当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
当社は、前連結会計年度まで5期連続で営業損失を計上したことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しておりますが、「2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための対応策」に記載のとおり、諸施策を実施していることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において当社が判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年12月31日)における世界経済は、ウクライナ情勢の長期化と中東情勢の緊迫化をはじめ、長引く資源価格高騰や主要各国におけるインフレの継続等、依然として油断を許さない状況が続いております。また、世界規模で進む気候変動問題に対しては、各国の脱炭素化の動きがますます活発となっており、自動車業界やプラスチック業界への影響が注視されます。
我が国経済においては、資源高騰に伴うエネルギーコストや輸送コストの大幅上昇と各資材価格の値上がり、為替相場の急変動、全国的な人手不足問題と人件費上昇等、継続して様々な経営課題が取り巻いております。
このような環境下、当社グループでは、コスト上昇に対応した売価の価格改定と製造現場の効率化、販売先および仕入先の新規開拓を進めてまいりました。また、当連結会計年度においては、第2四半期連結会計期間より新たに、M&Aの成立支援を目的として仲介及び助言を行う「M&A部門」を設立して事業を開始しております。
中期経営計画の最終年にあたる当年度において、既存事業の基盤強化と発展に努めるとともに、新規事業であるリサイクル事業の収益改善を進め、営業損益の黒字化を目指してまいります。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高946,474千円(前年同期比4.1%増)、営業損失39,829千円(前年同期は営業損失105,924千円)、経常損失25,178千円(前年同期は経常損失97,798千円)、親会社株主に帰属する四半期純利益172,849千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失123,596千円)となりました。
当社個別決算につきましては、前年同四半期累計期間との比較で売上高は同水準となったものの、損益面では健全化を見せ、営業損失が57,028千円、経常損失が65,748千円改善いたしました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
なお、各セグメントの営業損益は、各事業に配分していない全社費用105,142千円を配分する前の金額であります。
(紡績事業)
当第3四半期連結累計期間における当該事業の状況につきましては、得意先の在庫調整の影響を受け計画していた生産数量には至っていない一方で、前連結会計年度より進めていた加工費収入の価格改定が進んだことにより増収し、大幅な増益となりました。
主力のアラミド繊維製品においては、資材用途向けが海外他社との競合により計画より減産傾向にあるものの、防護衣料用途向けへ転換した結果、生産量は前年同期(2022年4月~2022年12月)と同水準の367tとなりました。
一方で、高級インナー向け紡績糸においては、生産量は前年同期より微減し53tとなりました。その他、ポリエステル等の他素材についても、当連結会計期間の下期より在庫調整の影響を受けて微減し、生産量は65tとなりました。
この結果、紡績事業の第3四半期連結累計期間の業績は、売上高290,234千円(前年同期比12.0%増)、営業利益17,500千円(前年同期比2,028.3%増)となりました。
(テキスタイル事業)
当第3四半期連結累計期間における販売状況につきましては、中東及び東アジア各マーケットにおいては現地での需要が供給を上回ったものの、委託加工先のスペースや人手不足との兼ね合いから染色及び出荷作業への遅れが生じており、希望した販売数量を消化するには至りませんでした。
引き続き成約済み契約の消化に注力していくほか、第4四半期以降は円高方向に傾いている為替相場の変動も注視しながら、現地需要を勘案した保管・輸送コストへの対応策を進めていく必要があります。
一方で、利益状況につきましては、国内仕入と海外販売に対する円安も寄与したことで増益となりました。
この結果、テキスタイル事業の第3四半期連結累計期間の業績は、売上高392,769千円(前年同期比7.9%減)、営業利益41,502千円(前年同期比18.9%増)となりました。
(ヘルスケア事業)
当第3四半期連結累計期間における当該事業の状況につきましては、子会社である株式会社中部薬品工業の商品別販売計画は順調に達成しており、特にのど飴関連の商品群が大手ドラッグストアでの拡充により好調に推移しています。一部において、新商品の販売開始が延期になったというマイナス要素はあったものの、全体として営業利益では黒字化を達成しております。
