<ヤマハの理念・ビジョン>
当社グループは事業活動を通じて、「世界中の人々のこころ豊かなくらし」を実現することを目指しています。そのために、「感動を・ともに・創る:私たちは、音・音楽を原点に培った技術と感性で、新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます」を企業理念に掲げ、我々の行動の原点としています。
(1)ヤマハフィロソフィー
ヤマハフィロソフィーとは、ヤマハグループの企業経営の「軸」となる考え方を体系化し表したものです。
ヤマハフィロソフィーは、「企業理念」、「顧客体験」、「ヤマハクオリティー(品質指針)」、「ヤマハウェイ (行動指針)」の4つにより構成されます。「企業理念」と「顧客体験」は、グループの存在意義を表す普遍的な内容であり、ヤマハフィロソフィーの『基軸』です。
「ヤマハクオリティー」と「ヤマハウェイ」は、企業理念を具現化するために、グループで働く全ての従業員が、日々の業務の中で拠り所とすべきものであり、ヤマハフィロソフィーの『両輪』を示します。
私たちは、常にこのヤマハフィロソフィーを心のよりどころにしながら、お客様の視点に立ち、期待を超える製品とサービスを生み出すことで、未来に向かって新たな感動と豊かな文化を創りつづけます。

(2)ブランドプロミス“Make Waves”
ブランドプロミスとは、ヤマハが人々の人生にもたらす価値を語ったものです。
ヤマハは、「個性、感性、創造性を発揮し、自ら一歩踏み出そうとする人々の勇気や情熱を後押しする存在でありたい」との思いを込め、人々が心震わす瞬間を“Make Waves”という言葉で表現しました。心震える瞬間を創りだすために、ヤマハは人々の感性を刺激し表現を支える製品やサービスを提供し、なくてはならないパートナーであり続けます。

(3)経営ビジョン
今後も変化する経営環境を見据え、当社グループが実現したい提供価値を改めて示した上で、中長期的に当社が目指す姿を新たな経営ビジョンとして打ち出します。

新たな経営ビジョンに込めた3つの意図は以下のとおりです。
一つ、ヤマハの強み、ヤマハらしさが十分に活きる「音・音楽」領域において、新たな価値創造の可能性を追求していくこと。
二つ、そのために、世界中の人々の自己表現、多様な個性の発揮を後押しする製品やサービスをたゆまず提供していくこと。
三つ、多様なステークホルダーと積極的に連携・協業し、社会課題の解決に資する新たな価値を、共に創り上げること。
当社はこれまで同様、音・音楽を原点に培った技術と感性で製品の本質的価値を磨き続けるとともに、そこに、より楽しい、よりクリエイティブな、あるいはより便利な体験価値を加えるための取組みを強化し、隣接事業領域として拡大していきます。さらには、既存商品、既存事業の枠にとらわれない、社会課題解決につながる音・音楽の新たな可能性を追求し、事業ドメインを拡大していきます。

<中期経営計画「Rebuild & Evolve」の概要>
当社グループは、2025年3月末で終了した「Make Waves 2.0」に続き、2025年4月からの3年間を対象とした新たな中期経営計画「Rebuild & Evolve」を策定しました。
(1) 経営環境認識
前中期経営計画期間を通じて当社を取り巻く経営環境は、かつてないスピードで変化しております。経済変動、物価高騰、為替リスク、地政学リスクといったマクロ環境の変化に加え、顧客の価値観やライフスタイルの多様化、購買行動のオンラインシフトが急速に進んでいます。また、技術革新、とりわけ生成AIの進化は、ビジネスのあり方を根本から変えつつあるといっても過言ではありません。
このような環境下において企業に求められるのは、現状維持ではありません。ダイナミックな変化を恐れず、迅速かつ柔軟に対応し、むしろ成長機会として積極的に活かしていく姿勢が必要です。音・音楽を軸にした当社ならではの新たな価値創造に挑戦するとともに、多様なライフスタイルや価値観に寄り添う体験価値を提供することで、事業機会拡大のチャンスになると認識しています。

(2) 重点課題と戦略骨子
経営ビジョン、マテリアリティ、および前中期経営計画のレビューからいくつかの課題が明確となりました。一つは、最優先課題となりますが、低下した既存事業の収益力をコロナ前水準までに回復し、再び成長軌道に乗せることです。次に、中長期的な成長に向け、隣接・新規領域への戦略的投資による育成・事業化を行っていくことです。そして最後に、持続的な成長を支える安定した経営基盤を作るため、資本・資産効率、人的資本、ガバナンスを強化していくことです。当社は中期経営計画の3年間、明確となった課題へ全力で取り組みます。
新中期経営計画のタイトルは『Rebuild & Evolve』とし、“Rebuild”は再構築、“Evolve”は進化を意味し、特に「未来を創る挑戦」の“Evolve”は単なるドメインの拡大ではなく、ヤマハのビジネス全体に質的な変化をもたらすものにしていきたいという意図を込めました。

(3) 新中期経営計画「Rebuild & Evolve」
新中期経営計画では、3つの戦略方針を掲げ、事業軸、市場軸、そして全社それぞれの視点で取組みを進めていきます。

① 戦略方針1:強固な事業基盤の再構築(Rebuild)
既存事業の在り方について抜本的な見直しを行い、事業環境に適応したあるべき姿に早期に作り替えていくことを目指します。過去数年、私たちは市場環境の急速な変化に対して十分な対応ができず、一部事業で収益性が低下しました。この反省を踏まえ、まず課題事業の収益構造を徹底的に見直します。楽器事業ではピアノ・ギター事業の構造改革と高付加価値製品の比重を高め収益性を改善するとともに、デジタルピアノ等のさらなる競争力強化で再び成長軌道に回帰することに取り組みます。音響事業では、顧客要求へのタイムリーな対応など、B2Bに必要な視点がこれまで十分に反映できていなかった反省をもとに、事業環境の変化に即応できる組織体制を整備し、収益性と販売力を強化します。
② 戦略方針2:未来を創る挑戦(Evolve)
新たなドメインへ事業を拡大することを目指します。楽器事業では、製品そのものの価値提供にとどまらず、カスタマーサクセスを起点とした価値提供へのシフトに取り組みます。演奏体験の支援、そしてオンラインとオフラインを融合した新しい顧客体験の創出に取り組みます。

音響事業では、業界トップレベルの信号処理と音場調整の技術等、当社ならではの強みを活かしながら隣接領域へ
ドメイン拡大を図ります。前中期経営計画期間から事業成長を進めてきた車載オーディオ領域に加え、エンタテインメント領域、商業施設・公共施設向けの新ソリューション提供など、市場・顧客の様々な要求に応える最適な音環境を提供し、多角的な成長機会を狙います。

また、インド・フィリピン等の成長市場や新たな成長事業への積極的な投資、および持続的な事業成長に向けた新規事業創出のメカニズム構築など中長期視点での未来を創る挑戦こそが、ヤマハの次なる飛躍を支えるエンジンになると信じています。

当社はサステナビリティを価値の源泉ととらえており、音・音楽の力、そして事業を通じて培ってきた技術と感性で社会課題の解決に貢献したいと考えています。重視したい視点は「人・社会・地球」の三つ。音楽で人のつながりを作ること、音による安心と安全を提供すること、そして音楽文化が持続可能であるように地球規模での資源循環を実現すること。このような取り組みを通じて音・音楽の新たな可能性を追求し、事業ドメインを拡大していきます。

③ 戦略方針3:経営基盤の強化
持続的成長を実現するために経営基盤を強化します。資本・資産効率向上に向けて、投資とリターンのバランスを重視し、企業価値の最大化を図ります。次に、人的資本の強化については、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進、グローバル人材育成、社員エンゲージメント向上に向けた施策を積極的に展開します。さらに、コーポレートガバナンスの強化を図り、より透明性・公正性の高い経営体制を確立します。
価値の源泉であるサステナビリティを常に意識しながら、これらの三つの戦略方針に沿った取り組みを進めていく、それが新中期経営計画における当社が目指す成長戦略です。
(4) 経営目標
中期経営計画の経営目標は記載の通りです。特にこれまで以上に財務目標の達成に執着し取り組みを推進してまいります。年平均の売上成長5%、最終年度のROE10%が中期経営計画3年間で目指す、最も優先すべき経営目標です。加えて、各重点戦略の達成度合いをモニターしていくための多面的なKPI指標を設定しました。「強固な事業基盤の再構築」のKPIとしてはセグメント別の売上成長率と事業利益率を、「未来を創る挑戦」のKPIとしては戦略投資額などのドメイン拡大指標と新価値創造指標を、「経営基盤の強化」のKPIとしては資本・資産効率指標と人的資本強化指標を、さらにサステナビリティ関連では環境・社会・文化それぞれの取り組みで目標とする指標を設定しました。短期的な収益改善と中長期的な成長基盤づくりにバランスよく取り組むことで、企業価値の持続的な向上を実現してまいります。

(5) 事業ポートフォリオ
中長期的に企業価値を向上していくため、下図の3つの領域に各事業を位置づけ、経営資源を適切に配分するポートフォリオマネジメントを進めます。
ここでは収益率と成長率を基準に当社の主要な事業をマッピングしていますが、既存の事業領域については、成長加速に向けた取り組みを強化する事業と、収益性改善に注力する事業とを明確に分け、戦略を組み立てます。具体的には、エンタテインメントPAや電子楽器、B&Oといったカテゴリにおいてはさらなる競争力強化による成長を最優先課題とし、一方、環境変化により収益性が低下しているピアノ、ギター、ホームオーディオ事業については、構造改革を急ぎ、収益性改善に努めます。あわせて、新たな成長の種を作る取り組みを強化していきます。音楽系サービス、モビリティソリューション、ビジネスソリューション等に積極的な投資を行い、また、新規事業、社会課題解決型ビジネスについても、実証を重ねながら将来の柱とするべく育成を図ります。

