第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第2四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

 (1)経営成績に関する説明

  当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス(以下「COVID-19」という。)感染症に関す

 る行動制限の解除以降、経済活動は持ち直しし始めましたが、感染再拡大懸念やウクライナ情勢及び急激な円安に起因

 する資源価格の高騰等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 当社グループを取り巻く古物売買業界の事業環境は、COVID-19下のリベンジ消費、物価高や急激な円安に伴い高級ブ

ランド品価格がウクライナ危機前まで上昇しましたが、その後米国の金利引き上げもあり、IT関連銘柄の下落、金融市

場の混乱、景気動向の不透明感から、円安進行による円建での価格上昇により、堅調に推移し始め、本年10月11日より

渡航制限が撤廃された事に伴うインバウンド復活により、売上高はコロナ前の水準に向かって戻りつつあります。

このような状況下、当社グループの当第2四半期連結累計期間の売上高及び利益は上記不安定な相場環境に対応する

為、高額品の在庫の圧縮に努めた結果及びCOVID-19の感染拡大もあり、減収減益決算となりました。

 

(売上高)

  当社グループの当第2四半期連結累計期間の売上高は、6,687百万円(前年同期比1,577百万円減、同19.1%減)となり

 ました。その主な要因は以下の通りであります。

  まず、当社グループの根幹会社である株式会社大黒屋(以下「大黒屋」という。)において、当第2四半期連結累計

 期間の売上高は6,547百万円(前年同期比1,567百万円減、同19.3%減)となりました。

  この減少要因は、先に事業環境で記載した通り、大黒屋では高級品相場の混乱から被る潜在的コスト負担を緩和すべ

 く、一歩引いて効率的在庫管理を行い、更に一部店舗を買取専門店に特化し商品構成を変更した事によるものです。そ

 の結果、リアル店舗全体での売上高(リアル店舗のよる販売の事:以下「リアル」という。)が減少し、リアル2,882

 百万円(前年同期比2,263百万円減、同44.0%減)となりました。

  ネット店舗商品売上高(インターネットによる店舗販売の事:以下「ネット」という。)については広告効率の改善

 などの継続的なEC販売の強化活動に加え、外出自粛やリモートワークの影響による追い風を受け1,075百万円(前年同

 期比8百万円減、同0.7%減)となりました。また、本部商品売上高(古物業者市場等への販売のこと)については、コ

 ロナ禍の影響が緩和され市場が活況を呈した事もあり2,094百万円(前年同期比656百万円増、同45.7%増)となりまし

 た。

  併営する質料収入においては、コロナ禍の影響化大口が減り小口顧客が増えた事から質料(貸付金利息)は419百万

 円(前年同期比38百万円増、同10.1%増)となりました。なお、質草預りに伴う営業貸付金残高(2,040百万円)は前年同

 月比356百万円増加している事から第3四半期以降の質料アップが期待出来、更に質屋業はコロナ禍の影響下でも顧客の

 逼迫した金繰り要請に応える事が出来る事から今後も強化して参ります。

  また、中国関連としましては、越境EC、ライブショッピング等の売上が541百万円(前年同期比140百万円増)と順調

 に増加していますが、一方で同国におけるゼロコロナ政策が継続している事で、同国内における買取販売業の成長が鈍

 化しました。更に昨年7月より開始したChrono24も368百万円と順調に推移しております。

 

(利益)

