シートをなめらかにするために配合

※2 石油由来油剤・香料・ラテックス・合成着色料の4つの成分が無添加

※3 オリーブオイル、ホホバオイル、ライスオイルを配合

 

●研究成果

第一に、女性の睡眠課題に関する大規模な実態把握です。名古屋大学・広島大学・株式会社イデアラボ・早稲田大学・筑波大学・株式会社S'UIMINとの産学共同研究において、日本人女性のライフステージごとの睡眠の質を比較調査いたしました。その結果、乳児育児期の母親が最も深刻な睡眠課題を抱えていることが明らかとなりました。本知見は、日本睡眠学会第49回定期学術集会にて発表し、母子双方への睡眠改善支援の重要性を示唆する社会的意義の高い成果として位置づけております。

第二に、乳児の睡眠環境における温熱快適性の検証です。広島大学及び名古屋大学との共同研究により、体温調節機能が未熟な乳児に適した寝具の温熱特性を解明いたしました。放熱性に優れたマットレスとスリーパーを組み合わせたシステムが、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスク要因とされる「熱のこもり」を軽減し、睡眠と覚醒のリズムを司るホルモン「メラトニン」の分泌が増加する重要な時期の睡眠環境改善に寄与することを確認いたしました。本研究成果は「World Sleep 2025」及び「第34回日本睡眠環境学会学術大会」にて発表を行い、後者においては研究内容の新規性と実用性が高く評価され「研究発表奨励賞最優秀賞」を受賞いたしました。なお、本研究等の成果は、乳児用寝具『Moony寝具セット』の商品化・機能向上に活用されております。

 

以上の結果、当連結会計年度のパーソナルケアにおける研究開発費は、11,273百万円となりました。

 

(2)ペットケア

ペットケアにおける研究開発活動は、事業理念である“ペットが心身ともに健康で、ずっと一緒にいることができる幸せに溢れた生活を創造する”を基本に、ペットフード製品は兵庫県伊丹市にある当社工場内にて、ペットトイレタリー製品は香川県観音寺市にて、開発を行っております。

 

猫用フードにおいて愛猫の健康を願う飼い主様の想いが高く、中でも「お腹の健康」への高いニーズにお応えし、まずは猫用健康機能食『AllWell』から「10種の自然素材」シリーズを、次いで『銀のスプーン三ツ星グルメ』から「お腹の健康ケア」タイプとして、香ばしく焼き上げたドライ粒で、カリッとした食感と香りが楽しめる『銀のスプーン三ツ星グルメ 香るお魚仕立て』とお魚味クリームがドライ粒に絡み、香りと味わいが口の中で広がる『銀のスプーン三ツ星グルメ お魚味クリーム』を発売いたしました。また拡大している猫用おやつ市場においては、使用意向の高いドライタイプにおいて、「さまざまな食感や味を楽しめるおやつを与えたい」といったご要望にお応えして、かつお節チップ入りで3種類のおいしさを一度に楽しめる『銀のスプーン かつお節チップinクッキー』を新発売いたしました。さらに猫用おやつシリーズから健康機能を付加し成猫に必要な栄養をバランスよく摂取できる総合栄養食おやつの新タイプ『銀のスプーン おいしい顔が見られるおやつカリカリッチ 総合栄養食おやつ』と毛づくろい等で飲み込んでしまった毛の排泄を助けるために、食物繊維を配合した『銀のスプーン お魚味クリームどーにゃつ 毛玉ケア』を発売しました。

犬用フードにおいては、「自分の好きな食事でワンちゃん専用のものがあればうれしい」という人間の食事のようなワンちゃん専用のウェットフード『グラン・デリ おかず仕立てパウチ』から愛犬に食べてもらいたい人気のおかずのメニューを愛犬の好みや体調・気分に合わせて選べるバリエーション6種類『肉じゃが仕立て』『ポトフ仕立て』『そぼろ煮仕立て』『シチュー仕立て』『ミネストローネ仕立て』『茶碗蒸し仕立て』を発売しました。

