(1) 会社の経営の基本方針
ミッション :働く女性を 最高水準のエデュケアと介護サービスで支援します。
サービスポリシー:「寄り添うように」 お客さまのこころの声を感じ、そのご要望に丁寧に応えるサービス
「慈しむように」 愛情と敬意に満ち、優しく包み込むようなサービス
「信頼に足るように」 他に換えることのできない確かなサービス
「妥協しないように」 果てしなき質の向上に挑み続けるサービス
当社グループは上記のミッションの下、創業以来、35年以上前から働く女性の支援を続けてまいりました。
昨今、国連が定める「持続可能な開発目標(SDGs)」に代表されるように、社会課題の解決が企業にも求められる時代となり、当社グループの経営方針及び提供するサービスが社会において重要な価値をもたらすものである事を改めて認識しております。
そこで、当社グループでは、2020年11月に株式会社日本総合研究所からセカンドパーティ・オピニオンを取得し、当社グループの社会課題解決に向けた対応状況を第三者の目から客観的に評価いただくとともに、今後の(経済的価値のみならず社会的価値を含めた)企業価値向上の契機としております。
また、SDGsは当社のミッションにも通ずる目標であると考えており、当社グループの提供するサービスにより、以下のそれぞれの目標達成に貢献してまいります。
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目標 |
ターゲット |
左記ターゲットに貢献する 当社グループのサービス・施策 |
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5.5「政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する」 |
・働く女性を支援することにより、女性の社会参画を増大 ・子育て経験をキャリアとして評価し、女性とシニアをナニー及びベビーシッターやケアスタッフとして活用。その他、年齢・性別・国籍・ハンディキャップにかかわらず多様な就業の場を提供 ・自社においても、全社員の89.5%、管理職の79.7%、取締役(子会社取締役を含む。)の41.2%を女性が占める(2022年12月末時点)など、女性活躍を自ら実践 |
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4.2「すべての女児及び男児が、質の高い乳幼児の発達支援、ケア及び就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする」 |
・「保育」から「エデュケア」へ保育理論、非認知能力の向上ノウハウを深化・体系化 ・将来グローバル社会で生きる子どもたちのために「0歳からのエデュケア」を実践 ・「最高水準」のサービス提供に向け、乳幼児教育において、ハーバード大学、スタンフォード大学、ノーランドカレッジ、東京大学、お茶の水女子大学など国内外の教育機関やその研究者との共同研究や研修を実施し、世界最先端の教育科学を保育に取り入れる ・国や自治体からの委託を受け、保育士再就職支援事業(厚生労働省)や、サービス産業生産性向上調査事業(経済産業省)、子育て支援方策に関する調査研究(文部科学省)等の調査やコンサルティング、研修事業(年間60,000人以上参加(2022年度))を実施 |
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8.1「各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる」
8.5「2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する」
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・保育/学童施設331ヵ所(2022年12月31日時点)の運営、ナニー及びベビーシッターサービス提供を通じ女性の社会参画を支援 ・お茶の水女子大学大学院に「ポピンズ保育マネジメント講座」を開設(2021年4月開講)し、保育士の地位向上を図る ・地方採用も積極化し、地方から三大都市圏(東京都・大阪・名古屋)に転居して働く人に向けて借上げ社宅などのサポート施策を準備(2022年12月末現在270件) ・保育士の処遇改善(大卒保育士の初任給業界最高水準)や福利厚生(自社サービスの割引利用他)の充実 ・残業時間の軽減(目標月平均7時間、2022年度実績6.9時間) ・人材育成を重要な経営課題と捉え様々な教育機会を提供(海外研修に自社社員派遣含めのべ約500名参加(英ノーランドカレッジ海外研修(1994年~)、米スタンフォード海外研修(2006年~)、米ハーバード海外研修(2007年~)の累計参加者数)、オンライン開催となった2020年度~2022年度分を除く。) |
(2)目標とする経営指標
当社グループは、事業の収益性を評価し、グループ全体の経済価値向上に寄与することから、経営指標として売上高と営業利益率を重視して経営しております。
(3)経営環境
日本では、少子高齢化に伴い労働者不足の加速化が予想されるとともに、産業構造の変化により多様な人材を活用していくことが必要不可欠となったことから、女性の活躍促進が一層求められております。
安倍政権が「女性が輝く社会」政策を打ち出した2013年時点で2,411万人だった女性の雇用者数は、以降拡大を続け、2022年には2,765万人まで354万人も増加しております。(注1)
こうしたなか、我が国は成長戦略の1つとして女性が輝く日本を念頭に「待機児童の解消」「職場復帰・再就職の支援」「介護離職ゼロ」に向けた対策が進められていることもあり、当社グループの展開する事業領域の各市場は以下のように拡大していくものと認識しております。
①子育て支援
ⅰ)チャイルドケアサービス(ナニーサービス・ベビーシッターサービス)
欧米等の海外では、ナニーやベビーシッターは一般的なサービスであります。日本においても、待機児童対策として保育施設の整備が急ピッチで進められる一方、女性の社会進出やベビーシッター利用への社会的認知度の向上を追い風として、個別保育の長所を活かした様々なサービスとともに、保育所や学童施設では対応できない、送迎や病児・病後児保育、産前・産後ケアなどの個別支援ニーズへの対応が可能であることから、子育て市場の成長とともにベビーシッター市場は急速に伸長しております。
ベビーシッター市場の年間売上高は、当社独自の推計(注2)によれば、2020年の320億円から2030年には1,000億円規模に到達するものと推定しております。
当社グループのベビーシッターサービスの2022年12月期の年間売上高が、前期比2倍超に増加するなど、利用拡大が急速に進んでおりますが、海外事情の浸透やベビーシッターの認知度の向上、マッチングサービスの発展等による使い勝手の向上等により、今後も日本におけるベビーシッター市場のさらなる拡大が期待されると考えております。
ⅱ)エデュケア事業(保育所)
待機児童対策のため保育所の新規開設が拡大してきており、保育所定員並びに保育所利用者数ともに2013年時点でそれぞれ229万人、222万人から、2022年時点でそれぞれ304万人、273万人と大幅に伸びております(注3)。一方で、2021年時点の待機児童数は2,944人(前年比2,690人)と、前年に引き続き大幅に減少しましたが、これは新型コロナウイルス感染症の影響により、保護者が自身の復職時期を先延ばしするなどして保育所への入園を控える問題を指す『預け控え』の影響が大きいと考えております。今後、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、引き続き女性の就労率の上昇や、非正規雇用者の正規雇用化が進むことが想定されるため、保育所の整備が進んでも潜在的な待機児童数の高止まりは継続すると見込んでおります。
待機児童解消と職場復帰支援に向けては、政府は2020年12月21日に「新子育て安心プラン」により、2021年度から2024年度末までの4年間で約14万人分の保育の受け皿を整備することを発表しました。
矢野経済研究所によれば、保育施設等の市場規模は2015年の3.7兆円から2021年の4.7兆円まで拡大しており、2023年には4.8兆円まで引き続き漸増することが見込まれております(注4)。「新子育て安心プラン」に沿って、政府が掲げる25歳~44歳の女性就業率の目標値が82%(2025年)まで引き上げられていることも踏まえ、当面の間、同市場は緩やかな拡大が継続するものと考えております。
保育の受け皿不足が解消した後もしばらくは保育需要が同程度続くとの意見はありますが、少子化の影響を受け、また、コロナ禍の影響にも加速され、その減少が顕在化しつつあると考えております。既に保育需要の拡大はピークアウトしており、競合間での競争・淘汰の時代に突入しておりますが、保護者向けのアンケートでも、保育所を選ぶ際に最も重視する点は保育の質という結果が出ており、当社の最大の差別化ポイントである質の高さが一層の強みになってくると考えております。当社グループはミッションに掲げるように、創業からサービスのクオリティを常に意識し、研修・教育により日々研鑽を重ねてきたことやフルラインナップで働く女性を支えるサービスを提供している事業安定性から、保育所が選ばれる時代の到来は、当社グループにとって好機であると捉えております。
②シルバーケアサービス(高齢者在宅ケア)
国内介護市場規模は、2014年の8.6兆円から2025年には18.7兆円程度まで拡大すると見込まれており、財政問題を背景に社会保障費を少しでも抑えるため、在宅サービスの充実が求められていることから、介護保険と介護保険外を含む在宅介護も大きく伸びると予測されております(注5)。
また、総務省「就業構造基本調査」によれば、働きながら介護をしている人の数は約350万人にのぼり、企業で働く従業員の約10%が介護をしていることになります(注6)。一方、厚生労働省「雇用動向調査」によれば、介護・看護を理由に離職している人は年間約10万人とされております。2025年には総人口に65歳以上が占める割合である高齢化率は30%を超え、現役世代の介護問題がさらに深刻化することで、経営パフォーマンスに大きな影響が出ると予想されており、介護サービスの拡充は日本経済においても喫緊の課題であると言えます。なかでも社会保障費の伸びを抑制する潮流のなかで、当社グループが行う介護保険外の在宅介護や介護予防となるアクティブシニア向けの生活支援への期待は一層高まっていくものと考えられます(注7)。
さらに、年間250万人が生まれた団塊の世代が、現在70歳代半ばに差しかかっていることから、シルバーケアサービス市場の一層の拡大を見込んでおります。
(注)1 総務省「労働力調査(2023年1月31日)」
2 国立社会保障・人口問題研究所 「日本の将来推計人口(平成29年推計)」、厚生労働省「2021年国民生活基礎調査」、全国保育サービス協会「ベビーシッターNOW2022」、リンナイ「世界5カ国の「ワーキングママの育児事情」に関する意識調査(2019年)」、ほかに基づき当社独自推計
3 厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ(2022年8月30日)」
4 矢野経済研究所「保育・幼児教育市場の実態と展望 2023年版(2022年12月27日)」
5 デロイトトーマツフィナンシャルアドバイザリー「ライフサイエンス・ヘルスケア 第5回 国内介護市場の動向について(2017年1月25日)」
6 総務省「就業構造基本調査(2018年)」
7 厚生労働省「雇用動向調査(2021年)」
なお、2022年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、感染力が極めて強いオミクロン株が過去の感染ペースを上回るスピードで拡大しました。7月以降、感染者数が再拡大し過去最高を記録しましたが、社会経済へのマイナス影響は限定的なものとなりました。
また、2023年5月8日以降、新型コロナウイルス感染症について、感染症法上の扱いが季節性インフルエンザと同等の5類へ移行される見通しとなっております。当社グループにおいても、各事業によって影響は異なりますが、今後については感染の一時的拡大によっても業績への大きな影響は生じないものと想定しております。
(4)経営戦略の基本方針
当社グループでは、ミッションの貫徹、及び今後の成長を目指して以下の3点を経営戦略の基本方針として事業を進めております。
①働く女性のサポート(ライフステージに応じた切れ目のないサービスラインナップ)
当社グループは、ナニーサービスにより事業を開始して以降、ミッションである『働く女性の支援』を具体的なサービスに落とし込み、ワンオペ育児・お受験・小1の壁、親の介護など、働く女性のライフイベントにおいて直面する離職の危機に対して、子育て・介護・家事支援・不妊予防(妊活)・ペットケアまで、一貫して女性の生涯をサポートするソリューションを提供しております。
