当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」からの重要な変更は次のとおりであり、変更箇所は下線で示しております。なお、以下の見出し及び本文中に付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「事業等のリスク」の項目番号に対応したものです。
本項において、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、明示がある場合又は文脈上明らかな場合を除き、当四半期連結会計期間の末日現在において当行グループが判断したものであります。
当行グループが保有する金融資産・負債の多くは、市場の変動による価値変化等を伴うものであります。当行では、中長期的に収益の確保を図ることを目的に、資産・負債を総合管理するALM(Asset Liability Management)の枠組みの下、市場環境の変化、リスク・リターン等を踏まえた機動的なポートフォリオ運営を行っているほか、ストレス・テストや損益シミュレーション等を実施することにより、市場リスク等を適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、大幅な市場変動等により、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、中長期的な収益の確保を目的とした外国証券やオルタナティブ資産への投資等、運用の高度化・多様化が目的に即した結果を生まない可能性もあります。
特に、足許では、世界的な高インフレを背景とした米欧中央銀行の金融引き締めを受け、外貨金利の高止まり、これに伴う外貨調達コストの上昇等の影響が顕在化しております。加えて、国内及び米欧を始めとする海外の景気変動、今後の各国中央銀行の金融政策の動向、ウクライナ及び中東情勢の悪化、米欧の金融システム不安の高まり等に伴い、市場の大幅な変動や金融市場の混乱等が生じた場合には、当行グループの業績及び財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当行が保有する日本国債(2023年3月末日現在、38.1兆円・総資産額の16%)や外国証券(2023年3月末日現在、その他の証券(外国債券や主な投資対象が外国債券である投資信託等で構成)は78.3兆円・総資産額の34%)などの金融資産と、定額貯金を始めとする貯金や外貨を含む市場性調達の負債の期間や金利更改サイクル等には、差異が存在します。このため、金利(長期や短期の金利)の変動は、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の金融政策の動向により、低金利環境が長期に亘り継続し又は低下する場合、運用収益の減少に比して、相対的に貯金の調達コストが減少しないことにより、資金粗利鞘が減少し、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
特に、足許では、世界的な高インフレを背景とした米欧中央銀行の金融引き締めにより、海外短期金利が上昇し、国内外の金利差が拡大していることから、外貨調達コストの増加が顕在化しておりますが、今後も更に国内外の金利差が拡大した場合、当行グループの業績及び財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
また、市場金利及びクレジットスプレッドの変動は、当行の債券ポートフォリオ等の価値に影響を及ぼします。足許においては、米欧中央銀行の金融引き締め政策や、日本銀行によるイールドカーブ・コントロールの運用の見直しに伴う国内外の金利上昇により、当行グループの保有する債券等の価値が下落しております。加えて、今後の各国中央銀行の金融政策動向、国内外の景気変動、日本国政府の財政運営やその信認の変化等、様々な要因により市場金利が上昇(クレジットスプレッドが拡大)した場合、保有する債券等の価値下落によって評価損・減損損失、売却損や当行が保有する有価証券中の投資信託において収益認識できない特別分配金の発生等が生じる可能性があります。その結果、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この他、貯金について、急激な市場金利上昇等により、定額貯金(預入から6か月経過後は払戻し自由、3年までは6か月ごとの段階金利、それ以降は固定金利の10年満期・複利貯金)への預け替え等が発生した場合にも、調達コスト等の上昇等を通じて、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当行は、収益源泉・リスクの分散を目的に、運用の高度化・多様化の一環として国際分散投資を進め、外国債券や主な投資対象が外国債券である投資信託等の外国証券の保有が増加しております。これらのうち、外貨建て資産については、為替リスクを軽減する目的から通貨スワップや為替予約等によりヘッジ取引を行っておりますが、その一部については為替リスクを軽減するヘッジを行わない、又は短期のヘッジを行うことがあります。その結果、大幅な為替相場の変動が発生した場合、非ヘッジ部分に係る差損が発生し、又は通貨ベーシスの拡大が発生した場合、外貨調達コストが増加すること等により、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② LIBOR等の指標金利に関するリスク
当行グループは、2023年8月に、インハウス運用で保有するすべてのLIBOR参照商品のフォールバック対応が完了しており、当行グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす事態が起こる可能性は小さくなっていることから、重要性の観点から記載不要と考え、前事業年度の有価証券報告書及び当事業年度の第1四半期報告書に記載した本リスクは記載しておりません。
