文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当四半期会計期間の末日現在において、当社が判断したものであります。
当第3四半期累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更があった事項は以下のとおりであり、変更箇所は下線で示しております。
なお、以下の見出し及び本文中に付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」の項目番号に対応したものです。
(2) 他の金融機関との競争について
当社は、個人投資家向けの株式ブローキング事業を主たる事業としておりますが、同事業を行う競合他社には、当社に比べ、資金力、技術力、マーケティング力、サービス面、知名度、顧客基盤等において強みを持つ者が存在し、厳しい競争に晒されています。中でも、顧客獲得のため、より低価格の委託手数料を提示するオンライン証券会社が多数存在しております。また、米国のオンライン証券業界において、大手各社が株式委託手数料の全面無料化に踏み切ったことを受けて、日本のオンライン証券各社において、株式委託手数料の一部を無料とする動きや、既に無料としている取引の対象を拡大する動き等が広がりました。さらに2023年8月には、大手オンライン証券2社が国内株式委託手数料の実質的な全面無料化の計画を発表しました(当四半期報告書提出日現在、両社とも実施済)。その他、近年は、フィンテックベンチャーの新規参入や対面型金融機関によるオンラインサービスの強化が相次ぎ、競争環境はこれまで以上に厳しくなることも想定されます。今後、他の金融機関との競争がさらに激化した場合には、当社の既存顧客の他社への流出、新規顧客獲得数の減少、顧客獲得に要する広告宣伝費の増加により、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、顧客に対するFX(外国為替証拠金取引)サービスの提供とそれに伴う利益獲得を目的として、顧客との間で外国為替証拠金取引を行う一方、その為替変動リスクを制御するために、カウンターパーティーと外国為替証拠金取引を行っております。顧客との取引で発生したポジションにつき、カバー取引を行わない範囲については、ポジションを保有するリスクが発生するため、為替変動リスクに晒されておりますが、原則として、各営業日の取引終了時点における顧客のポジションについては、すべてカバーすることとしています。
当社は、外国為替証拠金取引に係るトレーディングに関して、リスク限度額を社内規程で定めるほか、社内規程等に基づき、原則として事前に設定されたアルゴリズムに基づくカバー取引・マリー取引・その他のディーリングを行うことで為替変動リスクの制御に努めております。
しかしながら、こうした当社の方針にも関わらず、予期せぬ為替相場の変動により、アルゴリズムにおける想定を超える為替損失が発生した場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、カバー先に差し入れている保証金は当社の自己資金で充当しているため、当社はカバー先の信用リスクを負っております(顧客の証拠金は、自己の資金とは完全に区分して、信託銀行に預託しています)。今後の経済情勢等の変化により、カバー先の信用リスクが顕在化した場合には当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、米国株取引においても取次先に保証金を差し入れており、その保証金は当社の自己資金で充当しているため、当社は取次先の信用リスクを負っております(顧客の預り金は、自己の資金と完全に区分して、信託銀行に預託しています)。このため、上記の外国為替証拠金取引に関してカバー先へ差し入れている保証金と同様のリスクがあります。
なお、当四半期報告書提出日現在、米国株取引においても信用取引を提供しております(2023年10月開始)。信用取引のリスクは、「(3) 信用取引等に関するリスクについて」における信用取引及び一般信用取引のリスクの記載をご参照ください。
経営者の視点による当社の財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、当社はオンライン証券取引サービスの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において、当社が判断したものであります。
当第3四半期累計期間の国内株式市場は、期首に28,200円台で取引を開始した日経平均株価が、日銀の金融緩和策維持の決定や、東京証券取引所のPBR1倍割れ企業に対する改善要求への期待等から堅調に推移しました。5月には景気減速の懸念のある米国・中国に比べて悪材料がない日本株への投資が集中し、月末には31,328円とバブル経済崩壊後の高値を更新しました。6月以降もこの流れは続き、7月3日には33年ぶりとなる33,753円を記録しました。その後、米金融引き締めの長期化の見方が強まったことから、株価は8月中旬に31,000円台まで下落しました。8月下旬のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を波乱なく通過したことで、過度な米金融引き締めへの警戒感が後退し、株価は9月中旬にかけて33,000円台を回復しましたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)の内容を受けた金融引き締め長期化の懸念や、米国金利の上昇の影響を受けて、株価は再び下落傾向となりました。10月は米国金利が16年ぶりの高水準になったことや、中東情勢の緊迫による地政学リスクの高まりを受けて引き続き売り優勢の進行となり、月末に株価は31,000円台を割り込みました。11月に入ると、日米の長期金利の低下や金融政策の修正観測の高まりにより、株価は上昇に転じ33,500円台を記録しました。その後、株価は一進一退を繰り返し、12月末の日経平均株価は33,400円台で取引を終えました。