②クオリティ(最高水準のエデュケアと介護サービスの品質維持向上)
当社グループは、ミッションとして「働く女性を 最高水準のエデュケアと介護サービスで支援します。」を掲げており、常に最高水準のサービスをお客様に提供することを意識し、これまで様々な施策を実行してまいりました。その結果として、あらゆる場面で評価を頂いてまいりました。
当社グループの具体的な品質維持向上施策は以下のとおりであります。
・1999年に育児・介護サービス業界では全国初となる国際品質規格ISO9001(品質マネジメントシステム)の認証を取得いたしました。その過程で品質目標設定・実行・評価・改善というPDCAサイクルによる品質マネジメント体制が整備され、顧客満足度の視点からサービス品質の向上を実現する事に繋がりました。その結果、2022年度に実施した当社グループの保育施設のご利用者による満足度アンケートでは、全施設平均で98.2%の方から満足との評価をいただき、また全施設のうち7割において全員満足と回答されました。
・当社グループでは、お客様の緊急性・利便性・安心感にお応えするナニーサービスを提供するため以下4点の実現を心掛けております。
A) ICT(PC/スマホ)を活用した24時間365日対応の実現
B) 当日オーダー100%に応える最適なナニーとのマッチング
C) コーディネーターによる入会訪問
D) お子様が病気の時でも対応
・運営施設数が増加する状況でも、優秀な人材の採用や育成の強化、及び、諸施策を通じた長期雇用の促進により、保育士、ナニー及びベビーシッター、介護スタッフ、家事支援スタッフの質の維持・向上を図っております。具体的な施策としては、ジョブディスクリプションによる各職位における職務内容や人事評価制度の精緻化、処遇改善等を行っております。
上記諸施策の結果、2016年6月には、約30年、働く女性の支援のために高品質のナニーサービスを提供し続けてきた功績が認められ、第一回日本サービス大賞(注9)厚生労働大臣賞を受賞いたしました。
また、スマートシッター株式会社(現 株式会社ポピンズシッター)は、2017年12月、日経DUAL「マッチング型ベビーシッターサービス」ランキングにおいて「質・信頼性」や「料金」等が評価され、1位に選ばれました。2018年にはキッズデザイン賞(子ども達を産み育てやすいデザイン部門)を受賞しました。
子どもたちにとっての創造的な空間づくり(環境設定の質)等が評価され、2020年にはポピンズナーサリースクール恵比寿南、2021年にはポピンズナーサリースクール代々木上原がキッズデザイン賞(子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門)を受賞しました。さらに、2022年にはポピンズナーサリースクール阿佐ヶ谷が、キッズデザイン賞(同部門)及びグッドデザイン賞をダブル受賞いたしました。
2021年4月からは、お茶の水女子大学の大学院に国内初の産学連携による保育マネジメント講座を開設し、主に現場で働く保育士が経営学を含む専門的な理論や知識なども学べるようにして、女性の社会進出に伴い、需要が高まるとともに保護者からの求めが多様化している保育サービスの質を底上げしてまいります。
2019年10月の幼児教育無償化において、ベビーシッターも対象となりましたが、その質の向上は今後の課題とされました。国も資格や一定の研修受講などの基準をつくり、受講状況などを確認できるシステムを開発するとしておりましたが、当社グループとしても30年間の経験を活かし、ナニー及びベビーシッターに必要な知識や技能の見える化を実現するため「ポピンズナニースクール(教育ベビーシッター養成講座)」と、その修了者を認定する「ポピンズナニー検定」を2019年4月よりスタートしております。
また、2021年8月には、東京都より、当社グループのナニー/ベビーシッター向け自社研修が、民間企業として初めて国認定研修(注10)として認定を受けました。さらに、2022年9月には、東京都ベビーシッター利用支援事業の指定研修としても追加認定されたことにより、当社グループの自社研修がナニー・ベビーシッター関連の二大助成金事業の指定研修として国及び東京都に認められました。
これにより、当社グループの自社研修を受講すれば、いち早く「認定ナニー/ベビーシッター」として活躍いただけるようになりました。さらに、当該自社研修の、当社グループ外のベビーシッターへの外販も進めることで、ベビーシッター業界全体のクオリティの向上にも貢献してまいります。
これからも、当社グループの最高水準のサービス品質をさらに向上させてまいります。
(注)9 日本サービス大賞とは、日本生産性本部が主催し、総務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省が後援する「革新的な優れたサービス」を表彰する日本初の制度です。最優秀賞である内閣総理大臣賞をはじめ、サービスを管轄する各省の大臣賞、地方創生大臣賞などの各賞により、日本国内の”きらり”と光る優れたサービスを幅広く表彰します。ナニーサービスの授賞理由としては、「30年近く、働く女性の支援のため高品質のシッターサービスを提供し続けており、女性の活躍に大きく貢献するサービス。ナニー(教育ベビーシッター)の採用、教育、動機づけ、顧客との関係づくりなど、高品質サービスをつくりとどける工夫に加え、ICTを利活用した24時間365日の受付、最適なシッターとのマッチングなど利用者の利便性向上を追求している。顧客の状況に応じてサービスを提案するなど、個別ニーズにも応える高信頼のサービスである。」とされています。
10 内閣府ベビーシッター割引券などの国の助成に対応するベビーシッターは、保育士または看護師の資格を保有しているか、または厚生労働省が指定する研修を修了することが必須とされています。
③利益成長
ⅰ)事業シナジーを活かしたポートフォリオ経営
当社グループは、子育て支援と介護支援という働く女性にとり必要不可欠なサービスを提供してきたことにより、創業から継続して売上高成長を実現し、特に、新型コロナウイルスの影響を受けた2020年12月期を含む直近5年間においてもCAGR(年平均成長率)11.3%成長を果たしてまいりました。
当社グループの事業は、下図に示すような事業ポートフォリオで構成されており、安定的な成長が見込めるエデュケア事業を「事業基盤」として、社会的ニーズが高いファミリーケア事業を「成長ドライバー」、グループ内の知見を集め、実践的な教育研修を行うプロフェッショナル事業を「育成事業」とし、新規事業である不妊予防事業、ペットケア事業などを展開することで、事業シナジーを生かしたポートフォリオ経営を実践し、当社グループ全体で高い利益成長を目指してまいります。
新規事業への取り組みは、当社グループにとって継続的に重要な取り組みであり、これまで働く女性をフルラインでサポートするため、スマートシッター株式会社(現 株式会社ポピンズシッター)の買収によるベビーシッターとお客様との直接オンラインマッチングサービスの導入や、株式会社ウィッシュの買収による学童事業・人材派遣業への進出等、事業領域の拡大とポストマージャ―インテグレーション(PMI:買収後の事業統合)により、収益性向上と利益拡大を図ってまいりました。
加えて、「ポピンズプラス」というこれまでより付加価値の高いプログラムも2020年7月より提供を開始致しました。具体的には、オンラインも活用した元オリンピック選手やダンサー等のアスリートによる運動・ダンスプログラムやネイティブによる英語レッスン、そして、当社保育施設等で行っている多文化教育をヒントにオンラインで世界各国を訪ねるワールドツアーズ等を有料のオプションサービスとして提供しております。
さらに、2021年6月には不妊予防に関するポータルサイトと企業研修サービスを提供する不妊予防事業を、2022年9月には、ペットケアサービスを、新規事業として開始しております。
これら取り組みによりライフステージに応じて変化する、働く・働きたい女性の課題に切れ目なく対応する当社グループの事業形態の一層の充実について、オーガニック成長(自社内に蓄積された商品やサービス、人材、技術など、既存事業の内部資源をいかした収益拡大)に加えて、M&Aの活用を図り、他社のサービススコープには見られないユニークなビジネスモデルを追及してまいります。
ⅱ)デジタルトランスフォーメーション(注11)(ICT、AIの活用による生産性向上とビジネスの拡大)
当社グループではQRコードによる入退室管理、園と保護者をつなぐ連絡帳の電子化といったICTによる保育現場の生産性向上の取り組みも2015年からスタートしております。
2019年3月には、ベビーシッターをWebから予約できるオンライン型派遣サービス「ポピンズシステム」のアプリ対応版「ポピンズアプリ」を自社開発いたしました。「ポピンズアプリ」は当社グループが提供するサービス全体の窓口となる機能を有しており、保育・育児・介護サービスをワンストップサービスでご利用いただけます。さらに、豊富な顧客データベースを活用することにより、育児や介護をしながら働く女性のために、ライフステージにより変化するご利用ニーズに応じたご提案やマーケティングを行うことでシナジー効果を創出しております。
将来的には自社システムを拡張していくほか、さまざまな情報を集約し、データ分析による予測サービスなどを提供していくなど、デジタルトランスフォーメーションによる生産性向上に取り組む方針であり、この活動を全社的かつ戦略的に推進し、ビジネス拡大に繋げる目的で2020年1月にはデジタルトランスフォーメーション部(DX部)を新設致しました。
同部の推進により、以前から準備を進めていたオンライン保育のスタートが、新型コロナウイルスの影響で休園や登園自粛となった施設の利用者からのニーズにより早まり、2020年3月よりオンラインによる読み聞かせやダンス等の通常の保育サービスだけでなく、英会話や運動クラス等の有料プログラムも随時提供を開始しており、オンライン保育とリアルな保育の組み合わせによるハイブリッド型保育をいち早く導入し、いつでもどこでもポピンズのエデュケアを提供することが可能です。これらに加えて、今後、新技術にも積極的に投資してまいります。まずIoTの活用策として、保育施設において午睡チェックシステムや検温システムを導入して業務効率化を推進しております。
また、2021年7月には、子会社を含めた事業横断で当社グループの擁する人財情報をデータベースで一元化する「人財データベース(人財DB)」を、2021年11月には「お客様データベース(顧客DB)」をそれぞれ自社構築し、運用を開始いたしました。人財DBは、保育業界に先駆けて、DXにより従来事業部ごとに管理していた総勢1万人規模(ナニー、ベビーシッター、ケアスタッフ等の業務委託契約者を含む。)におよぶ当社グループの保育人財のさらなる高度化、採用・配置・育成・再配置等の最適化、「安い・きつい・長い」保育業界の3重苦解決を図るものです。また、顧客DBは、従来サービス毎に保有していたお客様情報を、当該DB構築により情報管理を一元化し、働く女性の支援のために、ナニーサービス、ベビーシッターサービス、保育所・学童サービス、教育研修サービスなど当社の有する様々なサービスのクロスセル、強化を加速するものです。
当社グループでは、人財DBと顧客DBを掛け合わせて活用し、ナニーサービスとシルバーケアサービス間のクロスセル、ナニー/シッターとお子様・保護者様とのマッチングロジック進化、ナーサリーでのお子様の特徴に応じたカリキュラムや働きかけの提供、ポピンズプラスのメニュー開発(お客様ニーズを捉えて適切な保育人財をアサイン)などに取り組んでおり、今後、さらなる活用を推進してまいります。
さらにデジタルトランスフォーメーションへの取り組みとして、自動マッチングAIの開発により、ナニー・ベビーシッターのマッチング精度を向上させるとともに、音声自動予約による生産性向上を目指します。その次のステップとしては、情報共有AIの導入により、AIが情報解析のうえコーディネーターや保育士に当社のエデュケアノウハウに基づく推薦案を提示することで専門的かつ臨機応変な対応を可能とし、近い将来には、お客様とコンシェルジュの双方向のコミュニケーションを支援するAIコンシェルジェの開発を目指すことで、お客様の期待を超えるサービスを提供してまいります。
(注)11 “デジタルトランスフォーメーション”は2018年経済産業省で以下のように定義されております。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
(5)中期経営計画
当社グループでは、2023年12月期~2027年12月期に係る中期経営計画を策定しております。