当行の四半期連結財務諸表と四半期財務諸表の差は僅少であるため、経営成績及び財政状態の状況に関する分析・検討内容の一部については、当行単体のものを記載しております。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、明示がある場合又は文脈上明らかな場合を除き、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
また、当行グループは、銀行業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当第3四半期連結累計期間の経済情勢を顧みますと、世界経済は、米欧中央銀行による金融引き締めの下、高インフレが徐々に鈍化し、米国を中心に底堅く推移しました。米国経済は、FRB(連邦準備制度理事会)による利上げが7月に行われた後、政策金利が高止まりする中においても、堅調な雇用を背景に個人消費が底堅く、プラス成長を維持しました。一方、ユーロ圏経済は、ECB(欧州中央銀行)による利上げが9月に行われた後、政策金利は据え置かれましたが、製造業の低調に加えてサービス業が鈍化し、低調に推移しました。日本経済は、物価高もあり内需の力強さを欠きましたが、外需の持ち直しもあり回復基調で推移しました。中国経済は、不動産市況や雇用情勢等の構造問題が燻る中、回復ペースは緩慢でした。
金融資本市場では、米国10年債利回りは、米国経済の底堅さが継続する中、FRBによる金融引き締め長期化観測が強まり、10月半ばには一時5%近傍まで急上昇しましたが、インフレ率の鈍化を受け2024年早期の利下げ観測が強まり、一転し12月末には3.7%台まで急低下しました。日本の10年債利回りは、日本銀行が7月末及び10月末にイールドカーブ・コントロールの運用を柔軟化したことにより、11月に0.9%台後半まで急上昇しました。その後、早期の金融政策修正観測が後退する中、12月には一時0.5%台半ばまで低下しました。
また、海外クレジットスプレッドは期間を通じ概ね縮小傾向で推移し、長期金利が急低下した11月以降、縮小傾向が強まりました。
外国為替市場では、日本と米欧の金利差拡大や金融政策の方向性の違いを背景に、対ドルでは11月半ばに151円台後半まで円安が進行した後、FRBによる早期利下げ観測の高まり等から12月末に141円台まで円高が進行しました。対ユーロでは円安基調が続き、6月半ば以降は概ね150円台後半で推移しました。
S&P500種指数は、米国景気が底堅く推移する中、7月末には4,500台後半まで上昇しました。その後は金利上昇等を背景に下落傾向に転じましたが、FRBによる早期利下げ観測が高まり、年末にかけ4,700台後半まで急上昇しました。日経平均株価は、6月に33,000円台まで上昇し、その後は企業決算や日本銀行の金融政策の見通しを見極めながら、振れを伴いつつも底堅く推移しました。
当行グループを取り巻く経営環境のうち、海外の金融経済環境については、インフレ高進を受けた米欧中央銀行による大幅な金融引き締めの継続により、外貨調達コストが高止まる等、厳しい経営環境が継続しております。
一方、国内の金融経済環境については、2023年以降、長期金利は上昇傾向に転じており、今後も上昇基調が継続した場合には、新規投資利回りの向上等による収益改善が見込まれます。
いずれにしましても、現下の金融経済環境は不透明な状況にあることから、ダウンサイドリスクには注意が必要であると認識しており、当行グループとしては引き続き、適切なリスク管理の下、安定的な収益の確保に努めてまいります。
当第3四半期連結累計期間の連結粗利益は、前年同期比3,123億円減少の5,609億円となりました。このうち、資金利益は、外貨調達コストの増加を主因に、前年同期比711億円の減少となりました。外貨調達コストの増加は、世界的な高インフレを背景とした米欧中央銀行の金融引き締めにより、海外短期金利が上昇し、国内外の金利差が拡大していることによるものです。役務取引等利益は、前年同期比38億円の増加となりました。その他業務利益は、外国為替売買損益の減少を主因に、前年同期比2,450億円の減少となりました。
経費は、前年同期比40億円増加の7,004億円となりました。
連結業務純益は、前年同期比3,164億円減少の△1,395億円となりました。
臨時損益は、株式のリスク調整オペレーションに伴う売却益の増加等により、前年同期比3,391億円増加の5,065億円となりました。
経常利益は、前年同期比227億円増加の3,670億円となりました。通期業績予想の経常利益4,700億円に対し、進捗率は78.0%となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、2,633億円と前年同期比158億円の増益となりました。通期業績予想の親会社株主に帰属する当期純利益3,350億円に対する進捗率は78.6%となりました。
(注) 1.連結業務純益=連結粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額
2.臨時損益とは、連結損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。
3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。
4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
6.金額が損失又は費用には△を付しております(非支配株主に帰属する四半期純損失を除く。)。
(a) 損益の概要(単体)
当第3四半期累計期間の業務粗利益は、前年同期比3,011億円減少の5,586億円となりました。このうち、資金利益は、外貨調達コストの増加を主因に、前年同期比600億円の減少となりました。外貨調達コストの増加は、世界的な高インフレを背景とした米欧中央銀行の金融引き締めにより、海外短期金利が上昇し、国内外の金利差が拡大していることによるものです。役務取引等利益は、前年同期比37億円の増加となりました。その他業務利益は、外国為替売買損益の減少を主因に、前年同期比2,448億円の減少となりました。