  当社グループの営業利益は32百万円の営業損失(前年同期比7百万円の悪化)となりましたが、その主な要因は以下

 の通りであります。

  まず、大黒屋において売上総利益は1,667百万円(前年同期比91百万円減,同5.2%減)となりました。この要因は店舗

 商品売上総利益(リアル)が売上高の減少に伴い587百万円(前年同期比300百万円減、同33.9%減)となった一方、店

 舗商品売上総利益(ネット)は219百万円(前年同期比27百万円増,同14.6%増)となり、本部商品売上高の売上総利益

 は425百万円(前年同期比98百万円増,同30.1%増)となりました。また質料(貸付金利息)は419百万円(前年同期比38

 百万円の増加、同10.1%増)となりました。なお、質料収入はそのすべてが売上総利益となります。

  大黒屋の販売費及び一般管理費につきましては、ポスト・コロナを見据え費用対効果の観点から広告宣伝効率を改善

 しながら広告投資を積極的に行った結果、1,473百万円(前年同期比102百万円減,同6.5%減)と改善しました。なお、

 大黒屋では、のれんを計上しているため、第2四半期の償却費270百万円を販売費及び一般管理費に含めておりますが、

 連結決算においては、のれん償却費を消去するため、当該金額を控除した金額で記載しております。以上の結果、大黒

 屋の営業利益は193百万円(前年同期比11百万円の増加)となりました。

  一方連結累計では上記の通り大黒屋ののれん償却費が相殺される事により営業利益は32百万円の営業損失(前年同期

 比7百万円の悪化)となりました。

  当社グループの経常利益は、110百万円の経常損失(前年同期比4百万円の改善)となりました。これは受取手数料の

 増加や支払利息/手数料の改善はあったものの営業利益の減少を補いきれなかった事によるものです。

  以上の結果、当社グループの税金等調整前四半期純利益につきましては124百万円の損失(前年同期比12百万円の悪

 化)となりました。

 

  また、親会社株主に帰属する四半期期純利益は、208百万円の損失(前年同期比27百万円の悪化)となりました。

  なお、大黒屋において企業評価指標の一つであるEBITDAは223百万円(前年同期比38百万円の増加)となりました。

 

 以上の通り当第2四半期連結累計期間においては半期業績予想を下回る決算となりましたが、本年10月11日以降の渡

航制限の撤廃により大黒屋ではコロナ禍以前のインバウンド需要が再現しており、かかる動向を踏まえ下期において当

該業績を十分挽回できると思料しております。

 

セグメント別の業績の状況につきましては以下の通りであります。

イ.質屋、古物売買業

 当第2四半期連結累計期間における質屋、古物売買業の売上高及び営業利益は、それぞれ6,552百万円(前年同期比

1,561百万円の減少,同19.2%減)、161百万円の営業利益(前年同期比42百万円の増加、同35.9増)となりました。

その主な要因につきましては、業績の概況にて記載しましたように、大黒屋においてリアル店舗全体の売上高の落ち

込みによるものです。

 

ロ.電機事業

 当第2四半期連結累計期間における電機事業の売上高及び営業利益は、それぞれ135百万円(前年同期比16百万円の

減少,同10.6%減)、27百万円(前年同期比10百万円の減少,同26.9%減)となりました。

 電機事業においては、今もなお電機業界全体において設備投資の抑制が続いている事もあり、最終ユーザーによる

設備の新設工事や点検工事などは年々減少しているのが実情であります。また、資材(原材料)価格の上昇や後継者

不足による小規模下請け業者の廃業など、より一層厳しい環境が続いており、当社の電機事業にも大きな影響を与え

ています。

 

 このような状況の下、当社電機事業部門におきましては、適正な利益を確保するため常に販売価格の見直しを行う

とともに、製造原価の上昇を抑えるべく仕入先の転換(新規仕入先の拡充等)、現行取引ユーザーとの協力体制の拡

充等、さまざまな手法をとって利益率の確保を目指し改善を行っております。

 

 (2)財政状態に関する説明

 当第2四半期連結会計期間における、資産、負債及び純資産の状況は以下の通りであります。

(資産)

 当第2四半期連結会計期間末における流動資産は、5,510百万円となり、前連結会計年度末に比べ410百万円の減少

となりました。これは主に現金及び預金が253百万円減少、商品及び製品が308百万円減少、その他の流動資産が99百

万円減少した一方で営業貸付金が237百万円増加した事によるものであります。固定資産は、1,405百万円となり、前

連結会計年度末に比べ36百万円の減少となりました。

 この結果、総資産は6,916百万円となり、前連結会計年度末に比べ447百万円減少いたしました。

(負債)

 当第2四半期連結会計期間末における流動負債は4,717百万円となり、前連結会計年度末に比べ57百万円の減少とな

りました。固定負債は1,106百万円となり前連結会計年度末に比べ192百万円の減少となりました。これは主に長期借

入金が200百万円減少した事によるものであります。

 この結果、負債合計は、5,824百万円となり、前連結会計年度末に比べ249百万円減少いたしました。

(純資産)

 当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は、1,092百万円となり、前連結会計年度末に比べ197百万円の減

少となりました。

 この結果、自己資本比率は6.9%(前連結会計年度末は9.3%)となりました。

 