このような市場環境の中で、二市場(東京、名古屋の各証券取引所)合計の株式等売買代金は、前第3四半期累計期間と比較して20%増加しました。当社の主たる顧客層である個人投資家については、株価上昇に伴う買い余力の増加等を背景に取引が拡大し、二市場全体における個人の株式等委託売買代金は同30%増加となりました。なお、二市場における個人の株式等委託売買代金の割合は23%と、前第3四半期累計期間の21%から増加しました。当社の株式等委託売買代金については同33%の増加となりました。
当第3四半期累計期間における当社の取組みとしては、証券口座の入出金に関する煩わしさを解消し、投資をより身近に感じる顧客体験を提供することを目的として、10月から銀行サービス「MATSUI Bank」を開始しました。サービス開始後3ヶ月で、預金残高は220億円、口座数は2.3万口座に達しています。日本株については、個人投資家に人気のIPO銘柄の取扱い数を伸ばし、IPO引受参入率は業界2位の70%となりました。FXについては、24時間売買可能なリピート型自動売買機能の提供を開始し、当第3四半期累計期間の当社FX売買代金は過去最高の水準となりました。米国株については、取扱銘柄を3,600銘柄超まで拡充したほか、10月から信用取引サービスを開始しました。また、専門の相談員が米国株取引に関する投資判断をサポートする「株の取引相談窓口(米国株)」を設置し、お客様に寄り添ったサポートの拡充を図りました。その他、投資の「おもしろさ」を伝える動画コンテンツを多数公開し、YouTube公式チャンネルの登録者数は23万人を超え、業界No.1登録者数のチャンネルへと成長しました。これに加え、投資情報メディア「マネーサテライト」において、投資初心者向けの経済用語解説動画や、速報性の高いマーケット解説動画を配信するなど、顧客にとって発見や成長につながる多様なアイデアの提供に努めました。
以上を背景に、当第3四半期累計期間においては、株式等委託売買代金の増加等により、受入手数料が14,125百万円(対前第3四半期累計期間比17.0%増)となりました。また、信用取引平均残高の増加に伴い信用取引収支が増加したことや、有価証券貸借取引収支が増加したこと等により、金融収支は同16.3%増の8,718百万円となりました。
この結果、営業収益は28,899百万円(同25.9%増)と大幅な増加となりました。また、純営業収益は25,296百万円(同19.2%増)、営業利益は10,806百万円(同24.7%増)、経常利益は10,721百万円(同24.8%増)となり、四半期純利益は7,029百万円(同18.7%増)となりました。
収益・費用の主な項目については以下の通りです。
受入手数料は14,125百万円(同17.0%増)となりました。そのうち、委託手数料は13,379百万円(同17.2%増)となりました。これは主として、株式等委託売買代金の増加によるものです。
トレーディング損益は、主としてFX取引のトレーディング益により、2,453百万円の利益となりました。なお、FXに係るトレーディング益と金融収支の合計は2,229百万円(同53.0%増)となりました。
金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は8,718百万円(同16.3%増)となりました。これは主として、信用取引平均残高の増加に伴い信用取引収支が増加したことや、有価証券貸借取引収支が増加したことによるものです。
販売費・一般管理費は、同15.4%増の14,490百万円となりました。これは主として、事務委託費の増加により事務費が同20.2%の増加となったことや、減価償却費が同25.2%の増加となったこと、広告宣伝費の増加等により取引関係費が同9.4%の増加となったこと、人件費が同12.1%の増加となったことによるものです。
当社の主たる事業は、個人投資家向けの株式等委託売買業務であり、収入項目としては受入手数料、とりわけ株式等売買に関する委託手数料が当社の業績に重要な影響を及ぼします。また、主として信用取引に起因する金融収益についても当社の業績に重要な影響を及ぼす要因となります。しかしながら、その水準はともに株式市場の相場環境に大きく左右されます。
当社の主な資産は、顧客からの預り金や受入保証金等を信託銀行に預託した顧客分別金信託(預託金に含まれます)と、信用取引貸付金を中心とする信用取引資産です。一方、信用取引貸付金に充当することを目的として、短期借入金等による調達を行っております。当社の主な負債は、預り金、受入保証金及び短期借入金です。
当第3四半期会計期間末の資産合計は、対前事業年度末比9.7%増の1,070,234百万円となりました。これは主として、預り金及び受入保証金等の増加に伴い預託金が同15.7%増の640,112百万円となったことによるものです。
負債合計は、同10.8%増の996,824百万円となりました。これは主として、預り金が同27.5%増の415,625百万円となったことや、受入保証金が同10.1%増の276,076百万円となったことによるものです。
純資産合計は、同3.9%減の73,410百万円となりました。当第3四半期累計期間においては、2023年3月期期末配当金及び2024年3月期中間配当金計10,289百万円を計上する一方、四半期純利益7,029百万円を計上しております。
当社が行う資金調達は、主として信用取引貸付金の原資に対応するものです。経常的な信用取引貸付金の増減については、銀行等金融機関からの短期借入金の増減を中心に対応しております。信用取引貸付金の水準が大きく増加する場合に備えて、社債による資金調達を機動的に行えるよう発行登録も行っておりますが、当第3四半期会計期間末現在においては、信用取引貸付金と内部留保の水準を踏まえ、資金調達の大部分はコール・マネーを含む短期借入金によっております。
なお、複数の金融機関と当座貸越契約やコミットメントライン契約を締結することで、資金調達の安全性を確保しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期累計期間において、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
当第3四半期累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はなく、新たに生じた課題もありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。