第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

当社グループは「デジタルマーケティングをコアコンピタンスとするHouse Tech Companyとして、「暮らしを変える、世界を変える、未来をつくる。」というスローガンのもと、「サステナブル&テクノロジーで住まいにイノベーションを起こす」というミッション実現のため企業活動を行っております。

2020年8月に中期経営計画「NEXT STAGE 2023」を策定し、「戸建プラットフォーマーへ」「全国展開へ加速化」「住宅版SPAモデルの確立」「サブスクリプションモデルによる工務店支援事業の収益化」を基本方針に掲げ取り組んでまいりました。

その結果2023年6月期には売上高141億8,313万円(2020年6月期は売上高60億3,623万円)と過去最高を更新することができました。しかしながら世界的なインフレに伴いウッドショックをはじめとした資材高騰の影響を受け、営業利益は2億9,924万円(2020年6月期は1億4,454万円)という結果になりました。

そこで新中期経営計画では収益性を大幅に改善し、戸建プラットフォーマーを目指すべく以下に掲げる方針のもと実行してまいります。

基本方針

1.戸建プラットフォーマーへ加速化(さまざまな住宅ソリューションサービスを全国の工務店・ビルダーに

  提供していく)

2.戸建住宅事業におけるエリア・顧客層・販売チャネルの拡大と利益率の改善・拡大(住宅版SPAモデルの

  再構築)

3.「家」を再定義する―未来の家をつくる―(3Dプリンターハウスの開発・販売)

 

(2)現中期経営計画数値目標及び進捗状況

当社グループは、現中期経営計画の数値目標として、事業の成長性及び収益性を重視し、売上高、営業利益、粗利率等を設定しております。また、デジタルマーケティングの効果的な運用をモニタリングするため、WEB集客数、YouTubeチャンネル登録数をあわせて数値目標として設定しております。なお、2022年8月9日に中期経営数値目標を一部修正しております。現中期経営計画の最終年度にあたる2023年6月期の実績値等は以下のとおりです。

現中期経営計画数値目標及び進捗状況

目標とする経営指標

2021年6月期

(実績)

2022年6月期

(実績)

2023年6月期

(実績)

2023年6月期

(計画)

売 上 高

94億円

137億円

141億円

170億円

営 業 利 益

4.8億円

6.6億円

2.9億円

9億円

営業利益率

5.2%

4.8%

2.1%

5.3%

R О E

13%

13%

5.2%

16%

戸建て粗利率

30%

28%

26%

35%

店 舗 数

16店舗

20店舗

34店舗

35店舗

WEB集客数

昨年比63%増

昨年比57%増

昨年比33%増

毎年50%増加へ

YouTubeチャンネル登録数

2.5万人

3.8万人

6.0万人

7万人

サブスクリプション

工務店支援事業

開発中

 

2022年6月

リリース

営業利益

4,000万円

 

 

(3)新中期経営計画数値目標

当社グループは、新中期経営計画の数値目標として、事業の成長性及び収益性を重視し、売上高、営業利益及びROEを設定しております。

新中期経営計画数値目標

目標とする経営指標

2026年6月期

(計画)

売 上 高

285億円

営 業 利 益

30億円

R О E

30%

 

 

 (4)持続的な成長の実現に向けたSDGsへの取組

当社グループは2021年3月24日に当社の取り組みを明文化した「SDGs宣言」を公表しております。当社は創業以来、「住まい」を通してお客様の豊かな暮らしの実現に貢献してきました。当社は、持続可能な開発目標であるSDGsの趣旨に賛同し、企業としての利益創出の最大化と社会的課題の解決の両方を追求してまいります。

これまでの活動内容

今後の取り組み

●サステナブルな家づくり

・新聞紙を再利用した断熱材セルロースファイバーを標準採用

・植林された天然杉の使用

・戸建て住宅では初のカーボンフットプリント登録および全棟CO2排出量明示

・太陽光パネルの提案(設置率57.7% 26期)

・省エネ住宅の推進(BELS申請数の住宅分野において、設計者では全国15位、施行者では全国23位、2023年7月末時点)

・「くまもとSDGSアワード2022牽引部門:優秀賞」選出

 

・環境負荷の小さい資材を採用しカーボンフットプリントの削減

・資材や工事の調達の際に価格のみではなく、環境への取り組みを評価(環境ランクを設定)

・雨水を再利用した家づくり

・空き家をリノベーションし活用する新規事業への取り組み

・無料全棟太陽光パネル推進(PPAモデル)

●地球温暖化による気候変動への取り組み

・事業全体でのCO2排出量の算定(2022年度計84,352t-CO2 Scope1:691t-CO2、Scope2:99t-CO2、Scope3:83,562t-CO2)

・「カーボンニュートラル宣言」公表

・TCFDへの賛同

・SBT認定取得

・EVでの通勤に対しエコ手当支給

・パートナー企業(グリムスソーラー社)と提携し、既存住宅に太陽光パネルと蓄電池の設置推進

 

・事業全体でのCO2排出量の削減(削減達成目標Scope1:2030年度、Scope2:2025年度)