この結果、ヘルスケア事業の第3四半期連結累計期間の業績は、売上高101,862千円(前年同期比31.9%増)、営業利益3,194千円(前年同期は16,151千円の営業損失)となりました。
(リサイクル事業)
当第3四半期連結累計期間における当該事業の状況につきましては、中国を中心としたリサイクル市場の需給悪化があったものの、仕入価格の低減及び生産・販売量の安定確保を図りました。加えて第1四半期連結会計期間において大口転売品の商談が成立したことにより事業別の営業利益では黒字化を達成しております。
この結果、リサイクル事業の第3四半期連結累計期間の業績は、売上高161,608千円(前年同期比11.0%増)、営業利益3,262千円(前年同期は31,745千円の営業損失)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
総資産は前連結会計年度末より67,791千円増加し2,139,131千円となりました。これは主に、売上高の増加と支払いサイト長期化により受取手形及び売掛金が35,205千円増加し174,202千円に、テキスタイル事業での先行投資により前渡金が54,974千円増加し71,537千円になった一方で、減価償却により有形及び無形固定資産が11,355千円減少し1,299,873千円になった影響であります。
(負債)
負債は前連結会計年度末より154,255千円減少し957,148千円となりました。これは主に、借入金の返済により、短期借入金が108,000千円減少し431,500千円に、1年内返済を含む長期借入金が94,153千円減少し116,980千円になった一方で、ヘルスケア事業での商品の販売好調により支払手形及び買掛金が28,195千円増加し64,586千円に、課税所得の発生により未払法人税等が23,708千円増加し33,893千円になった影響であります。
(純資産)
純資産は前連結会計年度末より222,046千円増加し1,181,983千円となりました。これは主に、新株予約権の行使により資本金が25,131千円増加し1,223,447千円に、資本準備金が25,131千円増加し522,042千円に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が172,849千円回復し△984,878千円になった影響であります。
(3)優先的に対応すべき事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は5,958千円であります。
紡績事業については、取引先企業と共に生産品種の拡大等に取り組み、販売費及び一般管理費に5,785千円計上しております。
その他の事業については、抗菌・抗ウイルス糸の研究開発に取り組み、販売費及び一般管理費に173千円計上しております。
テキスタイル事業、ヘルスケア事業及びリサイクル事業については、研究開発費の計上はありません。
(5)継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための対応策
1「事業等のリスク」に記載の継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象に対応すべく、以下の対応策を実施しております。
① 紡績事業及びテキスタイル事業の強化
紡績事業は、取引先との連携強化、研究開発の迅速化により高機能繊維の開発及び生産効率の改善をより一層図るとともに、原燃料の高騰に対する加工費の改定に努め、利益率の向上を目指します。
テキスタイル事業は、グレードの多様化による販売強化に取り組み、採算性の向上を図ります。
② ヘルスケア事業のポートフォリオ変更
ヘルスケア事業は、海外向けに販売可能な商品の開拓、連結子会社である中部薬品工業を中核としたオーラルケア用品や健康補助食品の開発強化に取り組みます。
③リサイクル事業の強化
リサイクル事業は、営業人材確保による原材料の仕入強化及び製造設備の拡充による取扱い可能品目の多様化によって事業を拡大していき、売上と利益の拡大を図ります。
④ キャッシュ・フローの改善
運転資金面では、金融機関からの当座貸越契約により調達した資金を活用しているものの、新規設備や商品仕入の先行投資のため、キャッシュ・フローは継続してマイナスの状態にあります。引き続き、新株予約権行使促進等の資金政策を進めるとともに、投資の早期収益化に努めてまいります。なお、2023年1月17日に第三者割当による新株及び新株予約権の発行を決議し、同年2月7日に発行価額の払込を受け、同年8月23日に一部の新株予約権が行使されております。加えて2023年10月3日に保有する投資有価証券(非上場株式1銘柄)を売却していることから、今後の資金的余裕は担保しております。
これらの対応策を進めることにより、当第3四半期会計期間末において継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約の決定又は締結等は行われておりません。