第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1) 財政状態及び経営成績の状況

①経営成績

  当第1四半期連結累計期間の外部環境は、政府の資産所得倍増プランに基づく新NISA制度が2024年から開始する直前期でもあり、銀行、証券会社をはじめとする金融機関の新規NISA口座獲得のための営業活動が激しくなるなど金融業界に大きな動きがありました。これまで貯蓄に偏重していた家計の資産を投資へと振り向けて資産所得の倍増へとつなげるNISA制度の抜本的拡充・恒久化施策は、口座数にも顕著な影響を与えており、日本証券業協会の調査では、2023年9月末の証券会社のNISA総口座数は1,356万口座と2022年末に比べ15.0%増加しています。特に、つみたてNISA口座数は2023年9月末で623万口座に増え、2022年末の495万口座から25.7%増と大幅な伸びを示しています。

  金融機関の新NISA制度への対応に際しては情報システム投資が必須であり、当社においてもこの追い風の中で特に銀行・証券会社の新規顧客を獲得する取り組みを積極的に推進しています。2023年10月に開催されました金融国際技術展(FIT2023)では、「生成AIによるつみたてNISAと成長NISAの組合せに対するパーソナライズ提案の実践」と題し、ChatGPTを活用した証券投資・資産管理のための総合提案アプリW2C(Wise Wealth to Customer)についてプレゼンテーションを行いました。これは、当社独自開発のCAPライブラリ(計算エンジン)やナレッジデータベースを実装することにより、生成AIだけでは実現できなかった精緻なシミュレーションやグラフ描画、さらに最新制度に準拠した制度説明ができるようになり、つみたてNISAと成長NISAの最適配分と投資信託についてのパーソナライズされた提案をアバターが説明することにより、金融リテラシーが低い投資家にも容易に理解することが可能となりました。

 

  新NISA革命と生成AI革命という2つの国家的施策を背景に、当社グループは当連結会計年度を2024年9月期に終了する中期経営計画の最終年度として位置づけ、政府の資産所得倍増プランに沿いながら金融レガシーシステムのDX化と日本人のゴールベースプランニングのDX化により、個人資産の最適なアセットアロケーションと豊かな老後・円滑な相続を実現するための事業戦略を継続的に実行してまいりました。当第1四半期連結累計期間における主なトピックスは、次のとおりです。

 

①  当社グループの主たる事業であるシステム受託開発事業は、生命保険会社の新商品販売時期が4月と10月に集中することにより、売上高が3月(第2四半期)と9月(第4四半期)に偏重する傾向がありますが、当第1四半期連結累計期間の売上高は1,946,093千円(前年同四半期比18.5%増)と第1四半期としては過去最大の売上高を計上しました。一方、営業利益は10,912千円(前年同四半期は営業損失103,720千円)、経常利益は7,566千円(前年同四半期は経常損失106,956千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は314千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失70,575千円)となり、例年第1四半期の純損益が赤字となる傾向の中、当第1四半期は収支均衡いたしました。

②  生命保険会社においては、死亡保障から介護、医療、老後資金準備等、生涯にわたるライフプランニングシステムの受託開発を展開しています。変額個人年金保険、変額保険等の資産形成型の新商品を加えた生保設計書・申込書作成システムの開発プロジェクトも複数社において受託開発するとともに、ゴールベースプランニングの再構築プロジェクトや引受基準緩和型保険商品の設計・申込システムについても、引き続き推進中です。

 

③  メガバンク・信託銀行向けには、世界分散投資による資産形成を支援するシステムとして確定拠出年金運用アプリに係るプロジェクトに継続的に関与しています。資産クラスの変更、投資信託の組替ロジックの提供をAPIで実現し、開発期間を短縮して直感的でわかりやすい操作性を実現しています。また、顧客である個人富裕層や企業経営者をターゲットとした相続・財産承継システムの受託開発・使用料課金も拡大しています。

④  新NISA制度の発足に合わせて新規顧客獲得を推進する銀行や証券会社に対しては、当社が開発した生成AIによるつみたて投資枠と成長投資枠の組合せに対するパーソナライズ提案アプリであるW2Cのβ版を提供開始しました。各金融機関の取扱商品情報や販売ポリシー等を取り込み、試行いただきながらプロモーション活動を展開しています。生成AIの活用については、銀行・証券会社以外に生命保険会社や損害保険会社においても研究が始まっており、このような活動に対しても当社グループは積極的に支援しています。

