当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績に関する説明
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス(以下「COVID-19」という。)感染症の5類への位置づけ変更や、行動制限の解除や渡航制限が撤廃された事に伴うインバウンド需要の回復により、経済活動の正常化が進みましたが、世界的な資源価格の高止まりに加え、国内における人件費増加や急激な円安の進行、ウクライナ情勢の長期化、世界的な金融引き締め等による景気の下振れリスクもあり、依然として国内外における経済の先行きは不透明な状態が続いています。
当社グループを取り巻く古物売買業界の事業環境は社会全体にあって、持続可能な世界を目指すSDGs推進によるリユース意識の高まりや円安による物価高により需要の拡大が見込まれております。また、昨年10月11日より渡航制限が撤廃された事に伴うインバウンド復活もあり、訪日外国人の拡大や国内コロナ施策解除により、買取・販売の増加が始まりつつあります。
当社グループでは、買取・販売の増加が見込まれることに伴い、今後の新たな収益機会に備えた体制を整え、攻めの経営に転じて参ります。今般、新たな収益機会に備えるべく、商品在庫等の仕入拡大を目的として取引金融機関との間で本年6月13日付で借入極度額500百万円の当座貸越契約を締結しました。また、商品在庫を更に確保するため、引き続きリファイナンスによる資金調達を検討していきます。加えて、ブランド品の買取に際して、株式会社大黒屋(以下「大黒屋」という。)を中心とした永年に亘る顧客基盤、KYC判断能力、商品中心とした真贋鑑定及び査定力、そして在庫回転期間の一層の短縮化を強化し、更なる飛躍をしていきたいと考えます。
このような状況下、当社グループの当第1四半期連結累計期間の売上高及び利益は、前第1四半期連結累計期間と比較し在庫水準が低いことから売上は減収するも、大阪の店舗を中心に粗利率の高い商品の在庫回転期間が縮小したことで売上総利益率は大幅に改善となり、減収増益決算となりました。
(売上高)
当社グループの当第1四半期連結累計期間の売上高は、2,864百万円(前期比845百万円減、同22.8%減)となりました。その主な要因は以下の通りであります。
まず、当社グループの根幹会社である大黒屋において、当第1四半期連結累計期間の売上高は2,800百万円(前期比849百万円減、同23.3%減)となりました。
この減少要因は、当初予想されていた中国当局によるツアー渡航制限の撤廃が今期に入っても行われずツアー訪日中国人のインバウンド需要がなかったことと、在庫水準(棚卸資産1,459百万円、前期比627百万円減)が大幅に減少していることによるものです。その内訳は、リアル店舗全体での売上高(リアル店舗による販売の事:以下「リアル」という。)が減少し、リアル1,392百万円(前期比267百万円減、同16.1%減)となり、本部商品売上高(古物業者市場等への販売のこと)についても、616百万円(前期比536百万円減、同46.5%減)となりました。
また、ネット店舗商品売上高(インターネットによる店舗販売の事:以下「ネット」という。)においては広告効率の改善などの継続的なEC販売の強化活動を展開したものの、在庫水準の低下により538百万円(前期比55百万円減、同9.3%減)となりました。
併営する質料収入においては、質屋事業が庶民金融として生活に定着していることから、順調に推移し質料(貸付金利息)は221百万円(前期比11百万円増、同5.5%増)となりました。なお、質草預りに伴う営業貸付金残高(2,131百万円)は前年同期比255百万円増加しており今後も質料アップが期待されます。
また、越境関連としましては、越境EC、ライブショッピング等の売上が112百万円(前年同期比191百万円減)と減少しています。なお、一昨年7月より開始したChrono24は65百万円と順調に推移しております。
(利 益)
当社グループの営業利益は43百万円(前年同期比41百万円の改善)となりましたが、その主な要因は以下の通りであります。
まず、大黒屋において売上総利益は860百万円(前年同期比16百万円減、同1.9%減)となりました。この要因は店舗商品売上総利益(リアル)が340百万円(前年同期比18百万円の増加、同5.7%増)、店舗商品売上総利益(ネット)は135百万円(前年同期比20百万円の増加、同18.0%増)となり、本部商品売上高の売上総利益は154百万円(前年同期比68百万円の減少、同30.7%減)となりました。大黒屋全体の売上総利益率は30.7%(前期比6.7%の改善)と大幅に改善しており、その要因は、入国者数上限撤廃によるインバウンド回復等に伴い、買取価格及び販売価格を見直し、在庫回転期間が2.23ヶ月(前年同期2.39ヶ月)に短縮したためであり、特に粗利率の高いバッグの回転期間が短縮しています。