・再エネ由来電力の使用推進

・新規事業として当社の施主に対しグリーン電気の供給

 

●働きがいのある企業へ ダイバーシティ推進

・社員の約4割が女性であり、女性活躍企業として経済産業省よりダイバーシティ2014に選出

・会社の利益を分配するシステム(インセンティブ制度やギフト制度)の実施

・勤続や表彰により株式を付与するESOP制度の実施

・社員それぞれのノウハウを会社全体として共有できるよう電子マニュアルの整備

・健康優良法人2023に選出

 

 

・LGBTQの人々に対し働きやすい環境を整備

・女性管理職比率30%以上の達成

・社員平均所得の倍増計画の推進

・週休3日、テレワーク、超時短勤務制度など、さまざまな働き方の提案

●地域社会や子供たちへのCSR活動

・熊本地震において価格を抑えた復興プラン住宅の提供

・熊本地震での給水活動、復興プラン住宅の売上の一部を熊本県に寄付

・上場時に地元山鹿市へ寄付

・コロナ対策として地元小学校にサーキュレーターを寄付

・こども未来サポーターの創設

 

・Lib Work Labでのこども食堂の運営

・全国にあるこども食堂への継続的な支援

・経済的に困窮している才能ある子供への支援事業

・全国の自治体の環境への取り組みを評価し、積極的に企業版ふるさと納税制度を活用し寄付を実施

 

 

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

住宅業界におきましては、コロナ禍における戸建住宅への需要の高まりが一段落し企業間の競争が激化しております。さらに世界的なインフレや円安の影響により住宅資材価格が高騰し利益に影響を及ぼすことも予想されます。

 このような事業環境のもと、当社グループでは「デジタルマーケティングをコアコンピタンスとするHouse Tech Company」として戸建市場でのプラットフォーマーへの確立を目指し収益構造の多角化や多様化するお客様のニーズにいち早く対応してまいります。また当社グループ全体で気候変動リスクへの取り組みを促進し、脱炭素社会に向け行動してまいります。具体的な課題に対しての取り組みは以下の通りです。

 

①  住宅資材高騰に対する対応

 世界的なインフレや円安により住宅資材価格が高騰していますが、仕入れの安定及び供給の確保を最優先に取り組んでまいります。そのため仕入れルートの複数化に努めリスクヘッジを進めます。

②  デジタルマーケティングの強化

 いわゆるアフターコロナにおけるライフスタイルの変化に対応すべく、デジタル分野への投資を積極的に進めてまいります。デジタル集客の多様化を進めるべく、特にYouTubeチャンネルの育成・投資を推進し、一戸建て・新築・平屋・注文住宅等のカテゴリーでのトップチャンネルを目指してまいります。

③  収益の安定化・多様化への取り組み

 当社グループは戸建住宅事業をメインに事業を行っておりますが、今後はそこで培ったノウハウを生かしサブスクリプション型工務店支援サービス「マイホームロボ」事業や異業種コラボによるIP・ライセンスビジネスなどに取り組んでまいります。これにより収益の安定化・多角化を目指します。

④  大工職人や協力施工業者の減少への対応

 大工職人や協力施工業者の数は年々減少しており、今後不足することが予想されます。そこで当社では施工能力の向上を図るため各業種の自社内製化を進めてまいります。

⑤  気候変動への取り組み

 カーボンニュートラルに向けて当社グループではZEHの推進及びカーボンフットプリントへの取り組みを行ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 気候変動への取り組みとTCFDへの対応として、当社は、CO2排出量削減による脱炭素社会の実現に寄与するため、2022年9月にカーボンニュートラル宣言及び達成のための取り組みについて発表し、同時にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しました。

今後もTCFDの考え方に基づいてシナリオ分析を行い、事業活動に与えるリスクと機会を抽出し、経営戦略に盛り込み、財務への影響などを検証してまいります。

 

(1)ガバナンス

当社は、気候変動を含むSDGs達成を重要課題と認識し、2021年3月のSDGs宣言に伴い、SDGs委員会を設立しました。カーボンニュートラル宣言後の2023年1月にサステナブル推進室を設立し、SDGs委員会をサステナブル推進委員会へ名称変更し、代表取締役社長も含め各部署の担当者と定期的に取り組み状況について審議しています。

 

(2)戦略

当社はカーボンニュートラル宣言に基づき、CO2排出量削減に取り組んでまいりました。2020年度のCO2排出量はグループ合計70,056t-CO2(Scope1:492t-CO2、Scope2:147t-CO2、Scope3:69,417t-CO2)であり、Scope1については2030年度までに実質100%削減、Scope2については2025年度までに実質100%削減、Scope3については2050年度までに実質50%削減(2020年度比、対売上比)という目標を設定しました。

2022年度のCO2排出量につきましては、グループ合計84,352t-CO2(Scope1:691t-CO2、Scope2:99t-CO2、Scope3:83,562t-CO2)となっており、合計で2020年度比120%と増加しておりますが、社員数及び拠点の増加や、販売棟数及び売り上げの増加が原因であり、対売上比では削減(2020年度比64%)が図れております。なおScope2においては、再エネ由来の電力への切り替えが進み、2020年度比67%と削減が図れております。

