第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生または前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績

当社グループでは、2022年5月に公表した「22-24 中期経営計画 未来への躍進 ~進化するヘルスケアコンソーシアム®~(以下「22-24中計」という。)」に掲げた以下のグループ経営方針に取り組んでおります。

・『事業モデルの強化』と『新たな価値の創造』

・『グループ一体となった取り組み』による地域の健康・医療への貢献

・『環境保全への取り組み等』を通じたサステナブル社会への貢献

・『ダイバーシティ』を中心とした人財戦略の推進

・『コンプライアンスの遵守』を最重要とする企業風土の醸成

また、2023年5月、当社はグループのさらなる企業価値向上を実現すべく、2032年度までの中長期的な事業戦略および財務・資本戦略 「アルフレッサグループ中長期ビジョン」を公表するとともに、資本効率の改善と株主還元の充実を図るため350億円を上限とする自己株式取得を決議し、同年10月2日をもって、15,201千株を取得し終了いたしました。

当社の「新たな価値の創造」への取り組みとして、2023年5月、抗体医薬を主体とした研究開発を行う株式会社凜研究所(本社:東京都中央区)に対し第三者割当増資による出資をいたしました。同社が進める抗体医薬の開発を支援していくとともに、トータルサプライチェーンサービスの実現に向けて医薬品等製造事業における開発パイプラインと製造技術を強化してまいります。

また、組織再編により当社の完全子会社となったセルリソーシズ株式会社(本社:東京都千代田区)は、2023年7月、Miltenyi Biotec B.V. & Co. KG(本社:ドイツ連邦共和国)との間で、遺伝子細胞治療市場における自動細胞製造施設・工程の設計、建設、稼働のサポートを目的とするバイオインダストリー・サポート契約を締結いたしました。当社グループでは、本契約を契機として遺伝子細胞治療市場に対して高度に自動化された受託細胞製造サービスを提供する事業基盤の整備を進め、再生医療等製品の受託製造サービスを提供する体制の構築を進めております。

さらに、2023年11月、当社の子会社である株式会社ゲッカワークス(本社:東京都千代田区)は、かねてより実証実験を進めていた医師向け会員制Webサービス「ドクシル」の本格運用を開始いたしました。同社は、当社グループの医療用医薬品等卸売事業のMSとともに、地域医療連携を支援し、医療提供体制の充実や医師の働き方改革へ貢献してまいります。

資金調達としては、2023年12月、当社は、社会価値の創造に資するため、茨城県つくば市における新たな物流センターおよび群馬県太田市における医薬品製造棟の建設・運営のため、総額200億円のソーシャルボンドを発行いたしました。

当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高2兆1,798億3百万円(前年同期比6.4%増)、営業利益299億44百万円(同49.7%増)、経常利益312億15百万円(同41.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益208億71百万円(同40.8%増)となりました。

※ MS(Marketing Specialist):マーケティング・スペシャリスト。医薬品の卸業における専門知識を持った営業員

 

セグメント別の業績は、以下のとおりであります。

 

① 医療用医薬品等卸売事業

当第3四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが2023年5月から「5類感染症」に移行されましたが、再拡大の様相を呈しました。このようななか、当社グループでは、生命関連商品を取り扱う社会インフラとしての使命を果たすべく、医薬品等の安定供給はもとより、新型コロナウイルスワクチンおよび治療薬の配送業務ならびに欠品や需給調整が続くジェネリック医薬品への対応に尽力しております。

 

医療用医薬品等卸売事業におきましては、スペシャリティ領域ならびにメディカル品への取り組み強化とDXによる事業変革を通じて、「22-24中計」の重点施策として掲げた「既存事業の強化」「事業変革による収益化」「グループ全体での最適化・効率化・標準化」を推進しております。

当社グループでは、新たな医療サービスの開発に挑戦する様々なベンチャー企業との提携により、医療分野における課題解決への取り組みを進めております。

連結子会社のアルフレッサ株式会社(本社:東京都千代田区)は、株式会社MICIN(本社:東京都千代田区)との間で資本業務提携契約を締結し、オンライン診療サービス「curon(クロン)」や通院専用のキャッシュレス決済サービス「クロンスマートパス」等の普及拡大を推進するとともに、両社の経営資源を活用し、生活者の健康向上や医療アクセスの充実につなげるなど、医療・ヘルスケアサービスの開発および展開を図っております。

また、アルフレッサ株式会社は、2023年5月、キッズウェル・バイオ株式会社(本社:東京都中央区)および三菱倉庫株式会社(本社:東京都中央区)との間で、キッズウェル・バイオ株式会社が再生医療等製品として開発中のヒト乳歯歯髄幹細胞の高品質かつ安定的な保管・輸送体制の構築に関する業務委託基本契約を3社間で締結し、再生医療分野においても医薬品の安定供給を担うべく、ヒト乳歯歯髄幹細胞を原料とする再生医療等製品の実用化に向けた協業を進めてまいります。