経費は、前年同期比37億円増加の6,985億円となりました。
業務純益は、前年同期比3,049億円減少の△1,398億円となりました。
臨時損益は、株式のリスク調整オペレーションに伴う売却益の増加等により、前年同期比3,424億円増加の5,071億円となりました。
経常利益は、前年同期比375億円増加の3,673億円となりました。
この結果、四半期純利益は、2,626億円、前年同期比226億円の増益となりました。
(注) 1.業務純益=業務粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額
2.臨時損益とは、損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。
3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。
4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
6.金額が損失又は費用には△を付しております。
(b) 国内・国際別の資金利益等(単体)
当行は、銀行業の単一セグメントであり、海外店や海外に本店を有する子会社(以下「海外子会社」)を有しておりませんが、円建の取引を「国内業務部門」、外貨建取引を「国際業務部門」に帰属させ(ただし、円建の対非居住者取引は「国際業務部門」に含む。)、各々の収益・費用を計上した結果、国内業務部門・国際業務部門別の資金利益等は次のとおりとなりました。
当第3四半期累計期間は、国内業務部門においては、資金利益は1,786億円、役務取引等利益は1,176億円、その他業務利益は39億円となりました。
国際業務部門においては、資金利益は3,631億円、役務取引等利益は△5億円、その他業務利益は△1,041億円となりました。
この結果、国内業務部門、国際業務部門の相殺消去後の合計は、資金利益は5,418億円、役務取引等利益は1,170億円、その他業務利益は△1,002億円となりました。
イ.国内業務部門
ロ.国際業務部門
ハ.合計
(注) 1.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前第3四半期累計期間9,734百万円、当第3四半期累計期間12,437百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額(資金貸借に係る利息)等は下表のとおりであります。なお、前事業年度末より、当該資金貸借に係る利息の算出方法を見直しております。
(c) 役務取引等利益の状況(単体)
当第3四半期累計期間の役務取引等利益は、前年同期比37億円増加の1,170億円となりました。
③ 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末における総資産は前連結会計年度末比4,340億円減少の229兆1,481億円となりました。主要勘定については、有価証券は前連結会計年度末比8兆6,623億円増加の141兆4,637億円、貸出金は前連結会計年度末比4,034億円増加の6兆78億円となりました。貯金残高は定額貯金等の残高減少を主因に、前連結会計年度末比443億円減少の194兆9,042億円となりました。
株主資本は、配当金の支払い及び自己株式の取得の一方、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により、前連結会計年度末比228億円増加しました。その他の包括利益累計額は、国内金利の上昇等に伴い、前連結会計年度末比1,002億円減少し、純資産は9兆5,786億円となりました。株主資本のうち、利益剰余金は2兆4,817億円となりました。
(a) 預金残高の状況(単体)
当第3四半期会計期間末の貯金残高は前事業年度末比448億円減少の194兆9,066億円となりました。
○ 預金の種類別残高(末残・構成比)
(注) 1.通常貯金等=通常貯金+特別貯金(通常郵便貯金相当)
2.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「振替貯金」は「当座預金」、「通常貯金」は「普通預金」、「貯蓄貯金」は「貯蓄預金」、「定期貯金」は「定期預金」に相当するものであります。「定額貯金」は「その他の預金」に相当するものでありますが、「定期性預金」に含めております。
3.特別貯金(通常郵便貯金相当)は独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(以下「郵政管理・支援機構」)からの預り金のうち、郵政管理・支援機構が日本郵政公社から承継した定期郵便貯金、定額郵便貯金、積立郵便貯金、住宅積立郵便貯金、教育積立郵便貯金に相当する郵便貯金で満期となったものなどであります。
(b) 資産運用の状況(末残・構成比) (単体)
当第3四半期会計期間末の運用資産のうち、国債は41.6兆円、その他の証券は83.3兆円となりました。
(注) 「預け金等」は譲渡性預け金、日銀預け金、買入金銭債権であります。
(c) 業種別貸出金残高の状況(末残・構成比)(単体)
(注) 1.「国内」とは本邦居住者に対する貸出、「国際」とは非居住者に対する貸出であります。
2.当行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。
3.「金融・保険業」のうち郵政管理・支援機構向け貸出金は、前事業年度末157,418百万円、当第3四半期会計期間末118,384百万円であります。
(d) 金融再生法開示債権(末残)(単体)
当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した主要な設備の計画は次のとおりであります。
2023年12月31日現在
当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。