当社グループは、前連結会計年度において6期連続で営業損失及び重要な減損損失を、9期連続で親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、当第3四半期連結累計期間においても重要な減損損失を計上するとともに、重要な営業損失及び親会社株主に帰属する四半期純損失を計上したことにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当該状況を解消するため、当社グループは、全社的な事業構造改革として、設備利用効率の改善、資産規模の適正化による生産性向上、及びサプライチェーンの見直し等によるコストの更なる削減に取り組んでおります。この戦略的取組みの一環として、2023年3月にソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社との間で、同月末に生産終了となった東浦工場の建物につき、2024年4月1日を物件引渡日とする譲渡契約を締結いたしました。また、2023年8月2日開催の取締役会において、LTPS技術と比較してディスプレイの高性能化への対応が限定的であるa-Si技術を採用する鳥取工場について、2025年3月を目途に生産終了することを決議いたしました。
上記施策に加え、技術基盤を価値創造の源泉とし、脱過当競争・脱コモディティ化により収益性の抜本的な改善を図るための成長戦略「METAGROWTH 2026」を2022年5月13日付で発表し、引き続き事業モデルの変革を推進しております。本成長戦略における主な事業戦略として、同年3月30日に発表した超高移動度酸化物半導体バックプレーン技術「HMO」、同年5月13日に発表した次世代OLED「eLEAP」のほか、車載及びVR製品、並びにそれらに関連する知的財産権の積極活用等を中心に製品・事業ポートフォリオを再編し、早期の黒字体質の安定化と事業成長を図っていく方針であります。
上記「METAGROWTH 2026」の拡大と加速化への寄与を目的とし、2023年5月31日、株式会社JOLEDの事業の一部であるOLEDディスプレイに関する技術開発ビジネス関連事業を当社連結子会社JDI Design and Development合同会社が承継する事業譲渡契約を、当社を含む3社間で締結し、同年7月18日付で実施を完了いたしました。
また、当社は、同年9月29日付で中国の蕪湖経済技術開発区との間で締結した、次世代OLED「eLEAP」を用いた事業の立ち上げに関する覚書について、建設予定の工場を基板サイズの大きいG8.7に一本化する内容修正に同年12月28日付で合意のうえ、関係当局からの許認可取得及び2024年3月までの最終契約締結に向けて協議を継続しております。
以上のように、今後も事業モデルの改革を進め、収益性の更なる向上に向けた経営資源の最適化に引き続き取り組んでまいります。
財務面では、世界的なインフレ高進やサプライチェーンにおけるリスクの継続に備えた手許資金確保の重要性に鑑み、当第3四半期連結累計期間において、当社はIchigo Trust(以下「いちご」といいます。)より新規借入(2023年10月30日付元本総額40億円)を実施したほか、当四半期報告書提出日までに、既存借入に係る弁済期日を延長(同年5月31日付元本総額40億円及び同年8月17日付元本総額40億円につき2024年2月29日まで、2023年6月28日付元本総額80億円につき2024年3月29日まで、2023年7月28日付元本総額40億円につき2024年4月30日まで)することについて、いちごとの間で合意いたしました。また、注記事項(重要な後発事象)に記載の通り、当第3四半期連結累計期間後に、いちごより追加の新規借入を実施しております(2024年1月30日付元本総額50億円)。今後も資金需要に応じた機動的な借入実施、いちごによる第13回新株予約権の行使要請(調達総額最大約1,734億円)のほか、低効率資産の売却及び営業債権の流動化等も含め、引き続き適時適切な資金調達策を講じてまいります。
一方で、昨今の世界的な原材料費の高騰、エネルギー費高騰による動力費や輸送費の負担増加、及び世界的高金利の影響等により早期の業績回復による黒字転換が遅延し、当社グループ資金繰りに重要な影響を及ぼす可能性を勘案すると、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
なお、四半期連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、このような継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を四半期連結財務諸表に反映しておりません。
(税金費用の計算)
税金費用については、当第3四半期連結会計期間を含む連結会計年度の税引前当期純損益に対する税効果会計適用後の実効税率を合理的に見積り、税引前四半期純損益に当該見積実効税率を乗じて計算する方法を採用しております。
1 偶発債務
前連結会計年度(2023年3月31日)
(1)債務保証