 (3)連結業績予想など将来の予測情報に関する説明

  当第2四半期連結累計期間の業績は計画を下回ったものの、本年10月11日以降の渡航制限の撤廃により大黒屋の店舗

 では台湾やタイ、ベトナム、フィリピン等東南アジア諸国の渡航者の入店が相次いでおりコロナ以前のインバウンド

 再来が始まっている事から下期において上期の差異を十分挽回可能と判断し、現時点においては、令和4年8月9日に公

 表しました通期連結業績予想に変更はございません。

 

 (4)キャッシュ・フローの状況

  当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比して

 253百万円減少し790百万円となりました。

  また、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

   営業活動によるキャッシュ・フローは、44百万円の支出(前年同四半期は123百万円の支出)となりました。

  これは主に、税金等調整前四半期純損失124百万円、その他の流動資産の減少102百万円が影響を与えた事によるもの

  です。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

   投資活動によるキャッシュ・フローは12百万円の支出(前年同四半期は11百万円の収入)となりました。これは、

  主に有形固定資産の取得による支出8百万円、無形固定資産の取得による支出3百万円の収入によるものです。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

   財務活動によるキャッシュ・フローは200百万円の支出(前年同四半期200百万円の支出)となりました。これは

  主に長期借入金の返済による支出200百万円によるものです。

 

 (5)事業上及び財務上の対処すべき課題

  当社グループの基本方針は粗利益率及び在庫回転率の最大化を目的とし、市場環境に応じて適正在庫を管理し、適正

 価格で販売する事により限界収益の極大化を図ることにあります。その中にあって、中古ブランド品の流通は越境ECを

 始め全世界的規模で拡大し、当社グループが展望していた通り、中古ブランド品事業の物品はその物流がグローバルに

 展開しております。

  かかる状況下、当社グループのビジネスモデルはCtoBの商品買取を基本とし、更にBtoCの商品販売を展開する事によ

 り、一般顧客より高く買取り、その都度市場状況を判断し、在庫リスクを極小化しつつ、在庫回転率を最大化する事で

 商品リスクを回避して顧客に商品を提供してきております。更に不況期に強い安定的な収入が期待できる質屋業を併営

 しており、コロナ下で厳しい小売業界にあって古物売買のみでは店舗の損益分岐点が低いため、併設している質料収入

 及び上記適正在庫管理、収益管理により、コロナ下における影響を最小限に留めております。

  一方、当第2四半期会計期間に転じますと、国内での急激な円安の進行が長期化する中、COVID-19拡大の影響が長期

 化し第7波による国内感染者数が急増する等、依然として厳しい状況が続いております。世界経済においては、ワクチ

 ン接種が進んでいる欧米諸国が牽引する形で各種経済政策が進められ一定の回復は見せつつも、ウクライナ情勢の緊迫

 化や中国における上海を中心に爆発的に広まったCOVID-19拡大によるロックダウン等の影響から景気動向の先行きは極

 めて不透明な状況で推移しております。

  このような環境の中、今後の当社グループの連結収益の改善並びに経営基盤の強化を図るために対処すべき課題とそ

 の対処方針は以下のとおりであります。

 

  ① オンライン買取販売事業の強化

   当社グループでは新たな成長戦略の一環として、オンライン事業拡大方針の下、EC事業を強化して参りました。コ

  ロナ禍にあって外出自粛やリモートワーク等の影響でEC利用の需要が拡大している中で、当社がグループをあげて継

  続的且つ積極的に取り組んでおります、(a)顧客にわかりやすいECサイトの開発、(b)EC掲載商品点数の向上、(c)EC

  広告の効率改善活動を一層進めて参ります。当社グループでは、ECにおける買取販売事業を更に強化するため、シス

  テムにより情報を一元管理する事により店舗及びEC上の顧客を一元管理する事により顧客ニーズにあった商品やサー

  ビスの提供及び業務効率化のシステムを再構築するため令和2年11月にECサイトを一新しました。今後は同社のシス

  テムをベースとした、グローバル化の一環として英語及び中国語による買取販売を更に強化して参ります。

   また、買取販売事業の業務効率化及び顧客利便性向上のため、AIを駆使したデータベース分析に基づき、オンラ

  インによる(a)グローバルでの中古ブランド品価格の適正化、(b)商品区分の整理の自動化による消費者の当社サイト

  への商品掲載の容易化、(c)真贋鑑定の強化を推し進めて参ります。

 