加えて、ポートフォリオマネジメントの仕組みも整備していきます。経営ビジョン等の目指す姿との整合性、事業将来性と収益性、そしてベストオーナー視点での当社の保有意義のそれぞれを評価し、定期的な事業構成の見直しのマネジメントプロセスを導入してまいります。特に収益性については、事業ごとの資本収益性を可視化し、高収益・高成長が期待できる領域には積極的に投資を行い、競争力が低下した領域については(縮小・撤退を含めた)戦略的な見直しを進めます。
これらの取り組みを通じて、「収益力向上」と「資本・資産効率改善」の両立を図り、変化の激しい環境下でも持続的な成長と高い収益性を実現できる事業構成を確立してまいります。

(1) ヤマハグループサステナビリティ方針
ヤマハグループは、世界中の全ての人々が心豊かに暮らす社会を目指します。その実現のために、企業理念である「ヤマハフィロソフィー」を心のよりどころに、かけがえのない地球環境を守り、平等な社会と快適なくらし、心潤す音楽文化の発展に貢献するとともに、人権尊重はもとより、多様な人材が互いに認め合い活躍できる環境を整えることで、未来に向かって新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます。
この考え方に基づき、持続可能な社会の実現に向けた取り組みによる社会価値の創造を通じ、自らの中長期的な企業価値を高める為、マテリアリティを特定し、積極的にサステナビリティ活動を推進します。

ヤマハ(株)は、取締役会の監督に基づき、代表執行役社長の諮問機関として「サステナビリティ委員会」を設置し、グループ全体のサステナビリティ活動の方向性の議論や、グループ内における取り組み状況のモニタリングを行い、代表執行役社長に答申しております。サステナビリティ委員会の審議内容、ヤマハグループにおける活動状況については取締役会に定期的に報告され、取締役会によるレビューを受けております。
また、同委員会の下部組織として「気候変動部会」「資源循環部会」「調達部会」「人権・DE&I部会」「社会・文化貢献部会」を設置しております。各部会では、全社横断的な重要テーマについて、推進体制の整備、方針や目標・施策・実行計画の策定、活動およびモニタリングを行い、サステナビリティ委員会へ報告しております。
2025年3月期のサステナビリティ委員会活動状況
実績:7回開催
主な議題:
・先期活動レビュー、外部開示内容(含むTCFD/TNFD)確認
・当期進捗/成果確認、課題についての議論
・次期中期経営計画における施策・KPI目標の審議
2025年3月期の各部会における活動状況
当社の2025年6月23日現在のサステナビリティ推進体制は下図のとおりであります。

2025年3月期の取締役会による監督などの状況
実績:サステナビリティ委員会の活動状況のモニタリング 2回
外部有識者との対話会 1回
主な議題:
・サステナビリティに関する方針や目標
・サステナビリティ施策の定期的なレビューなど
ヤマハグループのサステナビリティマネジメントの詳細についてはウェブサイトをご覧ください。
ヤマハグループでは、社会の持続的発展と中長期的な企業価値向上につながる重要な課題を「サステナビリティに関するマテリアリティ」として特定し、これをサステナビリティ方針に組み込むとともに、経営全体のマテリアリティに統合し、活動を推進・管理しております。
<取り組み例>
・持続可能な木材の利用
ヤマハグループが生産しているピアノや弦打楽器、木管楽器など楽器の多くは、主に木材でつくられております。事業活動において多種多様な木材を使用していることを踏まえ、生物多様性や生態系を損ねることなく、貴重な木材資源を持続的に活用していけるよう、木材デューディリジェンスの推進や、原産地コミュニティーと連携した良質材の育成(おとの森活動)などを進めております。木管楽器の重要な材料である「アフリカン・ブラックウッド」の原産地であるタンザニア連合共和国では、同樹種の生態や森林の管理状態を調査。同樹種を楽器素材として持続的に利用できるビジネスモデルの実現に向け、森林保全と楽器生産、地域コミュニティー開発の観点から、植林技術の導入や土地利用の改善、材料利用技術の開発などを2015年から進めております。2017年に開始したアフリカン・ブラックウッドの定期的な植林活動には、2025年3月期に新たに1つのコミュニティーが加わり現在4つのコミュニティーが活動に参画。2025年3月期には新たに約9,000本の苗木を植栽、8年間で累計約27,000本(植林地総面積約13.5ha)の植栽規模となりました。
木材資源への取り組みの詳細はウェブサイトをご覧ください。
・音楽文化の普及、発展
ヤマハグループでは、国内外で、学校における音楽教育の支援活動や、音楽、楽器を通じた地域貢献や音楽普及活動に取り組み、音楽教育の発展、青少年の健全育成、コミュニティーの活性化などに寄与しております。2015年より新興国を中心に展開している「スクールプロジェクト」は、世界中の子どもたちが音楽や楽器演奏を学ぶ中で未来を生きる力を手に入れ、こころ豊かな人生を送ることができる世界を目指し、まだ音楽の授業環境が整っていない国に向けて「新しい音楽の授業」の構築支援に取り組んでおります。ヤマハの独自プログラムを展開することではなく、その国・地域に最適な音楽の授業を作りあげることを目標とし、現地教育省と協力の上、パイロット授業の展開・指導者の育成・カリキュラム構築の支援・教材や楽器の販売・提供などを段階的に実施。現在その実績はマレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピン、 インド、ブラジル、コロンビア、メキシコ、UAE、エジプト の10カ国・425万人に広がっております。
学校音楽教育への支援に関する取り組みの詳細はウェブサイトをご覧ください。
③ リスク管理
ヤマハグループのバリューチェーンにおけるサステナビリティ課題を、持続可能な開発目標SDGsなどに照らして抽出し、お客さま、従業員、地域社会の声や、ESG評価項目、NGOからの意見・要請や社外有識者の提言、企業理念や経営ビジョン、中長期的な経営方針を踏まえ、リスクと機会の観点で重要度を評価し、推進を強化すべき課題(サステナビリティに関するマテリアリティ)を特定しております。特定したマテリアリティについて、サステナビリティ委員会の各部会、関係部門にて施策や達成度合いを測るKPI、目標および実行計画を策定します。サステナビリティ委員会が進捗をモニタリングすることで、マテリアリティの取り組みを推進し、リスクの低減を図っております。
特定プロセスを含むマテリアリティの詳細についてはウェブサイトをご覧ください。
④ 指標及び目標
特定したマテリアリティに基づき、中期経営計画において、方針、重点テーマ、指標(KPI)と目標を設定しております。サステナビリティに関する主なKPIと目標は以下のとおりであります。
中期経営計画Make Waves 2.0(2022/4~2025/3)の主なサステナビリティKPI・目標
サステナビリティKPI・目標詳細と2025年3月期の実績についてはウェブサイトをご覧ください。
中期経営計画Rebuild & Evolve(2025/4~2028/3)の主なサステナビリティKPI・目標
⑤ 社外からの評価
サステナビリティ活動に対する主な社外からの評価は以下のとおりであります。
社外からの評価の詳細についてはウェブサイトをご覧ください。
https://www.yamaha.com/ja/sustainability/related-information/evaluation/
(2)気候変動・生物多様性への対応とTCFD・TNFD(気候関連財務情報開示タスクフォース・自然関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示
当社グループはTCFD、TNFDの提言に基づき、気候変動や生物多様性に関わるリスクや機会を分析し、経営戦略に反映させるとともに、その財務的な影響についての情報開示に努めていきます。
TNFD提言で求められている、開示すべき一般要件は以下のとおりです。これらは「ガバナンス」「戦略」「リスクと影響の管理」「指標および目標」の4つの開示提言の柱に適用されます。また、TCFDの内容については、TNFD提言に準じた形で開示を行います。
なお、当開示では、「マテリアリティ」という用語を以下の2つの意味で使用しています。
・TNFDの一般要件におけるマテリアリティ:自然が企業に与える影響および企業が自然に与える影響の重要性(シングル/ダブルマテリアリティ)
・当社グループの経営における重要なサステナビリティ課題としてのマテリアリティ:事業視点とステークホルダー視点の両面から評価し、当社が独自に特定した重点課題
① ガバナンス
監督および執行体制
気候変動および自然関連のリスクと機会(先住民族や地域コミュニティー、影響を受けるステークホルダーに関する人権方針やエンゲージメント活動を含む)ならびに関連課題に関する評価・管理は、代表執行役社長の諮問機関であるサステナビリティ委員会(2025年3月期:7回開催)を通じて行われ、取締役会によって監督されております。これらに関する具体的な審議は、同委員会の下部組織である気候変動部会、資源循環部会、調達部会において行われ、進捗は定期的にサステナビリティ委員会に報告されます。
また、持続的かつ社会的な価値向上への取り組みをより強く動機付ける趣旨から、役員報酬の一部である譲渡制限付株式報酬を評価する指標としての経営目標に、気候変動および自然を含むサステナビリティに関する目標を加えております。
サステナビリティマネジメント:https://www.yamaha.com/ja/sustainability/overview/management/#02
2025年3月期のサステナビリティ委員会活動状況
2025年3月期の環境関連部会の活動状況
環境関連課題のガバナンス体制図