当社は、従前グループ外事業者との間で、白山工場における生産に不可欠なユーティリティの設備管理を目的とする長期業務委託契約(以下「委託契約」という。)を締結しておりましたが、2020年10月1日付で同工場の資産を第三者に譲渡したことにより、当該譲渡先が委託契約を承継した結果、同年10月1日を効力発生日として、グループ外事業者において発生する損害を、当社が当該譲渡先と連帯して保証する旨の合意をいたしました。これに伴う当連結会計年度末における債務保証見込額は、954百万円であります。なお、今後新たな事象の発生等により、当該見込額に変更が生じる可能性があります。
(2)重要な訴訟
2020年7月16日付で、過年度決算における不適切な会計処理により損害を被ったとして、当社の株主1名及び当該株主が代表取締役を務める国内法人株主2名から、当社並びに当社の元取締役及び現取締役合計10名に対し、連帯して約3,858百万円の損害賠償を請求する訴訟が提起されました。現在係争中ですが、当社といたしましては、訴訟における原告の主張を踏まえて適切に対応してまいります。
当第3四半期連結会計期間(2023年12月31日)
(1)債務保証
当社は、従前グループ外事業者との間で、白山工場における生産に不可欠なユーティリティの設備管理を目的とする長期業務委託契約(以下「委託契約」という。)を締結しておりましたが、2020年10月1日付で同工場の資産を第三者に譲渡したことにより、当該譲渡先が委託契約を承継した結果、同年10月1日を効力発生日として、グループ外事業者において発生する損害を、当社が当該譲渡先と連帯して保証する旨の合意をいたしました。これに伴う当第3四半期連結会計期間末における債務保証見込額は、422百万円であります。なお、今後新たな事象の発生等により、当該見込額に変更が生じる可能性があります。
(2)重要な訴訟
2020年7月16日付で、過年度決算における不適切な会計処理により損害を被ったとして、当社の株主1名及び当該株主が代表取締役を務める国内法人株主2名から、当社並びに当社の元取締役及び現取締役合計10名に対し、連帯して約3,858百万円の損害賠償を請求する訴訟が提起されました。現在係争中ですが、当社といたしましては、訴訟における原告の主張を踏まえて適切に対応してまいります。
※1 固定資産売却益
前第3四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
主に製造委託先に設置していた自社所有設備の譲渡に伴うものであります。
当第3四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)
主に製造委託先に設置していた自社所有設備の譲渡に伴うものであります。
※2 関係会社株式売却益
前第3四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
連結子会社であるSuzhou JDI Electronics Inc.(以下「SE」といいます。)の全株式を売却したことにより発生したものであります。
当第3四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)
該当事項はありません。
※3 事業構造改善費用戻入益
前第3四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
構造改革の一環で評価切下げを行った債権につき、譲渡先からの入金完了により回収可能性が回復したことに伴うものであります。
当第3四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)
該当事項はありません。
※4 減損損失
前第3四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
当社グループでは、以下の資産グループについて減損損失を計上致しました。
原則として事業用資産については管理会計上の区分を基礎とし、製造工程等の関連性を加味してグルーピングしております。遊休状態の資産については他の資産グループから独立したキャッシュ・フローを生み出す単位として個別にグルーピングしています。
事業用資産については、ディスプレイ業界において、海外ディスプレイメーカーの生産能力拡大や顧客のOLEDディスプレイ採用拡大などを背景に厳しい競争環境が継続し、収益性が低下したため、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額1,209百万円(主として建設仮勘定1,017百万円)を特別損失に計上いたしました。
なお、事業用資産の回収可能価額は、正味売却価額により測定しており、正味売却価額は当社グループが評価を委託した外部の評価会社から入手した鑑定評価書(不動産及び動産)を利用し算出した鑑定評価額により評価しております。
遊休資産については、将来の使用が見込まれなくなったことから、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額760百万円(主として機械装置及び運搬具429百万円)を特別損失に計上いたしました。
なお、遊休資産の回収可能価額は零としております。
当第3四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)