また質料(貸付金利息)は221百万円(前年同期比11百万円の増加、同5.5%増)となりました。なお、質料収入はそのすべてが売上総利益となります。
大黒屋の販売費及び一般管理費につきましては、ポスト・コロナを見据え費用対効果の観点から広告宣伝効率を改善しながら広告投資を積極的に行った結果、705百万円(前年同期比45百万円減、同6.1%減)と改善しました。なお、大黒屋では、のれんを計上しているため、第1四半期の償却費135百万円を販売費及び一般管理費に含めておりますが、連結決算においては、のれん償却費を消去するため、当該金額を控除した金額で記載しております。
以上の結果、大黒屋の営業利益は154百万円(前年同期比29百万円の増加)となりました。
一方連結決算では上記の通り大黒屋ののれん償却費が相殺される事により営業利益は43百万円(前年同期比41百万円の改善)となりました。当社グループの経常利益は、18百万円(前年同期比54百万円の改善)となりました。これは上記営業利益の改善と支払利息/手数料の改善によるものです。
以上の結果、当社グループの税金等調整前四半期純利益につきましては7百万円(前期比48百万円の改善)となりました。
また、親会社株主に帰属する四半期純損失は83百万円(前年同期比9百万円の改善)となりました。
なお、大黒屋において企業評価指標の一つであるEBITDAは、売上総利益率の改善とコスト削減により165百万円(前年同期比27百万円の増加)となりました。
以上の通り当第1四半期連結累計期間において売上は減収するも利益は大幅に改善となりました。
セグメント別の業績の状況につきましては以下の通りであります。
イ.質屋、古物売買業
当第1四半期連結累計期間における質屋、古物売買業の売上高及び営業利益は、それぞれ2,801百万円(前年同期比846百万円の減少、同23.2%減)、144百万円(前年同期比33百万円の改善、同30.4%増)となりました。
その主な要因につきましては、業績の概況にて記載しましたように、大黒屋における在庫水準の低下により売上高は減少するものの、粗利率の高い商品の在庫回転率の上昇、コスト削減により営業利益は増加しています。
ロ.電機事業
当第1四半期連結累計期間における電機事業の売上高及び営業利益は、それぞれ63百万円(前年同期比0百万円の増加、同0.3%増)、11百万円(前年同期比1百万円の増加、同20.9%増)となりました。
電機事業においては、今もなお電機業界全体において設備投資の抑制が続いている事もあり、最終ユーザーによる設備の新設工事や点検工事などは年々減少しているのが実情であります。また、資材(原材料)価格の上昇や後継者不足による小規模下請け業者の廃業など、より一層厳しい環境が続いており、当社の電機事業にも大きな影響を与えています。
このような状況の下、当社電機事業部門におきましては、適正な利益を確保するため常に販売価格の見直しを行うとともに、製造原価の上昇を抑えるべく仕入先の転換(新規仕入先の拡充等)、現行取引ユーザーとの協力体制の拡充等、さまざまな手法をとって利益率の確保を目指し改善を行っております。
(2)財政状態に関する説明
当第1四半期連結会計期間における、資産、負債及び純資産の状況は以下の通りであります。
(資 産)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は、5,534百万円となり、前連結会計年度末に比べ163百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金が281百万円増加した一方、商品及び製品が77百万円減少、その他の流動資産が20百万円減少した事によるものであります。固定資産は、1,298百万円となり、前連結会計年度末に比べ35百万円の減少となりました。
この結果、総資産は6,833百万円となり、前連結会計年度末に比べ128百万円増加いたしました。
(負 債)
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は5,818百万円となり、前連結会計年度末に比べ243百万円の増加となりました。固定負債は88百万円となり前連結会計年度末に比べ6百万円の減少となりました。これは主に退職給付に係る負債が8百万円減少した事によるものであります。