先住民族や地域社会とのエンゲージメント
当社グループは、ステークホルダーへの約束として、良き企業市民として社会・文化の発展に貢献することを掲げています。その基盤となる公正・公平な社会を実現するため、人権尊重を原則とする国連グローバル・コンパクトに署名するとともに、「国際人権章典」や国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」、「ビジネスと人権に関する指導原則」などの人権に関する国際的な規範を尊重しています。また、サプライチェーンにおける人権課題にも配慮し、英国および豪州で制定された現代奴隷法で求められる要件に基づくステートメントを開示しています。
このような認識のもと、当社グループは、事業活動のあらゆる側面において人権を尊重する責任を果たす努力を続けていくため、「ヤマハグループ人権方針」を策定しています。同方針は専門家からの助言や、全グループ企業からの意見聴取、ヤマハ(株)の経営会議での審議を経て、代表執行役社長が承認し、当社グループの人権尊重の考え方および責任について示し、かつ「コンプライアンス行動規準」など人権尊重への取り組みを含む文書の上位に位置づけられます。本方針はヤマハ(株)およびその連結子会社の全ての役員と従業員に適用され、当社グループの事業活動に反映されます。同方針に、自らの事業活動について人権デューディリジェンスを実施することで人権への負の影響を特定、回避、緩和するよう努めることを明記し、バリューチェーンを対象範囲として、外部専門家との連携や当社グループおよびサプライヤーなどに対するモニタリングを通じて人権課題の特定と影響評価を実施しています。また、サステナビリティ委員会の下部組織として「人権・DE&I部会」を設置し、人権リスクの防止・軽減に取り組んでいます。取締役会は、サステナビリティ全般の重要事項について定期的に報告を受け、取り組み状況を監督しています。
加えて、「ヤマハグループ木材調達方針」に基づき、調達する木材が伐採や取引の過程において、先住民の権利を侵害するなど地域社会に悪影響を及ぼしていないことを確認することとしています。具体的には、使用木材の合法性確認やリスク評価、環境・社会に配慮した認証木材の積極的な導入を進めています。2023年には地域社会への影響も含めた木材リスク確認の実効性向上を図るため、国際的な環境団体監修のもと、非認証木材に対し、デューディリジェンスを通じて持続可能性を客観的に判断するための評価項目・判断基準を制定しました。
ステークホルダーとのかかわり:https://www.yamaha.com/ja/sustainability/overview/stakeholder/
人権:https://www.yamaha.com/ja/sustainability/social/human-rights-and-labor-practices/
生物多様性の保全:https://www.yamaha.com/ja/sustainability/environment/biodiversity/
ヤマハサプライヤーCSR行動基準:https://www.yamaha.com/ja/sustainability/related-information/policy-type/supplier-code-of-conduct/
② 戦略
当社は、短期・中期・長期の時間軸に基づき、グループ全体に及ぶ気候変動および生物多様性の影響を評価し、事業に重要な影響を与えるリスクと機会を特定するためのシナリオ分析を実施しました(表1)。
また、特に影響が大きいと予想される木材については、気候変動による影響の有無および大小を把握するため、潜在適域(注1)の変化を文献にて調査し、推計を行いました(表2)。
シナリオ分析では、気候変動と生物多様性について下記のシナリオを想定し、事業および自然資本への影響を評価しました。
気候変動
国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを中心に、その他複数のシナリオ(APS(Announced Pledges Scenario)、STEPS(Stated Policies Scenario)他)も活用し分析しました。
生物多様性
TNFDが推奨する自然関連リスク分析ツール「ENCORE(注2、3)」を使用して、事業プロセスに関連する自然への依存と影響の項目を抽出し、リスク・機会が大きいものに関しては、TNFDが推奨しているシナリオを参考に「生態系サービスの劣化」と「市場原動力と非市場原動力の一致」を2軸に4つのシナリオを定義し、分析しました(図1)。
(注1)特定の樹種が気象条件などから理論上、生育に適していると推定される地域を指します。実際の分布を考慮し
たものではなく、将来的な生育可能性に着目した概念です
(注2)Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure:事業プロセスに関連する自然関連の依存と
影響、その大きさの評価ツール
(注3)当開示では2024年7月に更新されたバージョンで分析を実施しているため、以前の開示と内容の異なる箇所が
あります
(図1)TNFDが推奨する2×2フレームワークを用いて設定した自然関連シナリオ

(表1)特に重要度の高いリスク・機会一覧とシナリオ分析
分類説明
(表2)木材潜在適域の基準年に対する変化予測(%)

※本変化予測に関する補足事項
1. 調査の目的:対象樹種に対する気候変動の影響の有無およびその大小を把握すること
2. 調査方法:
・2021年に、各調達樹種×対象国について将来影響を既存文献(例:Dyderski et al. (2018) How much does climate change threaten European forest tree species distributions? Glob. change biol. 24(3): 1150-1163)にて調査
・この調査結果を基に、世界平均の気温上昇に対する潜在適域の変化を推計
3. 推計の限界:予測は既存文献の手法および結果に基づいたものであり、推計手法には限界があるため、将来の気温上昇における影響量を断定するものではない
4. 樹木の生育条件:将来の気候条件が不適であると予測された地域であっても、樹木が即座に死滅するわけではない
シナリオ分析の結果、気候変動に関しては自然災害による生産停止リスク、木材価格の上昇、炭素税導入に伴うコスト増加といったリスクが高まる一方で、屋内活動の増加による需要拡大が機会となる可能性があることが明らかとなりました。自然資本に関しては、各シナリオが進行するに伴い、森林の持続可能性に配慮した木材製品が市場競争力を高め、持続可能な調達が森林保護を促進する機会となる一方で、林産地の劣化により良質な木材の入手が困難になり、木材代替にかかるコストが増加するリスクが生じることが分かりました。
また、木材潜在適域の変化予測を行ったことにより、短期的な影響は少ないものの、長期的に見ると気温上昇に伴い潜在適域が大きく減少する樹種があることが分かりました。
当社は、気候関連課題・自然関連課題が、事業、戦略、財務計画に大きな影響を与える可能性があるとの認識のもと、リスクや機会を整理し、戦略の見直しを随時実施しています(表3)。
当社の気候変動関連課題への取り組みについては、TCFDが開示を推奨する「緩和」と「適応」の分類に基づいて、また、自然関連課題への取り組みについては、自然資本に対する行動の枠組み「AR3Tフレームワーク(注4)」を踏まえて整理しています。
(注4)SBTN(Science Based Targets Network)が提唱する、自然関連のリスクと機会への対応策を検討するフレームワーク。回避(Avoid)、軽減(Reduce)、復元・再生(Restore & Regenerate)、変革(Transform)の4項目にて整理されています。
(表3)特に重要度の高いリスク・機会一覧と対応戦略
分類説明
R…リスク(Risk) O…機会(Opportunity)
短…発現時期 短期 中…発現時期 中期 長…発現時期 長期
自然資本に対する分析
◆LEAPアプローチ
TNFDは、企業が自然関連の課題を評価、管理、情報開示できるようなフレームワークを提供しており、その中でLEAPアプローチ(注5)を推奨しています。当社では、このLEAPアプローチに基づき、自然関連の課題について評価と分析を行いました。
Locate
当社グループは、楽器事業、音響機器事業、その他の事業(部品・装置事業など)の3つの事業領域でグローバルに事業を展開しています。その中でも、楽器事業は売上の6割以上を占める主要な事業であり、自然資本への依存と影響が大きい事業です。特に、木材は多くの楽器に使用されており、当社グループの事業と深く関連しています。美しい音を奏でる木材は楽器製造に不可欠な材料であり、自然資本への依存とその影響への取り組みは、当社グループの事業、さらには音楽文化を持続する上で重要な位置を占めています。このため、これまでも木材の持続可能な調達に関する目標を設定し、取り組んできました。
当開示にあたり、当社は「ENCORE」を用いて自然関連の依存と影響を評価しました。この分析は、従来の自社の認識を再確認し、さらに客観的なデータに基づいた評価を行うために実施したものです。評価対象は、
・バリューチェーン上流における木材調達プロセス
・直接操業としての楽器・音響機器の製造プロセス
の2つです。
この評価により、木材調達過程と自然資本との関連が特に大きいことが明らかになりました。一方で、楽器・音響機器の製造過程においては、依存・影響の大きい項目はほとんど見られませんでした。この結果は、木材と自然資本の関わりが大きいという当社の認識を裏付けるものとなりました。
木材は一般的に環境への負荷が小さく持続可能な素材とされていますが、楽器用の木材には、その特性や風合いにより代替が難しいものもあり、持続性の確保が求められています。加えて、SBTN(The Science Based Targets Network)のHigh Impact Commodity List(注6)では、木材が「High Impact Commodity」として分類されており、科学的にも自然への影響が大きいとされています。これらの要素を踏まえ、木材についての評価を行うことが重要であると再認識し、今回の分析を実施しました。
「木材調達」優先地域の特定
当社グループが調達する代替困難な木材の原産エリアを世界地図にプロットし、その中でも特に重要な樹種の原産地を優先地域として特定しました(図2)。
(図2)