利益率の高いファミリーケア事業が成長ドライバーとなって、全社の売上高及び利益成長をけん引し、オーガニック成長(自社内に蓄積された商品やサービス、人材、技術など、既存事業の内部資源をいかした収益拡大)で2027年12月期の業績目標を売上高350億円・営業利益率10%としております。また、厳選したM&Aを含め売上高500億円以上を目指してまいります。
成長ドライバーのファミリーケア事業では年平均成長率(CAGR)は約17%、事業基盤であるエデュケア事業では学童中心に安定的な成長を目指し年平均成長率は約3%、育成事業であるプロフェッショナル事業では年平均成長率は13~15%を見込んでおります。
(6)気候変動への取り組みとTCFDへの対応
当社グループは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:Task force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に賛同するとともに、気候変動関連リスク及び機会が当社グループの事業に及ぼす影響の把握、及び分析を行い、気候関連の適切な情報開示を行ってまいります。
当社グループは未来を創り、グローバルに羽ばたくお子様や、日本の礎を築き走り抜けた方々、そして、働く女性の皆様が健やかに生活できる世界を維持するために、気候変動に対しても何が出来るのかを考え、その抑制に寄与してまいります。
(TCFDの提言に基づく4項目についての情報開示)
①ガバナンス
当社グループでは、気候変動を含むサステナビリティ課題について、全社横断的な対応を推進するため、経営企画担当取締役を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置いたしました。サステナビリティ委員会は原則年3~4回開催され、サステナビリティ課題に対する基本方針や重要事項について審議・検討を行います。
また、審議された内容は、原則年に1回取締役会へ報告し、事業活動や財務に重大な影響を与えると判断された事項については、取締役会にて、その対応方針や施策を審議・決議いたします。
また、当社グループは「ダイバーシティ&インクルージョン推進委員会」を設置しており、『働く女性の支援』という社会課題の解決をリードする企業を目指し、誰もが自分らしく活躍できる組織の実現に取り組んでおります。
今後は「サステナビリティ委員会」と「ダイバーシティ&インクルージョン推進委員会」が連携しながら、社会の変化に対応した持続的な企業価値の向上を実現してまいります。
当社グループのサステナビリティ推進体制
②戦略
TCFD提言では、気候変動に起因する事業への影響を考察する為、複数の気候関連シナリオに基づき検討を行う「シナリオ分析」を行うことが推奨されており、当社グループでも不確実な将来に対応した戦略立案・検討を行うために分析を実施いたしました。
また、自社への影響のみならず、ターゲットとする「働く女性」にどのような影響が起こるのかまで包括的に考察を行うことで、気候変動によって起こる「働く女性」への影響に対して、当社グループがどのように対応・寄与していくべきかを考え、下記のようにシナリオ分析を実施しております。
今回のシナリオ分析では、脱炭素に向けてより野心的な気候変動対策の実施が想定される「1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用)」と、現状を上回る気候変動対策が行われず、異常気象の激甚化が想定される「4℃シナリオ」を参考に、定性・定量の両面から考察を行いました。なお、当社のカーボンニュートラルの目標達成年度である2050年に加え、SDGsの目標である2030年時点における影響を分析しております。
(シナリオ分析)
シナリオ分析の結果、1.5℃シナリオと4℃シナリオの両シナリオにおいて、異常気象の激甚化による自社事業活動拠点への被害が大きなリスクであると想定されました。ただし、当社グループでは、従来よりハザードマップを参考にし、物理的な被害が抑えられるような事業所作りを進めていたため、想定される被害についても最小限に留められており、自社の経営に大きな影響を与えるものではないと判断いたしました。今後もBCPを意識した事業所設営を進めるとともに、環境に配慮した設備や部材を用いた環境にやさしい事業所作りを行ってまいります。
また、脱炭素社会への移行に伴い、「働く女性」の働き方や就業形態に変化が起こることが想定されました。
当社グループは「働く女性」の活躍を支援するためのサービスを手厚く展開しており、社会貢献性の向上とともに収益機会の増加が見込めました。
今後も当社グループは事業活動を通じて気候変動抑制に寄与するとともに、『働く女性の支援』という社会課題の解決をリードする企業を目指してまいります。
(特定した主なリスク・機会とその対応)
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区分 |
項目 |
発生時期 |
考察 |
自社への影響度 |
当社対応方針 |
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1.5℃ |
4℃ |
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自社 への影響 |
カーボンプライシングの導入 |
中期~長期 |
炭素税や排出権取引などのカーボンプライシング導入により、操業コストが増加する。 |
↓↓ |
― |
■再生可能エネルギーの使用 例:再エネ使用施設への事業所展開など
■換気設備に換気によって失われる空調エネルギーの全熱を交換回収する省エネルギー装置(全熱交換器)の採用 |
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エネルギー |
中期~長期 |
エネルギー費用の上昇が取引先の事業運営費用(原材料費・物流など)の上昇を招き、当社の操業コストを上昇させる。 |
↓ |
↑ |
■オフィス含む事業所の省エネ化 ■環境に配慮した事業所作り(内外装・設備) |
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人口の変化 |
中期~長期 |
少子高齢化や人口の減少により、育児・保育サービスの需要が低下する。一方、シルバーケア事業や家事支援サービスについては需要が増加する。 |
↓↑ |
↓↓ |
■サービスを通した「働く女性への支援」 |
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異常気象の |
短期~長期 |
台風や高潮などの異常気象の発生頻度や強度が強まることで、オフィスや物理的損害による操業不能や従業員に対する人的被害が発生し、業績悪化のリスクが発生する。 ※一方で、気候変動リスクへの備え(開設立地、施設堅牢性、備蓄)、BCPによる被災園・事業の早期復旧により、社会的信頼・評価が向上し、入園者が増加する。 |
↓↓ |
↓↓↓ |
■「子どものためのSDGs」教育の推進 ■災害発生時を想定した従業員向けの訓練・研修の実施 ■物理的リスクに対して脆弱な資産(事業所など)の把握と災害対策対応 ■ネット上で需給をマッチングし、お客様の自宅でサービスを提供するナニー・シッター事業、シルバーケア事業を伸ばし、物理的な事業拠点やエネルギー消費量を増やさずに事業規模を拡大 |
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社会 への影響 |
低炭素技術 |
中期~長期 |
環境技術分野における女性参画が増加。 働き方・就労形態が変化するに伴い、育児・保育サービスへの期待・需要がこれまでとは異なる方向へ変化。 |
↑↑ |
↑ |
■サービスを通した働く女性への活躍支援 ■在宅や近隣シェアオフィスで働く労働者が増える就労形態の変化に適応した、サービスの展開やサービス提供方法を開発 |
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人口の変化 |
中期~長期 |
異常気象の激甚化や気象パターンの変化により、健やかな生活が危ぶまれ、少子高齢化の進行とともに人口が減少する。 |
↓↓ |
↓↓↓ |
■サービスを通した「働く女性への支援」 |
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評価基準 - 想定される発生時期 - |
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評価基準 - 財務影響評価 – |
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↑:機会 ↓:リスク ↑↓:リスク機会の両面 |
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記載項目 |
項目の定義 |
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記載項目 |
項目の定義 |
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長期 |
11年~30年後に発生が想定されるもの |
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↑↑↑ |
1億円超の影響が想定されるもの |
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中期 |
4年~10年後に発生が想定されるもの |
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↑↑ |
1000万円以上~1億円未満の影響が想定されるもの |
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短期 |
0年~3年後に発生が想定されるもの |
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↑ |
1000万円未満の影響が想定されるもの |
(主なリスクにより想定される当社への財務的インパクト(2050年時点))

③リスク管理
(リスクに対する管理と対応)
当社グループでは、気候変動関連リスクについて「サステナビリティ委員会」にて管理を行います。
サステナビリティ委員会では、各グループ会社から気候変動関連リスクを抽出し、発生可能性や財務的影響の大小から定性・定量の両面で評価を行います。また、当社では新たな取り組みに伴い発生するリスクや重大な外部環境の変化などのリスクを、「重要リスク」として設定しています。「重要リスク」であると判別されたものについては、取締役会にてその対応方針や施策を審議・決定することといたします。
また、その他リスクもしくは、短期的かつ緊急対応を要する事項(気候変動関連リスクを含む。)もしくはその他リスクに関しては、「危機管理委員会」にてその対応を審議し、関連会社・部署への指示を行います。
気候変動関連リスクに関して緊急対応を要するため、危機管理委員会で指示された対応については、その対応の進捗や、当社方針に沿った指示が適切に行われたのか等、サステナビリティ委員会で定期的なモニタリングを行います。
サステナビリティ委員会及び危機管理委員会にて、識別・評価されたリスクについては、原則年に1回、取締役会に報告を行うことで全社的なリスクマネジメントとしております。
④指標と目標
当社グループは、気候変動対応への進捗を管理するための指標として、GHG(温室効果ガス)排出量の削減目標を採用しております。
持続可能な社会の実現のために、パリ協定で掲げられた1.5℃目標に沿って、2050年カーボンニュートラルを目指し、中長期的な戦略及び施策の検討を行ってまいります。
<当社事業活動におけるGHG排出量と削減目標>
※算定対象:グループ会社含むオフィス及び事業所 ※テナント入居している拠点を除く
Scope1 : 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
(7)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループとして、上記のほか、保育・学童施設運営やナニーサービス・ベビーシッターサービス等の子育て支援事業や介護事業に対する国や社会の関心が高まる中で、さらなる事業拡大に向けた重要課題として以下の点に取り組んでまいります。
①人材の確保
i)子育て支援事業(ファミリーケア事業(チャイルドケアサービス)・エデュケア事業)
子育て支援業界では、昨今の保育施設の増加により人材不足状態が続いております。しかしながら、子育て支援業界のパイオニアを自負する当社グループとしては、高品質なサービスを維持し、子育て支援事業を引き続き拡大させるために優秀な人材の確保が必要であります。