当初の目標達成のため、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表した「4℃シナリオ(注1)」、「2℃シナリオ(注2)」、さらに2018年の特別報告における「1.5℃シナリオ(注3)」を考慮し、下記の通り事業活動に与える気候関連リスク(移行リスクおよび物理リスク)と機会を抽出し、対応してまいります。

(注1)4℃シナリオ:産業革命前と比較して4℃前後上昇するシナリオ

(注2)2℃シナリオ:産業革命前と比較して21世紀末に世界平均気温の上昇幅が2℃未満に抑えられるシナリオ

(注3)1.5℃シナリオ:産業革命前と比較して21世紀末に世界平均気温の上昇幅が1.5℃未満に抑えられるシナリオ

 

(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

 当社は、SDGs達成を目標にしておりますが、その達成のために以下の経営理念や人材育成方針等を掲げております。

 

当社グループは経営理念として「何事においてもお客様を第一と考え、世界中に感動を与えるものを発信し、お客様の夢の実現に貢献していくこと」を目指しており、その実現のために以下の項目を経営ビジョン等として掲げております。また、女性・外国人・中途採用者等の多様な人材の活躍が会社の持続的成長及び企業価値の向上に不可欠であるとの認識のもと、積極的な採用活動に取り組んでおります。

a.VISION

『HOUSE TECH COMPANYとして住宅のプラットフォーマーを目指す』

b.MISSION

『サステナブル&テクノロジーで住まいにイノベーションを起こす』

c.SLOGAN

『暮らしを変える、世界を変える、未来をつくる。』

 

当社が事業を行う戸建住宅市場は、新型コロナウイルス感染拡大の余波によるウッドショックによる木材価格高騰を皮切りに、自然災害やサプライチェーンのひっ迫など、世界的な外部環境の目まぐるしい変化が生じております。木材以外の建築用原材料も例外ではなく、価格は全般的に高騰し、インフレ圧力の上昇が続くなど先行きの不透明な状態が続いており、企業にはその変化への対応が求められております。また、当社としても経営ビジョンに掲げる「戸建プラットフォーマー」を目指すべく、今後はそこで培ったノウハウを生かしサブスクリプション型工務店支援サービス「マイホームロボ」事業や異業種コラボによるIP・ライセンスビジネスなどに取り組んでおります。

そのような中、当社として、そして当社の最大の経営資源である人材については、新たな事業を推進する経験を有し、かつ市場の変化に柔軟に対応できる人材の確保が重要であります。そのために、これまでは新卒社員を中心に行っていた採用活動について、中途採用者の比率を拡大させることで人材の確保に努めております。また、既存事業の成長基盤を強固なものとするためには、人材育成が重要でありますので、当社社員のキャリア形成を促進するため、ジョブ型雇用への移行を進めております。

さらに、当社の中長期的な成長や事業領域の拡大を支える高度専門人材の確保及び次世代の経営を担う人材の育成につなげられるよう、当社取締役会でも定期的に議論の場を設けております。

 

(4)リスク管理

当社はサステナブル推進室やサステナブル推進委員会で、上記「(2)戦略」に記載した気候関連のリスクを管理しています。リスク管理のプロセスは、リスクの識別・評価を行い、発生頻度やインパクトから優先順位付けした上で、回避・軽減・移転・保有などの対策を決定し、進捗管理を行います。

 

<移行リスク(脱炭素社会への移行に伴い発生するリスク)>

影響する項目

リスク

機会

対応

政策・

規制

・政府のカーボンニュートラル宣言(CP(注4)制度の拡大)
・省エネ基準の段階的な引き上げ
・省エネ性能表示の義務付け検討
・太陽光パネル設置義務化への動き

・カーボンオフセット(注5)におけるJクレジット購入等によるコスト増
・炭素税導入による収益の悪化
・省エネ基準の引き上げにより、低等級住宅の売り上げ減

・エネルギー消費効率の優れた住宅の提供による売上の向上

・事業におけるGHG排出量の削減(Scope1~3)
・省エネ基準引き上げに対応した住宅設計
・建売物件等における省エネ性能表示
・顧客負担の少ない太陽光パネル(PPAモデル・リース)の推進による設置率向上

市場

・省エネ住宅の市場拡大

・環境負荷の大きい住宅の不買化

・省エネ住宅開発による事業拡大、収益向上

・環境負荷の少ない住宅の開発及び提供
・販売・施工物件のCFP(注6)明示

技術

・省エネ技術の進歩
・再生可能エネルギー技術の進歩

・エネルギー転換への対応によるコストの増加
・低炭素資材導入におけるコスト増加

・エネルギー消費効率の優れた住宅の開発によるLCA(運用段階)での負担軽減
・低炭素住宅の開発によるLCA(資材調達段階)での負担軽減

・低炭素資材の検討及び採用
・住宅LCA(注7)での負担軽減の推進
・太陽光パネル設置の積極的な導入

評判

・顧客の評価の変化
・投資家及び金融機関の評価の変化

・環境負荷の大きい住宅は販売不振となり、売り上げ減少
・環境軽視の事業展開は融資及び投資の対象から外れる可能性

・脱炭素住宅の開発により、競合他社に優位性が増し、受注が拡大。
・環境に配慮した事業展開により、スムーズな事業資金の確保

・低炭素資材を使用した住宅の開発及び商品化
・事業におけるCO2排出量の削減

 