Evaluate/Assess
Locateで特定した優先地域の依存と影響に関する評価は、「ENCORE」を使用して実施しました。これに事業を通じた自社の知見を加え、「ENCORE」の分析を補完するかたちで依存度と影響度を再評価し、特に重要なリスクと機会をダブルマテリアリティの視点で整理しました(表4)。なお、「ENCORE」において依存または影響ありと分類された項目のうち、当社の事業実態に照らして影響が限定的または認められないと判断した項目については、本表では記載を省略しています。
(表4)
※生態系への直接的な影響が限定的である「文化的サービス」については、寄与が少ないため一覧表から除外しております。
Prepare
LEAPアプローチのL、E、Aの分析により特定された依存、影響、リスク、機会に対応するため、これらを評価し管理するための戦略や開示指標を設定しました。(④指標及び目標をご覧ください)
その他、今回の分析で特定された優先地域における、持続的な木材調達に関する具体的な取り組みについては、おとの森活動(注7)のページをご覧ください。
(注5)企業の自然との接点、依存関係、インパクト、リスク、機会など、自然関連課題を判定するための統
合的な評価方法。スコーピングを経て、Locate(発見する)、Evaluate(診断する)、Assess(評価
する)、Prepare(準備する)のステップを踏むことで、企業は自社にとって重要な自然との接点を評
価することができる。
(注6)自然への影響が大きいとされるコモディティ(原材料)をリスト化したもの
(注7)https://www.yamaha.com/ja/stories/environment/otonomori/
③ リスクと影響の管理
当社では、取締役会の監督に基づき、代表執行役社長の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置し、企業活動・行動に関わる気候変動や生態系に関連するものを含むすべてのリスクを対象とした全社横断的な評価の仕組みを採用し、リスクの抽出と評価を行っています。
サステナビリティ委員会の下部組織である気候変動部会、および環境部門では、シナリオ分析結果をもとに「影響度」と「発生頻度」を評価し、リスクと機会(上流および下流のバリューチェーンにおける自然関連の依存関係、影響を含む)をリスト化しています。特に重要なリスクと機会への対応は関連する他の部会(資源循環部会、調達部会)や部門が随時協働して行い、その進捗はモニタリングされ、サステナビリティ委員会に報告されます。また、サステナビリティ委員会や部会の担当範囲を超える対応が必要となる重要なリスクおよび機会については、逐次取締役会へ報告され、対応方針を審議検討しています。
リスクマネジメント委員会の委員長(執行役)はサステナビリティ委員会の委員も務めており、両プロセスは有機的に連動しています。これにより、気候変動や自然関連のリスクと機会に関する対応が一貫して行われ、戦略的なリスクマネジメントが推進されています。
リスクマネジメント:https://www.yamaha.com/ja/sustainability/governance/risk-management/
④ 指標及び目標
当社ではサプライチェーンを含めたグループ全体のCO2削減を横断的に管理するため、温室効果ガスの総排出量(スコープ1、スコープ2、スコープ3)をGHGプロトコルの基準に基づき算出し、指標としています。さらに、スコープ1およびスコープ2に加え、スコープ3の一部項目と取水量のデータについては第三者検証を実施しています。
また、TNFDが開示を求めるコアグローバル指標と当社の開示状況については以下のとおりです。
〇依存と影響に関する指標
〇リスクと機会に関する指標
上記のうち、現時点で分析が完了していないものについては「未対応」としておりますが、今後分析に取り組み、可能な項目から随時公開してまいります。
これらを踏まえ、重要な気候変動および自然関連の依存、インパクト、リスク、機会を評価し管理するための指標と目標を以下のとおり設定しております。
前中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)の目標と実績および新中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)の目標は、以下のとおりです。
当社グループは、2031年3月期をターゲットとした中期目標(SBTi 1.5℃水準)を策定し、長期的な視点で気候変動や自然関連課題への対応を進めています。
当社グループは、気候変動対応と自然資本保全の両面で持続可能な社会の実現に貢献することを目指し、短期・中期・長期の視点を踏まえた取り組みを推進していきます。
木材を持続可能な形で利用し続けるには、森林保全や木材資源量への配慮と、サプライチェーンが経済的にも持続可能であるよう、雇用創出やインフラ整備といったコミュニティーの発展に資することが必要です。当社グループでは、木材デューディリジェンスの仕組みを構築し、購入する木材の原産地や伐採の合法性、資源の持続可能性に関する書類調査を実施し、その結果、リスクが高いと判断された木材については、現地訪問を含む追加調査および木材調達部門やサステナビリティ部門で構成する審査会での審議を通じて、より厳格な合法性などの確認を行っています。
2024年3月期に木材デューディリジェンスに用いるリスク評価の基準を刷新しました。その中の、持続可能性の確認まで含めた「持続可能性に配慮した木材」の基準については、2023年5月に国際的な環境団体Preferred by Nature監修のもと新たに制定し、2024年7月に見直しを加えました。これまでは第三者によって持続可能と判定された認証木材の使用率を拡大することで持続可能な木材利用に取り組んできましたが、樹種によっては認証木材の流通量が少なく、認証木材以外の持続可能性を評価できないことが課題でした。本基準により、非認証木材に対し、デューディリジェンスを通じて持続可能性を客観的に判断するための評価項目・判断基準を定める一方で、書類調査に加えて、東南アジアや中国原産の植林木に対し現地調査を実施することで、持続可能性の評価と判定を進めています。今後も評価スキルの向上や調査のための要員教育を通じてデューディリジェンスの精度向上と実行体制の拡充を図りながら、サプライヤーと連携し、持続可能性に配慮した木材の利用拡大を進めていきます。
指標及び目標に関する最新データはESGデータ<環境>を参照ください。
https://www.yamaha.com/ja/sustainability/related-information/esg-data/pdf/environment.pdf
当社グループはサプライチェーンを含めたグループ全体のCO2削減を横断的に管理し、温室効果ガスの総排出量(スコープ1、スコープ2、スコープ3)を着実に削減していくことで、人間社会および地球のあらゆる生物の脅威となる急速な気候変動を緩和し、脱炭素社会への移行に貢献します(図3)。
(図3)低炭素社会への移行計画

当社グループはネイチャーポジティブを目指し、事業活動や製品が生物多様性に与える影響をバリューチェーン全体で考慮し、悪影響の最小化に取り組みます(図4)。特に森林保全に注力し、サステナブルな木材活用に努めつつ、楽器適材の育成を推進します。
(図4)ネイチャーポジティブへの移行計画

参考
当社における気候変動への対応とTCFD及びTNFDに基づく情報開示の詳細につきましては、下記URLをご参照ください。
https://www.yamaha.com/ja/sustainability/environment/
木材資源への取り組みの詳細につきましては、下記URLをご参照ください。
https://www.yamaha.com/ja/sustainability/environment/biodiversity/
⑤ 社外からの評価
・CDPにおける気候変動調査で2年連続最高評価を獲得
当社は、国際的な環境非営利団体CDP(注)より、「気候変動」分野における積極的な取り組みと透明性が評価され、最高評価「Aリスト」に選定されました。当社のAリストへの選定は2年連続3回目となります。さらに、同時に評価された「水セキュリティ」および「フォレスト」分野においても、それぞれA-という高評価を得ました。これにより、「気候変動」「水セキュリティ」「フォレスト」の3分野すべてにおいて「リーダーシップレベル」の評価を受けたことになります。2024年は、世界の株式時価総額の66%以上に相当する24,800社以上の企業、日本ではプライム市場上場企業の70%以上を含む2,100社以上がCDPを通じて情報開示を行い、「気候変動」Aリスト企業には、評価対象企業全体の上位約2%が選出されました。当社は今後も、脱炭素・ネイチャーポジティブに向けたアクションを着実かつ継続的に進めていきます。
(注)CDPは、企業や自治体の環境情報開示のための世界的なシステムを有する国際的な非営利団体です。CDPによるスコアは、持続可能な社会を実現するために、投資家や企業が意思決定を行う際の重要な指標として広く活用されています。

(3) 人的資本
当社は、人材の多様性を新たな価値創造の源泉と考え、従業員の多様な個性や自律性を尊重し、能力開発およびキャリアアップの機会を公平に提供しております。
また、従業員一人ひとりが感性・創造性をいかんなく発揮し、自己実現を図りながらプロフェッショナルへと成長するための環境整備に努め、グローバルに人材マネジメントを推進することで、人的資本の最大化と事業の発展、企業価値の持続的向上を目指しております。
① 指標及び目標
当社は、中期経営計画「Make Waves 2.0」の柱の一つとして掲げた「ともに働く仲間の活力最大化」を6つの領域に要素分解するとともに、3つの重点テーマと目標を定め、これらに基づく人事施策の実行と、その効果測定を行ってまいりました。その結果、DE&Iの推進や働きやすさの項目では目標達成し、社外からも高く評価されております。6つの領域と3つの重点テーマは以下の通りであります。
なお、詳細な施策および成果は、「④ 戦略と具体的取り組み」をご参照ください。
今後3か年は、組織力の強化と個の成長に注力するとともに事業戦略連携型人材マネジメントシステムの構築・展開を進めてまいります。
こうした取組み、および取組みを通じて得られたデータ等を活用することにより、取組みの実効性の向上と人的資本を高め、会社の成長と組織風土改革につなげてまいります。
② リスク管理
人的資本に関するリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク 人材・労務」をご参照ください。
主な対策として、グループ人材マネジメント規程および関連するガイドラインを策定し、グループ各社に対して、その周知及び実施状況のモニタリングを行っております。
③ ガバナンス
人的資本に関するガバナンスについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
主な施策として、代表執行役社長の諮問機関として経営会議および人材開発委員会を設置し、経営会議では経営に関する重要な人事事項を、人材開発委員会では経営人材に関わる諸テーマを審議し、代表執行役社長に答申しています。その他、人権やダイバーシティに関する取り組みを推進するため、サステナビリティ委員会の下部組織として人権・DE&I部会を設置しております。
④ 戦略と具体的取り組み
当社は、「ともに働く仲間の活力最大化」を要素分解した6つの領域において、人事施策の実行と効果測定を行っております。
6つの領域に対応する、主な施策とその目的、実績および成果は下記の通りであります。
1. 方針・戦略の共有
経営層と従業員の「想い」を密に共有する施策を打ち出すことで、従業員一人ひとりが企業理念・ヤマハフィロソフィー・ブランドプロミスを深く理解し、日々の行動実践につなげることを目指しております。
2. 貢献と成長の実感
従業員が、自らの発意で成長や挑戦の機会を得られ、業務を通じて自らの能力をいかんなく発揮し、会社や社会への貢献と、自らの成長を実感できるような環境づくりを行っております。ヤマハ(株)では特に、従業員のキャリア自律と専門性向上を促進する施策の浸透と利活用を進めております。
3. 個の尊重
「ヤマハグループDE&I方針」に基づき、人材の多様性を新たな価値創造の源泉と考え、その前提となる公平性に配慮するとともに、多様なバックグラウンドを持った“個”が自分らしく活躍できるための体制づくりや風土の醸成を行っております。
4.風通しが良い組織風土
2021年3月期より実施している「働きがいと働きやすさに関する意識調査」の結果分析を通じ、従業員および組織の活力最大化の土台となる「風通しが良い組織風土」の醸成に努めております。なお、2025年3月期のグローバルでの調査回答率は85%(対前年-1pt)であります。
5. 多様で柔軟な働き方
さらなる事業の発展と個人の充実した生活の両立を実現するため、多様な価値観・ライフスタイルを尊重したワークライフバランス支援を積極的に推進しております。
ヤマハ(株)では、自律的で生産性の高い働き方を目指し制度や仕組みの見直しを行い、従業員が心身の健康維持と仕事・プライベート両面の充実を図りながら能力を発揮できるよう、個別の事情に寄り添った柔軟な制度や職場環境の整備を行っております。
6. いきいきと働ける職場環境
「ヤマハグループ健康宣言」を掲げ、従業員が「心身ともに健やかに自分らしく生きる(Sound Living)」ことを実現するために、「安心して働ける環境(Sound Minds)」と「健康維持増進(Sound Bodies)」に寄与する施策を展開しております。
⑤ 人材の採用
当社をとりまく外部環境、技術領域、社内人員構成の変化を予測し、短期および長期に必要な人材要件と人数を採用計画に落とし込んだうえで採用活動を実施しております。新卒採用計画は中長期的に必要な人員構成に基づいて策定し、キャリア採用計画は事業戦略上での優先度の高い人材獲得を目的として策定しております。また、人数の確保にとどまらず、専門性の高い人材や多様な人材(外国籍人材、女性技術者など)の採用を推進しております。
なお、当社ではキャリア採用を増やしており、2022年度以降は新規採用者のうちキャリア採用者が約4割を占めています。
採用人数実績の詳細はESGデータ<社会>のウェブページをご参照ください。
https://www.yamaha.com/ja/sustainability/related-information/esg-data/pdf/social.pdf
⑥ 社外からの評価
DE&I、両立支援、健康経営に関する取り組みや成果が認められ、ヤマハ(株)およびヤマハグループ企業にて、以下の評価・表彰を得ております。
<活動に対する評価・表彰(一部抜粋)>
当社グループは、リスクへの対応力を向上させ、健全で透明性の高い経営を実践するため、リスクマネジメントの推進体制や仕組みの整備・改善に取り組んでおります。
(1) リスクマネジメント体制
当社は、代表執行役社長の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメントに関わるテーマについて全社的な立場から審議し、代表執行役社長に答申しております。同委員会の下部組織として、全社横断的な重要テーマについて活動方針の策定やモニタリングを行う「BCP・災害対策部会」「財務管理部会」「コンプライアンス部会」「輸出審査部会」「情報セキュリティ部会」を設置しております。また、事業活動において全社的な影響が及ぶような重大なリスクが顕在化した場合には、代表執行役社長を総本部長とするリスク対策総本部を設置し、当該リスクに対応します。
(2) リスク管理の取り組み
リスクマネジメント委員会では、識別した事業に関連するさまざまなリスクを大きく「外部環境リスク」「経営戦略リスク」「事業活動に係る業務プロセスリスク」「経営基盤に係る業務プロセスリスク」の4つに分類し、リスクの重要性を想定損害規模と想定発生頻度に応じて評価しており、各リスクに対するコントロールレベルを評価し、優先的に対処すべき重要リスクを特定するとともに担当部門を定め、リスク低減活動の推進によりコントロールレベルの引き上げを図っております。経営者が連結会社の経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりです。
<事業に関するリスクの分類>

