第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第2四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第2四半期連結累計期間(2023年7月1日~2023年12月31日)における経営環境は、一部に足踏みもみられましたが、景気は緩やかに回復しました。しかしながら、円安、資源高等に起因する原材料価格およびエネルギー価格の上昇による物価高もあり、個人消費動向や企業収益における不確実性も高く、引き続き先行きが不透明な状況となりました。

 当社が属する情報サービス産業においては、堅調なソフトウエア投資が続いており、2023年12月13日に公表された日銀短観(12月調査)による2023年度ソフトウエア投資計画(全産業・全規模合計)は、2022年度と比較し、13.6%増と引き続き拡大傾向を示しました。

 

 当社グループにとっても、DXの実現を加速するAI(Artificial Intelligence:人工知能)、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、既存システムのクラウドシステムへの移行、システム開発のスピードアップを実現するローコード開発等の進展により、ビジネス参入機会の増加と事業領域の拡大に繋がりました。

 また、「サイバーセキュリティの対策強化」及び「業務効率化」のニーズは引き続き高まっており、これらに対して有効なソリューションを有する当社グループの追い風となりました。

 

 このような環境の下、当社グループでは、「5つの事業戦略」を掲げ、積極的な取り組みを継続しております。

 

  ・リノベーション(既存事業の改革による事業基盤の拡大・安定化)

  ・イノベーション(自社商品を軸とした新しい価値創造)

  ・競合から協業へ(協業による事業拡大)

  ・開発からサービスへ(サービス視点での事業拡大)

  ・人材調達・人材育成(採って育てる)

 

 また、当社は2021年8月20日に中期経営計画及びDITグループの2030年ビジョンを発表しました。2030年ビジョンでは、「信頼され、選ばれるDITブランド」の構築に向けてDITの将来像(DIT Services:ワンランク上の価値提供、DIT Spirits:プロフェッショナル集団)を掲げるとともにチャレンジ500(*)と銘打ち、下記経営目標を設定いたしました。

 

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 2030年6月期までの経営目標

 

オーガニックグロース

+新規事業・M&A等

売上高

300億円以上

500億円

営業利益

40億円以上

50億円

(*)チャレンジ500

2030年6月期に向け売上高500億円に挑戦!

 

 この2030年ビジョンの実現ステップとして、2022年6月期から2024年6月期を、次の成長を可能とする会社作り、仕組作りを推進することにより事業力を蓄える「事業構造改革の推進」の期間、2025年6月期から2027年6月期までの期間を、事業スタイルを確立させ、事業全般を成長軌道に乗せる「成長軌道の実現」の期間、また、2028年6月期から2030年6月期の期間を、全てのステークホルダーから信頼され、選ばれる「DITブランドの確立」の期間としています。

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■2024年6月期上半期業績概要

 上半期の売上は旺盛な需要に対応し、過去最高となりました。利益については、第1四半期の減益分を埋めることはできませんでしたが、第2四半期から増益基調に転じ、期初予想を上回りました。また、懸念となっていた不採算案件の収束作業は予定通り第1四半期で完了させることができました。一方で、昇給等の社員処遇改善に伴う費用及び関東地区、関西地区、愛媛で増床、函館事業所を開設するなど事業規模拡大に伴う費用が増加しました。

 2024年6月期は、今中期経営計画の最終年度にあたり、過年度から継続している「事業基盤の拡大・安定化」と「成長要素の拡大」の2軸をより強化した事業の推進を継続しています。

「事業基盤の拡大・安定化」については、ビジネスソリューション事業において、売上は伸ばすことができましたが、利益は前期に発生した不採算案件収束後の案件シフトに時間を要したことから、減益となりました。エンベデッドソリューション事業は、需要の高い車載関連事業に着実に対応し、売上・利益ともに伸ばすことができました。また、システム販売事業については、インボイス制度導入を追い風にした駆け込み需要があり、順調に売上を伸ばすことができました。

「成長要素の拡大」については、独自技術による自社商品であるWebセキュリティソリューション「WebARGUS:ウェブアルゴス」(*1)及びExcel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos:ゾブロス」(*2)については、サブスクリプションライセンスの売上を着実に積み上げることができました。また、電子契約サービス関連の売上が伸び、業績に貢献し始めました。

 

 以上の結果、当第2四半期連結累計期間における業績は、売上高9,575,383千円(前年同四半期比5.6%増)、営業利益1,198,562千円(前年同四半期比4.1%減)、経常利益1,187,763千円(前年同四半期比6.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は811,091千円(前年同四半期比9.1%減)となりました。

 

  (*1)Webセキュリティソリューション「WebARGUS(ウェブアルゴス)」は、ウェブサイ卜等の改ざんを発生と同時に検知し、瞬時に元の正常な状態に復元できる、新しい方式のセキュリティソリューションです。改ざんの瞬間検知・瞬間復旧により、悪質な未知のサイバー攻撃の被害から企業のウェブサイト等を守ると同時に、改ざんされたサイトを通じたウイルス感染などの被害拡大を防ぎます。

  (*2)Excel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos(ゾブロス)」は、Excelベースの非効率な業務を自動化します。これにより短期間で劇的に業務を効率化することができます。(Excel®は、米国Microsoft Corporation の米国及びその他の国における登録商標または商標です。)

 

セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。

 なお、以下の事業別売上高、セグメント利益(営業利益)は、セグメント間の内部取引相殺前の数値であります。

 