チャイルドケアサービス(ナニーサービス・ベビーシッターサービス)においては、子育て経験をキャリアとして評価し、女性とシニアの活用に積極的に取り組んでおり、当社グループが、株式会社として唯一、内閣府ベビーシッター割引券及び東京都ベビーシッター利用支援事業という二大助成金の適用を受けるための指定研修として認定を受けました。当社グループのベビーシッター自社研修を通して、新たなナニー、ベビーシッターを養成しております。2022年12月現在、約1,500名が当社のナニー基礎研修を受講し、当社グループのナニー(教育ベビーシッター)として登録しております(注12)。また、直近1年間で約600名の新たなナニーを養成しております。
エデュケア事業においては運営する保育施設数の増加に伴い、保育士やスタッフの確保が急務となるため、新卒採用及び中途採用の強化に取り組んでおります。
2022年度は年間を通して約600人の保育スタッフ(約350人の保育士を含む。)を採用いたしました。保育士確保は依然厳しい状況が続いておりますが、就職フェアの出展などを通じて就職希望者との接点を増やしているほか、地方採用も積極的に行っており、地方から首都圏に上京して働く人に向けて借上げ社宅などのサポート施策を準備する等、様々な方法を駆使し、保育施設運営上の必要数を充足しております。
保育士の処遇改善については、2013年度の「安心こども基金」を活用した「保育士等処遇改善」以降、国からの補助金は年々増えており、2017年度には「保育士等処遇改善Ⅱ」によりキャリアアップによる給与改善の財源が確保されてきております。加えて、当社グループでは独自での処遇改善として2019年4月以降入社の新入社員(大学卒、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の認可・認証保育所に配属)の初任給を26万円に引き上げ、それに合わせ、現状の保育士の処遇改善にも取り組んでおります。また、保育士の給与については、岸田政権が、2022年2月から教育・保育の現場で働く方々の収入の引上げを目的として開始した「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」等も活用して、改善に取り組んでおります。
福利厚生の充実については、育児休暇明けに職場復帰しやすい環境を整えているほか、当社を退職した保育士の再就職も受け入れるなど、門戸を広げており、この再就職制度を利用し2022年に7名の保育士が復職しております。
(注)12 2021年12月期より、休職中及び一定期間以上にわたり稼働実績のないナニーについて、登録数にカウントしない処理に変更しております。
ⅱ)ファミリーケア事業(シルバーケアサービス)
介護業界ではホームヘルパー2級保有者など有資格者に対する需要が高く、今後高齢者在宅ケアサービスを拡張するうえで、人材の確保が何よりも重要になります。なかでも当社グループのVIPケアサービスはオーダーメイドの在宅ケアサービスであるため、介護だけではなく家事支援、調理、茶道・華道等、幅広いサービスを提供していくため、そのサービスを提供するにふさわしい、素養のある人材の確保に力を入れております。
②人材の育成
人材サービス業である当社グループは、人材こそが宝であり、お客様に最高水準のサービスを約束するオンリーワン企業となる事を目指して、人材育成が重要な経営課題であると捉えております。そのため、下記のような様々な人材育成システムを通じて教育の機会を提供しております。
社員には、社内講師や専門家による階層別研修、専門研修、任意研修、eラーニング研修のほか、ポピンズ蓼科研修センターでの合宿研修や海外研修を通じ、常に質の高いサービスを提供するために、人材への継続的な教育投資を実施しております。また、ナニー及びベビーシッターやケアスタッフ向けには採用時及び更新時の研修を定期的に実施しております。
さらに、ナニー及びベビーシッター向けにナニー検定やナニースクールによるキャリア開発支援を行うとともに、ケアスタッフ向けに高齢者の健康に配慮しつつも満足していただける食事のレシピについての講習会を定期開催するなど、その人材の養成とサービスレベルの強化に努めております。
③新規事業への取り組み
当社グループでは、有望な新規事業として、全国の保育事業者等に向けた経営支援コンサルティング事業の拡大に注力してまいります。認可保育所だけでなく様々な形態の施設の運営実績が多くノウハウがあるのは当社グループならではの強みであり、このような強みを活かせるコンサルティング事業を拡大してまいります。
今後保育所は、自治体、企業、利用者から選ばれる時代になっていき、いずれは供給過多になると見ており、そのような中、「選ばれる」保育サービスに成長するために、既存の保育・学童施設運営やチャイルドケアサービスに加え、こうした新しい事業も積極的に広げていきたいと考えております。
また2021年6月には、新規事業として不妊予防事業をスタートしております。これまで当社グループは、出産後の女性のライフステージに寄り添ってまいりました。しかし日本では、不妊治療とキャリアを両立できず悩んでいる女性が数多くいるという現実があります。この現実を踏まえ、出産前の女性が抱える「不妊」という問題に向き合い、働く女性が切れ目なく活躍できるように、支援の領域を広げ、当社グループ独自の不妊予防ポータルサイトの機能拡充や、企業研修の提供等を通じて、不妊予防におけるプラットフォームサービスを提供してまいります。加えて、福利厚生制度として導入していただけるよう、行政・企業への働きかけを進めてまいります。
2022年9月には、新規事業としてペットケアサービスをスタートしております。当社グループが展開するファミリーケア領域(ベビーシッター、家事代行、介護)において、安心のポピンズブランドで「家族の一員」であるペットの健康と幸せをサポートするペットシッターを派遣し、ペットもご家族の一員としたワンストップのサービス提供を目指します。ペットケアサービスの立ち上げにより、さらに切れ目のないサポートで働く女性やご家族を支援してまいります。
④SDGsの当社グループ経営へのさらなる取り入れ
2020年12月21日に東京証券取引所市場第一部に上場した際に、調達資金の使途に関し、当社グループのこれまでの取組みによるSDGsへの貢献についてセカンドパーティ・オピニオンによる第三者評価を取得いたしました。当社グループがおかれている経営環境や当社グループの経営戦略を踏まえ、社会課題対応に向けた取組み状況の開示や、当社グループの経営目標への組入れ等により、引き続きSDGsを当社グループの経営の中核に位置付けてまいります。
具体的には、待機児童のさらなる解消やベビーシッターサービスの浸透による保育の受け皿の確保、介護離職回避やアクティブシニアの活用、DXの活用による保育士等の労働環境のさらなる改善等、経営戦略として達成すべき事項をSDGsの観点を交えて設定してまいります。
⑤グローバル対応力の強化
アジアには日本の企業が数多く進出しており、そこに事業所内保育所のニーズがあると考えております。
現在、ハワイで託児施設を一か所運営しておりますが、今後は海外の事業者との戦略的提携によるグローバル展開や、海外での保育施設運営を目指してまいります。
⑥多様な人材の活用(外国人材、アクティブシニア等)
少子高齢化による人材不足の解消は、女性とシニア、そして外国人材にいかに活躍いただくかにかかっております。
当社グループには、2022年12月現在、65歳を越えて働く人材が保育園で300名以上、ナニーでは200名以上おります。当社グループの事業分野においては、年齢、性別、国籍を問わず多様な人材が持てる技能・経験・語学を活かして貢献いただけると考えております。
⑦事業成長戦略とDX戦略の推進
「規模及び範囲」の拡大、つまり当社グループの事業成長戦略としては、1つめに既存事業であるファミリーケア事業、エデュケア事業、プロフェッショナル事業の規模拡大、2つめに新規事業である、不妊予防、ペットケア、家事支援、外部向けコンサルティングなど事業範囲の拡大に取り組んでまいります。そのいずれについてもM&A及び戦略的提携を掛け算することにより、更なる成長を目指します。
そして当社グループが一番の強みとする「クオリティ」を向上させる事業戦略としては、これまで35年以上にわたり当社グループが培ってきた有形/無形資産を活用した、人財確保・育成、R&D、SDGsの推進に取り組んでまいります。
そのうえで「生産性」を向上させるため業務改革、働き方改革、ICTやIoTの活用により業務効率化及び付加価値向上に注力してまいります。
それら全てに対して、常に、当社グループの「DX戦略」が掛け算となります。2021年度に運用開始した「顧客DB」「人財DB」の活用に加え、今後はAIの活用やプラットフォーム化を通じ、「人のぬくもりや優しさに価値を置くDX戦略」を実現してまいります。
⑧コンプライアンスへの取組み
児童福祉法や介護保険法及び労働者派遣法や職業安定法をはじめとする各種関連法令の遵守を厳格に実施しております。また、お客様の個人情報についても、法律に則った取扱いを徹底しております。そのために、内部監査、法務、財務経理、人事等、それぞれの分野で高い専門性や豊富な経験を有している人材を採用することに加え、社内規程の拡充整備に取り組んでおります。加えて、社員研修等により日常的にコンプライアンスへの意識を高めることで、さらなる内部管理体制の強化を図るとともに、コンプライアンスの徹底に努めてまいります。
⑨安定的な資金調達の確保と財務基盤の強化
引き続き保育施設の開設を進めるとともに、DX(デジタル・トランスフォーメーション)への投資や新規事業及びM&Aによる事業拡大を図っていくためには、必要な資金を安定的に調達することが重要となります。当社グループでは、複数の金融機関と緊密な取引関係を維持し、資金調達の安定性と財務基盤の安全性を高めるよう努めております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績及び財政状態等に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
(1)事業に関するリスク
①少子化や待機児童減少について
チャイルドケアサービス(ナニーサービス、ベビーシッターサービス)においては、少子化の進行により、将来、待機児童が減少した場合には、ベビーシッターのニーズも減少する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
一方で、女性の社会進出やベビーシッター利用への社会的認知度の増大により、ベビーシッター市場は、当社独自の推計(※)によれば、2020年の320億円から2030年には1,000億円規模に到達するものと推定しております。
当社グループでは、顧客ニーズの多様化や個別化に対応したチャイルドケアサービス事業の展開を行っており、少子化の進行ペースを上回る、さらなる事業拡大に努めてまいります。
※ 国立社会保障・人口問題研究所 「日本の将来推計人口(平成29年推計)」、厚生労働省「2021年国民生活基礎調査」、全国保育サービス協会「ベビーシッターNOW 2022」、リンナイ「世界5カ国の「ワーキングママの育児事情」に関する意識調査(2019年)」、ほかに基づき当社独自推計
エデュケア事業においては、待機児童解消に向けた取組みを目的とした「待機児童解消加速化プラン」が2013年4月に安倍内閣により公表されて以降、新規参入を含む多数の事業者が保育所を開設して2017年度末までの5年間で約53.5万人分の保育の受け皿が拡大しております。また、2017年6月に「子育て安心プラン」が公表され2020年度末までに32万人分の保育の受け皿整備が行われております。こうした待機児童解消に向けた施策により、2022年4月1日時点での全国の待機児童数は2,944人で前年比2,690人の減少となりました(厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ(2022年8月30日)」)。2019年10月から保育の無償化が開始されたことで保育所の利用率の上昇傾向が継続する一方で、少子化の進行はコロナ禍の影響もあって加速しており、将来的には想定した園児数の獲得が困難となる可能性があります。エデュケア事業の収益は主に園児や児童の人数に応じて増減するため、想定した園児数等の獲得ができない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
人材派遣・紹介事業においては、将来待機児童が減少した場合、保育士等の紹介や派遣需要が減少する可能性があり、その場合には経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループの対応策としては、既に進めている保育士等の紹介事業についての事業縮小対応を完遂しつつ、派遣事業と一体的な営業・オペレーション体制の効率化を進めると共に、保育・学童施設の利用者の動向や事業環境の変化に対応した「働く女性の支援」に資する事業の在り方を継続して検討してまいります。