<リスクマップ>

(3) 主要なリスクの詳細
当社で「損害規模(大)」と認識している主要なリスクの詳細は以下のとおりです。関連する中期経営計画の戦略方針を文中に記載しております。中期経営計画の戦略方針については「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針選択の判断と適用を前提とし、決算においては資産・負債の残高、報告期間における収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて、経営者は、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、その性質上、実際の結果と異なる可能性があります。
重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性のある会計方針、4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
当連結会計年度における経営環境を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症の収束後の巣ごもり需要の反動による需要減、長引く中国経済の停滞、エネルギー・原材料価格をはじめとする世界的な物価上昇、加えて為替変動や地政学リスクの高まり等、当社グループを取り巻く事業環境は、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
このような環境の中で当社グループは、中期経営計画「Make Waves 2.0」を「世界中の人々のこころ豊かなくらし」の実現に向け、ポストコロナの新たな社会で持続的な成長力を高める3年間と位置づけ、3つの方針「事業基盤をより強くする」、「サステナビリティを価値の源泉に」、「ともに働く仲間の活力最大化」を掲げて各施策を進めてきました。財務目標については、市場・環境の急速な変化に対して十分に追従できず構造改革を進めるも未達となりました。「環境変化への迅速な対応力と成長への投資」が課題として明確になりました。また、中期経営計画で掲げた非財務目標については、ピアノを主とした生産構造改革によりインフラ設備投資は未達となりましたが、他の目標については概ね達成することができました。
3つの方針に沿って、具体的な進捗を説明いたします。
《事業基盤をより強くする》
“顧客ともっと繫がる”では、ロンドン、横浜、渋谷でお客様の体験価値を高める新しいブランド発信拠点をオープンしました。また、デジタルミキサーを中心に業務用音響機器の販売拡大や車載オーディオシステムの日系自動車メーカーへの採用拡大など、事業ドメイン拡大が着実に進みました。
“新たな価値を創出する”では、2024年4月にヤマハミュージックコネクトのポータルサイトを公開後、ヤマハが提供する音楽体験「成長する」「表現する」「つながる」の3つの事業領域についてのサービス開発に注力し、世界中のより多くのお客様に優れた顧客体験の提供を開始しています。米国シリコンバレーに事業開発拠点ヤマハミュージックイノベーションズを法人化し、コーポレートベンチャーキャピタルを設立。他社との技術提携や協業、新たなビジネスの探索に向けた仕組みづくりが進みました。また、フィンガードラムパッドやSEQTRAKなど音・音楽の愉しさを広げる個性豊かな新商品も数多く生み出し、高い評価を得ました。
“柔軟さと強靭さを備え持つ”では、顕在化した市場環境の変化に迅速に対応し、将来の変動にも耐えうるモノづくりを実現するため、アコースティック楽器を中心とした製造拠点・インフラの最適化を進めました。
中期経営計画「Make Waves 2.0」における2025年3月期の経営目標とその進捗は以下の通りです。

○:目標達成 △:施策は進むも目標未達 ×:施策に遅れ
《サステナビリティを価値の源泉に》
“地球と社会の未来を支えるバリューチェーンを築く”では、生産拠点の電力監視システム導入による電力の見える化や太陽光発電の増設など、省エネ活動を促進しました。また、気候変動の情報開示評価において、前年に続き最高評価のCDP Aスコアを取得しました。2050年カーボンニュートラルを目指して一歩ずつ取り組みが進んでいます。
“快適なくらしへの貢献でブランド・競争力を向上する”では、当社が開発するSoundUDを活用した多言語アナウンスシステムの「おもてなしガイドfor Biz」のサービスが「2025年大阪・関西万博」へ導入されました。会場内でのアナウンスにおいて「言葉の壁」のない未来のコミュニケーション環境を提供します。
“音楽文化の普及・発展により市場を拡大する”では、「スクールプロジェクト」をコロンビア、フィリピン、メキシコにも展開し、新興国の音楽教育普及累計230万人の目標に対し3年目で425万人を達成し、計画を大幅に上回ることができました。国内では、学校や地元楽器店と協力しながら高校軽音楽部の活動を支援し、若年層の更なる音楽文化の活性化に努めています。
中期経営計画「Make Waves 2.0」における2025年3月期の経営目標とその進捗は以下の通りです。

○:目標達成 △:施策は進むも目標未達 ×:施策に遅れ
《ともに働く仲間の活力最大化》
“働きがいを高める”では、タレントマネジメントシステムを導入し、社員が自律的にキャリアを描くための仕組みを充実させました。今後も必要なスキル習得に向けた人材育成支援をさらに強化し、働きがいを高めていきます。
“人権尊重とDE&Iを推進する”では、女性リーダー育成に向けた支援の充実、クロスボーダー配置の推進など、多様な人材が活躍できる環境整備が進みました。そのほか、性的マイノリティに関する取り組み評価指標である「PRIDE指標2024」において「ゴールド」を6年連続で受賞しました。今後も多様な人材一人ひとりの個性を生かす風土づくりに努めていきます。
“風通しがよく、皆が挑戦する組織風土を醸成する”では、組織間でのコミュニケーションの活性化や様々な対話の機会を積極的につくり、互いをリスペクトし心理的安全性の高い組織風土を醸成しています。
中期経営計画「Make Waves 2.0」における2025年3月期の経営目標とその進捗は以下の通りです。