 

<物理リスク(気候変動による災害など物理的影響に関連するリスク)>

影響する項目

リスク

機会

対応

急性

・異常気象による大規模災害

・河川の氾濫、巨大台風、渇水などによる生産支障

・BCP対応の強化による顧客信頼につながり受注拡大

・BCPのレジリエンス体制の強化
・緊急時電源の確保(非常用電源確保と自家発電設備の活用)
・用地や建物耐久性の確認と改善
・耐久性、耐水、耐熱性に優れた住宅の企画や開発

慢性

・気温上昇
・降水、気象パターンの変化

・温暖化による住宅の耐久性の不足や品質不具合

・製品耐久性の向上により付加価値が高まり収益向上

 

(注4)CP:Carbon Pricingの略。炭素税や排出量取引により炭素に価格付けを行うこと。

(注5)排出される二酸化炭素などの温室効果ガスを、他の場所での温室効果ガス削減・吸収活動で埋め合わせるという

  考え方。

(注6)Carbon Foot Printの略。商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体

  を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して表示する仕組み。

(注7)Life Cycle Assessmentの略。商品やサービスの原料調達から、生産・流通、さらには廃棄・リサイクルに至る

  までの一連のライフサイクルにおける環境負荷を、定量的に算定するための手法

 

(5)指標及び目標

当社の環境活動は、事業活動におけるCO2排出量において、Scope1は2030年度までに100%削減(2020年度比)、Scope2は2025年度までに100%削減(2020年度比)、Scope3は2050年度までに50%削減(2020年度比、対売上比)という目標を掲げております。

これらの目標達成のために、27期においては新築施工物件の太陽光パネル設置率70%を目標とし(26期設置率57.7%)、Scope3を削減してまいります。

また、環境に配慮した建築資材の使用などを検討し、CFPの削減を図ってまいります。

 

目標年度

削減目標(2020年度比)

Scope1

2030年度

100%削減

Scope2

2025年度

100%削減

Scope3

2050年度

50%削減(対売上比)

 

Scope1:自社の燃料使用に伴う直接排出(主にガソリン)

Scope2:他社から共有されたエネルギーの使用に伴う間接排出(主に電気)

Scope3:商品・サービスの購入やサプライチェーン全体の間接排出

 

 

(6)人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績

当社及び当社グループにおける人材育成及び多様性の確保に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は、以下のとおりとなります。

なお、連結グループに属する全ての会社による集計が困難又は妥当ではない指標については、一部の会社を集計の対象から除外しております。

指標

カテゴリー

対象範囲

(注)

目標

2023年6月期
  実績

中途採用者採用比率

中途採用比率

30%

50%

女性管理職比率

多様性確保

30%

7.5%

障がい者雇用率

多様性確保

2.7%

0.8%

 

    (注)集計対象となる会社の範囲については、以下のとおりとなります。

   A・・・当社

   B・・・当社及び連結対象子会社。但し、障がい者雇用率は、従業員数を踏まえ当社のみを対象とする

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上のリスク要因となり、かつ投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主な事項は、次のとおりであります。

いずれも当社の判断により積極的に開示するものであり、一部リスク情報に該当しない、または当社グループが必ずしもリスクとして認識していない事項も含まれております。

なお、将来に関する事項については、当連結会計年度末現在における当社独自の判断によるものであります。

 

(1) 経営成績の変動リスク

① 営業地域の限定について

当社グループは熊本県、福岡県、佐賀県、大分県、千葉県、神奈川県の一部地域において事業展開をしております。そのため当該地域の経済状況、金利動向、地価の動向、住宅需給の動向、雇用情勢等が、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 業績の季節的変動について

当社グループが行う戸建住宅事業は、年末及び当連結会計年度末に引渡しが集中する傾向にあります。

そのため当社では、12月、6月に業績が偏重する可能性があります。

当社の各四半期連結会計期間別の業績推移は、次のとおりであります。

 

項目

2023年6月期

第1四半期

(2022年

7月~9月)

2023年6月期

第2四半期

(2022年

10月~12月)

2023年6月期

第3四半期

(2023年

1月~3月)

2023年6月期

第4四半期

(2023年

4月~6月)

通期計

金額

(千円)

構成比

(%)

金額

(千円)

構成比

(%)

金額

(千円)

構成比

(%)

金額

(千円)

構成比

(%)

金額

(千円)

構成比

(%)

売上高

2,187,778

15.4

4,336,446

30.6

2,744,948

19.4

4,913,965

34.6

14,183,138

100.0

営業利益

△264,901

△88.5

349,280

116.7

△23,199

△7.8

238,064

79.6

299,244

100.0

 

 

③ 外注先の確保について

当社グループは、住宅の建築工事を外部業者に発注しております。外注先は、その経営状態、技術力、評判及び反社会的勢力該当の有無などを調査して選定しております。今後、営業地域の拡大や受注件数の増加により、外注先を適時に確保できなかった場合、または外注先の倒産等に伴う代替業者との調整による工事遅延等が発生した場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 原材料・資材価格の高騰について