⑤  当第1四半期連結累計期間においては、海外展開に向けた基盤づくりの活動も行っています。特に伸長著しい東南アジアの国におけるウェルスマネジメント・プライベートバンキング市場の開拓について、市場調査とアライアンスパートナーとのネットワーク構築の検討を始めました。

 

なお、当社グループはシステム開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

(売上高)

 生命保険会社向けには、死亡保障から介護、医療など生涯全体にわたるライフプラン設計に基づいた保険商品をはじめ、変額個人年金保険、変額保険等の資産形成型の新商品を加えた生保設計書・申込書作成システムの開発プロジェクト、ゴールベースプラニングの再構築プロジェクトや引受基準緩和型保険商品に関連した受託開発等の案件が例年に比べ堅調でした。また、フロント領域のみならず、クラウド上での契約管理システム構築等バックオフィス領域の受託開発プロジェクトを拡大しています。メガバンク・信託銀行向けには、世界分散投資による資産形成を支援する確定拠出年金運用アプリに係るプロジェクトや顧客ポートフォリオのリスク分析、相続・事業承継・財産承継コンサルティングを効率化するウェルスマネジメントプラットフォームのシステム開発を継続的に受託しました。このように、生命保険や銀行向けを中心としたシステム開発売上高が前年同四半期比19.4%増と好調だったことに加え、使用許諾・保守運用売上高も前年同四半期比8.2%増えたことが寄与し、当第1四半期連結累計期間の売上高は1,946,093千円(前年同四半期比18.5%増)と第1四半期連結累計期間としては過去最大の売上高を計上しました。その結果、銀行・証券会社等売上を拡大し、事業ポートフォリオの分散を実現しています。

(営業利益)

 当第1四半期連結累計期間は、優秀なプログラマーや開発エンジニアを維持・確保するための人的資本投資を継続的に進めたことなどにより、売上原価は1,559,239千円(前年同四半期比10.5%増)、また販売費及び一般管理費は375,941千円(前年同四半期比12.3%増)といずれも前年同四半期より増加しましたが、生命保険会社や銀行向けの受託開発売上や使用料課金等の伸長により売上高が前年同四半期比で18.5%増加したことが奏功し、7期ぶりに営業利益は10,912千円(前年同四半期は営業損失103,720千円)となり、黒字化しました。

(経常利益)

 営業外費用として支払利息を4,513千円計上した結果、経常利益は7,566千円(前年同四半期は経常損失106,956千円)となりました。

(親会社株主に帰属する四半期純損失)

 法人税等合計を8,130千円計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純損失は314千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失70,575千円)となりました。

 

 

② 財政状態

<資産>

 当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて295,497千円減少し、5,250,450千円となりました。
(流動資産)
 当第1四半期連結会計期間末における流動資産合計は、前連結会計年度末に比べて185,366千円減少し、3,371,859千円となりました。これは主として売掛金及び契約資産が255,059千円、仕掛品が64,101千円増加した一方で、現金及び預金が508,120千円減少したこと等によるものであります。
(固定資産)
 当第1四半期連結会計期間末における固定資産合計は、前連結会計年度末に比べて110,130千円減少し、1,878,591千円となりました。これは主としてソフトウエアが109,326千円増加した一方で、無形固定資産のその他に含まれるソフトウェア仮勘定が188,114千円減少したこと等によるものであります。

<負債> 
 当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて237,132千円減少し、2,159,524千円となりました。
(流動負債)
 当第1四半期連結会計期間末における流動負債合計は、前連結会計年度末に比べて219,300千円減少し、1,659,167千円となりました。これは主としてその他に含まれる未払消費税等が115,823千円、未払法人税等が90,355千円減少したこと等によるものであります。
(固定負債)
 当第1四半期連結会計期間末における固定負債合計は、前連結会計年度末に比べて17,832千円減少し、500,357千円となりました。これは主として長期借入金が18,027千円減少したこと等によるものであります。
<純資産>
 当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて58,364千円減少し、3,090,926千円となりました。これは親会社株主に帰属する四半期純損失を314千円、剰余金の配当を42,940千円、その他有価証券評価差額金の減少15,094千円を計上したこと等によるものであります。

 

(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当第1四半期連結累計期間において、経営方針、経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

 当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は4,158千円であります。

 

3 【経営上の重要な契約等】

 当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。