○:目標達成 △:施策は進むも目標未達 ×:施策に遅れ
中期経営計画「Make Waves 2.0」における2025年3月期の経営目標「売上成長率 20%」「事業利益率 14%」「ROE 10%以上」「ROIC 10%以上」は、当連結会計年度においてそれぞれ13.2%、7.9%、2.8%、4.4%となりました。
(イ)セグメントごとの売上収益の状況
当連結会計年度の売上収益は、中国の市況低迷による楽器販売の不振が続いたものの、法人向け音響機器の需要増やデジタルピアノの販売回復に加え、為替の円安による影響もあり、ほぼ前期並みの水準を維持し、前期に対し7億86百万円(0.2%)減少の4,620億80百万円となりました。
楽器事業は、中国市場の市況低迷が継続したことにより楽器の販売が伸び悩み、前期に対し90億94百万円(3.0%)減少の2,961億円となりました。
商品別では、ピアノは、主力の中国市場で需要が大幅に減少し、中国以外の市場においてもインフレによる消費者心理の悪化を受けて需要が落ち込み、減収となりました。電子楽器は、エントリークラスのデジタルピアノを中心に市場シェアを回復して前年並みとなりました。管弦打楽器は、新型コロナウイルス感染症の影響が解消され、吹奏楽活動再開が各地で続いたものの、米国政府による小中学校向け財政支援が終了し、減収となりました。ギターは、アコースティックギター、エレキギターとも各地で売り上げを伸ばしたものの、ギターアンプやエフェクター等周辺機器の販売が振るわず、全体では前年並みとなりました。
地域別では、日本は、管弦打楽器において一般趣味層の需要が堅調で大幅な増収となったものの、インフレにより家計の負担が増す中で、子ども向けの教育需要が振るわず、全体では前年並みとなりました。北米は、デジタルピアノの販売が回復したものの、管弦打楽器において米国政府による小中学校向け財政支援の終了により減収となったことに加え、ギター周辺機器の苦戦により、全体では減収となりました。欧州は、市場在庫が高く、ディーラーは仕入に慎重な姿勢が継続している中、新商品の投入に加え、販売促進施策が奏功したものの、ECを中心に価格競争が激しく、普及価格帯のギターや、アンプ、エフェクター等の周辺機器が苦戦し、全体では前年並みとなりました。中国は、不動産市場の悪化等、マクロ経済の低迷長期化に加え、教育施策(双減政策)の影響により、アコースティックピアノの教育需要が急激に縮退したことにより、大幅な減収となりました。その他の地域では、経済成長著しいインドを筆頭に、中南米・アセアン・中近東等、新興国での販売が伸長し、地域全体として増収となりました。
音響機器事業は、エンターテインメント市場の回復によって法人向け需要が旺盛となり、前期に対し72億73百万円(6.0%)増加の1,283億82百万円となりました。
商品別では、個人向けは、ホームオーディオの展開モデル・地域の絞り込みを進めたことにより減収となりました。法人向けは、ライブ・コンサートやオリンピック等、イベント需要が旺盛でデジタルミキサーを中心にイベント用機材の販売が好調に推移し大幅増収となりました。
その他の事業の売上収益は前期に対し10億34百万円(2.8%)増加の375億96百万円となりました。
電子デバイスは、車載オーディオの採用が順調に広がり大幅に伸長しました。一方で自動車用内装部品、FA機器は、顧客企業の減産、設備投資の縮小・延期により減収となりました。
(ロ)売上原価と販売費及び一般管理費
売上原価は前期に対し58億45百万円(2.0%)減少の2,859億39百万円となりました。売上原価率は、前期から1.2ポイント下落し61.9%となりました。
売上総利益は前期に対し、50億59百万円(3.0%)増加の1,761億40百万円となりました。売上総利益率は、前期から1.2ポイント上昇し38.1%となりました。
また、販売費及び一般管理費は、前期に比べ19億91百万円(1.4%)増加し、1,394億19百万円となりました。売上収益販売管理費比率は、前期から0.5ポイント上昇し30.2%となりました。
(ハ)事業利益
事業利益は、前期に対し30億68百万円(9.1%)増加の367億21百万円となりました。
報告セグメントごとの事業利益では、楽器事業は、為替のプラス影響55億円があったものの、前期に対し32億48百万円(12.8%)減少の220億68百万円となりました。音響機器事業は、為替のプラス影響17億円を含め、前期に対し54億10百万円(84.4%)増加の118億20百万円となりました。その他の事業は、為替のプラス影響8億円を含め、前期に対し9億6百万円(47.1%)増加の28億32百万円となりました。
要因別には、為替影響(80億円)や前期構造改革効果(20億円)等の増益要因に対し、減収・減産モデルミックス他(70億円)等の減益要因により、前期に比べ増益となりました。
(注)事業利益とは、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除して算出した日本基準の営業利益に相当するものです。
(ニ)その他の収益及びその他の費用
その他の収益は、前期に対し7億98百万円(54.3%)増加の22億69百万円となりました。その他の費用は、主としてピアノ製造設備の減損等の構造改革費用を計上したことにより、前期に対し121億70百万円(198.7%)増加の182億95百万円となりました。
(ホ)金融収益及び金融費用
金融収益は、前期に対し45億60百万円(49.6%)減少の46億31百万円となりました。金融費用は、主として為替差損の計上により前期に対し23億2百万円(409.8%)増加の28億64百万円となりました。
(ヘ)税引前当期利益
税引前当期利益は、前期に対し151億67百万円(40.3%)減少し224億62百万円となりました。売上収益税引前当期利益率は、前期から3.3ポイント下落し4.9%となりました。
(ト)法人所得税費用
法人所得税費用は、主として繰延税金費用の増加により、前期に対し11億41百万円(14.5%)増加の89億94百万円となりました。
(チ)親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期に対し162億90百万円(55.0%)減少の133億51百万円となりました。基本的1株当たり当期利益は、前期の58円56銭から27円58銭となりました。
(注)当社は、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、基本的1株当たり当期利益を算出しております。
(リ)為替変動とリスクヘッジ
海外子会社の売上収益は、期中平均レートで換算しております。当連結会計年度の米ドルの期中平均レートは前期に対し約8円円安の153円となり、前期に対し約77億円の増収影響となりました。また、ユーロの期中平均レートは前期に対し約7円円安の164円となり、前期に対し約44億円の増収影響となりました。また、人民元など、米ドル、ユーロ以外の通貨は、前年同期に対し約28億円の増収影響となり、売上収益全体では、前期に対し約148億円の増収影響となりました。
また、事業利益につきましては、米ドルは充当(マリー)効果により、決済レートの変動による為替影響は概ねヘッジできているものの、海外子会社の事業利益の換算等により、約10億円の増益影響となりました。ユーロの決済レートは、前期に対し約18円円安の164円となり、約72億円の増益影響となりました。また、他の通貨を含めた全体では前期に対し約80億円の増益影響となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
当社グループは、製品の性質上、原則として見込生産を行っております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は外部顧客に対する売上収益であります。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の6,668億37百万円から755億59百万円(11.3%)減少し、5,912億78百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末から174億12百万円(4.7%)減少し、3,519億33百万円となり、非流動資産は、581億46百万円(19.5%)減少し、2,393億44百万円となりました。流動資産では、自己株式の取得により現金及び現金同等物が減少し、在庫の適正化により棚卸資産が減少しました。非流動資産では保有有価証券の時価下落により金融資産が減少し、減損処理により有形固定資産が減少しました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末の1,550億27百万円から138億61百万円(8.9%)減少し、1,411億65百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末から9億69百万円(0.9%)増加し、1,066億58百万円となり、非流動負債は、前連結会計年度末から148億31百万円(30.1%)減少し、345億6百万円となりました。非流動負債では、保有有価証券の時価変動に対して認識する繰延税金負債が減少しました。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末の5,118億10百万円から616億97百万円(12.1%)減少し、4,501億13百万円となりました。自己株式の取得及び配当金の支払いによる株主還元が当期利益による利益剰余金の増加を上回ったことにより、全体では減少となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ17億68百万円減少(前年同期は22億99百万円減少)し、期末残高は998億19百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税引前当期利益により552億81百万円の収入(前年同期は主として税引前当期利益により438億36百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、主として投資有価証券の売却による収入と、有形固定資産の取得による支出により、81億6百万円の収入(前年同期は主として有形固定資産の取得による支出及び投資有価証券の売却による収入により、159億3百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、主として自己株式の取得、配当金の支払い等により、631億40百万円の支出(前年同期は主として自己株式の取得及び配当金の支払い等により、372億63百万円の支出)となりました。
(イ)資金需要
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料、部品等の購入、労務費など製造費用と、商品の仕入、販売費及び一般管理費等、営業費用の運転資金及び設備投資資金、並びにM&Aや資本提携を目的とした投資資金であります。
当連結会計年度の設備投資額は、前期の271億18百万円から71億59百万円(26.4%)減少し、199億59百万円となりました。新オフィスの建設、設備の更新改修を中心として減価償却費(143億10百万円)を超える設備投資を行いました。
研究開発費は、前期の269億3百万円から74百万円(0.3%)増加し、269億77百万円となりました。売上収益研究開発費比率は前期から変わらず、5.8%となりました。
(ロ)資金調達
運転資金及び設備投資資金について、当社及び国内子会社、一部の海外子会社においてグループ内資金を有効活用するためグループファイナンスを運用しています。また、当社及び一部の子会社においては、借入金額・期間・金利等の条件を総合的に勘案し、金融機関から借入を行っております。
特記すべき事項はありません。
当社グループは、ヤマハが目指すものとして「世界中の人々のこころ豊かなくらしの実現」を、企業理念として「感動を・ともに・創る」を掲げています。これを支えるために、製品とサービス分野で新たな価値を創出するべく、コア技術の更なる高度化と拡張のための研究開発を進めております。取り組んでいる研究開発の領域は、アコースティック技術、デジタル技術を中心に、音そのものに留まらず、基礎から応用まで、音の活用を支える技術分野に大きく広がっています。
当連結会計年度は、
◆ アコースティック技術とデジタル技術の融合でヤマハならではの新たな製品を生み出す
◆ LTV戦略を加速、外部連携・UGC(User Generated Content)等を活用し音楽生活をより愉しむためのサービスを展開
◆ 豊かな感性に裏打ちされた先進的な技術で新たな感動体験を創造
をテーマに研究開発を進めました。
「ヤマハならではの新たな製品を生み出す」では、未利用材を鍵盤に活用した電子ピアノTORCH「T01」(トーチ ティーゼロワン)を開発しました。当社は、木材をはじめとする自然素材を製品に用いており、楽器製造に欠かせない希少木材を未来に向けて守り、サステナブルな森をつくる「おとの森」活動に取り組んでいます。この活動から誕生した木のぬくもりを感じられる電子ピアノがTORCH「T01」です。鍵盤には、クラリネットやオーボエなどの木管楽器の材料に欠かせない希少木材グラナディラの未利用材を使用しています。粉砕したグラナディラを高比率で含む鍵盤は、木材の色味を生かした黒色で、時間を経るごとに変化が生まれます。外装では、環境負荷の軽減に配慮して通常使用しているポリ塩化ビニルシートの使用を控え、木材の特長や質感を生かすため、天然オイルによる手仕上げや当社独自のレーザー技術による加工を行いました。また、椅子の座面にはヒノキを含む素材を使用しています。本製品のブランド名「TORCH」は「たいまつ」を意味します。音・音楽を愛する人たちに楽器とともに過ごす時間のあたたかさを愉しんでいただきたい、楽器や音楽文化の灯(ともしび)となり未来を明るく照らしていきたい、という想いを込めて命名しました。今回の製品開発により得られた知見や技術は、次世代の楽器づくりにも応用し、新しい価値を創造していきます。