②国や自治体による方針の改訂について
当社グループは、2022年12月現在8つの自治体から居宅訪問型保育事業(※)の認可を受け、ナニーサービスを提供しております。今後ベビーシッター事業に関連する国や自治体の方針が変わり、居宅訪問型保育事業が縮小された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
※ 子ども・子育て支援法における地域型保育事業の一つとして位置づけられており、主に医療的ケアが必要な幼児の居宅において、保育者による1対1の保育を行うものであり、待機児童の多い都市部の保育では、この仕組みを利用した、待機児童対策が行われております。
当社グループのシルバーケアサービス(高齢者在宅ケア)事業のうち介護保険の対象となる訪問介護については、「介護保険法」の規制の対象となります。将来、介護保険法が改正され、介護保険適用対象になるサービス受給者ないし受給額が減少した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループのエデュケア事業のうち認可保育所及び認証保育所については、国あるいは地方自治体の許認可が必要であり、待機児童の動向等を考慮して、自治体ごとに年度の新設保育所の数が決定されます。したがって、国や自治体の政策変更により新規保育所募集の数が減少した場合には、当社グループの保育施設開設計画に影響を及ぼす可能性があります。また、既存の認可保育所及び認証保育所についても、将来、補助金の減額が行われることも考えられます。したがって、かかる政策変更が行われた場合には、当社グループにおける子育て支援事業の成長が止まり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
研修事業において現在、保育士の待遇向上と専門性の強化に向けて厚生労働省が定めた保育士等キャリアアップ研修や子育て支援員研修の国や自治体の研修委託を多数受けておりますが、今後待機児童問題が解消し、保育士不足の問題が一巡して国や自治体の方針が転換された場合、研修受託が減少し、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループの対応策としては、各事業に関連する政策動向を緊密にモニタリングすることで、かかる事業の顕在化リスクの早期把握に努めており、国や自治体の方針改訂に対応した「働く女性の支援」に資する事業の在り方を継続して検討してまいります。
③新規保育施設の開設施策及び賃貸借契約について
保育施設に適した物件の確保は、立地条件、環境、物件の質、広さ等の条件を満たすものでなければならず、物件の選定が他の業種と比較して困難であることから、絶対的な物件数が少ない状況にあります。また、各自治体や保育施設の運営を当社グループへ委託する法人顧客への提案は、新規開設に適した物件を確保しておくことが必要不可欠であり、物件確保は新規保育施設開設を計画どおりに進めていくための重要な課題であります。
当社グループにおいては、保育施設の環境とともに採算性を重視しており、保証金、賃借料等の開設条件に見合う物件が確保できない場合には、保育施設の開設計画が遅れることになり、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
また賃貸物件の契約が更新できない場合、又は契約更新時に賃借料が上昇した場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループの対応策としては、情報網の整備と、デベロッパーとの事業提携によりさらなる物件確保ルートの強化に努めてまいります。
④食の安全について
当社グループのエデュケア事業では、食育を重視しており、本社の栄養士チーム監修による献立に基づき、各施設にて素材にこだわった給食やおやつを手作りで提供しております。そのため、新鮮さ、栄養価、安全性など食材の品質に留意しております。また、「食品衛生法」に沿った厳正な食材管理及び衛生管理と食品アレルギー対策の徹底により、食中毒やアレルギー等の事故の防止に努めております。また、ナニー、ケアスタッフ、家事支援スタッフがご家庭で調理を行う場合も同様の衛生管理の徹底を行っております。
しかしながら、何らかの原因により食の安全性に重大な問題が生じた場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、マニュアルを作成し、研修を実施するなど食の安全を確保するための取り組みを行うとともに、重大な問題が生じた場合、品質管理会議(月1回)において報告と改善状況を監視するとともに、本支社役職員及び各施設の施設長が参加する全体会議において、通達事項の共有及びISO9001QMSのトラブルを共有し、原因究明と再発防止に努めております。
(2)組織体制に関するリスク
①創業者への依存について
代表取締役会長である中村紀子氏は、当社グループの創業者であり、長年の経営経験及び多様な人脈から、経営戦略、人材育成、企画立案、新規保育業態の開発等、当社グループの経営に重要な影響を与える事項及び意思決定において重要な役割を担っており、何らかの理由により同氏の業務遂行が不可能あるいは困難になった場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでの対応策としては、2020年4月に当社代表取締役社長として轟麻衣子氏が就任し、同氏の下、各業務担当取締役及び執行役員を配置し、各々が参加する定期的な会議体にて、活発な意見交換を行うとともに情報共有などを積極的に進めております。また、適宜権限の委譲も行い、中村紀子氏に依存しない組織体制・経営体質の強化を進めております。
②人材の確保、育成について
2022年12月の保育士の有効求人倍率は3.16倍と、2年9か月ぶりに3倍を超え、業界の採用活動は困難を極める状況が続いております。当社グループでは、処遇改善のほか、働き方改革による残業削減や、働き甲斐のある職場づくりに努めてまいりますが、万一、予定した人材の確保に遅れ等が生じた場合、既存施設の運営計画や新規施設の開園計画に遅延等を及ぼす可能性があるため、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでの対応策としては、新たな施策として、2018年10月、保育士に「副業・兼業制度」を導入するとともに、保育士たちが保育施設で働きながら副業としてベビーシッターとしても活躍できる「ベビーシッター付ナーサリー」を開始しております。
また、当社グループでは、ナニー及びベビーシッターやケアスタッフ、家事支援スタッフ等各事業サービスを運営する人材を確保する事は重要な経営課題であります。人手不足が深刻化する中で、各種人材の採用も年々難しくなる中、共働き世帯の増加による働く女性の拡大に伴い、当社グループが提供する各種サービスの利用ニーズは増える一方となっております。採用活動の強化やナニー検定、ナニースクール等に基づく人材育成を図っておりますが、万一欠員補充や新規人材の確保が計画どおり進まず、サービス提供体制の維持や人員基準を満たせなくなった場合や、ナニーやケアスタッフなどの稼働状況が想定を下回った場合には、サービス提供に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの対応策としては、急激な需要の拡大にも対処できるよう、採用活動の強化やナニー検定、ナニースクール等に基づく人材育成プログラムの充実を図るとともに、集合・対面研修だけでなく、動画配信や双方向型のオンライン研修を組み合わせたハイブリッド型の教育研修の仕組みを拡充することで、質の高い人材の確保、育成に努めてまいります。
③内部管理態勢について
当社グループでは、業務上の人為的ミスや社員による不正行為等が発生することのないよう、教育研修強化及び内部牽制機能の強化に努めております。しかしながら、将来的に内部管理上の問題が発生した場合、ステークホルダーからの信頼性の低下が生じ、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの対応策として、法務コンプライアンス部が中心となり、マニュアルの作成や研修の実施、内部通報制度の運用など、予防対策の徹底、当社グループ内の遵守に努めております。
④個人情報の流出について
当社グループでは、園児や児童から高齢者まで様々な年代のお客様及びその保護者・家族の氏名や住所に加えて人材派遣・紹介サービス登録者など多くの個人情報を保持しているため、個人情報を厳重に管理のうえ、慎重に取り扱う体制を整えております。万が一漏洩するようなことがあった場合には、利用者を含め広く社会的な信用を失うこととなります。その結果、ナニーサービス及びベビーシッターサービスやシルバーケアサービス利用者の退会、園児の退園、人材派遣・紹介登録者の減少、保育施設等の新規開設等に影響が出ることにより、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、2017年には、情報セキュリティマネジメントに関する国際品質規格ISO27001(品質マネジメントシステム)の認証を取得いたしました。事業の全ての領域において、積極的に情報セキュリティに取り組み、お客様の情報資産を安全に管理することが、経営課題であると自覚し、情報セキュリティを確保することで安全・信頼・最高水準のサービスという創業以来、当社グループが積み重ねてきたブランドイメージをさらに高め、顧客満足度を向上させてまいります。
また、具体的な対応策として、本支社担当役職員、ISO内部監査員が参加する品質管理会議(月1回)において、ISO27001ISMSによる情報インシデントについて報告と改善状況を監視しており、原因究明と再発防止に努めております。
⑤多様な人材の活用(外国人材、アクティブシニア等)について
当社グループでは、少子高齢化による人材不足の解消のため、女性とシニア、そして外国人材の活用に取り組んでおります。しかしながら、これらの多様な人材が十分確保できなかった場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(3)外部環境に関するリスク
①法的規制等について
エデュケア事業では、各保育所の多くが認可保育所、東京都認証保育所、事業所内保育所など運営上、様々な法的規制のもとで運営されております。また、高齢者在宅ケア事業では介護保険対象外のVIPケアを主力としているものの、介護保険法等諸制度に基づいたサービスの提供も行っております。したがって、今後、法的規制が何らかの形で強化あるいは変更された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの対応策としては、このような制度変更リスクから受ける影響をできる限り緩和するべく、保育所の運営形態を多様化するとともに、制度上の影響を受けないチャイルドケアサービス事業の強化育成など、事業ポートフォリオのバランスをとるべく努力しております。
なお、当社グループの事業に関連する主な法的規制等は以下のとおりであります。当社グループにとって主要な関連法令である児童福祉法においては、万一、関係法令の規定水準に達しない場合や、給付費の請求に関し不正があったとき、また、改善命令や事業の停止命令に従わず違反したときには、許認可が取り消される場合があり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
ⅰ)チャイルドケアサービス事業
児童福祉法
ⅱ)シルバーケアサービス事業
介護保険法、食品衛生法
ⅲ)エデュケア事業
児童福祉法、児童福祉施設最低基準、食品衛生法
ⅳ)人材派遣・紹介事業
職業安定法
有料職業紹介事業の許可要件労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)
②雇用情勢の変化等について
人材派遣・紹介業界は、産業構造の変化、社会情勢、景気変動、法改正に伴う雇用情勢の変化等に影響を受けます。現状の需要は堅調に推移しておりますが、今後、様々な要因により雇用情勢もしくは市場環境が悪化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。景気後退に伴う新規人材需要の減少や既存の顧客企業における業務縮小・経費削減等により人材需要が大きく減退した場合、人材派遣における労働者派遣契約数の急激な減少、転職市場における求人需要の大幅減少に伴う人材紹介事業の事業規模縮小など、当社グループの事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスク
①感染症について