当社グループは高額になりがちな注文住宅を、お客様にとって魅力ある価格で提供するため、原材料・資材の仕入先を複数確保し、仕入価格の抑制に努めております。しかしながら、世界的な木材需要の高まりを受けた木材価格の高騰(ウッドショック)をはじめとした原材料・資材の需要増加、または価格の高騰に伴い、それらの仕入価格が上昇した場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 労働災害について

当社グループは建築工事現場では、労働災害の防止や労働者の安全と健康管理のため、労働安全衛生法等に則り安全衛生体制の整備、強化を推進しております。具体的には、社内に安全衛生委員会を設置し、日常的な安全教育等の啓発活動を実施するほか、建築部工事管理課による安全パトロールの実施等、事故を未然に防止するための安全管理を徹底しております。しかしながら、何らかの事由により重大な労働災害が発生した場合、当社グループの労働安全衛生管理体制に対しての信用が損なわれ、受注活動等に制約を受けるなど、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 在庫について

当社グループは、開発用地の仕入れ、物件の早期販売に取り組んでおります。しかしながら、急激な景気の悪化、金利の上昇、不動産関連税制の改廃の影響により、販売が計画どおりに進まなかった場合には、完成在庫が滞留し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 平成20年9月26日)の適用により、時価が取得原価を下回った販売用不動産、仕掛販売用不動産の評価損が計上された場合、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 開発用地の仕入れについて

当社グループは、主に熊本県及び神奈川県で用地を取得しております。同地域で競業他社との用地取得競争が激化した場合、同地域において優良な用地を計画どおりに取得できなかった場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 営業に関するリスク

① 自然災害、感染症等について

当社グループが行う戸建住宅事業は、火災・地震・台風等大規模な自然災害の影響を受けやすい事業といえます。災害の状況によっては、建物の点検や応急措置などの初動活動や被災した建築現場の修復に加え、支援活動等により多額の臨時費用の発生や建築現場の資材・部材等の確保が困難になる可能性があります。このため万一に備えて各種保険への加入や耐震性能の高い住宅仕様の研究・開発に努めておりますが、予測を超えた事態が生じた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症等の感染症、伝染病の流行等による不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について

住宅業界は、事業を行うための許認可など新規参入に係る障壁はあるものの、大手ハウスメーカーから個人事業主に至るまで大小さまざまな競合他社が多数存在しており、競合は一段と激化する傾向にあります。当社グループでは、徹底した管理に基づくコスト削減による原資をもとに品質改善を行うとともに、お客様のニーズに沿った商品開発を積極的に行うなど競合対策を講じておりますが、競合他社の動向によっては、事業計画の遂行に問題が生じ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 新商品の展開について

当社グループは、2020年6月より、990万円から1,490万円(本体価格)のショッピングモール向けブランド「sketch(スケッチ)」の販売を開始しました。今後3年間で全国のショッピングモールへ3店舗から5店舗出店を目指してまいりますが、計画通りに進まない場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 法務に関するリスク

① 法的規制について

当社グループが行う戸建住宅事業は、建築基準法をはじめ、建設業法、宅地建物取引業法、都市計画法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、建築士法、労働安全衛生法、消費者契約法、景品表示法など多くの法律、法令や自治体の定める条例等による法規制を受けております。当社では、法的規制の遵守を徹底しており、現時点において当該許認可等が取消しとなる事由は発生しておりませんが、将来において業者規制の強化や費用負担を招きかねない法令等の大幅改正や、何らかの理由により免許、登録、許可が取り消し等になった場合には、当社の事業活動が大幅に制約されることとなり、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(株式会社Lib Work)

法令等

免許・許可等

有効期限

取消条項

建設業法

特定建設業の許可

熊本県知事許可(特-4)

第4867号

2022年9月10日から

2027年9月9日まで

建設業法第29条

建築士法

一級建築士事務所登録

熊本県知事登録第3743号

2023年5月10日から

2028年5月9日まで

建築士法第26条

宅地建物取引業法

宅地建物取引業者免許

国土交通大臣(1)第9787号

2020年9月16日から

2025年9月15日まで

宅地建物取引業法第66条

 

 

(タクエーホーム株式会社)

法令等

免許・許可等

有効期限

取消条項

建設業法

神奈川県知事許可(般-04)

第080768号

2023年3月28日から

2028年3月27日まで

建設業法第29条

建築士法

一級建築士事務所登録

神奈川県知事登録第18491号

2022年10月14日から

2027年10月13日まで

建築士法第26条

宅地建物取引業法

宅地建物取引業者免許

神奈川県知事(2)第029000号

2019年11月26日から

2024年11月25日まで

宅地建物取引業法第66条

 

 

② 品質の保証について

当社グループが行う戸建住宅事業は、住宅の品質確保の促進等に関する法律により新築住宅の構造上の主要な部分及び雨水の浸水を防止する部分は10年の瑕疵担保責任を負うことを義務づけられています。