この結果、負債合計は、5,907百万円となり、前連結会計年度末に比べ236百万円増加いたしました。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は、925百万円となり、前連結会計年度末に比べ108百万円の減少となりました。
この結果、自己資本比率は4.2%(前連結会計年度末は6.0%)となりました。
(3)連結業績予想などの将来の予測情報に関する説明
第2四半期連結累計期間および通期の業績につきましては、令和5年5月12日に公表しました業績予想を変更しておりません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループの基本方針は粗利益率及び在庫回転率の最大化を目的とし、市場環境に応じて適正在庫を管理し、適正価格で販売する事により限界収益の極大化を図ることにあります。その中にあって、中古ブランド品の流通は越境ECを始め全世界的規模で拡大し、当社グループが展望していた通り、中古ブランド品事業の物品はその物流がグローバルに展開しております。
かかる状況下、当社グループのビジネスモデルはCtoBの商品買取を基本とし、更にBtoCの商品販売を展開する事により、一般顧客より高く買取り、その都度市場状況を判断し、在庫リスクを極小化しつつ、在庫回転率を最大化する事で商品リスクを回避して顧客に商品を提供してきております。更に不況期に強い安定的な収入が期待できる質屋業を併営しており、併設している質料収入及び上記適正在庫管理、収益管理に努めております。
一方、当第1四半期会計期間に転じますと、COVID-19の5類への位置づけ変更や、行動制限の解除や渡航制限が撤廃された事に伴うインバウンド需要の回復により、経済活動の正常化が進みましたが、世界的な資源価格の高止まりに加え、国内における人件費増加や急激な円安の進行、ウクライナ情勢の長期化、世界的な金融引き締め等による景気の下振れリスクもあり、依然として国内外における経済の先行きは不透明な状態が続いています。当社グループを取り巻く古物売買業界の事業環境は社会全体にあって、持続可能な世界を目指すSDGs推進によるリユース意識の高まりや円安による物価高により需要の拡大が見込まれます。また、昨年10月11日より渡航制限が撤廃された事に伴うインバウンド復活もあり、更なる訪日外国人の拡大や国内コロナ施策解除に基づく、買取・販売の増加がまもなく起きる事も期待される事から今後の新たな収益機会に備えた体制を整え、攻めの経営に転じて参ります。
このような環境の中、今後の当社グループの連結収益の改善並びに経営基盤の強化を図るために対処すべき課題とその対処方針は以下のとおりであります。
① オンライン買取販売事業の強化
当社グループでは新たな成長戦略の一環として、オンライン事業拡大方針の下、EC事業を強化して参りました。社会全体のSDGs推進によるリユースへの意識の高まりや円安による物価高により需要の拡大が見込まれる中で、当社がグループをあげて継続的且つ積極的に取り組んでおります、(a)顧客にわかりやすいECサイトの開発、(b)EC掲載商品点数の向上、(c)EC広告の効率改善活動を一層進めて参ります。当社グループでは、ECにおける買取販売事業を更に強化するため、システムにより情報を一元管理する事により店舗及びEC上の顧客を一元管理する事により顧客ニーズにあった商品やサービスの提供及び業務効率化のシステムを再構築するため令和2年11月にECサイトを一新しました。今後は同社のシステムをベースとした、グローバル化の一環として英語及び中国語による買取販売を更に強化して参ります。
また、買取販売事業の業務効率化及び顧客利便性向上のため、AIを駆使したデータベース分析に基づき、オンラインによる(a)グローバルでの中古ブランド品価格の適正化、(b)商品区分の整理の自動化による消費者の当社サイトへの商品掲載の容易化、(c)真贋鑑定の強化を推し進めて参ります。
② 質屋事業の強化
令和2年4月に発せられた第1回目の緊急事態宣言時に庶民金融である質屋業が個人の逼迫した資金ニーズを賄うものとして改めて再認識されました。かかる状況下大黒屋では創業以来75年で培った「質の大黒屋」としてのノウハウを活用して、顧客ニーズに応えるべく値付・真贋のできる店舗スタッフを育成・強化するとともに、来店出来ない顧客には訪問質預りで対応する等顧客の要望に応えて参りました。質屋業界最大手として今後も更に一層庶民金融の一翼を担って参ります。
③ 相場変動への適時対応、適正価格での在庫保有