当社グループでは、以下の資産グループについて減損損失を計上致しました。
原則として事業用資産については管理会計上の区分を基礎とし、製造工程等の関連性を加味してグルーピングしておりますが、遊休状態の資産については他の資産グループから独立したキャッシュ・フローを生み出す単位として個別にグルーピングしています。また、のれん及び共用資産については、関連する事業用資産を含むより大きな単位でグルーピングを行っております。
事業用資産、のれん及び共用資産については、ディスプレイ業界において、海外ディスプレイメーカーの生産能力拡大や顧客のOLEDディスプレイ採用拡大などを背景に厳しい競争環境が継続し、主に液晶事業の収益性が低下したことにより当第3四半期連結累計期間において帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額9,227百万円(主としてその他投資その他の資産7,161百万円及び機械装置及び運搬具652百万円)を特別損失に計上いたしました。
なお、事業用資産の回収可能価額は、正味売却価額により測定しており、正味売却価額は当社グループが評価を委託した外部の評価会社から入手した鑑定評価書(不動産及び動産)を利用し算出した鑑定評価額により評価しております。また、のれん及び共用資産を含むより大きな単位の回収可能価額は、割引後の将来キャッシュ・フローに基づく使用価値(割引率10.4%)により測定しております。
遊休資産については、将来の使用が見込まれなくなったことから、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少1,769百万円(主として建設仮勘定1,207百万円)を特別損失に計上いたしました。
なお、遊休資産の回収可能価額は零としております。
※5 事業構造改善費用
前第3四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
主に東浦工場の生産終了に伴う見込費用及び子会社株式売却に係る経済補償金であります。
当第3四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)
該当事項はありません。
※2 株式の売却により連結子会社でなくなった会社の資産及び負債の主な内訳
前第3四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
株式の売却によりSEが連結子会社でなくなったことに伴う売却時の資産及び負債の内訳並びに株式の売却価額と売却による収支は次の通りであります。
当第3四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)
該当事項はありません。
※3 現金及び現金同等物を対価とする事業の譲受にかかる資産及び負債の主な内訳
前第3四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
該当事項はありません。
当第3四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)
連結子会社であるJDI Design and Development合同会社による事業譲受に伴い増加した資産及び負債の主な内訳並びに事業の譲受価額と事業譲受による支出との関係は次のとおりであります。
前第3四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
1 配当に関する事項
(1)配当金支払額
該当事項はありません。
(2)基準日が当第3四半期連結累計期間に属する配当のうち、配当の効力発生日が当第3四半期連結会計期間末後となるもの
該当事項はありません。
当第3四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)
1 配当に関する事項
(1)配当金支払額
該当事項はありません。
(2)基準日が当第3四半期連結累計期間に属する配当のうち、配当の効力発生日が当第3四半期連結会計期間末後となるもの
該当事項はありません。
(収益認識関係)
顧客との契約から生じる収益を分解した情報
(注)第2四半期連結累計期間より、従来の「ノンモバイル」を「スマートウォッチ・VR等」、「モバイル」を「液晶スマートフォン」に名称変更しております。当該変更は名称変更のみであり、その内容に与える影響はありません。
【セグメント情報】
1株当たり四半期純損失及び算定上の基礎は、以下のとおりであります。
(注) 1.潜在株式調整後1株当たり四半期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり四半期純損失であるため記載しておりません。
2.A種優先株式、B種優先株式、D種優先株式及びE種優先株式は剰余金の配当請求権について、普通株式と同順位であるため、1株当たり四半期純損失の算定上、その普通株式相当数を期中平均株式数に含めて計算しております。
(資金の借入)
当社は、2023年11月10日開催の取締役会決議に基づき、一時的な運転資金の確保を目的として、以下の借入について借入先であるいちごと合意締結し、実行いたしました。