当社グループは、同法に基づいて2008年10月より、株式会社日本住宅保証検査機構の住宅瑕疵担保責任保険「JIOわが家の保険」に、タクエーホーム株式会社は、2014年11月17日より、株式会社ハウスジーメンの住宅瑕疵担保責任保険に加入しております。当該保険の加入に当たっては、同機構が定める技術的基準に適合していることが要件であり、同社が指定する第三者機関による現場検査を受け、適合証明(性能評価)を受ける必要があります。このため当社グループは、設計、施工、監理の充実をはかり、品質に万全を期すとともに、引渡後のアフターサービスに関しても誠実な対応を心がけております。しかし、当社グループの住宅の品質に重大な瑕疵や不備が認められた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 個人情報の保護に関するリスク

当社グループは、ネットの会員登録も含む住宅見学会来場者リストや住宅購入顧客等の個人情報を保有しております。これらの情報管理については、「個人情報の保護に関する法律」に基づき社内規程の整備、管理体制の構築、外部からの侵入防止対策の実施等を講じるとともに、従業員等に対し個人情報保護に係る啓発活動を実施し、その漏洩や不正使用の未然防止に努めております。しかしながら、人為的なミスや何らかの不正な方法等により当社グループが保有する個人情報が漏洩した場合には、当社グループの信用力の低下や損害賠償の請求等によって業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 訴訟等の可能性について

当社グループには、現段階において業績に重大な影響を及ぼす可能性のある訴訟の事実や顧客との大きなトラブルはありません。しかしながら、当社グループが請け負う住宅、不動産において、瑕疵等の発生、または工事期間中に近隣からクレーム等が発生した場合、これらに起因する訴訟その他の請求が発生する可能性があります。当社グループは、施工に関して品質管理の徹底と近隣への配慮に努めておりますが、訴訟等が発生した場合には、これに対応するために多額の費用が発生するとともに、当社グループの信用を大きく毀損する恐れもあり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 事業体制に関するリスク
① 特定人物への依存について

当社グループの代表取締役社長である瀬口力は、最高経営責任者として経営方針や戦略の決定、事業推進において中心的役割を果たしております。同氏に過度に依存しない経営体制の構築のため、職務権限の委譲、会議体の整備や人員の採用等により社内組織の強化に努めておりますが、同氏が何らかの理由により当社グループの経営に携わることが困難になった場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材の確保及び育成について

当社グループが行う戸建住宅事業には、広範囲の専門的知識や資格を有した人材が不可欠であります。したがって事業拡大を図るうえで、優秀な人材を適切な時期に確保するとともに、その人材の育成に努める必要がありますが、これらが不調に終わった場合には当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ インターネットによる集客について

当社グループは、戸建住宅事業において効率的な集客を行うことを事業戦略としております。具体的には、常設住宅展示場のみに依存せず、独自のWEB戦略として、土地情報ポータルサイト「e土地net」、平屋サイト「くまもと平屋ナビ」、地盤診断サイト「地盤チェックナビ」等の各専門分野におけるカテゴリーサイトを運営しております。また、コーポレートサイトにおきましては、インターネット展示場を設けており、お客様が完成後の住宅イメージを描きやすい環境を提供しております。すなわち、各WEBサイト並びにそれらを支えるインターネット通信ネットワークへの依存度が事業遂行上高いものと考えております。

通信障害、コンピュータウィルス感染、電力供給の停止、外部からの不正アクセス等、予測が困難な障害発生によりインターネットが利用できなくなった場合には、当社グループが運営する各WEBサイト運営が一時的に停止し、その間において集客力が大きく低下します。予測可能な原因に対しては、専任の担当者を配置し、万全の社内体制を確保しておりますが、万一これらの障害が発生した場合、常設住宅展示場並びに営業店における営業活動により集客を補完するものの、当該各WEBサイトが復旧するまでにおいて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは現在、WEBシステム開発・管理・運用の一部を外部業者に委託しております。万一、これらの委託先との間にトラブル等が発生した場合にも、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ のれんの減損処理について

当社グループは、2020年5月11日開催の取締役会における決議に基づき、2020年7月1日付でタクエーホーム株式会社の全株式を取得し、子会社といたしました。それに伴い、企業買収に伴い発生したのれんを連結貸借対照表に計上しております。当該のれんについては、将来の収益力を適正に反映しているものと判断していますが、事業の展開等が計画通りに進まない場合、会計基準に基づいたのれんの減損処理を行う必要が生じ、当社グループ事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されたことなどにより、ウィズコロナに向けた社会経済活動の正常化が進み、緩やかな持ち直しの動きがみられました。その一方、長期化するロシアのウクライナ侵攻やインフレ・エネルギー価格の高騰、金利上昇リスクなどが消費行動にも影響を及ぼしており、経済の先行きは不透明な状況で推移しました。住宅業界におきましては、ウッドショックをはじめとした住宅資材の不足と原材料価格の高騰から、弱含んでおります。国土交通省発表の2022年7月から2023年6月までの新設着工数(全国の持家)は240,312戸(前年比13%減)となりました。