  ② 新たな事業の展開強化

   令和3年5月14日に公表しました大黒屋における新たな事業(a)オンラインオークション事業(b)ブランドバッグ・時

  計等のシェアリング事業の開始に向けては、コロナロスにより遅れてはいますが当社グループの多様な人材を再配置

  しシステム構築を図って参ります。

 

  ③ 質屋事業の強化

   令和2年4月に発せられた第1回目の緊急事態宣言時に庶民金融である質屋業が個人の逼迫した資金ニーズを賄うも

  のとして改めて再認識されました。かかる状況下大黒屋では創業以来75年で培った「質の大黒屋」としてのノウハウ

  を活用して、顧客ニーズに応えるべく値付・真贋のできる店舗スタッフを育成・強化するとともに、来店出来ない顧

  客には訪問質預りで対応する等顧客の要望に応えて参りました。質屋業界最大手として今後も更に一層庶民金融の一

  翼を担って参ります。

 

  ④ 中国事業の再強化

   当社グループは、現在アリババグループから戦略的パートナーとして認定されており同グループが運営するオンラ

  インプラットフォームTmallでの当社100%子会社上海黛庫を上海に設立した事でブランディング及びマーケティング

  戦略の一貫した活動を行うことが可能となり、越境EC、そして、積極的に同国での買取販売事業を強化していきま

  す。その一環として、上海黛庫では昨年12月下旬にアリババグループの盒馬鮮生内に買取の第1号店として大黒屋高

  青路店を開設しました。その後中国国内ではゼロコロナ政策で人流が止まる等の影響で鈍化しているものの同社では

  現地スタッフ等の在宅ワークにより各種イベント向けてのネット販売買取を再検討しており、更にネット売買と共に

  アフターコロナを見据え店舗網を再構築していく見込みです。

 

  ⑤ 相場変動への適時対応、適正価格での在庫保有

   当社グループを取り巻く古物売買業界の事業環境は、COVID-19下のリベンジ消費、物価高や急激な円安に伴い高級

  ブランド品価格がウクライナ危機前まで上昇しましたが、その後米国の金利引き上げもあり、IT関連銘柄の下落、金

  融市場の混乱、景気動向の不透明感から、円安進行による円建での価格上昇にも関わらず、高級ブランド品の価格が

  大幅に下落しており、古物市場での流動性が落ち、価格相場の混乱を招いています。かかる状況下、大黒屋では、

  CtoBの商品買取を基本とし、更にBtoCの商品販売を展開する際に、相場変動への適時対応やシステム内に構築された

  価格データを駆使して一般顧客より高く買取り、他の顧客に安く販売するというビジネスモデルを展開しておりま

  す。特にバックにおいては在庫回転期間が30日以内で推移しています。かかる状況を踏まえ、引き続き、相場の状況

  を注視しながら余剰在庫を削減し、適正価格による在庫の確保を進めて参ります。

 

  ⑥ 電機事業の事業構造改革の実施

   電機事業については、生産体制の更なる効率化や製品の統廃合や在庫管理の強化により製造原価の逓減を進め、結

  果として利益率が向上して参りました。今後も引き続きお取引先に理解を得ながら不採算製品の削減や在庫圧縮を徹

  底するとともに製造間接費の更なる削減を実施して参ります。

 

  ⑦ キャッシュ・フロー重視の経営と経営基盤の拡充

   質屋、古物売買業の強化、電機事業の抜本的な事業構造改革及び本社経費の削減等により、営業利益拡大を図ると

  ともに事業リスクを逓減させ投資の回収を図り、キャッシュ・フローを重視した経営を進めて参ります。

 

  ⑧ 異業種との業務提携

   大黒屋が1947年の創業以来75年で培った正確な真贋鑑定能力、過去の知見に起因するデータの蓄積及びそのDX

  化の結果として、当社グループが構築した真贋鑑定システム、買取システム、Dynamic Pricing システム及びキュレ

  ーションシステム等の展開を更に推し進め当社グループと異業種との業務提携等を含め国内外のプラットフォーマー

  やブランド品関連企業へ提供していきます。その第1弾として大黒屋では令和4年4月20日に株式会社JTBと業務提

  携を開始し、更に新たな異業種との展開を推し進めて参ります。

 

 (6)研究開発活動

  当第2四半期連結期間において、当社グループの研究開発活動に重要なものはございません。

 

 

 

 

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第2四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。