第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について、以下の事項を除き重要な変更はありません。

 

(当社株式の上場廃止リスク等について)

当社株式は、2023年11月30日付で株式会社東京証券取引所より以下のとおり特設注意市場銘柄に指定されており、上場廃止リスクがあります。これにより、当社グループの対応などにより、今後の当社グループの事業活動や業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

1. 特設注意市場銘柄指定の理由

株式会社東京証券取引所より以下の指摘を受けております。

株式会社アルデプロ(以下、「同社」という。)は、2023年9月28日、同社における不適切な会計処理に関する社外調査委員会の調査報告書を開示し、また、当該調査報告書を踏まえ、同月29日付で、過年度の決算内容の訂正を開示しました。

これらにより、同社では、代表取締役社長の主管であった不動産売買が、循環取引の一部を構成するものであったこと、また、循環取引に関し実態のない売上高、売上原価及び営業利益を計上する会計処理を行い、2023年7月期第3四半期の決算短信について、上場規則に違反した虚偽の開示を行っていたことが明らかになりました。上記の決算内容の訂正は、同社の同期間における売上高が5割以上減少し、営業利益が2割以上減少する水準でした。

さらに、同社は、上記調査報告書を踏まえ、2023年9月29日及び同年10月12日付で、複数の不動産売買に係る開示及び支配株主等に関する事項の開示を訂正しました。

これらにより、同社では、代表取締役社長の主導する複数の不動産売買が、同社の大株主により実質的に支配されている合同会社を相手方とする取引であったにもかかわらず、当該不動産売買に係る適時開示資料において資本関係及び人的関係がない相手方との取引である旨を記載しており、上場規則に違反した虚偽の開示を行っていたことが明らかになりました。また、支配株主等に関する事項の開示においても、当該不動産売買に関する適切な記載を行っておらず、上場規則に違反した開示を行っていたことが明らかになりました。

こうした開示が行われた背景として、本件では主に以下の点が認められました。

・ 過去に特設注意市場銘柄への指定を受けて策定された再発防止策について、特設注意市場銘柄の指定解除後、時間が経過する中で、その運用等に複数の不備が認められる状況が生じていたものの、経営陣はこれらを是正するための十分な対応を行っていなかったなど、不正防止のための牽制体制が適切に機能していなかったこと

・ 代表取締役社長による取引先名義の残高確認回答書の作成及び監査法人への提出や、取締役による取引先との契約違反の疑義がある行為の実施など、代表取締役社長を含む経営陣がコンプライアンス意識に欠けた行為を行っていたこと

・ 代表取締役社長が取締役会等に対して不動産売買の相手方である合同会社への匿名組合出資の実態等を秘匿したまま取引を行ったことにより、本来、密接な関係にある大株主が関与する取引について、取締役会にて行うべき取引の公正性や妥当性、関連当事者取引への該当性の有無などの適切な検証が行われておらず、内部統制の無効化が生じていたこと

本件は、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす会社情報について、上場規則に違反して不適正な開示が行われたものであり、同社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められることから、同社株式を特設注意市場銘柄に指定することとします。

また、本件は、過去に策定した再発防止策の実効性のある運用が継続されていなかった中で、コンプライアンス意識を欠いた経営陣により内部統制が無効化され、本来必要な検証が行われないまま虚偽の開示が複数年度にわたって行われたものであり、当取引所市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められることから、同社に対して、上場契約違約金の支払いを求めることとします。

 

2. 特設注意市場銘柄指定日

2023年11月30日(木)

 

3. 特設注意市場銘柄指定期間

2023 年11月30日から原則として1年間の改善期間の後、当社から株式会社東京証券取引所に「内部管理体制確認書」を提出して指定解除の審査を受け、当該審査の結果、内部管理体制等に問題があると認められない場合には指定解除となります。一方で、内部管理体制等に問題があると認められた場合は原則として上場廃止となりますが、その後の改善が見込まれる場合には特設注意市場銘柄の指定が継続され、6ヶ月間改善期間が延長されます。なお、特設注意市場銘柄の指定中であっても、実地調査等で内部管理体制等の改善見込みがなくなったと認められた場合には上場廃止となります。

 

4. 今後の対応

本件につきまして、株主・投資家の皆様をはじめとする関係者の皆様には多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、深くお詫び申し上げます。