このような環境の中、当社グループは「中期経営計画NEXTSTAGE2023」の最終年度として掲げたKPI達成に向け、事業推進いたしました。デジタルマーケティング集客は前年比133%(3か年平均151%成長)と好調であります。YouTubeチャンネル「LibWork ch」は登録者数6万人を超え、総再生回数は2,600万回を突破しました。また、オウンドメディア「リブタイムズ」はYahoo!JAPANタイムラインとの連携が開始され、急速なセッション数の増加に繋がりました。加えて、エリア拡大を進めました。大分県下最大級のショッピングモール内へモデルハウスを出店したほか、千葉県下最大級の総合住宅展示場にモデルハウスを出店し、多数の集客を得ました。前述した2棟のモデルハウスはniko and ... とコラボレーションしたモデルハウスであり、このコラボ戦略は顧客層の拡大と新しい集客導線の確立にも繋がりました。なお、エリア拡大は目標としていた35拠点にはわずかに届かなかったものの、34拠点にまで拡大しました。異業種コラボレーションについては、新たに千趣会および再春館製薬所との共同商品開発を進めております。その他、サブスクリプションサービスである「マイホームロボ」にはChatGPTを新機能に加え、サービスレベルを上げたほか、住宅業界初のIPライセンス事業を開始し、「戸建プラットフォーマー」へと加速を開始しました。

一方で、エネルギー価格の高騰をはじめとした物価上昇等による消費マインドの低下を背景に、受注数は足踏み状況で推移しました。また、インフレによる製造原価高騰により、粗利率は25.8%に留まりました。事業成長のための積極的な開発投資、エリア拡大のための設備投資や人材採用等により、販売費及び一般管理費は膨らんでいることから、営業利益への影響がありました。

 

この結果、当連結会計年度におきましては、売上高は14,183,138千円(前年同期比3.1%増)、営業利益は299,244千円(前年同期比55.1%減)、経常利益は314,094千円(前年同期比55.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は173,540千円(前年同期比61.0%減)となりました。

なお、当社グループは戸建住宅事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

当連結会計年度末における財政状態は、次のとおりであります。

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,234,646千円増加し、8,855,228千円となりました。

流動資産については、前連結会計年度末に比べ1,000,996千円増加し、7,445,709千円となり、主な内訳は、未成工事支出金52,479千円の増加、販売用不動産744,066千円の増加、仕掛販売用不動産1,100,279千円の増加があった一方で、現金及び預金が1,000,584千円減少したことであります。

また、固定資産については、展示場新設等により前連結会計年度末に比べ233,650千円増加し、1,409,519千円となりました。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,319,950千円増加し、5,540,029千円となりました。

流動負債については、前連結会計年度末に比べ1,443,467千円増加し、4,856,752千円となり、主な内訳は、短期借入金の増加1,388,030千円、未成工事受入金の増加75,017千円等によるものであります。

また、固定負債については、前連結会計年度末に比べ123,517千円減少683,276千円となりました。主な内訳は、長期借入金の減少142,500千円であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は前連結会計年度末に比べ85,304千円減少し、3,315,198千円となりました。主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加173,540千円、剰余金の配当による利益剰余金の減少141,203千円、自己株式の取得117,801千円の計上等によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して990,584千円減少し、1,303,274千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は1,559,862千円(前年同期は138,657千円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益314,094千円の計上、仕入債務の増加5,483千円、未成工事受入金の増加75,017千円があった一方で、棚卸資産の増加1,907,701千円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は334,168千円(前年同期は281,716千円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出316,583千円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は903,447千円(前年同期は887,959千円の使用)となりました。これは短期借入れによる収入3,100,800千円、短期借入金の返済による支出1,712,770千円、長期借入れによる収入200,000千円、長期借入金の返済による支出321,138千円、自己株式の取得による支出117,640千円、配当金の支払額141,136千円等があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループは、注文住宅及び建売住宅の企画、設計、販売、施工、監理を主な事業内容とする戸建住宅事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に代えて事業部門別に記載しております。

イ 生産実績

当社が営む事業では生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。

 

ロ 受注実績

当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。

 

事業部門別の名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

建築請負事業

9,122,319

94.1

6,098,575

97.7

不動産販売事業

4,088,230

86.5

576,528

50.6

合計

13,210,550

91.6

6,675,104

90.5

 

(注) 金額は販売価格によっております。

 

ハ 販売実績

当連結会計年度の販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。

 

事業部門別の名称

連結会計年度

(自  2022年7月1日

至  2023年6月30日)

前年同期比(%)

建築請負事業(千円)

9,164,988

107.7

不動産販売事業(千円)

4,650,024

95.2

その他(千円)

368,126

100.5

合計(千円)

14,183,138

103.1

 

(注) 主たる販売先は不特定多数の一般消費者であり、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ 経営成績等

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。

(売上高)

当連結会計年度においては、物価上昇等により購買意欲が低下している市況の中、受注数及び販売棟数は前連結会計年度から足踏み状況で推移した一方で、新築販売単価の上昇により、売上高は、14,183,138千円となりました。

 

(営業利益)