「音楽生活をより愉しむためのサービスを展開」では、自社保有の研究開発技術をAPI(アプリケーションプログラミングインターフェイス)の形にした「Yamaha Music Connect API」を事業者向けに提供を開始しました。当社の主要事業である楽器や音響機器などの製品・ソフト開発で蓄積した多様な技術を広く公開し、それらを音・音楽およびその周辺領域でモノ・コトを創造しようとされている多くの人たちに活用していただくことで、当社の既存事業以外の幅広いお客様に、新たな顧客体験を提供していきます。「Yamaha Music Connect API」は、当社技術をAPIの形で提供するサービス群です。当社が音・音楽を通して長年培ってきた技術とMIDIや楽譜変換などの楽譜制作に関連する技術をウェブAPIとして公開します。公開するAPIに関しては、今後も新たな技術開発を加速し魅力的なAPIのラインアップを拡充していく予定です。今後もさまざまなパートナーとの協業を通じて新たなソリューションを提供し、日常生活からビジネスまで、お客様が抱えているさまざまな音・音楽に関する課題解決を目指します。

「新たな感動体験を創造」では、演奏者の声でバスドラムが鳴るシステム「VXD」の開発に取り組んでいます。VXDの開発が始まったのは、「RADWIMPS」のドラマーで現在はミュージシャンズ・ジストニアにより演奏活動を休止している山口智史氏が、慶應義塾大学に所属して自身の症状を研究する中で「声でバスドラムを鳴らせないか」と思い付き、ヤマハに声をかけていただいたことがきっかけです。山口氏の要望に沿って音声信号処理やReal Sound Viewingの技術を組み合わせながらVXDの試作機が完成し、お客様と未来の音楽・楽器を一緒に考えるイベント「Future Tech Week」にて山口氏の演奏とともに初公開しました。このステージは単なる技術公開の場ではなく、家族や友人、音楽関係者など、これまで支えてくれた人たちに向けて、山口氏が活動停止後初めてドラム演奏を届ける特別な場でもありました。今後もこのような新たな感動体験を生み出すべく、さまざまなチャレンジを続けてまいります。