当社は、2023年9月22日付で受領した、社外調査委員会による調査報告書の提言を踏まえた再発防止策等を、2023年11月末までに策定・公表する予定でおりました。

しかしながら、今回の特設注意市場銘柄指定を受けて、今後当社のガバナンス・内部管理体制を再整備し強化していくために、さらに踏み込んだ改善計画を策定し、1年の改善期間を経て、特設注意市場銘柄の指定解除が受けられるよう、実効性のある防止策を策定することが最優先事項であると判断し、2023年11月30日付での再発防止策の公表を延期いたしました。今後、実効性のある再発防止策の策定が完了次第、速やかに開示するとともに、引き続き、当社役職員一丸となって、皆様からの信頼回復に向けて尽力してまいります。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績に関する説明

当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、個人消費や企業収益等を中心に回復の動きがみられるものの、一部に足踏みがみられる状況となっております。また、地政学的リスクによる原材料価格の高騰や円安による輸入物価の値上がりなどに伴う消費者物価の上昇、世界的な金融引き締めの動きなど、先行きの景気動向には不透明感が存在しております。

こうした状況下、当社グループは東京都心部をはじめとする首都圏や関西地区を中心に権利調整案件や収益用不動産などの販売用不動産の売却活動及び仕入活動を進めてまいりました。当第1四半期連結累計期間は、今後の当社グループ業績の拡大のための源泉となる仕入活動に注力してまいりました。この結果、販売用不動産(在庫)は前連結会計年度末の123億83百万円に対して、当第1四半期連結累計期間末には135億99百万円に増加いたしました。売却については、関西地区に所在する販売用不動産を売却いたしました。

なお、当第1四半期連結累計期間において、販売用不動産の評価損の計上、貸倒引当金繰入額の計上、のれんの減損等を行い、売上原価に販売用不動産の評価損を3億56百万円、営業外費用に貸倒引当金繰入額を1億13百万円、特別損失にのれんの減損損失7億16百万円をそれぞれ計上いたしました。

以上から、売上高は6億50百万円(前年同期比32.8%減)、営業損失は7億53百万円(前年同期は56百万円の営業損失)、経常損失は9億56百万円(前年同期は1億2百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は19億80百万円(前年同期は99百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。

当第1四半期連結累計期間における各事業の種類別セグメントの概況は次のとおりであります。

①不動産再活事業

上記のとおり、関西地区に所在する販売用不動産を売却いたしました。また、販売用不動産の減損損失を計上しました。以上から、不動産再活事業の売上高は4億87百万円(同45.8%減)、営業損失は3億53百万円(前年同期は34百万円の営業利益)となりました。

②不動産賃貸収益等事業

不動産賃貸収益等事業は、当社グループが保有する不動産物件に係る受取賃料収入や収入手数料等で構成されております。不動産賃貸収益等事業の売上高は1億63百万円(同134.8%増)、営業利益は1億45百万円(同102.5%増)となりました。

 

(2)当期の財政状態の概況

(流動資産)

当第1四半期連結会計期間末における流動資産は166億97百万円(前連結会計年度末は167億79百万円)となりました。主な内訳としては、現金及び預金が24億35百万円(同39億28百万円)、販売用不動産が135億99百万円(同123億83百万円)などであります。

(固定資産)

当第1四半期連結会計期間末における固定資産は、9億23百万円(同23億79百万円)となりました。主な内訳としては、長期貸付金が8億16百万円(同8億16百万円)、繰延税金資産が3億19百万円(同7億16百万円)、のれんが1億71百万円(同9億9百万円)などであります。

(流動負債)

当第1四半期連結会計期間末における流動負債は、46億6百万円(同50億41百万円)となりました。主な内訳としては、短期借入金が6億50百万円(同5億円)、1年内返済予定の長期借入金が31億52百万円(同31億30百万円)などであります。

(固定負債)

当第1四半期連結会計期間末における固定負債は、67億24百万円(同53億70百万円)となりました。主な内訳としては、長期借入金が66億95百万円(同52億39百万円)などであります。

(純資産)

当第1四半期連結会計期間末における純資産は、62億89百万円(同87億47百万円)となりました。主な内訳としては、資本金が24億28百万円(同24億28百万円)、資本剰余金が2億94百万円(同2億94百万円)、利益剰余金が35億77百万円(同70億33百万円)、自己株式が△9百万円(同△10億8百万円)などであります。以上の結果、自己資本比率は35.7%(同45.7%)となりました。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期連結累計期間において、当社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(4)研究開発活動

該当事項はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。