海外においては、アメリカではECで先行販売をしていた猫用おやつ『Delectables Lickable Treat Gravy』、『Delectables Lickable Spoon』を実店舗で発売開始いたしました。『Gravy』は米国消費者の慣れ親しんだ食感で、ソースとしての使用イメージが強いことから、“与えすぎ不安”を乗り越えるポテンシャルがある新食感タイプであり、『Spoon』は“手が汚れるという”不満からウェットおやつをトライしなかったドライおやつ使用者”もきがるにトライできる新容器形態として発売しました。中国では、若い飼育者の「猫が喜んで食べること」を重視し、烏骨鶏と鱈の肉とエキスを使用し、独自技術で高い嗜好性と消化性を実現した『金勺双珍孔萃』を新発売しました。タイでは、自然志向と健康意識の高まりに応え、フリーズドライトッピング入りドライフードや健康機能付き製品を発売しました。さらに自身の食体験に近い厳選食材を使った高級感あるペットフードとして、タイで寿司屋を意味する『OMAKASE』というスプーンタイプも発売しました。インドネシアでは、「一緒に世界のグルメを楽しむ気持ちを感じられる」おやつ猫用おやつとしてインドネシア風スープ、イタリア風ツナチーズピザ、日本風刺身、アメリカ風チキンウィングの4つの味で『Deli-Joy Stick』を新発売致しました。

 

ペットトイレタリー製品においては、猫用システムトイレ『デオトイレ』の取替サンドとして、天然木を使用した『消臭・抗菌チップ(飛び散らない※1ねこ型チップ/慣れやすい小粒)』を新発売いたしました。ねこ型チップは、猫の顔を模した独自の形状(特許出願中)によりトイレの外への飛び散りを抑制するとともに、特許取得済みの撥水技術によって約1ヶ月間ふやけや崩れを防ぎ、清潔な状態を維持します。また、ニオイ菌の増殖を99.9%抑制※2する高い抗菌性能も備えています。さらに、鹿児島県志布志市及び大崎町で回収された使用済み紙パンツをリサイクルした高分子吸水材を原材料の一部に使用した『デオサンド 香りで消臭する紙砂RefF(リーフ)ピュアフローラルの香り』を新発売いたしました。これにより使用済み紙パンツ(紙おむつ)の全ての素材を活用できる技術※3を構築いたしました。環境負荷を低減しながら、既存品と同等の強力な消臭・凝固性能を実現し、サステナブルな製品展開を推進しております。

 

ペット用吸収ウェアにおいては、体重12~25kgの幅広い体形の中型犬にフィットする『マナーウェア長時間快適男女共用 中型犬用』を新発売いたしました。「ハイストレッチウエストギャザー」と「ワイドテープ」の採用により、活発な動きでもズレにくく、最長12時間の吸収性能※4で長時間の外出等でも安心してお使いいただけます。また、『マナーウェア 長時間快適 男の子用』をリニューアルし、胴回りに最大1.3倍まで伸びてやさしくフィットする「全面のび~るギャザー(特許技術)」を新たに搭載いたしました。改良された「しっかりテープ」により装着のしやすさを向上させるとともに、室内でも使いやすいルームウェア風のデザインに一新いたしました。(SSSはデザインのみ変更)

 

海外においては、中国市場におけるおむつラインアップの拡充や、ベトナム、タイ、インドネシアといったアジア圏を中心に地域のニーズに合わせた猫砂等の新製品投入を図っております。また、北米市場においては、Hartzブランドよりオス犬用マナーベルト『Hartz Comfitables Dog Wraps』を投入いたしました。本製品は、同市場初となる伸縮性に優れたウエストバンドの採用により、激しい動きでもズレない高いフィット感を実現したほか、独自の「FlashDry™(フラッシュドライ)」技術による最長12時間の吸収性能を備えております。大型犬の飼育が多い現地の市場特性に合わせ、最大85ポンド(約38.5kg)まで対応するサイズ(Lサイズ)をラインアップし、利便性とペットの快適性を両立させた高付加価値製品として展開しております。

 

※1 『デオサンド オシッコのあとに香りで消臭する砂』との比較

※2 ニオイ菌とは尿からアンモニアを発生させやすい菌を指します。第三者機関による抗菌性試験結果。なお、全ての菌を抑制するものではありません

※3 紙パンツ(紙おむつ)は、主に3つの素材(パルプ、プラスチック、高分子吸収材)で構成されており、全てのリサイクルを可能にした技術のこと

※4 健康なワンちゃんの12時間の平均オシッコ量を参考。ワンちゃんのオシッコ量には個体差があります

 

以上の結果、当連結会計年度のペットケアにおける研究開発費は、2,335百万円となりました。

 

(3)その他

不織布・吸収体の技術を活かした業務用製品分野の製品ラインを拡充いたしました。

 

以上の結果、当連結会計年度のその他における研究開発費は、4百万円となりました。