当社グループの研究開発体制は、楽器事業については当社楽器・音響事業本部、及びYamaha Guitar Group,Inc.の開発担当部門、音響機器事業については当社楽器・音響事業本部、NEXO S.A.、Steinberg Media Technologies GmbHの開発担当部門、その他の事業については当社電子デバイス事業部、ゴルフHS事業推進部及びヤマハファインテック株式会社の開発担当部門、全社横断のR&Dについては当社研究開発統括部が担う形で構成しております。
各セグメントにおける研究開発費の金額は以下の通りであります。
当社グループの当連結会計年度末における特許及び実用新案の合計所有件数は2,012件であります。
当連結会計年度における主な成果をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(1) 楽器事業
当セグメントでは、幅広い技術を融合し、個性際立つ商品を開発しております。
ピアノ関連では、ベーゼンドルファーの限定モデル「The Great Wave off Kanagawa(神奈川沖浪裏)」を開発しました。このピアノは葛飾北斎の浮世絵「神奈川沖浪裏」をモチーフにした全世界16台限定のモデルで、ピアノの屋根の内側に描かれています。プルシアンブルーの色彩テーマを継承し、赤色の署名やシリアルナンバー入りの真鍮プレートが特徴です。ベースとなるベーゼンドルファーの人気モデル「214VC」同様、オーストリアの職人が丁寧に作り込んだピアノです。このピアノは、2025年日本国際博覧会オーストリアパビリオンに展示されています。
電子楽器関連では、電子ピアノ「Clavinova(クラビノーバ)」の新製品として「CLP-800シリーズ」を開発しました。新開発の音源チップにより、ピアノの音質と表現力が向上しました。グランドピアノ内部の物理的な挙動をシミュレーションするアルゴリズムを導入し、多彩な音色変化を再現する「グランド・エクスプレッション・モデリング」が進化しました。また、新音響システムでは、音を全方位に広く拡散するディフューザーやホーン構造を採用し、グランドピアノのような立体的な響きを再現します。さらに、新「グランドタッチペダル」と改良された鍵盤により、ペダル操作感と演奏性が向上しました。デザインも一新され、グランドピアノの前に座っているような感覚で演奏できます。全モデルに搭載されたBluetooth®機能により、スマートデバイス内のオーディオデータを楽器のスピーカーから再生したり、当社の無料アプリ「スマートピアニスト」を活用し、ピアノ練習を幅広くサポートしたりすることができます。また、バイノーラルサンプリングや聴覚保護機能も搭載し、快適な演奏体験を提供します。
また、電子キーボード「PSRシリーズ」の新製品「PSR-SX920」「PSR-SX720」(国内未発売)を開発しました。「PSR-SX920」「PSR-SX720」は、SXシリーズ初の技術、Super Articulation2(S.Art2)を搭載しました。S.Art2により、自然な楽器のアーティキュレーション(音と音のつなぎ方や切り方で、旋律に表情やニュアンスを与える演奏技法)を再現し、表現力豊かでリアルな楽器の特性をパフォーマンスに反映させることができます。さらに、初搭載となるSuper Articulation Plus Voices(S.Art+)により、ボタン一つで異なる楽器のアーティキュレーションを切り替えることが可能です。新しい無料アプリ「EXPANSION EXPLORER」は、アレンジャーワークステーションの体験を最大限に高めるツールです。iOS、Android™、Windows、Macで、お気に入りの拡張コンテンツに素早くアクセス、検索し、プレビューすることができます。カスタマイズされたおすすめ機能と簡単な管理で、新しいコンテンツの発見とインストールがこれまで以上に簡単になりました。
Yamaha Music Connectサービスでは、好きな楽曲を本物のアーティストと一緒に演奏しているかのような臨場感を味わいながら練習やセッションを楽しむことができる音楽アプリ「Extrack」および、AI合奏を楽しめるmacOS版アプリケーション「piano evoce β」を開発しました。「Extrack」は音源分離機能を用いて、楽曲データをボーカル、ギター、ベース、ドラムなどの各楽器パートに分離し、音量調整やミュートが可能です。これにより、自分が演奏する楽器の音だけを聴いて耳コピをしたり、他のパートと一緒に演奏したりすることができます。また、コード解析機能によって、楽曲のコード進行を自動解析・表示し、楽曲の再生と同期してリアルタイムでコードを表示します。さらに、再生速度変更機能やキー変更機能、A-Bリピート機能などが搭載されており、テンポを落として細かいフレーズの練習をしたり、歌いやすいキーに簡単に移調したりすることができます。演奏者の視点で使いやすさを徹底的に追求し、最先端技術を誰もが気軽に楽しめるアプリにまとめました。「piano evoce β」は、ユーザーが電子ピアノやキーボードを演奏すると、それに合わせてボーカルパートが追従再生される機能を提供します。Mac内に保存された楽曲のコードを解析し、アプリケーション上に演奏コードを表示します。ユーザーは鍵盤楽器とMacを接続し、楽曲データを選択すると、AI合奏技術により演奏に合わせてボーカルパートが追従再生され、自宅で気軽に合奏気分を味わうことができます。
管弦打楽器関連では、ジャンルの枠を超えてより自由な演奏を可能にするオールラウンダーモデルトランペット「YTR-8335RC」を開発しました。「YTR-8335RC」は、奏者のニーズを満たす画期的な仕様を盛り込んだ、幅広い表現力と高い演奏性を兼ね備えるカスタムモデルです。2枚取りで作られるベルは、細い部分(ベルステム)の板厚は薄くし、先端は厚みをもたせることで密度のあるパワフルなサウンドと快適な吹奏感を両立します。さらに、2枚取りベルとして初めてフレンチビードを採用し、奏者への音のフィードバック効果を増しています。「Xeno」 Artistモデルと同様の軽量化タイプのマウスピースレシーバーとリバース式抜差管の組み合わせにより、反応が良くスムースな吹奏感を生み出しているのに加えて、ヤマハトランペットとして初めて「脱着式主管支柱」を採用しました。吹奏感や音色を自由に変化させられるので、ジャンルやその時々のシーン、好みに応じた使い分けが可能になります。一体型バルブケーシングのボトムには、超軽量のフォスファーブロンズ製キャップを採用し、高音域における艶やかで力強く芯のある響きをもたらします。ジャンルやシチュエーションの枠を超え、自由な演奏をもたらすオールラウンダーなトランペットです。
また、ギター関連では3種の新しいモデルを開発しました。新たな演奏体験を提供する「TransAcoustic」技術搭載ギターの第2世代モデルであるトランスアコースティックギター「TAG3 C」は、従来のトランスアコースティックギターの機能をさらに進化させ、ギター本体はパワフルなストロークに応えるドレッドノートスタイルで、表板にシトカスプルース(単板)、側裏板にマホガニー(単板)を採用したカッタウェイモデルです。改良したアクチュエーターをさらに1基増設(計2基)したことにより、今まで以上に高品位なエフェクト音と新機能「ルーパー」を実現しました。エフェクトは、従来の「リバーブ」「コーラス」に「ディレイ」を加えた3種類が使用可能です。「ルーパー」は、演奏を本体で録音・ループ再生できるもので、フレーズを重ねながら演奏もできるので、プレーヤーの創作意欲を掻き立てます。専用アプリ「TAG Remote」を使えば、エフェクトの音質調整なども可能です。さらに、Bluetooth®機能も新搭載しており、スマートデバイスと接続すれば、本体からオーディオ再生もできます。「TAG3 C」は、音楽の創作プロセスである「聴く」「弾く」「創る」をギター1本で実現します。
また、アコースティックギターのフラッグシップモデルのコンサートスタイルとしてアコースティックギター「FS9」を開発しました。2023年5月発売の「FG9」同様、歌の伴奏としてアコースティックギターを使用するシンガーソングライターの表現力の追求のために、妥協なく開発したフラッグシップモデルです。パワフルなストロークに応えるドレッドノートスタイルの「FG9」に対し、「FS9」はコンパクトなコンサートスタイルで、特に指弾きに最適なギターです。表板には希少木材「アディロンダック・スプルース」を採用し、音の太さと明瞭さを両立したサウンドを実現しています。裏板は従来のFSボディシェイプよりも厚さを増し、ボディ全体から発する音の力強さを強化し、シンガーソングライターに理想の表現力を提供します。さらに、634mmのスケールを採用し、やや丸みを持たせたV字ネック形状と合わせ、抜群の演奏性も実現しています。ステージのプレーヤーを引き立てるシンプルさとフラッグシップらしい高級感を兼ね備えたデザインも特長です。
さらに、アコースティックギターのフラッグシップモデルにラインアップ追加したエレクトリックアコースティックギター「FG9 X」「FS9 X」を開発しました。シンガーソングライターの表現力の追求のために妥協なく開発した「FG9」「FS9」をベースにしています。ピックアップシステムには、従来のピックアップでは拾うことができなかったギターの音成分を集音する3Wayピックアップシステム「Atmosfeel(アトモスフィール)」を採用しました。これにより、ステージ上でもアンプを通して、ギターの自然な生音を表現できるようになりました。シンガーソングライターに理想の表現力を提供する「FG9」「FS9」のありのままのサウンドをラインアウトすることで、奏者に新たな演奏体験をもたらします。
なお、フィンガードラムパッド「FGDP-50/FGDP-30」とコンサート「だれでも第九」が、2024年度グッドデザイン賞を受賞しました。また、エレキギターのコンセプトモデル「アップサイクリングギター」と、ヤマハ発動機株式会社と当社が共同制作した体験型インスタレーション「e-plegona(エプレゴナ)」が、ドイツのデザイン賞「Red Dotデザイン賞デザインコンセプト2024」を、電子ピアノ クラビノーバ「CSP-295」が、「Red Dotデザイン賞プロダクトデザイン2024」をそれぞれ受賞しました。Red Dotデザイン賞は2011年から14年連続での受賞となりました。さらに、当社の技術成果である「FM音源の実用化と普及」が、一般社団法人電気学会の第18回電気技術顕彰「でんきの礎」として顕彰されました。
(2) 音響機器事業
当セグメントでは、社会の変化にも対応しながら、多様なニーズに応える商品を開発しております。
音楽制作・配信機器関連では、ステージ用途や楽曲制作・ライブ配信向けのダイナミックマイクロフォン「YDMシリーズ」を開発しました。「YDM707」は、広い周波数帯域を捉え、音を拾う方向を絞ることで正面の音源にフォーカスし、不要な背景音を拾いにくいスーパーカーディオイド型のマイクロフォンカプセルを採用しています。「YDM505」「YDM505S」は、力強い中高域を持ち、ハンドマイクで使用する際もマイク位置の調整などのしやすい、やや広めの指向性を持つカーディオイド型を採用しています。これら「YDMシリーズ」は、カスタム設計のマイクロフォンカプセルを搭載することで、精確でクリアなサウンドを実現し、クリエーターの意図した“声”を支えます。
Steinberg Media Technologies GmbHは、業務用デジタル・オーディオ・ワークステーションソフトウェア「Nuendo 14」を開発しました。「Nuendo 14」は、映画やテレビなどで背景音を自動的に減衰させることで台詞の明瞭度を向上させるABA(Adaptive Background Attenuation)機能や、ワークフローを革新する多言語対応のAIを駆使したADR(Automated Dialogue Replacement)音声テキスト変換機能といった30以上の新機能により、ポストプロダクションやゲームオーディオ制作のワークフローをアップグレードし、業界の新たなスタンダードを確立します。
業務用音響機器関連では、当社デジタルミキサーやプロセッサーとの組み合わせに最適なI/Oラック「Rio3224-D3」「Rio1608-D3」を開発しました。「Rio3224-D3」「Rio1608-D3」は、ユーザーからの要望の多かったヘッドホン端子でのモニター機能に対応するとともに、前モデルから消費電力を16%削減し、空冷経路の再設計によりファン騒音を低減し、静音性が大きく向上しました。音質面では、より低いノイズレベルとより広いダイナミックレンジを実現し、空冷経路の再設計によりファン騒音を低減し、静音性が大きく向上することで、アーティストやサウンドエンジニアが意図したサウンドを聴き手に届けることをサポートします。
プロオーディオ製品を使用した音響システムの設計、制御、管理を行う統合プラットフォームソフトウェア「ProVisionaireシリーズ」のラインアップとして、音響設備を提案する法人・個人のためのWebブラウザベースのルームプランニングソフトウェア「ProVisionaire Plan」を開発しました。「ProVisionaire Plan」は、遠隔会議用システム「ADECIA(アデシア)」に対応し、会議室のサイズや要件を入力するだけで、最適なマイクロフォンやスピーカーの機器リストやレイアウト図、3Dグラフィックを自動作成、音響の専門知識を必要とせず誰でも簡単に会議音響設備の設計・提案が可能となります。様々なニーズに柔軟に応えるべく今後もさらなるアップデートを予定しています。
ネットワーク技術分野では、遠隔会議用システム「ADECIA(アデシア)」の拡充ラインナップにDante/PoE対応天井設置型のスピーカーシステム「VXC2P」を開発し、音響とネットワークを組み合わせたソリューションを強化しました。「VXC2P」は、Dante/PoEに対応し、音声信号の伝送と電力供給を1本のLANケーブルで行えます。160°の広い指向角度を持ち、従来のラインアレイスピーカー「VXL1-16P」と選び分けることで、近年ニーズが高まっている「部屋を分けて使う」「広く使う」といったレイアウト変更が可能な会議室にも柔軟に対応します。さらに、室内のマイクロフォンと組み合わせ天井から音を届ける補助拡声用途としても活用でき大規模な部屋でも「話者の声が通りづらい」「後方席に声が届きにくい」といった課題を解決します。
なお、ライブストリーミングマイクロフォン「AG01」とヘッドホン「YH-5000SE」が、ドイツのデザイン賞「Red Dotデザイン賞プロダクトデザイン2024」を受賞しました。さらに、ヘッドホン「YH-5000SE」は、「アジアデザイン賞2024」で「Bronze Award(銅賞)」を受賞しました。また、ハイエンドヘッドホンアンプ 「HA-L7A」が、ドイツのデザイン賞「iFデザインアワード2025」を受賞しました。
「SoundUD」対応サービス「おもてなしガイド」が、総務省「情報アクセシビリティ好事例2023」に選定されました。「情報アクセシビリティ好事例2023」は、総務省が新たな取り組みとして情報アクセシビリティに優れた事例を選定するもので、同サービスが緊急時での聴覚障害者や外国人などへのスマートフォンを介した有効な情報伝達手段であることや、当社が同対象者との共同実証やコンソーシアムと協働した社会実装に取り組んでいることなどが評価されました。
(3) その他の事業
電子デバイス事業関連では、AIを活用した革新的な車室音響最適化技術「Music:AI」を開発しました。「Music:AI」は3つの技術で構成されています。「for Cabin」では、AIが車種ごとに異なる車室空間の音響特性に合わせた最適な音響パラメータを短時間で導き出し、今まで到達できなかった音質の追求を実現します。「for Music」では、AIが楽曲に合わせた音響パラメータをリアルタイムで最適化します。ドライバーの音質調整操作を不要にすることで安全運転にも貢献します。「for Person」では、AIとのインタラクションを通して一人一人の好みに合わせた音響パラメータを提供し、パーソナライズされた音響を提供します。「Music:AI」により、従来の手法では困難だった高度な音響最適化を実現することで、これまでにない音楽体験を提案します。
また、三菱自動車工業株式会社と共同開発したヤマハブランドオーディオが、クロスオーバーSUV「アウトランダー」の新モデルに採用されました。最上級グレードには「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」(12スピーカー)が、その他のグレードには「Dynamic Sound Yamaha Premium」(8スピーカー)が搭載されます。「アウトランダー」の商品コンセプトである「威風堂堂」を体現する音響空間を目指し、躍動感があり太く歯切れのよい低域と透明感のある美しい中高域によりアーティストが目の前にいるようなリアルで臨場感のあふれるサウンドを実現します。「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」では、スピーカーに高性能のオリジナル振動板・磁気回路を使用しています。さらに、お客様の好みや気分に応じて選べる4つのサウンドタイプを用意するなど最高の音楽体験を提供します。
ゴルフ事業関連では、独自の新技術を搭載したゴルフクラブ「INPRES DRIVESTAR」とレディースモデル「INPRES DRIVESTAR For Ladies」を開発しました。ドライバーは、三菱ケミカルとの共同開発による革新的な「OCTA ANGLE CARBON FACE」を採用しました。従来の4軸や6軸を超える8軸積層カーボンフェースは、広範囲における強度が向上したことでフェースのどの部分で打っても高い初速を可能にします。さらに、軽量カーボンクラウンとフェースによって生じた余剰重量を重心設計に利用し、安定したショットを支援する「Counterweight System」を導入しました。アイアンでは、「3Point Resonance Technology」による反発効率の最大化と、高い強度と粘り強さを持つ新素材「X37」を採用した精密鋳造による1.1mmの極薄ソールの相乗効果により、打点の反発性能を向上させています。