当連結会計年度においては、インフレによる資材価格高騰の影響を受け、利益を圧迫し新築注文住宅の粗利率は25.8%に留まりました。また、前連結会計年度に引き続きエリア拡大のため設備投資や人材投資を積極的に実施したことに伴い、人件費及び採用費、減価償却費、ネット広告費などが生じた結果、売上原価は、10,930,146千円販売費及び一般管理費は2,953,748千円となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は299,244千円となりました。

 

(経常利益)

営業外収益は、受取手数料及び助成金収入などにより52,805千円となりました。また営業外費用は、支払利息及び貸倒引当金繰入額の計上などにより37,954千円となりました。この結果、当連結会計年度の経常利益は314,094千円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、173,540千円となりました。

 

ロ 財政状態

財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

ハ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループにおける資金需要の主なものは、販売用不動産の取得及び一般管理費などの運転資金、並びに常設展示場や賃貸用不動産建設などの設備投資資金、その他新規事業投資資金があります。

当社グループは現在、これらの資金需要につきましては主に内部資金により充当しておりますが、資金の適正保有水準を維持するため、内部資金に加えて金融機関からの有利子負債による調達も一部行っております。当連結会計年度におきましては、33.0億円を借入金により調達した一方で、借入金20.3億円の返済、社債1.0億円の償還を行いました。

また、当社グループは必要資金の安定的かつ機動的な調達を行うため取引金融機関と24.6億円の当座貸越契約を締結しております。

 

ニ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、住宅性能やデザイン性の向上による高品質高付加価値の住宅提供を行い収益の安定的な成長を目指すとともに、その基盤として一定の財務安全性の維持に努めてまいります。そのため、「自己資本当期純利益率」の向上を目標とし、派生する指標として、収益性の観点から「売上高経常利益率」、「棚卸資産回転期間」、財務安全性の観点から「自己資本比率」を重要な経営指標としております。当連結会計年度における「自己資本当期純利益率」は5.2%、「売上高経常利益率」は2.2%、「棚卸資産回転期間」は157日、「自己資本比率」は37.4%となりました。

 

ホ 経営戦略の現状と見通し

今後の見通しにつきましては、ウィズコロナ時代に突入し、各種の規制緩和により需要拡大が継続すると考えられ、企業収益を取り巻く環境は経済活動正常化へと向かい、景気は緩やかな回復すると見込まれます。その一方で、世界的なインフレの高止まりや金融引き締めによる内需の下振れに加えて、ウクライナ情勢の長期化による資源価格やエネルギー価格の高騰など、景気の先行きについては不透明な状況が続くことが予想されます。また、当社を取り巻く環境としても、建築資材や人件費は依然高騰を続けており、厳しい状況が続くと考えられます。

このような環境の中、当社グループは新たに「中期経営計画NEXTSTAGE 2026」を掲げました。以下の3つを全社方針として、業績拡大を目指してまいります。

 1.戸建プラットフォーマーへ加速化

 2.戸建住宅事業におけるエリア・顧客層・販売チャネル拡大と収益率の改善・拡大

 3.「家」を再定義する-未来の家をつくる(3Dプリンターハウス)

当社グループは、プランの初期提案をAIがわずか5分でおこなう営業支援のサブスクリプションサービス「マイホームロボ」に加え、住宅業界では初のIPライセンス事業を開始するほか、さまざまな住宅ソリューションサービスを全国の工務店・ビルダーに提供し、戸建プラットフォーマーへ加速化しております。戸建住宅事業においては、エリア拡大は重点エリアに絞ることで、効率的かつシナジー効果を高めるほか、異業種コラボレーションにより顧客層の拡大を目指してまいります。加えて、通販会社との共同商品開発およびその通販チャネルを活用したD2C販売を開始してまいります。また当社は、熊本県を中心に戸建住宅メーカー等への木材供給等を主力事業とする製材加工販売会社である幸の国木材工業株式会社を子会社化しました。同社から木材の安定供給を受けられるほか、グループ全体の原価コスト削減へ直結でき、さらに受託の独自工法の開発への取り組み等、当社グループの経営ビジョンの1つである住宅版SPAモデル・垂直統合モデルの確立に繋げてまいります。そのほか、「家」を再定義する3Dプリンターハウス事業については、当社のMISSIONである「サステナブル&テクノロジーで住まいにイノベーションを起こす」を体現すべく、今までにない未来の家を開発いたします。今後の3年間のうちに、モデルハウスの公開から一般販売および全国でのフランチャイズ展開を目指してまいります。

上記により、当社グループの連結業績予想は、売上高17,000百万円(前連結会計年度比19.9%増)、営業利益590百万円(同97.2%増)、経常利益600百万円(同91.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益370百万円(同113.2%増)を見込んでおります。

なお、当社は株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題の一つであると考えており、中長期的な事業展開に備えた内部留保の充実を図るとともに、安定的な配当の実施に努めていくことを基本方針としております。次期の1株当たり配当金は、普通配当1.6円を四半期毎に予定しており、年間配当は6.4円を予定しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、2023年5月18日開催の取締役会において、幸の国木材工業株式会社の全株式を取得し子会社化することを決議し、当該契約に基づき、2023年7月3日付で同社の全株式を取得いたしました。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。