当社グループを取り巻く古物売買業界の事業環境はCOVID-19下のリベンジ消費、物価高や急激な円安に伴い高級ブランド品価格がウクライナ危機前まで上昇しましたが、その後米国の金利引き上げもあり、IT関連銘柄の下落、金融市場の混乱、景気動向の不透明感から、円安進行による円建での価格上昇にも関わらず、高級ブランド品の価格が大幅に下落しており、古物市場での流動性が落ち、価格相場の混乱を招いています。一方で、昨年10月11日より渡航制限が撤廃された事に伴うインバウンド復活が見込まれ、更なる渡航者の拡大や国内コロナ施策の5類への移行による買取・販売の増加がまもなく起きる事も期待されます。かかる状況下、大黒屋では、CtoBの商品買取を基本とし、更にBtoCの商品販売を展開する際に、相場変動への適時対応やシステム内に構築された価格データを駆使して一般顧客より高く買取り、他の顧客に安く販売するというビジネスモデルを展開しております。特にバックにおいては在庫回転期間が30日以内で推移しています。かかる状況を踏まえ、引き続き、相場の状況を注視しながら余剰在庫を削減し、適正価格による在庫の確保を進めて参ります。
④ 電機事業の事業構造改革の実施
電機事業については、生産体制の更なる効率化や製品の統廃合や在庫管理の強化により製造原価の逓減を進め、結果として利益率が向上して参りました。今後も引き続きお取引先に理解を得ながら不採算製品の削減や在庫圧縮を徹底するとともに製造間接費の更なる削減を実施して参ります。
⑤ キャッシュ・フロー重視の経営と経営基盤の拡充
質屋、古物売買業の強化、電機事業の抜本的な事業構造改革及び本社経費の削減等により、営業利益拡大を図るとともに事業リスクを逓減させ投資の回収を図り、キャッシュ・フローを重視した経営を進めて参ります。
⑥ 異業種との業務提携
大黒屋が1947年の創業以来76年で培った正確な真贋鑑定能力、過去の知見に起因するデータの蓄積及びそのDX化の結果として、当社グループが構築した真贋鑑定システム、買取システム、Dynamic Pricing システム及びキュレーションシステム等の展開を更に推し進め当社グループと異業種との業務提携等を含め国内外のプラットフォーマーやブランド品関連企業へ提供していきます。その第1弾として大黒屋では昨年4月20日に株式会社JTBと業務提携を開始し、更にその第2弾を本年3月13日より5月31日迄展開して参りました。
また、店舗施策においてはパルコ吉祥寺に本年3月に買取専門店を出店しパルコ他異業種と新たな店舗展開を取り組む事で持続可能な地域・社会づくりに貢献するビジョンの実現に向け経営基盤の強化を図って参ります。
(当座貸越契約の締結)
1.経緯
当社連結子会社の株式会社大黒屋は、アフターコロナ下のインバウンド需要再来に向けて、来るべく商品在庫等の仕入拡大に際しての短期的な資金調達につきまして、りそな銀行との間で極度額500百万円の当座貸越契約を締結いたしました。
2.本当座貸越の概要
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借入先 |
りそな銀行 |
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貸越極度額 |
500百万円 |
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利率 |
日本円TIBOR+5.00% |
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契約締結日 |
令和5年6月13日 |
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当座貸越利用開始日 |
令和5年6月15日 |
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契約期限 |
令和5年10月23日 |
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資金使途 |
運転資金 |
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担保 |
無担保 |
(注)契約期限が令和5年10月23日となっておりますのは、令和2年10月23日に借替えました総額5,500百万円(令和5年3月期残4,700百万円)の再借替え期日に合わせるものでございます。
3.本当座貸越の使途
現在、株式会社大黒屋においては商品在庫がコロナ前の在庫水準(平成31年3月期:3,488百万円)と比べ令和5年3月期は1,541百万円と著しく落ち込んでおり、需要拡大に向けてこの回復が急務となっておりました。今般、増加運転資金として当座貸越枠500百万円を商品仕入れに際し短期的かつ流動的に活用する事で業容拡大に備えてまいります。