当セグメントの当第3四半期連結累計期間の業績は、2023年4月に実施された薬価の中間年改定によるマイナス影響はあったものの、新型コロナウイルス感染症治療薬やインフルエンザ関連商品をはじめとする市場の伸長および一部製薬企業の流通体制変更ならびに売上総利益率の改善に取り組んだこと等により、売上高1兆9,381億45百万円(前年同期比6.4%増)、営業利益258億50百万円(同52.7%増)となりました。

なお、売上高には、セグメント間の内部売上高140億30百万円(同6.8%増)を含んでおります。

 

② セルフメディケーション卸売事業

セルフメディケーション卸売事業におきましては、既存領域の高収益化と成長領域への挑戦を推進し、「22-24中計」の重点施策として掲げた「高収益化への取り組み」「グループ連携強化」「事業変革による収益力強化」を推進しております。なかでも、物価高騰による仕入原価上昇への対応、調剤薬局販路開拓をはじめとするニューチャネル創造に取り組んでまいりました。

当セグメントの当第3四半期連結累計期間の業績は、新型コロナウイルス感染症の「5類」移行後の人流回復に加えて、訪日外国人増加によるインバウンド需要増に伴う市場回復の影響から増収となったこと等により、売上高2,003億61百万円(前年同期比7.3%増)、営業利益21億80百万円(同31.1%増)となりました。

なお、売上高には、セグメント間の内部売上高3億95百万円(同8.1%減)を含んでおります。

 

③ 医薬品等製造事業

医薬品等製造事業におきましては、「次代の基盤創り」を目指し、「22-24中計」の重点施策として掲げた「安心・安全・誠実なモノづくり」「トータルサプライチェーンサービスの実現に向けた取り組み」「デジタルを活用した新たな取り組み」を推進しております。

2023年4月、連結子会社のアルフレッサ ファーマ株式会社(本社:大阪市中央区)は、連結子会社であったサンノーバ株式会社(本社:群馬県太田市)を合併いたしました。本合併により新たな価値の創造を通じて顧客満足を追求し、当社グループが掲げる「健康に関するあらゆる分野の商品・サービスを提供できるヘルスケアコンソーシアム®」の実現に貢献いたします。

また、アルフレッサ ファーマ株式会社は、2023年3月に株式会社ケイファーマ(本社:東京都港区)との間で締結した、筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬としてのロピニロール塩酸塩の国内開発権・製造販売権許諾契約に基づく開発に引き続き取り組んでおります。

当セグメントの当第3四半期連結累計期間の業績は、ALS治療薬開発に係る契約一時金支出等の経費増の一方で、受託製造および原薬製造の売上伸長および新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原迅速検査キット「アルソニック® COVID-19 Ag」をはじめとする診断薬の底堅い需要による増収の影響により、売上高399億63百万円(前年同期比9.8%増)、営業利益11億38百万円(同14.7%増)となりました。

なお、売上高には、セグメント間の内部売上高117億32百万円(同11.0%増)を含んでおります。

 

 

④ 医療関連事業

医療関連事業におきましては、予防からターミナルケアまでライフジャーニーにおけるすべてのステージに対応する「かかりつけ薬局」を目指し、「22-24中計」の重点施策として掲げた「在宅医療への取り組みによる事業の成長」「DXによる事業変革」「未病予防への取り組み」を推進しております。

当セグメントの当第3四半期連結累計期間の業績は、薬価改定によるマイナス影響はあったものの、新型コロナウイルス感染症治療薬等の影響による増収および販管費抑制等により、売上高274億90百万円(前年同期比1.3%増)、営業利益4億84百万円(同1,015.2%増)となりました。

 

(2) 財政状態

① 資産の部

資産は、前連結会計年度末と比較して1,602億62百万円増加し、1兆5,001億14百万円となりました。

流動資産は、1,502億76百万円増加し、1兆1,848億3百万円となりました。これは主として、「現金及び預金」が406億93百万円増加、「受取手形及び売掛金」が772億38百万円増加および「商品及び製品」が208億16百万円増加したことによるものであります。

固定資産は、99億86百万円増加し、3,153億11百万円となりました。これは主として、物流センター等の設備投資などに伴い有形固定資産が50億86百万円増加および保有株式の時価上昇等に伴い「投資有価証券」が69億32百万円増加したことによるものであります。

 

② 負債の部

負債は、前連結会計年度末と比較して1,842億54百万円増加し、1兆357億71百万円となりました。

流動負債は、1,512億13百万円増加し、9,769億45百万円となりました。これは主として、「支払手形及び買掛金」が1,556億61百万円増加したことによるものであります。

固定負債は、330億41百万円増加し、588億25百万円となりました。これは主として、「社債」が200億円増加、「長期借入金」が100億円増加および保有株式の時価上昇等に伴い繰延税金負債等の「その他」が34億82百万円増加したことによるものであります。

 

③ 純資産の部

純資産は、前連結会計年度末と比較して239億92百万円減少し、4,643億43百万円となりました。これは主として、「利益剰余金」が91億70百万円増加および保有株式の時価上昇等に伴い「その他有価証券評価差額金」が27億36百万円増加した一方で、資本効率向上および株主還元の一環として自己株式を取得したこと等に伴い「自己株式」が357億23百万円増加したことによるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は17億30百万円(前年同期比56.8%増)であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。