①ソフトウエア開発事業

 ビジネスソリューション事業分野(業務システム開発、運用サポート)の需要自体は旺盛で、売上は前年を上回りました。しかし、利益は運用サポートが業務システム開発の落ち込みをカバーしきれずに、減益となりました。

 業務システム開発では、金融の案件が回復基調を示し、公共、通信の案件及びローコード開発案件が増加しました。一方、医薬、ERPの案件が落ち込み、売上は前年並みとなりました。利益は、ERP関連が受注サイクルの谷間にあたり待機工数が発生、また、不採算案件の収束作業後の技術者のローテーションに時間を要し、減益となりました。

 運用サポートでは、事業領域の拡張と前期グループ入りしたシンプリズム社の増収増益により、前期の最高業績を更に上回ることができました。

 

 エンベデッドソリューション事業分野(組込みシステム開発、組込みシステム検証)は、車載関連が好調で、売上・利益を伸ばすことができました。

 組込みシステム開発では、半導体系が前年並みに留まるとともに車載系の量産開発の一部で受注の期ズレが発生したものの、車載系の研究開発、家電系のIoT関連が伸長し、売上・利益ともに前年を順調に上回りました。

 組込みシステム検証においては、車載系の検証業務が伸び、売上・利益ともに前年を着実に上回りました。

 

 自社商品事業分野は、自社商品のライセンスの積上げによる売上増及び電子契約サービス関連のライセンス売上及び周辺開発の売上増により、売上・利益ともに順調に伸びました。

 サイバーセキュリティビジネスについては、既存顧客のスケールアップによりライセンス売上が着実に増加し、売上・利益ともに前年を上回りました。また、脆弱性診断専門会社などと協業するなど、WebARGUSを核としたトータルセキュリティサービス(DIT Security)の拡販を進めるとともに、情報セキュリティで最大の脅威となっているランサムウェア攻撃等から重要データを確実に保護するセキュリティ製品「WebARGUS(ウェブアルゴス) for Ransomware(ランサムウェア)」について顧客となるターゲットを絞り込んだ営業を進めました。

 業務効率化ビジネスについては、既存顧客の他部署への横展開を推進するとともに前期から積み上げていたリード顧客の案件の取り込みに努め、売上・利益ともに前年を上回りました。

 コロナ禍のニューノーマルな社会でニーズが拡大した電子契約のアウトソーシング型サービス「DD-CONNECT」(ディ・ディ・コネクト)は、導入期から成長期に移行し、売上が増加し、利益に寄与し始めました。

 

 以上の結果、ソフトウエア開発事業の売上高は9,194,761千円(前年同四半期比5.0%増)、セグメント利益(営業利益)は1,156,109千円(前年同四半期比3.9%減)となりました。

 

②システム販売事業

 カシオ計算機株式会社製中小企業向け業務・経営支援システム「楽一」を主力とする販売ビジネスについては、2024年1月から義務化される「電子帳簿保存法改正に伴う電子データ取引データ保管」に向け営業を開始するとともに、インボイス制度導入の駆け込み需要により売上高は大幅に増加しました。一方、新規顧客開拓のために営業要員を増やすと共に販売促進費等が増加し、利益は微減となりました。

 

 以上の結果、システム販売事業の売上高は385,130千円(前年同四半期比12.9%増)、セグメント利益(営業利益)は42,453千円(前年同四半期比8.4%減)となりました。

 

当第2四半期連結会計期間末における財政状態の分析は以下のとおりであります。

①流動資産

当第2四半期連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ460,715千円増加し、7,838,965千円となりました。これは、主に現金及び預金が153,246千円、売掛金及び契約資産が225,874千円、仕掛品が37,818千円それぞれ増加したことによるものです。

②固定資産

当第2四半期連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ100,387千円増加し、898,762千円となりました。
これは、有形固定資産が31,775千円及び投資その他の資産が83,037千円それぞれ増加し、無形固定資産が14,425千円減少したことによるものです。

③流動負債

当第2四半期連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ120,840千円増加し、2,101,082千円となりました。
これは、主に買掛金が15,207千円、賞与引当金が45,241千円及びその他が63,071千円それぞれ増加し、受注損失引当金が12,110千円減少したことによるものです。

④固定負債

当第2四半期連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ40,913千円増加し、230,922千円となりました。
これは、主に株式給付引当金が13,935千円及びその他が26,606千円それぞれ増加したことによるものです。

⑤純資産

当第2四半期連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ399,349千円増加し、6,405,721千円となりました。これは、主に利益剰余金が511,596千円、自己株式が137,108千円それぞれ増加したことによるものです。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ186,523千円増加し、4,328,174千円となりました。

 当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益の計上(1,187,763千円)、売上債権及び契約資産の増額による支出(232,144千円)、賞与引当金の増額による収入(45,241千円)、未払金及び未払費用の増額による収入(41,164千円)、棚卸資産の増額による支出(45,587千円)、法人税等の支払額による支出(365,792千円)などにより666,826千円の収入(前年同四半期は790,603千円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出(2,748千円)、無形固定資産の取得による支出(8,739千円)、敷金及び保証金の差入による支出(56,469千円)、敷金及び保証金の回収による収入(16,300千円)などにより53,797千円の支出(前年同四半期は41,879千円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、リース債務の返済による支出(12,517千円)、自己株式の取得による支出(137,108千円)、配当金の支払額による支出(272,319千円)により421,944千円の支出(前年同四半期は394,958千円の支出)となりました。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当社は、ソフトウエア開発事業の一環として、新製品・新技術の研究・開発に取り組んでおります。当第2四半期連結累計期間については、2,312千円の研究開発費を計上しております。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第2四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。