当社グループでは、施設や居宅において子育てや介護支援のサービスを提供しており、顧客や従業員が新型コロナウイルスをはじめとする感染症に罹患する可能性があります。当社グループでは、安全・安心なサービス環境を確保するため、感染症対策を徹底しております。
しかしながら、新型インフルエンザやコロナウイルス等、人類が免疫を持たない未知の感染症が流行した場合、従事する保育士や指導員、ベビーシッター、ケアスタッフ等が多数欠勤することで施設の運営が困難となりうる他、感染症蔓延地域におけるベビーシッターのキャンセルなど、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、特に新型コロナウイルス感染症にかかるリスク管理に万全を期すため、危機管理委員会を開催し、感染症の流行に対する予防対策の徹底、予兆の発見と対処、感染者発生時の対処と原因究明、再発防止策の指示を行っており、引き続き対応を図ってまいります。
②事故・安全管理について
当社グループのチャイルドケアサービス事業やエデュケア事業では0歳から学童までを対象としております。そのため、サービス提供の際に不測の事故等が発生する可能性を完全に排除することは困難であると考えております。また、昨今、小学校等において外部侵入者に対する危機管理の徹底が行われつつあります。保育施設でも同様な管理体制が不可欠ですが、保育事業は学童よりさらに低年齢の園児が対象であり、かつスタッフもまだまだ男性が少ないことからも、さらに徹底した対策が必要になります。万一これらの事故が発生して当社グループの責任が問われるような事態が発生した場合には、当社グループへの信頼の低下、ブランド価値の毀損及び訴訟等の費用により、当社グループの今後の事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、定期的に行う全体会議や施設長ミーティング等で、起こりうる事故や起きてしまった事故の情報共有や対策検討を徹底しており、ISO9001による従業員への定期的教育及び業務マニュアルの遵守、また保険への加入等対応には万全を期しております。さらに、保育施設では、施錠の徹底や外部セキュリティ管理機関との契約等により、施設入出管理には徹底した配慮を行っており、当社グループは、施設の運営において園児や児童の安全に配慮し、万全の体制で臨んでおり、これまでに経営成績に大きな影響を与えるような事故等は発生しておりません。
シルバーケアサービス(高齢者在宅ケア)事業では、介護保険適用サービス対象の顧客は主に要介護認定を受けた高齢者を対象としていることから、サービス提供時には身体に負担を与えることも考えられ、その結果、顧客の体調悪化等が生じる可能性があるほか、介護サービス提供時における事故の可能性も否定できないと考えております。万一これらの事故が発生して当社グループの責任が問われるような事態が発生した場合には、当社グループへの信頼の低下、ブランド価値の毀損及び訴訟等の費用により、当社グループの今後の事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、定期的に行う全体会議等で、起こりうる事故や起きてしまった事故の情報共有や対策検討を徹底しており、ISO9001による従業員への定期的教育及び業務マニュアルの遵守、また保険への加入等対応には万全を期しております。
さらに、当社グループでは、本支社担当役職員、ISO内部監査員が参加する品質管理会議(月1回)において、ISO9001QMSの品質管理目標の進捗とケガ・事故・クレームなどのトラブルについて報告と改善状況を監視するとともに、前述のとおり、本支社役職員及び各施設の施設長が参加する全体会議において、通達事項の共有及びISO9001QMSのトラブルを共有し、原因究明と再発防止に努めております。
③自然災害について
当社グループでは、全国において保育施設、学童施設等運営のサービスを展開しております。地震や津波等の大規模な自然災害が発生した場合、当該エリアにおいて、スタッフ等の安全への懸念及び当社グループの事業所が稼動できない状況になると考えられます。当社グループでは、事業所機能の早期復旧や支援スタッフの派遣等、サービス提供態勢の維持に努めてまいりますが、サービス提供ができなくなる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
本社・各支社・事業所において、緊急時における事業継続に係るリスク対策を総点検し、顧客の安全を最優先とした危機管理態勢の強化を図ってまいります。
当社グループでは、危機管理委員会において、災害発生時に備えた備蓄や訓練、想定される被害を最小限に抑制するための対策の徹底、災害発生時の対処と事後復旧策の指示を行っており、引き続き対応を強化してまいります。
④競合他社の参入について
女性の社会進出拡大により実際に保育所への入所を希望する児童数(待機児童)は、首都圏においても減少傾向にあります。このような状況下、エデュケア事業における保育所の受託競争は激化しており、一部の地域では価格競争になるケースもあります。また、既存の保育所においても、待機児童解消のため近隣に新たな認可保育所が開設された結果、園児の獲得競争になるケースも発生しております。当社グループでは、価格競争の受託案件には参加せず、自治体や委託法人から「高品質の保育」の維持に対する理解を得ることにより、高付加価値サービスの提供に努めておりますが、今後多様な業種からの参入が相次ぎ、競合他社との競争がさらに激化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
チャイルドケアサービス事業のナニーサービスにおいては、当社グループの自社開発システムであるポピンズシステムを活用した顧客情報の管理とスタッフによる適切な登録ナニーのマッチング体制を整えております。当社グループは、ベビーシッター事業者最大手として長年蓄積してきた実績とブランド力に加えて、顧客に最高水準のサービスを提供できるナニーを育成する充実した教育体制を備えており、これは一朝一夕でできるものではないため、高付加価値を求める顧客層向けのナニーサービスにおける参入障壁は高いと考えております。また、ベビーシッターサービスについても、お客様がオンライン上で自らベビーシッターを選ぶことができるサービスの利便性・自由度に加えて、ナニーサービスで培ったノウハウや、それらを基盤とした基礎研修や事故・お怪我・クレーム対応の共通化を掛け合わせることや、ポピンズブランドへの厚い信頼等により、他社が提供するオンラインマッチング型のサービスとは、高いレベルで差別化がなされていると考えております。一方で、他業界から大手企業が新規参入した場合もしくは価格競争が激化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
シルバーケアサービス(高齢者在宅ケア)事業においては、当社グループは介護保険適用外のVIPケアサービスを事業の主力としており、現状では同様のニーズを満たしたサービスを提供する事業者には限りがありますが、今後同様のサービスを提供する競合他社が参入し、競合他社との競争がさらに激化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの対応策としては、競合他社の動向や新規参入などを緊密にモニタリングすることで、かかる事業の顕在化リスクの早期把握に努めており、競争環境の変化に対応した「働く女性の支援」に資する事業の在り方を継続して検討してまいります。
⑤減損会計が適用されるリスクについて
当社グループの保育施設は、土地及び建物を賃借しておりますが、一部の保育施設については内装設備等を資産計上しております。今後、固定資産を保有する保育施設の収益性が低下する等、固定資産の減損に係る会計基準及び固定資産の減損に係る会計基準の適用指針により減損損失を認識する事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループの対応策としては、各業態単位で施設の収益管理PDCA(人員配置、定員管理、コスト管理)を徹底し、必要に応じて施設ごとの改善対策を明確化することで、損失処理の発生を未然に予防するとともに、発生した場合の最小化に努めてまいります。
⑥季節変動について
当社グループにおける保育施設等は4月に新規開設されるものが多くなります。また自治体より受託している保育士研修事業等は6月以降に開始され翌年2月頃まで実施されることが多い傾向があります。そのため、第2四半期連結会計期間(4月~6月)において、備品等の新規開設費用が計上されることや一部事業で売上が減少することにより利益が一時的に低下する傾向にあります。
⑦グローバル展開について
今後は海外の事業者との戦略的提携によるグローバル展開や、海外での保育施設運営を目指してまいりたいと考えておりますが、海外特有の法的規制やカントリーリスク、為替リスクなど様々なリスクがあり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
⑧新規事業への取組みについて
当社グループでは、有望な新規事業として、全国の保育施設を運営する事業者等に向けた経営支援コンサルティング業務や、不妊予防事業、ペットケアサービス等を展開しております。しかしながら、新規事業の取組みには不確実な要素が多く、市場環境の大きな変化や競合他社の動向など様々な要因により、計画通り新規事業を拡大することが困難な可能性があります。
当社グループの対応策としては、新規事業の成長性と収益性について、経営会議においてフォローアップと検証を行ってまいります。
⑨案件を厳選したM&Aの推進について
当社グループでは案件を厳選したM&Aにより事業の拡大を図る場合がありますが、それに見合った収益が得られない場合や、資金の回収が滞る可能性があります。
⑩デジタルトランスフォーメーション(ICT、AIの活用による生産性向上とビジネスの拡大)について
当社グループでは、デジタルトランスフォーメーション部(DX部)を設置し、情報のデジタル化とデータの有効活用に取り組んでおりますが、ICTやAIを活用したビジネス拡大や生産性向上が計画通り進展しない場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループの対応策としては、DX部が中心となり、検討と推進を行ってまいります。
⑪資金調達について
当社グループにおきましては、保育施設の新規開設に関する設備資金、新規事業もしくはM&Aに関する投資資金は、金融機関からの借入等により調達しております。総資産に対する有利子負債合計の割合は、2020年12月期29.6%、2021年12月期17.4%、2022年12月期11.7%と、比率が減少しておりますが、今後、新規開設やM&A等に伴い借入が増加する可能性があり、金利の急激な変動や金融情勢の変化によって計画どおり資金調達ができなかった場合には、設備投資や新規事業が制約されるなど当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
⑫レピュテーションリスクについて
従業員による不正・不祥事や、個人情報等の業務上の機密情報の不適切な取り扱い・流出により、当社グループの信頼性・企業イメージが低下し、経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループの対応策として、法務コンプライアンス部が中心となり、予防対策の検討、当社グループ内の実施徹底を図るとともに、本支社担当役職員、ISO内部監査員が参加する品質管理会議(月1回)において、ISO27001ISMSによる情報インシデントについて報告と改善状況を監視しており、原因究明と再発防止に努めております。
⑬大株主について
当社の代表取締役会長である中村紀子及び代表取締役社長である轟麻衣子は、両氏の資産管理会社である株式会社スピネカの所有株式数を含めると、本書提出日現在で発行済株式総数(自己株式を除く。)の56.7%を所有しております。
両氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。当社といたしましても、両氏は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である両氏の持分比率が低下した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)においてわが国では、新型コロナウイルス感染症の影響により、第1四半期(1月-3月)において、感染力が極めて強いオミクロン株が過去の感染ペースを上回るスピードで拡大し、第2四半期(4月-6月)においても、東京都を中心とした保育所において前年を上回る水準の「預け控え」が全般的に生じました。第3四半期(7月-9月)においては、7月以降の感染者数が再拡大し過去最高を記録しましたが、社会経済へのマイナス影響は限定的なものとなり、第4四半期(10月-12月)には、オミクロン株に対応した新たなワクチンの接種が始まるなど、コロナ禍からの正常化を見据えた、感染拡大の抑制と社会経済活動を両立させるための政策や社会的な動きが広がりました。一方で、急激な円安の進行や、ロシアによるウクライナ軍事侵攻の影響で、原油価格や物価の高騰等がわが国の経済に多大な影響を及ぼしました。
当社は、このような状況のもと、ウィズコロナ時代というニューノーマルの状況を受け入れながら、「働く女性を支援するどのような時代においても必要とされる会社・組織・人材になる」という信念のもと、徹底した感染対策を講じたうえでのサービスの提供やオンラインサービスを取り入れ、事業を推進いたしました。
(単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前期比 |
|||
|
実績 |
構成比(%) |
実績 |
構成比(%) |
増減 |
増減率(%) |
|
|
売上高 |
24,749 |
100.0 |
26,258 |
100.0 |
1,508 |
+6.1 |
|
売上総利益 |
5,344 |
21.6 |
5,601 |
21.3 |
256 |
+4.8 |
|
販売費及び一般管理費 |
3,825 |
15.5 |
4,295 |
16.4 |
470 |
+12.3 |
|
営業利益 |
1,519 |
6.1 |
1,305 |
5.0 |
△213 |
△14.1 |
|
経常利益 |
1,611 |
6.5 |
1,357 |
5.2 |
△254 |
△15.8 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
966 |
3.9 |
824 |
3.1 |
△142 |
△14.7 |
当連結会計年度においては、前期比で増収減益となりました。
売上高につきましては、26,258百万円(前期比6.1%増)となりました。その主な要因は、ファミリーケア事業において、ベビーシッターサービスの業績拡大がけん引したこと、及びエデュケア事業において、当連結会計年度の新たな保育施設12箇所の開設により、順調に業績が拡大したこと等によるものであります。
売上総利益につきましては、ベビーシッターサービスの業績拡大及びナニー・ベビーシッターサービスで消費税非課税事業者認定を取得したことが増加要因となったものの(注)、以下の減少要因により、売上高の増加率に対して売上総利益の増加率が低くなっており、当連結会計年度の売上総利益は5,601百万円(前期比4.8%増)となりました。
エデュケア事業:
・当連結会計年度に8園が閉園となったこと
・認可保育所等直営施設の新規開設が前期比で4園増加したことにより初期開設コストが増加したこと
・保育職員の新型コロナウイルス感染者増加に伴い非常勤職員の加配置を行ったこと
プロフェッショナル事業:
・2020年に予定された研修の一部が後ろ倒しで翌年実施されたために前連結会計年度の売上高が増加した一方で、当連結会計年度においては通常通りの進捗であること等
販売費及び一般管理費につきましては、4,295百万円(前期比12.3%増)となりました。その主な要因は以下のとおりです。
・ナニー及びベビーシッターサービスで消費税非課税事業者認定を取得したこと、並びにエデュケア事業において新規直営保育施設の設備投資額が増加したこと等に伴い、租税公課(控除対象外消費税等)が増加したこと(注)
・各事業で事業拡大を図るために営業及び運営人員を増強したことにより人件費並びに採用費が増加したこと
・ベビーシッターサービスの会員数拡大を図るため広告出稿を増やすと同時に、高まる需要に対応するベビーシッターの採用活動を活発に行ったため採用費が拡大したこと
以上の結果、営業利益は、1,305百万円(前期比14.1%減)となりました。
経常利益につきましては、前連結会計年度において認可外保育所における賃貸人都合の合意退去に伴う補償金受領額69百万円を営業外収益に計上しておりますが、当連結会計年度においては、金額の大きい臨時的な営業外収益が生じなかったことから、1,357百万円(前期比15.8%減)となりました。
また、間接共通費を配賦した後に営業収支が赤字となる一部保育所の設備について減損損失159百万円を計上いたしました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は824百万円(前期比14.7%減)となりました。
(注)ナニー及びベビーシッターサービスで消費税非課税事業者認定を取得したことにより、売上高、売上総利益、販売費及び一般管理費(租税公課)が増加しておりますが、営業利益への影響は軽微です。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。なお、各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額です。
当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しました。以下の前期比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で行っております。
(単位:百万円)
|
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前期比 |
|||
|
実績 |
構成比(%) |
実績 |
構成比(%) |
増減 |
増減率(%) |
||
|
売上高 |
ファミリーケア事業 |
3,396 |
13.6 |
4,434 |
16.8 |
1,037 |
+30.5 |
|
エデュケア事業 |
20,379 |
81.7 |
20,911 |
79.2 |
532 |
+2.6 |
|
|
プロフェッショナル事業 |
623 |
2.5 |
564 |
2.1 |
△59 |
△9.5 |
|
|
その他 |
558 |
2.2 |
505 |
1.9 |
△52 |
△9.5 |
|
|
調整額(注) |
△209 |
- |
△158 |
- |
50 |
- |
|
|
合計 |
24,749 |
- |
26,258 |
- |
1,508 |
+6.1 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
セグメント利益 |
ファミリーケア事業 |
905 |
29.7 |
1,027 |
37.1 |
121 |
+13.4 |
|
エデュケア事業 |
1,853 |
60.8 |
1,591 |
57.5 |
△262 |
△14.2 |
|
|
プロフェッショナル事業 |
255 |
8.4 |
169 |
6.1 |
△85 |
△33.6 |
|
|
その他 |
35 |
1.2 |
△19 |
△0.7 |
△55 |
- |
|
|
調整額(注) |
△1,530 |
- |
△1,462 |
- |
68 |
- |
|
|
合計 |
1,519 |
- |
1,305 |
- |
△213 |
△14.1 |
|
(注)調整額は、各報告セグメント間の内部売上高又は振替高、報告セグメントに配分していない全社費用で、主に経営管理に係る一般管理費用及び事業セグメントに帰属しない販売費及び一般管理費です。
(ファミリーケア事業 : ナニーサービス、ベビーシッターサービス、シルバーケアサービス)
ナニーサービスにつきましては、第1四半期において、感染力が極めて強いオミクロン株が過去の感染ペースを上回るスピードで拡大したため予約のキャンセルや利用控えが生じたことにより、第1四半期売上高は前年同期比微増で推移しました。一方で第3四半期においては、7月以降の感染者数が再拡大し過去最高を記録した中でも、売上が順調に増加いたしました。自治体向けサービスにつきましては在宅勤務の継続や待機児童数の減少による影響が見られますが、個人向けサービス売上の伸長により、当連結会計年度の売上高は2,175百万円(前期比8.7%増)となりました。
ベビーシッターサービスにつきましては引き続き需要が拡大しており、その需要を取り込むべくインターネット広告出稿やSEO対策等を行うとともに、ベビーシッターの採用を強化することで市場シェアの拡大を図っております。その結果、新型コロナウイルス感染症の拡大時においても継続的に成長し、当連結会計年度の売上高は1,436百万円(前期比108.8%増)と2倍以上に増加しております。
シルバーケアサービス(高齢者在宅ケアサービス)につきましては、オミクロン株の感染拡大による影響は限定的で、当連結会計年度の売上高は822百万円(前期比16.3%増)となっております。
なお、ファミリーケア事業全体の売上高の増加率に対して営業利益の増加率が低い理由は、主に拡大期であるため利益創出より市場シェアの拡大を目指しているベビーシッターサービスの売上拡大によるセールスミックスの変動によるものです。
以上の結果、売上高は4,434百万円(前期比30.5%増)、セグメント利益は1,027百万円(同13.4%増)となりました。
(エデュケア事業 : 保育施設、学童児童館等の運営)
当連結会計年度には保育施設12箇所(認可保育所5施設、事業所内保育所2施設、学童クラブ・児童館4施設、その他施設1施設)を新規開設する一方で、保育施設8箇所(認証保育所1施設(認可化による閉園)、自治体委託2施設、事業所内保育所4施設、その他施設1施設)が閉園となりました。その結果、当連結会計年度末時点で運営する施設は、認可保育所74施設、認定こども園1施設、認証保育所35施設、事業所内保育所84施設、学童クラブ・児童館95施設、その他施設42施設の計331施設となっております。
第2四半期開始月の4月時点において、東京都を中心とした保育所においては前年を上回る水準の預け控えが全般的に生じました。このような中、当社グループの認可保育所においては、預け控えの中心となっている低年齢児の4月時点の入所率が前期比で微増となるとともに、5月以降は前年同月を上回るペースで新規入園者が増加いたしました。当社グループの認可保育所における預け控えは、10月1日時点においてほぼ解消しております。しかしながら東京都を中心に認可保育所における預け控えが長引いたことで認証保育所の園児数が2022年12月時点で前年同月比2.7%の減少となりました。また、事業所内保育所でも同様に園児数が微減となっております。
前連結会計年度に開設した保育所が当連結会計年度において順調に利益を確保している一方、8園が閉園となったこと、新規直営施設の開設コストや設備投資に対する租税公課(控除対象外消費税等)が増加したこと、保育職員の新型コロナウイルス感染者増加に伴い職員の加配置を行ったこと、一部の認証保育所や事業所内保育所等で園児数が前期比で減少したこと等により、セグメント利益が前期比で減少することとなりました。
以上の結果、売上高は20,911百万円(前期比2.6%増)、セグメント利益は1,591百万円(同14.2%減)となりました。
(プロフェッショナル事業 : 国内・海外研修)
前連結会計年度の売上高においては、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年に予定されていた研修の一部が後ろ倒しで実施されたことによる売上高が含まれており、当連結会計年度の前期比較において、その影響が発生しております。
前述のような前連結会計年度におけるイレギュラーな売上高の発生・計上により、売上高・セグメント利益ともに前期比較で大きく減少しておりますが、これらの特殊要因を除いた概算では、売上高は前期比で微増、営業利益はeラーニングサービス拡大のため人件費及び採用費が増加したことにより1割程度の減少となりました。
以上の結果、売上高は564百万円(前期比9.5%減)、セグメント利益は169百万円(同33.6%減)となりました。
(その他 : 人材派遣・紹介、交流館、新規事業等)
売上高につきましては、505百万円(前期比9.5%減)となりました。その主な要因は、保育士紹介事業を縮小させたことによるものです。
セグメント損失につきましては、保育士紹介事業の売上高の減少、新規事業の立ち上げ等の影響により、19百万円(前年は35百万円のセグメント利益)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の総資産は12,549百万円(前期比584百万円の減少)となりました。
流動資産につきましては7,914百万円(前期比1,458百万円の減少)となりました。その主な要因は、借入金の返済及び配当金の支払いにより現金及び預金が減少したことであります。
固定資産につきましては4,634百万円(前期比874百万円の増加)となりました。その主な要因は、新規施設の増加に伴い建物及び構築物、建設仮勘定、敷金及び保証金が増加したこと、及び減損損失の計上に伴い繰延税金資産が増加したことであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は4,726百万円(前期比1,021百万円の減少)となりました。
流動負債につきましては、2,999百万円(前期比584百万円の減少)となりました。その主な要因は、1年内返済予定の長期借入金の返済による減少であります。
固定負債につきましては、1,726百万円(前期比437百万円の減少)となりました。その主な要因は、長期借入金の返済による減少であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、7,823百万円(前期比436百万円の増加)となりました。その主な要因は、配当の支払いが発生したものの、親会社株主に帰属する当期純利益824百万円を計上したことにより利益剰余金が増加したためであります。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、62.3%(前期比6.1ポイントの増加)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、4,240百万円(前期比2,109百万円の減少)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、304百万円(前期比971百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,197百万円、減価償却費240百万円、減損損失159百万円等の増加要因があったものの、法人税等の支払額709百万円、売上債権の増加額368百万円等の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,208百万円(前期比517百万円の増加)となりました。これは主に、助成金の受取額688百万円等があったものの、認可保育所等の新規開設に関する有形固定資産の取得による支出1,641百万円、基幹システム開発等に関する無形固定資産の取得による支出125百万円、並びに敷金及び保証金の差し入れによる支出74百万円等の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,204百万円(前期比1,153百万円の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出809百万円、配当金の支払額387百万円等の減少要因があったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは、受注活動を行っていないため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
ファミリーケア事業 |
4,291 |
134.0 |
|
エデュケア事業 |
20,911 |
102.6 |
|
プロフェッショナル事業 |
557 |
89.8 |
|
報告セグメント計 |
25,761 |
106.4 |
|
その他 |
496 |
90.9 |
|
合計 |
26,258 |
106.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、100分の10以上を占める相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等の分析
経営成績等の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性について
(キャッシュ・フローの状況の分析)
当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(財政政策)
当社グループは、運転資金、設備資金及びシステム開発資金につきましては、内部資金(新株発行による増資を含む。)又は借入により資金調達することとしております。このうち借入による資金調達に関しましては、短期運転資金については金融機関からの短期借入金によって、長期運転資金及び保育所の新規開設に伴う設備投資、システム開発資金については、新株発行による増資及び長期借入金によって調達しております。
d.経営者の問題認識と今後の方針について
2019年10月から幼児教育・保育の無償化が始まり、また、政府は希望しても認可保育所などに入れない待機児童の解消へ向けた「新子育て安心プラン」を閣議決定して、2021~24年度の4年間で新たに約14万人の保育の受け皿を整備するとしていることから、都市部における保育ニーズは当面継続するものと見込まれます。
しかしながら、2023年12月期につきましては、新型コロナウイルス感染症はいまだ完全には収束せず、先行き不透明な状況が続いております。また、コロナ禍により少子化が加速しており、2022年の出生数は初めて80万人を割り込みました。
政府は強い危機感を背景に、2022年6月に「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」、2022年11月に「出産・子育て応援交付金」の実施を閣議決定し、岸田総理大臣の2023年年頭記者会見において「異次元の少子化対策に挑戦する」と強調しました。さらに小倉少子化対策担当大臣は、過去に課題とされていた「M字カーブ」は解消に向かいつつある半面、女性の正規雇用率が出産を機に低下する「L字カーブ」の是正が不可欠としており、産後ケアや学童保育など子育て家庭向けサービスの拡充が重要テーマのひとつとなっております。
女性の社会進出に対する意識の変化や政府による女性の活躍推進などにより、共働き世帯数や女性の就業率は引き続き高い水準で推移しており、子育て支援事業者の社会的役割は一段と重要性を増しております。
エデュケア事業においては、保育所における待機児童の解消が進みつつあるものの、学童保育の待機児童(いわゆる「待機学童」)は1万人超と増加傾向にあり、保育環境の整備、保育の質向上が引き続き大きな課題となっています。
加えて、ファミリーケア事業のチャイルドケア領域においては、保育園とともに「車の両輪」となり、女性の活躍・就労支援策を支える社会インフラとしてのベビーシッターの存在感が高まっております。2021年4月より内閣府ベビーシッター割引券の1日当たりの利用限度額が倍増したことなどの政策強化も背景として、ナニーサービス及びベビーシッターサービスを中心として引き続き力強い需要の拡大が続くことが見込まれます。
さらに、シルバーケア領域においては、年間240万人が生まれていた団塊の世代が70代半ばとなりターゲット層が膨らむこと、わが国の社会保障制度改革において示されている「医療から介護へ、施設から在宅へ」の方向性を踏まえ、シルバーケアサービスの需要拡大が加速するものと想定しております。
当社グループは、これらの環境変化を好機と捉え、高付加価値を求める顧客層向けのサービスを推進してまいります。
「最高水準」のサービス提供に向け、乳幼児教育におきましては、ハーバード大学、スタンフォード大学、ノーランドカレッジ、東京大学、お茶の水女子大学など国内外の教育機関やその研究者との共同研究や研修を実施して、世界最先端の教育科学を取入れるとともに、当社グループの保育理論を深化・体系化させております。
また、保育士、ナニー、ベビーシッター、ケアスタッフなどのサービスの担い手に対して、各種様々な研修制度による人財育成を行っており、研修によるクオリティ維持強化の仕組みを確立しております。内閣府ベビーシッター割引券などの国の助成に対応するベビーシッターは、保育士または看護師の資格保有、または指定研修の修了が必須ですが、2021年8月には、上記の当社グループの自社研修制度の充実が認められ、民間事業者として初めて自社のベビーシッター育成研修が当該指定研修と認定されました。さらに、2022年9月には、東京都ベビーシッター利用支援事業の指定研修としても追加認定されたことにより、当社グループの自社研修がナニー・ベビーシッター関連の二大助成金事業の指定研修として国及び東京都に認められることとなりました。これにより、当社グループのナニーやベビーシッターは、自社研修を受講することで、認定ナニー/ベビーシッターとして働くことができ、より需要が拡大すると見込まれる認定ナニー/ベビーシッターの安定的な供給が可能となっております。今後も研修制度の一層の充実を図り、最高水準のサービスを継続的に提供してまいります。
また、これまでの子育て支援・乳幼児教育・介護支援・家事支援・人材派遣・紹介・研修・調査研究・コンサルティング事業に加え、2021年6月には不妊予防に関するポータルサイトと企業研修サービスを新規事業として立ち上げました。さらに、2022年9月には、新規事業としてペットケアサービスを開始しております。当社グループが展開するファミリーケア領域(ベビーシッター、家事代行、介護)において、安心のポピンズブランドで「家族の一員」であるペットの健康と幸せをサポートするペットシッターを派遣し、ペットもご家族の一員としたワンストップのサービス提供を目指します。これによりライフステージで変化する、働く・働きたい女性の課題に切れ目なく対応する当社グループの事業形態の一層の充実を図り、他社のサービススコープには見られないユニークなビジネスモデルを追及してまいります。今後も「働く女性」という顧客基盤を活用して、顧客のライフステージに応じたサービスラインナップの展開・拡張により、既存事業の拡大とともに、新たな市場機会・成長機会を捉えてまいります。
e.経営戦略の現状と見通し
当社グループは、創業以来、利益成長と同時に社会課題の解決を意識した経営を行っております。
高付加価値・高収益であるファミリーケア事業の全社事業ポートフォリオにおける構成比を高めていく事、及び現状において、エデュケア事業において中長期的な保育・学童ニーズが見込まれる東京・大阪・名古屋という三大都市圏を中心としたエリアに展開している事等の戦略を進めております。また、新型コロナウイルス感染症の影響下、オンライン化が急速に進展した、プロフェッショナル事業における国内研修(厚生労働省や各自治体から受託する研修)、eラーニング等の事業成長をさらに加速してまいります。
これらの基本方針に基づき、当社は、2023年12月期~2027年12月期に係る中期経営計画を策定しております。利益率の高いファミリーケア事業が成長ドライバーとなって、全社の売上高及び利益成長をけん引し、オーガニック成長で2027年12月期の業績目標を売上高350億円・営業利益率10%としております。また、厳選したM&Aを含め売上高500億円以上を目指してまいります。今後も継続してこれらの戦略を進め、利益成長を実現してまいります。
また、当社グループの事業領域は、解決が進みつつある「待機児童の解消」、ならびにその先に顕在化しつつある「待機学童の解消」といった短期的な社会課題及び「女性の職場復帰・再就職の支援」「介護離職ゼロ」といった中長期的な社会課題に対応しており、事業を通して、これらの課題解決による社会的貢献が可能であると考えております。
当社グループは、日本初のSDGs-IPO企業として、利益成長の実現と同時に社会課題の解決に資することで、当社グループのさらなる発展と企業価値の向上を目指してまいります。
さらに将来、保育所が淘汰される時代の到来に向けて、収益性とシナジー効果を考慮し、案件を厳選したM&Aや戦略的提携を推進するとともに、新規事業開発に取り組むことで日本のSDGsをリードする企業として一層の発展を遂げる方針であります。
新型コロナウイルス感染の不安がいまだ続く環境下ではありますが、当社グループの基本スタンスとして、保育施設・学童施設及び、ナニーサービス・ベビーシッターサービス・シルバーケアサービスなどファミリーケアサービスにおいて、「安全に、強く、優しく支える」という方針をモットーに、引き続きサービスの安定的な継続と利益成長を図ってまいります。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失が発生する可能性があります。
(資産除去債務)
当社グループは、本支社及び保育施設等の不動産賃貸借契約に伴う原状回復義務に関し、有形固定資産の除去に要する将来キャッシュ・フローを見積り、使用見込期間に対応した割引率で割引いた金額を資産除去債務として計上しております。しかしながら、新たな事実の発生等に伴い、資産除去債務の計上額が変動する可能性があります。
(共通支配下の取引等)
(連結子会社間の吸収分割)
当社の連結子会社である株式会社ポピンズエデュケア及び株式会社ウィッシュは、2021年11月11日開催の各社の取締役会で、株式会社ウィッシュを分割会社とし、株式会社ポピンズエデュケアを承継会社とする吸収分割契約を締結することを決議し、2022年4月1日付けで吸収分割を実施いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 ⑴ 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。